結論
CKDは空気圧機器と流体制御機器の国内大手で、半導体の製造装置や電池・医薬の工場に部品と装置を納める。筆者の結論は「事業は悪くないが、今の値段は先を織り込みすぎ」だ。中立の筋書きでは、10 年後の時価総額と配当を足しても、割り引くと今の値段に届かない。総合は割高と見る。
稼ぎの中心は半導体だ。先端の装置では、ガスや薬液の流れを精密に制御する部品が欠かせず、CKD はそこで世界の装置メーカーに採用されている。足元は営業利益が 196 億円、利益率は 12% を超え、過去 10 年で最も良い水準にある。会社の計画では、次の 3 年で売上 1,900 億円を目指す。
筆者が気にしているのは、利益の質と資本の使い方だ。前の中期計画は売上・利益・ROE のどれも目標に届かなかった。半導体は景気の波が大きく、中国・台湾の部品メーカーも育ってきた。ROEは 9% 前後で、資本コストを少し上回る程度にとどまる。純現金も時価総額の 3% 弱しかなく、現金が余っているわけではない。
業績が計画どおり伸びても、倍率の根拠になる ROE が低いままなら株価は報われにくい。安全域は厚くない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、CKD は「悪くない会社を、悪くない値段で買えるか」という問いになる。事業の質は普通より少し上。半導体向けの伸びは本物だが、堀は SMC ほど深くない。利益率は景気で振れ、前の 2 つの中期計画の目標にも届かなかった。
資本の使い方も、筆者から見ると平凡だ。現金は余っておらず、自社株買いで価値を上げる余地も大きくない。稼いだ利益の 4 割を配当に回し、残りを工場と研究に再投資する。再投資の稼ぎ(ROE)は 9% 台で、資本コストをわずかに超えるだけだ。
オーナーとして持ち続けたいかと問われれば、半導体の波に耐えられる値段であることが条件になる。10 年後の姿を 1 つに決めるのは難しい。筋書きごとに差が大きい。
安全域は、今の値段ではあまり感じられない。中立の筋書きでも、10 年後の時価総額と配当を足して今を 2 割強上回るだけで、年率では 2% ほどにしかならない。要求する利回りに届かない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は、空気圧機器・流体制御機器を作る機器部門だ。売上の約 84% を占める。シリンダー・バルブ・継手などの空気圧機器が、工場の自動化ラインに使われる。半導体の製造装置向けには、高純度のガスや薬液を扱うバルブや流量制御機器を納める。自動車・食品・医薬・工作機械など、使われる先は広い。
残る約 16% が自動機械部門だ。薬品の包装機(錠剤のシートを作る機械)や、電池の製造システム、三次元の検査機を作る。顧客ごとの特注品が多く、受注の波が大きい。直近は電池向けの受注残が減っている。
会社は部門別の細かい採算を開示しない。筆者は半導体向け、一般産業・自動車ほか向け、自動機械の 3 つに分けて見る。半導体向けは機器部門の 4 割ほどと推定する。
生産は国内の工場に加え、米国・インド・マレーシア・北陸で新工場が順次稼働している。半導体と電池の需要に近い場所で作り、供給の早さで勝負する構えだ。2017 年に日機電装を買収し、2024 年にはイタリアの EPSITEC を完全子会社にした。大型の買収には踏み出していない。
優良さと弱いところ
CKD の強みは、半導体の装置メーカーとの深い関係と、機器の幅の広さにある。装置に一度組み込まれた部品は、設計変更なしに替えにくい。この切り替えにくさが、利益率を支えている。
一方で、世界の空気圧機器は SMC が約 4 割を握り、独フェストが続く。CKD は国内の 2 番手で、規模でも値決めでも首位に及ばない。堀(他社がまねできない強み)は普通と見る。
利益率は景気で大きく振れる。営業利益率は 2019 年 3 月期に 4.7% まで落ち、2023 年 3 月期に 13.3% まで戻した。赤字の期は 2009 年 3 月期にもあった。足元の 12% 台は過去でも高い水準で、筆者は平均的な利益率をもう少し低く見ている。
財務は堅い。自己資本比率は 68%、純現金は 87 億円で、借金で苦しむ会社ではない。ただし現金が余っているほど厚くもない。ROEは過去 10 年の中央値が 9%、足元も 9% だ。資本コストを少し超える程度で、株主のお金を殖やす力は目立たない。
自動機械は受注ごとの採算の差が大きく、全体の利益率を押し下げている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
空気圧・流体制御の市場は、世界で約 2 兆円とされる。半導体製造装置、自動車、電池、食品・医薬、一般の工場自動化と、使い先は幅広い。10 年では、人手不足による省人化投資と半導体の設備投資の拡大が追い風になる。
半導体向けが最も強い。先端の工場は洗浄や成膜の工程が増え、ガス・薬液の制御部品の数も増える。装置の需要は景気の波が大きいが、10 年では右肩上がりと見る。
一般の工場向けは、自動車の電動化で内燃機関向けの設備が減る一方、電池向けの投資が増える。ただし電池は投資の波が荒く、2 年続けて受注が減ることもある。
競争では、空気圧は SMC・Festo・Parker が強い。半導体向けの流体制御では、フジキンなどの専門メーカーが競る。中国・台湾の部品メーカーは、汎用品から攻めてきて、品質も上げている。10 年の間に、一部の部品が置き換わる可能性は無視できない。
為替は 150 円で固定して見る。物価は年 3% で上がり、10 年で 1.34 倍。人件費と原材料も同じように上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
資本政策と M&A
還元は配当性向 40% を目安に、必要なら自社株買いを検討するという方針だ。次の 3 年の営業キャッシュフロー 665 億円のうち、成長投資に 200 億円、研究開発に 120 億円、基盤整備に 100 億円、株主還元に 195 億円を当てる計画である(会社の中期計画の要約による)。
手元は純現金 87 億円で、現金を厚くためているわけではない。大型の自社株買いを期待する理由は薄い。ROEの目標は 10% 以上で、現在の 9% 台から少し上げる程度だ。
買収は小さい。2017 年の日機電装、2024 年の EPSITEC のように、技術や地域を補う規模にとどまる。TOB(株式の公開買い付け)の話は見当たらない。上位株主は信託銀行や生命保険会社で、外国法人も 3 割強持つ。親会社はなく、物言う株主の姿も今は見えない。
上場株式の政策保有は 16 銘柄あるが、金額は確認できなかった。縮小が進めば、還元の余力は増える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
CKD は半導体の先端投資の最も良い位置にいる。高純度のガス・薬液を扱う制御機器は、装置が複雑になるほど必要な数が増える。米国・インド・マレーシアで新工場が立ち上がり、世界の装置メーカーの近くで作れる強みが効いてくる。
会社は 10 年後に売上 2,600 億円、営業利益 400 億円を目指す。足元で営業利益は 196 億円まで伸び、計画の 2027 年 3 月期は 255 億円。半導体の拡大が続けば、この道筋は十分に描ける。電池と医薬の自動機械も、需要の大きい領域だ。
配当性向 40% を守り、自社株買いを検討する方針が示されている。ROE 10% 以上を掲げ、資本効率にも意識が向いた。この方向が定着すれば、倍率は上がる。省人化と半導体という 2 つの需要が 10 年続くことを考えれば、今の値段は妥当な範囲にある。実際、国内の同業の中でも CKD は半導体向けの比率が高く、需要の伸びを最も直接に受けられる位置にいる。顧客である装置メーカーは世界で数が限られ、一度採用が決まれば長く取引が続く。この安定した関係が、利益の下支えになる。
慎重な見方
前の中期計画は、売上 1,800 億円、営業利益 250 億円、ROE 10〜13% の目標に対し、実績は 1,579 億円、196 億円、9.4% だった。目標を達成できない会社が、新しい計画を達成できるとは限らない。
半導体向けは景気の波が大きい。今の利益率は過去最高圏にあり、ここから 10 年の平均を考えれば、やや低い水準を置くのが自然だ。中国・台湾の部品メーカーは、汎用品から高機能品へと広げてくる。空気圧は SMC、半導体向けの流体制御は専門メーカーが強く、CKD はその間に挟まれる。
自動機械は特注品の波が大きく、電池向けの受注残は減っている。ROEは 9% 台で、資本コストをわずかに超えるだけ。現金も余っていないので、自社株買いで株価を押し上げる材料も乏しい。今の値段は、半導体の好況が長く続くことを織り込みすぎている。人件費と原材料の上昇、新工場の固定費、為替の変動も利益を削る要因になる。強気の見方が前提にする、計画どおりの成長と資本効率の改善が同時に起きる確率は、見かけよりずっと低い。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気の見方に分があるが、値段の安全域は慎重な見方の指摘が重い。ROEが資本コストをわずかに上回る程度なので、倍率が上がる根拠が弱い。確率は中立に最も厚く置き、やや悲観にも楽観に近い厚みを残した。半導体の伸びが続く筋書きは楽観とやや楽観に配ったが、前の計画が未達だった実績を重く見て、会社の目標どおりの筋書きを中心にはしなかった。結論は割高。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 5,373 円3,591 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,191 円796 億円)。 今の値に割り戻すと 3,437 円2,297 億円、今との差 −22.9%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 10,484 円7,007 億円 | 1,691 円1,130 億円 | +173.0% | +10.6% | 1,217 円814 億円 |
| やや楽観 | 22% | 7,845 円5,244 億円 | 1,496 円1,000 億円 | +109.5% | +7.7% | 2,055 円1,374 億円 |
| 中立 | 34% | 5,906 円3,947 億円 | 1,317 円880 億円 | +61.9% | +4.9% | 2,456 円1,641 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,901 円1,270 億円 | 898 円600 億円 | −37.3% | −4.6% | 672 円449 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,347 円900 億円 | 299 円200 億円 | −63.1% | −9.5% | 165 円110 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,373 円3,591 億円 | 1,191 円796 億円 | +47.2% | +3.9% | 6,564 円4,388 億円 |
今の株価時価総額 4,460 円2,981 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 半導体の追い風と電池投資が重なる 利益 395 億円 · PER 17.7 倍 · 株価時価総額 10,484 円7,007 億円
先端半導体の工場が世界で増え続け、洗浄・成膜の装置に使う高純度ガス・薬液の制御機器の需要が太る。米国・マレーシア・インドの新工場が立ち上がり、供給が追いつくことで顧客の囲い込みが進む。一般機器でも省人化投資が続き、医薬・食品向けのライフサイエンス領域が育つ。自動機械は電池と医薬包装で大型案件を取り、赤字に近かった採算が 1 割まで戻る。会社の 10 年ビジョンの数字を超える成長になる。顧客の装置メーカーは、供給の安定を理由に CKD を主要部品の第一候補に置き続ける。中国勢の低価格品は汎用品に限られ、高純度ガス・薬液の制御では品質の差が縮まらない。営業利益率は 17% に届き、自社株買いも加わって ROE は 13% 台に乗る。
- 半導体製造装置向け機器:数量 105(半導体製造装置向け流体制御機器の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 13(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,403 億円・営業利益 295 億円。営業利益率21.0%
- 一般産業・自動車ほか向け機器:数量 176(空気圧・流体制御の一般 FA 向け世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 8.19(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,438 億円・営業利益 230 億円。営業利益率16.0%
- 自動機械:数量 90.0(CKD が参入する包装・電池製造装置の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 5.56(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 501 億円・営業利益 50 億円。営業利益率10.0%
倍率:事業の純利益 395 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.7 倍。全体の PER 17.74 倍、時価総額 7,007 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体の設備投資の拡大、一般機器の底上げ、電池製造装置の大型案件がそろう必要があり、10 年続けて全部が当たる確率は高くない。
やや楽観 22% 計画どおりに近い成長 利益 318 億円 · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 7,845 円5,244 億円
半導体向けは緩やかな拡大を続け、一般機器も自動化の広がりで伸びる。電池向けの自動機械は投資が一巡しても医薬包装が支える。会社が掲げる 10 年後の売上 2,600 億円は少し超え、営業利益率は 15% 台まで上がる。半導体向けの新工場は稼働率が上がり、固定費の負担が軽くなる。中国勢の低価格品は汎用品で攻めてくるが、高純度ガス・薬液の制御では品質の壁が残り、シェアは大きく動かない。還元は配当性向 4 割に自社株買いが少し付く程度で、ROE は 11% 台に改善する。新工場の稼働率が上がり、固定費の負担が軽くなる。優良な部品メーカーとしての評価が保たれ、利益の質も安定する。
- 半導体製造装置向け機器:数量 90.8(半導体製造装置向け流体制御機器の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 13(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,183 億円・営業利益 231 億円。営業利益率19.5%
- 一般産業・自動車ほか向け機器:数量 163(空気圧・流体制御の一般 FA 向け世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 8.07(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,312 億円・営業利益 197 億円。営業利益率15.0%
- 自動機械:数量 78.0(CKD が参入する包装・電池製造装置の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 5.56(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 434 億円・営業利益 37 億円。営業利益率8.5%
倍率:事業の純利益 318 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.5 倍。全体の PER 16.49 倍、時価総額 5,244 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新中計と 10 年ビジョンの水準に近い筋書き。前の計画が未達だった実績を考え、楽観より厚くするが中立には届かない確率にとどめた。
中立 34% 事業は堅調、会社の目標には届かない 利益 258 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 5,906 円3,947 億円
半導体向けは世界の設備投資の拡大に沿って実質で 4 割ほど増え、一般機器は 1 割強の増加にとどまる。中国・台湾の低価格メーカーに汎用品の一部を譲り、価格は物価の伸びをやや下回る。自動機械は電池の投資が一巡する中、医薬包装の安定した需要で採算が戻る。売上は 10 年で 2,600 億円近くに届くが、営業利益率は 14% 前後と会社が掲げる 15% に届かない。自社株買いは小さく、ROE は 10% 近辺で資本コストをわずかに上回る。優良な部品メーカーではあるが、特別に割安でも割高でもない、中程度の 10 年になる。配当性向 4 割は守られ、買収は小さい規模にとどまる。
- 半導体製造装置向け機器:数量 77.0(半導体製造装置向け流体制御機器の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 13(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,004 億円・営業利益 181 億円。営業利益率18.0%
- 一般産業・自動車ほか向け機器:数量 150(空気圧・流体制御の一般 FA 向け世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 8.01(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 1,198 億円・営業利益 168 億円。営業利益率14.0%
- 自動機械:数量 69.0(CKD が参入する包装・電池製造装置の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 5.56(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 384 億円・営業利益 27 億円。営業利益率7.0%
倍率:事業の純利益 258 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.3 倍、時価総額 3,947 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 2 つの中計で売上・利益・ROE の目標に届かなかった実績と、半導体向けの構造的な成長の両方を踏まえた中心の筋書き。
やや悲観 24% 中国勢に押され、採算が落ちる 利益 118 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 1,901 円1,270 億円
半導体向けの投資が谷を繰り返し、中国・台湾の装置メーカーが現地調達を進めて、CKD のシェアは 6.4% から 5.8% ほどに下がる。一般機器は数量が伸びず、価格は低価格品に引っ張られて物価の 9 割しか上がらない。自動機械は電池の投資が冷え込み、受注の谷間で利益が出なくなる。営業利益率は 7% 台に低下し、自社株買いもされず、ROE は 5% 台にとどまる。株主への還元は配当が中心で、買収にも踏み出せない。優良な部品メーカーという評価は薄れ、利益の質は下がる。新工場の稼働率が上がらず、固定費の重さが利益を圧迫する。
- 半導体製造装置向け機器:数量 63.3(半導体製造装置向け流体制御機器の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 12(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 751 億円・営業利益 90 億円。営業利益率12.0%
- 一般産業・自動車ほか向け機器:数量 130(空気圧・流体制御の一般 FA 向け世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 7.34(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 954 億円・営業利益 81 億円。営業利益率8.5%
- 自動機械:数量 57.0(CKD が参入する包装・電池製造装置の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 5.19(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 296 億円・営業利益 4 億円。営業利益率1.5%
倍率:ROE 5.4% が k 7.5% 以下で、ためた利益は額面を下回る価値。PER は 1÷k = 12.5 倍まで。稼ぐ力(純利益÷k)で測り、その 8 割の 10.0 倍に置いた。
確率:半導体は循環の谷が来やすく、中国・台湾勢の汎用品攻勢が強まれば採算が落ちる。10 年の間に 1 回は深い谷が来る重みを持たせた。
悲観 10% 構造的に優位を失う 利益 15 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 1,347 円900 億円
中国の流体制御メーカーが品質・納期で追いつき、国内外の半導体装置メーカーが自国の部品に切り替える。CKD は半導体向けで 2 割強のシェアを失い、一般機器は価格競争に巻き込まれて値上げができない。電池製造装置は大型案件が消え、受注の谷で赤字が続く。営業利益率は 1% 未満に落ち、稼ぐ力は大きく縮む。事業は残るが、普通の部品メーカーとして売れる資産の価値で見られる。新しく建てた米国・インド・マレーシアの工場は稼働率が上がらず、減損の対象になる。配当も大きく削られ、株主への還元はほとんど残らない。顧客の信頼が揺らぎ、新製品の採用も遅れる。
- 半導体製造装置向け機器:数量 52.3(半導体製造装置向け流体制御機器の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 9.73(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 508 億円・営業利益 20 億円。営業利益率4.0%
- 一般産業・自動車ほか向け機器:数量 117(空気圧・流体制御の一般 FA 向け世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 6.12(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 716 億円・営業利益 14 億円。営業利益率2.0%
- 自動機械:数量 42.0(CKD が参入する包装・電池製造装置の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質))× 価格 4.15(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 174 億円・営業利益 −11 億円。営業利益率-6.0%
倍率:稼ぐ力は純利益 15 億円ほどでほぼ消えるので、売れる資産の税後を床にした。約 900 億円とみて、今の自己資本 1,535 億円で割った値。
確率:中国勢が品質でも追いつき、半導体向けも現地調達に替わる構造的な負け。国内の大手でも 10 年のうちに起こりうるので 1 割を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
半導体製造装置向け機器
洗浄・成膜などの装置に使う高純度ガス・薬液の制御機器と空気圧機器。
| 数量半導体製造装置向け流体制御機器の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質) | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 55.0 | 9.73 | 535 | 91 |
| 10 年後 中立 | 77.0 | 13 | 1,004 | 181 |
取り方:会社は需要先別を開示しない。機器部門の売上 1,326 億円のうち、半導体製造装置向けを約 4 割と推定した。市場は世界の装置投資(約 1,100 億ドル)の 5% 前後の 55 億ドルと置き、今のシェアは 6.4%。数量は今の値段で測った市場(実質)で、物価の分は価格(シェア × 150 円 × 物価の倍率)に入れた。今の営業利益率は 17% と推定。
一般産業・自動車ほか向け機器
自動車・食品・医薬・工作機械・電池などの工場自動化に使う空気圧機器・流体制御機器。
| 数量空気圧・流体制御の一般 FA 向け世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質) | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 130 | 6.12 | 795 | 103 |
| 10 年後 中立 | 150 | 8.01 | 1,198 | 168 |
取り方:機器部門の残り(約 6 割、795 億円)。世界の空気圧市場約 2 兆円(約 133 億ドル)から半導体向けを除いた規模を 130 億ドルとし、今のシェアは 4.1%。数量は実質の市場、物価の分は価格に入れた。今の営業利益率は 13% と推定。中立で価格が物価を下回るのは、中国・台湾勢の低価格品にシェアを少し譲る(4.1% → 4.0%)と置いたため。
自動機械
薬品包装機・電池製造システム・検査機などの特注の装置。
| 数量CKD が参入する包装・電池製造装置の世界市場(億ドル、推定、今の値段で測った実質) | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)=シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 4.15 | 249 | 10 |
| 10 年後 中立 | 69.0 | 5.56 | 384 | 27 |
取り方:自動機械部門は売上の約 16%(249 億円)。薬品包装・電池製造などの参入領域を約 60 億ドルと置き、今のシェアは 2.8%。受注残が減って利益率は 4% 前後と低い。数量は実質の市場、物価の分は価格に入れた。
リスクと懸念
半導体の景気の波
稼ぎの中心が半導体の設備投資で、好況の年は利益率が 12% を超え、谷の年は 5% 前後に落ちる。今の利益率は過去でも高く、平均に戻る力を考えておく必要がある。
中国・台湾勢の追い上げ
汎用の空気圧機器から中国・台湾の部品メーカーが攻めている。半導体装置の現地調達が進むと、高純度ガス制御の分野でも置き換えが起こりうる。価格と数量の両方に響く。
中期計画の達成力
前の計画は売上・利益・ROE のどれも目標に届かなかった。新しい計画の売上 1,900 億円、営業利益率 13.7% が達成できるかは、半導体の波と自動機械の採算次第になる。
自動機械の採算
電池製造システムや薬品包装機は特注品で、受注ごとに採算が違う。電池向けの受注残は減っており、利益率が低いままだと全社の利益を押し下げる。
自動車の電動化
内燃機関向けの設備投資が減り、空気圧機器の需要が一部で電動品や別の方式に替わる可能性がある。電池向けの伸びで補えるかは、投資の波にも左右される。
資本の使い方
ROEは 9% 台で資本コストをわずかに上回る程度。現金は余っておらず、自社株買いで倍率を上げる余地は小さい。上場株式の政策保有(16 銘柄)の扱いも見ておきたい。
今後の分かれ目
- 半導体の設備投資が 2 年続けて減ったら
- やや悲観側へ確率を移す。利益率が 8% 台まで落ちるかどうかを見る。
- 2027 年 3 月期の営業利益 255 億円の計画に届いたら
- 中期計画の達成力への疑いが減る。楽観・やや楽観の確率を少し上げる。
- 中国・台湾の部品メーカーが半導体装置の標準部品に採用され始めたら
- 悲観側へ確率を移し、価格が物価並みに上がる前提を見直す。
- 大規模な自社株買いか政策保有株の売却による還元が出たら
- ROEが上がる方向に動くので、中立の倍率を見直す。
- 電池製造向けの受注が回復したら
- 自動機械の利益率が上がる筋書きに重みを移す。
- 米国・インドの新工場の立ち上がりが遅れたら
- 半導体向けのシェアが伸びない筋書き(中立〜やや悲観)に重みを移す。
見ておくもの
- 半導体製造装置メーカーの受注・設備投資の動き
- 自動機械の受注残と営業利益率
- 新中計(All CKD Together 2028)の達成度とROE
- 中国・台湾の部品メーカーのシェア
- 自社株買い・政策保有株の売却
倍率と資本コストの決め方
部門ごとに実質の市場規模 × シェアと物価並みの価格で 10 年後の売上を積み、営業利益率は部門の構造から置いた。倍率は正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)、k 7.5%(基本 7.5% に quality +0.5%)、g 4%、堀は普通(残る割合 1/2)で、中立は ROE が k を上回るので 1÷k の 12.5 倍を下限に置いた。楽観・やや楽観は上限の 9 割。やや悲観は稼ぐ力、悲観は売れる資産の床(約 900 億円)で測った。過去や今の PER・PBR は根拠にしていない。純現金は時価総額の 3% 弱で、余った現金は分けていない。会社の中計の数字(AI による要約)は目標の目安としてのみ使い、確定事実としては置いていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.17→17.74 倍・やや楽観 PER 13.2→16.49 倍・中立 PER 12.5→15.3 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.5% = 8.0%。受注の波や中国勢の追い上げは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。