結論
アマノは、タイムレコーダーと勤怠システムで知られる国内首位級の会社だ。いまの稼ぎ頭は駐車場で、機器の販売・保守から運営の受託まで手がけ、売上の半分強を占める。ほかに勤怠・入退室の情報システム、集塵機や清掃ロボットの環境事業を持つ。筆者の結論は「やや割安」である。保守と契約の収益が厚く、純現金が時価総額の 17% あり、利益の大半を株主に返す方針を会社自身が掲げているからだ。
2026 年 3 月期は売上 1,765 億円、営業利益 226 億円。前の期の新紙幣特需が剥がれて営業は 2% 減ったが、純利益は政策保有株の売却益で 201 億円に増えた。2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業利益が 18% 減っており、会社は下期の挽回を見込む。足もとは強い地合いではない。
成長の中身は地味だ。国内の駐車場と勤怠は成熟した市場で、数量は人口とともにほぼ横ばいに近い。伸びる所は、運営受託の車室、クラウドの勤怠、北米の駐車場、清掃ロボットといった周辺にある。中立の 10 年では売上が 1.6 倍ほどになるが、大半は物価の分である。
それでも値段は割高でない。中立でも自己資本利益率(ROE)は 15% 前後に上がり、還元が資本の膨らみを抑える。最悪の筋書きでも、10 年の配当と自社株買いを足せば、今の時価総額の 7 割近くは戻る。強気の筋書きに頼らず、中立で今の値段を超える点が、筆者がこの会社を評価する理由である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、アマノは「地味だが長持ちする」型の会社だ。勤怠の打刻と給与の紐づけ、駐車場の機器と運営の契約は、他社が簡単に壊せる堀ではないが、顧客が惰性で使い続ける性質がある。派手な成長はない。そのかわり、稼いだ利益が現金として残る。
オーナー利益はかなり大きい。設備投資は減価償却をやや上回る程度で、営業キャッシュフローの大半が自由に使える。純現金は 480 億円あり、事業に必要な分は運転資金と緊急用に絞られる。筆者がいちばん評価するのは、経営がこの余った現金を放置せず、還元の方針に落とした点だ。
資本配分で懸念が残るのは M&A である。会社は 200 億円を大型案件の待機資金に置き、時価総額 5,000 億円超を掲げる。買収で価値を壊した例は日本企業に多い。今のところ北米の駐車場会社は黒字になっており、規模は小さい。安全域は、純現金と還元の厚さが担っている。値段はこの余裕に見合っている。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は 3 つある。最大はパーキングシステムで、売上の 53% を占める。車番認識で出入りを管理するチケットレス機器や、料金を精算する機器を売り、その保守で毎年収益を得る。さらに子会社が駐車場の運営を受託し、管理する車室は約 80 万台に達する。海外では北米の駐車場機器会社と、韓国・香港の拠点を持つ。2026 年 3 月期は北米が新製品で通期の黒字になった。
二つ目は情報システムと時間管理機器で、売上の約 25% だ。就業管理のソフトとクラウド、入退室管理、タイムレコーダーを、法令に沿った勤怠管理の需要に合わせて売る。国内ではソフトの更新提案が効き、アマノ単体のソフトは 9% 近く伸びた。欧州ではフランスの会社を通じて展開する。
三つ目は環境関連で、売上の 22% である。工場の粉じんやミストを集める集塵機、粉体の空気輸送システムなどの環境システムと、清掃機器・清掃ロボットのクリーンシステムに分かれる。2026 年 7 月には AI とクラウドでエレベーターと連携する業務用ロボット掃除機を出した。報告上の利益は時間情報システムが 221 億円、環境関連が 49 億円で、本社費の 44 億円を引いて営業利益 226 億円になる。
優良さと弱いところ
アマノの強みは、一度入れた機器と契約が、長く収益を生み続ける点にある。勤怠システムは社員の打刻データと給与計算に結びつくので、取引先は簡単に乗り換えない。駐車場の機器は置いた後の保守とサプライが続き、運営受託は契約が数年単位で続く。
弱みも見ておく必要がある。勤怠はクラウド専業の会社が多く、価格の競争が厳しい。駐車場の機器は更新の波があり、2025 年 3 月期の新紙幣対応のような特需の翌年は反動で減る。2026 年 3 月期は、国内の機器が 11% 減り、保守も 20% 減った。ただし、この反動は一巡している。
資本効率は大きく上がった。過去 10 年の ROE は 9% 前後だったが、2026 年 3 月期は 14.7% になった。自己資本比率が 72% と厚いのに、総還元性向 85% 前後の還元と自社株の消却で資本を絞ったためだ。筆者は、この変化が一時のものでなく方針として定着するかを最も注視している。堀は普通で、強いとまでは言えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
アマノの市場は 4 つに分かれる。勤怠・人事の情報システムは、法令対応と働き方改革の流れで国内の需要が続く。一方、クラウド専業のサービスとの競争が激しく、アマノは機器と組み合わせた提案で差をつける。入退室や打刻の機器は、顧客がクラウドへ移るほど台数が減る。
駐車場は、国内の台数が増えない成熟市場だ。伸びるのは、人手不足で運営を外部に任せる動きと、機器のチケットレス化である。競合は日本信号などの機器メーカーと、パーク24 のような運営会社だ。運営会社は顧客でもあり、競合でもある。海外では北米と韓国が伸び、会社の計画も海外を成長の柱に置く。
環境システムは製造業の設備投資に左右される。集塵機は粉じん爆発の防止や作業環境の規制で、一定の需要が続く。清掃ロボットは清掃の人手不足を背景に、国内でソフトバンクロボティクスが 4 割強のシェアを握る。アマノは後発で、AI とクラウド連携で巻き返しを図る段階だ。
3 つに共通する変数は人手不足である。企業は人を雇えず、省力化と法令対応に投資する。これが勤怠の更新、駐車場の無人化、清掃の自動化を同時に押している。一方で、この需要を狙う新規の会社も増え、価格の競争は強まる。
資本政策と M&A
資本政策は明快だ。連結配当性向 60% 以上、総還元性向 70% 以上、純資産配当率の下限 2.5% を掲げ、2026 年 3 月期の総還元性向は 85% だった。2025 年 8 月には自己株式 555 万株(発行済みの 7.2%)を消却した。2026 年 2 月にも約 45 億円の自社株買いを実施している。
現預金は約 600 億円を維持し、超えた分は還元に回すと会社は明言している。内訳は M&A の備えが約 200 億円、運転資金が約 300 億円、緊急用が約 100 億円だ。3 年の営業キャッシュフロー約 660 億円のうち、設備に 15%、成長投資に 10% 以上、株主還元に 30% 以上を充てる。
M&A は積極に進める方針で、長期目標に時価総額 5,000 億円超を置く。北米と欧州には情報システムや駐車場の子会社を持つ。買収の失敗が最大の懸念である。政策保有株の縮減も進めており、2026 年 3 月期は売却益が出た。株主には第一生命や日本生命などの金融機関が並ぶ。他社から見た買収の対象にもなりうる規模で、会社自身も外部の資本を使った再編に開かれている。
(点検済み:2026年3月期の純利益201億円には政策保有株の売却益が入るが、10年の流れは事業別の利益から組んでいて起点に使っていない。余った現金200億円は会社が還元すると明言した分で、10年の還元は純利益の合計の範囲に収めてあり重ならない。株数は消却後。)
点検済み:中立の営業利益率13.8%は過去の山(13.1%)を0.7ポイント超えるが、第10次中期計画の目標(2029/03期に14%)より低く、前の第9次計画の目標(ROE10%超)を実際に上回った達成の実績がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
第 10 次中期経営計画は、2029 年 3 月期に売上 2,000 億円、営業利益 280 億円、営業利益率 14%、ROE 14% 超を掲げる。前の第 9 次計画で目標の ROE 10% 超を実際に上回っており、会社は掲げたことを達成してきた。2026 年 3 月期の ROE 14.7% は、すでに計画の水準にある。
勤怠は法令と働き方の変化で、更新の需要が毎年生まれる。ソフトは単体で 9% 近く伸び、クラウドも堅調だ。AI を使った人事の領域に広げれば、一人あたりの単価が上がる。駐車場は運営受託の車室が年 4% 増え、毎年の契約が積み上がる。北米の会社が黒字になり、規模が出れば利益率が上がる余地は大きい。
環境事業では、清掃ロボットが人手不足の最前線にある。エレベーターやセキュリティと連携する新機種は、大型のビルや病院で使いやすい。集塵機も半導体工場やデータセンター周辺の設備投資で新しい需要を得る。現預金 600 億円を超える分は還元されるので、成長がなくても 1 株の価値は積み上がる。
これらがそろえば、利益率は 16% 近くまで上がり、10 年で利益は 2 倍を超える。
慎重な見方
成長の源は物価にすぎない。国内の駐車場と勤怠は成熟市場で、数量は人口とともに頭打ちだ。会社の計画も売上の伸びは年 4% 強で、物価の 3% を引けば実質 1% 余りでしかない。しかも 2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業利益が 18% 減った。新製品の拡販が遅れており、計画の達成は下期の挽回に頼っている。
勤怠はクラウド専業との競争が厳しい。機器の打刻から手元のスマートフォンやクラウドへの移行が進めば、アマノの得意な機器と保守の収益は細る。駐車場も、機器の更新特需が終われば反動が来る。2026 年 3 月期は国内の機器が 11% 減り、保守は 20% 減った。次の更新の波までは、収益は平らな時期が続く。
清掃ロボットは国内で首位の会社が 4 割強を握り、後発のアマノが利益を出すまでは時間がかかる。集塵機は製造業の設備投資に左右され、海外は前年に 27% 減った。M&A への待機資金 200 億円は、使い方次第で価値を壊す。ROE の上昇は自社株買いによる見かけの面もあり、利益そのものの伸びは弱い。
どちらに重みを置いたか
成長が弱い点は慎重な見方が正しい。中立でも利益の伸びは物価並みで、強気の利益率 16% は実績の 13% を大きく超える。一方、還元と純現金の厚さは強気の見方に説得力がある。確率は中立を中心に置き、やや悲観にも 2 割を残した。構造的に負ける悲観は 8% とした。会社が掲げる利益率 14% は実績の 13% を超えるため、そのまま信じず、中立は 14% の手前に置いている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 7,800 円5,403 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,520 円1,746 億円)。 今の値に割り戻すと 5,994 円4,152 億円、今との差 +45.6%、 期待の年率 +9.6%(資本コスト 6.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 12,572 円8,709 億円 | 3,245 円2,248 億円 | +284.3% | +14.4% | 1,582 円1,096 億円 |
| やや楽観 | 25% | 10,435 円7,229 億円 | 2,871 円1,989 億円 | +223.3% | +12.5% | 3,327 円2,304 億円 |
| 中立 | 35% | 8,943 円6,195 億円 | 2,611 円1,809 億円 | +180.7% | +10.9% | 4,044 円2,801 億円 |
| やや悲観 | 22% | 3,301 円2,287 億円 | 2,090 円1,448 億円 | +31.0% | +2.7% | 1,186 円822 億円 |
| 悲観 | 8% | 964 円668 億円 | 1,298 円899 億円 | −45.0% | −5.8% | 181 円125 億円 |
| 加重平均 | 100% | 7,800 円5,403 億円 | 2,520 円1,746 億円 | +150.7% | +9.6% | 10,320 円7,149 億円 |
今の株価時価総額 4,116 円2,851 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 計画を上回り、AI と海外で収益構造が変わる 利益 375 億円 · PER 22.9 倍 · 株価時価総額 12,572 円8,709 億円
第 10 次中期計画の目標を前倒しで超え、売上は 3,200 億円規模、営業利益率は 16% に届く。勤怠は AI を使った人事の領域へ広がり、利用者あたりの単価が上がる。運営受託の車室は国内で増え続け、北米の駐車場会社は規模の経済で利益率が 2 桁になる。清掃ロボットは新機種が大型ビルに入り、集塵機は半導体やデータセンターの周辺投資を取り込む。会社は余った現金を M&A と還元で使い分け、買収もおおむね成功する。ROE は 20% 前後まで上がるが、新たな投資の稼ぎは時間とともに薄れるとみる。
- 情報システム・時間管理機器:数量 930(就業管理・入退室などの利用者数(万人、推定))× 価格 0.99(1 人あたりの年間売上(万円。ソフト・保守・機器の合計))→ 売上 925 億円・営業利益 305 億円。AI を使った人事領域と海外のソフトが伸びる、利用者 1.55 倍
- パーキングシステム:数量 500(売上に結びつく車室数(機器の設置・保守と運営受託の対象、万車室、推定))× 価格 3.16(1 車室あたりの年間売上(万円。機器・保守・運営受託の合計))→ 売上 1,581 億円・営業利益 182 億円。北米・韓国と運営受託が伸びる、車室 1.25 倍
- 環境関連システム:数量 2.5(環境システム・清掃機器の出荷台数(万台、推定))× 価格 269(1 台あたりの平均売上(万円。大型システムと保守を含む))→ 売上 672 億円・営業利益 91 億円。清掃ロボットと集塵機の需要が広がる、出荷 1.25 倍
倍率:事業の純利益 372 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.5% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 22.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 22.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)200 億円。全体の PER 22.86 倍、時価総額 8,708 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:勤怠の AI 化、北米の駐車場、清掃ロボットの 3 つが同時に立ち上がる必要があり、実現すれば大きいが確度は高くない。計画の達成実績は評価するが、10 年続く利益率 16% は過去の最高 13% を大きく超えるため、1 割にとどめた。
やや楽観 25% 計画どおり進み、利益率 15% に近づく 利益 322 億円 · PER 22.0 倍 · 株価時価総額 10,435 円7,229 億円
2029 年 3 月期に売上 2,000 億円、営業利益 280 億円という計画がほぼ実現し、その後も同じペースで進む。勤怠はクラウドへの移行を取り込み、機器の減少を補う。パーキングは運営受託の車室が増え、保守の収益が安定する。北米の黒字が定着し、環境事業も清掃ロボットの立ち上がりで増益になる。株主還元は総還元性向 80% 台で続き、自己資本は膨らまず ROE は 18% 近くになる。10 年で売上は 1.7 倍、営業利益は 1.9 倍となる。M&A は小粒で、買収の失敗もない。会社が掲げる目標に近い姿で、堀の評価は変わらない。
- 情報システム・時間管理機器:数量 852(就業管理・入退室などの利用者数(万人、推定))× 価格 0.98(1 人あたりの年間売上(万円。ソフト・保守・機器の合計))→ 売上 835 億円・営業利益 263 億円。クラウドへの移行が進み利用者 1.42 倍
- パーキングシステム:数量 480(売上に結びつく車室数(機器の設置・保守と運営受託の対象、万車室、推定))× 価格 3.12(1 車室あたりの年間売上(万円。機器・保守・運営受託の合計))→ 売上 1,495 億円・営業利益 157 億円。運営受託と北米で車室 1.20 倍
- 環境関連システム:数量 2.4(環境システム・清掃機器の出荷台数(万台、推定))× 価格 265(1 台あたりの平均売上(万円。大型システムと保守を含む))→ 売上 625 億円・営業利益 81 億円。省人化の需要で出荷 1.18 倍
倍率:事業の純利益 319 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.7% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 22.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 22.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)200 億円。全体の PER 22.02 倍、時価総額 7,229 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:第 9 次計画で ROE 目標を超えた実績があり、第 10 次計画の目標におおむね届く筋書きは十分に現実的。ただし第 1 四半期の営業利益は 18% 減っており、計画の達成は下期の挽回頼みのため、中立よりやや軽くした。
中立 35% 物価並みの成長で、利益率は 14% 弱に収まる 利益 284 億円 · PER 21.3 倍 · 株価時価総額 8,943 円6,195 億円
国内の駐車場と勤怠の数量はほぼ横ばいで、増える分は運営受託、クラウド、北米と清掃ロボットが補う。価格は物価並みに上がる。売上は 2,800 億円近くに増え、利益率は 13.8% と、過去最高の 13.1% をわずかに上回る。本社費は物価で増えるが、ソフトの比率が上がって吸収する。会社は総還元性向 80% を保ち、現預金を 600 億円前後に抑える。自己資本はあまり増えず ROE は 15% 前後になる。M&A は小粒にとどまり、現預金は還元に回る。運営受託の積み上げと保守が下支えし、勤怠はクラウドで機器の減少を補う。計画の営業利益率 14% には届かないが、実績の最高を上回る、無理のない姿である。
- 情報システム・時間管理機器:数量 780(就業管理・入退室などの利用者数(万人、推定))× 価格 0.98(1 人あたりの年間売上(万円。ソフト・保守・機器の合計))→ 売上 764 億円・営業利益 229 億円。利用者 1.30 倍、利益率 30%(推定)
- パーキングシステム:数量 460(売上に結びつく車室数(機器の設置・保守と運営受託の対象、万車室、推定))× 価格 3.12(1 車室あたりの年間売上(万円。機器・保守・運営受託の合計))→ 売上 1,433 億円・営業利益 143 億円。車室 1.15 倍、利益率 10%
- 環境関連システム:数量 2.2(環境システム・清掃機器の出荷台数(万台、推定))× 価格 265(1 台あたりの平均売上(万円。大型システムと保守を含む))→ 売上 583 億円・営業利益 72 億円。出荷 1.10 倍、利益率 12.4%
倍率:事業の純利益 281 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.2% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)200 億円。全体の PER 21.32 倍、時価総額 6,195 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内は成熟だが、保守・運営受託の積み上げと還元の実績が下支えする中心の筋書き。会社の計画は営業利益率 14% だが、実績の最高は 13.1% であり、その手前に置く確度が最も高いと判断した。
やや悲観 22% 価格競争と更新の端境期で、利益率は 10% 台前半 利益 186 億円 · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 3,301 円2,287 億円
勤怠はクラウド専業との価格競争で、アマノの単価の伸びが物価に届かない。機器の台数も減り、利益率は 26% に下がる。駐車場は更新の端境期が長引き、運営受託も競争で利益が薄い。北米の会社は黒字を保つが、規模は伸びない。環境は製造業の設備投資が弱い年が続き、清掃ロボットは先行会社に追いつけない。売上は 2,300 億円ほどで、営業利益率は 10.7% に下がる。還元は続くが、自己資本は膨らみ ROE は 10% 台になる。価格競争で利益の伸びが物価に届かず、ROE は資本コストを少し上回る程度にとどまる。優良さは静かに失われていく。
- 情報システム・時間管理機器:数量 660(就業管理・入退室などの利用者数(万人、推定))× 価格 0.94(1 人あたりの年間売上(万円。ソフト・保守・機器の合計))→ 売上 618 億円・営業利益 161 億円。価格競争で利用者 1.10 倍、単価も伸びず利益率 26%
- パーキングシステム:数量 408(売上に結びつく車室数(機器の設置・保守と運営受託の対象、万車室、推定))× 価格 2.98(1 車室あたりの年間売上(万円。機器・保守・運営受託の合計))→ 売上 1,214 億円・営業利益 97 億円。更新の端境期が長引き車室 1.02 倍、利益率 8%
- 環境関連システム:数量 1.9(環境システム・清掃機器の出荷台数(万台、推定))× 価格 253(1 台あたりの平均売上(万円。大型システムと保守を含む))→ 売上 481 億円・営業利益 48 億円。設備投資が弱く出荷は 0.95 倍、利益率 10%
倍率:ROE 10.6%。今の利益はそのまま残り、先で薄れるのは新しく投じるお金の稼ぎだけとみて、RONIC = k 6.5% + 残る割合 1/2 ×(10.6 − 7.25)= 8.9%、長期の成長率 g 3.75% から正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 16.6 倍。価格競争で単価が伸びず、利益の質は落ちる。上限の 7 割に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 11.62 倍・時価総額 2,287 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:クラウド専業の価格競争と駐車場の更新需要の端境期が重なる筋書き。国内成熟の事業でありうる姿で、2 割強の確率を置いた。第 1 四半期の不調は一時的か構造的か見極めがたく、やや重くした。
悲観 8% クラウドと運営大手に押され、事業が縮む 利益 76 億円 · PER 7.7 倍 · 株価時価総額 964 円668 億円
打刻から手元のスマートフォンとクラウドへの移行が進み、機器と保守の収益が大きく減る。勤怠の顧客はクラウド専業に流れ、アマノの利用者は 2 割減る。駐車場は国内で運営会社が機器の調達を絞り、北米・韓国の成長も止まる。環境事業は国内の製造業の空洞化で出荷が減る。売上は 1,700 億円を割り、営業利益率は 5.5% まで下がる。経営はコストを絞るが追いつかず、買収に使った資金が減損になる。ROE は資本コストを下回り、堀は意味を失う。国内では顧客の乗り換えが一気に進み、保守の契約も解約される。10 年後のアマノは、時計と駐車場の機器を売る小さな会社に戻る。
- 情報システム・時間管理機器:数量 480(就業管理・入退室などの利用者数(万人、推定))× 価格 0.84(1 人あたりの年間売上(万円。ソフト・保守・機器の合計))→ 売上 404 億円・営業利益 73 億円。クラウド専業にシェアを奪われ利用者 0.8 倍、利益率 18%
- パーキングシステム:数量 340(売上に結びつく車室数(機器の設置・保守と運営受託の対象、万車室、推定))× 価格 2.67(1 車室あたりの年間売上(万円。機器・保守・運営受託の合計))→ 売上 909 億円・営業利益 46 億円。運営会社と機器大手に押され車室 0.85 倍、利益率 5%
- 環境関連システム:数量 1.6(環境システム・清掃機器の出荷台数(万台、推定))× 価格 227(1 台あたりの平均売上(万円。大型システムと保守を含む))→ 売上 364 億円・営業利益 26 億円。製造業の空洞化で出荷 0.8 倍、利益率 7%
倍率:ROE 4.5% が k 6.5% 以下で、ためた利益は額面を下回る価値。PER は 1÷k = 13.8 倍が上限で、目減りは ROE÷k = 0.62 に比例するので、上限 × 0.62 × 0.9 で 7.7 倍になる。7.7 倍に置いた。やや悲観の 11.6 倍より低い。構造的に負けた筋書き。余った現金は別に足す。
確率:勤怠がクラウド専業にシェアを奪われ、駐車場も運営大手と機器大手に挟まれて同時に崩れる、構造的な負けの筋書き。複数の事業で同時に起きる必要があり、起きにくいが無視はできないので 8% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
情報システム・時間管理機器
就業管理ソフトとクラウド、入退室管理、タイムレコーダー。法令対応の更新と保守で収益が積み上がる事業。
| 数量就業管理・入退室などの利用者数(万人、推定) | 価格1 人あたりの年間売上(万円。ソフト・保守・機器の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 0.73 | 439 | 131 |
| 10 年後 中立 | 780 | 0.98 | 764 | 229 |
取り方:情報システム 416 億円と時間管理機器 23 億円の合計 439 億円を、顧客が使う就業管理の利用者(推定 600 万人)で割り、1 人あたり約 0.73 万円と置いた。利用者数は開示がない推定で、アマノ単体のソフトの増収やクラウド子会社の堅調さから、数量は年 2〜3% 伸びる前提を中立とした。価格は物価並みの 10 年 1.34 倍。セグメントの利益は時間情報システム全体で 221 億円と開示され、パーキングとの配分は推定(情報側 30%)。
パーキングシステム
駐車場の機器販売・保守・運営の受託。国内に加え、北米・韓国・香港で展開。
| 数量売上に結びつく車室数(機器の設置・保守と運営受託の対象、万車室、推定) | 価格1 車室あたりの年間売上(万円。機器・保守・運営受託の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 2.33 | 930 | 90 |
| 10 年後 中立 | 460 | 3.12 | 1,433 | 143 |
取り方:パーキングの売上 930 億円を、機器の設置・保守と運営受託(約 80 万車室)を含めた対象車室(推定 400 万車室)で割り、1 車室あたり約 2.3 万円と置いた。国内は成熟で数量は横ばいに近いが、運営受託の車室が年 4% 増え、北米・韓国が伸びるので、中立で 10 年 1.15 倍。価格は物価並み。利益は時間情報システム全体 221 億円から情報システム側の推定 131 億円を引いた約 90 億円(利益率 9.6%、推定)。
環境関連システム
集塵機・ミストコレクター・粉体空気輸送の環境システムと、清掃機器・清掃ロボットのクリーンシステム。
| 数量環境システム・清掃機器の出荷台数(万台、推定) | 価格1 台あたりの平均売上(万円。大型システムと保守を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2.0 | 198 | 395 | 49 |
| 10 年後 中立 | 2.2 | 265 | 583 | 72 |
取り方:環境関連の売上 395 億円を、集塵機・清掃機器などの年約 2.0 万台(推定)で割り、1 台あたり約 198 万円と置いた。大型の集塵システムは 1 件が数千万円、小型機は数十万円で、平均はその混ぜた値。数量は製造業の設備投資と清掃の省人化に沿って、中立で 10 年 1.10 倍。価格は物価並み。利益は開示された 49 億円(利益率 12.4%)。
リスクと懸念
新製品の拡販遅れと第 1 四半期の営業減益
2027 年 3 月期の第 1 四半期は、情報システムの一服とパーキング新商材の拡販遅れで営業利益が 18% 減った。通期計画は営業利益 240 億円で据え置かれたが、下期の挽回に頼る形で、未達になれば計画の信頼が揺らぐ。
勤怠のクラウド専業との競争
勤怠管理はクラウド専業の会社が多く、価格が下がりやすい。打刻機器を使わない方式が広がれば、機器と保守の収益が細る。単体のソフトは伸びているが、10 年先の単価と利用者の取り合いは読みにくい。
駐車場の更新サイクルと反動
2026 年 3 月期は新紙幣対応の特需の反動で、国内の機器が 11%、保守が 20% 減った。機器は更新の波で需要が決まり、特需と反動が繰り返す。運営受託は積み上がるが、利益率は機器より低い。
M&A の失敗
会社は M&A の備えとして約 200 億円を置き、時価総額 5,000 億円超を長期目標にする。買収で価値を壊す例は多く、規模の大きい案件ほど失敗の損も大きい。北米の駐車場会社の黒字化は一歩だが、規模はまだ小さい。
清掃ロボットの後発
国内の業務用清掃ロボットは、ソフトバンクロボティクスが 4 割強を持つ。アマノは 2026 年 7 月に AI とクラウド連携の新機種を出したが、先行会社に追いつくには時間と開発費がかかる。
還元の方針が変わる可能性
ROE の上昇は、総還元性向 85% 前後の還元と自社株の消却に支えられている。大型 M&A に資金を使えば、還元が絞られて ROE が元の 9% 台に戻る。方針の持続性は、経営の資本配分の判断に左右される。
今後の分かれ目
- 下期に営業利益が挽回し、通期の 240 億円を達成したら
- 中立と、やや楽観の確率を上げる。計画の実行力への評価を戻す。
- 第 2 四半期以降も営業利益が前年を下回り、計画を下方修正したら
- やや悲観の確率を上げる。新製品の遅れが一過性かを、受注の動きで確かめる。
- パーキングの国内機器と保守が反動を終えて増収に戻ったら
- 駐車場の利益率の前提を上げ、中立の利益率に近づける。
- 大型の M&A(数百億円)を公表したら
- 対象事業の利益率と買収額を見て、買収後の ROE が資本コストを超えるかで判断する。還元が絞られるなら、中立の ROE を下げる。
- 北米の駐車場の利益率が 2 桁に乗ったら
- やや楽観の筋書きの確率を上げる。
- 勤怠のクラウド契約の解約率が上がり、利用者が減り始めたら
- やや悲観・悲観の確率を上げ、情報システムの数量を下方修正する。
見ておくもの
- 四半期の営業利益と通期計画 240 億円の進捗
- パーキングの国内機器・保守の増減と運営受託の車室数
- 情報システムのソフト・クラウドの増収率と解約
- 総還元性向、現預金 600 億円の維持、M&A の公表
倍率と資本コストの決め方
セグメントごとに、利用者数・車室数・出荷台数の数量と物価並みの価格で 10 年の売上を積み、営業利益率から純利益を出した。倍率は正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)(k 6.5%、g 3.75%、残る割合 1/2)の 7〜9 割に置き、事業の質に応じて差をつけた。今の PER・PBR や過去の倍率は、倍率を決める根拠にしていない。今の時価総額と比べたのは最後である。今の株価で動かした数字はない。余った現金 200 億円は、時価総額を事業の利益 × PER と現金に分けて足した。リースは本社・営業所の賃借が中心で、重い固定費にはならないと見て、今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 18.9→22.86 倍・やや楽観 PER 16.98→22.02 倍・中立 PER 14.92→21.32 倍)。
資本コスト 6.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality −0.25% = 7.25%。第 1 四半期の不調や M&A の失敗の恐れは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.25% → 6.50%。