結論
瑞光は、紙おむつと生理用ナプキンをつくる機械の会社だ。国内シェアは約9割で、売上の7割強が海外。筆者の結論は「割高」。株価は純現金の厚みに支えられているが、儲ける力が資本コストを下回る期間が長く、10年後の価値は今の時価総額を大きく下回る。
強みは、大人用おむつ機のような追随の少ない分野と、納入後の保守・部品だ。受注残は2026年9月に188億円と前年から49億円増えた。会社は中期経営計画で、2029年2月期に売上300億円、営業利益率8.1%を掲げ、新規事業としてユニチカから譲り受けたスパンレース不織布で売上を足す。
一方で足もとは弱い。2026年2月期の営業利益は1.6億円で、純利益19.7億円の大半は負ののれん益などの一過性だ。過去10年の自己資本利益率の中央値は5.6%、10年の売上は年平均で4.5%縮んだ。中国メーカーの追い上げで、小児用とナプキンの機械は価格競争が強い。
中立の10年後は、売上が366億円まで増えても営業利益率は7.7%で、自己資本利益率は5%にとどまる。資本コストの8.5%を下回るので、利益に付ける倍率は低い。純現金は約70億円あるが、前受金と成長投資に回る分が大きい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、事業の質は中程度だ。製造機の技術には価値があるが、需要が衛生用品メーカーの設備投資の波に従い、儲ける力が不安定である。10年先を見通すのが難しい。確信度は低い。
自己資本利益率が5%台と、資本コストの8.5%を大きく下回る。純現金は厚いが、前受金や成長投資で自由に使える分は小さく、株主に戻る確度は半分に満たない。ためた現金が、儲ける力を高めずに積み上がっている。
安全域は、純現金が時価総額の3割あることだ。ただし割安と呼べるほどの水準ではない。会社の計画が実現すれば自己資本利益率は改善するが、その実績が出るまでは評価できない。
経営の資本配分は、まだ試されている段階だ。ユニチカから素材の事業を買ったのは、機械の波を和らげる狙いと読めるが、素材は機械と顧客も競合も違い、経験が少ない。筆者は、買収の成否が出るまでは中立の筋書きに新規事業の大きな利益を見込まない。
何で稼ぐ会社か
紙おむつ、生理用ナプキンなど衛生用品をつくる機械を、設計から製造、据付、保守まで手がける。2026年2月期の売上は211.7億円で、製品別は大人用おむつ機が75.2億円、小児用おむつ機が68.9億円、ナプキン機が32.9億円、部品・サービスが24.5億円。国内シェアは約9割だが、売上の72.5%が海外向けである。
顧客は、おむつやナプキンを量産する世界の衛生用品メーカーだ。かつて最大の客だったユニ・チャームの比率は、2025年2月期の13.7%から2026年2月期は10%を下回った。顧客の集中は薄れたが、機械は1ラインが数億円の大型案件で、受注の波が売上と利益に直接響く。
子会社には、2024年6月に議決権の90%を取得したイタリアのZUIKO DELTA社がある。2025年12月31日には、ユニチカからスパンレース不織布の事業を21.5億円で譲り受けた。年売上は約40億円で、機械メーカーに素材の事業が加わる。連結の従業員は約640人。
2026年2月期末の現金は134億円、有利子負債は62億円で、自己資本比率は69.1%と厚い。ただし契約負債(前受金)が31.6億円あり、機械の代金を前もって受け取っている分は現金の見かけより少ない。政策保有株は5銘柄・5.5億円と小さい。
優良さと弱いところ
強みは、世界で戦える製造機の技術と、納めた機械が動き続ける限り続く保守需要だ。大人用おむつ機は追随できる競合が少なく、価格を守りやすい。部品・サービスは景気に左右されにくい。国内で約9割のシェアを持つのは、ほぼ唯一の国産メーカーに近いからだ。
弱みは、機械の需要が衛生用品メーカーの設備投資の波に左右されることだ。2026年2月期の営業利益は1.6億円、その前の期は赤字だった。小児用とナプキンの機械は、中国メーカーの追い上げで値下げ圧力を受け、粗利率は15.1%まで下がった。会社は2027年2月期に19.2%への回復を見込むが、まだ実績では示されていない。
財務は堅い。自己資本比率が69%で、実質無借金に近い。弱点は儲け方で、過去10年の自己資本利益率の中央値は5.6%と資本コストを大きく下回る。10年間の売上は年平均で4.5%縮み、営業利益は支払利息の2.7倍にとどまる。筆者は、品質を「普通からやや低め」と見て、資本コストを少し上げる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
紙おむつの世界需要は、新興国の人口増と、日本・欧州・中国の高齢化で伸びる。大人用おむつは高齢化の恩恵が大きく、機械の更新も続く。小児用は出生数の減少で伸びが鈍く、中国メーカーが低価格の機械を出している。ナプキンも同様に価格競争が強い。
競合は、イタリアのファメカニカ社とGDM社、中国の機械メーカーが挙がる。具体的なシェアの数字は信頼できる出典が見つからなかった。国内で約9割という瑞光のシェアは、国内市場が小さいため、成長の根拠にはならない。成長は海外で奪えるか次第である。
売上は景気ではなく、顧客の設備投資の波に従う。2026年9月の受注残は187.8億円と前年から49億円増えたが、上海の子会社の出荷が下期に偏る事情もあり、半期の営業損益は2.2億円の赤字だった。機械は納入時に売上を立てるため、四半期の業績の振れは大きい。
価格の面では、鋼材や部品、人件費の上昇が原価に響く一方、機械の値段は長い商談で決まるため、転嫁に時間がかかる。為替も、海外売上が7割を超えるため円高は円換算の売上を減らす。景気の影響は、顧客が設備投資を決める時期にまとめて出る。
資本政策と M&A
還元は、配当性向35%前後を基本にし、2027年2月期の配当は創業80周年の記念分を含めて年間の配当を増やしとした。実質の配当性向は41.4%に当たる。2026年2月には50万株の自社株買いも実施した。中期経営計画では、3年間で配当と自社株取得を合わせ約20億円を還元する。
一方で成長投資は50〜70億円を予定し、うち新規事業に80億円の売上を足す目標を置く。ユニチカからの譲受に21.5億円を使ったように、手元の現金は成長投資に向かう。筆者は、還元が現金の厚みほどには進まないとみて、余った現金の評価を低めに置く。
株主優待は、100株以上で年1回QUOカードを贈る。費用は年1億円に満たない。政策保有株は5銘柄・5.5億円で、MUFGは売却済み。ユニ・チャーム株など取引先株が残るが、時価総額の2%に過ぎず、評価には影響しない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中期経営計画が実現し、儲ける力が戻る。大人用おむつ機は高齢化の追い風を受け、追随できる競合が少ないため、シェアが18%に上がる。受注残は188億円と前年から49億円増え、2027年2月期の営業利益17.8億円の計画は現実的だ。
スパンレース不織布の事業が加わり、機械メーカーから素材も扱う会社へ変わる。新規事業は売上が数百億円規模に育ち、利益率も10%台に乗る。粗利率が19.2%まで戻れば、営業利益率は10%を超えうる。
還元も増える。配当性向35%に自社株買いが加わり、総還元は3年間で約20億円。10年間で払う額はさらに増える。純現金が厚いため、株価は下値が堅い。
海外の需要も追い風になる。新興国では中間層の増加でおむつの普及が進み、機械の新設が続く。上海とイタリアの子会社が現地で受注を取り込み、為替が円安に動けば円換算の売上も増える。こうした条件がそろえば、10年後の営業利益は今の10倍を超えうる。
慎重な見方
営業利益は2026年2月期に1.6億円まで落ち、その前は赤字だった。10年間の売上は年平均で4.5%縮んでいる。中国メーカーの追い上げで、小児用とナプキンの機械は値下げされ、粗利率は15.1%まで下がった。会社が19.2%への回復を見込む根拠は、まだ実績にない。
純利益19.7億円は、負ののれん益19.25億円や補助金などの一過性が大半で、実力ではない。機械は受注の波が大きく、2026年9月の半期は営業赤字だった。上海の出荷が下期に偏るという説明は、期待に頼る部分が大きい。
現金134億円のうち31.6億円は前受金で、新規事業と成長投資に50〜70億円を使う計画だ。株主に戻る分は限られる。自己資本利益率が10年中央値5.6%の会社に、資本コスト8%を超える倍率は付けにくい。
新規事業のスパンレースは、売上40億円規模でも利益の実績がなく、素材の市況に左右される。買収に使った21.5億円が回収できるかは、まだ分からない。さらに、為替の円高や顧客の設備投資の先送りが重なれば、受注残も積み上がらない。慎重に見れば、会社の計画は楽観に寄りすぎている。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は計画の実現と高齢化の追い風に、慎重な見方は一過性の利益と価格競争に重みを置く。10年後の中立は、売上が366億円まで増えるが、営業利益率は7.7%にとどまる姿とした。会社の計画(2029年2月期に営業利益率8.1%)には届く水準だが、それ以上は置かない。
確率は、中立に34%を置いた。悲観は、価格競争が続く姿が3割に近い。本質価値は今の時価総額を4割近く下回り、「割高」。ただし純現金と受注残の厚みがあるため、悲観の値は資産の床で支えられる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 1,010 円263 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 192 円50 億円)。 今の値に割り戻すと 599 円156 億円、今との差 −29.7%、 期待の年率 +3.5%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 2,018 円525 億円 | 385 円100 億円 | +182.0% | +10.9% | 288 円75 億円 |
| やや楽観 | 24% | 1,270 円330 億円 | 250 円65 億円 | +78.4% | +6.0% | 365 円95 億円 |
| 中立 | 34% | 1,053 円274 億円 | 212 円55 億円 | +48.5% | +4.0% | 430 円112 億円 |
| やや悲観 | 22% | 365 円95 億円 | 58 円15 億円 | −50.3% | −6.8% | 93 円24 億円 |
| 悲観 | 8% | 308 円80 億円 | 19 円5 億円 | −61.6% | −9.1% | 26 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,010 円263 億円 | 192 円50 億円 | +41.1% | +3.5% | 1,202 円313 億円 |
今の株価時価総額 852 円221 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 12% 計画どおり、利益率が10%を超える 利益 41 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,018 円525 億円
高齢化で大人用おむつ機の需要が伸び、当社のシェアは18%に上がる。小児用とナプキンは価格競争が緩み、粗利率が19%台に戻る。保守・部品の売上は積み上がり、景気の波を和らげる。
新規事業は、スパンレース不織布が売上を足し、10年で数百億円の規模に育つ。利益率は10%台に乗り、全社の営業利益率は10%を超える。会社が掲げる2029年2月期の営業利益率8.1%を、上回る水準を保つ。
還元も増え、配当性向35%に自社株買いが加わる。10年間の払い出しは計100億円になる。自己資本利益率は8.5%と資本コストに並ぶ。10年後の時価総額は525億円。
- 大人用おむつ製造機:数量 720(当社が参加する大人用おむつ製造機の世界需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 24.1%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 174 億円・営業利益 23 億円。市場 720 億円 × シェア 18.0%、物価の倍率 1.34、営業利益率 13.0%
- 小児用おむつ・生理用ナプキン製造機:数量 1,200(小児用おむつ・ナプキン製造機の需要(億円・実質、推定))× 価格 11.1%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 133 億円・営業利益 8 億円。市場 1,200 億円 × シェア 8.5%、物価の倍率 1.30、営業利益率 6.0%
- 部品・保守・改造:数量 600(瑞光の機械が動く既設機への部品・保守の需要(億円・実質、推定))× 価格 9.4%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 56 億円・営業利益 9 億円。市場 600 億円 × シェア 7.0%、物価の倍率 1.34、営業利益率 16.0%
- 新規事業・その他(スパンレース不織布、その他機械):数量 450(当社が手がける不織布・その他機械の需要(億円・実質、推定))× 価格 33.5%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 151 億円・営業利益 15 億円。市場 450 億円 × シェア 25.0%、物価の倍率 1.34、営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 41 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.89 倍、時価総額 525 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残が前年から49億円増え、中期経営計画の方向とも合う。ただし過去10年の自己資本利益率の中央値が5.6%の会社なので、強気の実現確度は高くない。
やや楽観 24% 計画に近く、利益率が8%台へ 利益 26 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,270 円330 億円
大人用おむつ機が堅調で、当社のシェアは17%。小児用とナプキンはシェアが8%に上がる。値段は物価の1.26倍から1.32倍。営業利益率は全社で7.9%まで上がる。
新規事業の売上は400億円規模の需要で22%のシェアを持ち、利益率は8%。保守・部品も堅調で、利益の波は小さくなる。
還元は65億円。自己資本利益率は6.0%と、資本コストにはまだ届かない。10年後の時価総額は330億円。売上は430億円まで増え、機械に素材が加わった会社として、再評価の入り口に立つ。会社の計画の延長線上にあるが、資本コストを超える利益率には届かない。
- 大人用おむつ製造機:数量 652(当社が参加する大人用おむつ製造機の世界需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 22.4%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 146 億円・営業利益 15 億円。市場 652 億円 × シェア 17.0%、物価の倍率 1.32、営業利益率 10.0%
- 小児用おむつ・生理用ナプキン製造機:数量 1,176(小児用おむつ・ナプキン製造機の需要(億円・実質、推定))× 価格 10.1%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 119 億円・営業利益 7 億円。市場 1,176 億円 × シェア 8.0%、物価の倍率 1.26、営業利益率 5.5%
- 部品・保守・改造:数量 550(瑞光の機械が動く既設機への部品・保守の需要(億円・実質、推定))× 価格 9.0%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 49 億円・営業利益 7 億円。市場 550 億円 × シェア 6.8%、物価の倍率 1.32、営業利益率 14.5%
- 新規事業・その他(スパンレース不織布、その他機械):数量 400(当社が手がける不織布・その他機械の需要(億円・実質、推定))× 価格 29.0%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 116 億円・営業利益 9 億円。市場 400 億円 × シェア 22.0%、物価の倍率 1.32、営業利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 330 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残が積み上がり、粗利率の回復が進めばこの筋書きになる。会社の計画に近い水準として、4分の1を置く。
中立 34% 中立:計画の利益率には届くが、資本コストに届かない 利益 22 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,053 円274 億円
大人用おむつ機は市場が実質で横ばい、当社のシェアは16%。小児用とナプキンは中国勢との競争で、シェアは7.5%に下がる。値段は物価より遅れ、10年で1.22倍から1.30倍。
新規事業は売上360億円の需要で20%のシェアを取るが、利益率は8%。全社の営業利益は28.1億円で、売上366億円に対し7.7%。会社の計画(8.1%)にほぼ届く水準である。
還元は55億円。自己資本は429億円で、自己資本利益率は5.1%。資本コストの8.5%を下回るので、倍率は12.5倍にとどまる。10年後の時価総額は274億円。
- 大人用おむつ製造機:数量 607(当社が参加する大人用おむつ製造機の世界需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 20.8%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 126 億円・営業利益 13 億円。市場 607 億円 × シェア 16.0%、物価の倍率 1.30、営業利益率 10.0%
- 小児用おむつ・生理用ナプキン製造機:数量 1,140(小児用おむつ・ナプキン製造機の需要(億円・実質、推定))× 価格 9.2%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 104 億円・営業利益 6 億円。市場 1,140 億円 × シェア 7.5%、物価の倍率 1.22、営業利益率 5.5%
- 部品・保守・改造:数量 500(瑞光の機械が動く既設機への部品・保守の需要(億円・実質、推定))× 価格 8.5%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 42 億円・営業利益 6 億円。市場 500 億円 × シェア 6.5%、物価の倍率 1.30、営業利益率 14.5%
- 新規事業・その他(スパンレース不織布、その他機械):数量 360(当社が手がける不織布・その他機械の需要(億円・実質、推定))× 価格 26.0%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 94 億円・営業利益 8 億円。市場 360 億円 × シェア 20.0%、物価の倍率 1.30、営業利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.1% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 274 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残と更新需要が下支えするが、価格競争と投資の負担が残る。山と谷をならした筋書きを最も重く置く。
やや悲観 22% 価格競争が続き、利益がほぼ消える 利益 6 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 365 円95 億円
小児用とナプキンの機械は、中国メーカーとの競争で値段が10年で1.15倍にとどまる。営業利益率は1%まで下がる。大人用おむつ機も、シェアは14%に落ちる。
新規事業は計画どおりに利益が出ず、利益率は3%。全社の営業利益は7.6億円と、中立の4分の1。純利益は6.1億円にとどまる。
自己資本利益率は1.5%。株主へ戻せる利益は乏しく、還元は15億円。それでも現金と設備が残り、値は資産の床の95億円で支えられる。売上は254億円と今の2割増にとどまり、固定費を吸収できない。新規事業の立ち上がりも遅れ、成長投資の負担だけが残る。会社は赤字には陥らないが、株主の取り分は薄い。
- 大人用おむつ製造機:数量 540(当社が参加する大人用おむつ製造機の世界需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 16.8%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 91 億円・営業利益 5 億円。市場 540 億円 × シェア 14.0%、物価の倍率 1.20、営業利益率 6.0%
- 小児用おむつ・生理用ナプキン製造機:数量 1,020(小児用おむつ・ナプキン製造機の需要(億円・実質、推定))× 価格 7.5%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 76 億円・営業利益 1 億円。市場 1,020 億円 × シェア 6.5%、物価の倍率 1.15、営業利益率 1.0%
- 部品・保守・改造:数量 440(瑞光の機械が動く既設機への部品・保守の需要(億円・実質、推定))× 価格 7.4%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 33 億円・営業利益 4 億円。市場 440 億円 × シェア 6.2%、物価の倍率 1.20、営業利益率 11.0%
- 新規事業・その他(スパンレース不織布、その他機械):数量 300(当社が手がける不織布・その他機械の需要(億円・実質、推定))× 価格 18.0%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 54 億円・営業利益 2 億円。市場 300 億円 × シェア 15.0%、物価の倍率 1.20、営業利益率 3.0%
倍率:価格競争が続き稼ぐ力が細るので、利益でなく資産で値を付ける。現金から有利子負債と前受金を引いた純現金と、設備の売却価値の税後を足した約 95 億円(今の自己資本 362 億円の 0.26 倍)を床とした。ためた利益に床の倍率は掛けていない。
確率:小児用とナプキンの値下げが続き、受注も細る筋書き。2026年2月期の粗利率15.1%と営業利益1.6億円は、この姿にすでに近い。
悲観 8% 構造的に負ける:赤字と投資の失敗が重なる 利益 −4 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 308 円80 億円
需要が落ち込み、受注が減る。小児用とナプキンの機械は赤字になり、大人用のシェアも11%に落ちる。値段は10年で1.10倍にとどまる。
新規事業のスパンレースは、素材の市況で赤字が続く。減損も出る。営業利益は5.3億円の赤字に沈む。
還元は5億円に落ちる。ただし現金と設備が残るため、少数株主の取り分は資産の一部の80億円で支えられる。売上は156億円と今より小さい。固定費が重く、機械は赤字になり、素材も不調で、会社は事業の縮小や売却を迫られる。経営の立て直しが進めば別だが、ここではそれを置かない。
- 大人用おむつ製造機:数量 450(当社が参加する大人用おむつ製造機の世界需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 12.3%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 55 億円・営業利益 0 億円。市場 450 億円 × シェア 11.0%、物価の倍率 1.12、営業利益率 0.0%
- 小児用おむつ・生理用ナプキン製造機:数量 900(小児用おむつ・ナプキン製造機の需要(億円・実質、推定))× 価格 5.5%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 50 億円・営業利益 −2 億円。市場 900 億円 × シェア 5.0%、物価の倍率 1.10、営業利益率 -4.0%
- 部品・保守・改造:数量 380(瑞光の機械が動く既設機への部品・保守の需要(億円・実質、推定))× 価格 6.3%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。市場 380 億円 × シェア 5.5%、物価の倍率 1.15、営業利益率 8.0%
- 新規事業・その他(スパンレース不織布、その他機械):数量 250(当社が手がける不織布・その他機械の需要(億円・実質、推定))× 価格 11.0%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 28 億円・営業利益 −1 億円。市場 250 億円 × シェア 10.0%、物価の倍率 1.10、営業利益率 -5.0%
倍率:10 年の悲観は稼ぐ力が消えるので、利益でなく資産で値を付ける。現金から有利子負債と前受金を引いた純現金と、設備の売却価値の税後を足した約 80 億円(今の自己資本の 0.22 倍)を床とした。ためた利益に床の倍率は掛けていない。
確率:機械の需要の落ち込みと新規事業の失敗が重なる深い筋書き。純現金と受注残が厚いため、確率は1割に満たない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
大人用おむつ製造機
大人用紙おむつ・パッドの製造ライン。高齢化で需要が伸び、追随できる競合が少ない分野。
| 数量当社が参加する大人用おむつ製造機の世界需要(億円・今の値段で測った実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 450 | 16.7% | 75 | 3 |
| 10 年後 中立 | 607 | 20.8% | 126 | 13 |
取り方:製品別売上は大人用機 75.2 億円(FISCO 2026-05)。市場規模の開示は無く、参加できる需要を約 450 億円(実質)、当社シェアを約 16.7% と置いた推定(売上からの逆算で、独立した裏づけではない)。営業利益は開示が無く、全体の営業利益 1.6 億円を、小児用の赤字と保守の黒字を踏まえて割り振った推定値 3.0 億円。
小児用おむつ・生理用ナプキン製造機
小児用おむつ(パンツ型・テープ型)と生理用ナプキンの製造ライン。中国メーカーの追い上げで価格競争が強い。
| 数量小児用おむつ・ナプキン製造機の需要(億円・実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,200 | 8.5% | 102 | −1 |
| 10 年後 中立 | 1,140 | 9.2% | 104 | 6 |
取り方:小児用機 68.9 億円とナプキン機 32.9 億円の合計 101.8 億円(FISCO)。需要を約 1,200 億円(実質)、シェアを約 8.5% と置いた推定(売上からの逆算)。営業利益は開示が無く、粗利率が 15.1% まで下がった26/02期の実態に合わせ約 -1.0 億円と割り振った推定。
部品・保守・改造
納入済みの製造機への部品供給、保守、改造、中古機の整備。景気に左右されにくい。
| 数量瑞光の機械が動く既設機への部品・保守の需要(億円・実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 400 | 6.1% | 25 | 3 |
| 10 年後 中立 | 500 | 8.5% | 42 | 6 |
取り方:部品・サービス売上 24.5 億円(前期比 -13%、FISCO)。需要を約 400 億円、シェアを約 6.1% と置いた推定。営業利益は保守の利益率を約 11% と見た推定値 2.7 億円。
新規事業・その他(スパンレース不織布、その他機械)
ユニチカから譲り受けたスパンレース不織布事業(2025年12月末、年売上約40億円)、その他機械、DELTA 社など。
| 数量当社が手がける不織布・その他機械の需要(億円・実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 300 | 3.4% | 10 | 0 |
| 10 年後 中立 | 360 | 26.0% | 94 | 8 |
取り方:その他機械 1.35 億円とその他 8.9 億円の合計約 10.2 億円(FISCO)。スパンレースは26/02期にはほぼ入っていない(2025年12月31日の取得)。需要を約 300 億円、シェアを約 3.4% と置いた推定。営業利益は約 -0.3 億円の推定。
リスクと懸念
顧客の設備投資の波
売上の72.5%が海外で、衛生用品メーカーの設備投資に従う。1ラインが数億円の案件で、受注の遅れが半期の損益を大きく振らす。2027年2月期の中間は営業赤字だった。
中国メーカーとの価格競争
小児用とナプキンの機械は、中国メーカーが低価格で追い上げ、粗利率は15.1%まで下がった。会社が見込む19.2%への回復が実現しない可能性がある。
新規事業の収益化
スパンレース不織布は譲り受けた事業で、素材は機械と顧客も競合も違う。80億円の売上目標と利益化が計画どおり進まなければ、投資が回収できない。
一過性利益の読み違い
2026年2月期の純利益19.7億円は、負ののれん益19.25億円などが大半。実力の利益は小さく、市場の期待を誤らせやすい。
為替と海外事業
海外売上が7割を超える。円高は円換算の売上を減らす。上海・イタリアの子会社は、地政学や規制の影響を受ける。
顧客の集中の変化
ユニ・チャームの比率は10%を下回ったが、特定の大口の発注が受注残の増減に響く構造は変わらない。
現金の使い道
現金134億円のうち前受金が31.6億円。成長投資に50〜70億円を使う計画で、還元が現金の厚みほど進まない可能性がある。
今後の分かれ目
- 2027年2月期の通期営業利益が計画の17.8億円を上回る見通しになったら
- 強気側に確率を移す。粗利率が19%台に戻ったかをあわせて点検する。
- 受注残が200億円を超えて積み上がり、下期の出荷が計画どおり進んだら
- 上海の出荷偏りの説明が裏づけられたとみて、中立の営業利益率を上げる。
- 粗利率が15%台のまま、2027年2月期の通期が営業赤字に近づいたら
- 悲観側に確率を移す。価格競争の構造化を疑う。
- スパンレース事業の売上が年40億円を超え、利益が黒字化したら
- 新規事業の利益率の前提を上げ、強気側に近づける。
- 自社株買いの追加や配当性向の引き上げが発表されたら
- 余った現金の戻る確度を上げ、価値を上方修正する。
- 円高が進み、海外売上の円換算が目減りしたら
- 数量の前提は変えず、価格の物価倍率を下げる。
見ておくもの
- 四半期ごとの受注高・受注残と、粗利率(15.1%から19.2%への回復)
- 2027年2月期の通期営業利益17.8億円の達成
- スパンレース不織布の売上と利益、80億円目標の進み
- 自社株買いと配当の方針、現金の使途
- 中国メーカーとの価格差と、小児用・ナプキンの受注単価
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。中立の自己資本利益率は5.1%で資本コスト8%を下回るため、PERの上限は資本コストの逆数の11.8倍で、受注の波を見て9割の10.6倍とした。今のPERがおよそ10倍であることには寄せていない(26/02期の純利益は一過性込みの19.7億円)。
売上は、会社の中期経営計画(2029年2月期に300億円)を鵜呑みにせず、市場×シェア×物価で積み上げた。10年後の売上366億円は、計画の延長ではなく、物価の1.3倍に、新規事業の増分を乗せた結果である。
悲観は稼ぐ力ではなく、現金から前受金などを引き、設備を割り引いた資産の床(95億円と80億円)で値を付けた。過去のPBRの底からは置いていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.6→12.89 倍・やや楽観 PER 11→12.5 倍・中立 PER 10.6→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。