結論
オカダアイヨンは、ショベルの先に付けてコンクリートの建物を砕く圧砕機や、油圧ブレーカを作る会社だ。圧砕機の国内シェアは約5割で首位に立つ。筆者の結論は、10年で見れば今の値段はやや割高というものだ。
事業の質は悪くない。高度成長期に建った建物の解体は、これから長く続く。売って終わりでなく、補修部品や修理で稼ぐ収益も育っている。国内の利益率は高く、値上げを進める方針も明確だ。
引っかかるのは、資本の面だ。2026年3月期は本社や営業所の新築で投資がかさみ、純負債が119億円と前期の1.5倍になった。さらに、投資ファンドに新株予約権と転換社債を出しており、全部が行使されれば株数が2割余り増える。株主の取り分は薄まる。
足元の業績も力強くない。第1四半期は営業利益が3分の1減った。会社の中期計画は利益率10%を掲げるが、過去に10%に届いたのは一度だけだ。計画どおりなら評価は変わるが、筆者はそこまでは織り込まなかった。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、オカダアイヨンは「良い事業を、少し急いで広げている会社」と映る。圧砕機の国内首位、修理と補材の安定収益、値上げの姿勢は、評価できる。
懸念は、資本の使い方だ。ここ1年で、借入を増やして本社と営業所を新築し、さらに新株予約権で資金を募った。成長に賭ける姿勢は理解できるが、営業キャッシュフローはマイナスで、余裕のない動きに見える。投資の成果が数字に出るまで、判断は先送りしたい。
10年後に今より強くなっているかと問えば、国内は強く、海外は未知数だ。国内の解体需要と修理の収益は、堅い。海外で米国のシェアを倍にできれば、会社の質は変わる。ただ、価格競争の厳しい市場で、小さな会社が勝つには時間がかかる。
安全域は薄い。負債が増え、財務制限条項もある。希薄化の可能性も含めると、今の値段は事業の価値をやや上回る。筆者は、この会社を高く評価しつつも、今の値段では買わない。
何で稼ぐ会社か
主力は、建設機械の先端に付ける道具だ。圧砕機はコンクリートを挟んで砕き、鉄筋を切る。油圧ブレーカは岩やコンクリートを叩く。つかみ機は、解体した廃材を掴んで運ぶ。顧客は解体業者や建設会社、レンタル会社で、建機メーカーの純正品ではなく、専業メーカーの製品が選ばれる市場である。
売上の約8割は国内だ。圧砕機が国内売上の約半分を占め、補材・修理が2割近くある。補材とは、使うほど減る刃先などの消耗品である。ほかに、林業機械、ダムの工事で使うケーブルクレーン、輸入して売る大型の環境機械がある。
海外は売上の約2割で、北米が中心だ。海外売上の約8割は油圧ブレーカで、現地の子会社と代理店を通じて売る。欧州とアジアにも販売拠点がある。2022年に米国の事業を譲り受け、Okada Midwestを設立した。
開示は国内と海外、製品別の売上までで、利益は分かれない。4つに分けた数字は筆者の推定である。会社は「メンテナンス」の売上を、将来2割以上に高める目標を掲げている。
2026年3月期は、本社移転用の土地建物、北関東営業所、関西支店などに約39億円を投じた。生産と研修の施設にも投資する方針だ。
優良さと弱いところ
強みは、専業ゆえの深い製品群と国内の販売・修理網である。圧砕機の国内シェアは約5割。大割機、小割機、鉄骨カッターと用途別にそろい、現場の要望に合わせた改良が早い。壊れた時の修理と補材の供給が、買い替え時の選択に効く。
値決めの力は、国内では比較的強い。会社はプライシングの適正化を中期計画の柱に据え、原材料高の転嫁も進めている。もっとも、顧客は解体業者やレンタル会社で、公共工事や再開発の波を受ける。数量が景気に左右される点は避けられない。
弱みは、海外とバランスシートだ。海外は米国のブレーカのシェアが4〜5%にとどまり、利益も薄い。2026年3月期は北米のレンタル機の評価減と関税が響いた。営業キャッシュフローはマイナスで、設備投資は借入で賄った。純負債は自己資本の0.66倍に増えた。
資本効率は並みである。ROEは8%台で、資本コストをわずかに上回る程度。過去10年の営業利益率は6〜10%で、2024年3月期の10.0%が山だ。2010年3月期には大きな赤字に落ちた過去もある。
経営は近年、投資を積極化している。成果が出れば評価できるが、財務の余力は小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
解体の需要は、長く続く構造的な追い風である。戦後の高度成長期に建ったビルやマンション、公共施設が、順に寿命を迎える。都市の再開発やインフラの再整備も重なり、国内の解体工事は堅調だ。人手不足は、解体の機械化を後押しする。
ただし数量は、建物の解体件数に縛られる。災害復興の需要が一巡したことで、つかみ機は減った。圧砕機も大割機・小割機が減り、鉄骨カッターが補った。市場全体が大きく伸びるというより、高水準で安定する姿だ。
補材・修理の収益は、すでに国内の2割弱を占める。機械が増えるほど、消耗品と修理の需要が積み上がる。会社が掲げる「メンテナンス」の拡大は、景気の波を和らげる狙いがある。
海外は市場が大きい。北米では、レンタル会社が油圧ブレーカの主な買い手で、価格競争が厳しい。欧州にはドイツや北欧の大手が控える。オカダアイヨンのシェアは世界で3〜4%と小さく、伸ばせる余地は大きいが、勝つには販売網の整備が先に要る。関税は米国で売る輸入品の原価を押し上げる。
建機全体の動きも無視できない。中国の需要は停滞し、中国メーカーが新興国で低価格品を広げている。アタッチメントは純正品との競合も受ける。もっとも、解体用は用途が絞られ、専業メーカーが強い領域である。
資本政策と M&A
配当は「累進」、つまり減らさず増やす方針だ。2026年3月期も増配で、17期連続の増配が続く見通しだ。性向は4割ほど。自社株買いは見当たらない。2027年3月期から、中間と期末の年2回配当に変える。
資金の面で見るべきは、2025年12月に決めた投資ファンドとの提携だ。アドバンテッジパートナーズ系のファンドに、新株予約権付社債15億円と新株予約権を出した。転換価額と行使価額は、毎年4月に見直す仕組みで、下限も決まっている。全部が行使されれば、約22億円が入り、株数は約2割増える。使い道は海外の販売網、成長投資、M&Aだ。
この提携は、戦略づくりとM&A候補の発掘をファンドが支援する内容を含む。会社を売る際に優先して交渉する権利も、ファンドに与えている。株主にとっては、成長への後押しになる一方、希薄化と将来の売却のかたちに注意が要る。
M&Aは、2017年に南星機械などを取得し、2022年に米国事業を譲り受けた。今後も製品や供給網の強化に使う方針だ。TOBや買収の可能性は、当サイトの推定で10年に3割ほどある。
借入は、短期と長期ともに増えた。コミットメントラインには、純資産を前年度末の75%以上に保つ制限がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
解体需要は10年単位で続き、国内のシェア5割を使って値上げを進められる。会社はプライシングの適正化を柱に据え、実際に価格改定を通してきた。補材・修理の売上は機械の保有台数に応じて積み上がり、利益率が高い。メンテナンスの比率を2割に高める目標が達成されれば、利益の安定度が大きく増す。
海外は伸びしろが最大だ。世界のブレーカのシェアは3〜4%にすぎず、欧州と北米の販売網を整えれば、数量は倍以上になりうる。ファンドの支援でM&Aの候補を見つけ、販売網や製品ラインを買えば、拡大は早まる。調達する22億円が、そのための弾薬になる。
財務も改善する。新株予約権が行使されれば、現金が入り、転換社債が株に変わって負債が減る。本社と営業所の投資は終わりに近づき、減価償却を除けば追加の負担は軽い。営業キャッシュフローは、仕入債務の調整が一巡して戻る。
会社の長期目標は、2031年3月期に売上400億円、営業利益40〜50億円だ。国内の堅調と海外の拡大で、これが射程に入る。利益率が10%を超え、ROEが資本コストを上回れば、評価は一段上がる。
慎重な見方
第1四半期は、営業利益が3分の1減った。会社は通期予想を据え置いたが、国内の解体需要が高水準で頭打ちになりつつある。災害復興の需要は一巡し、つかみ機は減った。圧砕機の大割機・小割機も減少が続く。
海外は、北米のレンタル機の評価減と関税で減益だった。レンタル会社が買い手の市場では、価格競争が厳しい。ドイツや北欧の大手が先行し、世界シェア3〜4%の会社が割って入るのは難しい。M&Aで広げようにも、買収後の統合は小さな会社には重い。
財務の余力は乏しい。純負債は119億円に増え、営業キャッシュフローはマイナスだった。コミットメントラインには財務制限条項があり、赤字が重なれば資金調達に響く。さらに、ファンドの新株予約権と転換社債が行使されれば、株数が2割余り増え、既存の株主の取り分は薄まる。
利益率の目標も高すぎる。会社は10%を掲げるが、過去に届いたのは2024年3月期の一度だけだ。再開発や解体が減速した時、固定費の重い投資が裏目に出る。
どちらに重みを置いたか
国内の事業の強さは、強気の言い分が正しい。圧砕機の首位と修理収益は、簡単には崩れない。一方で、海外の弱さと、借入の増加、希薄化の可能性は、慎重な見方が当たっている。
中立は、国内の解体を数量横ばいで値上げに頼り、補材・修理と海外で伸びる形にした。ファンドの新株予約権は、中立以上の筋書きで行使される前提で、株主の取り分を2割弱減らした。確率は、財務の余力の薄さと景気循環を重く見て、悲観の側をやや厚くした。その結果、値段には安全域がなく、やや割高に出た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,826 円228 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 780 円63 億円)。 今の値に割り戻すと 1,877 円151 億円、今との差 −1.0%、 期待の年率 +6.6%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 5,581 円450 億円 | 1,111 円90 億円 | +253.0% | +13.4% | 602 円49 億円 |
| やや楽観 | 21% | 4,052 円326 億円 | 945 円76 億円 | +163.5% | +10.2% | 1,049 円85 億円 |
| 中立 | 38% | 3,037 円245 億円 | 810 円65 億円 | +102.9% | +7.3% | 1,462 円118 億円 |
| やや悲観 | 22% | 1,053 円85 億円 | 648 円52 億円 | −10.3% | −1.1% | 374 円30 億円 |
| 悲観 | 10% | 869 円70 億円 | 313 円25 億円 | −37.7% | −4.6% | 118 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,826 円228 億円 | 780 円63 億円 | +90.2% | +6.6% | 3,606 円291 億円 |
今の株価時価総額 1,896 円153 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 9% 国内の値上げと海外の拡大が同時に進む 利益 38 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 5,581 円450 億円
解体需要は高水準で続き、国内は数量が1割増える。圧砕機の首位を使って価格改定を通し、1台あたりの単価は物価を上回って上がる。補材・修理の売上は保有台数に応じて1.5倍に増え、国内の利益を支える。
海外は、ファンドの支援で販売網とM&Aが進み、数量が2.5倍になる。北米のブレーカのシェアは倍近くに上がり、現地での規模の利益が出始める。全社の売上は550億円台、営業利益率は10%を超える。
ファンドの新株予約権は株価が行使価額を上回るため、全部が行使・転換され、株数は2割余り増える。入った資金は海外とM&Aに使われ、負債も軽くなる。希薄化を差し引いても、1株の価値は上がる。会社の長期目標に近い姿である。
10年後には、国内で修理と補材の収益が厚みを増し、海外が第二の柱として育っている。
- 国内の解体用アタッチメント:数量 5.2(台数換算(千台、概算))× 価格 399(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 208 億円・営業利益 27 億円。数量1割増・値上げが物価超え
- 国内の補材・修理:数量 23.4(件数換算(千件、概算))× 価格 29(1件あたり単価(万円、概算))→ 売上 69 億円・営業利益 12 億円。補材・修理が1.5倍
- 国内の林業・環境・ケーブルクレーン等:数量 1.0(台数換算(千台、概算))× 価格 588(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 58 億円・営業利益 4 億円。林業・環境は数量横ばい
- 海外(北米・欧州・アジア):数量 13.2(台数換算(千台、概算))× 価格 164(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 217 億円・営業利益 17 億円。海外が2.5倍
倍率:事業の純利益 38 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍。全体の PER 14.73 倍、時価総額 552 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内で値上げが通り、海外が2.5倍に伸びて利益率が10%を超える筋書き。会社の長期目標に近いが、過去に10%へ届いたのは一度だけなので、1割弱にとどめた。
やや楽観 21% 国内は堅調で海外が倍に増える 利益 30 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 4,052 円326 億円
国内の数量は5%ほど増え、単価は物価をわずかに上回る。補材・修理は4割増で、景気の波を和らげる役目を果たす。
海外は2倍強に増える。北米のレンタル機の評価減は一巡し、関税は価格に転嫁される。ブレーカは利益率が一桁後半まで戻る。営業利益率は10%に近づき、過去の山と並ぶ。
ファンドの新株予約権は行使され、株数が2割余り増える。調達した資金は設備と海外の販売網に使われる。
国内は強く、海外は着実に育つ。会社の計画に沿った10年である。
解体の需要は人手不足で機械化が進むため、数量は伸びなくても単価で支えられる。レンタル会社の買い替えも、価格改定を受け入れる形で進む。投資が先行した本社と営業所の償却費は、売上の増加で吸収され、利益率の足を引かなくなる。
- 国内の解体用アタッチメント:数量 5.0(台数換算(千台、概算))× 価格 390(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 194 億円・営業利益 24 億円。数量5%増
- 国内の補材・修理:数量 21.8(件数換算(千件、概算))× 価格 29(1件あたり単価(万円、概算))→ 売上 63 億円・営業利益 11 億円。補材・修理が4割増
- 国内の林業・環境・ケーブルクレーン等:数量 1.0(台数換算(千台、概算))× 価格 575(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 55 億円・営業利益 3 億円。林業・環境は数量横ばい
- 海外(北米・欧州・アジア):数量 11.1(台数換算(千台、概算))× 価格 161(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 178 億円・営業利益 12 億円。海外が2倍強
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.55 倍、時価総額 401 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内は数量が小幅に増え、値上げは物価をやや上回る。海外が倍に増える筋書き。中期計画「Onyx」の達成に近い姿で、2割強を置いた。
中立 38% 国内は横ばいで補材と海外が伸びる 利益 23 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 3,037 円245 億円
国内の解体需要は高水準で横ばい。圧砕機の数量は変わらず、価格は物価並みに上がる。補材・修理は3割増で、利益率が相対的に高い。
海外は2.4倍に増える。ただし売上の伸びほど利益は伸びず、海外の営業利益率は5%にとどまる。営業利益率は全社で8%台で、過去の山を超えない。
ファンドの新株予約権は、株価が行使価額を上回って行使される。株数は2割余り増え、既存の株主の取り分は8割ほどに減る。負債は返済が進み、財務の余力はやや戻る。
会社の長期目標の営業利益率10%には届かない。それでも、10年で利益はおよそ1.6倍に増え、配当も続く。
- 国内の解体用アタッチメント:数量 4.7(台数換算(千台、概算))× 価格 382(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 181 億円・営業利益 21 億円。数量横ばい・価格は物価並み
- 国内の補材・修理:数量 20.3(件数換算(千件、概算))× 価格 28(1件あたり単価(万円、概算))→ 売上 57 億円・営業利益 9 億円。補材・修理が3割増
- 国内の林業・環境・ケーブルクレーン等:数量 0.9(台数換算(千台、概算))× 価格 575(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 52 億円・営業利益 2 億円。林業・環境は数量横ばい
- 海外(北米・欧州・アジア):数量 9.5(台数換算(千台、概算))× 価格 161(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 153 億円・営業利益 8 億円。海外が2.4倍
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 301 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の数量は横ばい、価格は物価並み、補材・修理と海外が伸びる最も普通の姿として4割弱を置いた。ファンドの新株予約権は、この筋書きでも行使される前提とした。
やや悲観 22% 国内の需要が弱まり海外も伸び悩む 利益 11 億円 · PER 6.8 倍 · 株価時価総額 1,053 円85 億円
再開発と公共投資が減速し、国内の数量が1割減る。災害復興の需要が一巡した後の落ち込みで、つかみ機と大割機・小割機が減る。価格改定は進まず、物価に追いつかない。
海外は北米の価格競争と関税に押され、数量は3割増にとどまる。利益はほとんど出ない。営業利益率は4%台に落ち、2010年代前半の水準に近い。
株価が行使価額を下回れば、ファンドは新株予約権を行使せず、転換社債も株に変わらない。資金が入らず、負債は残る。投資の回収が遅れ、財務制限条項が意識される。
会社は配当を維持しようとするが、増配の記録は止まる。事業の稼ぐ力が弱まる10年である。
- 国内の解体用アタッチメント:数量 4.3(台数換算(千台、概算))× 価格 365(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 156 億円・営業利益 13 億円。数量1割減・転嫁の遅れ
- 国内の補材・修理:数量 17.2(件数換算(千件、概算))× 価格 27(1件あたり単価(万円、概算))→ 売上 46 億円・営業利益 6 億円。補材・修理は微増
- 国内の林業・環境・ケーブルクレーン等:数量 0.8(台数換算(千台、概算))× 価格 549(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 42 億円・営業利益 1 億円。林業・環境は数量1割強減
- 海外(北米・欧州・アジア):数量 6.9(台数換算(千台、概算))× 価格 150(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 103 億円・営業利益 3 億円。海外は3割増にとどまる
倍率:ROE 4.3%は資本コスト 7.75% を下回る。式の正当化 PER は 8.6 倍。景気の谷が長引く筋書きで、やや弱気は 6.8 倍に置いた。株数は増えない。
確率:国内の解体が1割減り、価格転嫁が遅れる。海外は伸びが鈍い筋書き。第1四半期の営業利益の減少が示す方向でもあり、2割強を置いた。ファンドの新株予約権は行使されない。
悲観 10% 需要の谷と財務の悪化が重なる 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 869 円70 億円
再開発と公共投資が大きく縮み、国内の数量が2割強減る。価格は物価の半分ほどしか上がらない。固定費の重い新設の施設が、償却費として利益を削る。
海外は北米の景気後退と関税で伸びず、営業利益は赤字になる。林業と環境の機械も、受注が細る。営業利益は2億円ほどまで落ち、利子の負担で純損益は赤字になる。
財務制限条項に触れ、追加の借入が難しくなる。投資は止まり、配当も減る。ファンドの新株予約権は行使されず、資金は入らない。
それでも、国内の首位の地位と修理の収益、土地・建物の資産が下値を支える。事業の稼ぐ力ではなく、売れる資産で価値を測る局面である。
- 国内の解体用アタッチメント:数量 3.6(台数換算(千台、概算))× 価格 342(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 122 億円・営業利益 5 億円。数量2割強減・値上げ通らず
- 国内の補材・修理:数量 14.0(件数換算(千件、概算))× 価格 25(1件あたり単価(万円、概算))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円。補材・修理は減
- 国内の林業・環境・ケーブルクレーン等:数量 0.6(台数換算(千台、概算))× 価格 515(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 32 億円・営業利益 −1 億円。林業・環境は数量3割減
- 海外(北米・欧州・アジア):数量 4.7(台数換算(千台、概算))× 価格 138(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 65 億円・営業利益 −1 億円。海外は赤字
倍率:事業の稼ぐ力はほぼ無く(純損益は赤字)、帳簿の自己資本でなく売れる資産で測る。今の自己資本 181 億円に 0.39 倍を掛けた 70 億円。借金が重く、EV(時価総額+純負債 119 億円)で見ても営業利益に対して高い倍率になるため、利益の倍率では測らず、売れる資産から負債を引いた残りで見た。EV ÷ 営業利益は約 82 倍で、利益の薄い谷の値であり、割安とは言えない。
確率:解体の需要が大きく落ち、借入の重さが利益を圧迫する筋書き。2010年3月期の赤字の再来を考え、1割を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内の解体用アタッチメント
圧砕機・油圧ブレーカ・つかみ機など、建物の解体に使う建機の先端部品。
| 数量台数換算(千台、概算) | 価格1台あたり単価(万円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.7 | 285 | 135 | 16 |
| 10 年後 中立 | 4.7 | 382 | 181 | 21 |
取り方:国内の解体環境機械の売上135.2億円(圧砕機94.8億円、ブレーカ9.3億円、つかみ機13.0億円ほか)。1台あたり約285万円の平均で台数換算(概算)。利益は開示がなく筆者の配分で、営業利益率は約12%と推定。
国内の補材・修理
圧砕機などの消耗品(刃先など)と修理の売上。
| 数量件数換算(千件、概算) | 価格1件あたり単価(万円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 15.6 | 21 | 33 | 6 |
| 10 年後 中立 | 20.3 | 28 | 57 | 9 |
取り方:補材・修理の売上32.8億円。1件あたり約21万円で件数換算(概算)。利益は筆者の配分で、営業利益率は約17%と推定。
国内の林業・環境・ケーブルクレーン等
林業機械、ダムなどで使うケーブルクレーン、輸入して売る大型の環境機械。
| 数量台数換算(千台、概算) | 価格1台あたり単価(万円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.9 | 429 | 39 | 2 |
| 10 年後 中立 | 0.9 | 575 | 52 | 2 |
取り方:林業機械17.0億円、大型環境機械6.9億円、ケーブルクレーン13.0億円、その他1.7億円の合計。1台あたり約430万円の平均で台数換算(概算)。利益は筆者の配分で、営業利益率は約4%と推定。
海外(北米・欧州・アジア)
油圧ブレーカが中心(海外売上の約8割)。北米が約7割。
| 数量台数換算(千台、概算) | 価格1台あたり単価(万円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5.3 | 120 | 63 | 2 |
| 10 年後 中立 | 9.5 | 161 | 153 | 8 |
取り方:海外売上63.3億円(北米42.4億円、欧州11.1億円、アジア6.9億円ほか)。1台あたり約120万円で台数換算(概算)。利益は筆者の配分で、営業利益率は約3.5%と推定。北米のレンタル機評価減と関税で減益だった。
リスクと懸念
国内の解体需要の頭打ち
災害復興の需要が一巡し、つかみ機は減った。圧砕機も大割機・小割機が減っている。再開発や公共投資が減速すれば、国内の数量が落ちる。国内は売上の約8割で、影響が全体に及ぶ。
財務の余力の薄さ
純負債は119億円に増え、営業キャッシュフローはマイナスだった。コミットメントラインには、純資産と経常損益に関する制限がある。業績が悪化すれば、調達が難しくなる恐れがある。
新株予約権・転換社債による希薄化
投資ファンドに出した新株予約権と転換社債が全部行使されれば、約184万株が増え、株数は2割余り増える。株価が上がるほど行使されやすく、既存の株主の取り分は薄まる。優先交渉権も付いており、将来の売却の形に影響しうる。
海外の価格競争と関税
北米はレンタル会社が買い手で価格競争が厳しい。関税は輸入品の原価を押し上げ、2026年3月期は海外が減益になった。世界シェア3〜4%の会社が販売網を広げるには、時間と費用がかかる。
大型投資の回収
本社移転用の土地建物、北関東営業所、関西支店、生産・研修施設と、投資が続く。建築費の上昇で、更新の資金も膨らむ。新設の償却費が先に出て、売上の増加が追いつかなければ、利益率を圧迫する。
原材料高と転嫁の遅れ
鋼材などの値上がりを価格に転嫁するには時間差がある。価格改定は中期計画の柱だが、競合や顧客の抵抗で思うように進まない局面がある。仕入先への依存も有報のリスクに挙がる。
特許訴訟と製造物責任
林業機械のハイブリッドバケットの一部仕様について、特許侵害の訴訟を提起されている。結果次第で費用が出る。解体機械は事故の危険があり、製造物責任の保険で全額が補えるとは限らない。
今後の分かれ目
- 国内でプライシングの適正化が進み、利益率が10%に近づく
- 中期計画「Onyx」が実現する方向に進み、強気の筋書きの確率が上がる。
- 補材・修理の売上が国内の2割を超える
- 景気の波が和らぎ、利益の安定度が増す。国内の評価を引き上げる材料になる。
- 株価が行使価額を上回り、ファンドが行使・転換する
- 会社に現金が入り、負債が減るが、株数が2割余り増える。1株の取り分は薄まる。
- 米国のブレーカのシェアが伸びる、または海外のM&Aが成功する
- 海外の数量が増え、全社の利益率が上がる。海外比率30%の目標が射程に入る。
- 財務制限条項に近づく
- 追加の借入が難しくなり、投資を絞る。悲観の筋書きに近づく。
- 再開発や公共投資が減速する
- 国内の数量が落ち、固定費が重くなる。やや悲観の筋書きの確率が上がる。
見ておくもの
- 国内のプライシングと営業利益率(8.8%が目標)
- 補材・修理の売上比率
- 純負債と営業キャッシュフロー
- ファンドの行使・転換の状況
- 北米のブレーカのシェアと関税の影響
- 新規のM&Aの発表
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。資本コストは基本7.5%に品質の上乗せ0.75%を足した8.25%。成長4%とROEから正当化PERを求め、中立は上限の8.5割に置いた。今の株価やPERは使っていない。ROEが資本コストを下回る筋書きでは、検査の上限1÷kに従った。悲観の床は、過去のPBRの底ではなく、売れる資産の見立てから出した。新株予約権と転換社債は、株価が行使価額を上回る筋書きでだけ行使されるとし、会社全体の数字に取り分の係数を掛けた。結果はやや割高だが、今の株価に寄せたのではなく、財務の余力の薄さと希薄化が主因である。会計基準の形は、今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.22→14.73 倍・やや楽観 PER 10.83→13.55 倍・中立 PER 9.56→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.75% を足して 8.25%。事業が傾いている様子はなく extra は 0。ファンドとの提携による希薄化は k に足さず、取り分の係数と筋書きで表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.75%。