結論
フリューは、プリントシール機(プリクラ)で国内ほぼ一社の地位を持ち、クレーンゲームの景品と海外物販、家庭用ゲームも手がける会社だ。純現金が時価総額の3割強ある。筆者の結論は、今の値段は先の成長を織り込みすぎている、というものだ。
稼ぎの柱はプリクラだが、細っている。プレイ回数は2787万回と前の年から約6%減った。若者がプリクラを初めて遊ぶ機会が減っていて、10年で3割ほど縮むと筆者は見る。
景品と海外物販は伸びている。ただ、人気キャラクターの仕入れ次第で、他社と取り合う市場でもある。堀、つまり他社が入りにくい強みは、ここにはない。ゲーム・映像は赤字が続き、整理の途中だ。
中立の筋書きでは、10年後の純利益は30億円強。今の1.5倍だが、物価の上昇分でほぼ消える。実質ではほとんど増えない。そこへ還元を足しても、確率で加重した本質価値は今の時価総額を3割弱下回る。やや割高と見る。
救いは財務だ。純現金は137億円、自己資本比率は約8割で、悲観の筋書きでも床が高い。ただし、それは安全域であって、割安の理由ではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の本質は「縮む独占事業と、薄利の成長事業」の組み合わせだ。
独占は価値がある。だが、市場が毎年6%ほど縮む独占には、永続の価値を認められない。10年後の利益は、景品・物販の伸びで一部を補うが、物価の上昇を除けば、ほぼ横ばいになる。オーナーの目で見ると、10年たっても実質の利益がほとんど増えない会社だ。
財務は強い。純現金は時価総額の3割を超え、借金はない。悪い方の筋書きでも、元本は大きく守られる。ただし、現金の一部は運転資金に要る。全部を余りとは見ない。
配当は利益の5割を払い、残りで景品の在庫やプリクラの開発に投じる。再投資で高い稼ぎを得る機会は、いまのところ見えない。
筆者は、この会社を安全域の厚い会社とは見る。だが、安全域が厚いのと、割安なのとは別だ。今の値段は、景品・物販の成長を信じ切った水準だ。
何で稼ぐ会社か
フリューの売上は3つの事業からなる。2026年3月期の売上は448億円。
最大は世界観ビジネスで、売上は277億円。ゲームセンターのクレーンゲームに置く景品と、キャラクターグッズの海外物販が中心だ。人気アニメやゲームのキャラクターを使い、ぬいぐるみやフィギュアをゲームセンターに卸す。中国、米国、欧州への物販も伸びている。利益率は1割に届かない薄利の商売だ。
利益を稼ぐのはガールズトレンドビジネス。売上は144億円だが、営業利益は36億円と全社の利益を上回る。プリントシール機を売り、撮影のたびに出るシール紙と写真の閲覧サービス(ピクトリンク)で稼ぎ続ける。機械を売って終わりではなく、遊ばれるほど収入が積み上がる仕組みだ。
3つ目のフリューニュービジネスは、家庭用ゲームとアニメの事業だ。売上は27億円で、営業損失は4.5億円。ゲームアプリの終了やカラーコンタクト事業の譲渡など、整理を進めている。
全社で見ると、営業利益33億円のうち、本社の費用が22億円ほど差し引かれている。プリクラの利益が、景品・物販の薄利と本社費を支える構図だ。
優良さと弱いところ
優良さはプリクラだけにある。他社の撤退で、国内の市場は事実上フリュー一社になった。機械の開発、撮影の技術、シール紙の供給、アプリでの閲覧まで一貫して握る。営業利益率は25%を超え、国内の機械事業としては高い。
だが、市場そのものが細っている。若者が初めてプリクラを遊ぶ機会が減り、プレイ回数は年6%のペースで落ちている。ピクトリンクの有料会員も137万人から127万人に減った。独占は、縮む市場の独占でもある。
景品・物販は、堀がない。仕入れるキャラクターの権利は、バンダイナムコやセガなどの大手とも取り合う。人気作が出れば伸び、外れれば落ちる。ここ2年の増収は、市場の拡大と人気作の当たりに助けられた面が大きい。
資本の使い方は堅実だ。借金はなく、配当は利益の5割ほどを払っている。無理な買収はしていない。ゲーム・映像の赤字を止められるかが、経営の課題だ。
筆者は、この会社を「堅い財務の上に、縮む本業と、薄利の伸びる事業が乗った会社」と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
プリクラ市場は、1990年代のブームのあと、約30社の参入が次々と撤退し、数社に絞られた。2018年にメイクソフトウェアが破綻し、国内はフリューがほぼ一社になった。競争相手がいない代わりに、市場を広げる相手もいない。
縮む理由は、若者の行動が変わったことだ。スマホで写真が撮れる時代に、プリクラは特別な日に行く場所になった。新型コロナ期に初めて遊ぶ機会を失った世代もいて、初回の利用者が戻っていない。少子化も重なる。筆者は、10年でプレイ回数が3割ほど減ると見る。会社は30周年の企画や、中国の万達グループとの設置の覚書で海外へ広げようとしている。実を結べば、縮みは緩む。
景品の市場は反対に広がった。クレーンゲームを含む国内の売上は2023年度に3,600億円台と、倍近くに伸びた。ゲームセンターは減ったが、クレーンゲーム専門店とコンビニの設置が増えている。ファミリーマートは景品ゲームを5,000店に置く計画だ。ただし、人気作の景品を確保できるかが勝負で、大手のバンダイナムコやセガ、タイトーが同じ市場にいる。
海外では、日本のキャラクターグッズの需要が強い。円安の追い風もあるが、為替は150円で動かさず、数量の伸びだけで見る。
資本政策と M&A
配当は利益の5割前後で、配当性向は2026年3月期が51%。2027年3月期の予想は4割台に下がる。自社株買いは2023年3月期に10億円ほどあったきりで、直近の2年は配当だけだ。
手元の現金は純額で137億円ある。時価総額の35%にあたる。10年にわたり純現金は100〜140億円の範囲を動いていて、利益ほどには積み上がっていない。余った分は、配当と投資に回してきた実績がある。
親会社はなく、2007年にオムロンから独立した。大株主に光通信が4%ほどいる。TOB(株式公開買い付け)の確率は、外部の推計で20%ほどとされる。ただ、現金の厚い小型株は買い手が付きやすい一方、買収の期待は価値の根拠にしない。
買収や大型投資で価値を壊した過去はない。ゲーム事業の整理は進んでおり、資本は大きく守られている。残る課題は、縮む本業から出る現金を、どこに振り向けるかだ。景品・物販の仕入れを増やせば、運転資金が膨らみ、現金の余りは減る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
プリクラは、縮みながらも国内ほぼ一社の事業だ。若者の初回利用が減っていても、30周年の企画や新機種で、遊ぶ人を呼び戻している。ピクトリンクの会員をプレミアムに一本化し、収益性は上がった。中国の万達グループとの設置が始まれば、海外が新しい柱になる。
景品・物販は、日本のキャラクターの世界的な人気が追い風だ。海外物販は中国、米国、欧州で伸びている。コンビニへの景品ゲームの設置が広がれば、国内の市場も広がる。営業利益は2026年3月期に3割以上伸びた。会社の計画は営業利益40億円で、さらに2割増える。
ゲーム・映像の赤字は整理が進み、止まる見込みだ。そうなれば、全社の利益率は過去の1割台へ戻る。純現金が137億円あり、悪い局面でも下値は固い。配当も続く。景品・物販の伸びが3割ほど上振れすれば、10年後の純利益は倍に近づく。
新機種のヒットや、ピクトリンクのプレミアム一本化のような収益改善策は、これまで手堅く成果を出してきた。経営は無理な買収をせず、現金を積み上げながら配当を続けている。この慎重さが、長い目で株主の利益を守ってきた。
慎重な見方
プリクラの縮みは構造的だ。初めて遊ぶ若者が減り、プレイ回数は年6%のペースで落ちている。少子化は止まらない。10年で半分近くまで減る可能性がある。独占といっても、縮む市場の独占だ。中国への進出は覚書の段階で、収益になるかはわからない。
景品・物販は薄利で、堀がない。当たったキャラクターに頼る商売だ。大手のバンダイナムコやセガは、同じ人気作を取りにいく。仕入れを確保できなければ、数量が落ちる。利益率は1割にも届かない。ここ2年の増収が続くと見る根拠は弱い。
ゲーム・映像は赤字が続き、ようやく整理が進んだばかりだ。本社費は物価で膨らむ。プリクラの利益が減れば、全社の利益は薄くなる。純現金は厚いが、それは今の値段にすでに含まれている。配当も、利益が減れば削られる。
今の値段は、会社の計画どおりの増益を前提にしているように見える。そこに安全域は薄い。
加えて、景品・物販の利益率は1割に届かず、人気作の仕入れ価格が上がれば簡単に薄れる。プリクラの利益が景品の薄利と本社費を支える構図は、柱が細るほど危うくなる。ゲーム・映像で過去に投じた開発費が、いつ回収に向かうのかも見えていない。
どちらに重みを置いたか
プリクラの縮みと、景品・物販の薄利という見立ては、慎重な見方が強い。強気の見方が頼るのは、会社の計画と海外の拡大で、どちらもまだ実績が薄い。純現金は確かに厚いが、それは今の値段の中にもう入っている。
確率は、中立を最も厚く置きつつ、やや慎重な筋書きに寄せた。景品・物販が伸びる筋書きの重みは、強気の見方より小さくした。結果として、中立でも10年後の時価総額は今を少し上回る程度で、還元を足しても資本コストに届かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,994 円528 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 565 円150 億円)。 今の値に割り戻すと 1,308 円347 億円、今との差 −14.4%、 期待の年率 +5.3%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,547 円1,204 億円 | 1,019 円270 億円 | +264.3% | +13.8% | 445 円118 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,962 円785 億円 | 766 円203 億円 | +144.0% | +9.3% | 820 円217 億円 |
| 中立 | 35% | 2,102 円557 億円 | 593 円157 億円 | +76.4% | +5.8% | 943 円250 億円 |
| やや悲観 | 25% | 761 円202 億円 | 370 円98 億円 | −26.0% | −3.0% | 283 円75 億円 |
| 悲観 | 10% | 526 円139 億円 | 151 円40 億円 | −55.7% | −7.8% | 68 円18 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,994 円528 億円 | 565 円150 億円 | +67.5% | +5.3% | 2,559 円678 億円 |
今の株価時価総額 1,528 円405 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% プリクラが踏みとどまり、景品・物販が世界で伸びる10年 利益 67 億円 · PER 16.6 倍 · 株価時価総額 4,547 円1,204 億円
プリクラは30周年の施策と新機種で若者を呼び戻し、プレイ回数の減りは年0.5%程度に収まる。中国での設置が軌道に乗り、海外が新しい収入源になる。ピクトリンクの会員も増える。
景品・物販は、海外物販が主役になる。中国、米国、欧州で日本のキャラクターグッズの人気が続き、出荷点数は10年で1.7倍。コンビニへの景品ゲームの設置も追い風になる。高価格のホビーが増え、利益率は12%まで上がる。
ゲーム・映像は整理が終わり、IPの活用で小さな黒字になる。本社の費用は物価並みに増える。
10年後の営業利益は約100億円、純利益は約67億円。配当と自社株買いを厚くしつつ、自己資本も積み上がる。ROEは15%に近づく。ただ、これは3つの要素がそろった場合だ。
- 世界観ビジネス(景品・物販):数量 7,849(景品・物販の出荷点数(万点/年))× 価格 804(1点あたり平均卸単価(円、名目))→ 売上 631 億円・営業利益 76 億円。点数1.7倍、営業利益率12%
- ガールズトレンドビジネス(プリントシール):数量 2,648(プリントシールのプレイ回数(万回/年))× 価格 723(1回あたり売上(円、名目))→ 売上 191 億円・営業利益 50 億円。回数0.95倍、営業利益率26%
- フリューニュービジネス(ゲーム・映像):数量 668(ソフト・映像等のソフト1本換算数(千本/年))× 価格 8,040(1本換算あたり売上(円、名目))→ 売上 54 億円・営業利益 4 億円。本数1.5倍、営業利益率8%
倍率:事業の純利益 66 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.6% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 16.56 倍、時価総額 1,182 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:プリクラの縮みが止まり、海外が収益になり、景品・物販も世界で伸びる三つが重なる必要がある。実績の薄い海外に頼る筋書きで、重ならない確率が高い。
やや楽観 22% 景品・物販が伸びてプリクラの縮みを補う10年 利益 45 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 2,962 円785 億円
プリクラの縮みは緩やかで、プレイ回数は10年で2割弱の減り。新機種と海外が下支えする。
景品・物販は伸びる。海外物販が出荷点数を押し上げ、10年で1.45倍。利益率は10%を超え、営業利益は約57億円になる。
ゲーム・映像は小さな黒字で安定する。本社費は物価で増えるが、事業の拡大で吸収する。
10年後の営業利益は約67億円、純利益は約45億円。今の1.5倍の利益だが、物価の上昇分を除くと伸びは小さい。還元は配当性向5割強で続く。ROEは11%ほどで、資本コストを少し上回る。
光通信のような大株主はいるが、会社を動かす力は持たない。経営は引き続き堅実で、無理な買収には踏み出さない。景品・物販の伸びが定着し、全社の利益を押し上げる。プリクラの縮みを、海外物販と高価格のホビーが補う10年になる。
- 世界観ビジネス(景品・物販):数量 6,695(景品・物販の出荷点数(万点/年))× 価格 804(1点あたり平均卸単価(円、名目))→ 売上 538 億円・営業利益 57 億円。点数1.45倍、営業利益率10.5%
- ガールズトレンドビジネス(プリントシール):数量 2,285(プリントシールのプレイ回数(万回/年))× 価格 692(1回あたり売上(円、名目))→ 売上 158 億円・営業利益 38 億円。回数0.82倍、営業利益率24%
- フリューニュービジネス(ゲーム・映像):数量 534(ソフト・映像等のソフト1本換算数(千本/年))× 価格 8,040(1本換算あたり売上(円、名目))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。本数1.2倍、営業利益率6%
倍率:事業の純利益 44 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 15.39 倍、時価総額 762 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:景品・物販は2期連続で伸びており、数量が増える筋書きは現実味がある。ただ、プリクラの縮みは続くため、中立より薄く置いた。
中立 35% 中立:プリクラは3割縮み、景品・物販は物価並みに伸びる 利益 32 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 2,102 円557 億円
プリクラは、若者の初回利用が減り続け、プレイ回数は10年で3割減る。1回あたりの単価は物価並みに上がるが、数量の減りが上回る。営業利益率は22%に下がる。
景品・物販は、国内が横ばい、海外物販が増えて、出荷点数は10年で1.3倍。単価は物価並みに上がり、売上は約480億円。利益率は9.5%に改善する。
ゲーム・映像は赤字を止め、小さな黒字になる。本社費は物価で1.34倍の約29億円。
10年後の営業利益は約48億円、純利益は約31億円。今の利益の1.5倍だが、物価の上昇を除くとほぼ横ばいだ。還元は利益の5割強。ROEは9%前後で、資本コストにほぼ並ぶ。
- 世界観ビジネス(景品・物販):数量 6,002(景品・物販の出荷点数(万点/年))× 価格 804(1点あたり平均卸単価(円、名目))→ 売上 483 億円・営業利益 46 億円。点数1.3倍、営業利益率9.5%
- ガールズトレンドビジネス(プリントシール):数量 1,951(プリントシールのプレイ回数(万回/年))× 価格 692(1回あたり売上(円、名目))→ 売上 135 億円・営業利益 30 億円。回数0.70倍、営業利益率22%
- フリューニュービジネス(ゲーム・映像):数量 445(ソフト・映像等のソフト1本換算数(千本/年))× 価格 8,040(1本換算あたり売上(円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。本数1.0倍、営業利益率3%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.5% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 14.48 倍、時価総額 528 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:プリクラが年3〜4%ずつ減り、景品・物販が物価並みに伸びる落としどころ。慎重な見方の方が強いと判断し、最も厚くしつつ4割には届かせなかった。
やや悲観 25% 人気作の仕入れで苦戦し、プリクラも縮む10年 利益 11 億円 · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 761 円202 億円
プリクラの縮みが速まり、プレイ回数は10年で半分近くまで落ちる。設置台数の減少で、固定費の重さが利益率を押し下げる。
景品・物販は、人気作の仕入れで大手に負け、数量が伸びない。出荷点数は10年で1.05倍にとどまり、利益率は7%に落ちる。
ゲーム・映像は赤字が残る。本社費は一部削るが、物価で膨らむ分が上回る。
10年後の営業利益は約18億円、純利益は約11億円。配当は利益の6割を超えるが、金額は大きく減る。ROEは4%弱で、資本コストに届かない。余った現金は一部が運転資金に回り、0.75倍になる。
- 世界観ビジネス(景品・物販):数量 4,848(景品・物販の出荷点数(万点/年))× 価格 804(1点あたり平均卸単価(円、名目))→ 売上 390 億円・営業利益 27 億円。点数1.05倍、営業利益率7%
- ガールズトレンドビジネス(プリントシール):数量 1,533(プリントシールのプレイ回数(万回/年))× 価格 692(1回あたり売上(円、名目))→ 売上 106 億円・営業利益 18 億円。回数0.55倍、営業利益率17%
- フリューニュービジネス(ゲーム・映像):数量 356(ソフト・映像等のソフト1本換算数(千本/年))× 価格 8,040(1本換算あたり売上(円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 −1 億円。本数0.8倍、営業利益率-3%
倍率:ROE4%弱でkを下回る。ためた利益は額面未満の価値しかないので、倍率は1÷kの11.4倍を下回る。縮む事業の稼ぎの質も落ちるとみて10.99倍とした。
確率:景品・物販は人気作頼みで、大手との取り合いに勝ち続ける保証がない。プリクラの縮みが速まる可能性もあり、中立に近い厚みを置いた。
悲観 10% プリクラが急に細り、景品の取り合いにも負ける10年 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 526 円139 億円
プリクラは、新機種を出しても若者が戻らず、プレイ回数は10年で3分の1まで落ちる。シール紙の収入が細り、機械の開発費を回収できなくなる。
景品・物販は、人気作の仕入れに失敗し、取扱点数も単価も伸びない。大手が景品市場の主導権を握り、フリューは薄利のまま縮む。
ゲーム・映像の赤字は続き、整理も追いつかない。
10年後の営業利益はほぼゼロ、純利益も赤字に近い。配当は半分以下に削られる。それでも純現金は厚く、会社の価値はその現金と売れる資産で支えられる。余った現金は半分が失敗した投資や赤字の穴埋めに使われる。
- 世界観ビジネス(景品・物販):数量 3,232(景品・物販の出荷点数(万点/年))× 価格 720(1点あたり平均卸単価(円、名目))→ 売上 233 億円・営業利益 12 億円。点数0.7倍、単価の伸び鈍化、営業利益率5%
- ガールズトレンドビジネス(プリントシール):数量 975(プリントシールのプレイ回数(万回/年))× 価格 620(1回あたり売上(円、名目))→ 売上 60 億円・営業利益 6 億円。回数0.35倍、営業利益率10%
- フリューニュービジネス(ゲーム・映像):数量 134(ソフト・映像等のソフト1本換算数(千本/年))× 価格 7,200(1本換算あたり売上(円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 −1 億円。本数0.3倍、営業利益率-5%
倍率:純利益が赤字に近く、稼ぐ力で測れない。今の自己資本236億円に0.59を掛けた。これは純現金と売れる資産の裏づけで、帳簿の自己資本を割る形にした。
確率:純現金が厚く、独占の地位もあるため、会社が行き詰まる確率は低い。ただ、プリクラの急減と景品の失速が重なる構造的な負けとして1割を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
世界観ビジネス(景品・物販)
クレーンゲームの景品と、キャラクターグッズの海外物販・ホビーを企画・卸す事業。IPの人気に左右される。
| 数量景品・物販の出荷点数(万点/年) | 価格1点あたり平均卸単価(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,617 | 600 | 277 | 23 |
| 10 年後 中立 | 6,002 | 804 | 483 | 46 |
取り方:景品・物販の売上277億円を、平均卸単価600円(ぬいぐるみ、フィギュア、中高価格ホビーの混在を推定)で割り、年4,600万点強と置いた。点数と単価は開示がなく推定。営業利益は決算短信のセグメント利益。
ガールズトレンドビジネス(プリントシール)
プリントシール機の販売と、撮影ごとに出るシール紙・写真閲覧サービス(ピクトリンク)の課金で稼ぐ事業。
| 数量プリントシールのプレイ回数(万回/年) | 価格1回あたり売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,787 | 516 | 144 | 36 |
| 10 年後 中立 | 1,951 | 692 | 135 | 30 |
取り方:プレイ回数2,787万回は会社の開示(前期2,957万回)。売上144億円を回数で割ると1回あたり約516円で、機械売上とシール紙、ピクトリンクの会費を含む。営業利益は決算短信のセグメント利益。
フリューニュービジネス(ゲーム・映像)
家庭用ゲームソフトとアニメ・映像などのIP事業。赤字が続き、整理を進めている。
| 数量ソフト・映像等のソフト1本換算数(千本/年) | 価格1本換算あたり売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 445 | 6,000 | 27 | −5 |
| 10 年後 中立 | 445 | 8,040 | 36 | 1 |
取り方:売上26.7億円を、ソフト1本6,000円相当で割って44.5万本と換算した。アニメ・ライセンスも含むため換算は粗い。営業損失は決算短信のセグメント損失。
リスクと懸念
プリクラ市場の縮みが速まる
若者の初回利用が減り、プレイ回数は年6%のペースで落ちている。この速度が続けば、10年で半分近くになる。固定費が重く、数量が落ちるほど利益率が下がる。利益の柱が最も大きな懸念だ。
景品・物販の人気作頼み
利益は仕入れる人気キャラクターの当たり外れに左右される。権利は大手の取り合いで、仕入れの競争が厳しい。ここ2年の増収が続く保証はなく、外れた年は赤字になりうる。
海外展開の遅れ
中国の万達グループとの設置は覚書の段階だ。実際の設置台数と利益は未知数で、政治や規制の影響も受けやすい。成長の期待が先行しやすい。
ゲーム・映像の赤字
家庭用ゲームは想定を下回り、営業損失は4.5億円。整理を進めたが、新作がまた外れれば赤字が続く。IP活用の成果はまだ見えていない。
本社費と人件費の上昇
本社などの全社費用は年22億円ほど。物価と人件費の上昇で、10年で約29億円まで膨らむ。売上が伸びなければ、利益を直接削る。
景品市場の規制・店舗環境
景品ゲームの景品の上限や射幸性をめぐる規制が強まる可能性がある。ゲームセンターの店舗数は10年で半分ほどに減っており、設置場所の動きにも左右される。
今後の分かれ目
- プリントシールのプレイ回数の減りが年3%以内に収まる
- プリクラの縮みは緩やかとみて、やや楽観の確率を上げる。
- プレイ回数が年8%を超えて減り続ける
- プリクラの利益が急に細る。やや悲観と悲観の確率を上げる。
- 景品・物販の売上が3期続けて前の年を上回り、利益率が10%を超える
- 景品・物販の伸びは定着したとみる。やや楽観の厚みを増す。
- 中国でのプリクラ設置が、数千台の規模で実現する
- 海外が新しい柱になる。楽観の確率を上げる。
- ゲーム・映像の営業損失が2期続けて解消する
- 全社の利益率の底が上がる。中立の利益率を見直す。
- 自社株買いや特別配当で、純現金の還元を大きく増やす
- 現金の戻り方の確度が上がる。余った現金の価値を上げて見る。
見ておくもの
- プリントシールのプレイ回数と、ピクトリンクの有料会員数
- 世界観ビジネスの営業利益率と、海外物販の売上
- ゲーム・映像の営業損益と、全社費用の額
倍率と資本コストの決め方
倍率は正当化PERの式(k 8%、残る割合1/3、gは4%)から置き、今の株価や同業の倍率は使っていない。中立のROEが資本コストに並ぶので、1÷kの11.4倍に置いた。数量はプレイ回数と出荷点数の実質で、物価は価格に1.34倍で入れた。本社費も物価で増やした。悲観の床は純現金と売れる資産の税後で置き、過去のPBRの底は使っていない。新リース会計基準で数字の形が変わるが、10年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.8→16.56 倍・やや楽観 PER 12→15.39 倍・中立 PER 11.4→14.48 倍・やや悲観 PER 10→10.99 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。