結論
オーイズミは、パチンコ店のメダル貸機やパチスロ機を作る会社として始まり、今は食品の通販、ビルの賃貸、太陽光の売電まで手がける。筆者の結論は「割高」だ。4つの事業はどれも資本コストを大きく下回る稼ぎしかなく、借金は時価総額を上回る。
売上は217億円だが、営業利益は7億円にとどまる。本業の遊技機は、パチンコ店の減少とともに長く縮み、近年は赤字と黒字を行き来する。食品は蒟蒻ゼリーや健康食品で売上を伸ばしたが、利益率は2%台だ。
安定して稼ぐのは賃貸と太陽光だが、太陽光の高い買取価格は2030年代に期限を迎え、売電の収入は大きく減る。賃貸のビルは含み益が小さく、借金で買った資産でもある。
自己資本は187億円あるが、ROEは3%前後だ。創業家の会社が47%を持ち、経営の方針を決める。資本を稼がない事業に振り向けてきた結果が、今の稼ぐ力の弱さだと筆者は見る。帳簿の上では安く見えるが、借金を引いた資産の値打ちは小さく、利益で測れば今の値段でも高い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、オーイズミは「4つの小さな事業を借金でつないだ会社」だ。どの事業も、10年後に今より強くなっている姿が見えにくい。
オーナー利益は小さい。営業利益は7億円で、そこから利払いと税を引き、太陽光と賃貸の設備の更新を引くと、株主に残る現金は年に数億円だ。自己資本187億円に比べて、あまりに少ない。
資産の値打ちで見る人もいるだろう。賃貸のビルと太陽光の発電所は確かに残る。だが、その多くは借金で買ったもので、借金を返せば手元に残る額は小さい。太陽光の値打ちは、買取の期限に向けて年々減っていく。
筆者は、資本を稼がない事業を寄せ集めた会社に、帳簿の値を払う理由は無いと考える。遊技機でヒットが出れば一時的に利益は跳ねるが、それは事業の実力ではなく運に近い。オーナーとして長く持ちたい会社ではない。
何で稼ぐ会社か
事業は4つに分かれる。2026年3月期の売上は、アミューズメントが102億円、食品・ECが97億円、不動産が9億円、電気が10億円だった。セグメント利益は、それぞれ1億円、2億円、4億円、5.5億円で、本社の費用を引いた営業利益は7億円だ。
アミューズメントは、パチンコ店向けの両替機や玉・メダルの貸機と、パチスロ・パチンコの遊技機だ。遊技機は本体と子会社の高尾が開発する。周辺機器は需要の減少を見込んで縮める方針だ。
食品・ECは、買収で育てた。群馬のオーイズミ下仁田は蒟蒻と蒟蒻ゼリー、武内製薬は健康食品と化粧品、オーイズミピュアルズ(旧バブルスター)は腸活の食物繊維の商品を、通販や卸、中国向けの越境ECで売る。
不動産はオフィス、店舗、住宅、医療施設の賃貸で、帳簿の値は115億円、時価は120億円だ。電気は神奈川電力などの太陽光発電の売電で、固定価格の買取制度、つまり国が決めた高い値段で20年間買い取る仕組みに乗る。
従業員は連結で398名だ。有利子負債は183億円あり、賃貸と太陽光の資産を借金で持つ形になっている。
優良さと弱いところ
優良さは乏しい。4つの事業のどれも、他社がまねできない強みを持たない。
遊技機は、三共、SANKYO系、サミーなどの大手がヒット機を生む業界で、オーイズミは中堅以下だ。新しい機械が当たるかどうかで利益が振れ、過去12年の営業利益率は0〜13%と大きく動いた。周辺機器は、パチンコ店の減少でそもそもの需要が細る。
食品は、蒟蒻ゼリーや健康食品という競争の激しい市場で、ブランドの力は限られる。売上は伸びたが、営業利益率は2%台と低い。
賃貸と太陽光は安定して稼ぐが、借金で持つ資産で、利回りは借金の金利と大差ない。金利が上がれば利払いが増え、太陽光は買取の期限で稼ぎが落ちる。
ROEは過去10年の中央値で3.4%と、資本コストに遠く届かない。創業家の会社が47%を持つ下で、資本を稼がない事業に回してきた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
パチンコ・パチスロの業界は、長い縮小の途中にある。遊技人口は減り、パチンコ店の数は20年で半分以下になった。スマート遊技機、つまり玉やメダルを使わない新しい機械が一時的に若い客を呼び戻したが、筆者は10年で遊技機の販売台数が年2〜4%ずつ減ると見る。
スマート遊技機は、周辺機器の会社にとって逆風だ。メダルを使わない機械が広がれば、メダルの貸機や両替機は要らなくなる。オーイズミが周辺機器を縮める方針なのは、この流れを読んでのことだ。
食品の通販は、健康志向で市場が伸びる一方、参入も多い。大手の食品会社や通販専業との競争で、広告費をかけないと売れない構造になりやすい。中国向けの越境ECは、規制と景気の振れが大きい。
太陽光の売電は、固定価格の買取制度の期限が分かれ目だ。2010年代の前半に始めた発電所は、2030年代の前半から半ばに20年の期限を迎える。その後は市場の値段で売るしかなく、買取価格は3分の1から4分の1になる。賃貸は、首都圏の立地なら賃料は物価に沿って上がるが、建物の老朽化で修繕の費用もかさむ。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、2026年3月期は総額2.7億円、純利益の45%ほどを払った。自社株買いの実績は乏しい。
資本の使い方は、買収と資産の取得が中心だった。2016年に武内製薬、2022年にバブルスターを買って食品を育て、太陽光と賃貸の資産を借金で積み上げた。介護の事業は他社に譲った。どの買収も、まだ資本コストを上回る稼ぎにはつながっていない。
有利子負債は183億円、現金は80億円で、純負債は約100億円ある。金利が上がれば利払いが増え、利益を削る。
株主はオーイズミホールディングスが47%、個人の大株主を合わせると6割を超える。創業家の意向で経営が決まり、少数株主の声は届きにくい。非公開化の可能性は残るが、筆者は価値の計算に入れない。株主優待は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
時価総額は自己資本の4割にすぎない。賃貸のビルの時価は120億円あり、太陽光は毎年5億円を稼ぐ。資産の裏付けは厚い。
遊技機は底を打った。2025年3月期の赤字から、2026年3月期は黒字に戻った。スマート遊技機の入れ替えで、子会社の高尾の機械が当たれば、利益は一気に増える。会社は来期も増益を見込む。
食品は伸びている。蒟蒻ゼリーや腸活の商品は健康志向に乗り、売上は前期比8%増えた。通販と中国向けの越境ECが育てば、利益率も上がる。
4つの事業は景気の波が違い、全体の利益は崩れにくい。創業家が過半近くを持つので、非公開化に動けば少数株主に値段が付く。
金利が上がっても、賃料は物価に沿って上がり、資産の値打ちは名目で増える。今の値段は、悪い筋書きをほとんど織り込んだ水準だ。遊技機が平年並みに戻るだけで、利益は今の倍になりうる。食品の買収も、規模が出れば利益率は上がる。待つ間も配当は出る。帳簿の値の4割という値段は、資産の値打ちに比べて明らかに低い。
慎重な見方
どの事業も資本コストを稼がない。ROEは10年の中央値で3.4%だ。遊技機は縮む業界の中堅で、ヒット次第の運の商売だ。周辺機器はスマート遊技機の普及で要らなくなる。
食品は売上が伸びても利益率は2%台で、広告費をかけないと売れない。買収で育てた事業は、のれんの減損の芽も抱える。
太陽光は、2030年代に固定価格の買取の期限を迎え、売電の収入は大きく減る。今いちばん安定して稼ぐ事業が、10年のうちに細る。賃貸は借金で買った資産で、金利が上がれば利払いが利益を削る。
純負債は約100億円で、時価総額を上回る。資産の値打ちから借金を引けば、株主に残る額は小さい。創業家の下で、資本の使い方が変わる兆しも無い。
4つの事業を寄せ集めた形は、どれにも十分な資金と人を回せない弱さでもある。どの事業でも規模の大きい競合に勝てず、利益は薄いまま残る。資産の裏付けがあっても、それを稼ぎに変える力が無ければ、株主には届かない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。資産の裏付けは確かにあるが、借金で持つ資産で、太陽光は期限とともに稼ぎが落ちる。遊技機の回復は一時的な入れ替えの需要に頼る。中立を利益が横ばいの形に置き、悲観側をやや厚くした。遊技機のヒットと食品の伸びが重なる楽観は低めにした。資産の売却や非公開化は、起きるかどうかも値段も読めないので、確率の寄せ方には使わなかった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 272 円61 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 102 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 178 円40 億円、今との差 −44.8%、 期待の年率 +1.5%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 640 円144 億円 | 178 円40 億円 | +153.9% | +9.8% | 57 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 368 円83 億円 | 133 円30 億円 | +55.7% | +4.5% | 100 円23 億円 |
| 中立 | 38% | 273 円62 億円 | 111 円25 億円 | +19.4% | +1.8% | 146 円33 億円 |
| やや悲観 | 23% | 163 円37 億円 | 67 円15 億円 | −28.5% | −3.3% | 53 円12 億円 |
| 悲観 | 12% | 100 円22 億円 | 44 円10 億円 | −55.3% | −7.7% | 17 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 272 円61 億円 | 102 円23 億円 | +16.1% | +1.5% | 374 円84 億円 |
今の株価時価総額 322 円72 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:遊技機のヒットと食品の伸びが重なる 利益 13 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 640 円144 億円
子会社の高尾が出したパチンコ機がヒットし、スマート遊技機の入れ替えでも存在感を示す。業界の台数は細るが、オーイズミの台数の減りは1割にとどまる。営業利益率は8%に上がる。
食品は通販と中国向けの越境ECが育ち、出荷は10年で3割増える。利益率は5%に上がる。
太陽光は買取の期限の後も、企業向けの長期契約で売電の値段を保つ。賃貸は物価に沿って賃料が上がる。それでもROEは5%台で、資本コストには届かない。借金の重さは残る。資本の使い方が変わらない限り、利益の伸びは株主の取り分の伸びにはなりにくい。
- アミューズメント(周辺機器・遊技機):数量 22.9(販売台数(千台。周辺機器と遊技機の合計の推定))× 価格 5.36(千台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 123 億円・営業利益 10 億円。22.9 千台 × 5.36 億(物価 1.34 倍)、利益率 8%
- 食品・EC:数量 41.9(出荷個数(百万個。推定))× 価格 4.02(百万個あたりの売上(億円・名目))→ 売上 168 億円・営業利益 8 億円。41.9 百万個 × 4.02 億(物価 1.34 倍)、利益率 5%
- 不動産(賃貸):数量 115(賃貸等不動産(億円・帳簿の値))× 価格 0.09(帳簿 1 億円あたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 5 億円。簿価 115 億 × 利回り 9.31%(賃料は物価に遅れて 1.25 倍)、利益率 46%
- 電気(太陽光の売電):数量 25.2(発電量(百万 kWh。推定))× 価格 0.25(百万 kWh あたりの売上(億円・名目=円/kWh÷100))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。25.2 百万 kWh × 0.25 億(期限後も企業向け契約)、利益率 50%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 144 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:高尾の遊技機のヒットと、食品の通販・越境 EC の伸びが重なる筋書き。ヒット頼みなので 1 割未満。
やや楽観 20% やや楽観:遊技機が黒字を保ち、食品が少し伸びる 利益 8 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 368 円83 億円
遊技機は業界の縮小に沿って台数が2割減るが、周辺機器を縮めて費用を絞り、利益率は4%を保つ。食品は通販が伸び、出荷は2割増える。利益率は4.5%に上がる。
太陽光は買取の期限を迎えた発電所から売電の値段が下がり、平均の単価は今の3分の2になる。賃貸は賃料が物価に遅れて上がる。
利払いは金利の上昇で増えるが、営業利益の回復がそれを上回る。配当は利益に沿って増えるが、ROEは3%台で資本コストの半分にも届かない。創業家の下で資本の使い方は変わらない。借金はほとんど減らず、利払いの重さも残る。食品の買収も、規模はまだ小さい。
- アミューズメント(周辺機器・遊技機):数量 20.4(販売台数(千台。周辺機器と遊技機の合計の推定))× 価格 5.36(千台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 109 億円・営業利益 4 億円。20.4 千台 × 5.36 億(物価 1.34 倍)、利益率 4%
- 食品・EC:数量 38.6(出荷個数(百万個。推定))× 価格 3.90(百万個あたりの売上(億円・名目))→ 売上 151 億円・営業利益 7 億円。38.6 百万個 × 3.90 億(1.30 倍)、利益率 4.5%
- 不動産(賃貸):数量 115(賃貸等不動産(億円・帳簿の値))× 価格 0.09(帳簿 1 億円あたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 5 億円。簿価 115 億 × 利回り 9.31%、利益率 46%
- 電気(太陽光の売電):数量 25.2(発電量(百万 kWh。推定))× 価格 0.23(百万 kWh あたりの売上(億円・名目=円/kWh÷100))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。25.2 百万 kWh × 0.23 億(期限後は市場の値段)、利益率 50%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.5% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 83 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の増益の見込みに近く、遊技機が黒字を保ち食品が伸びる筋書き。
中立 38% 中立:遊技機は細り、太陽光は期限で稼ぎが減る 利益 6 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 273 円62 億円
パチンコ店の減少とスマート遊技機の普及で、遊技機と周辺機器の台数は10年で4分の1減る。利益率は3%にとどまる。食品は通販が少し伸び、出荷は1割増え、利益率は4%だ。
太陽光は、2030年代の前半から半ばに多くの発電所が買取の期限を迎える。売電の平均の単価は今の3分の2に下がり、売電の利益は半分近くになる。賃貸は賃料が物価に遅れて上がる。
営業利益は9億円前後で、今とほぼ同じだ。借り換えの金利の上昇で利払いが増え、純利益は6億円弱にとどまる。配当は利益の45%で、ROEは3%弱だ。資本は稼がないまま積み上がる。
- アミューズメント(周辺機器・遊技機):数量 19.1(販売台数(千台。周辺機器と遊技機の合計の推定))× 価格 5.36(千台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 102 億円・営業利益 3 億円。19.1 千台 × 5.36 億(物価 1.34 倍)、利益率 3%
- 食品・EC:数量 35.4(出荷個数(百万個。推定))× 価格 3.90(百万個あたりの売上(億円・名目))→ 売上 138 億円・営業利益 6 億円。35.4 百万個 × 3.90 億(1.30 倍)、利益率 4%
- 不動産(賃貸):数量 115(賃貸等不動産(億円・帳簿の値))× 価格 0.09(帳簿 1 億円あたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 5 億円。簿価 115 億 × 利回り 9.31%、利益率 46%
- 電気(太陽光の売電):数量 25.2(発電量(百万 kWh。推定))× 価格 0.23(百万 kWh あたりの売上(億円・名目=円/kWh÷100))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。25.2 百万 kWh × 0.23 億(半分が期限後の市場の値段)、償却が済んで利益率 50%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.6% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 62 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:遊技機の縮小と太陽光の期限を、食品の小さな伸びと賃料の上昇が埋めきれない、もっとも起こりやすい形。
やや悲観 23% やや悲観:遊技機が赤字に戻り、食品も伸びない 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 163 円37 億円
パチンコ店の閉店が加速し、遊技機と周辺機器の台数は10年で4割減る。値上げは通らず、利益はほぼ出ない。食品は競争と広告費の上昇で伸びず、利益率は2.5%にとどまる。
太陽光は期限の後に市場の値段で売るしかなく、売電の単価は今の半分強になる。賃貸も建物の老朽化で修繕がかさみ、賃料の伸びは物価に届かない。
利払いの増加が重なり、純利益は1億円前後に落ちる。配当は細る。価値は稼ぐ力ではなく、賃貸のビルの時価から借金を引いた残りに頼るしかない。借り換えのたびに金利が上がり、資産を手放す判断も迫られる。株主に戻る額はほとんど無い。
- アミューズメント(周辺機器・遊技機):数量 15.3(販売台数(千台。周辺機器と遊技機の合計の推定))× 価格 5.00(千台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 77 億円・営業利益 0 億円。15.3 千台 × 5.00 億(値上げが通らず 1.25 倍)、利益率 0%
- 食品・EC:数量 32.2(出荷個数(百万個。推定))× 価格 3.60(百万個あたりの売上(億円・名目))→ 売上 116 億円・営業利益 3 億円。32.2 百万個 × 3.60 億(1.20 倍)、利益率 2.5%
- 不動産(賃貸):数量 115(賃貸等不動産(億円・帳簿の値))× 価格 0.09(帳簿 1 億円あたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 4 億円。簿価 115 億 × 利回り 8.66%(1.16 倍)、利益率 44%
- 電気(太陽光の売電):数量 25.2(発電量(百万 kWh。推定))× 価格 0.20(百万 kWh あたりの売上(億円・名目=円/kWh÷100))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。25.2 百万 kWh × 0.20 億、利益率 45%
倍率:稼ぐ力がほぼ消えるので PBR で置く。今の自己資本 187 億に 0.15 倍の約 28 億で、床の資産(賃貸不動産の時価から純負債を引き、工場などの売却の税後を足した額)に合わせた。本社の費用は削って 6.5 億。営業利益が細いので EV÷営業利益 は 40 倍を超え、利益の倍率では測れない。だから資産の床で置いた。
確率:遊技機の需要が細り、食品も価格競争で伸びない筋書き。過去に遊技機の赤字が何度もあったので中立に次ぐ重さ。
悲観 12% 悲観:パチンコ業界が半減し、本業が赤字に 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 100 円22 億円
規制と若い客の離れで、パチンコ店の数が10年で半分になる。遊技機と周辺機器は赤字に沈み、撤退か縮小を迫られる。食品も伸びず、利益はわずかだ。
太陽光は期限の後の売電の値段が低く、賃貸も空室が増える。金利の上昇で利払いが重くなり、全社で赤字が続く。
借金を返すために賃貸のビルや発電所を売る局面が来る。価値は、資産を売って借金を返した後に残る額だけになり、時価総額は今の3分の1を割る。会社は存続しても、少数株主に残る値打ちは小さい。創業家の会社が過半近くを持つ以上、資産の売り方も少数株主には選べない。
- アミューズメント(周辺機器・遊技機):数量 12.8(販売台数(千台。周辺機器と遊技機の合計の推定))× 価格 4.50(千台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 −3 億円。12.8 千台 × 4.50 億(1.13 倍)、利益率 −5%
- 食品・EC:数量 29.0(出荷個数(百万個。推定))× 価格 3.30(百万個あたりの売上(億円・名目))→ 売上 96 億円・営業利益 1 億円。29.0 百万個 × 3.30 億(1.10 倍)、利益率 1.5%
- 不動産(賃貸):数量 115(賃貸等不動産(億円・帳簿の値))× 価格 0.08(帳簿 1 億円あたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。簿価 115 億 × 利回り 8.0%、利益率 40%
- 電気(太陽光の売電):数量 25.2(発電量(百万 kWh。推定))× 価格 0.15(百万 kWh あたりの売上(億円・名目=円/kWh÷100))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。25.2 百万 kWh × 0.15 億、利益率 40%
倍率:赤字なので PBR で置く。今の自己資本 187 億に 0.12 倍の約 22 億で、床の資産(賃貸不動産の時価から純負債を引き、売れる資産の税後の一部を足した額)まで。
確率:パチンコ業界の構造的な縮小が加速し、遊技機が赤字に沈む負け。業界の縮小は実際に進んでいるので 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
アミューズメント(周辺機器・遊技機)
パチンコ店向けの両替機・玉メダル貸機と、パチスロ・パチンコの遊技機。
| 数量販売台数(千台。周辺機器と遊技機の合計の推定) | 価格千台あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25.5 | 4.00 | 102 | 1 |
| 10 年後 中立 | 19.1 | 5.36 | 102 | 3 |
取り方:セグメント売上 101.8 億を、遊技機(1 台数十万円)と周辺機器(1 台数万〜数十万円)を混ぜた平均単価を 1 台 40 万円と推定し約 2.55 万台と置いた。台数の開示は無い。営業利益はセグメント利益。
食品・EC
蒟蒻・蒟蒻ゼリー、健康食品・化粧品、腸活の食物繊維の商品の製造と通販・卸。
| 数量出荷個数(百万個。推定) | 価格百万個あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 32.2 | 3.00 | 97 | 2 |
| 10 年後 中立 | 35.4 | 3.90 | 138 | 6 |
取り方:セグメント売上 96.7 億を、百万個あたり 3 億円(ゼリーの袋・健康食品の箱を混ぜた平均単価の推定)で割り約 32 百万個と置いた。営業利益はセグメント利益。
不動産(賃貸)
オフィス・店舗・住宅・医療施設の賃貸。
| 数量賃貸等不動産(億円・帳簿の値) | 価格帳簿 1 億円あたりの年の賃料(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 115 | 0.07 | 9 | 4 |
| 10 年後 中立 | 115 | 0.09 | 11 | 5 |
取り方:有報の賃貸等不動産の簿価 115.1 億を数量、賃料の利回り 7.45%(売上 8.57 億÷簿価)を価格とした。時価は 120.0 億で含み益は約 5 億と小さい。賃料は利益に残すので、含み益は価値に別に足さない。
電気(太陽光の売電)
神奈川電力などの太陽光発電所の売電。
| 数量発電量(百万 kWh。推定) | 価格百万 kWh あたりの売上(億円・名目=円/kWh÷100) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 28.1 | 0.36 | 10 | 6 |
| 10 年後 中立 | 25.2 | 0.23 | 6 | 3 |
取り方:売上 10.13 億を、2010 年代前半の固定価格の買取(百万 kWh あたり 0.36 億円前後の推定)で割り約 2,800 万 kWh と置いた。発電量と認定の年の開示は確かめられず、推定。
リスクと懸念
パチンコ業界の縮小
遊技人口とパチンコ店の数は長く減り続けている。規制が厳しくなるか若い客が離れれば、遊技機と周辺機器の需要は10年で半分近くに減りうる。
スマート遊技機と周辺機器
玉やメダルを使わないスマート遊技機が広がると、メダルの貸機や両替機は要らなくなる。周辺機器の縮小は会社の方針だが、縮める速さより需要の減る速さが勝てば赤字が続く。
太陽光の買取期限
固定価格の買取制度は20年で終わる。2010年代前半に始めた発電所は2030年代に期限を迎え、売電の単価は大きく下がる。今いちばん安定して稼ぐ事業が細る。
借金と金利
有利子負債は183億円、純負債は約100億円ある。借り換えのたびに金利が上がれば、利払いが増えて利益を削る。資産を借金で持つ形は、金利の上昇に弱い。
食品の競争と買収の減損
蒟蒻ゼリーや健康食品は参入が多く、広告費をかけないと売れない。買収で育てた事業の利益が伸びなければ、のれんの減損が出る。中国向けの越境ECは規制と景気で振れる。
創業家の支配
オーイズミホールディングスが47%を持ち、経営の方針を決める。資本を稼がない事業への投資が続いても、少数株主には止める力が無い。
今後の分かれ目
- 高尾の遊技機がヒットし、アミューズメントの利益率が5%を超えたら
- 遊技機の回復が見え、やや楽観に寄せる。ただし一時的な入れ替えの需要かを見極める。
- 太陽光の発電所を企業向けの長期契約に切り替えたら
- 買取期限の後の売電の値段が保たれ、悲観の確率を下げる。
- 賃貸のビルを売って借金を返したら
- 利払いが減り、資本の効率が上がる。借金の分の資本コストの上乗せを下げる材料になる。
- アミューズメントが2期続けて赤字になったら
- 業界の縮小が加速している証拠で、やや悲観に寄せる。
- 創業家による非公開化が提案されたら
- 少数株主に値段が付く。価値の計算とは別に、株主の出口になる。
見ておくもの
- アミューズメントのセグメント利益
- パチンコ店の店舗数と新台の入れ替え
- 食品・ECの利益率
- 太陽光の買取期限と売電の契約
- 有利子負債と支払利息
- 配当性向と創業家の持株
倍率と資本コストの決め方
ROE が k を大きく下回るので、PER の上限 1÷k(10.3 倍)より下で置き、悲観側は今の自己資本に掛ける PBR を床の資産(賃貸不動産の時価−純負債+売れる資産の税後)から決めた。今の PBR 0.4 倍や同業の値付けは根拠にしていない。賃貸の賃料と太陽光の売電は利益に残すので、含み益は別に足していない。太陽光の償却は今の設備の取得の値段のままで、期限の前に償却が済む分だけ利益率が上がる形にした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→10.81 倍・やや楽観 PER 9→10.81 倍・中立 PER 8.5→10.81 倍)。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。