結論
日工は、道路舗装に使うアスファルト合材をつくる工場(アスファルトプラント)と、生コンをつくる工場(コンクリートプラント)の国内大手だ。売上は 494 億円で、前期は前の年をわずかに上回った。アスファルトプラントの国内シェアは、会社の開示で 8 割ほどある。
筆者の結論は、事業は堅いが、稼ぐ力が弱い、というものだ。総合はやや割高(−23%)になった。理由は、営業利益率が 6% 前後と低く、過去 12 年で 7% を超えたのは 1 度しかないことだ。
足もとは追い風が吹く。国の補助金を使った省エネ更新で、受注残は 300 億円を超えた。今期の売上計画は 550 億円と、前期より 11% 増える。
だが、更新需要は永続しない。国内の舗装市場は人口減で縮む方向にある。純現金は 34 億円と厚くない。ROE は 7% 前後で、資本コストに届かない。会社の目標である営業利益率 8%、ROE 8% を達成しても、割安とまでは言えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、事業の質は悪くないが、傑出してもいない。APの国内首位は強みだ。だが利益率が低く、その強みが利益に変わっていない。
オーナー利益の面では、再投資の負担は軽い。設備投資は年 20 億円ほどで、減価償却の範囲に収まる。配当性向も 60% と高く、株主に回る分は多い。
課題は、資本の使い方だ。ROE は 5〜7% 台が続き、資本コストを下回ってきた。会社の目標でも ROE は 8% で、資本コストを大きく上回る水準ではない。ためた利益が、ためた額どおりの価値を生んでいない。
今の値段は、補助金を使った更新需要の山と、会社計画の達成を、かなり織り込んでいる。安全域は薄い。見直す条件は、APの利益率が 8% を超えて定着することと、資本効率の改善が具体策として示されることだ。
配当性向が高い会社は、再投資の余地が小さいとも言える。成長の源が、更新需要と物価の上昇だけに頼る形になりやすい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は大きく四つある。
一つ目はアスファルトプラント(AP)で、売上の 4 割を占める。道路をつくるアスファルト合材の工場だ。顧客の 8 割は大手舗装会社である。省エネ型への入れ替えと、メンテナンスが仕事になる。
二つ目はコンクリートプラント(BP)で、売上の 3 割だ。生コンの工場で、顧客は地場のゼネコンや生コン会社が中心になる。競合 2 社と国内のシェアが並ぶ。利益率は 14% 前後と高い。
三つ目は環境・搬送と破砕機だ。リサイクル施設や、建設廃材を砕く機械をつくる。売上は 68 億円ほどで、環境・搬送の利益率は 25% 近くと高い。
四つ目は、製造請負とその他だ。他社の産業機械やガスホルダーの製造を請け負う。仮設機材や土木・農業用の工具、賃貸ビルも持つ。
従業員は連結で 1,100 人ほど。研究開発費は年 7 億円で、AP とBP の省エネ・自動化に使う。
製品は一度納めると 20 年以上使われ、部品交換や修理が続く。メンテナンスの比率を高めることが、会社の利益率改善の中心になる。
優良さと弱いところ
強みは、APの国内シェアだ。会社の開示では 8 割ほど。国内の競合は、実質 1 社しかない。古くからの顧客基盤があり、入れ替えとメンテナンスで長く付き合う。
ただ、シェアが高いのに利益率は低い。APの営業利益率は、前期で 5% 台にとどまる。受注は大手舗装会社と補助金に左右され、値上げの力は強くない。この点が、独占的な事業の見かけと違う。
BPは、競合 2 社と並ぶ。利益率は 13〜14% と悪くない。環境・搬送も高い利益率を出すが、売上が小さい。破砕機は赤字に近い。
全社費用は、前期で 24 億円ほどある。売上の約 5% に当たる重さだ。全社の営業利益率は 6.3% にとどまった。
財務は堅い。自己資本比率は 58%、純現金は 34 億円で、営業利益は支払利息の 24 倍ある。ただ、資本効率は低い。ROE の過去 10 年の中央値は 5% だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場の中心は、道路舗装と建設の国内需要だ。道路の維持補修と、国土強靭化の予算が、仕事の源になる。人口は減るので、新設の需要は伸びない。
足もとの追い風は、更新需要だ。国の省エネ補助金を使い、古いAPを新型に入れ替える動きが続く。今期の受注は大きく伸び、受注残は 300 億円を超えた。この山が、売上の増加を支える。
競合は、AP では田中鉄工などの国内勢が限られる。BP は日工を含む 2 社が並ぶ。海外では、ASEAN での展開を会社は成長軸に置く。
構造の変化は二つある。環境規制の強化で、燃料を重油から代替燃料へ切り替える動きが進む。省エネ性能が、買う側の選択基準になる。もう一つは、舗装業界の人手不足で、プラントの自動化が求められることだ。
筆者は、更新需要が一巡したあとに、受注が元の水準へ戻る可能性を見ている。
海外では、ASEAN で道路の整備が進む。日工はここを成長の軸に置くが、現地のメーカーや中国勢との競争がある。海外売上の割合は小さく、10 年後に大きな柱になるかは、まだ見えない。
資本政策と M&A
株主還元の方針は、配当性向 60% 以上だ。前期は配当性向 60.7%、純資産配当率は 4.1% だった。中期計画では 2027 年度に配当を今の 1.25 倍へ引き上げる目標を置き、自社株買いも機動的に行うとしている。
中期計画(2025〜2027 年度)は、2027 年度に売上 600 億円、営業利益率 8%、ROE 8%、時価総額 400 億円、PBR 1 倍を掲げる。成長の軸は AP と、メンテナンス、M&A だ。2030 年度に向け、110 億円を投資する計画である。
政策保有株は縮減する方針で、10% 以下を目指す。主な銘柄は鹿島建設などだ。投資有価証券は 69 億円ある。
会社は、資本コストを 5% 強と見ている。筆者はそれより高く見ており、ここに資本政策の認識の差がある。大型の買収の実績はなく、M&A は小粒の補強が中心になる。TOB の可能性は、時価総額 385 億円の規模なら無視できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、まず受注残を挙げる。受注残は 300 億円を超え、前年より 13% 増えた。今期の売上計画は 550 億円で、利益も増える。補助金を使った更新需要は、これから本格化する。
AP は国内シェア 8 割で、競合はほぼいない。メンテナンスの比率が高まれば、利益率は 8% を超える。BP は利益率 13〜14% と悪くなく、環境・搬送は 25% 近い。全社の営業利益率が 8% に届けば、利益は今の 1.3 倍になる。
会社は配当性向 60% 以上を方針とし、政策保有株の縮減と自社株買いも掲げる。PBR 1 倍と時価総額 400 億円という目標を、株主に約束している。
資本効率の改善が進めば、ROE は資本コストに近づく、という主張だ。
鹿島建設などの政策保有株を売って資金を作れば、株主還元は厚くなる余地もある。
破砕機は黒字化の途上にあり、環境・搬送は利益率が高い。小さな事業の改善でも、全社の利益には効いてくる。
慎重な見方
慎重な見方は、利益率の低さを突く。営業利益率が 7% を超えたのは過去 12 年で 1 度だけだ。AP は国内シェア 8 割でも、利益率は 5% 台にとどまる。値上げの力が弱い証拠だ。
足もとの受注残は、補助金を使った更新需要の一時的な山だ。補助金が切れれば、受注は元に戻る。国内の舗装市場は人口減で縮み、新設の需要は期待できない。
会社の目標は営業利益率 8%、ROE 8% だが、これは過去のどの年も超えたことのない水準だ。達成しても、資本コストを上回る余地は小さい。会社が資本コストを 5% 強と見ているのも、甘い。
この値段は、山の利益に、年々厚くなる自己資本を乗せている、という主張だ。
全社費用は売上の 5% に迫り、物価でふくらむ。利益率の改善を食う。
破砕機と製造請負の不振は、前期から続く。小さな事業の改善に頼っても、全社の利益率が大きく変わるとは言えない。
国内の舗装予算は、人口減と財政の制約で長く増えない。補助金に頼る受注は、制度が変われば消える。
どちらに重みを置いたか
事業の堅さは強気の見方に分がある。だが、利益率と資本効率の低さは、慎重な見方が重い。中立の 10 年後は、時価総額も還元も増えるが、割り引くと今の水準に届かない。
確率は中立に最も厚く置き、更新需要が切れるやや悲観にも楽観より多めに置いた。最大の分かれ目は、AP の利益率が 8% を超えて定着するかどうかだ。結論はやや割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,235 円476 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 461 円178 億円)。 今の値に割り戻すと 920 円355 億円、今との差 −5.9%、 期待の年率 +5.7%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,896 円1,117 億円 | 799 円308 億円 | +277.7% | +14.2% | 296 円114 億円 |
| やや楽観 | 21% | 1,856 円716 億円 | 612 円236 億円 | +152.3% | +9.7% | 518 円200 億円 |
| 中立 | 36% | 1,268 円489 億円 | 487 円188 億円 | +79.5% | +6.0% | 632 円244 億円 |
| やや悲観 | 24% | 460 円177 億円 | 345 円133 億円 | −17.7% | −1.9% | 193 円75 億円 |
| 悲観 | 11% | 428 円165 億円 | 91 円35 億円 | −47.0% | −6.1% | 57 円22 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,235 円476 億円 | 461 円178 億円 | +73.4% | +5.7% | 1,696 円654 億円 |
今の株価時価総額 978 円377 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 更新需要が続き、AP の利益率が 2 桁に乗る 利益 65 億円 · PER 17.3 倍 · 株価時価総額 2,896 円1,117 億円
国の省エネ補助金を使った更新が、10 年にわたり途切れない。アスファルトプラントは、省エネ型への入れ替えとメンテナンスで受注が積み上がる。値上げも通り、AP の利益率は 11% 台に乗る。
コンクリートプラントは、人手不足で地場ゼネコンの自動化が進み、シェアを少し上げる。環境・搬送・破砕機では、ASEAN での買収と海外の販路が育つ。
全社の費用はふくらむが、売上の伸びがそれを上回る。営業利益率は 9% 台に乗り、会社の目標である 8% を超えて定着する。
配当は配当性向 70% 近くまで高まり、自社株買いも機動的に行われる。
- アスファルトプラント(AP):数量 3.6(国内と ASEAN の AP 市場(新設・更新・保守部品、億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 91(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 326 億円・営業利益 36 億円。セグメント利益率11.0%
- コンクリートプラント(BP):数量 3.2(国内と ASEAN の BP 市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 68(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 218 億円・営業利益 33 億円。セグメント利益率15.0%
- 環境・搬送・破砕機:数量 4.1(国内の環境・搬送・破砕機の市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 32(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 130 億円・営業利益 26 億円。セグメント利益率20.0%
- 製造請負・その他:数量 6.3(請負製造・仮設機材などの市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 20(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 125 億円・営業利益 18 億円。セグメント利益率14.0%
倍率:事業の純利益 65 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.3 倍。全体の PER 17.29 倍、時価総額 1,117 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:補助金を使った更新需要が 10 年続き、AP の利益率が会社計画の 10% 台に定着し、環境事業の M&A も当たる必要がある。条件が重なるため 1 割を切る。
やや楽観 21% 計画に近い形で、営業利益率は 7% 台後半 利益 47 億円 · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 1,856 円716 億円
受注残が売上に変わり、AP は更新需要で堅調に伸びる。AP の利益率は 8% 台まで戻る。メンテナンスの比率も少しずつ上がる。
コンクリートプラントは、競合 2 社と並んで安定した利益を出す。環境・搬送は、破砕機の再建で利益が戻る。
全社の営業利益率は 7% 台後半に上がる。会社が掲げる 8% には届かないが、過去の山である 7% を超える。
配当は配当性向 65% ほどを保つ。政策保有株の縮減で出る資金は、自社株買いに回る。
海外では ASEAN の引き合いが少しずつ増え、メンテナンスの収益も積み上がる。
- アスファルトプラント(AP):数量 3.4(国内と ASEAN の AP 市場(新設・更新・保守部品、億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 88(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 296 億円・営業利益 26 億円。セグメント利益率8.8%
- コンクリートプラント(BP):数量 3.1(国内と ASEAN の BP 市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 66(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 204 億円・営業利益 29 億円。セグメント利益率14.0%
- 環境・搬送・破砕機:数量 3.6(国内の環境・搬送・破砕機の市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 30(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 110 億円・営業利益 20 億円。セグメント利益率18.5%
- 製造請負・その他:数量 6.1(請負製造・仮設機材などの市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 20(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 121 億円・営業利益 16 億円。セグメント利益率13.0%
倍率:事業の純利益 47 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.1 倍。全体の PER 15.1 倍、時価総額 716 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残は 300 億円を超え、今期の売上計画は前期比 11% 増だ。会社の中期計画に近い形で、足もとの勢いが後ろ盾になる。
中立 36% 名目で物価並みに伸び、利益率は 6% 台にとどまる 利益 37 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,268 円489 億円
中立は、名目で物価並みに伸びる 10 年だ。売上は 700 億円近くまで増えるが、実質では 1 割ほどの増加にとどまる。
AP は更新需要が一巡したあとも、メンテナンスと省エネ改修で一定の仕事が残る。利益率は 7% 台半ばで、過去の水準より少し高い。コンクリートプラントは 13% 前後で安定する。
本社費などの全社費用は、物価で増え続ける。営業利益率は 6% 台半ばで、足もとと大差ない。
配当は配当性向 60% を保つ。自己資本は利益の 4 割ずつ積み上がり、ROE は 7% 台にとどまる。堅実だが、資本を働かせきれない会社だ。
- アスファルトプラント(AP):数量 3.2(国内と ASEAN の AP 市場(新設・更新・保守部品、億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 86(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 280 億円・営業利益 21 億円。セグメント利益率7.5%
- コンクリートプラント(BP):数量 3.0(国内と ASEAN の BP 市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 66(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 196 億円・営業利益 26 億円。セグメント利益率13.0%
- 環境・搬送・破砕機:数量 3.3(国内の環境・搬送・破砕機の市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 30(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 101 億円・営業利益 17 億円。セグメント利益率17.0%
- 製造請負・その他:数量 6.0(請負製造・仮設機材などの市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 20(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 119 億円・営業利益 14 億円。セグメント利益率12.0%
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 489 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年で営業利益率が 7% を超えたのは 1 度だけだ。計画の 8% は高い目標で、物価並みの成長と 6% 台の利益率を落としどころにした。
やや悲観 24% 更新需要が切れ、競争で利益率が 5% 台へ 利益 20 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 460 円177 億円
補助金の更新需要が 3〜4 年で切れる。国内の舗装工事は人口減少で細り、AP の受注は元の水準に戻る。
競合との価格競争で、AP の利益率は 5% 前後にとどまる。コンクリートプラントも、ゼネコンの投資が鈍って伸びない。破砕機は赤字が続く。
全社費用は物価で増え、営業利益率は 4% 台に下がる。
配当性向 60% の方針は保つが、利益が減るので、配当の総額は減る。自己資本は積み上がり、ROE は 4% 台にとどまる。
手元の現金は厚くないので、設備投資を絞り、成長の機会も逃す。10 年後には、国内の小さな市場に頼る堅実な中堅になっている。
- アスファルトプラント(AP):数量 2.8(国内と ASEAN の AP 市場(新設・更新・保守部品、億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 82(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 226 億円・営業利益 13 億円。セグメント利益率5.5%
- コンクリートプラント(BP):数量 2.8(国内と ASEAN の BP 市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 64(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 177 億円・営業利益 20 億円。セグメント利益率11.0%
- 環境・搬送・破砕機:数量 3.0(国内の環境・搬送・破砕機の市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 29(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 87 億円・営業利益 12 億円。セグメント利益率14.0%
- 製造請負・その他:数量 5.7(請負製造・仮設機材などの市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 19(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 109 億円・営業利益 12 億円。セグメント利益率11.0%
倍率:ROE 4% 台が k 7.5% を下回るため、PER の上限は 1÷k = 12.5 倍。稼ぐ力が落ち、受注も細る構造的な負けの筋書きなので、上限の 7 割強に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 9 倍・時価総額 177 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:補助金を使った更新需要は永続しない。切れたあとに国内の舗装投資が細り、競争が強まる形は、中立に次いで起こりやすい。
悲観 11% 公共投資が細り、受注型の普通の中堅へ 利益 −7 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 428 円165 億円
国内の道路舗装予算が長く縮む。合材の工場が減り、AP の新設と更新は止まる。外国メーカーが価格で入り、国内の最大手でも値引きに応じざるをえない。
コンクリートプラントも、地場ゼネコンの投資が冷え込み、受注が細る。破砕機と環境・搬送は、採算割れの案件が続く。
全社費用は物価で増え続け、営業利益はほぼゼロになる。
配当は大きく減り、政策保有株を売って赤字を埋める。残るのは、現金と有価証券、工場の資産だ。稼ぐ力でなく、売れる資産で値が付く。
配当性向の方針は守れず、会社は再建に追われる。
社員の高齢化と、プラントの運転員不足も重なる。受注の減りと人手の不足で、事業の維持そのものが重荷になる。
- アスファルトプラント(AP):数量 2.4(国内と ASEAN の AP 市場(新設・更新・保守部品、億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 73(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 176 億円・営業利益 4 億円。セグメント利益率2.0%
- コンクリートプラント(BP):数量 2.5(国内と ASEAN の BP 市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 60(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 147 億円・営業利益 9 億円。セグメント利益率6.0%
- 環境・搬送・破砕機:数量 2.6(国内の環境・搬送・破砕機の市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 26(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 66 億円・営業利益 4 億円。セグメント利益率6.0%
- 製造請負・その他:数量 5.1(請負製造・仮設機材などの市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア)× 価格 18(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 91 億円・営業利益 5 億円。セグメント利益率5.0%
倍率:公共投資の縮小と海外勢の価格攻勢で、稼ぐ力がほぼ消える構造的な負けの筋書き。純現金と売れる資産の税後を床にした。約 165 億円とみた。PBR はこの床を今の自己資本で割った値。
確率:国内の舗装予算が縮み、海外勢が価格で入り、大型案件で損失も出る。複合した負けだが、人口減少の国内市場では起こりうる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
アスファルトプラント(AP)
アスファルト合材工場の新設・更新、メンテナンス、部品。顧客は大手舗装会社が 8 割。
| 数量国内と ASEAN の AP 市場(新設・更新・保守部品、億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.0 | 64 | 193 | 10 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 86 | 280 | 21 |
取り方:APの売上 193.27 億円、セグメント利益 10.45 億円(利益率 5.4%)。国内のプラント販売は会社の開示で 8 割のシェア。保守部品と ASEAN も含めた市場を約 3 億ドル(450 億円)と筆者が推定し、当社の持ち分を 43% と置いた。市場を保守部品まで広げたので、シェアは 8 割より低い。
コンクリートプラント(BP)
生コン工場の新設・更新、メンテナンス。顧客は地場ゼネコンと生コン会社。
| 数量国内と ASEAN の BP 市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2.9 | 50 | 144 | 20 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 66 | 196 | 26 |
取り方:BPの売上 143.61 億円、セグメント利益 20.03 億円(利益率 13.9%)。会社の開示では競合 2 社と国内のシェアが拮抗する。市場を約 2.9 億ドルと筆者が推定し、当社の持ち分を 33% と置いた。
環境・搬送・破砕機
リサイクル施設・搬送機械と、建設廃材などを砕く破砕機。
| 数量国内の環境・搬送・破砕機の市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.0 | 23 | 68 | 13 |
| 10 年後 中立 | 3.3 | 30 | 101 | 17 |
取り方:環境・搬送の売上 43.71 億円(利益 12.16 億円、率 27.8%)と破砕機の売上 24.48 億円(利益 0.69 億円)を合わせた。市場を約 3 億ドルと筆者が推定し、持ち分を 15% と置いた。
製造請負・その他
産業機械・ガスホルダーの製造請負、仮設機材・土農工具、賃貸ビル。
| 数量請負製造・仮設機材などの市場(億ドル、筆者の推定、今の値段で測った実質)× 当社シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.0 | 15 | 89 | 12 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 20 | 119 | 14 |
取り方:製造請負の売上 33.39 億円(利益 5.43 億円)とその他の売上 55.22 億円(利益 6.37 億円)を合わせた。市場を約 6 億ドルと筆者が推定し、持ち分を 10% と置いた。賃貸ビルの家賃も含む。
リスクと懸念
更新需要が一巡する
受注残の厚みは、補助金を使った省エネ更新の山だ。補助金が切れれば、APの受注は元の水準に戻る。国内の舗装需要は人口減で細るため、反動は大きい。
利益率が上がらない
会社の目標は営業利益率 8% だが、過去 12 年で 7% を超えたのは 1 度だけだ。APは国内シェアが高くても、利益率は 5% 台にとどまる。値上げが通らなければ、計画は崩れる。
全社費用の重さ
セグメントの利益の合計と、全社の営業利益の差は、前期で 24 億円ある。売上の約 5% に当たる。物価で増え続けるので、売上が伸びても利益が残りにくい。
破砕機と請負の不振
破砕機は赤字に近く、製造請負も前期は利益が減った。大型案件の採算が悪化すると、全社の利益に響く。
公共投資と人手不足
顧客の大手舗装会社は、公共工事に頼る。予算が縮めば投資を絞る。人手不足でプラントの運転員が足りなくなれば、自動化の要求に応えられないリスクもある。
資本政策の遅れ
ROE は過去 10 年の中央値が 5% で、資本コストを下回ってきた。会社が資本コストを 5% 強と見ているのは甘い。具体的な還元策が遅れれば、株主の失望を招く。
今後の分かれ目
- APの営業利益率が 8% を超えて 2 年続いたら
- AP の利益率を上方に直し、楽観とやや楽観の確率を上げる。山でなく構造変化かを、メンテナンス比率で確かめる。
- 補助金の公募が打ち切られ、受注が急に落ちたら
- やや悲観の確率を上げ、AP の数量を下方に直す。
- 政策保有株の売却資金で、大きな自社株買いが発表されたら
- ROE の改善を織り込み、楽観側の確率を上げる。実際の実施額を確かめる。
- 破砕機や請負で大きな損失が出たら
- 全社費用を含む利益率を下げ、悲観側の確率を上げる。
- ASEAN での買収や海外受注が大きく伸びたら
- 環境・搬送と AP の数量を上方に直し、楽観の確率を上げる。海外の採算も確かめる。
- TOB や大株主の提案が出たら
- 資本政策が動く局面とみて、企業価値を見直す。
見ておくもの
- APの受注残と、セグメント利益率の推移
- 補助金(省エネ投資促進)の公募と採択の動き
- 中期計画の達成度(営業利益率 8%・ROE 8%・配当の引き上げ目標)
- 政策保有株の縮減額と自社株買いの実施
- 全社費用の推移(売上に対する比率)
倍率と資本コストの決め方
四事業を、実質の市場規模にシェアと物価並みの価格を掛けて積んだ。今の株価でなく、事業の数量と価格から 10 年後の利益を出した。倍率は式(k 7.5%、g 4.0%、残る割合 1/2)の上限の 7〜8.5 割に置き、今の PER・PBR や同業の倍率は使っていない。全社費用は、物価で 1.34 倍に増やして引いた。純現金は 34 億円で時価総額の 1 割を下回り、余った現金には分けていない。数量は実質で置き、物価は価格に入れたので二重がけはない。中立の利益率は 6% 台で、過去 12 年の山(7%)を超えていない。新リース会計基準の影響は、10 年後の数字を今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→17.29 倍・やや楽観 PER 11.5→15.1 倍・中立 PER 10.6→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.5% = 8.0%。補助金頼みの受注や資本政策の遅れは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。