結論
ゲームカードホールディングスは、パチンコホールの会計を支える会社だ。客が玉やメダルを借りるプリペイドカードの仕組みと、カードユニットなどの機器をホールに納め、毎年の使用料と保守でも稼ぐ。加盟店舗のシェアは 36% ほどと推計され、同業のマースより大きい。
筆者の結論は、事業は堅いが 10 年の本質価値は今の値段の半分ほどで、割高だ。理由は 2 つある。ホールの数が 30 年連続で減り、顧客の母数が縮むこと。もう 1 つは、純現金が時価総額の半分を占めるのに、株主へ戻った実績が薄いことだ。
2026 年 3 月期の売上は 254 億円。新紙幣対応の入替特需が終わり、前の期の 380 億円から 3 割減った。2027 年 3 月期の会社予想は 210 億円とさらに低い。特需の山を平常と見ないことが、この会社を測るうえでいちばん大事だ。
良い点もある。使用料と保守のストック収入は景気で崩れにくく、機器がほとんど売れなかった 2021〜22 年 3 月期の底でも黒字を保った。借入は乏しく、自己資本比率は 9 割ある。だから潰れる心配は小さい。問題は、その現金がいつ株主に戻るかだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「割安に見えるが、持ち続けたいオーナー事業か」を問われる。
時価総額の半分は純現金だ。これは安全域になる。だが、現金は株主に戻って初めて価値になる。戻り方の実績が弱い間は、帳簿の額をそのまま数えない。
残りの半分、つまり事業の値打ちは、ストック収入と機器の入替が生む年 25 億円前後の利益だ。10 年後に顧客の母数は 3 割ほど縮むとみる。単価は物価に届きにくい。利益が名目でも伸びない事業に、高い倍率は払えない。
強みは、潰れにくいことだ。借入がなく、利益が出なくなる深い谷でも、現金が事業を支える。しかし、潰れないことと、株主の取り分が増えることは別だ。
値段が安全域として十分かどうかは、現金の戻し方で決まる。配当を利益の 6 割まで上げた点は前進だ。自社株買いや増配が続くことを確かめてから、評価を上げたい。
何で稼ぐ会社か
ゲームカードホールディングスは、パチンコ・パチスロ用のプリペイドカードシステムを、全国のホールに提供する。2011 年に日本ゲームカードとジョイコシステムズが経営統合して生まれ、2025 年 10 月に今の社名になった。
仕組みは単純だ。客は券売入金機で現金をカードに換え、台の脇のカードユニットにカードを差して玉やメダルを借りる。ホールは現金の扱いが減り、客は小銭を持ち歩かずにすむ。カードの発行元がこの会社で、使用料はホールから入る。
稼ぎは 3 つに分かれる。1 つ目は機器の販売で、カードユニット・券売入金機・精算機を売る。2024 年 3 月期の売上の約 8 割がこれだった。2 つ目はシステム使用料で約 1 割、3 つ目はカードの販売で 1 割弱だ。保守と工事も毎年の収入になる。
機器は一度入れると 10 年近く使われる。だから売れ方は波になる。ホールの新装、遊技機の世代交代、法律や紙幣の改定が入替の引き金だ。2024 年 7 月の新紙幣対応は大きな引き金で、2024〜25 年 3 月期の売上は 360〜380 億円に跳ねた。
会社は単一の事業として開示するため、本稿の機器とストックの分け方は推定だ。機器がほとんど動かなかった 2021〜22 年 3 月期の売上 106〜114 億円を、ストック収入のおおよその大きさとみている。
優良さと弱いところ
堀は、ホールの現場に入り込んでいることだ。カードユニットは台の横に並び、券売機・精算機・ホールの管理システムとつながる。他社のシステムへ替えるには、ホール全体の機器を入れ替えて、客の使い方を変える必要がある。切り替えの手間が、顧客をつなぎとめる。
ただし、この堀は広がらない。加盟店舗のシェアは 36% ほどで、ここ数年は減っているとの指摘がある(個人ブログの推計で、会社の開示ではない)。ホール経営は大手への集約が進み、大手は値引きを求める。同業のマースが 23〜24% を持ち、価格で競り合う。
資本の質は高い。自己資本比率は 9 割で、純現金は 203 億円ある。2023〜25 年 3 月期の好況で稼いだ現金を、無理な買収に使わなかった点は評価できる。
弱い点は 2 つだ。1 つは、顧客が遊技場という 1 つの業界に集まること。もう 1 つは、現金の使い道に実績が乏しいことだ。過去 5 年の配当は利益の 2 割ほどにとどまった。2026 年 3 月期にようやく 4 割まで上げたが、自社株買いの実績は見つからなかった。
大株主には、遊技機メーカーのSANKYO(9.5%)やマミヤ・オーピー(9.0%)が並ぶ。顧客業界の企業が株主にいるのは、安定にも、動きの鈍さにもなる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
顧客であるパチンコホールは、30 年連続で減っている。警察庁によると、2025 年末のホール数は 6,464 店で、1 年で 242 店減った。ピークの 1995 年は 18,224 店だった。設置台数も 323 万台と 9 万台減った。
一方で、1 店あたりの台数は初めて 500 台を超えた。小さなホールが退場し、大きなホールが残る。カードユニットは台に付くので、店が減っても台数はそこまで減らない。ここがこの事業の救いだ。ただ、店が大きくなるほど、交渉力はホール側に移る。
遊技機市場そのものは、スマスロの普及で 2024 年に 16 兆円台へ持ち直した。だが、これは入替の波であって、遊技人口の増加ではない。ホールが新台を入れる年は、カードユニットなど周辺機器も動く。波が引けば、周辺機器の投資も止まる。2027 年 3 月期の第 1 四半期は、売上が 24% 減った。
新しい脅威は、キャッシュレスだ。2026 年 6 月に、ホールのカウンターでデビットカードやプリペイドカードの決済を可能にする「PPPAY」が、提供準備完了を発表した。上限は 1 日 2 万円で、現金に足す手段という位置づけだ。当面は補助だが、客が現金カードを使わなくなれば、使用料の土台が揺れる。
競争は、同業のマースとの 2 社が軸だ。どちらも、ホール数と台数の減少を、単価の維持と機器の入替でしのぐ形になっている。
資本政策と M&A
配当の総額は、2023 年 3 月期の 5 億円から、2024 年 3 月期に 9 億円、2025 年 3 月期に 14 億円へ増えた。2026 年 3 月期も同じ額で、2027 年 3 月期も維持の予定だ。利益が 24 億円の予想なので、配当に回る利益の割合は 6 割近くになる。ここは評価できる。
一方、過去 5 年の合計で見ると、配当は利益の 2 割ほどだった。純現金も 2022 年 3 月期の 97 億円から 203 億円へ増えただけで、株主に戻した額は多くない。自社株買いの実績は確認できなかった。自己株は発行済みの 4% ほどを持つ。
株主優待は 2025 年 5 月に拡充された。100 株以上の株主に、保有期間と株数に応じて数千円相当のカタログギフトが年 1 回届く。株主数は確かめられなかったため、費用は年 2 億円ほどと推定した。これは株主への還元に数える。
大株主は、2026 年 3 月末で SANKYO が 9.5%、マミヤ・オーピーが 9.0%。米国の投資会社レンジリー・キャピタルは 5% 超を持ち、会社に提案する意向を示している。2026 年 5 月には主要株主の異動が開示され、SANKYO が保有を増やしたとの報告が出た。内容は確かめられていない。
2024 年 9 月に、トリプルアイズの株式を取得した。2025 年 5 月に、譲渡制限付株式報酬も導入した。現金の使い道は、配当・買収・設備のどれに向かうかが、これからの評価を決める。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ホールの数は減るが、1 店あたりの台数は増え続けている。カードユニットは台に付くので、店の減少ほど台数は減らない。2025 年末で設置台数は 323 万台あり、前年からの減少は 3% にとどまった。10 年で台数が 2 割台の減少なら、使用料は思ったほど痛まない。
機器は、入替の周期が戻れば売上が出る。2024 年の新紙幣対応で一巡したあとも、スマート遊技機の普及で台の周辺機器を替えるホールは続く。10 年に 1 度の更新を迎える 2034〜36 年に、2024〜25 年の機器が耐用年数を迎える。
カードは現金を扱いやすくする仕組みで、キャッシュレスとも組める。決済の窓口を会社が握れば、使用料を物価以上に上げられる。PPPAY のような新しい決済も、カードシステムの接続口として取り込める。
株主の顔ぶれも変わった。物言う投資家が 5% を超え、遊技機メーカーの SANKYO は持分を増やした。純現金が時価総額の半分あり、自己資本比率は 9 割。圧力が強まれば、増配や自社株買いで現金が戻る。業界の再編で、TOB が出る余地もある。
2026 年 3 月期の株主優待の拡充と、4 割まで上がった配当は、その方向の第一歩だ。
慎重な見方
ホールは 30 年連続で減っている。10 年で 3 割減っても不思議はなく、顧客の母数が縮めば、使用料も機器の入替も細る。2027 年 3 月期の第 1 四半期は、売上が 24% 減った。新紙幣の特需が終わると、売上は 2022 年 3 月期の 114 億円に向かって落ちやすい。
大手ホールは交渉力が強く、価格を押し下げる。マースとの競争で、シェアも減っている。単価が物価に届かなければ、売上は名目でも伸びない。固定費が物価で増えるので、利益の減り方は売上より速い。
キャッシュレスの脅威も現実的だ。PPPAY のように、客がホールの窓口でカードを使って玉を借りられれば、プリペイドカードの出番は減る。ホール側の負担が 0.25% と軽いため、導入の動機は強い。
現金の戻りも当てにならない。過去 5 年の配当は利益の 2 割ほどで、自社株買いの実績もない。大株主には顧客業界の企業が並び、会社の安定を保つ力が働く。現金を事業の外に出せば、会社の姿は変わる。
帳簿の純現金 203 億円と時価総額の半分という見かけの安さは、事業が縮む分を値引きしたに過ぎない。
どちらに重みを置いたか
強気の見方には、現金の厚みと台数の粘りという裏づけがある。慎重な見方には、30 年続くホール数の減少と、顧客の母数が縮む確かな流れがある。ホールの数は動かしようのない事実で、こちらの言い分が強いと判断した。
ただし、現金が戻る余地と、再編で値が付く可能性は残る。確率は、中立を 3 割強に置き、やや悲観と悲観を合わせて 4 割とした。楽観側は、物言う投資家と SANKYO の動きを考え、合わせて 3 割弱を残した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,825 円396 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,103 円155 億円)。 今の値に割り戻すと 1,983 円278 億円、今との差 −27.4%、 期待の年率 +3.7%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 4,916 円690 億円 | 2,067 円290 億円 | +155.6% | +9.8% | 489 円69 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,330 円607 億円 | 1,426 円200 億円 | +110.7% | +7.7% | 1,151 円161 億円 |
| 中立 | 33% | 3,496 円490 億円 | 1,141 円160 億円 | +69.7% | +5.4% | 1,530 円215 億円 |
| やや悲観 | 27% | 1,433 円201 億円 | 891 円125 億円 | −14.9% | −1.6% | 628 円88 億円 |
| 悲観 | 13% | 570 円80 億円 | 428 円60 億円 | −63.5% | −9.6% | 130 円18 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,825 円396 億円 | 1,103 円155 億円 | +43.8% | +3.7% | 3,928 円551 億円 |
今の株価時価総額 2,732 円383 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% ホールの再編と現金の還元が進み、決済の窓口も握る10年 利益 52 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 4,916 円690 億円
ホール数は減るが、大手への集約で 1 店あたりの台数は増え、稼働ユニットは今の 9 割弱を保つ。同社はキャッシュレスの接続口も取り込み、カードの使用料は物価を上回って上がる。入替の波は 2030 年代半ばに再び来て、機器の販売は年 55 千台ほどに戻る。
株主の側でも動きが出る。物言う投資家と SANKYO が圧力をかけ、増配と自社株買いが続く。純現金の厚みは、株主に戻る現金として評価される。再編の動きがあれば、TOB で値が付く可能性もある。
営業利益は 64 億円まで戻るが、2024〜25 年 3 月期の 90 億円台には届かない。固定費は物価で増え、新紙幣のような一斉入替の特需は再現しないためだ。10 年の配当と自社株買いの合計は 270 億円、優待は 20 億円とみた。
- システム使用料・カード・保守(ストック収入):数量 510(稼働中のカードユニット(千台、推定))× 価格 2.51(1 台あたりの年間収入(万円、名目))→ 売上 128 億円・営業利益 54 億円。ストック: 稼働 510 千台・1 台 2.51 万円・利益率 42%
- 機器販売(カードユニット・券売入金機・精算機):数量 55.0(年間の販売台数(千台、推定))× 価格 34(1 台あたりの平均販売額(万円、名目))→ 売上 189 億円・営業利益 57 億円。機器: 55 千台・1 台 34.3 万円・利益率 30%
倍率:事業の純利益 50 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)98 億円。全体の PER 11.8 倍、時価総額 690 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:物言う投資家と SANKYO の動き、再編の可能性を合わせた上振れ。台数の粘りと現金の還元が両方そろう必要があり、確率は低く置いた。
やや楽観 20% 台数が粘り、周期の更新が順調に戻る10年 利益 40 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 4,330 円607 億円
ホール数の減少は年 2% 台にとどまり、稼働ユニットは 0.8 倍で落ち着く。使用料の単価は物価よりやや低く上がり、機器は耐用年数を迎えた更新で、年 48 千台が売れる。大手ホールとの価格交渉は厳しいが、現場に入り込んだ立場を守る。
キャッシュレスは補助的な決済にとどまり、カードの出番を奪わない。会社は現金を使った大きな買収には動かず、配当は年 14 億円から緩やかに上がる。
営業利益は 47 億円で、今期の 45 億円と同程度に戻る。ただし、物価で固定費が増える分、売上の伸びほど利益は増えない。10 年の配当は 180 億円、優待は 20 億円とみた。
- システム使用料・カード・保守(ストック収入):数量 464(稼働中のカードユニット(千台、推定))× 価格 2.42(1 台あたりの年間収入(万円、名目))→ 売上 112 億円・営業利益 45 億円。ストック: 稼働 464 千台・1 台 2.42 万円・利益率 40%
- 機器販売(カードユニット・券売入金機・精算機):数量 48.0(年間の販売台数(千台、推定))× 価格 33(1 台あたりの平均販売額(万円、名目))→ 売上 160 億円・営業利益 45 億円。機器: 48 千台・1 台 33.3 万円・利益率 28%
倍率:事業の純利益 38 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)98 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 546 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:台数の減少が緩やかで、入替の波が戻る筋書き。ホールの 1 店あたり台数が増える動きが続く前提。
中立 33% ホールの母数が3割縮み、単価は物価に届かない10年 利益 29 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 3,496 円490 億円
遊技機の台数は年 3% ほど減り、ホールの数も減り続ける。同社の稼働ユニットは 10 年で 0.72 倍になる。使用料の単価は物価並みに上がる。一方、機器の単価は、大手ホールの値引きと部品の値下がりで物価の 1.25 倍にとどまる。
機器の販売は、新紙幣の特需が終わったあとの水準に戻り、年 42 千台ほどで落ち着く。売上は 231 億円、営業利益は 31 億円。2027 年 3 月期の会社予想(売上 210 億円・営業利益 30 億円)と同じ水準が 10 年続く形だ。
会社は年 14 億円の配当を維持するが、増やす理由は乏しい。10 年の配当は 140 億円、優待は 20 億円とみた。純現金は増えるが、戻るのは半分程度と置く。
- システム使用料・カード・保守(ストック収入):数量 418(稼働中のカードユニット(千台、推定))× 価格 2.32(1 台あたりの年間収入(万円、名目))→ 売上 97 億円・営業利益 36 億円。ストック: 稼働 418 千台・1 台 2.32 万円・利益率 37%
- 機器販売(カードユニット・券売入金機・精算機):数量 42.0(年間の販売台数(千台、推定))× 価格 32(1 台あたりの平均販売額(万円、名目))→ 売上 134 億円・営業利益 35 億円。機器: 42 千台・1 台 32.0 万円・利益率 26%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)98 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 417 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業種のノートの中心(遊技機の台数は年 −2〜4%)に沿い、稼働ユニットは 10 年で 0.72 倍。同業のマースの置き方にそろえた。
やや悲観 27% 大手ホールの値引きとキャッシュレスで、使用料が痩せる10年 利益 9 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,433 円201 億円
大手ホールが集約を進め、価格交渉でさらに押し込まれる。マースとの価格競争でシェアも落ち、稼働ユニットは 0.58 倍まで減る。使用料の単価は物価に届かず、1.2 倍にとどまる。
キャッシュレスの決済が一部のホールに入り、カードの使用が減る。機器の販売は年 30 千台へ細り、単価も下がる。売上は 154 億円と、2021〜22 年 3 月期の 106〜114 億円に近づく。
営業利益は 3 億円まで薄まる。固定費を 34 億円まで切り詰めるが、売上の落ち方に追いつかない。配当は利益を上回り、現金から払う。10 年の配当は 110 億円、優待は 15 億円とみた。
- システム使用料・カード・保守(ストック収入):数量 336(稼働中のカードユニット(千台、推定))× 価格 2.07(1 台あたりの年間収入(万円、名目))→ 売上 70 億円・営業利益 24 億円。ストック: 稼働 336 千台・1 台 2.07 万円・利益率 35%
- 機器販売(カードユニット・券売入金機・精算機):数量 30.0(年間の販売台数(千台、推定))× 価格 28(1 台あたりの平均販売額(万円、名目))→ 売上 85 億円・営業利益 13 億円。機器: 30 千台・1 台 28.2 万円・利益率 15%
倍率:営業利益がほぼ消え、稼ぐ力(純利益÷k)は小さい。PER は使わず、純現金と売れる資産の税後から出した床(floor_assets_oku)の額を、今の自己資本 604 億円に対する PBR で示した。
確率:大手ホールの値引きが強まり、同業との価格競争とキャッシュレスの浸食が進む。ホール数の減少が速まる筋書き。
悲観 13% カードが主役でなくなり、事業が小さな現金の箱になる10年 利益 −8 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 570 円80 億円
キャッシュレスがホールの標準になり、プリペイドカードの出番が大きく減る。規制強化とホールの退場が重なり、稼働ユニットは 0.35 倍まで落ちる。機器の販売は年 15 千台に細り、価格競争で単価も下がる。
売上は 73 億円まで縮み、営業損益は赤字になる。固定費を 26 億円まで切り詰めても、赤字が定着する。配当は大きく減らし、現金で赤字を埋める。
失敗した投資や、貸与機器の除却も重なる。現金が目減りした小さな事業が残り、価値は純現金と売れる資産で支えられる。10 年の配当は 50 億円、優待は 10 億円とみた。
- システム使用料・カード・保守(ストック収入):数量 203(稼働中のカードユニット(千台、推定))× 価格 1.81(1 台あたりの年間収入(万円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 11 億円。ストック: 稼働 203 千台・1 台 1.81 万円・利益率 30%
- 機器販売(カードユニット・券売入金機・精算機):数量 15.0(年間の販売台数(千台、推定))× 価格 24(1 台あたりの平均販売額(万円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 0 億円。機器: 15 千台・1 台 24.3 万円・利益率 0%
倍率:赤字で稼ぐ力はないため、PER は使わず、純現金と売れる資産の税後から出した床(floor_assets_oku)の額を今の自己資本 604 億円に対する PBR で示した。
確率:規制強化やキャッシュレスの定着でカードの出番が大きく減る構造的な負け。現金は残るが、事業は縮む。業種のノートの最大リスクに沿う。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
システム使用料・カード・保守(ストック収入)
ホールに置いたカードユニットの使用料、プリペイドカードの発行、保守と工事で、毎年積み上がる収入。
| 数量稼働中のカードユニット(千台、推定) | 価格1 台あたりの年間収入(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 580 | 1.73 | 100 | 38 |
| 10 年後 中立 | 418 | 2.32 | 97 | 36 |
取り方:会社は単一の事業として開示するため、この分け方は推定。遊技機の設置台数 323 万台(警察庁、2025 年末)を 2 台に 1 台のユニットが受け持つとみて、当社の加盟店舗シェア約 36%(個人ブログの推計)を掛け、稼働 580 千台とした。機器がほとんど動かなかった 2021〜22 年 3 月期の売上 106〜114 億円から、ストック収入を年 100 億円前後とし、1 台あたり 1.73 万円と逆算した。利益率 38% は、その 2 年の営業利益 11 億円に合うように置いた。
機器販売(カードユニット・券売入金機・精算機)
ホールの新装・入替・新紙幣対応のたびに売れる機器。景気とホールの設備投資で数量が大きく振れる。
| 数量年間の販売台数(千台、推定) | 価格1 台あたりの平均販売額(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 26 | 154 | 42 |
| 10 年後 中立 | 42.0 | 32 | 134 | 35 |
取り方:全社の売上 254 億円からストック収入 100 億円を引いた残りを機器とした(推定)。年間販売は稼働台数 580 千台の約 1/10(耐用年数 10 年弱)の 60 千台とみて、1 台あたり券売入金機や精算機を含めた平均で 25.6 万円と逆算した。共通の固定費は営業利益の合計に合わせ、34.3 億円とした。
リスクと懸念
ホール数の減少(顧客の母数)
ホールは 30 年連続で減り、2025 年末で 6,464 店になった。1 店あたりの台数は増えているが、店が減れば使用料と機器の入替は細る。減少が年 5% に加速すれば、稼働ユニットは 10 年で 6 割に落ちる。
入替特需の反動
2024 年の新紙幣対応で機器の売上が跳ね、2025 年 3 月期に 380 億円に達した。特需が終わり、2027 年 3 月期の第 1 四半期は売上が 24% 減った。次の更新が来るまで、機器の売上は低い水準が続く恐れがある。
キャッシュレスの浸食
2026 年 6 月に、デビットカードやプリペイドカードをホールのカウンターで使えるサービスが、提供準備を完了した。上限は 1 日 2 万円で当面は補助的だが、客がカードに換えない流れが広がれば、使用料の土台が揺らぐ。
同業との価格競争と大手ホールの交渉力
マースが加盟店舗の 23〜24% を持つ。当社は 36% ほどで、シェアは減少傾向との指摘がある(個人ブログの推計)。大手ホールへの集約が進むと、値引きの圧力が強まり、単価は物価に届かなくなる。
現金の戻りが遅い
純現金が時価総額の半分あるが、過去 5 年の配当は利益の 2 割ほどで、自社株買いの実績がない。大株主に顧客業界の企業が並び、現金が事業の外へ出ない可能性がある。戻らなければ、現金の価値は半分で数えるしかない。
現金の使い道(買収・新規事業)
2024 年 9 月にトリプルアイズの株式を取得したが、規模と狙いは確かめられていない。単一の業界に頼る会社が、本業と離れた買収に現金を使う場合、価値を壊すリスクがある。
規制と出玉・遊技環境の変化
遊技の規制強化や、賭け事への社会の目が厳しくなれば、ホールの利用者が減る。ホールの設備投資も止まり、周辺機器の売上は機器の入替が先延ばしされる形で直撃を受ける。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期に機器の販売が会社予想(売上 210 億円)を下回って続いたら
- ホールの設備投資が想定より弱いとみて、やや悲観・悲観の確率を上げる。ストック収入の落ち方を見て、機器とストックの比率を見直す。
- 物言う投資家の提案や SANKYO の持分増加が、増配・自社株買いにつながったら
- 余った現金の戻り方を 0.5 から引き上げる。純現金の評価が上がり、割高の度合いは小さくなる。
- ホールのキャッシュレス決済が広がり、カード式の導入ホールが減り始めたら
- ストック収入の数量を引き下げ、悲観の確率を上げる。寿命の見方も重くする。
- 同業のマースとの合併・再編、または SANKYO などによる TOB が出たら
- 再編の値付けを楽観側の上限と照らし、確率を上げる。ただし、現金の持分の分け方を確かめる。
- ホール数の減少が年 4% を下回り、台数が横ばいに近づいたら
- ユニット数の見通しを引き上げ、楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 現金を使った大きな買収を発表したら
- 資本配分の規律を疑い、余った現金の戻り方を下げる。
見ておくもの
- 四半期ごとの売上高と営業利益(機器とストックの区別が開示されれば、その比率)
- 警察庁が毎年公表するホール数と設置台数
- ホールのキャッシュレス決済(PPPAY など)の導入店舗数
- マースとの加盟店舗シェアの変化
- 配当・自社株買いの発表と、大株主(SANKYO・レンジリー)の持分の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 8.5%(基本 7.5% に quality +2.0%)から決めた。ROE が k を下回るため、PER の上限は 1÷k = 10.5 倍で、これに利益の質(半分が入替の周期に左右される)を見て 8.6 倍に置いた。今の PER や同業の PER は使っていない。数量は稼働ユニット(実質)、価格は名目の指数で、物価の二重がけはしていない。固定費は物価 1.34 倍が基本で、売上が減る筋書きでは 2012 年以降に売上を 436 億円から 106 億円まで縮めながらほぼ黒字を保った実績(赤字は 2016 年 3 月期だけ)に沿って圧縮した。純現金は時価総額の 52% で、事業に要る約 73 億円を残し、130 億円を余った現金とした。優待は年 2 億円と推定して還元に足した。新リース会計基準は、当社が機器を貸す側のため影響が小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.8→11.8 倍・やや楽観 PER 9.3→11.76 倍・中立 PER 8.6→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +2.0% = 9.5%。ホールの減少や SANKYO など大株主の動き、現金の戻りの鈍さは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。