結論
コンバムは、真空の力で物を吸い付けてつかむ部品の専業メーカーだ。主力は、圧縮空気から真空を作る「エジェクタ」と、物に当たる吸着パッドである。売上は約 20 億円と小さく、日本が 8 割、韓国が 2 割を占める。
筆者の結論は、今の値段は割高だ、というものだ。営業利益率は 15% 前後と部品メーカーとして高いが、会社が稼ぐ額は小さい。自己資本の 4 割近くが現金で、資本全体の稼ぐ力は低い。
足元は追い風が吹く。AI 向けの半導体投資で、日本と韓国の受注が伸び、2026 年 12 月期の上半期は売上が 3 割近く増えた。会社は通期の予想を引き上げ、配当も大きく増やす。
それでも、10 年先の中立の営業利益は 5 億円台とみる。半導体の投資には山と谷があり、大手の SMC との競争も続く。今の時価総額は、山の利益を長く保つことを前提にした水準に見える。
筆者がいちばん気にしているのは、足元の伸びが山の一部にすぎないことだ。過去 10 年、売上は年 2% ずつ縮んできた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い製品を持つが、払う値段に見合う稼ぎは無い」部類に入る。
事業は分かりやすい。工場の自動化が続く限り、物をつかむ部品は要る。吸着パッドは消耗品で、採用された装置が動く限り取り替えの需要が出る。営業利益率 15% は、小さな部品メーカーとして立派だ。
問題は稼ぐ額だ。純利益は年 2〜3 億円で、10 年後も 4 億円前後とみる。自己資本の 4 割近い現金は 2% でしか回らず、資本全体の稼ぐ力を薄める。資本コスト 7.25% を上回る ROE を、この形で出すのは難しい。
安全域、つまり値段と価値の間のゆとりは乏しい。今の値段は、半導体の山の利益が長く続くことを織り込んでいる。現金が厚いので会社が傾く心配は小さいが、それは値段の高さを正当化しない。
筆者は、良い会社と良い投資は別物だと考える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、工場の自動化に欠かせない「つかむ」部品だ。ロボットや搬送装置が部品や基板を持ち上げる時、手先に付いた吸着パッドで物を吸い付ける。その真空を作るのがエジェクタで、圧縮空気を流すだけで真空ができる。ポンプが要らず、小さく軽いのが強みだ。
同社の社名はこのエジェクタの商品名に由来し、長く真空の部品を専業で作ってきた。品ぞろえは、エジェクタ、吸着パッド、真空の圧力を測るセンサ、ロボットの手先の部品などに及ぶ。
売り先は、半導体や電子部品、食品、包装、物流の装置を作るメーカーと、その工場だ。日伝など機械の商社を通じて売る分も多い。2025 年 12 月期の売上 19.8 億円のうち、日本が 16.2 億円、韓国が 4.2 億円を占める。韓国は半導体と電子部品の工場が主な客だ。タイを中心とするその他の地域は、まだ赤字である。
2026 年 12 月期は、AI と半導体の設備投資の広がりで受注が増え、通期の売上は 23 億円、営業利益は 3.8 億円の予想だ。
使い道が広いので、一つの業界の不振だけで売上が消えることは少ない。
優良さと弱いところ
同社の強みは、真空の部品に絞った専業の深さだ。吸着パッドは物の形や材質に合わせて種類が多く、装置ごとに合う品を選ぶ知恵が要る。一度装置に採用された型番は、交換の時も同じ品が選ばれやすい。パッドは消耗品なので、採用の数だけ取り替えの需要が続く。
ただ、堀、つまり他社がまねできない強みは厚くない。真空機器の最大手は SMC で、品ぞろえも販路も桁違いだ。ドイツのシュマルツ、スウェーデンのピアブ、国内の CKD やピスコも同じ市場にいる。同社の規模は大手の 100 分の 1 にも満たない。
資本の効率は低い。自己資本比率は 94% で、自己資本 60 億円のうち 22 億円余りが現金だ。営業利益率は高くても、ROE は 4〜8% にとどまる。
筆者は、利益率の高さよりも、稼ぐ額の小ささと現金の厚さの方が、この会社の評価を決めると見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
真空でつかむ部品の需要は、工場の自動化の投資に連動する。半導体と電子部品、食品や物流の自動化が主な使い道だ。業種のノートでは、機械の部品の市場は名目で年 3〜5% 伸びるとみる。物価を除いた数量では年 0〜2% ほどだ。
足元の追い風は、AI 向けの半導体投資である。韓国の半導体メーカーと日本の装置メーカーが投資を増やし、同社の受注も日韓で伸びた。ただ、半導体の投資には山と谷がある。2019 年と 2023 年には同社の売上が 2 割前後落ちた。
長い目で見た追い風は、人手不足とロボットの普及だ。物流倉庫のピッキングや、協働ロボットの手先には、真空のパッドが多く使われる。人の形のロボットが広がれば、手先の部品の需要は厚くなる。
競争の面では、SMC が真空機器でも世界の首位で、価格と品ぞろえで攻める。中国のメーカーも安い吸着パッドを増やしている。専業の小さな会社は、特定の用途や得意先に深く入り込むことで生き残ってきた。
10 年の中立では、谷に近い 2025 年から日本の出荷は 2 割強、韓国は 3 割半増え、値段は物価並みに上がるとみる。
資本政策と M&A
同社は配当を厚くし始めた。2025 年 12 月期の配当は性向 32% だったが、2026 年 12 月期は性向約 43% の水準まで増やす予定だ。会社は長い目で性向 4 割を目安に掲げる。
大株主は伊勢興産で約 16% を持ち、創業の家との関係が深いとみられる。光通信も 7% 余りを持つ。商社の日伝も株主に名を連ねる。
帳簿には現金 22.5 億円と投資有価証券 約 5.5 億円があり、借金は無い。時価総額の 4 割を超える現金を持つ形で、還元の拡大を求める株主の声が出やすい。
買収で規模を取る会社ではない。小さな専業として、大手の部品メーカーや装置メーカーに買われる可能性はあるが、具体的な兆しは見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、自動化の波の真ん中にいる小さな専業だ。半導体工場、物流倉庫、食品工場のどこでも、ロボットは物をつかむ必要がある。真空のパッドはその最も簡単な方法で、使うほど消耗して取り替えが出る。
足元の伸びは力強い。2026 年 12 月期の上半期は売上が 28% 増え、営業利益は 67% 増えた。会社は通期の予想を引き上げ、配当も 6 割増やす。AI 向けの投資は始まったばかりで、韓国の半導体メーカーの増産も続く。
利益率の高さも見逃せない。過去 12 年で営業利益率が 1 割を割った年はほとんど無く、山では 25% を超えた。専業の品ぞろえと、装置ごとに合う品を選ぶ知恵が、値段を守っている。
現金の厚さは守りにも攻めにも効く。性向 4 割の配当に加え、自社株買いが始まれば、資本の効率は一気に上がる。人の形のロボットが広がれば、手先の部品の需要は桁が変わる。
小さな会社だからこそ、大口の採用が一つ決まるだけで業績が大きく動く、という主張だ。
慎重な見方
利益率が高いのは事実だが、稼ぐ額が小さすぎる。純利益は年 2〜3 億円で、10 年前とほとんど変わらない。売上は 10 年で年率 2% ずつ縮んできた。足元の伸びは半導体の投資の山で、2019 年と 2023 年には売上が 2 割前後落ちた。
競争の相手が強すぎる。真空機器の最大手 SMC は、品ぞろえも販路も同社の比ではない。シュマルツやピアブ、CKD、ピスコもいる。中国のメーカーは安い吸着パッドで攻めてくる。装置メーカーが調達先を絞れば、小さな専業は真っ先に外される。
資本の使い方も物足りない。自己資本の 4 割近くが現金で、2% でしか回らない。性向 4 割の配当では、現金はたまり続ける。
今の値段は、山の利益に 18 倍ほどの倍率を掛けた水準だ。谷が来れば、利益も倍率も同時に縮む。
筆者の目から見ても、10 年前と同じ利益の会社に、成長株の倍率を払う理由は見当たらない。山の利益を基準に値段を考えるのは危うい、という主張になる。
どちらに重みを置いたか
製品の良さと足元の伸びは本物で、この点は強気の見方に理がある。ただ、稼ぐ額の小ささ、半導体の波、大手との競争は、過去 10 年の数字が示す事実で、慎重な見方の方が証拠は厚い。確率は中立を中心に、悲観側をやや厚くした。自社株買いや還元の方針が変われば、見方を改める。
今後 2〜3 年の受注の推移と、現金の使い方が判断の材料になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 3,403 円52 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 750 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 2,219 円34 億円、今との差 −32.8%、 期待の年率 +2.3%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 6,219 円96 億円 | 1,083 円17 億円 | +121.3% | +8.3% | 657 円10 億円 |
| やや楽観 | 21% | 4,747 円73 億円 | 921 円14 億円 | +71.8% | +5.6% | 1,190 円18 億円 |
| 中立 | 34% | 3,943 円61 億円 | 804 円12 億円 | +43.9% | +3.7% | 1,614 円25 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,589 円25 億円 | 571 円9 億円 | −34.5% | −4.1% | 518 円8 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,038 円16 億円 | 409 円6 億円 | −56.2% | −7.9% | 174 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,403 円52 億円 | 750 円12 億円 | +25.9% | +2.3% | 4,153 円64 億円 |
今の株価時価総額 3,300 円51 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 9% 半導体と物流の自動化で吸着の需要が厚くなり、利益率が 2 割に戻る 利益 6 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 6,219 円96 億円
AI 向けの半導体工場と、物流倉庫のロボット化が 10 年続き、物を吸い付けて運ぶ真空の部品の需要が厚くなる筋書きだ。日本の出荷は 4 割半ば、韓国は 8 割増える。
同社の真空エジェクタは、圧縮空気だけで真空を作る小さな装置で、ロボットの手先に付けやすい。協働ロボットや人の形のロボットの手先にも採用が広がる。
営業利益率は 2022 年の 25.8% には届かないが、日本で 21% まで戻る。配当は性向 4 割を保ち、余った資金の一部で自社株買いも行う。それでも会社の規模は小さく、利益は 7 億円台にとどまる。
- 日本(タイ等のその他を含む):数量 78.3(出荷数(万個・推定))× 価格 4,045(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 32 億円・営業利益 7 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
- 韓国:数量 25.2(出荷数(万個・推定))× 価格 4,080(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)13 億円。全体の PER 14.76 倍、時価総額 96 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2021〜2022 年に営業利益率 22〜26% を出した実績がある。ただ半導体の投資の山の利益で、10 年続く形としては 1 割弱にした。
やや楽観 21% 韓国と半導体向けが伸び、利益率は 18% 前後 利益 5 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 4,747 円73 億円
半導体と電子部品の工場の自動化が続き、日本の出荷は 3 割、韓国は 5 割半ば増える筋書きだ。2026 年 12 月期の上半期は受注が日韓とも伸び、売上は 3 割近く増えた。
吸着パッドは消耗品で、使うほど交換の需要が出る。一度装置に組み込まれた型番は、同じ品で取り替えられやすい。値上げも物価並みに通る。
営業利益率は日本で 18.5% と、過去 10 年の中央より少し上になる。タイを中心とする海外の赤字は縮む。配当は性向 4 割で、純現金は 20 億円台を保つ。
10 年後の純利益は今の 1.8 倍になるが、資本も膨らむ。
- 日本(タイ等のその他を含む):数量 71.3(出荷数(万個・推定))× 価格 3,958(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 28 億円・営業利益 5 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
- 韓国:数量 21.7(出荷数(万個・推定))× 価格 3,990(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)13 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 73 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の受注の伸びが続けば届く筋書きだ。過去 12 年の利益率の中央は 16% 前後で、その少し上に当たるので 2 割強にした。
中立 34% 数はゆっくり増え、値段は物価並み、利益率は 16% 台 利益 4 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 3,943 円61 億円
工場の自動化は続くが、半導体の投資には山と谷があり、10 年をならすと日本の出荷は 2 割強、韓国は 3 割半増える筋書きだ。2025 年 12 月期は谷に近い年で、山と谷をならした出発点から見ればこの増え方は控えめだ。値段は物価並みに上がり、売上は名目で 33 億円ほどになる。
営業利益率は日本で 16.5% と、過去 10 年の中央の水準だ。SMC など大手の真空機器と競いながら、専業の品ぞろえで棚を守る。工場の設備は小さく、償却費が物価で膨らむ心配は少ない。
配当は性向 4 割の方針どおりで、残りは会社にたまる。自己資本は 70 億円台に膨らみ、その 3 割近くを現金が占めたままになる。ROE は 4〜5% にとどまる。
- 日本(タイ等のその他を含む):数量 65.9(出荷数(万個・推定))× 価格 3,871(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 26 億円・営業利益 4 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
- 韓国:数量 18.9(出荷数(万個・推定))× 価格 3,900(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)13 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 61 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の利益率は 9〜26% で、中央は 16% 前後だ。いちばん起こりやすい形として最大の 34% を置いた。
やや悲観 24% 大手と中国勢に押され、利益率が 1 割強に沈む 利益 2 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 1,589 円25 億円
真空機器の最大手である SMC が品ぞろえと値段で攻め、中国のメーカーも安い吸着パッドを広げる筋書きだ。日本の出荷は 1 割近く減り、韓国は横ばいにとどまる。値上げも物価に届かない。
同社の製品は、ロボットや装置のメーカーに部品として採用されて初めて売れる。大手の装置メーカーが部品の調達先を絞れば、小さな専業は外されやすい。
営業利益率は日本で 12% に下がり、2019 年の 9% 台に近い水準まで沈む。配当は利益に合わせて細る。
10 年後の純利益は今の 4 分の 3 ほどに細り、現金だけがたまる形になる。
- 日本(タイ等のその他を含む):数量 49.7(出荷数(万個・推定))× 価格 3,611(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
- 韓国:数量 14.0(出荷数(万個・推定))× 価格 3,660(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
倍率:事業の ROE は 2.8% で k の 3 分の 1 にとどまる。構造的に負ける筋書きなので、上限 11.8 倍の 6 割の 7.0 倍に置いた(中立より低い)。
確率:2019 年と 2023 年に売上が 2 割前後落ちた実績があり、半導体の谷は繰り返す。中立の次に重い 24% にした。
悲観 12% 採用の座を失い、本業の利益がほぼ消える 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,038 円16 億円
装置メーカーが真空の部品を SMC など大手の一括の調達に切り替え、同社の採用の座が細る筋書きだ。中国のメーカーも品質を上げ、韓国の得意先を奪う。日本と韓国の出荷はともに 3 割近く減る。
値段は物価に届かず、営業利益率は 1 割を大きく割る。固定費が重くなり、本業はほとんど稼がない。
価値を支えるのは手元の現金と有価証券になる。会社が清算されない限り、その使い道は少数株主には決められず、帳簿の額では数えられない。
10 年後の純利益は 1 億円を割り込み、配当も大きく減る。タイなど海外の赤字も残り、立て直しの投資に現金が削られる。
- 日本(タイ等のその他を含む):数量 38.9(出荷数(万個・推定))× 価格 3,322(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
- 韓国:数量 10.5(出荷数(万個・推定))× 価格 3,300(1 個あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。出荷数(万個)× 平均単価(円)。推定
倍率:本業はほとんど稼がず、PER では価値が出ない。床は純現金 22.5 億円から営業に要る 5 億円を引き、投資有価証券の税後を足して戻り方を掛けた約 16 億円とし、今の自己資本 60 億円に対して 0.267 倍にした(中立の PBR より低い)。
確率:小さな専業の部品メーカーで、主な得意先の調達の方針ひとつで採用を失いうる。無借金で会社が傾く形ではないが、1 割強にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
日本(タイ等のその他を含む)
真空エジェクタ、吸着パッド、真空センサ、ロボットの手先の部品。半導体・電子部品・食品・物流の装置メーカー向け。
| 数量出荷数(万個・推定) | 価格1 個あたりの平均単価(円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 54.0 | 2,889 | 16 | 3 |
| 10 年後 中立 | 65.9 | 3,871 | 26 | 4 |
取り方:出荷の数は開示が無い。パッド(千円前後)とエジェクタ(一万円前後)の構成から平均単価を三千円弱と推定し、日本とその他の売上から内部の取引を引いた約 15.6 億円から約 54 万個と逆算した。営業利益は全社 2.93 億円から韓国の推定分とタイの赤字を分けた推定。
韓国
韓国の半導体・電子部品の工場と装置メーカー向けの真空部品。
| 数量出荷数(万個・推定) | 価格1 個あたりの平均単価(円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14.0 | 3,000 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 18.9 | 3,900 | 7 | 1 |
取り方:韓国の売上 4.2 億円は開示。平均単価を三千円と推定し約 14 万個と逆算した。営業利益率 12% 前後は推定。
リスクと懸念
半導体の投資の谷
受注は半導体と電子部品の設備投資に強く連動する。2019 年と 2023 年には売上が 2 割前後落ちた。足元の伸びは AI 向けの投資の山で、谷が来れば利益は大きく縮む。
大手の SMC との競争
真空機器の最大手 SMC は、品ぞろえと販路、値段で圧倒的に強い。装置メーカーが部品の調達先を大手に絞れば、小さな専業は採用の座を失いやすい。
中国メーカーの安い吸着パッド
吸着パッドは作りが比較的単純で、中国のメーカーが安い品を増やしている。韓国や東南アジアの得意先で値段の競争が起きれば、単価と利益率が押される。
現金がたまり資本の効率が上がらない
自己資本の 4 割近くが現金で、2% でしか回らない。性向 4 割の配当では現金はたまり続け、ROE は資本コストを下回ったままになる。
海外の子会社の赤字
タイを中心とするその他の地域は営業赤字だ。海外を広げる投資が実らなければ、利益の足を引っ張り続ける。
今後の分かれ目
- 自社株買いや還元の方針の拡大が示されたら
- 余った現金の戻り方を 1.0 に上げ、価値を上方修正する。
- 半導体の投資が一巡し、受注が 2 四半期続けて前年を割ったら
- 山の利益とみて、やや悲観の確率を上げる。
- 人の形のロボットや物流の自動化で、新しい大口の採用が開示されたら
- 数量の伸びを上げ、楽観側の確率を上げる。
- 営業利益率が 2 期続けて 12% を割ったら
- 値決めの力が落ちたとみて、中立の利益率を下げる。
- 大手の部品メーカーや装置メーカーが買収を提案したら
- 専業の技術と現金が評価される形で、楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 受注と売上の前年比(四半期)
- 韓国の売上
- 営業利益率
- 配当性向と自社株買い
- 半導体の設備投資の見通し
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の ROE(余った現金 17 億円とその利息を除いて 5% 前後)が k 7.25% を下回るので、上限 1÷k の 11.8 倍から利益の質で 8〜9 割を置いた。今の PER(18 倍前後)や同業の値付けは見ていない。現金は帳簿の額 × 戻り方 0.75 で足した。悲観の床は純現金と有価証券の税後に戻り方を掛けた。設備は小さく、償却費を物価で増やしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.2→14.76 倍・やや楽観 PER 10.6→13.79 倍・中立 PER 9.4→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.25%。