結論
ナガオカは、石油精製プラントの反応塔に入れる内部装置と、浄水場の取水用スクリーンを作る大阪の会社だ。売上は75億円。現金が32億円あり、借金はほぼない。
筆者の結論は、今の値段はやや高いというものだ。短期の回復は確かだが、10年の利益の水準は読みにくい。
2026年6月期は、売上が16%減り、営業利益は5億円と前期の3分の1に落ちた。中国の新設需要の沈滞と、顧客の資金難で製造が止まった案件が響いた。一方、受注残は59億円と5割増え、2027年6月期の会社予想は営業利益17億円と、直近の3倍を超える。
問題は、この予想が水準として続くかだ。案件1件が大きい商売で、利益率は6%から18%まで大きく動いてきた。2016・2017年6月期は営業赤字だった。
親会社の影も見落とせない。非上場のハマダが5割強を持ち、現金の使い方は少数株主が決められない。
筆者は、10年後の営業利益率を12%とみる。好調期の17%台は、中国の新設需要が背景にあったとみて割り引いた。それでも純現金と受注残という下支えがあり、大きく崩れる筋書きは確率を低くした。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ナガオカは「財務は堅いが、商売が読みにくい会社」だ。
よい商売の条件を順に見る。10年後も存在するか。石油精製プラントの更新と、浄水場の更新は続くので、存在はする。堀は広がるか。納入実績は強みだが、顧客が大手で、価格を押される。広がる堀とは言いにくい。経営は資本を上手に使うか。配当も自社株買いも実施し、借金もない。この点は評価できる。ただし、親会社に支配されている。
オーナー利益、つまり設備投資を引いた自由に使える利益は、平常で年5億から10億円ほどとみる。2027年6月期の会社予想(純利益11億円)を信じるかどうかで、評価が大きく変わる。
安全域は純現金にある。時価総額96億円に対し、純現金は約29億円で3割にあたる。ただし、運転資金に使われる分と、少数株主が決められない分を差し引くと、余りは小さい。
筆者は、予想の数字を平常の利益とはみなさない。受注残という先行指標は強いが、案件の波は10年のうちに何度も来る。結論として、財務は安心でも、値段に余裕はない。
何で稼ぐ会社か
ナガオカの本社は大阪。取水用スクリーン(ろ過の網)の技術を軸に、石油精製プラントの内部装置へ広げてきた。中国の大連に製造子会社を持ち、水処理の工事会社の矢澤フェロマイトが子会社にある。
事業は2つだ。エネルギー関連は売上の6割。石油精製・石油化学プラントの反応塔の内部に入る、流れを整えるスクリーン・インターナルを作る。新しい工場に納める仕事と、既設の工場の更新に納める仕事がある。2026年6月期の部門営業利益は9億円で、前期の半分だった。
水関連は売上の4割。浄水場の井戸から水を取るスクリーン、超高速で水を処理するケミレス、浄水場の工事とメンテナンスを手がける。官公庁向けが大きく、2026年3月には三郷浄水場の設備改良工事を約23億円で受注した。部門営業利益は1.6億円で、利益率は5.5%にとどまる。
顧客は石油会社やプロセスの権利を持つエンジニアリング会社、そして自治体の水道部門。案件ごとの受注生産で、納期は1年から2年に及ぶ。
海外は大連の工場を拠点に、中国と東南アジア、中東向けに出す。2026年7月には、大連の子会社が中国のプラントの更新で約5.7億円を受注した。
中期経営計画は2027年6月期までで、既存事業の改革、M&Aによる水関連の拡大、人的資本の強化を掲げる。M&Aは成約がまだない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、納入実績と技術にある。反応塔の内部は、いったん入れると何年も開けられない。壊れれば工場が止まる。そのため、実績のある装置が更新でも選ばれやすい。2026年7月の大連の受注も、以前に納めた中国のプラントの更新が理由だった。
ただし堀は広くない。納入先は大手の石油会社やエンジニアリング会社で、価格を押さえる力が強い。案件ごとの競争もある。
数字の動きがそれを映す。営業利益率は2018年6月期以降の8年で6.7%から17.7%、2016・2017年6月期は赤字だった。エネルギー関連の部門利益率は2025年6月期の32%から、2026年6月期は21%に落ちた。売上が減ると工場の稼働率が下がり、固定費の負担が利益を削る。
資本効率は並みだ。ROE(自己資本に対する純利益の割合)は10年の中央値で15%と高いが、直近は4%に落ちた。
財務は堅い。自己資本比率は76%で、現金32億円に対し借入は3億円。ただし契約資産が32億円あり、売上100億円規模に戻ると運転資金が膨らむ。親会社が過半を持つ点も、財務の強さを割り引く要因だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
エネルギー関連の市場は、石油精製・石油化学プラントの新設と更新に支えられる。新設は中国をはじめとする新興国が中心で、日本や欧米は新設が少なく、更新が中心になる。
中国は、エネルギー環境の変化で新設の需要が沈滞している。過去数年に好調だった受注の一部は、中国の新設案件だった。これが戻らないと、数量の天井は低い。
一方、更新の需要は底堅い。プラントは長く使われ、内部装置は定期修理のたびに交換や改修が出る。会社は、設備更新が計画的に出る既設プラントの需要の獲得に注力している。ただし、一度に何基も交換する年と、少ない年があり、毎年の数字はばらつく。
長い目では、脱炭素で石油精製の新設投資は細る可能性が高い。ただし、世界の精製能力は急には減らず、既設プラントの保守は残る。
水関連は、日本の浄水場の老朽化が追い風だ。過去に整備した設備の更新が、10年にわたって続く。官公庁の予算は人口減で伸びにくいが、更新の必要性は高い。民間では、工場の排水処理や海外での水処理の需要がある。
競争は、水処理の大手や地域の工事会社との入札になる。市場全体は金額で名目年3%から5%の伸びがあるが、会社の水関連の利益率は5%台と低く、価格競争が激しい。
会社は水関連を総合水処理企業へ育てる方針で、運営・保守の継続収益を増やしたい。M&Aも掲げるが、成約はまだない。
資本政策と M&A
資本政策は、株主に配慮する姿勢が見える。配当は安定して払い、2026年6月期は配当性向が74%に達した。自社株買いも2025年9月に実施した。2026年6月期の買い付けは約1億円。
財務の力は十分だ。現金32億円に対し借入3億円。設備投資は年1億円未満と小さく、自己資金で足りる。M&Aは水関連で掲げるが、成約はまだない。
一方、親会社の存在が大きい。非上場のハマダが開示で5割強を持つ。現金の使い方や配当の水準は、少数株主だけでは決められない。親子上場を解消する公開買付けの可能性もあるが、噂の段階であり、価値には織り込まない。市場の推計では10年以内の買収確率は2割弱ある。
運転資金は重い。契約資産32億円と売掛金が大きく、売上が100億円に戻れば約8億円の資金が要る。この分を差し引いた15億円だけを、事業に要らない現金とみた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、構造が変わりつつある。水関連が会社の描く総合水処理企業へ育てば、利益の質が変わる。
まず足元だ。受注残は59億円と5割増え、会社は2027年6月期の営業利益を17億円と予想する。これは2024・2025年6月期の水準に戻る姿だ。製造が止まっていた案件の一部は再開が決まった。
エネルギー側は、既設プラントの更新需要が毎年出る。納入実績のある装置は更新でも選ばれやすく、2026年7月の大連の受注はその例だ。中国以外の新設も戻れば、数量はさらに伸びる。
水関連は、日本の浄水場の老朽化が10年続く。三郷浄水場の約23億円のような大型案件を、子会社の矢澤フェロマイトが取り込んでいる。運営・保守の継続収益を積めば、利益率は5%台から2桁へ上がる。
財務は盤石で、現金32億円に借入は3億円。自社株買いと増配で、配当性向は7割まで上がった実績がある。時価総額96億円は、会社予想の純利益11億円の9倍弱。10年後に利益が2倍の20億円近くまで育てば、今の値段は大きく割安だった、と言える。
慎重な見方
この会社は、利益の波が大きすぎる。
2026年6月期は営業利益が前期の3分の1に落ちた。2016・2017年6月期は赤字だった。案件1件が大きく、納入の後ろ倒しが1つ起きるだけで、工場の稼働率が下がり、固定費が利益を削る。
会社予想の営業利益17億円は、受注残が前提だ。ただし、製造が止まっている案件の再開や代金の回収は不透明で、貸倒引当は2億円近くを積んだ。契約資産は32億円と大きく、顧客の資金難が広がれば、さらに積み増しになる。
エネルギーの新設需要は、中国で沈滞している。好調だった2024・2025年6月期の利益の一部は、この需要に支えられた。戻らなければ、利益率は10%台前半に戻らない。長期では脱炭素で、石油精製の新設は細る。
水関連は官公庁の入札が中心で、競争が激しく、部門利益率は5%台にすぎない。M&Aも成約がない。
そして、非上場の親会社が5割強を持つ。現金の使い方は少数株主が決められず、現金は時価総額の3割あっても、戻る保証はない。予想は例外で、平常の利益は直近に近い。倍率が低くて当然である。
どちらに重みを置いたか
強いのは、実績のある装置への更新需要と、厚い受注残、借金のない財務だ。弱いのは、案件の波の大きさと、顧客の資金難による貸倒れ、親会社が過半を握る構造である。
筆者は、10年後の営業利益率を12%に置いた。好調期の17%台と、直近の6.7%の間で、案件の波を平均した水準だ。
確率は、中立の38%を中心に、悲観側(やや悲観25%、悲観10%)を、楽観側(やや楽観20%、楽観7%)よりやや厚くした。直近の実績が悲観側に近いため、具体的な根拠のある悲観を重く置いた。受注残という下支えがあるので、悲観の確率は1割にとどめている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 2,042 円142 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 508 円35 億円)。 今の値に割り戻すと 1,345 円93 億円、今との差 +1.7%、 期待の年率 +6.8%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 5,156 円358 億円 | 1,009 円70 億円 | +366.4% | +16.6% | 432 円30 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,292 円228 億円 | 721 円50 億円 | +203.5% | +11.7% | 803 円56 億円 |
| 中立 | 38% | 2,183 円151 億円 | 548 円38 億円 | +106.6% | +7.5% | 1,038 円72 億円 |
| やや悲観 | 25% | 598 円41 億円 | 317 円22 億円 | −30.7% | −3.6% | 229 円16 億円 |
| 悲観 | 10% | 433 円30 億円 | 58 円4 億円 | −62.9% | −9.4% | 49 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,042 円142 億円 | 508 円35 億円 | +92.9% | +6.8% | 2,550 円177 億円 |
今の株価時価総額 1,322 円92 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 水処理が総合企業に育ち、エネルギー側も好調が続く 利益 18 億円 · PER 19.5 倍 · 株価時価総額 5,156 円358 億円
水関連が会社の描く総合水処理企業へ育つ。浄水場の更新工事の受注が続き、運営・保守の継続収益が積み上がる。案件数は10年で8割増え、単価も物価より上がる。
エネルギー側は、既設プラントの更新需要が毎年出て、中国以外の新設も戻る。案件数は3割半増え、2024・2025年6月期の好調だった利益率に近い30%に戻る。
全社の営業利益率は16%台。過去の最高(17.7%)を超えない。本社費は人員の増強で物価以上に増える。
自社株買いと増配が進み、10年の還元は70億円。
受注残59億円という先行指標があり、短期の回復は確かだが、10年の利益が水準として定着するかが焦点である。減価償却は小さく、物価で膨らまない。
- エネルギー関連(スクリーン・インターナル):数量 40.5(年間の納入案件数(件相当))× 価格 2.01(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 82 億円・営業利益 25 億円。営業利益率 30.0%
- 水関連:数量 144(年間の納入案件数(件相当))× 価格 0.52(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 75 億円・営業利益 10 億円。営業利益率 14.0%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 19.47 倍、時価総額 358 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:水の事業が公共の更新需要を取り込みつつ、民間と海外へ広がり、エネルギー側が過去の好調な利益率に戻る必要がある。両方がそろう形で、確度は高くない。
やや楽観 20% 更新需要が積み上がり、利益率が過去の中間に戻る 利益 13 億円 · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 3,292 円228 億円
既設プラントの更新が毎年出て、エネルギー側の案件は10年で15%増える。単価は物価の1.34倍まで上がる。利益率は好調期と不調期の中間の28%。
水関連は案件が5割増える。官公庁の浄水場更新と、民間向け・海外向けの拡大が支える。利益率は12.5%。
全社の営業利益率は14%台。本社費は物価で増える。
還元は性向を5割に引き上げ、10年で50億円。
顧客の資金繰りで止まっている案件は再開し、貸倒れも新たに膨らまない。為替は10年で動かさない。
受注残の水準が示すように、短期では回復が確かで、問題は好調が長く続くかどうかだ。
- エネルギー関連(スクリーン・インターナル):数量 34.5(年間の納入案件数(件相当))× 価格 2.01(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 70 億円・営業利益 20 億円。営業利益率 28.0%
- 水関連:数量 120(年間の納入案件数(件相当))× 価格 0.50(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 60 億円・営業利益 7 億円。営業利益率 12.5%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.2% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 17.52 倍、時価総額 228 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027年6月期の会社予想は受注残の裏づけがあり、短期の回復は十分ありうる。ただし好調な年の利益率を常に保つのは難しい。
中立 38% 更新需要で数量は保ち、利益率は好調期より低めに落ち着く 利益 9 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 2,183 円151 億円
エネルギー側は、中国の新設需要が戻らず、既設プラントの更新と中国以外の案件で数量を保つ。案件数は変わらず、単価は物価の1.34倍。利益率は26%と、32%だった2025年6月期を下回る。
水関連は案件が25%増える。浄水場の更新工事が続き、運営・保守も少しずつ増える。利益率は11%。
全社の営業利益率は12%で、過去12年の最高(17.7%)を下回る。本社費は人員の増強と物価で10年に4割増える。
純利益は9億円。会社の方針は配当を安定して払い、自社株買いも続けること。10年の還元は38億円。
減価償却は年1億円台と小さく、物価で増やさない。更新のための設備投資は少ない。
- エネルギー関連(スクリーン・インターナル):数量 30.0(年間の納入案件数(件相当))× 価格 2.01(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 60 億円・営業利益 16 億円。営業利益率 26.0%
- 水関連:数量 100(年間の納入案件数(件相当))× 価格 0.50(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 50 億円・営業利益 6 億円。営業利益率 11.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 15.59 倍、時価総額 151 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:先行指標は強いが、2024・2025年6月期の好調は中国の新設需要が背景にあった。その分を割り引き、水の拡大は緩やかに見た。
やや悲観 25% 製造の後ろ倒しと稼働率の低下が続き、利益率が6%に張りつく 利益 4 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 598 円41 億円
エネルギー側は、顧客の資金繰りの問題と仕様変更の長期化が繰り返され、案件数が1割減る。単価は物価に届かず1.25倍。稼働率が下がり、固定費の負担で利益率は20%どまり。
水関連は案件数が横ばいで、利益率も8%と、2026年6月期並み。
全社の営業利益率は6%と、直近の実績と同じ。
本社費は物価で増える一方、売上が伸びず、利益率が戻らない。純利益は約4億円。配当を維持するのがやっとで、10年の還元は22億円。
貸倒引当は小さくない額が毎年出る。ただし赤字には落ちない。
中国の新設需要は戻らず、中東情勢や米国の政策で製造の後ろ倒しが何度も起きる。水関連の工事は堅いが、利益は薄い。受注残が積み上がっても、稼働率が上がらなければ利益に結びつかない。
- エネルギー関連(スクリーン・インターナル):数量 27.0(年間の納入案件数(件相当))× 価格 1.88(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 51 億円・営業利益 10 億円。営業利益率 20.0%
- 水関連:数量 80.0(年間の納入案件数(件相当))× 価格 0.46(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 8.0%
倍率:ROEは約4%で資本コストを下回り、PERの上限は1÷k(約11.8倍)。上限の約72%の8.5倍に置いた。
確率:2026年6月期がまさにこの姿で、営業利益率6.7%だった。中東情勢・米国の政策・中国の停滞が重なる局面は、10年の間に繰り返し来る。
悲観 10% 顧客の資金難と原油精製の投資縮小で、赤字が定着する 利益 −4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 433 円30 億円
石油精製・石油化学の新設投資が中国を中心に縮み、顧客の資金難で止まった案件の回収が進まない。エネルギー側の案件数は45%減り、単価も1.1倍に低迷する。
水関連も官公庁の工事の受注競争が激しくなり、利益が出なくなる。
営業損益は赤字に落ち、稼働率の低下と本社費が重くのしかかる。
ここで効くのが純現金と受注済みの前受金だ。ただし、親会社が過半を握る構造では、少数株主が現金の使い方を決められない。売却と分配で戻る額は、現金の約6割と置く。還元は10年で4億円。
赤字は数年続き、配当は事実上止まる。水関連の工事も縮み、会社は人員を減らして生き延びる。ただし2016・2017年6月期の赤字から、会社は3年で黒字に戻った。同じ筋書きを、10年の間に1度は考えておく。
- エネルギー関連(スクリーン・インターナル):数量 16.5(年間の納入案件数(件相当))× 価格 1.65(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。営業利益率 5.0%
- 水関連:数量 64.0(年間の納入案件数(件相当))× 価格 0.41(1案件あたりの平均納入額(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力は赤字で、床の資産が上回る。純現金29億円から前受金6億円を引いた約23億円と、回収できる契約資産・売掛金の一部を合わせ、少数株主が決められない点を考えて約30億円(今の自己資本80億円の0.376倍)とした。
確率:2016・2017年6月期に営業赤字(利益率マイナス19%・マイナス16%)を経験している。構造的な負けが起きれば再びありうる。ただし水関連と純現金という下支えがあり、確率は1割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
エネルギー関連(スクリーン・インターナル)
石油精製・石油化学プラントの反応塔の中で、流れを整える内部装置(スクリーン・インターナル)。新設プラントと、既設プラントの更新の両方に納める。
| 数量年間の納入案件数(件相当) | 価格1案件あたりの平均納入額(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 30.0 | 1.50 | 45 | 9 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 2.01 | 60 | 16 |
取り方:2026年6月期の部門売上45.1億円を、1案件あたり1.5億円前後(数千万円の更新案件から数億円の新設案件までの平均)と置いて件数に直した推定(年30件相当)。部門営業利益は短信の9.28億円(前期は18.75億円)。
水関連
浄水場の取水用スクリーン、超高速の無薬注生物処理装置(ケミレス)、水処理プラントの工事とメンテナンス。子会社の矢澤フェロマイトが官公庁の浄水場工事を担う。
| 数量年間の納入案件数(件相当) | 価格1案件あたりの平均納入額(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 80.0 | 0.37 | 30 | 2 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.50 | 50 | 6 |
取り方:2026年6月期の部門売上29.6億円を、取水用スクリーンの数千万円の案件から浄水場の更新工事の数億円までを平均して1案件0.37億円と置き、件数に直した推定(年80件相当)。部門営業利益は短信の1.64億円(前期は3.53億円)。
リスクと懸念
案件の波と製造停止
案件1件が大きい商売で、納入の後ろ倒しや顧客の資金難で、売上と稼働率が大きく変わる。2026年6月期は売上が16%減り、営業利益が3分の1になった。
顧客のファイナンス問題と貸倒れ
製造停止中の案件で、回収できるか不透明な債権に1.97億円の貸倒引当を計上した。同様の案件が増えれば、さらに積み増しが必要になる。契約資産も32億円と大きい。
中国の新設需要の低迷
中国のエネルギー環境の変化で、新設プラントの需要が沈滞している。2024・2025年6月期の好調の一部は中国の新設案件によるもので、戻らなければ利益率は下がる。
化石燃料向けの投資の縮小
主力のスクリーン・インターナルは石油精製・石油化学向け。長期では脱炭素で新設投資が細る。更新需要は残るが、数量の天井は低い。
親会社との関係
非上場の親会社が52%台を持つ。現金の使い方や配当の水準は少数株主が決められない。親子上場の解消が、公開買付けの形で起きる可能性もある。
水関連の官公庁依存と収益力
水関連は官公庁の浄水場工事が大きな部分を占める。入札競争が激しく、2026年6月期の部門営業利益率は5.5%に低下した。総合水処理企業への転換は途上である。
為替と海外拠点
中国の大連に製造子会社を持ち、海外売上も大きい。円安は利益を押し上げ、円高は押し下げる。為替換算調整勘定が自己資本の1割を占める。
今後の分かれ目
- 2027年6月期の営業利益が会社予想(17億円)に近い水準で着地し、受注残が積み上がり続けたら
- 好調期の利益率が定着したとみて、楽観・やや楽観の確率を厚くする。
- 製造停止中の案件の債権が回収できず、貸倒引当が追加で出たら
- 顧客の資金難が構造的とみて、悲観寄りに見直す。
- 水関連のM&Aが成約し、運営・保守の売上が増えたら
- 総合水処理企業への転換が進むとみて、水関連の数量と利益率を引き上げる。
- 親会社による公開買付けや、自社株買いの大型化が示されたら
- 価値の戻り方を見直し、現金の戻り方を引き上げる。
- 中国の新設プラントの受注が戻ったら
- エネルギー側の数量を引き上げ、楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 受注残と受注高(エネルギー・水)
- 営業利益率(四半期)
- 製造停止中の案件の再開と回収
- 水関連のM&Aと運営・保守の売上
- 親会社の持株比率と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ずに、エネルギー関連と水関連の案件数×平均納入額で10年後の利益を積んだ。エネルギー側は案件数1.0倍、単価は物価の1.34倍、部門利益率26%。水関連は案件数1.25倍、単価1.34倍、利益率11%。全社の営業利益率は12%で、過去12年の山(17.7%)を超えない。本社費は人員の増強と物価で増やし、減価償却は小さく物価で増やさない。純利益÷営業利益は過去の中央値0.66に近い0.70にした。倍率は、ROEが資本コストをわずかに上回る程度なので、1÷k(約11.8倍)に近い10.5倍に置いた。今の時価総額と比べたのは最後。新リース会計基準の影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→19.47 倍・やや楽観 PER 11.5→17.52 倍・中立 PER 10.5→15.59 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。