結論
フリージア・マクロスは、佐々木ベジ氏が率いるフリージアグループの上場会社の1つだ。名前は機械の会社だが、利益の9割は子会社ピコイの住宅の断熱・防水工事が稼ぐ。さらに技研ホールディングスやソレキアなど関連会社の持分から、営業利益に迫る投資益が入る。筆者の結論は、本質価値は今の時価総額の近くにあり、おおむね妥当だ。
数字だけ見ると安い。純利益17億円に対し時価総額は66億円で、利益の4倍に満たない。だがこの安さには理由がある。親会社が株の56%を握り、配当は利益の2%にも届かない。稼いだお金はグループの中で別の会社の株に回り、少数の株主の手には戻らない。
もう1つの重みは借金だ。有利子負債は107億円あり、金利が上がれば利払いが増える。借入には財務の制限の条件が付いている。
住宅の断熱は国の省エネの規制で需要が強く、事業そのものは悪くない。ただ稼ぎを株主に戻さない限り、利益の厚さは値段に乗りにくい。親会社の動き1つで評価が変わる株である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い事業を、使いにくい器に入れた」形だと筆者は見る。断熱工事は規制の追い風を受け、利益率も高い。オーナー利益、つまり再投資を引いて株主のものになる利益は、営業の稼ぎだけで年に8億円前後ある。
だが、オーナーとしてその利益を受け取れるかは別の問題だ。配当はほぼ無く、利益は親会社の判断で他社の株に回る。関連会社の投資益は帳簿の上の利益で、現金で戻る分は小さい。少数の株主は、経営の資本の配り方に口を出せない。
安全域は、利益に対する値段の低さだけを見れば厚い。だが借金があり、還元が無く、資本の使い道を決める人が別にいる。この3つを割り引くと、今の値段はおおむね本質価値の近くにある。筆者は、還元の方針が変わるか、親会社が少数株主から買い取る時に初めて、利益の厚さが値段に表れると見る。値段の安さの裏に、受け取れない利益がある。
何で稼ぐ会社か
事業は3つに分かれる。いちばん大きいのは住宅関連で、売上の7割と利益の9割を占める。中身は子会社ピコイの専門工事だ。新築の家の壁や屋根裏にウレタンの断熱材を吹き付け、ベランダの防水、地盤の改良、シロアリの予防を請け負う。ハウスメーカーや工務店が買い手である。ほかにログハウスやマンションも扱う。
2つめは製造供給だ。旧マクロスの機械に加え、食品の容器、自動車の部品、石油を掘る機械、電子部品などの小さな工場を傘下に持つ。売上は19億円弱で、利益はわずかしか出ない。
3つめは投資・流通サービスで、不動産の賃貸などから小さな利益を得る。
営業の外の稼ぎが大きいのがこの会社の特徴だ。技研ホールディングス(27.7%)、ソレキア(30.3%)、協和コンサルタンツ(48.5%)の持分の利益が、年に9億円前後入る。グループは株を買い集めて上場会社を傘下に入れてきた。その結果、会社の価値の半分近くは関連会社の持分が占める形になっている。
住宅関連の稼ぎは、新築の家1戸ごとの工事の積み重ねだ。全国の支店が地域の工務店やハウスメーカーの現場を回り、1件数十万円の仕事を年に数千件こなす。1件は小さいが、断熱材を吹き付ける機械と職人の段取りで利幅を取る。
優良さと弱いところ
優良さは事業と資本の使い方で評価が割れる。事業の側では、ピコイの断熱工事に強みがある。現場で吹き付ける断熱は職人の技が要り、全国に支店網を持つ専門業者は多くない。住宅関連の営業利益率は2割を超え、工事会社としては高い。
弱いのは値段の力だ。買い手は大手のハウスメーカーで、工事の値段は交渉で決まる。住宅の着工が減れば、仕事の量も値段も圧される。製造供給の小さな工場群には、目立つ強みは無い。
資本の使い方は、少数の株主から見ると評価しにくい。稼いだお金は配当にほとんど回らず、グループの方針で他社の株の買い集めに使われる。関連会社の利益は帳簿に入るが、現金で戻る分は少ない。借入には財務の制限の条件が付き、利益や純資産が落ちると返済を迫られる。親会社の意向が強く、少数の株主が経営に注文を付ける余地は小さい。少数の株主の目で見れば、ここがいちばんの弱みである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅の断熱工事は、規制が需要を押し上げる珍しい分野だ。2025年4月から、すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務になった。国は2030年までに、新築の標準をZEHと呼ぶ高い断熱の水準へ引き上げる方針だ。家1戸あたりの断熱材の量と工事の手間は増え、工事の単価は物価より速く上がる。
一方で、家を建てる数は減っていく。新築の持ち家は人口とともに細り、10年で1〜2割減るとの見方が多い。筆者は、1戸あたりの単価の上昇が戸数の減少をほぼ打ち消すと見る。古い家の断熱改修にも国の補助金が出ており、新築の減少を補う道もある。
競争の相手は、地域の断熱業者や、ハウスメーカーの系列の工事会社だ。吹き付けの断熱は人手が要り、職人の確保が勝負を分ける。人手不足は値段を上げる追い風だが、工事の量をこなす足かせにもなる。
製造供給の工場群は、それぞれ小さな市場で戦う。グループの外から見て、10年で大きく伸びる理由は見当たらない。
もう1つの変化は職人の高齢化だ。吹き付けの断熱や防水は資格と経験が要り、若い人が集まりにくい。人を育てて抱えられる業者だけが、増える仕事を取り込める。ピコイの支店網はこの点で有利に働く。
資本政策と M&A
還元はほとんど無い。2026年3月期の配当は1株60銭で、総額は3,000万円に届かない。純利益の2%にも満たず、自社株買いもしていない。
親会社のフリージアホールディングスが56%を持つ。グループは佐々木ベジ氏のもとで上場会社の株を買い集め、時にTOBも仕掛けてきた。この会社の利益も、技研ホールディングスやソレキアの株の買い増しに使われてきた。少数の株主から見れば、自分の取り分が別の会社の株に姿を変えていく形だ。
借入は107億円あり、その一部には純資産や投資有価証券の額に関する制限の条件が付く。親会社が少数の株主の株を買い取る道もありうるが、今その動きは無い。筆者は、グループの論理が少数の株主の利益より先に立つ会社と見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
数字の上では明らかに安い。純利益17億円に対して時価総額は66億円だ。住宅の断熱工事は、2025年の省エネ基準の義務化と、2030年のZEH水準への引き上げで需要が強まる。家1戸あたりの断熱材の量が増え、工事の単価は上がり続ける。ピコイは全国に支店を持つ数少ない専門業者で、その恩恵を真っ先に受ける。
関連会社の持分も価値がある。技研ホールディングス、ソレキア、協和コンサルタンツの利益は年に9億円前後入り、それぞれの会社も堅い事業を持つ。持分の時価を足すだけで、借金の多くは賄える。
親会社が少数の株主の株を買い取る道もある。佐々木ベジ氏のグループは過去に多くの会社を傘下に収めてきた。この会社を完全に子会社にする時には、利益に見合う値段が付く。還元が少ない今の形は、いつまでも続くとは限らない。
借金も怖がりすぎる必要は無い。営業の稼ぎと関連会社の配当で、利払いは十分に賄える。住宅関連の利益率は2割を超え、景気の谷でも黒字を保ってきた。
慎重な見方
利益が厚くても、株主に届かなければ意味が無い。配当は利益の2%に満たず、残りは親会社の判断で他社の株に回る。少数の株主は資本の使い道に口を出せない。この形が10年続けば、株主が受け取るのは帳簿の上の利益だけだ。
借金も重い。有利子負債は107億円で、金利が3.5%まで上がれば利払いは今の倍を超える。借入には純資産や投資有価証券の額の条件が付き、株価が下がる局面で返済を迫られる恐れがある。関連会社の株の値が崩れれば、条件に触れる。
住宅の着工は細っていく。断熱の単価が上がっても、家の数が2割減れば工事の量は減る。ハウスメーカーは自前の系列業者を育て、専門業者の値段を叩く。関連会社の利益も、それぞれの会社の業績で振れる。グループの中の取引は外から見えにくく、利益の質を確かめにくい。
関連会社の投資益に高い値を付けるのも危うい。帳簿の利益は増えても、現金で入るのは配当の分だけだ。関連会社が配当を絞れば、借金を返す原資も細る。
どちらに重みを置いたか
両方の言い分に重みがあり、確率は中立に厚く置いた。事業の強さは本物だが、還元が無く借金があるので、ためた利益の値打ちは額面を下回る。親会社による買い取りの芽は楽観の一部に含めたが、確率は大きくしなかった。少数の株主の取り分の効率が変わらない限り、値段は利益の厚さほどには上がらない。筆者は、還元の方針の変化を見るまで判断を急がない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 461 円207 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 9 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 224 円101 億円、今との差 +56.8%、 期待の年率 +12.6%(資本コスト 7.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 707 円318 億円 | 13 円6 億円 | +403.5% | +17.5% | 50 円23 億円 |
| やや楽観 | 20% | 632 円284 億円 | 11 円5 億円 | +349.8% | +16.2% | 129 円58 億円 |
| 中立 | 38% | 574 円259 億円 | 9 円4 億円 | +308.0% | +15.1% | 222 円100 億円 |
| やや悲観 | 23% | 265 円119 億円 | 7 円3 億円 | +90.3% | +6.6% | 63 円28 億円 |
| 悲観 | 12% | 44 円20 億円 | 4 円2 億円 | −66.0% | −10.2% | 6 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 461 円207 億円 | 9 円4 億円 | +228.1% | +12.6% | 469 円211 億円 |
今の株価時価総額 143 円64 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:断熱の単価が上がり、関連会社も育つ 利益 23 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 707 円318 億円
ZEHの水準が新築の標準になり、家1戸の断熱材の量は今の1.5倍近くに増える。古い家の断熱改修も補助金で広がり、ピコイの施工件数はむしろ増える。単価は物価より速く上がり、住宅関連の売上は80億円に届く。
関連会社の技研ホールディングスやソレキアも業績を伸ばし、持分の利益は年13億円に増える。借入は返済が進み、金利の上昇を吸収する。
純利益は23億円に達するが、配当は増えず、利益の多くは社内に残る。ためた利益の稼ぎは資本コストに届かないので、値段は利益ほどには上がらない。それでも今の時価総額の3倍を超える。
- 住宅関連(ピコイほか):数量 8,500(施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 0.01(1件あたりの工事の売上(億円・名目))→ 売上 81 億円・営業利益 18 億円。8,500件×95万円(断熱の量が増え物価より速い)
- 製造供給:数量 420(受注・出荷の件数(件・年、推定))× 価格 0.07(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。420件×700万円
- 投資・流通サービス:数量 3.0(賃貸する床(千平方メートル、推定))× 価格 0.65(千平方メートルあたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃料の値上げ
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 296 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:断熱の単価の上昇、改修の需要、関連会社の伸びがそろう道。親会社の買い取りの芽も含むが、時期は読めないので1割弱に置いた。
やや楽観 20% やや楽観:規制の追い風で単価が上がる 利益 20 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 632 円284 億円
新築の戸数は1割弱減るが、断熱の水準が上がり1戸の工事の単価は物価よりやや速く上がる。ピコイは支店網と職人の厚さで仕事を取りこぼさず、住宅関連の売上は70億円を超える。利益率は2割強を保つ。
関連会社の投資益は年11億円台に増え、営業の外の稼ぎも厚くなる。借入の金利は上がるが、利益の伸びがそれを上回る。
配当はわずかなまま、利益はグループの中で次の投資に回る。自己資本は倍に近づくが、少数の株主の手に届く分は小さい。
規制の追い風は本物で、事業の地力は10年後も保たれている。親会社の買い取りの話は出ないまま時が過ぎる。
- 住宅関連(ピコイほか):数量 7,900(施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 0.01(1件あたりの工事の売上(億円・名目))→ 売上 73 億円・営業利益 15 億円。7,900件×92万円
- 製造供給:数量 400(受注・出荷の件数(件・年、推定))× 価格 0.07(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。400件×680万円
- 投資・流通サービス:数量 3.0(賃貸する床(千平方メートル、推定))× 価格 0.63(千平方メートルあたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃料
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 253 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:省エネの義務化とZEHの引き上げは決まった方針で、単価の上昇は起こりやすい。戸数の減少を単価で補う道を2割に置いた。
中立 38% 中立:単価の上昇が戸数の減少を打ち消す 利益 17 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 574 円259 億円
新築の戸数は10年で1割ほど減る。だが省エネの規制で1戸の断熱の工事は手厚くなり、単価は物価より1割ほど速く上がる。住宅関連の売上は物価の分を含めて65億円前後、利益率は2割を保つ。
製造供給の工場群は物価並みに売上を伸ばすが、利益は小さいままだ。関連会社の投資益は年10億円前後で推移する。借入の金利が3.5%に上がり、利払いは今の2倍を超える。
配当は増えず、利益は社内とグループの投資に残る。自己資本は今の2倍近くまで膨らむが、その稼ぎの率は5%台に下がる。事業は健全だが、少数の株主にとっての値打ちはゆっくりとしか育たない。
- 住宅関連(ピコイほか):数量 7,300(施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 0.01(1件あたりの工事の売上(億円・名目))→ 売上 65 億円・営業利益 13 億円。7,300件×88.4万円(物価の1.34倍に断熱の上乗せ1.1倍)
- 製造供給:数量 380(受注・出荷の件数(件・年、推定))× 価格 0.07(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。380件×670万円(物価並み)
- 投資・流通サービス:数量 3.0(賃貸する床(千平方メートル、推定))× 価格 0.61(千平方メートルあたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃料は物価並み
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 216 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:戸数の減少と単価の上昇がほぼ打ち消し合う中心の見方。還元の形は変わらない前提で、最も厚く置いた。
やや悲観 23% やや悲観:着工が細り、利払いが重くなる 利益 10 億円 · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 265 円119 億円
住宅の着工が10年で2割以上減り、ハウスメーカーは自前の系列業者に断熱工事を回す。ピコイの件数は今の8割を切り、単価も物価に届かない。住宅関連の利益率は15%に下がる。
製造供給の工場群は利益がほぼ消える。関連会社の投資益も年8億円に細る。借入の金利が上がり、利払いは年4億円近くに膨らむ。
会社は借入の条件を守るため、関連会社の株の買い増しを止める。配当は今のままで、少数の株主の取り分は増えない。事業は黒字を保つが、稼ぎの率は資本コストの半分を下回る。
借金の重みが、事業の地力の低下を何倍にもして株主に返ってくる。財務の条件が経営の手足を縛り、攻めの投資もできなくなる。
- 住宅関連(ピコイほか):数量 6,300(施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 0.01(1件あたりの工事の売上(億円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 8 億円。6,300件×80万円(物価に届かない)
- 製造供給:数量 330(受注・出荷の件数(件・年、推定))× 価格 0.06(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。330件×630万円
- 投資・流通サービス:数量 3.0(賃貸する床(千平方メートル、推定))× 価格 0.57(千平方メートルあたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃料
倍率:ROE3.6%はkの4割。稼ぐ力から見てPERは1÷k=11.4倍の5.7割の6.5倍。借金の重みと財務の条件を見て、中立より下げた。EV÷営業利益は19倍。
確率:持ち家の着工が想定より速く減り、ハウスメーカーの系列業者に仕事を奪われる道。借金と財務の条件の重みを見て23%に置いた。
悲観 12% 悲観:関連会社の株が崩れ、借入の条件に触れる 利益 3 億円 · PER 6.0 倍 · 株価時価総額 44 円20 億円
住宅の着工が大きく落ち、ピコイの件数は今の3分の2に減る。断熱の単価も競争で上がらず、住宅関連の利益率は8%まで下がる。製造供給は赤字になる。
関連会社の業績も悪化し、持分の利益は年5億円に細る。株の値が崩れ、会社は関連会社の株に40億円の減損を入れる。借入の条件に触れ、銀行と返済の条件を見直す。利払いは年4億円を超える。
親会社はグループを守るために会社の資産を使い、少数の株主には何も戻らない。純利益はわずかで、借金を差し引くと株主の取り分の値打ちは小さい。
借金の多い会社が谷に入ると、株主の取り分は事業の価値以上に削られる。その形がそのまま現れる10年だ。
- 住宅関連(ピコイほか):数量 5,200(施工する住宅の件数(件・年、推定))× 価格 0.01(1件あたりの工事の売上(億円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 3 億円。5,200件×75万円
- 製造供給:数量 280(受注・出荷の件数(件・年、推定))× 価格 0.06(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。280件、赤字
- 投資・流通サービス:数量 3.0(賃貸する床(千平方メートル、推定))× 価格 0.50(千平方メートルあたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃料の下落
倍率:ROE1.6%で稼ぐ力は細い。PERはやや悲観より下の6.0倍。EVでも見た:時価総額+純負債89億円を営業利益2.9億円で割ると37倍で、事業の価値の大半は借金の返済に充たる。その残りが株主の取り分で、床の資産は借金の後にほとんど残らない。
確率:住宅の不振と関連会社の株安が重なり、財務の制限の条件に触れる道。グループの取引が見えにくい分も含め、12%に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住宅関連(ピコイほか)
新築住宅の断熱(ウレタン吹付)・防水・地盤改良・シロアリ予防の専門工事。ログハウス・マンションも少し。
| 数量施工する住宅の件数(件・年、推定) | 価格1件あたりの工事の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,100 | 0.01 | 49 | 11 |
| 10 年後 中立 | 7,300 | 0.01 | 65 | 13 |
取り方:有報の住宅関連の売上48.56億円を、断熱・防水・地盤などを合わせた1件あたり約60万円の工事とみて年8,100件と推定した。件数の開示は無い。
製造供給
旧マクロスの機械、食品容器、自動車部品、石油鑿井機、電子部品などの小さな工場群。
| 数量受注・出荷の件数(件・年、推定) | 価格1件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 376 | 0.05 | 19 | 1 |
| 10 年後 中立 | 380 | 0.07 | 25 | 1 |
取り方:有報の製造供給の売上18.81億円を、1件あたり約500万円の受注・出荷とみて年376件と推定した。
投資・流通サービス
不動産の賃貸など。
| 数量賃貸する床(千平方メートル、推定) | 価格千平方メートルあたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.0 | 0.45 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 0.61 | 2 | 1 |
取り方:有報の販売実績1.36億円を賃料とみて、千平方メートルあたり年0.45億円で3千平方メートルと推定した。
リスクと懸念
親会社の支配と還元の少なさ
フリージアホールディングスが56%を持ち、配当は利益の2%に満たない。稼いだお金は親会社の方針で他社の株の買い集めに使われる。少数の株主は資本の使い道に口を出せず、利益が値段に乗りにくい。
借金と財務の条件
有利子負債は107億円ある。金利が3.5%に上がると利払いは今の2倍を超える。借入の一部には純資産や投資有価証券の額の条件が付き、株安の局面で返済を迫られる恐れがある。
住宅着工の減少
利益の9割を占める断熱・防水工事は新築の家の数で決まる。持ち家の着工は人口とともに細る。単価の上昇が追いつかなければ、工事の量の減少がそのまま利益を削る。
関連会社の業績と株価
技研ホールディングス、ソレキア、協和コンサルタンツの持分の利益が、営業利益に迫る大きさで入る。各社の業績が振れれば、純利益も大きく振れる。株価が崩れれば減損も出る。
グループ内の取引
グループの会社どうしの売買や資金の貸し借りが多く、外から利益の質を確かめにくい。少数の株主に不利な取引が起きても、気づくのは後になりやすい。
今後の分かれ目
- 配当の大幅な引き上げや自社株買いを打ち出したら
- 戻り方を上げ、ためた利益の値打ちを見直す。利益の厚さが値段に表れ始める。
- 親会社が少数株主の株を買い取る提案をしたら
- 買い取りの値段と利益の倍率を見て評価する。楽観の筋書きに近い値になりうる。
- 新築の持ち家の着工が年5%を超えて減り続けたら
- やや悲観の確率を上げる。単価の上昇で補えるかを見る。
- 関連会社の株が大きく下がり、借入の条件に近づいたら
- 悲観の道に入ったと見る。返済の条件の見直しが出るかを確かめる。
- ZEHの義務化の前倒しや断熱改修の補助金の拡大が出たら
- 断熱の単価と件数の前提を上に見直す。
見ておくもの
- ピコイの売上と住宅関連の利益率
- 持分法の投資利益の推移
- 有利子負債と借入の条件
- 配当と自社株買いの方針
- 新築の持ち家の着工戸数
倍率と資本コストの決め方
売上は件数×1件の単価で積み、断熱の単価は規制で物価より少し速く上がると置いた。ROEはどの筋書きでもk7.75%を下回る(利益をほぼ配らず自己資本が膨らむため)ので、PERは1÷k=11.4倍を上限にその5〜9割で置いた。持分法の投資益は利益に残し、関連会社の株は別に足さない。今のPER4倍の安さからは置いていない。悲観のPBRが0.1倍と低いのは、107億円の借金を差し引いた株主の取り分が小さいためで、床の資産は借金の後にほとんど残らない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.9 倍・やや楽観 PER 9.3→12.9 倍・中立 PER 8.5→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に quality +1.25%を足した8.75%。親会社の支配と還元の少なさは k に足さず、戻り方0.5と倍率の上限(ROE が k 以下なので1÷k)で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 7.75%。