結論
KLASSは、兵庫県たつの市の畳の機械の会社だ。畳を縫う機械で国内の首位に立ち、全国の畳店に材料も卸す。筆者の結論は、今の値段は割高というものだ。売上の7割を占める畳の事業が赤字で、借金が時価総額を上回るからだ。
今の利益を支えるのは、電池の製造装置や工場の自動化だ。売上は2割ほどだが、営業利益のほぼすべてを稼ぐ。ただこの事業は客の設備投資の波に振られ、2025年9月期は売上が3割近く減った。
畳の需要は、和室が消えていく住まいの変化で減り続けている。畳店も高齢化で店を閉じる。首位の座を守っても、市場そのものが細れば利益は出ない。
借金は約39億円で、現金を引いても29億円残る。新しい工場を建てた借入が重く、金利が上がれば利益を削る。過去10年のROEの中央値は5%台で、資本コストに届かない。筆者は、事業の組み替えは評価するが、払う値段に見合う安全域は無いと見る。
10年の中立では、畳が3割減り、装置が細く支える。純利益は2億円に届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、縮む本業から伸びる事業へ乗り移ろうとしている会社だ。
畳の機械の首位は、小さいが本物の強みだ。畳店は機械も材料もKLASSに頼る。ただ、その客が年々減っていく。どれほど強い地位でも、縮む市場の中では株主の資本を増やせない。
電池の装置と自動化は伸びる市場にいる。しかし、大手の下で装置を納める立場で、値段を決める力は弱い。受注の波も大きい。オーナーとして長く持ちたくなるほどの事業には、まだ育っていない。
資本の使い方では、新しい工場の借金が重い。その工場が稼ぐ力を示すまで、利払いは株主の取り分を先に削る。配当を5割近く払う姿勢は評価できるが、借金の大きさを考えると、払う値段に安全域は乏しいと筆者は考える。
装置の事業が全社の利益を安定して支える姿が見えてから考えても遅くない。今はまだ、借金の重さと受注の波のほうが目立つ。
何で稼ぐ会社か
1948年に畳の機械の会社として始まった。社名は極東産機からKLASSに変わり、今は4つの事業に分かれる。
最大はプロフェッショナルで、売上の7割を占める。中身の9割は、全国の畳店に畳表や畳床などの材料を卸すインテリアの事業だ。残りが畳を縫う機械で、ここは国内で首位にある。久保製作所の畳の機械の事業も引き継ぎ、機械を売ったあとの部品や修理でも稼ぐ。畳店に機械と材料の両方を届ける、畳の業界の問屋のような立場だ。
コンシューマは、棺に入れる畳や機能のある畳、太陽光の売電などの小さな事業を集めたものだ。
インダストリーは、電池の製造装置と食品の機器だ。電池の装置は東レエンジニアリングなどの大手を通じて、電池の工場に納める。食品の機器は、弁当工場などで具材を自動で量って配る機械だ。
ニュー・インダストリーは、2020年に買った自動化の会社ROSECCで、工場向けの自動化の設備を設計し、製造は外に任せる。
儲けの源は、売上の小さい機械の事業だ。材料の卸は売上は大きいが、利ざやが薄く、今は赤字だ。
社員の多くはたつの市の工場で働く地方の会社だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、畳の機械の首位という狭い場所にしかない。
畳を縫う機械は、市場が小さく、新しく入る会社がいない。KLASSは機械を売り、部品と修理で客とつながり、材料も卸す。畳店から見れば、頼れる取引先はほぼここしか無い。この囲い込みは本物だ。
ただ、その堀が守る市場が縮んでいる。新築の家から和室が消え、畳を替える家も減った。畳店は高齢化で年々減る。囲い込んだ客そのものが減れば、首位でも稼げない。材料の卸は、畳表の多くが中国産で、値段を決める力は弱い。
電池の製造装置と自動化は、伸びる市場にいる。だが規模は小さく、大手の下で装置を納める立場だ。客の設備投資の波に左右され、受注は年ごとに大きく振れる。
数字が実力を語る。過去10年の営業利益率は1〜5%で、ROEの中央値は5%台にとどまる。純負債は自己資本とほぼ同じで、財務の余裕も薄い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
畳の市場は、長く縮み続けている。
畳表の国内の需要は、30年前の数分の1になった。新築の家は洋室が中心で、和室を作らない家が増えた。古い家の建て替えで、畳の部屋はさらに減る。畳を張り替える周期も延びている。筆者は、この流れは10年で畳の需要をさらに3割ほど減らすと見る。
畳店も減っている。職人の高齢化で店を閉じる例が多く、残った店に注文が寄る。機械で縫う畳店が増えれば、機械の更新の需要は細々と残る。和紙や樹脂で作る色付きの畳など、洋室にも合う新しい畳は伸びている。
一方、電池の製造装置の市場は伸びる。電気自動車や蓄電池の工場は、世界で増え続ける。ただ設備投資には波がある。電気自動車の販売が鈍った2024〜2025年は、各社が工場の計画を先送りし、装置の受注も落ちた。
工場の自動化は、人手不足で需要が底堅い。食品工場や物流の現場では、人の手を機械に置き換える投資が続く。KLASSはこの流れに乗る小さな会社の1つにすぎず、大手との競争もある。
畳と装置という、まったく違う2つの市場の上に立つ会社だ。片方の縮みを、もう片方の伸びで埋められるかが問われる。
資本政策と M&A
還元は配当と小さな自社株買いだ。2025年9月期の配当の総額は0.5億円余りで、配当性向は5割近い。自社株買いも0.9億円ほど行った。利益の割には株主に戻している。
一方で、借金は重い。たつの市に新しい工場を建て、有利子負債は約39億円に膨らんだ。現金を引いても29億円あり、時価総額を上回る。金利が上がれば、利払いが利益を直接削る。
買収は2020年の自動化の会社ROSECCが最近の例だ。畳の会社から機械の会社への組み替えを、買収で進めてきた。この方向は正しいが、買った事業はまだ小さい。
時価総額は20億円ほどで、同業や機械の会社に買われる余地はある。ただ借金ごと引き受ける必要があり、筆者は確度の高い話とは見ない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社の中身は変わりつつある。営業利益のほとんどは、すでに電池の装置と自動化から出ている。電気自動車と蓄電池の工場は世界で増え続け、人手不足で工場の自動化の投資も止まらない。2025年に装置の売上が落ちたのは客の計画の先送りで、需要が消えたわけではない。会社は2026年9月期の経常利益を前期の1.5倍と見込んでいる。
新しい神岡工場が稼働すれば、装置を作る力は大きく増える。建物の償却は建てた時の値段のまま増えないので、売上が物価で伸びれば利益率は上がる。
畳の事業も赤字を縮めている。機械の首位を生かし、畳店に材料をまとめて届ける仕組みは他社にまねできない。洋室にも合う色付きの畳など、新しい需要もある。
PBRは0.7倍を下回り、配当は5割近く戻している。悪材料はかなり織り込まれていると見てよい。
小さな会社なので、装置の大口の注文が1つ入るだけで利益は大きく動く。上振れの余地は思ったより大きい。
慎重な見方
売上の7割を占める畳の事業が赤字だ。畳の需要は30年で数分の1になり、この先も減る。首位を守っても、市場が細れば材料の卸の利ざやは広がらない。畳表の多くは中国産で、値段を決める力も無い。
頼みの電池の装置は、波が大きすぎる。2025年9月期は売上が3割近く減った。大手の下で装置を納める立場では、客が投資を止めればすぐに受注が消える。電気自動車の伸びが鈍れば、何年も谷が続く。
借金も重い。新しい工場で有利子負債は約39億円に膨らみ、時価総額の2倍近い。金利が上がれば利払いは年1億円近く増え、営業利益の3分の1を食う。
過去10年のROEの中央値は5%台で、資本コストに届いた年はほとんど無い。事業を組み替えても、株主の取り分が増えた実績はまだ無い。
畳の会社が装置の会社に変わる話は、何年も前から聞こえてくる。だが全社の利益率はまだ3%に届かず、変わった証拠は数字に出ていない。
新しい工場は、その賭けをさらに大きくした。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。電池の装置と自動化が伸びる市場にいるのは確かだが、規模は小さく波も大きい。畳の縮みと借金の利払いは、数字で確かめられる重しだ。確率は中立に4割を置き、やや悲観をやや楽観と同じくらいの厚さにした。楽観は1割に満たない。装置の大口の注文で上振れする余地は認め、やや楽観に2割を置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 376 円20 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 151 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 252 円13 億円、今との差 −34.9%、 期待の年率 +3.1%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 906 円47 億円 | 326 円17 億円 | +218.2% | +12.3% | 86 円5 億円 |
| やや楽観 | 20% | 638 円33 億円 | 249 円13 億円 | +129.1% | +8.6% | 177 円9 億円 |
| 中立 | 40% | 401 円21 億円 | 172 円9 億円 | +48.2% | +4.0% | 229 円12 億円 |
| やや悲観 | 21% | 96 円5 億円 | 38 円2 億円 | −65.4% | −10.1% | 28 円1 億円 |
| 悲観 | 12% | 38 円2 億円 | 10 円1 億円 | −87.6% | −18.9% | 6 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 376 円20 億円 | 151 円8 億円 | +36.1% | +3.1% | 527 円28 億円 |
今の株価時価総額 387 円20 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 装置の会社に生まれ変わる 利益 4 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 906 円47 億円
電気自動車と蓄電池の工場への投資が、世界で長く続く。KLASSは新しい神岡工場で電池の装置を増産し、自動化の設備も食品や物流の工場に広げる。装置の台数は10年で1.6倍になり、利益率は13%に上がる。工場の償却は建てた時の値段のまま増えないので、売上が伸びるほど利益率が上がる。
畳の事業は縮むが、赤字は止まる。畳店の減少で注文が首位のKLASSに集まり、洋室向けの色付きの畳も伸びる。
稼いだ現金で借金を返し、利払いは軽くなる。配当は利益の半分を戻す。それでもROEは資本コストにわずかに届かない。装置の事業は大手の下の立場のままで、値段を決める力は限られる。
- 畳・インテリア(材料の卸・畳の機械・消費者向け):数量 128(卸す材料と機械を畳の枚数に換算した量(万枚分))× 価格 0.69(畳1枚分あたりの売上(万円))→ 売上 88 億円・営業利益 2 億円。畳の量0.85倍・単価1.38倍・利益率2.5%
- 産業機器・食品機器・自動化:数量 65.6(装置の出荷台数(台))× 価格 0.70(1台あたりの平均売上(億円))→ 売上 46 億円・営業利益 6 億円。台数1.6倍・単価1.38倍・利益率13%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 47 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:装置の台数を1.6倍にし、畳の事業も黒字にする必要がある。全社の営業利益率は過去10年の山4.9%を超える。電池の工場の投資が長く続き、新工場が埋まる姿で、確度は低い。
やや楽観 20% 装置が育ち、畳の赤字が止まる 利益 3 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 638 円33 億円
電池の装置の受注は谷を抜け、波を描きながら伸びる。自動化の設備も、人手不足の食品工場や物流の現場で売れる。装置の台数は10年で4割増え、利益率は12%前後を保つ。
畳の事業は、畳店の減少で材料の卸の量が2割強減る。それでも機械と材料をまとめて届ける仕組みで客を囲い、わずかな黒字に戻る。
借金は少しずつ減るが、借り換えの金利が上がり、利払いは今より重い。配当は利益の半分ほどを戻す。会社は装置の会社へと少しずつ形を変えるが、株主の資本を大きく増やすまでには至らない。
畳の機械の首位という地位は、10年後も細く残る。
- 畳・インテリア(材料の卸・畳の機械・消費者向け):数量 117(卸す材料と機械を畳の枚数に換算した量(万枚分))× 価格 0.67(畳1枚分あたりの売上(万円))→ 売上 78 億円・営業利益 1 億円。畳の量0.78倍・単価1.34倍・利益率1.8%
- 産業機器・食品機器・自動化:数量 57.4(装置の出荷台数(台))× 価格 0.69(1台あたりの平均売上(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 5 億円。台数1.4倍・単価1.36倍・利益率12%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 33 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社は2026年9月期の経常利益を前期の1.5倍と見込み、装置の需要の回復は見えている。装置の台数を4割増やし、畳を黒字に戻す姿で、中立より一段上。
中立 40% 畳は3割減り、装置が細く支える 利益 2 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 401 円21 億円
畳の需要は、和室の減少と畳店の高齢化で10年で3割ほど減る。KLASSは首位の地位で注文を集め、畳の材料の卸の量は3割弱の減少にとどめる。材料の値上げは物価並みに通し、事業は1%前後の薄い黒字に戻る。
電池の装置と自動化は、波を繰り返しながら台数を2割増やす。利益率は10%前後で、今より少し低い。大手の下で装置を納める立場は変わらない。
全社の営業利益は4億円前後になる。だが借り換えのたびに金利が上がり、利払いは年1億円近く増える。手元に残る純利益は2億円に届かない。配当は利益の半分ほどを戻し、自己資本はゆっくり増える。会社は続くが、ROEは資本コストを大きく下回ったままだ。
- 畳・インテリア(材料の卸・畳の機械・消費者向け):数量 108(卸す材料と機械を畳の枚数に換算した量(万枚分))× 価格 0.65(畳1枚分あたりの売上(万円))→ 売上 70 億円・営業利益 1 億円。畳の量0.72倍・単価1.30倍・利益率1%
- 産業機器・食品機器・自動化:数量 49.2(装置の出荷台数(台))× 価格 0.68(1台あたりの平均売上(億円))→ 売上 33 億円・営業利益 3 億円。台数1.2倍・単価1.34倍・利益率10%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.6% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 19 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:畳の需要の縮みは長い統計で確かめられ、装置の事業は波が大きい。過去10年の営業利益率は5%に届かず、その範囲で装置の比重が少し増える姿を中心に置いた。
やや悲観 21% 装置の谷が長引き、利息で赤字 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 96 円5 億円
電気自動車の伸びが鈍り、電池の工場の計画は何年も先送りされる。KLASSの装置の台数は今より1割減り、利益率は6%に落ちる。新しい工場は埋まらず、償却と固定費が重くのしかかる。
畳の需要は4割減る。畳店の廃業が続き、材料の卸の赤字が止まらない。
営業利益は1億円を割り、借金の利払いを引くと赤字になる。配当は細り、自己資本はじりじり減る。会社は畳の事業の縮小を迫られる。株主に残る値打ちは、装置の事業を売った時の値段くらいになる。
畳の事業を畳む判断が遅れるほど、赤字は長く続く。借金は減らず、利払いだけが毎年重くなっていく。
- 畳・インテリア(材料の卸・畳の機械・消費者向け):数量 90.0(卸す材料と機械を畳の枚数に換算した量(万枚分))× 価格 0.63(畳1枚分あたりの売上(万円))→ 売上 56 億円・営業利益 −1 億円。畳の量0.60倍・単価1.25倍・赤字
- 産業機器・食品機器・自動化:数量 36.9(装置の出荷台数(台))× 価格 0.65(1台あたりの平均売上(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。台数0.9倍・単価1.29倍・利益率6%
倍率:利払い後で赤字なので稼ぐ力の床は無い。装置の事業を売った時の値打ちから借金を引いた約5億円を床とし、今の自己資本31億円の0.16倍に置いた。EV(時価総額+純負債約29億円)÷営業利益は約39倍と高く見えるが、利益が細った筋書きだからで、株主の取り分は売れる事業の床で測った。
確率:2025年9月期に装置の売上が3割近く減った実績があり、電気自動車の伸びの鈍化は続いている。畳の縮みと利払いの重さが重なれば赤字になる。中立の次に厚く置いた。
悲観 12% 畳が半減し、借金が残る 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 38 円2 億円
畳の需要は10年で半分以下になる。畳店が次々と店を閉じ、材料の卸は赤字のまま縮む。機械の更新の需要もほとんど消える。
電池の装置は、大手が自前の装置や海外の安い装置に切り替え、KLASSへの注文は細る。台数は3割減り、利益率は2%に落ちる。
営業損失が続き、利払いがそれに重なる。自己資本は10年で3分の2が消える。銀行の求めで、新しい工場や配送センターを売って借金を返す。たつの市の土地は高く売れず、借金を返した残りはわずかだ。
会社が続いても、株主に残るのは細い配当と、わずかな資産の値打ちだけだ。
- 畳・インテリア(材料の卸・畳の機械・消費者向け):数量 67.5(卸す材料と機械を畳の枚数に換算した量(万枚分))× 価格 0.60(畳1枚分あたりの売上(万円))→ 売上 41 億円・営業利益 −1 億円。畳の量0.45倍・単価1.2倍・赤字
- 産業機器・食品機器・自動化:数量 28.7(装置の出荷台数(台))× 価格 0.62(1台あたりの平均売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。台数0.7倍・単価1.23倍・利益率2%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。土地建物の売却額から赤字で膨らんだ純負債を返した残りに戻り方0.5を掛けた約2億円を床とし、今の自己資本31億円の0.065倍に置いた。
確率:畳の需要の縮みが速まり、装置の事業も大手に切られれば、借金だけが残る。純負債が時価総額を上回るので、赤字が数年続けば株主の取り分は急速に細る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
畳・インテリア(材料の卸・畳の機械・消費者向け)
全国の畳店に畳表や畳床を卸し、畳を縫う機械と部品・修理を売る。棺用の畳や売電などの小さな事業も含む。
| 数量卸す材料と機械を畳の枚数に換算した量(万枚分) | 価格畳1枚分あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 150 | 0.50 | 75 | −1 |
| 10 年後 中立 | 108 | 0.65 | 70 | 1 |
取り方:枚数は未開示。プロフェッショナル67.5億円とコンシューマ7.5億円の計75億円を、畳1枚分の材料と機械の売上0.5万円で割った推定。営業利益は2つのセグメントの合計。
産業機器・食品機器・自動化
電池の製造装置、弁当工場などの具材を量る機械、工場の自動化の設備(ROSECC)。
| 数量装置の出荷台数(台) | 価格1台あたりの平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 41.0 | 0.51 | 21 | 3 |
| 10 年後 中立 | 49.2 | 0.68 | 33 | 3 |
取り方:台数は未開示。インダストリー12.3億円とニュー・インダストリー8.4億円の計20.7億円を、1台あたり約0.5億円で割った推定。営業利益は2つのセグメントの合計。
リスクと懸念
畳の需要の縮み
新築の家から和室が消え、畳を張り替える周期も延びた。畳店は職人の高齢化で店を閉じる。売上の7割を占める畳の事業は、首位を守っても市場とともに細る。材料の卸の利ざやは薄く、今は赤字だ。
電池の装置の波
利益の大半を稼ぐ電池の製造装置は、客の設備投資の計画で受注が大きく振れる。2025年9月期は売上が3割近く減った。電気自動車の伸びが鈍れば、谷が何年も続く。
大手への依存
電池の装置は、東レエンジニアリングなど大手を通じて納める。2024年9月期は1社で売上の1割強を占めた。大手が装置を内製したり、海外の安い装置に替えたりすれば、注文は一気に消える。
借金と金利
新しい工場を建てた借入で、有利子負債は約39億円ある。時価総額の2倍近い。借り換えのたびに金利が上がり、利払いは10年で年1億円ほど増える。営業利益の薄い年には赤字の原因になる。
新しい工場の稼働
たつの市の神岡工場は、装置の増産を見込んで建てた。受注が増えなければ、建物の償却と固定費だけが残る。投資の回収が遅れれば、借金の返済も遅れる。
今後の分かれ目
- インダストリーとニュー・インダストリーの売上が合わせて30億円を超えたら
- やや楽観の確率を厚くし、装置の台数と利益率を上げる。
- プロフェッショナルが2期続けて黒字になったら
- 畳の事業の利益率を中立で上げる。
- 純負債が20億円を切ったら
- 借金の上乗せを下げ、資本コストを下げる。利払いの増えも小さくなる。
- 大手の客の装置の内製や取引の打ち切りが出たら
- やや悲観の確率を厚くし、装置の台数を下げる。
- 畳の事業の縮小や売却が決まったら
- 残る装置の事業だけで価値を測り直し、畳の赤字を外す。
見ておくもの
- インダストリーとニュー・インダストリーの受注と売上
- プロフェッショナルの営業損益
- 有利子負債と支払利息
- 神岡工場の稼働
- 配当と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ずに、畳の材料と機械の量(推定)と装置の台数(推定)、それぞれの利益率から10年後の営業利益を積み、借り換えの利払いを引いた。中立〜楽観のROEは資本コスト9.25%を下回るので、PERは1÷k(約10.5倍)を上限に利益の質で8〜9割に置いた。悲観側は利払い後に赤字のため、装置の事業の値打ちと土地建物から借金を返した残りの床で置いた。PBRが0.7倍を下回ることは割安の根拠にしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→10.81 倍・やや楽観 PER 9→10.81 倍・中立 PER 8.5→10.81 倍)。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。