結論
平和は、いまやゴルフ場の会社である。パチンコ・パチスロの老舗だが、2026 年 3 月期の売上の 9 割、営業利益はゴルフ場だけで全体を上回った。全国 321 のコースを運営し、年 2,170 万人が訪れる。
筆者の結論は割高だ。いちばんの理由は借金である。アコーディア・ゴルフの買収で、純有利子負債は 5,500 億円ほどに膨らんだ。時価総額の 2.7 倍にあたる。事業の稼ぐ力は本物でも、利息と返済のあとに株主へ残る分は薄い。
遊技機は出番が小さい。販売台数は業界全体の 4% 台で、2026 年 3 月期の営業利益は 7 億円だった。中期経営計画が掲げる 210 億円は、まだ遠い。
ゴルフ場は堅い商売だが、成長産業ではない。ゴルフ人口は 30 年で 3 分の 1 に減った。コースが減れば客は残った大手に集まるが、その分は単価を物価並みに上げられるかで決まる。
金利が上がる 10 年は、利益の伸びを利息が食う。筆者は、計画どおりに進む強気の姿でも、価値は今の値段の 3 割台の上乗せにとどまるとみる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の問題は事業の質より、払う値段と借金の重さにある。
ゴルフ場は、10 年後も残る事業だ。コースは簡単に作れず、立地という資産が残る。最大手の規模もある。ここは評価できる。
だが、オーナーの手元に残る利益は薄い。営業利益のうち約 100 億円が利息に消え、設備の維持と更新にも大きな額が出ていく。計画どおりに進んでも、自己資本利益率は 11% 台にとどまる。
資本の配分は、買収に全力を注いだ形だ。買値は借金込みで、アコーディア分の EBITDA のおよそ 12 倍にあたると筆者は試算する。しかも遊技機は、計画の営業利益 210 億円に対して実績が 7 億円まで落ちた。
安全域は無い。営業利益が 1 割減ると、利息のあとの利益は 1 割台半ば減る。筆者は、この会社を買うなら、借金が目に見えて減ってからで遅くないと考える。
何で稼ぐ会社か
平和の事業は 2 つに分かれる。ゴルフ場の運営と、パチンコ・パチスロの製造販売だ。
ゴルフ場は 2011 年度にPGMを取得して始めた。2024 年度には、米フォートレスが持つアコーディア・ゴルフの親会社を、借金込みで 5,100 億円で買った。PGM が 148 場、アコーディアが 173 場。合わせて 321 場で、保有するコース数では世界最多とされる。2 社は統合せず、別々のブランドで運営している。
稼ぎ方は単純だ。来場者 1 人ごとのプレー代に、カート・食事・物販・ホテルの収入が乗る。2026 年 3 月期の来場者は 2,170 万人、客単価は約 1 万円だった。コースは人手と芝の管理に費用が掛かる固定費型だ。客が減ると利益率は急に落ち、客が増えると急に上がる。
遊技機は、新台をパチンコホールに売る商売である。ヒット機種が出れば台数が跳ね、外れれば急に減る。2026 年 3 月期の販売は、パチンコとパチスロが各 3 万台強。前の期から売上は 4 割減った。2027 年 3 月期は合計 9.1 万台を計画する。
2026 年 10 月には持株会社に移る。上場会社は「平和ホールディングス」となり、遊技機は新会社の平和が引き継ぐ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、規模と地域への集中にある。ただし、深い堀ではない。
321 場、年 2,170 万人という規模は、全国の延べ利用者の 4 分の 1 前後にあたる。関東・甲信越に 131 場、関西に 73 場が集まる。予約サイトの一本化や、肥料・食材の集中購買で、小さな運営会社にはない費用の優位が出る。
それでも客はコースを選べる。全国のコースは 2,000 を超え、会員制をやめてビジターを呼び込む競合も多い。高級路線の GRAND からカジュアル路線まで、客層を広げる戦略は筋が良い。だが値上げは、客が許す範囲にしか通らない。
資本の効率は低い。2026 年 3 月期の自己資本利益率は 4.7% だった。中期経営計画の目標は 11% 台だが、借金で買った資産は、金利が上がると利益率を下げる。
遊技機の堀は薄い。SANKYO グループがパチンコの約 3 割を握り、平和は 4% 台にとどまる。ヒット機種の当たり外れが、業績をそのまま動かす。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゴルフ場業界は、人が減りながら、残った人がよく回る構造だ。
レジャー白書によると、ゴルフの参加人口は 2024 年に 480 万人。1994 年の 1,450 万人から 3 分の 1 に減った。団塊の世代が 75 歳を超え、引退するゴルファーが増える。ただ、延べ来場者は 2025 年度も前年とほぼ同じだった。日本ゴルフ場経営者協会の集計で、約 8,750 万人にあたる。
コースは約 2,200。人手不足と芝の管理費で、小さな会員制コースは苦しい。閉鎖が進めば、客は大手に移る。平和はアコーディアを合算した比較で、来場者が 2.4% 増え、客単価が 1.9% 上がった。外国人客は 27.5 万人と過去最多だが、9 割は韓国の客だ。
遊技機は縮む市場である。2025 年の新台は、パチンコ約 87 万台、パチスロ約 66 万台。パチンコは SANKYO グループが約 3 割を取る。ホールの新台購入は慎重で、型式試験の合格率が下がり、新機種そのものが減った。平和はこの市場で脇役にとどまる。
分かれ目は 2 つ。ゴルフの参加人口が底を打つ時期と、閉鎖するコースの客がどれだけ大手に流れるかだ。
資本政策と M&A
資本政策の中心は借金の返済だ。株主への上乗せは当面期待できない。
買収の 5,100 億円は、銀行のシンジケートローンでまかなった。純有利子負債は 5,500 億円ほどで、自己資本比率は 23%。中期経営計画は、3 年で営業キャッシュフロー約 1,840 億円を見込み、成長投資と借入の返済に回す。純有利子負債を EBITDA(利払い前の稼ぎ)で割った倍率を、7 倍から 4 倍台に下げる目標だ。
配当は据え置きで、総額は年 80 億円弱。自社株買いの計画はない。経営は自己資本利益率 11% 以上と PBR 1 倍超を掲げるが、そこへの道は返済が先になる。
筆頭株主の石原ホールディングスが 4 割超を持ち、共同保有者を合わせると 45% になった。TOB(株式公開買い付け)の報道は見つからない。支配する株主が厚く、少数株主が資本政策に口を出す力は弱い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ゴルフ場は、景気より人の習慣に支えられた堅い商売だ。コロナ後のプレー需要は 2 年以上続き、2026 年 3 月期はアコーディアを合算して来場者が 2.4% 増え、客単価も 1.9% 上がった。2027 年 3 月期は来場者 2,200 万人を計画する。
規模の利益は、これから出る。予約システムの一本化、肥料や食材の集中購買、本社機能の集約で、費用はまだ削れる。中期経営計画では、ゴルフの営業利益を 442 億円から 550 億円へ引き上げる。夜のゴルフ、送風機付きカート、高級路線の GRAND と、客単価と来場者を同時に伸ばす手も打っている。
コースは増やせない資産だ。小さな運営会社が人手不足で脱落すれば、最大手に客が集まる。インバウンドにも伸びしろがある。外国人客は過去最多の 27.5 万人で、計画はさらに増やす。
遊技機は底を打った。2027 年 3 月期は 9.1 万台に戻す計画で、利益率が戻れば全体を押し上げる。営業キャッシュフローは 3 年で 1,840 億円を見込み、借金は 4 倍台まで下がる。金利が上がっても、利益の成長が負担を上回る。
慎重な見方
買った値段が高く、借金が重い。アコーディアの EBITDA は 430 億円前後とみられ、借金込みの買値は約 12 倍になる。純有利子負債は全体の EBITDA の 7 倍で、金利が 3% 台に上がれば、利息が利益の大きな部分を食う。
需要の足元は強く見えるが、土台は細っている。ゴルフ人口は 2024 年に 480 万人と、1 年で 9% 減った。団塊の世代が 75 歳を超え、引退が増える。単価を物価並みに上げ続ければ、客は他のコースに逃げる。コースは 2,000 を超え、安いコースはいくらでもある。
中期経営計画は割り引いて読む必要がある。遊技機の営業利益は 2028 年 3 月期に 210 億円を目指すが、2026 年 3 月期の実績は 7 億円だ。販売台数は業界の 4% 台で、SANKYO が約 3 割を握る市場で、ヒットを連発する力はまだ見えない。
営業利益が増えても、純利益は伸びにくい。2027 年 3 月期の予想では、営業利益 520 億円から利息などを引くと、経常利益は 378 億円に縮む。税金などを引くと、株主の手元は 200 億円ほどだ。
増配と自社株買いは、借金の返済が終わるまで望めない。筆頭株主が 4 割超を持つため、少数株主が資本政策に口を出す力も弱い。
どちらに重みを置いたか
事業の力は、強気の見方に分がある。ゴルフ場は堅く、最大手の規模は本物だ。だが値段を決めるのは借金だ。純有利子負債が稼ぎの 7 倍あり、金利は上がっていく。強気の見方が描く計画どおりでも、10 年後の価値は今の 3 割台の上乗せにとどまる。慎重な見方の指摘のほうが重い。確率は中立を最も厚く置いた。借金の重さは資本コストと利息に入れてあるので、確率では重ねていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,226 円2,196 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 814 円803 億円)。 今の値に割り戻すと 1,469 円1,449 億円、今との差 −28.7%、 期待の年率 +4.0%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,128 円5,057 億円 | 1,318 円1,300 億円 | +212.6% | +12.1% | 516 円509 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,636 円3,586 億円 | 1,065 円1,050 億円 | +127.9% | +8.6% | 940 円927 億円 |
| 中立 | 34% | 2,599 円2,564 億円 | 902 円890 億円 | +69.8% | +5.4% | 1,191 円1,174 億円 |
| やや悲観 | 26% | 736 円726 億円 | 608 円600 億円 | −34.8% | −4.2% | 350 円345 億円 |
| 悲観 | 12% | 114 円112 億円 | 253 円250 億円 | −82.2% | −15.9% | 44 円43 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,226 円2,196 億円 | 814 円803 億円 | +47.4% | +4.0% | 3,040 円2,998 億円 |
今の株価時価総額 2,062 円2,034 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 計画どおりの 10 年:来場者が増え、借金が半分以下に 利益 433 億円 · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 5,128 円5,057 億円
計画どおり、あるいは少し上に進む 10 年だ。ゴルフ人口の減少は続く。だが小さなコースの閉鎖が進み、平和の来場者は年 2,300 万人に増える。外国人客は倍以上になり、夜のゴルフや高級路線の GRAND で、客単価を物価より少し速く上げる。
予約システムと購買の統合で費用が下がり、ゴルフ場の営業利益率は 24% に届く。遊技機はヒット機種を重ね、販売台数は 9 万台前後で定着する。
借金は 2,600 億円まで減り、金利が上がっても利息の負担は軽くなる。配当は増え、自社株買いにも手が届く。筆頭株主の支配は続くが、資本政策は借金の返済を優先する形で落ち着く。
- ゴルフ事業(PGM・アコーディア・ゴルフ):数量 2,300(延べ来場者数(万人/年、実質))× 価格 15(来場者 1 人あたり売上(千円、名目))→ 売上 3,422 億円・営業利益 821 億円。来場 2,300 万人・単価 1.40 倍・営業利益率 24%
- 遊技機事業:数量 90.0(自社の新台販売台数(千台/年、実質))× 価格 60(1 台あたり平均販売額(万円、名目))→ 売上 538 億円・営業利益 118 億円。9.0 万台・単価 1.40 倍・営業利益率 22%
倍率:事業の純利益 433 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.0% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.7 倍。全体の PER 11.66 倍、時価総額 5,049 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画の営業利益 730 億円(2028 年 3 月期)を達成し、その後も伸びる筋書き。遊技機の目標は 2026 年 3 月期に大きく外れており、連続で成功する確率は低いので 8%。
やや楽観 20% ゴルフ場は計画の途中まで届き、遊技機は緩やかに戻る 利益 322 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 3,636 円3,586 億円
ゴルフ場は、計画の途中までは届くが、そこから先は伸び悩む。来場者は今とほぼ同じ年 2,180 万人。客単価は物価をやや上回って上がる。統合の効果は出るが、人件費と芝の管理費の上昇で、営業利益率は 22% にとどまる。
遊技機は 7 万台規模まで戻り、利益率は 1 割台半ばになる。ヒット機種は出るが、業界全体の縮小と競合の強さで、計画の 9 万台には届かない。
借金は 3,500 億円まで減り、配当は少しずつ増える。計画の 4 倍台という財務目標は、2030 年代に入ってようやく届く。筆頭株主の支配は続き、大型の買収には手を出さない。経営は返済と既存コースの磨き込みに集中し、評価は静かに落ち着く。
- ゴルフ事業(PGM・アコーディア・ゴルフ):数量 2,180(延べ来場者数(万人/年、実質))× 価格 15(来場者 1 人あたり売上(千円、名目))→ 売上 3,174 億円・営業利益 698 億円。来場 2,180 万人・単価 1.37 倍・営業利益率 22%
- 遊技機事業:数量 72.0(自社の新台販売台数(千台/年、実質))× 価格 57(1 台あたり平均販売額(万円、名目))→ 売上 412 億円・営業利益 66 億円。7.2 万台・単価 1.34 倍・営業利益率 16%
倍率:事業の純利益 322 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 3,577 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ゴルフ場の足元は堅く、統合の費用削減も一部は出る。強気の見方と慎重な見方の間で、強気寄りの 2 割。中立より低く置いた。
中立 34% 中立:堅調だが成長せず、利息が利益の伸びを食う 利益 230 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 2,599 円2,564 億円
ゴルフ場は堅調だが、成長はしない。来場者は今より 5% ほど減る。団塊の世代の引退を、コース閉鎖で流れてくる客とインバウンドが半分ほど埋める。
客単価は物価並みに上がり、統合の効果が人件費の上昇を打ち消す。営業利益率は 20% で、ゴルフ場の営業利益は今より 3 割ほど増える。遊技機は 5.7 万台で、利益率は好不調の平均である 1 割台前半に落ち着く。
借金は 4,300 億円まで減るが、金利の上昇で利息は今の 1.5 倍になる。このため営業利益が増えても、純利益は 230 億円前後にとどまる。配当は小幅の増額にとどまる。
- ゴルフ事業(PGM・アコーディア・ゴルフ):数量 2,060(延べ来場者数(万人/年、実質))× 価格 14(来場者 1 人あたり売上(千円、名目))→ 売上 2,933 億円・営業利益 587 億円。来場 2,060 万人(今の 0.95 倍)・単価 1.34 倍・営業利益率 20%
- 遊技機事業:数量 57.0(自社の新台販売台数(千台/年、実質))× 価格 57(1 台あたり平均販売額(万円、名目))→ 売上 326 億円・営業利益 39 億円。5.7 万台・単価 1.34 倍(物価並み)・営業利益率 12%
倍率:事業の純利益 230 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 2,555 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ゴルフ参加人口の減少、団塊世代の引退、物価並みの単価という中心の置き方。借金の重さは資本コスト(quality の借金 +1.0%)と純利益の利息にすでに入れたので、確率はこれ以上悲観側へ寄せず、中立を最も厚くして 34%。
やや悲観 26% 高齢化が速く進み、値上げも通らず、返済が進まない 利益 63 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 736 円726 億円
高齢化の速さが想定を超え、ゴルフ場の来場者が 15% 減る。客を引き留めるため値上げを控え、客単価は物価の上昇に 1 割ほど届かない。固定費が重く、営業利益率は 14% まで下がる。
遊技機は市場の縮小に押され、販売台数は 3.6 万台、利益はほぼ出ない。新機種の型式試験の合格率が上がらず、ヒットが途切れる。
借金は 5,000 億円とほとんど減らず、利息が営業利益の半分以上を食う。配当は一時下げ、純利益は 60 億円台にとどまる。財務の条項に近づくため、コースの一部を売って返済に回す。売却で規模は縮み、最大手という看板の価値も下がる。
- ゴルフ事業(PGM・アコーディア・ゴルフ):数量 1,850(延べ来場者数(万人/年、実質))× 価格 13(来場者 1 人あたり売上(千円、名目))→ 売上 2,399 億円・営業利益 336 億円。来場 1,850 万人・単価 1.22 倍・営業利益率 14%
- 遊技機事業:数量 36.0(自社の新台販売台数(千台/年、実質))× 価格 51(1 台あたり平均販売額(万円、名目))→ 売上 185 億円・営業利益 6 億円。3.6 万台・単価 1.20 倍・営業利益率 3%
倍率:ROE 2.3% は k 9.0% 以下で、稼ぐ力(純利益 ÷ k)が上限。RONIC = 9.0% + 1/2 ×(2.3 − 9.0)= 5.65%、g 2% から正当化 PER = 9.2 倍で、上限の 9 割の 8.3 倍に置いた。借金が重く、純利益がわずかな分、倍率だけでは測れない。EV ÷ 営業利益は約 18 倍。時価総額は自己資本の 0.19 倍まで下がるが、のれんなどの資産は稼ぐ力が小さいと価値が落ちるため、帳簿は床にならない。
確率:団塊世代の引退が想定より速く、値上げが通らない。営業利益が 1 割ぶれると株主の取り分が大きくぶれる会社なので、標準よりやや厚い 26%。借金の分は資本コストに入れてあり、ここでは重ねない。
悲観 12% 来場が 3 割減り、価格競争と固定費で借金を返せない 利益 −124 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 114 円112 億円
ゴルフ人口の減少が加速し、来場者は 3 割減る。コースの閉鎖で客が大手に移るという期待は外れ、価格競争で客単価は物価に遠く及ばない。ゴルフ場の営業利益率は 6% まで落ち、遊技機も赤字になる。
借金は 5,000 億円超が残り、利息が営業利益を上回って赤字が続く。貸し手は条件の見直しを迫り、コースの売却と増資で乗り切るしかない。最大手の規模が、かえって重荷になる。ゴルフ場の固定費は客が減っても減らず、人手不足で賃金も上がる。
のれんと設備の減損で自己資本は半分近く減り、株主に残る価値は小さい。配当は 3 年で止める。遊技機は事業の縮小か売却に追い込まれ、持株会社の下で売却や再編の話が出る。
- ゴルフ事業(PGM・アコーディア・ゴルフ):数量 1,500(延べ来場者数(万人/年、実質))× 価格 11(来場者 1 人あたり売上(千円、名目))→ 売上 1,674 億円・営業利益 100 億円。来場 1,500 万人・単価 1.05 倍・営業利益率 6%(固定費が残る)
- 遊技機事業:数量 20.0(自社の新台販売台数(千台/年、実質))× 価格 43(1 台あたり平均販売額(万円、名目))→ 売上 85 億円・営業利益 −4 億円。2.0 万台・単価 1.00 倍・営業利益率 -5%
倍率:赤字で PER は当てられない。コースの売却益と借金を相殺した株主の残りを、減損後の自己資本 1,400 億円の 0.08 倍(今の自己資本に対しては 0.05 倍弱)と置いた。借金 5,000 億円超に対して売れるコースの価値が小さく、株主の取り分はほぼ残らない筋書き。EV(時価総額+純有利子負債)÷ 営業利益は 80 倍を超え、利益の倍率では測れない。自己資本 1,400 億円に対する時価総額は 0.08 倍で、借金が先に取り分を持っていく姿を表す。
確率:ゴルフ人口の減少が加速し、コースの閉鎖で客が大手に流れる期待が外れる構造的な負けの筋書き。借金が重く、営業利益が落ちると財務が一気に崩れる姿なので、標準的な上限に近い 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ゴルフ事業(PGM・アコーディア・ゴルフ)
全国 321 のコースを運営し、プレー代・カートや食事・ホテルで稼ぐ。いまの利益の大半。
| 数量延べ来場者数(万人/年、実質) | 価格来場者 1 人あたり売上(千円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,170 | 11 | 2,306 | 456 |
| 10 年後 中立 | 2,060 | 14 | 2,933 | 587 |
取り方:来場者は決算発表の 2,170.3 万人(アコーディアを通期で連結)。セグメント売上 2,306 億円を来場者で割った 1 人あたり売上 約 1.06 万円を価格に置いた(客単価に、ホテルや物販などの収入を足した値)。営業利益は開示のセグメント利益 456 億円。
遊技機事業
パチンコ・パチスロの新台をホールに売る。ヒット機種の有無で台数と利益が大きく振れる。
| 数量自社の新台販売台数(千台/年、実質) | 価格1 台あたり平均販売額(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 64.4 | 43 | 275 | 7 |
| 10 年後 中立 | 57.0 | 57 | 326 | 39 |
取り方:2026 年 3 月期の販売はパチンコ 32,625 台とパチスロ約 31.8 千台の合計 64.4 千台(決算発表)。売上 275 億円を台数で割って 1 台あたり約 42.7 万円とした(2025 年 3 月期も同じ約 42.8 万円で一致)。営業利益は開示の 7.1 億円。
リスクと懸念
借金と金利の上昇
純有利子負債は EBITDA の 7 倍と重い。借り換えのたびに金利が上がり、利息は今の 1.5 倍近くになりうる。営業利益が計画を下回れば、返済が進まず、配当や投資に回せるお金がなくなる。株主の取り分がもっとも傷む経路だ。
ゴルフ人口の減少と団塊世代の引退
参加人口は 2024 年に 480 万人と、1 年で 9% 減った。団塊の世代が 75 歳を超えるいま、引退が増える。コースの閉鎖で客が大手に流れても、母数が縮めば来場者は減る。固定費が重いので、減り方が利益に増幅されて効く。
値上げの限界
プレー代は物価並みに上げたい。だが客は、安いコースへ移ることができる。全国のコースは 2,000 を超える。平和の客単価は直近で 1.9% しか上がっておらず、物価の 3% には届いていない。単価が伸びなければ、人件費と芝の管理費の上昇が利益率を削る。
遊技機の再建の遅れ
遊技機の営業利益は、2026 年 3 月期に 7 億円まで落ちた。中期経営計画は 2028 年 3 月期に 210 億円を目指す。販売台数は業界の 4% 台にすぎず、ヒット機種を安定して出せるかはまだ見えない。型式試験の合格率の低下も逆風だ。
2 社の統合の実行
PGM とアコーディアは、ブランドを分けたまま運営を融合する。システムの統合、人の入れ替え、購買の一本化には時間と費用が掛かる。うまく進まなければ、計画した費用削減が出ず、利益率の目標に届かない。
支配株主と持株会社化
筆頭株主の石原ホールディングスは共同保有者を合わせて 45% を持つ。2026 年 10 月に持株会社へ移り、遊技機は新会社に分かれる。将来の売却や再編は、少数株主に不利な条件で進むおそれもある。資本政策に口を出す力は弱い。
リースと新会計基準
コースの土地や建物を借りている場合、賃料は毎年必ず払う固定の約束だ。借りている割合は、確認できる資料では分からなかった。2028 年 3 月期から新しいリース会計基準が入ると、純有利子負債と自己資本比率は、今より弱く見える形に変わる。
今後の分かれ目
- 来場者が計画の 2,200 万人を上回り、客単価も物価並みに上がり続けたら
- ゴルフ場の利益率の見方を上げる。楽観とやや楽観の確率を厚くしてよい。
- 純有利子負債÷EBITDA が 2027 年度までに 5 倍を下回ったら
- 利息の負担が軽くなり、株主の取り分が増える。借金の重さを理由にした悲観の確率を下げる。
- 遊技機の営業利益が 100 億円を超える水準まで戻ったら
- 中期経営計画の読み方を見直す。全体の利益の底上げとして、中立の利益率を上げる。
- 国内の延べ来場者が前年を 3% 以上下回る年が 2 年続いたら
- 参加人口の減少が来場に及んだと判断し、やや悲観・悲観の確率を厚くする。
- 金利が想定の 3.5% を超えて借り換えが進んだら
- 利息が営業利益を食う度合いが増す。純利益の見通しを下げ、中立の倍率にも響かせる。
- 石原ホールディングスが持ち分を増やす、または非公開化を提案したら
- 少数株主への条件を見極める。割安に買い取られるおそれがあれば、価値の見方を下げる。
見ておくもの
- ゴルフ事業の四半期ごとの来場者数と客単価(アコーディア合算の前年比)
- 純有利子負債÷EBITDA(中期経営計画の目標は 2028 年 3 月期に 4 倍台)
- 遊技機の販売台数と営業利益(2027 年 3 月期の計画は 9.1 万台)
- 全国のゴルフ場の閉鎖数と、日本ゴルフ場経営者協会の延べ利用者数
- 持株会社移行(2026 年 10 月)後の資本政策と配当の方針
倍率と資本コストの決め方
先にゴルフ場は来場者数 × 1 人あたり売上、遊技機は販売台数 × 1 台あたり単価で 10 年を積み、そのあとで倍率を決めた。倍率は正当化 PER の式(k 9.0%、残る割合 1/2、g 2〜4%)の上限の 9 割前後で置き、市場の PER や PBR は使っていない。純有利子負債は返済で 5,443 億円から 4,300 億円へ、利息は 3.5% 超の金利で今の約 1.5 倍とした。新リース会計(2028 年 3 月期から)で営業利益と負債の形が変わるが、10 年後は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.7→11.66 倍・やや楽観 PER 9.9→11.11 倍・中立 PER 9.3→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +1.5% = 9.0%。会社自身は株主資本コストを 10% 程度と見ている。買収の実行や支配株主の問題は k に足さず、筋書きと確率で表す。