結論
竹内製作所は、小型のショベルとクローラーローダーを、北米と欧州に売る専業メーカーだ。ミニショベルの草分けとして知られ、売上の 9 割を海外で稼ぐ。
結論として、筆者は今の値段をおおむね妥当と見る。強みは明らかだが、10 年で見ると関税と建設需要の波が、その強みを相殺するからだ。
いま稼ぎを引っぱるのはクローラーローダーだ。北米ではデータセンターや送電網の工事が続き、需要が強い。会社は新しい専用工場を建て、能力を 3 割ほど増やす。
重しは 2026 年 4 月に発動した 25% の鉄鋼関税だ。価格転嫁と円安で今は吸収しているが、恒常化すれば利益率を削る。
財務は強い。自己資本比率は 8 割あり、借金より現金が多い。還元も厚くする方針だ。ただ、小さな専業メーカーは景気の波をまともに受ける。リーマン後は 3 期連続で赤字になった。筆者はこの傷の深さを、安全域を見る時の基準にした。
長期では、北米のローダーがどこまでシェアを取れるかが、本質価値を左右する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、竹内は「いい事業だが、安く買える会社ではない」。
いい事業と言える理由は 3 つある。ミニショベルとローダーという分かりやすい機械で稼ぎ、利益率は 17% 近くまで上がり、借金がなく現金が多い。買収に走らず、投資も堅い。
ただ、10 年後もこの事業が今より強いかは分からない。小型の建設機械は景気の波を受け、米国では関税が追い打ちをかけるからだ。堀は厚いが、独占ではない。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、おおむね純利益の 7〜8 割と見る。新工場と在庫の積み増しに現金が要るからだ。
安全域は薄い。中立でも今の時価総額を 1 割ちょっと上回る程度で、悲観の筋書きが来れば半分以下になる。長く持ちたい会社だが、払ってよい値段は今より少し下だと筆者は見る。経営が堅実なことは安心材料である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は 2 つだ。ミニショベルと、クローラーローダー(ゴム製の足回りで走る小型の積み込み機)である。
ショベルは重量 6 トン未満の小型機で、都市部の配管工事・造園・住宅の基礎工事に使われる。ローダーは土砂や資材を運ぶ機械で、北米ではレンタル会社が大口の買い手だ。
売上の約 6 割は北米、約 4 割は欧州だ。日本とアジアはごくわずかである。長野県の工場で作り、世界の自社販売会社とディーラーを通じて売る。ローダーは米国で最終組み立てをする。ショベルは日本から運ぶ。
稼ぎの質を左右するのは部品だ。販売した機械が稼働を続ける限り、補修部品が売れる。部品の売上は約 190 億円(推定)で、利益率が高い。中期計画では 3 年で約 2 割の増加を見込む。
電池式のミニショベルも売り始めた。2 トン級が販売中で、ほかの大きさは試験中だ。いまは小さな柱だが、欧州の排出規制と相性がよい。
買い手はレンタル会社と個人事業の施工業者だ。機械が止まれば仕事が止まるため、故障の少なさと部品の届きやすさが、購入の決め手になる。
事業の構造は単純で、予測しやすい部類に入る。
優良さと弱いところ
筆者が見る堀は、機械の使い勝手と販売網にある。顧客から「建機のベンツ」と呼ばれるほど、耐久性と操作性への評価は高い。
ただし、堀は普通の厚さと見た。値段を自分で決められるほどの独占ではない。ライバルは米国のボブキャット、日本のクボタとヤンマー、キャタピラーだ。ここは性能と販売網で戦う市場である。
資本の効率は高い。直近の ROE は 15% で、利益率は 17% 近くまで上がった。売上が伸びても、設備に使うお金は比較的少なくて済んできた。
弱みは 3 つある。第 1 に、売上が北米に偏る。第 2 に、生産は長野の少数の工場に集中する。第 3 に、関税の影響を日本から輸出する形で直接受ける。
経営は堅実だ。借金に頼らず、投資も計画的に行う。社員への賃上げに 3 年で約 108 億円を回す方針も、人手不足の時代に筋が通る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設機械は景気の波が大きい業界だ。竹内の主戦場は小型機だが、波の影響は免れない。
北米の需要は二層に分かれる。住宅向けは、住宅ローン金利が高く弱い。一方、データセンター・送電網・水道などのインフラ工事は強い。竹内はこちらをローダーで取り込み、足元の好調を支えている。
欧州は底を打ち、緩やかに戻りつつある。ただ、電池式への切り替えを迫る規制もあり、ショベルの単価は上がりやすい。
競争の形は次の通り。ミニショベルはクボタ・ボブキャット・ヤンマー・キャタピラーなど多数で、数年ごとに順位が入れ替わる。ローダーはボブキャットが先頭を走り、キャタピラー・クボタ・竹内が続くとみられる。
最大の変数は米国の関税だ。米国に工場を持つ競合は有利になる。竹内は米国でローダーの最終組み立てを行うが、部品と車体の多くは日本から運ぶ。
欧州ではユーロ圏の景気と為替が効く。英国と欧州大陸の販売会社が自社の持ち物なので、アフターサービスの質で差がつく。
オセアニアは小さいが、豊田自動織機の子会社を新しい代理店に加え、約 100 億円の売上を目指している。
資本政策と M&A
還元は厚くなる方向だ。中期計画では配当性向を 4 割へ段階的に上げる。2026 年 10 月には最大 150 億円の自社株買いも始めた。
成長への投資も惜しまない。3 年間の設備投資は約 350 億円で、うち約 180 億円は北米向けローダーの専用工場に回す。
買収は小さい。目立った大型案件はなく、提携は豪州の販売会社(豊田自動織機の子会社)が中心だ。政策保有株は原則持たない。
余った現金は還元に回すと会社は言う。月商の 2〜2.5 か月分を運転資金に残し、それを超える分を戻す方針だ。筆者はこの方針を妥当と見る。
TOB の可能性は低くない。時価総額が小さく、財務は強いからだ。ただ、買い手の顔ぶれは見えず、筋書きには入れていない。
還元の点検(P3 2026-10-19):配当性向を40%へ段階的に引き上げ、150億円の自社株買い、運転資金を超える現金は還元する方針。中立の55%はその範囲。直さず。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
北米のローダー市場はまだ伸びる。データセンターと電力網の工事は、AI 投資が続く限り終わらない。竹内のローダーはレンタル会社に評判がよく、販売店は 280 から 360 拠点に増える。新工場が動けば、能力は 3 割増える。
関税は恒常化しても、価格に乗せられる。米国の競合も鋼材を使い、同じコスト増を負うからだ。円安も追い風になり、足元の業績は上方修正された。
部品は稼働機の数とともに増える。ここは利益率が高く、景気の波も小さい。ROE は 17% を超え、配当性向 4 割の方針まで来れば、還元も厚くなる。
ミニショベルも欧州の回復と電池式で伸びる。10 年で売上が 2 倍になっても、おかしくない。竹内はこれまでの 10 年でも、売上を約 2.6 倍に伸ばしてきた。
経営陣は売上 3,000 億円・営業利益 520 億円という目標を掲げている。台数でも、ローダーを 5 割近く増やす計画だ。関税で遠のいたとはいえ、方向は変わっていない。
慎重な見方
利益率は今が山に近い。2024 年以降の 17% 前後は、北米の需要と円安、価格転嫁が揃った結果だ。関税の恒常化と賃上げで、利益率は構造的に下がる。足元の上振れも、関税の還付と円安という一時的な要因が混じっている。
竹内は米国に工場を持たない(ローダーの最終組み立てのみ)。ボブキャットやクボタは米国で作るため、関税で不利になるのは竹内の方だ。
北米への依存が高いのも怖い。売上の 6 割が一つの市場にあり、景気が崩れたら受注は大きく落ちる。リーマンの後は、3 期続けて赤字になった。
新工場の約 180 億円は需要が続く前提の投資で、外せば固定費が重くなる。
賃上げも 3 年で約 108 億円と大きい。売上が伸びなければ、利益率は守れない。さらに、中国メーカーが欧州や新興国で値引きを仕掛ければ、竹内の価格転嫁も難しくなる。
ローダーの市場は参入が続いている。規模の小さい竹内は、販売店への販売プログラム(値引きや金利補助)で大手に負けやすい。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分も正しいが、10 年で見ると関税と景気の波が効く。筆者はやや慎重な側を重く見て、中立に 33%、悲観に 13% を置いた。
悲観の確率を 1 割台に置いたのは、純現金と堅い財務で会社が潰れる姿は考えにくい一方、北米の集中が深い傷になりうるからだ。楽観は 1 割にとどめた。
結果は、確率の加重で今の時価総額に近い。今の値段は妥当と見るが、悲観側の裾は長い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 18,036 円8,332 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 4,134 円1,910 億円)。 今の値に割り戻すと 12,368 円5,714 億円、今との差 +57.6%、 期待の年率 +10.9%(資本コスト 6.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 29,955 円1.38 兆円 | 5,195 円2,400 億円 | +347.8% | +16.2% | 3,515 円1,624 億円 |
| やや楽観 | 22% | 24,077 円1.11 兆円 | 4,870 円2,250 億円 | +268.8% | +13.9% | 6,369 円2,942 億円 |
| 中立 | 33% | 21,205 円9,796 億円 | 4,546 円2,100 億円 | +228.0% | +12.6% | 8,498 円3,926 億円 |
| やや悲観 | 22% | 10,817 円4,997 億円 | 3,463 円1,600 億円 | +81.9% | +6.2% | 3,142 円1,451 億円 |
| 悲観 | 13% | 2,814 円1,300 億円 | 2,165 円1,000 億円 | −36.6% | −4.5% | 647 円299 億円 |
| 加重平均 | 100% | 18,036 円8,332 億円 | 4,134 円1,910 億円 | +182.4% | +10.9% | 22,170 円1.02 兆円 |
今の株価時価総額 7,850 円3,626 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.8% を下回るほど割高。
楽観 10% ローダーが北米で定番になり、新工場も満杯 利益 665 億円 · PER 20.8 倍 · 株価時価総額 29,955 円1.38 兆円
北米の工事需要が 10 年を通して強く、ローダーはレンタル会社の定番機種になる。新工場は 2029 年の稼働直後から満杯で、販売店は 360 拠点を超える。ミニショベルも欧州の回復と電池式の拡大で伸びる。
関税は価格に乗せ切り、現地組み立ての拡大で税負担も軽くなる。部品が稼働機とともに増え、利益率は 18% を超える。
配当と自社株買いは利益の 55% で続き、自己資本は膨らみすぎない。ROE は 17% に届き、中期計画の目標をほぼ達成する姿だ。竹内は北米の定番ブランドとして、小型機の分野で確かな地位を築く。
- クローラーローダー:数量 10.9(北米中心の小型ローダー市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 201(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 2,196 億円・営業利益 417 億円。ローダーの市場×シェアと利益率
- ミニショベル(6 トン未満):数量 11.0(世界の小型ショベル市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 201(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 2,204 億円・営業利益 342 億円。ショベルの市場×シェアと利益率
- 部品・その他:数量 150(稼働機の基盤(2026/02 期 = 100 の指数))× 価格 2.55(指数 1 あたりの売上(億円)× 物価の倍率)→ 売上 382 億円・営業利益 111 億円。稼働機の基盤×部品単価と利益率
倍率:事業の純利益 665 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.2% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.8 倍。全体の PER 20.81 倍、時価総額 13,839 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:データセンターと送電網の工事が長く続き、ローダーの首位争いに加わる筋書きだ。確率は 1 割にとどめた。関税と景気循環が重く、筋書きが揃う確率は高くない。
やや楽観 22% ローダーがシェアを伸ばし、ショベルは横ばい 利益 540 億円 · PER 20.2 倍 · 株価時価総額 24,077 円1.11 兆円
ローダーは北米の工事需要を追い風に、シェアを 1.5 ポイントほど上げる。新工場で能力が増え、販売店も計画に近い数まで広がる。
ミニショベルは住宅ローン金利の高止まりで重いが、欧州の回復が支える。電池式は小さな柱にとどまる。
関税は一部を価格に乗せて吸収する。利益率は直近より少し低い 17% 近辺で落ち着き、ROE は 14% 台に保たれる。竹内は景気の波を受けながらも、小型機で堅実な地位を保ち続ける。ただし筆者は、上振れを期待しすぎない。ローダーの伸びが 10 年続く保証はなく、ショベルは成熟市場だ。
- クローラーローダー:数量 9.2(北米中心の小型ローダー市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 201(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,855 億円・営業利益 325 億円。ローダーの市場×シェアと利益率
- ミニショベル(6 トン未満):数量 9.7(世界の小型ショベル市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 201(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,945 億円・営業利益 282 億円。ショベルの市場×シェアと利益率
- 部品・その他:数量 140(稼働機の基盤(2026/02 期 = 100 の指数))× 価格 2.55(指数 1 あたりの売上(億円)× 物価の倍率)→ 売上 356 億円・営業利益 98 億円。稼働機の基盤×部品単価と利益率
倍率:事業の純利益 540 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.5% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.2 倍。全体の PER 20.24 倍、時価総額 10,930 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画の方向(北米のローダー拡大)が、関税の逆風を受けつつも概ね進む筋書き。需要の追い風と関税の重さが拮抗するため、中立に次いで厚めに置いた。
中立 33% 北米のローダーが伸び、利益率は今より少し下がる 利益 478 億円 · PER 19.9 倍 · 株価時価総額 21,205 円9,796 億円
ローダーは北米の工事需要に乗り、シェアを 1 ポイントほど上げる。ショベルは欧州の回復と新興国の伸びで、市場並みに増える。部品は稼働機の増加とともに伸びる。
鉄鋼の 25% 関税は恒常化し、価格転嫁と現地調達で一部を吸収する。賃上げと新工場の減価償却も重く、営業利益率は直近の 17% 近くから 16% 台に下がる。
還元は利益の 55% 前後で続き、自己資本は積み上がりすぎない。ROE は過去の中央値並みの 13% 台に落ち着く。竹内は景気の波を受けながらも、小型機で堅実な地位を保ち続ける。ただし筆者は、上振れを期待しすぎない。ローダーの伸びが 10 年続く保証はなく、ショベルは成熟市場だ。
- クローラーローダー:数量 8.1(北米中心の小型ローダー市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 201(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,632 億円・営業利益 277 億円。ローダーの市場×シェアと利益率
- ミニショベル(6 トン未満):数量 9.4(世界の小型ショベル市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 201(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,895 億円・営業利益 265 億円。ショベルの市場×シェアと利益率
- 部品・その他:数量 130(稼働機の基盤(2026/02 期 = 100 の指数))× 価格 2.55(指数 1 あたりの売上(億円)× 物価の倍率)→ 売上 331 億円・営業利益 89 億円。稼働機の基盤×部品単価と利益率
倍率:事業の純利益 478 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.8% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.2% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.9 倍。全体の PER 19.94 倍、時価総額 9,531 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ローダーの伸びと関税・賃上げの重さが釣り合う筋書きを中心に置いた。成長の中身は業界の数量と価格で、一番ありそうな形だ。確率は 3 分の 1 とした。
やや悲観 22% 関税と競争で、利益率が一段低い水準に落ち着く 利益 274 億円 · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 10,817 円4,997 億円
鉄鋼関税が定着し、米国に工場を持つ競合は値下げ余力を持つ。竹内は価格を物価並みには上げきれず、ローダーのシェアは伸びない。
ミニショベルは欧州の回復が弱く、中国勢と日系大手との値引き競争が続く。部品の伸びも小さい。ディーラーの在庫が積み上がると、竹内は出荷を絞るしかない。2 年ほどの調整が起きれば、利益は大きく落ちる。
賃上げと新工場の償却が固定費として残り、営業利益率は 11% 台まで下がる。ROE は資本コストの少し上にとどまる。優良メーカーの面影は残るが、超過の稼ぎはほとんど消え、成長の余地も限られる。販売店の拡大は計画に届かず、新工場の稼働率も上がりきらない。
- クローラーローダー:数量 6.4(北米中心の小型ローダー市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 192(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,225 億円・営業利益 147 億円。ローダーの市場×シェアと利益率
- ミニショベル(6 トン未満):数量 8.0(世界の小型ショベル市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 192(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,537 億円・営業利益 146 億円。ショベルの市場×シェアと利益率
- 部品・その他:数量 115(稼働機の基盤(2026/02 期 = 100 の指数))× 価格 2.43(指数 1 あたりの売上(億円)× 物価の倍率)→ 売上 280 億円・営業利益 67 億円。稼働機の基盤×部品単価と利益率
倍率:事業の ROE 8.6% は k 6.75% をわずかに上回る程度で、新しい投資の稼ぎはほぼ資本コスト。正当化 PER は 1÷k の約 17.14 倍まで下がる。式から出た値で、上限の割合を掛けて引き上げていない。
確率:米国で現地生産する大手との価格競争と、関税の恒常化が重なる筋書き。小さな会社に重い条件が複数同時に来る点を重視し、2 割強を置いた。
悲観 13% 北米の規模を失い、関税と固定費で利益が薄くなる 利益 88 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 2,814 円1,300 億円
北米で現地生産の競合に押され、ローダーもショベルもシェアが 3 割近く落ちる。関税を価格に乗せられず、物価並みの値上げもできない。
新工場と賃上げで固定費が増えたまま、稼働率が下がり、営業利益率は 5% まで落ちる。
会社は配当を絞り、在庫と設備を圧縮して現金を守る。優良メーカーという評価は過去のものになる。リーマン後の調整のように、受注が 2 年ほど極端に落ち込む年が混じる。TOB で外部の会社に拾われる可能性もあるが、筋書きには入れていない。それでも、財務が強いので会社が揺らぐことはなく、株主には配当が残る。
- クローラーローダー:数量 4.7(北米中心の小型ローダー市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 180(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 852 億円・営業利益 43 億円。ローダーの市場×シェアと利益率
- ミニショベル(6 トン未満):数量 6.2(世界の小型ショベル市場(億ドル、実質)× シェア)× 価格 180(円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,116 億円・営業利益 34 億円。ショベルの市場×シェアと利益率
- 部品・その他:数量 100(稼働機の基盤(2026/02 期 = 100 の指数))× 価格 2.28(指数 1 あたりの売上(億円)× 物価の倍率)→ 売上 228 億円・営業利益 46 億円。稼働機の基盤×部品単価と利益率
倍率:稼ぐ力 88 億円 ÷ k ≒ 1,070 億円より、純現金と売れる資産の税後の方が大きい。床は今の自己資本 1,869 億円に掛けた 0.696 倍(約 1,300 億円)。ためた利益には掛けていない。
確率:関税と競合の現地生産で北米のシェアを 3 割近く失い、新工場と賃上げの固定費が重くのしかかる筋書き。これが 10 年先に最も悪い形だ。確率は 1 割強にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
クローラーローダー
ゴム製の足回りで走る小型の積み込み機。北米のレンタル会社が主な買い手で、竹内の成長の中心。
| 数量北米中心の小型ローダー市場(億ドル、実質)× シェア | 価格円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 5.6 | 150 | 833 | 146 |
| 10 年後 中立 | 8.1 | 201 | 1,632 | 277 |
取り方:売上を約 830 億円と推定(全体 2,253 億円のうち約 37%)。市場は約 69 億ドル × シェア約 8% と推定(出典の数字は見つからず、競合の公表台数から概算)。市場は実質、物価は価格に入れた。
ミニショベル(6 トン未満)
小型の油圧ショベル。都市の配管・造園・住宅工事に使う。竹内の創業以来の主力。
| 数量世界の小型ショベル市場(億ドル、実質)× シェア | 価格円/ドル × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 8.2 | 150 | 1,230 | 178 |
| 10 年後 中立 | 9.4 | 201 | 1,895 | 265 |
取り方:売上を約 1,230 億円と推定(全体の約 55%)。市場は約 95 億ドル × シェア約 8.6% と推定。市場は実質、物価は価格に入れた。
部品・その他
稼働中の機械向けの補修部品とアタッチメントなど。利益率が高く、景気の波が小さい。
| 数量稼働機の基盤(2026/02 期 = 100 の指数) | 価格指数 1 あたりの売上(億円)× 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 100 | 1.90 | 190 | 51 |
| 10 年後 中立 | 130 | 2.55 | 331 | 89 |
取り方:アフターパーツ売上は 2025/02 期に約 174 億円(中期計画資料)。2026/02 期は約 190 億円と推定し、稼働機の基盤を指数 100 とした。
リスクと懸念
米国の鉄鋼関税が恒常化する
2026 年 4 月に鉄鋼派生品への 25% の関税が始まった。会社は関税のコストを年約 187 億円と見ている。米国に工場を持つ競合は有利で、価格転嫁が効かなければ利益率は 2〜3 ポイント削られる。
北米への依存と建設循環
売上の約 6 割が北米にある。住宅ローン金利が高く、住宅向けはすでに弱い。インフラ工事が減速すれば、受注は大きく落ちる。2009 年から 3 期続けて赤字になった前例がある。
新工場の稼働と能力過剰
約 180 億円の新ローダー工場は、需要が伸び続ける前提の投資だ。稼働が遅れ、需要が弱まれば、減価償却が固定費として利益を圧迫する。能力は 3 割増える。
競合の現地生産と価格競争
ボブキャット・クボタ・キャタピラーは北米に工場を持つ。値下げ余力は彼らの方が大きい。中国勢は今は小さいが、10 年のうちに欧州や新興国で低価格機を広げる恐れがある。
円高と為替
売上の約 9 割が海外で、円安が利益を押し上げてきた。本評価は 150 円で固定しているが、実際に円高になれば、円換算の利益は急に減る。
賃上げと人手不足
3 年で約 108 億円を賃上げと増員に回す計画だ。人件費は物価並みに上がり続ける。生産性が上がらなければ、利益率を押し下げる。
今後の分かれ目
- 関税が引き下げられる、または米国での現地組み立てが拡大する
- 中立の利益率を上げてよい。楽観・やや楽観の確率を厚くする根拠になる。
- 北米のデータセンター・送電網の工事が急に減速する
- ローダーの需要が落ち、やや悲観の筋書きに近づく。新工場の償却が重くなる。
- ローダーのシェアが北米で上がり続ける(販売店 360 拠点の達成)
- 中立と楽観の間まで上げてよい。部品の売上も増える。
- 円高が大きく進む
- 円換算の利益が目減りする。ただし本評価は 150 円固定のため、筋書きは変えず、見直しのきっかけにとどめる。
- 配当性向 4 割・自社株買いが続き、ROE が 15% 前後を保つ
- 還元の厚さが評価に効き、中立の自己資本を抑える。
- 新工場の稼働が遅れる、または稼働率が低い
- 固定費が重くなり、やや悲観に近づく。
見ておくもの
- 北米のクローラーローダーの出荷台数とシェア
- 関税のコストと価格転嫁の割合
- 新ローダー工場の稼働時期
- 営業利益率(16% を維持できるか)
- 配当性向と自社株買いの実績
- 部品(アフターパーツ)の売上
倍率と資本コストの決め方
先にセグメントごとの数量(市場×シェア)と価格を 10 年積み、そのあと利益から倍率を決めた。倍率は正当化 PER の式(g 4%、k 6.75%、残る割合 1/2)の上限の 8.5 割に置き、今の株価・過去の PER は使っていない。純現金は運転資金・新工場・関税のゆらぎに使うとみて、時価総額には足していない。為替は 150 円固定、物価 3% でセグメントの価格を 1.34 倍にした。新リース会計基準で形が変わる点は、家賃を営業費用に入れた今の形でそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.5→20.81 倍・やや楽観 PER 13.3→20.24 倍・中立 PER 12.6→19.94 倍・やや悲観 PER 12.1→17.14 倍)。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.75% = 8.25%。会社は資本コストを 10% と見ているが、本評価は式の決まり(SCHEMA §0)で置く。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 6.75%。