結論
タケダ機械は、ビルや倉庫の柱と梁になる鉄骨に、穴をあけたり切ったりする機械を作る会社だ。形鋼加工機と呼ばれるこの機械で国内の大手にあたり、売上の 7 割を占める。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正だ。
追い風ははっきりしている。鉄骨の加工場では職人が足りず、手作業を機械に置き換える投資が続く。2026 年 5 月期には形鋼加工機の売上が 14% 伸び、受注の単価も上がった。保守と部品の収入も年 7 億円あり、入れた機械が動く限り続く。
向かい風もはっきりしている。市場はほぼ国内の建設に限られ、人口の減少と建設費の高騰で鉄骨の量は細っていく。過去には売上が半分以下になり、赤字が何年も続いた。自己資本は売上と同じほど厚く、配当は利益の 3 割弱にとどまるので、資本の利益率は 5% 台に沈む。追い風と向かい風がほぼ打ち消し合い、今の時価総額はその稼ぎに見合っている。
筆者は、人手不足の追い風を評価しつつも、それで国内の鉄骨の量の減りを大きく上回れるとは見ない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、地味だが堅い会社だ。鉄骨の加工場に欠かせない機械を作り、借金はほぼ無く、保守の収入が下を支える。人手不足という時代の流れも追い風になる。オーナーとして、つぶれる心配をせずに持てる会社だ。
それでも筆者が大きな値打ちを見ないのは、稼いだ利益が株主に戻らず積み上がっているからだ。自己資本は売上と同じほどあり、ROE は資本コストを下回る。ためた利益が帳簿ほどの値打ちを持たない会社では、自己資本の厚さは価値の目安にならない。
市場も国内の建設に縛られている。10 年後も会社は残るだろうが、今より大きく強くなる道筋は細い。今の値段は、その堅さにはほぼ見合っているが、安全域、つまり値段と価値の間のゆとりは薄い。
株主に戻る現金が増えるか、自社株買いで資本を絞るか、資本を生かす使い道が見えれば、評価は変わりうる。
何で稼ぐ会社か
事業は金属加工機械の一つだけだが、中身は五つに分かれる。柱は形鋼加工機で、2026 年 5 月期の売上 51 億円のうち 35 億円を占めた。H 形鋼に穴をあける機械、平らな鋼板に穴をあける機械、小さな形鋼を加工する機械、板金を加工する機械がそろう。買い手は全国の鉄骨の加工場(ファブリケーター)と、タンクや架台を作る製缶板金の会社だ。
二つ目は部品と保守で、売上は 7 億円。全国の加工場に入った機械の部品の交換や修理を請け負う。機械は 10 年、20 年と使われるので、この収入は景気の波を受けにくい。
残りは丸鋸切断機、金型、受託の加工だ。丸鋸切断機は海外にも自社のブランドで売るが、多機能の機械への対応が遅れて売上が 3 割減った。金型は子会社のタケダ精機が担い、自動車の部品向けが中心になる。
工場は石川県にあり、社員は連結で 175 人と小さな会社だ。新製品は年に 2 機種を出すことを目標にしている。
2026 年 5 月期の売上は 51 億円、営業利益は 4.3 億円、純利益は 3.0 億円だった。2027 年 5 月期は売上 52 億円、経常利益 4 億円を見込む。人件費と開発費が増えるので、利益は横ばいからやや減る計画だ。
優良さと弱いところ
強みは、鉄骨の加工場との長い付き合いと、入れた機械が生む保守の収入だ。加工場は一度入れた機械の扱いに慣れるので、更新の時も同じ作り手を選びやすい。2026 年 5 月期には受注の単価を上げても台数が伸び、値決めの力が一定あることを示した。借金もほぼ無く、自己資本比率は 70% と厚い。
弱みは、市場が国内の建設にほぼ限られることだ。鉄骨の量は景気と人口で決まり、会社の努力では増やせない。2000 年から 2011 年には売上が大きく落ち、営業赤字が続いた年もあった。
資本の使い方も物足りない。自己資本は売上とほぼ同じ 55 億円まで積み上がり、利益率が 9% 近くあっても ROE は 5% 台にとどまる。数年先の数字の計画は無く、資本をどう生かすかの答えはまだ見えない。
筆頭株主は創業家に近い資産管理の会社とみられ、株主の顔ぶれは個人が中心だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の鉄骨の需要は、ビル、倉庫、工場、橋の建設で決まる。ここ数年は物流倉庫やデータセンター、都市部の再開発が支えてきた。だが建設費の高騰と現場の人手不足で、計画の見直しや中止も出ている。長い目では、人口の減少とともに建物の数そのものが減っていく。
救いは、加工場の側の人手不足だ。鉄骨の加工場の多くは中小の会社で、職人の高齢化が進んでいる。穴をあけ、切り、印を付ける作業を一台でこなす機械があれば、少ない人数で同じ量をさばける。数量が減っても、機械に置き換える比率は上がっていく。
作り手は国内に数社で、海外ではイタリアやアメリカの大手が強い。海外の安い加工機が日本の規格に合わせてくれば、国内でも値段の勝負になる。10 年の中立では、鉄骨の量が 1 割ほど細る一方、省力化の比率が上がり、機械の台数はほぼ横ばいと見る。値段は物価並みに上がる。
機械の値段は、鋼材と部品、人件費の値上がりで上がっていく。タケダ機械は 2026 年 5 月期に受注の単価を上げ、それでも台数を伸ばした。加工場にとって職人一人を雇う費用は年々上がっており、機械が高くなっても置き換える損得は崩れていない。ただ建設の景気が冷えれば、まず機械の更新が止まる。
資本政策と M&A
配当は 2026 年 5 月期に総額 0.74 億円で、配当性向は 3 割弱だった。配当性向と利回り、業績を見て決める方針で、年 1 回の期末配当が基本だ。自社株買いの実績はほとんどない。
持ち合いの株は持たず、純投資の上場株も 1 億円に満たない。資本は工場と在庫、そして ERP(基幹の業務システム)など事務の仕組みに回る。ERP と営業の仕組みには総額 4 億円強を投じ、2027 年 6 月に動かす計画だ。
買収は小さく、2016 年に子会社のタケダ精機を完全子会社にした程度だ。親会社は無く、筆頭株主は持株 13% の資産管理の会社だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
人手不足は一時のことではない。鉄骨の加工場の職人は高齢になり、若い人は入ってこない。手作業を機械に置き換えなければ、加工場は仕事を受けられなくなる。2026 年 5 月期に形鋼加工機の売上が 14% 伸び、受注の単価も上がったのは、その流れが数字になった証拠だ。
需要の中身も変わっている。物流倉庫、データセンター、半導体の工場、都市の再開発と、鉄骨を使う建物は今も多い。古い建物の建て替えも、これから本格的に始まる。
会社の財務は堅い。借金はほぼ無く、自己資本比率は 70% ある。保守と部品の収入は年 7 億円で、景気が悪くても大きくは落ちない。2019 年には営業利益率 14% を出した実績もあり、値上げが続けば利益率はそこへ戻っていく。今の時価総額は、自己資本の半分にも満たない。
人手不足の追い風は、利益率と台数の両方を押し上げる。職人の賃金が上がるほど、機械に置き換える損得は加工場にとって有利になる。
慎重な見方
鉄骨の量は長い目で見て減る。人口が減れば建物も減り、建設費の高騰で計画の中止も出ている。人手不足は加工場だけでなく建設の現場にもあり、工期が延びれば機械の更新は後回しになる。
機械の需要は景気に振り回される。2000 年から 2011 年には売上が大きく落ち、営業赤字が何年も続いた。一度落ちると、戻るまでに長い時間がかかる。
資本の使い方にも不満が残る。自己資本は売上と同じほど積み上がり、ROE は 5% 台だ。配当は利益の 3 割弱で、自社株買いもしない。数年先の数字の計画も示さない。丸鋸切断機は多機能の機械への対応が遅れて 3 割も売上を落とした。新製品の開発が遅れれば、海外の加工機に国内の市場を取られる。
自己資本の厚さは安心材料だが、資本コストを下回る会社では価値を生まない。数量が減る市場で値上げを続ければ、いずれ加工場は安い海外の機械か中古の機械を選ぶ。人手不足の追い風は、作り手の側の人件費も押し上げる。
どちらに重みを置いたか
人手不足の追い風は本物だが、慎重な見方のほうがやや強い。鉄骨の量が減る流れは変わらず、積み上がる資本も株主に戻っていない。確率は中立を最も重くし、楽観と悲観をほぼ同じ厚さに置いた。保守の収入が下を支えるので、悲観の重みは過度に上げていない。人手不足の追い風と鉄骨の量の減りは、ほぼ打ち消し合う。財務が堅く、つぶれる心配が小さいことは、悲観の筋書きでも価値の下を支える。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 5,444 円50 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,018 円9 億円)。 今の値に割り戻すと 3,282 円30 億円、今との差 +17.9%、 期待の年率 +8.8%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 8,485 円78 億円 | 1,479 円14 億円 | +258.0% | +13.6% | 996 円9 億円 |
| やや楽観 | 20% | 7,161 円66 億円 | 1,197 円11 億円 | +200.3% | +11.6% | 1,672 円15 億円 |
| 中立 | 40% | 6,266 円58 億円 | 1,044 円10 億円 | +162.7% | +10.1% | 2,924 円27 億円 |
| やや悲観 | 20% | 2,544 円23 億円 | 903 円8 億円 | +23.8% | +2.2% | 689 円6 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,485 円14 億円 | 326 円3 億円 | −34.9% | −4.2% | 181 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,444 円50 億円 | 1,018 円9 億円 | +132.2% | +8.8% | 6,462 円59 億円 |
今の株価時価総額 2,783 円26 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 人手不足が省力機の更新を押し上げる 利益 6 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 8,485 円78 億円
鉄骨の加工場では溶接工と穴あけの職人が足りず、人の手を機械に置き換える投資が 10 年続く。H 形鋼に穴をあけ、切り、印を付ける作業を一台でこなす省力機が売れ筋になり、1 台あたりの値段も上がる。物流倉庫やデータセンター、工場の建て替えで鉄骨の需要は底堅い。タケダ機械は年 2 機種の新製品で機能を足し、国内の加工場の更新需要を取り込む。保守と部品の売上も、入れた機械の台数とともに増える。営業利益率は 2019 年の山に近い 11% に戻る。それでも自己資本が厚いので、資本の利益率は 7% にとどまる。配当も利益に沿って増える。
- 形鋼加工機:数量 165(形鋼加工機の販売台数(台・推定))× 価格 0.34(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 57 億円・営業利益 6 億円。165 × 単価 0.3446(今の 1.38 倍)、営業利益率 11.0%
- 部品・保守:数量 3,900(稼働している自社の機械の台数(台・推定))× 価格 0.00(1 台あたりの年間の部品・保守の売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。3900 × 単価 0.0028(今の 1.38 倍)、営業利益率 26.0%
- 丸鋸切断機・金型・受託:数量 300(切断機・金型・受託の納入件数(件・推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。300 × 単価 0.0404(今の 1.34 倍)、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 78 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:鉄骨の加工場の人手不足は構造的で、2026 年 5 月期に形鋼加工機が 14% 伸びたのもそのためだ。ただ鉄骨の量そのものは増えないので、1 割にとどめた。
やや楽観 20% 値上げと保守で利益率が上がる 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 7,161 円66 億円
鉄骨の量はゆっくり減るが、人手不足で省力機への置き換えが続き、形鋼加工機の台数は 1 割ほど増える。会社は鋼材や部品の値上がりに合わせて機械の値段を上げ、単価は物価並みに上がる。保守と部品は、全国の加工場に入った機械が稼ぎ続ける安定した収入だ。丸鋸切断機は多機能機の開発で持ち直し、金型も自動車向けで横ばいを保つ。ERP の導入で在庫と事務の費用が下がり、営業利益率は 10% 近くまで戻る。新製品の数を増やす方針が実を結び、丸鋸切断機も少しずつ取り戻す。配当は利益に沿って増え、自己資本の利益率は 6% 近くまで上がる。
- 形鋼加工機:数量 150(形鋼加工機の販売台数(台・推定))× 価格 0.34(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 5 億円。150 × 単価 0.3396(今の 1.36 倍)、営業利益率 10.0%
- 部品・保守:数量 3,750(稼働している自社の機械の台数(台・推定))× 価格 0.00(1 台あたりの年間の部品・保守の売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。3750 × 単価 0.0027(今の 1.36 倍)、営業利益率 25.0%
- 丸鋸切断機・金型・受託:数量 285(切断機・金型・受託の納入件数(件・推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。285 × 単価 0.0398(今の 1.32 倍)、営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 63 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注単価の引き上げは 2026 年 5 月期の実績で確かめられる。台数が増えなくても単価と保守で利益が伸びる筋書きとして、中立の半分の重みを置いた。
中立 40% 鉄骨の量は細り、省力化の需要で横ばい 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 6,266 円58 億円
国内の鉄骨の需要は、人口の減少と建設費の高騰で 10 年に 1 割ほど細る。それでも加工場の人手不足は深まり、手作業を機械に置き換える投資が続くので、形鋼加工機の台数はほぼ今と同じに保たれる。値段は物価並みに上がり、保守と部品の収入も機械の台数とともに少し増える。丸鋸切断機と金型、受託の仕事は伸びず、利益への貢献は小さいままだ。営業利益率は 9% 前後と、この 10 年の平均並みにとどまる。配当は利益の 3 割弱で、残りは自己資本に積み上がり、資本の利益率は 5% 前後に下がる。大きな失敗も大きな成功もない、今の延長の姿だ。株主に戻る額は年に 1 億円前後にとどまる。
- 形鋼加工機:数量 140(形鋼加工機の販売台数(台・推定))× 価格 0.33(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 4 億円。140 × 単価 0.3346(今の 1.34 倍)、営業利益率 9.0%
- 部品・保守:数量 3,600(稼働している自社の機械の台数(台・推定))× 価格 0.00(1 台あたりの年間の部品・保守の売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。3600 × 単価 0.0027(今の 1.34 倍)、営業利益率 25.0%
- 丸鋸切断機・金型・受託:数量 270(切断機・金型・受託の納入件数(件・推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。270 × 単価 0.0392(今の 1.3 倍)、営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.5% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 53 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の鉄骨の需要は人口とともに細るが、人手不足の省力化の投資がそれを打ち消すというのが会社の見立てで、過去 10 年の売上も 50 億円前後で横ばいだった。今の延長として最も重く置いた。
やや悲観 20% 建設の停滞で機械の更新が先送りされる 利益 2 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 2,544 円23 億円
建設費の高騰と人手不足で、ビルや倉庫の計画が先送りされる。鉄骨の加工場は仕事が減り、機械の更新を延ばす。形鋼加工機の台数は 10 年で 15% 減り、値上げも物価に遅れる。海外の安い加工機が国内でも売れ始め、値段の勝負が増える。保守と部品は機械が動いている限り残るが、台数の減りとともに細る。営業利益率は 5% 台に落ち、自己資本はただ積み上がるだけで、資本の利益率は 3% に下がる。在庫が膨らみ、値引きで売る年も出てくる。ERP で減らすはずだった在庫も思うように減らない。会社がつぶれる心配は無いが、株主の取り分はゆっくり目減りしていく。
- 形鋼加工機:数量 120(形鋼加工機の販売台数(台・推定))× 価格 0.31(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。120 × 単価 0.3121(今の 1.25 倍)、営業利益率 6.0%
- 部品・保守:数量 3,400(稼働している自社の機械の台数(台・推定))× 価格 0.00(1 台あたりの年間の部品・保守の売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。3400 × 単価 0.0026(今の 1.3 倍)、営業利益率 22.0%
- 丸鋸切断機・金型・受託:数量 240(切断機・金型・受託の納入件数(件・推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。240 × 単価 0.0368(今の 1.22 倍)、営業利益率 0.0%
倍率:ROE 3.0% と資本コストを大きく下回り、利益が細っていく途中の筋書きなので、PER は上限 11.8 倍の 7 割弱の 8.0 倍に置いた。稼ぐ力(純利益÷k)は約 25 億円だが、更新の先送りが続く途中なのでそれより低く見た。
確率:建設費の高騰で計画の見直しや中止が出ていると会社自身が書いている。機械の更新は景気の悪い年にすぐ止まるので、中立の半分の重みを置いた。
悲観 10% 国内の鉄骨が縮み、機械が売れなくなる 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,485 円14 億円
人口の減少と建設費の高騰が重なり、国内の鉄骨の需要が 10 年で 3 割近く減る。加工場の廃業と統合が進み、残った大手は海外の安い加工機や、ロボットを組み合わせた別の方式に移る。タケダ機械の形鋼加工機は台数が今の 3 分の 2 を割り、値段も上げられない。保守と部品の収入がかろうじて固定費を支えるが、機械の販売は採算が取れなくなる。2000 年代の不況の時と同じく、営業利益はほぼゼロに沈む。会社は工場を縮め、保守の会社に近い姿になる。厚い自己資本と土地、在庫が最後の支えになるが、それが株主に戻る道筋は細い。
- 形鋼加工機:数量 90.0(形鋼加工機の販売台数(台・推定))× 価格 0.29(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。90 × 単価 0.2872(今の 1.15 倍)、営業利益率 0.0%
- 部品・保守:数量 3,100(稼働している自社の機械の台数(台・推定))× 価格 0.00(1 台あたりの年間の部品・保守の売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。3100 × 単価 0.0025(今の 1.25 倍)、営業利益率 18.0%
- 丸鋸切断機・金型・受託:数量 200(切断機・金型・受託の納入件数(件・推定))× 価格 0.03(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。200 × 単価 0.0332(今の 1.1 倍)、営業利益率 -5.0%
倍率:営業利益がほぼゼロなので PER は使えない。純現金はほぼ無く、工場と在庫は機械が売れなければ値が付きにくい。今の自己資本 54.6 億円に PBR 0.25 倍を掛け、保守と部品の収入と工場の土地に残る値打ちだけを見た。現金・売掛金・在庫・土地から負債を引いた床の資産は約 15 億円で、その手前に置いた。
確率:2000 年代には売上が半分以下になり、営業赤字が何年も続いた過去がある。国内の建設に頼る単一の事業なので、構造的な負けの重みとして 1 割を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
形鋼加工機
H 形鋼ドリル、平板ドリル、小型形鋼加工、板金加工の機械。建築鉄骨と製缶板金の加工場に売る。
| 数量形鋼加工機の販売台数(台・推定) | 価格1 台あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 139 | 0.25 | 35 | 3 |
| 10 年後 中立 | 140 | 0.33 | 47 | 4 |
取り方:台数の開示は無いので、1 台あたり約 2,500 万円と置き、製品別の売上 34.71 億円から年 139 台と推定した(推定)。利益は製品別の開示が無いので、営業利益率を 9% と推定した。
部品・保守
全国の加工場に入った機械の部品の交換、修理、点検。
| 数量稼働している自社の機械の台数(台・推定) | 価格1 台あたりの年間の部品・保守の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 3,500 | 0.00 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3,600 | 0.00 | 10 | 2 |
取り方:稼働台数の開示は無いので、年 140 台前後の販売と 20〜25 年の寿命から約 3,500 台と推定し、売上 7.01 億円を割った(推定)。部品と保守は利益率が高いとみて 25% と推定した。
丸鋸切断機・金型・受託
丸鋸切断機(海外にも自社ブランドで販売)、子会社タケダ精機の自動車向け金型、受託の加工。
| 数量切断機・金型・受託の納入件数(件・推定) | 価格1 件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 300 | 0.03 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 270 | 0.04 | 11 | 0 |
取り方:丸鋸切断機 2.49 億円、金型 4.45 億円、受託ほか 2.11 億円を合わせた。件数の開示は無いので 1 件あたり約 300 万円と置き、年 300 件と推定した(推定)。利益率は 3% と推定した。
リスクと懸念
国内の鉄骨の需要の縮小
売上はほぼ国内の建設に頼っている。人口の減少と建設費の高騰で建物の計画が減れば、鉄骨の加工場の仕事も減り、機械の更新は先送りされる。会社自身も、長い目では内需の縮小を懸念している。
機械の需要の大きな波
機械の更新は景気が悪くなるとまず止まる。2000 年から 2011 年には売上が大きく落ち、営業赤字が続いた。自己資本は厚いので会社がつぶれる心配は小さいが、利益は数年単位で消えうる。
海外の加工機との競争
鉄骨の加工機では、イタリアやアメリカの大手が世界で強い。日本の規格に合わせた安い機械が入ってくれば、国内でも値段の勝負になる。会社の値上げの力が試される。
新製品の開発の遅れ
丸鋸切断機は多機能の機械への対応が遅れ、2026 年 5 月期に売上が 3 割減った。形鋼加工機でも、ロボットや自動化のラインに対応できなければ、更新の時に他社へ移られる。
資本が株主に戻らない
自己資本は売上とほぼ同じまで積み上がり、ROE は 5% 台だ。配当は利益の 3 割弱で、自社株買いはしない。この姿勢が続けば、利益が増えても株主の取り分は増えにくい。
今後の分かれ目
- 形鋼加工機の受注が 2 年続けて 1 割以上伸びたら
- 人手不足の省力化の需要が本物とみて、楽観側の筋書きの重みを上げる。
- 鉄骨の国内需要が年 5% 以上減ったら
- 機械の更新が先送りされるとみて、やや悲観の筋書きに重みを移す。
- 配当性向を 4 割以上に上げるか、自社株買いを始めたら
- 積み上がる資本が株主に戻るとみて、戻り方を引き上げる。
- ERP の導入で在庫が大きく減り、営業利益率が 10% を超えたら
- 中立の利益率を引き上げる。
- 海外の加工機が国内の大手の加工場に入り始めたら
- 値決めの力が弱まったとみて、悲観側の重みを上げる。
見ておくもの
- 形鋼加工機の売上と受注の単価
- 国内の鉄骨の需要量(年間のトン数)
- 部品・保守の売上
- 配当性向と自己資本の推移
- 新製品の数と丸鋸切断機の売上
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k 7.75% を下回るので 1÷k の 11.8 倍を上限とし、利益の質に応じてその 7〜9 割強に置いた。悲観は今の自己資本に PBR を掛け、過去の PBR の底は使っていない。今の PER・PBR は見て比べただけで、倍率の根拠にしていない。製品別の利益は開示が無いので推定で、全社の営業利益に合うように置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.9 倍・やや楽観 PER 10.5→12.9 倍・中立 PER 10→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.0%。黒字が続き存続の懸念はないので上乗せはしない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.75%。