結論
マミヤ・オーピーは、パチンコ店で使う紙幣識別機などの電子機器と、ゴルフシャフトを作るメーカーだ。売上の約8割が電子機器で、その約半分が日本ゲームカード1社向けにあたる。
筆者の結論は「適正」だ(やや割高寄り)。特需前提で見れば割高だが、特需後の平常な姿と厚い資産で見ると、今の値段はほぼ釣り合う。2024年の新紙幣の発行に伴う入れ替え需要で、2025年3月期の営業利益は64億円まで膨らんだ。だが特需は終わり、2026年3月期は19億円、2027年3月期の予想は9億円まで戻る。特需の利益を前提にした値段は払えない。
特需が終わった後の姿は、パチンコ市場の縮小に沿った緩やかな縮みだ。ホールの数と遊技人口は細り、新台入れ替えの波で売上が揺れる。ゴルフシャフトは赤字すれすれで、バングラデシュの工場のコスト上昇が重い。
資産は厚い。自己資本は260億円で、時価総額は4割にすぎない。しかし現金と借入がほぼ釣り合い、土地や在庫が多く、資産を使った稼ぎは自己資本の4〜5%と資本コストに届かない。帳簿の価値は、そのまま株主の価値にならない。
還元は配当性向20〜25%と控えめで、約4割の株を持つ非上場の親会社データ・アートが経営を握る。現金の使い道は、少数株主の側からは決められない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、マミヤ・オーピーは「特需で一度だけ稼いだ、縮む産業の会社」だ。2025年3月期の64億円の営業利益は、新紙幣の入れ替えという一度きりの出来事の結果で、この利益水準が続くという前提では評価しない。
オーナー利益、つまり投資を引いた手元に残る利益は、平均すると年10億円前後だ。それに対し自己資本は260億円で、利益は資本の4〜5%にすぎない。帳簿の自己資本が厚くても、その中身は在庫、土地、不動産投資が多く、稼ぐ力を生んでいない。
安全域は、現金と借入が釣り合う財務と、土地などの資産にある。しかし資産を売却して株主に配る道筋は、親会社が約4割を握る以上、少数株主には決められない。帳簿の価値を全額認めるのは危うい。
経営の資本配分は、事業の軸を探しながら借入で不動産を買う形で、見通しがつきにくい。
筆者は、10年持つなら稼ぐ力の弱さが重く、今の値段は特需の余韻を残していると見る。
何で稼ぐ会社か
事業は3つある。電子機器、スポーツ、不動産だ。2026年3月期の売上209億円のうち、電子機器が160億円で76%、スポーツが47億円で23%、不動産が2億円で1%を占める。
電子機器の中心は、パチンコ店で貸し玉と景品の受け渡しに使う周辺機器だ。紙幣識別機、小型の自動券売機、遊技場向けのシステムがある。自律走行システム「I-GINS」も手がけるが、まだ小さい。製品の多くは、日本ゲームカードなどの取引先にOEMで供給する。日本ゲームカードは売上の49%、エムディーアイは14%を占める。
スポーツ事業は、ゴルフシャフト(主力は「LIN-Q」)と、棒高跳びのポールだ。製造はバングラデシュの工場で、従業員は1,291人に上る。米国の子会社UST Mamiyaと日本の子会社が販売する。2025年7月に、子会社だったキャスコ(ゴルフ用品)を売却し、ゴルフシャフトのシャフトラボを再取得して「UST Mamiya Japan」に改称した。
不動産事業は、子会社のマミヤエステートなどが賃貸物件を運用する。2026年3月期は収益用の賃貸物件に31億円を投じたが、売上はまだ小さい。
電子機器の利益は、パチンコ店の新台入れ替えと、紙幣の改刷のような制度変更に大きく左右される。2025年3月期はそれが重なり、売上が337億円、営業利益率が19%に跳ね上がった。
優良さと弱いところ
強みは、パチンコ店の現場に深く入り込んだ機器の開発力と、取引先との長い関係だ。紙幣識別の技術は、偽札を見分ける精度が命で、新紙幣への対応でその力が試された。日本ゲームカードを通じた販売の安定性もある。
ただし、堀は広くない。売上の6割強が2社に依存し、値決めは取引先に握られやすい。OEM中心の事業構造で、自社ブランドで稼ぐ力は弱い。会社自身も「OEM中心の構造から転換する」と課題に挙げる。
利益の波が大きい。営業利益は2023年3月期の19億円から、2025年3月期に64億円、2026年3月期に19億円と動いた。自己資本利益率は過去10年の中央値で5%。平均すれば資本コストに届かない会社だ。
財務は健全だが、守りは厚くない。自己資本比率は65%。ただし現金98億円に対し、有利子負債は91億円ある。収益用の不動産への投資で借入が増え、財務制限条項付きの借入契約もある。
経営は積極的に資産を入れ替えている。キャスコの売却、シャフトラボの再取得、不動産投資は、事業の軸を探る動きとも読める。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
パチンコ業界は、遊技人口とホールの数が長く減り続けている構造的な縮小産業だ。一方で、スマートパチンコ・スマートパチスロの導入で、新台入れ替えの需要が一時的に盛り上がる。直近のレジャー白書では、遊技人口が増えた年もあった。
ただ、ホールは廃業と統合が進み、台数は減る。周辺機器の需要は、ホールの数と入れ替えの頻度で決まる。2024年の新紙幣の発行は、紙幣識別機の特需だった。これは一度きりで、2026年4〜6月期は売上が前年同期比で半減し、営業損益が赤字に転じた。
競合は、日本ゲームカード、グローリー、旭精工など。紙幣識別は少数の企業が分け合う寡占的な市場で、参入は難しい。新紙幣のような規格変更のたびに、機器の更新需要が出る。
ゴルフシャフトは世界的に成熟した市場で、米国の需要が中心。UST Mamiyaは高価格帯に強いが、バングラデシュの人件費の上昇と為替が利益率を押し下げる。政情の不安も付きまとう。
10年先は、パチンコ関連の数量が緩やかに縮み、価格は物価並みに上がる。特需の反動と構造的な縮小が重なる。
資本政策と M&A
還元は配当性向20〜25%が目安で、2026年3月期の配当総額は約5億円(性向30%)。自社株買いの実績は確認できない。
大株主は、非上場の親会社である株式会社データ・アートが約38%。データ・アートは電子機器の部品の仕入れ先でもある。このほかに個人が約12%、持分法適用会社のJ-NETが2%。親会社の影響力が強く、少数株主が還元を求めても通りにくい。
M&Aは活発だ。2025年7月にキャスコを売却し、シャフトラボを再取得した。タイの工場会社の株式も取得した。不動産には2026年3月期に31億円を投資し、借入も増えた。首都圏の物件の価格が上がり、割安な物件は探しにくいと会社も認めている。
会社は連結の自己資本利益率8%を中長期の目標とする。2026年3月期は6.7%だったが、特需の反動で2027年3月期は5%を割る見込みだ。
TOBや非公開化は、親会社が約4割を握るため、可能性は否定できない。ただ、確かな材料はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
時価総額は自己資本の4割だ。土地54億円、建物18億円、在庫66億円、現金98億円と、帳簿の資産は厚い。特需が去った今でも、紙幣識別の技術は新しい紙幣の発行のたびに更新需要を生む。スマート遊技機の普及は続いており、台数の入れ替えは2027年3月期の予想にも織り込まれていない可能性がある。
電子機器の営業利益率は特需前でも8〜10%あった。日本ゲームカードなどの取引先は長年の付き合いで、売上の安定性は高い。自律走行システムや小型券売機のように、パチンコ以外の用途も立ち上がっている。
スポーツ事業は、キャスコを売却してシャフトに集中し、UST Mamiyaのブランドを再び育てる体制になった。為替が円安に振れれば、米国向けの利益は膨らむ。
不動産への31億円の投資は、賃料が物価で上がる資産を持つことを意味する。借入で買っても、賃料と地価が上がれば、利益と資産の両方が伸びる。
親会社のデータ・アートが約4割を握る安定株主で、資産の売却や非公開化で価値が実現する道もある。
慎重な見方
営業利益は2025年3月期の64億円から、2027年3月期の予想で9億円まで下がる。特需の反動は、2026年4〜6月期の営業赤字ですでに現れた。紙幣識別機の更新は、新紙幣の入れ替えで一巡した。次の更新は10年以上先になる。
売上の6割強が日本ゲームカードとエムディーアイの2社で、値決めは取引先が握る。パチンコホールの数は減り続け、遊技人口も長期では細る。スマート遊技機の入れ替えが終われば、需要はさらに落ちる。
ゴルフシャフトはほぼ利益が出ていない。バングラデシュの工場は従業員が1,291人で、人件費の上昇と政情の不安が重い。キャスコを売って、事業の軸が定まらない。
自己資本利益率は過去10年の中央値で5%、資本コストに届かない。帳簿の資産は、稼ぐ力に変わっていない。不動産は賃料の利回りが借入金利を下回り、借入で買うほど利益を削る恐れがある。
親会社が約4割を握り、少数株主が資産の売却や還元を求めても通らない。配当性向は2割台で、帳簿の価値は株主の手元に届かない。
どちらに重みを置いたか
慎重の言い分が勝つと見た。特需の反動と構造的な縮小は、すでに数字に出ている。資産の厚さは強気の言い分として認めるが、少数株主が実現できない以上、評価は割り引いた。
確率は、やや悲観と悲観に4割を寄せ、中立の営業利益率は7%に置いた。これは特需前の水準に近い。
配当の増額や非公開化といった実現の材料が出るまでは、資産の厚さを全額は認められない。特需の水準を前提にした見方が外れたことは、2027年3月期の予想がすでに示している。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,682 円174 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 323 円33 億円)。 今の値に割り戻すと 939 円97 億円、今との差 −7.0%、 期待の年率 +7.1%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 2,562 円265 億円 | 542 円56 億円 | +207.3% | +11.9% | 155 円16 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,268 円234 億円 | 445 円46 億円 | +168.7% | +10.4% | 461 円48 億円 |
| 中立 | 38% | 1,926 円199 億円 | 349 円36 億円 | +125.2% | +8.5% | 864 円89 億円 |
| やや悲観 | 28% | 1,244 円128 億円 | 271 円28 億円 | +50.0% | +4.1% | 424 円44 億円 |
| 悲観 | 12% | 733 円76 億円 | 97 円10 億円 | −17.8% | −1.9% | 100 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,682 円174 億円 | 323 円33 億円 | +98.5% | +7.1% | 2,005 円207 億円 |
今の株価時価総額 1,010 円104 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:スマート遊技機の入れ替えが続き、ゴルフシャフトも立て直す 利益 20 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 2,562 円265 億円
スマートパチンコ・スマートパチスロの入れ替えが続き、紙幣識別機と周辺機器の更新が予想より長く伸びる。台数は特需前の水準を保ち、10年で0.75倍にとどまる。自律走行システムなどパチンコ以外の用途も売上に乗る。
電子機器の利益率は11%と、特需前の2023年3月期(11.8%)に近い。
スポーツはキャスコの売却でシャフトに集中し、UST Mamiyaのブランドが回復する。台数は25%増え、価格は物価を上回る1.4倍。利益率は6%に戻る。
不動産は賃料の上昇で物価並みに伸びる。親会社は配当性向を3割に引き上げる。
- 電子機器事業:数量 79,725(年間出荷台数(推定))× 価格 0.00(1台あたりの売上(億円。0.0015億円=15万円))→ 売上 165 億円・営業利益 18 億円。電子 79,725台(0.75倍)× 1台0.00207億円(1.38倍)、利益率11%
- スポーツ事業:数量 652,500(年間出荷本数(推定))× 価格 0.00(1本あたりの売上(億円。0.00009億円=9千円))→ 売上 82 億円・営業利益 5 億円。スポーツ 652,500本(1.25倍)× 1本0.000126億円(1.4倍)、利益率6%
- 不動産事業:数量 9,000(賃貸・仲介の規模(面積換算、㎡。推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間売上(億円。0.0003億円=3万円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。不動産 9,000㎡ × 年0.000402億円(1.34倍)、利益率50%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.8% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 233 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電子機器が特需前の高い利益率を保ち、スポーツも黒字化する筋書き。両方がそろう条件は厳しく、1割に届かない。
やや楽観 17% やや楽観:電子機器は特需前の平常に戻り、スポーツは小幅な黒字 利益 16 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 2,268 円234 億円
特需の反動が落ち着き、電子機器は特需前の平常な水準に戻る。ホールの数は減るが、スマート遊技機の更新と台の入れ替えが一定量を支える。台数は10年で0.68倍。
価格は物価並みの1.36倍。利益率は9.5%で、2023年3月期の11.8%より下だ。
スポーツは黒字に戻り、利益率は4%。バングラデシュの人件費の上昇を値上げで吸収する。
不動産は新規取得分が稼ぎに乗る。配当性向は2割台後半で、現金の積み上がりは緩やかだ。
販売の主力は引き続き日本ゲームカード向けで、取引先との関係は崩れない。ホールの数は年2〜3%ずつ減るが、スマート遊技機の更新と新紙幣以外の制度変更が需要を支える。本社費用は物価並みに増えるものの、売上の規模が保たれるため、営業利益は10億円台を維持する。
- 電子機器事業:数量 72,300(年間出荷台数(推定))× 価格 0.00(1台あたりの売上(億円。0.0015億円=15万円))→ 売上 148 億円・営業利益 14 億円。電子 72,300台(0.68倍)× 1台0.00204億円(1.36倍)、利益率9.5%
- スポーツ事業:数量 574,200(年間出荷本数(推定))× 価格 0.00(1本あたりの売上(億円。0.00009億円=9千円))→ 売上 70 億円・営業利益 3 億円。スポーツ 574,200本(1.1倍)× 1本0.000122億円(1.36倍)、利益率4%
- 不動産事業:数量 8,500(賃貸・仲介の規模(面積換算、㎡。推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間売上(億円。0.0003億円=3万円))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。不動産 8,500㎡ × 年0.000402億円(1.34倍)、利益率47%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.0% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 178 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:特需が終わって平常の水準に落ち着く筋書き。電子機器の利益率が特需前並みで、2割弱の確率。
中立 38% 中立:パチンコの縮みに沿って電子機器が細り、営業利益率は7% 利益 12 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,926 円199 億円
2026年3月期の電子機器の売上は、特需の反動の途中にある。ここから平常に戻り、さらにパチンコホールの縮小で、台数は10年で0.60倍に細る。価格は物価並みの1.34倍で、売上は130億円ほどになる。
電子機器の利益率は8%。特需前の水準で、会社は「OEM中心からの転換」を掲げるが、取引先の2社への依存は変わらない。
スポーツは台数を保ち、利益率は2.5%。バングラデシュの人件費の上昇を値上げで吸収しきれない。
本社費用や研究開発も物価で増える。不動産の賃料は物価並みに上がるが、借入金利3.5%が利益を削る。
配当性向は25%で推移し、現金と不動産が積み上がる。
- 電子機器事業:数量 63,800(年間出荷台数(推定))× 価格 0.00(1台あたりの売上(億円。0.0015億円=15万円))→ 売上 128 億円・営業利益 10 億円。電子 63,800台(0.60倍)× 1台0.00201億円(1.34倍)、利益率8%
- スポーツ事業:数量 522,000(年間出荷本数(推定))× 価格 0.00(1本あたりの売上(億円。0.00009億円=9千円))→ 売上 63 億円・営業利益 2 億円。スポーツ 522,000本(1.0倍)× 1本0.000121億円(1.34倍)、利益率2.5%
- 不動産事業:数量 8,500(賃貸・仲介の規模(面積換算、㎡。推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間売上(億円。0.0003億円=3万円))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。不動産 8,500㎡ × 年0.000402億円(1.34倍)、利益率45%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.9% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 135 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:特需前の平常水準(営業利益率5〜7%)に近い。ホールの縮小を反映して、台数は6割に細る。
やや悲観 28% やや悲観:ホールの縮小が加速し、電子機器の利益が細る 利益 5 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,244 円128 億円
スマート遊技機の入れ替えが一巡し、ホールの廃業が続く。電子機器の台数は10年で0.48倍に縮み、価格は取引先の値下げ要求で物価を下回る1.30倍にとどまる。
電子機器の利益率は4.5%まで下がる。2026年4〜6月期の営業赤字が定着する形に近い。
スポーツは人件費の上昇と為替で利益が出ず、ゼロ近辺。不動産は借入金利が賃料の利回りを上回り、利益を削る。
営業利益は6億円ほど。時価総額は事業の稼ぐ力ではなく、資産の厚さが決める。ただし、親会社が約4割を握り、少数株主に資産は届きにくい。
借入は返済が進まず、収益用の不動産が足を引っ張る。配当は性向2割台を守るが、利益が細るため金額は減る。ゴルフシャフトの工場は動き続けるが、新しい投資に回せる余力は乏しい。親会社の意向で資産の売却や還元の拡大は進まず、評価は稼ぐ力ではなく資産の見方に寄る。
- 電子機器事業:数量 51,000(年間出荷台数(推定))× 価格 0.00(1台あたりの売上(億円。0.0015億円=15万円))→ 売上 99 億円・営業利益 5 億円。電子 51,000台(0.48倍)× 1台0.00195億円(1.30倍)、利益率4.5%
- スポーツ事業:数量 443,700(年間出荷本数(推定))× 価格 0.00(1本あたりの売上(億円。0.00009億円=9千円))→ 売上 52 億円・営業利益 0 億円。スポーツ 443,700本(0.85倍)× 1本0.000117億円(1.30倍)、利益率0%
- 不動産事業:数量 8,000(賃貸・仲介の規模(面積換算、㎡。推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間売上(億円。0.0003億円=3万円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。不動産 8,000㎡ × 年0.000375億円(1.25倍)、利益率40%
倍率:稼ぐ力の弱い縮む会社で、資産が値を決める。今の自己資本261億円に0.31を掛けた(床の資産約78億円に近い)。
確率:スマート遊技機の入れ替えが一巡し、ホールの廃業が加速する筋書き。足元の営業赤字が定着する形で、3割近い確率。
悲観 12% 悲観:パチンコ産業が半減し、2社依存の電子機器は赤字に 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 733 円76 億円
パチンコホールが10年で半分近くに減り、取引先の日本ゲームカードも事業を縮める。電子機器の台数は0.30倍に落ち、価格は物価を下回る1.15倍にとどまる。
バングラデシュの政情が不安定になり、ゴルフシャフトの工場が止まる、または撤退費用がかかる。スポーツは赤字になる。
営業利益はほぼゼロから赤字。不動産は借入金利が利回りを上回り、利益を削る。
時価総額は、資産の回収見込みが決める。親会社が約4割を握り、少数株主への実現は限られる。配当は大きく減る。
借入の返済が重くなり、財務制限条項への抵触を避けるため、不動産や投資有価証券の売却に追い込まれる。売却は買い手に足元を見られ、帳簿より安くなる。取引先との契約が見直され、OEMの発注が減ると、電子機器は固定費を賄えない。配当は最低限に絞られ、株主への還元は細る。
- 電子機器事業:数量 31,900(年間出荷台数(推定))× 価格 0.00(1台あたりの売上(億円。0.0015億円=15万円))→ 売上 55 億円・営業利益 −1 億円。電子 31,900台(0.30倍)× 1台0.001725億円(1.15倍)、利益率−2%
- スポーツ事業:数量 365,400(年間出荷本数(推定))× 価格 0.00(1本あたりの売上(億円。0.00009億円=9千円))→ 売上 38 億円・営業利益 −1 億円。スポーツ 365,400本(0.7倍)× 1本0.0001035億円(1.15倍)、利益率−3%
- 不動産事業:数量 8,000(賃貸・仲介の規模(面積換算、㎡。推定))× 価格 0.00(1㎡あたりの年間売上(億円。0.0003億円=3万円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。不動産 8,000㎡ × 年0.000345億円(1.15倍)、利益率30%
倍率:稼ぐ力は赤字で値が付かず、床の資産が値を決める。今の自己資本261億円に0.29を掛けた。
確率:パチンコ産業の構造的な縮小と、取引先の統合・内製化が重なる負け筋。ホールの数が半分になる筋書きで、1割強を持たせる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電子機器事業
パチンコ店向けの紙幣識別機、小型自動券売機、遊技場システム、自律走行システム。日本ゲームカードなどへのOEM供給が中心。
| 数量年間出荷台数(推定) | 価格1台あたりの売上(億円。0.0015億円=15万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 106,300 | 0.00 | 160 | 20 |
| 10 年後 中立 | 63,800 | 0.00 | 128 | 10 |
取り方:台数は開示がなく推定。売上159.5億円を、紙幣識別機、券売機、システムの平均15万円で割り、約10.6万台と置いた。営業利益19.8億円(率12.4%)。2025年3月期の特需(売上337億円)の反動の途中。
スポーツ事業
ゴルフシャフト(LIN-Q、UST Mamiya)と棒高跳びポール。バングラデシュで製造し、日本・米国で販売する。
| 数量年間出荷本数(推定) | 価格1本あたりの売上(億円。0.00009億円=9千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 522,000 | 0.00 | 47 | 0 |
| 10 年後 中立 | 522,000 | 0.00 | 63 | 2 |
取り方:本数は推定。売上47.0億円を、卸値ベースの平均9千円で割り、約52万本と置いた。営業損失0.3億円。
不動産事業
子会社のマミヤエステートなどによる賃貸不動産の運用と仲介。2026年3月期は収益用の賃貸物件に31億円を投資。
| 数量賃貸・仲介の規模(面積換算、㎡。推定) | 価格1㎡あたりの年間売上(億円。0.0003億円=3万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,000 | 0.00 | 2 | −1 |
| 10 年後 中立 | 8,500 | 0.00 | 3 | 2 |
取り方:規模は推定。売上2.4億円を1㎡あたり年3万円で割り、約8,000㎡と置いた。前期に物件を売却して売上が85%減り、新規取得分はまだ稼ぎに乗っていない。営業損失0.6億円。
リスクと懸念
特需の反動
2025年3月期の特需(新紙幣の入れ替え)は一度きり。2026年4〜6月期の売上は前年同期比で半減し、営業損益は赤字に転じた。通期予想の営業利益9億円が守れるかが、まず試される。
パチンコ産業の縮小
遊技人口とホールの数は長く減り続けている。入れ替え需要の波は、ホールの数が減るほど小さくなる。規制の強化も業界の最大のリスクだ。
取引先2社への依存
日本ゲームカードが売上の49%、エムディーアイが14%。値決めは取引先に握られ、取引の条件が変われば売上が大きく動く。
バングラデシュの工場
ゴルフシャフトの製造は従業員1,291人のバングラデシュの工場に集中する。人件費の上昇、為替、政情の不安が利益を削る。
借入と不動産投資
2026年3月期は収益用の賃貸物件に31億円を投じ、借入も増えた。金利が3.5%に上がる世界では、賃料の利回りが借入金利を下回る恐れがある。財務制限条項への抵触もリスクだ。
親会社の影響力
データ・アートが約38%の株を持つ。資産の売却、配当の増額、自社株買いなどを少数株主が求めても、親会社の意向で決まる。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が予想の9億円を下回り、赤字に近づく
- 電子機器の平常水準が想定より低い合図。やや悲観の確率を上げる。
- スマート遊技機の入れ替えが予想より長く続き、受注が回復する
- やや楽観の確率を上げてよい。ホールの数の減少ペースも合わせて見る。
- バングラデシュの工場が政情不安で停止する
- スポーツ事業が赤字化する。悲観側の確率を上げる。
- 親会社が株式交換やTOBで非公開化を提案する
- 資産の厚さからプレミアムが付く可能性はある。提案の価格で判断する。
- 配当性向を3割以上に引き上げる、または自社株買いを実施する
- 資産の実現に近づく材料になる。割高の幅が縮む。
見ておくもの
- 電子機器の受注と営業利益率
- パチンコホールの数と新台の入れ替え台数
- 日本ゲームカード向けの売上比率
- 有利子負債と不動産の賃料利回り
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の自己資本利益率(3〜5%)と資本コスト8.75%から、式の上限(1÷k、約11.1倍)の9割に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。営業利益率は特需前の平常水準(5〜7%)で置き、2025年3月期の19%を引き継いでいない。
悲観側は、稼ぐ力ではなく資産の回収見込み(現金、在庫、土地)から置き、親会社が約4割を握る点で少数株主への実現を割り引いた。本社費用や人件費は物価で増やし、償却は物価で増やしていない。リースは小さく、新リース会計基準の影響は小さい。数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.43 倍・やや楽観 PER 10→11.43 倍・中立 PER 10→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。