結論
日本エアーテックは、空気をきれいに保つ設備を作る会社だ。半導体工場のクリーンルームと、医薬品・研究施設で使う安全キャビネットが二本柱で、2025年12月期の売上は約142億円、営業利益は約12億円だった。
筆者の結論は、今の値段はやや割高だ。強みは、財務が硬いこと。自己資本比率は74%で、純現金もある。一方で、売上の半分が半導体を中心とする電子工業向けで、投資の山と谷に利益が大きく振れる。2021年12月期には営業利益率が14%に達し、2023年12月期は5%まで落ちた。
今は半導体投資の追い風が吹いている局面だ。そこで中立では、利益率を山の14%に置かず、8%台にとどめた。数量は国内の工場新設で1割ほど伸びるが、価格は物価並みに上がるだけ。この前提で、10年後の価値は今の時価総額を2割弱下回る。大きな割高ではないが、安全域もない。\n筆者は、この会社を「景気の波を乗り越えて長く持てば報われる、堅実な小型株」と見ている。波の高い時に買えば、報われにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は事業が理解しやすく、財務が硬いことが魅力だ。空気をきれいにする設備は、地味だが半導体にも医薬にも欠かせない。標準品の比率が上がれば、利益は安定する。\nオーナー利益(設備投資を引いたあとに株主の手元に残る利益)は、純利益よりやや少ない。新工場への投資で数年は現金が出ていくが、その後は設備が生産能力を支える。配当性向が高く、株主への配分も良い。\nただ、この株を長く持つ価値があるかは、買う値段で決まる。半導体の山で利益が膨らんだ時に買えば、谷で報われにくい。今の値段は、山の利益をそのまま織り込んではいないが、安全域が広いわけでもない。筆者は、やや割高と見る。経営が標準品の比率を高め、利益の振れを抑えようとする姿勢は、バリュー投資家の目から見て正しい方向だ。ここは評価できる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、空気中のちりや菌を取り除く設備だ。主な製品は、クリーンルーム(ちりのない作業室)、クリーンブース、エアシャワー(入室前に体のほこりを飛ばす装置)、安全キャビネット(細菌や薬品を扱う作業台)である。売上の約52%が半導体や液晶などの電子工業向け、約37%が医薬品・医療・食品などのバイオロジカル向けで、残りが産業機器などだ。\n販売の形は二つある。一つは標準品や準標準品の機器販売で、安全キャビネットやエアシャワーが中心。もう一つは、顧客の工場や研究所に合わせて設計・施工するクリーンルームの工事だ。前者は利益率が安定し、後者は工事の規模で売上が振れる。中期経営計画では、標準・準標準品の比率を高めて利益を安定させる方針を掲げている。\n顧客は半導体装置メーカー、電子部品メーカー、製薬会社、病院、食品会社など幅広い。1社への依存は低いが、半導体向けは設備投資が一斉に増減するため、同時に振れる。足元では、群馬県で赤城スマートファクトリーの建設を進め、総工費は約16億円、2026年9月の完成を見込む。
優良さと弱いところ
強みは、標準品の納入実績と、据付から保守までを一貫して担う体制だ。安全キャビネットは、医薬・バイオの現場で国の基準を満たす製品が求められ、実績のあるメーカーが選ばれやすい。一度入れた設備は、保守と更新で長く付き合う。\n数字の面では、財務の硬さが際立つ。自己資本比率は74%、借入はほぼなく、純現金がある。営業赤字になったのは2009年12月期の1回だけだ。一方で、営業利益率は2014年12月期の1%から、2021年12月期の14%へ、そして2023年12月期の5%へと大きく動く。ROEの中央値は6%台にとどまり、資本コストには届いていない。\n弱みは二つある。クリーンルーム工事は入札型で、価格競争が避けられない。もう一つは、売上の半分が半導体に偏ることだ。筆者は、利益率が山の水準を保てるとは見ず、中立でも8%台と控えめに置いた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
クリーンルームの需要は、半導体工場の新設と増設、製薬・バイオ施設の整備に支えられる。国内では、先端半導体の工場誘致や、AIデータセンター向けの半導体投資が続く。医薬品では、バイオ医薬品や再生医療の製造設備が増え、安全キャビネットなどの需要も底堅い。\n半導体向けの投資は、数年ごとに山と谷を繰り返す。山では工事が集中し、利益率が大きく上がる。谷では新設がぱたりと止まる。当社の過去を見ても、2021年12月期の山と2023年12月期の谷では、営業利益が3倍近く違った。今は山に近い局面にあるとみて、中立にその水準を持ち込まない。\n競合は、クリーンルーム工事では大手ゼネコンや空調設備会社、高砂熱学工業、ダイダンなどが並ぶ。機器では、安全キャビネットは国内外のメーカーが競う。当社は、機器と工事を両方持つ中堅として、ニッチな標準品に強みがある。国内の人口減は数量の重しだが、設備の高度化が相殺する。半導体の生産拠点が海外へ分散する動きも、国内の工事需要には逆風になりうる。クリーンルームの更新需要も続く。
資本政策と M&A
財務は堅く、借入はほぼない。純現金は約17億円と時価総額の1割強だが、クリーンルーム工事には顧客からの前受金が多く、手元資金の一部は預かり分に近い。ここ数年の配当性向は5割前後で、利益の半分を株主に返す姿勢がはっきりしている。\n赤城スマートファクトリーへの約16億円の投資は、手元資金のかなりの部分を使う。完成すれば生産能力が上がり、標準品の供給力も増える。ただ、投資の回収は半導体の景気に左右される面がある。減価償却は今の設備のぶんは増えず、新工場の分だけが加わる。\nM&Aは大型のものはなく、親会社もない。TOBの確率は、小型株として一定程度ある。筆者は、資本政策については、高い配当性向を続けられる体力があり、評価している。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
半導体と医薬の二つの追い風を受ける数少ない中堅だ。国内の先端半導体工場の新設が続き、AIデータセンター向けの需要も重なる。バイオ医薬や再生医療の製造設備は増え続け、安全キャビネットなどの標準品は安定して売れる。\n標準・準標準品の比率を高める中期計画が進めば、利益率の振れは小さくなる。2021年12月期には営業利益率14%を出した実績があり、再びその水準に近づく余地がある。赤城の新工場で供給力も高まる。\n財務は借入なしで、配当性向は5割前後。株主への配分は手厚く、利益が伸びれば配当も増える。謙虚な経営と堅い財務が、谷での生き残りを支える。半導体と医薬という、互いに景気の波が違う二つの市場を持つ点は、他の小型機械株にない強みだ。電子工業が谷でも、バイオの安定した需要が利益を下支えする。さらに、国内の人手不足は標準品の自動化・省力化需要を押し上げる。標準品の比率が上がれば、山の利益が再び現れる。
慎重な見方
半導体の投資は山と谷が激しく、今は山に近い。2023年12月期に営業利益率が5%まで落ちたように、谷は何の前触れもなく来る。売上の半分が半導体向けで、谷では工事の受注が一気に細る。\nクリーンルーム工事は大手の設備会社との入札競争で、価格が上がりにくい。標準品でも海外メーカーが価格で攻める。ROEの中央値は6%台で、資本コストを下回る年が多く、株主の資本を効率よく使えているとは言えない。\n新工場に約16億円を投じるが、需要が谷になれば稼働率が上がらず、減価償却が利益を圧迫する。高い配当性向は、投資余力を削る面もある。しかも、標準品の比率を高める計画は、過去にも掲げられてきたが、利益率の振れは小さくなっていない。利益率が上がっても、ROEが資本コストを超えなければ、株主価値は増えない。自己資本が積み上がるだけの会社に、高い評価はつけられない。山の利益を前提にすれば、失望は避けられない。海外の半導体拠点が増えるほど、国内の新設は細る。
どちらに重みを置いたか
半導体の山谷が利益を左右する点は慎重な見方が正しい。一方、財務の硬さと標準品の安定は強気の見方が勝つ。確率は中立を厚くしつつ、やや悲観の側にも重みを置き、景気の谷が来る前提を織り込んだ。また、赤字がほとんどない実績は評価するが、山の利益を前提にした期待には距離を置いた。確率は、中立と、やや悲観のどちらにも厚みを置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,889 円189 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 553 円55 億円)。 今の値に割り戻すと 1,301 円130 億円、今との差 +1.4%、 期待の年率 +6.6%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 3,727 円373 億円 | 849 円85 億円 | +256.7% | +13.6% | 458 円46 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,628 円263 億円 | 679 円68 億円 | +157.8% | +9.9% | 728 円73 億円 |
| 中立 | 33% | 1,997 円200 億円 | 649 円65 億円 | +106.3% | +7.5% | 873 円87 億円 |
| やや悲観 | 23% | 906 円91 億円 | 400 円40 億円 | +1.7% | +0.2% | 300 円30 億円 |
| 悲観 | 12% | 591 円59 億円 | 100 円10 億円 | −46.1% | −6.0% | 83 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,889 円189 億円 | 553 円55 億円 | +90.3% | +6.6% | 2,442 円244 億円 |
今の株価時価総額 1,283 円128 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 半導体の好況が続き、標準品も伸びて利益率が10%台 利益 24 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 3,727 円373 億円
国内の先端半導体工場の新設が続き、電子工業向けの数量は3割以上伸びる。バイオ医薬の設備も増え、標準品の比率が上がって価格は物価を上回る。営業利益率は10%台に乗り、営業利益は25億円を超える。配当性向を保ち、株主還元も増える。山が10年に何度か来る前提だが、谷の浅さが変わらない構造的な改善が前提になる。新工場の稼働率も高く、標準品の供給力が収益に直結する。株価の評価は、利益率の振れが小さくなった点に移る。ただし、この筋書きは谷の浅い10年を前提にしており、ハードルは高い。この筋書きは、赤字がほとんどない実績と、供給力を高める投資が噛み合った場合の姿だ。
- 電子工業向け(半導体・液晶などのクリーンルーム・機器):数量 2,430(国内の電子工業向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.8%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 140 億円・営業利益 17 億円。数量は今の 1.35 倍、価格は 1.40 倍、営業利益率 12.0%
- バイオロジカル向け(医薬・医療・食品の安全キャビネット・クリーンルーム):数量 1,430(国内のバイオロジカル向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.6%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 80 億円・営業利益 9 億円。数量は今の 1.10 倍、価格は 1.40 倍、営業利益率 11.0%
- その他(産業機器・保守など):数量 1,100(国内のその他向けクリーン機器の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 2.1%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。数量は今の 1.10 倍、価格は 1.40 倍、営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.54 倍、時価総額 373 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体投資の山が10年続く前提は強気すぎるため、1割にとどめた。
やや楽観 22% 半導体と医薬が堅調で、利益率は9%台 利益 19 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 2,628 円263 億円
電子工業向けの数量は2割強伸び、バイオ向けも安定して増える。営業利益率は9%台で、2021年の山の14%には届かない。標準品の比率が上がって利益の振れはやや小さくなるが、谷は来る。営業利益は20億円、純利益は19億円ほど。配当は純利益の4割台後半で続き、現金は緩やかに積み上がる。標準品の比率が上がり、バイオ向けが下支えになる。谷が来ても利益率は7%程度で踏みとどまり、極端な落ち込みは避けられる。国内の更新需要と新設が重なり、受注残も厚みを増す。経営は無理な拡大に走らず、堅実に手元資金を積み上げる。
- 電子工業向け(半導体・液晶などのクリーンルーム・機器):数量 2,196(国内の電子工業向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.7%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 124 億円・営業利益 13 億円。数量は今の 1.22 倍、価格は 1.37 倍、営業利益率 10.5%
- バイオロジカル向け(医薬・医療・食品の安全キャビネット・クリーンルーム):数量 1,365(国内のバイオロジカル向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.5%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 75 億円・営業利益 8 億円。数量は今の 1.05 倍、価格は 1.37 倍、営業利益率 10.0%
- その他(産業機器・保守など):数量 1,000(国内のその他向けクリーン機器の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 2.1%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。数量は今の 1.00 倍、価格は 1.37 倍、営業利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 13.99 倍、時価総額 263 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今の追い風がある程度続く筋書きで、中立の次に起こりやすい。
中立 33% 中立:半導体は山と谷を均し、利益率は8%台 利益 15 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,997 円200 億円
国内の電子工業向けの数量は、工場の新設で1割ほど伸びる。バイオ向けはほぼ横ばいで、価格は物価並みに上がる。営業利益率は8%台で、今とほぼ同じ水準。山の14%にも谷の5%にも寄せていない。営業利益は16億円、純利益は15億円ほど。配当は純利益の5割弱で、10年で65億円を返す。減価償却は今の設備分は増えず、新工場の分だけが加わる。更新投資は建築費の上昇で膨らむ。標準品の比率は少しずつ上がるが、工事の振れは残る。10年を均せば、利益の水準は今とほぼ同じで、物価の分だけ名目が増える形だ。営業利益率は山と谷の中間に落ち着き、安定した配当が続く。大きな買収や増資はなく、財務の形は今と変わらない。
- 電子工業向け(半導体・液晶などのクリーンルーム・機器):数量 2,016(国内の電子工業向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.5%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 111 億円・営業利益 11 億円。数量は今の 1.12 倍、価格は 1.34 倍、営業利益率 9.5%
- バイオロジカル向け(医薬・医療・食品の安全キャビネット・クリーンルーム):数量 1,326(国内のバイオロジカル向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.4%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 71 億円・営業利益 7 億円。数量は今の 1.02 倍、価格は 1.34 倍、営業利益率 9.5%
- その他(産業機器・保守など):数量 1,000(国内のその他向けクリーン機器の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 2.0%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。数量は今の 1.00 倍、価格は 1.34 倍、営業利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 200 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体の好況は今がピークに近いとみて、山の水準を持ち込まず、谷とのならしで置いた。
やや悲観 23% 半導体の谷が長引き、利益率が5〜6%に沈む 利益 7 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 906 円91 億円
半導体の設備投資が谷に入り、電子工業向けの数量が15%落ちる。工事の入札競争が激しく、価格は物価を下回る。営業利益率は5〜6%で、営業利益は8億円弱にとどまる。純利益は7億円。配当は純利益の半分を保つが、新工場の償却が重くのしかかる。標準品が下支えするため、赤字には落ちない。新工場の稼働率は低く、減価償却が重荷になる。それでも借入がないため、資金繰りに不安はなく、財務の硬さが会社を守る。標準品の比率が上がらず、工事の受注も細る。経営は固定費の削減で乗り切ろうとするが、利益の回復には時間がかかる。
- 電子工業向け(半導体・液晶などのクリーンルーム・機器):数量 1,530(国内の電子工業向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.1%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 79 億円・営業利益 5 億円。数量は今の 0.85 倍、価格は 1.25 倍、営業利益率 6.0%
- バイオロジカル向け(医薬・医療・食品の安全キャビネット・クリーンルーム):数量 1,235(国内のバイオロジカル向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 5.0%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 62 億円・営業利益 4 億円。数量は今の 0.95 倍、価格は 1.25 倍、営業利益率 7.0%
- その他(産業機器・保守など):数量 900(国内のその他向けクリーン機器の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 1.9%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。数量は今の 0.90 倍、価格は 1.25 倍、営業利益率 6.0%
倍率:ROEは約3.6%でkを大きく下回るので、PERは1÷kが上限。ためた利益は額面未満の価値という前提で、約8割の10倍に置いた。
確率:2023年の谷の実績がある。10年のうち谷の期間が長引く可能性を、2割強に置いた。
悲観 12% 構造的に負け、半導体の需要が海外に流れ工事も縮む 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 591 円59 億円
国内の半導体工場の新設が途切れ、電子工業向けの数量は4割落ちる。工事は価格競争に巻き込まれ、利益率はほぼゼロになる。バイオ向けも海外メーカーに押される。純利益はほぼ消え、配当を絞る。こうなると稼ぐ力ではなく、持つ資産の価値で値が付く。現金の半分と、工場・在庫・売掛金の売却価値が下支えになる。取引先の半導体メーカーが海外で設備を増やし、国内の更新も見送られる。会社は縮小均衡に入り、配当も大きく絞る。従業員の削減や拠点の統合を迫られ、技術の継承にも支障が出る。再編や買収の対象になる可能性も高まる。株主の取り分は、資産の価値の範囲に収まる。
- 電子工業向け(半導体・液晶などのクリーンルーム・機器):数量 1,080(国内の電子工業向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 4.5%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 49 億円・営業利益 1 億円。数量は今の 0.60 倍、価格は 1.10 倍、営業利益率 2.0%
- バイオロジカル向け(医薬・医療・食品の安全キャビネット・クリーンルーム):数量 1,105(国内のバイオロジカル向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 4.4%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 49 億円・営業利益 2 億円。数量は今の 0.85 倍、価格は 1.10 倍、営業利益率 4.0%
- その他(産業機器・保守など):数量 800(国内のその他向けクリーン機器の市場規模(億円、今の値段で測った実質))× 価格 1.7%(市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率)→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。数量は今の 0.80 倍、価格は 1.10 倍、営業利益率 0.0%
倍率:今の自己資本148億円に0.4倍を掛けた。稼ぐ力がほぼ消えるので、純現金と売れる資産の税後の価値で値を付けた。
確率:半導体が海外へ流れる構造的な負けとして1割強に置いた。5%を下回らない水準。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電子工業向け(半導体・液晶などのクリーンルーム・機器)
半導体や電子部品の工場向けクリーンルーム、クリーンブース、エアシャワーなど。
| 数量国内の電子工業向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質) | 価格市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,800 | 4.1% | 74 | 7 |
| 10 年後 中立 | 2,016 | 5.5% | 111 | 11 |
取り方:売上の約52.4%(会社開示)が電子工業分野で、2025年12月期の売上約141.5億円から約74億円。市場規模は開示がなく、国内の電子工業向けクリーン設備を1,800億円と仮置きした推定。営業利益は全社の営業利益11.6億円に本社費を足し戻して配分した推定。
バイオロジカル向け(医薬・医療・食品の安全キャビネット・クリーンルーム)
医薬品工場・研究所・病院向けの安全キャビネット、クリーンルーム、アイソレーターなど。
| 数量国内のバイオロジカル向けクリーン設備の市場規模(億円、今の値段で測った実質) | 価格市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,300 | 4.0% | 52 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,326 | 5.4% | 71 | 7 |
取り方:売上の約36.9%(会社開示)がバイオロジカル分野で約52億円。市場規模は開示がなく、1,300億円と仮置きした推定。営業利益は標準品の比率が高いため電子と同程度の利益率と推定。
その他(産業機器・保守など)
産業機器向けの空気清浄機器、保守・部品など。
| 数量国内のその他向けクリーン機器の市場規模(億円、今の値段で測った実質) | 価格市場1億円あたりの当社売上(億円)=シェア×物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 1.5% | 15 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,000 | 2.0% | 20 | 2 |
取り方:売上の残り約10.7%にあたる約15億円。市場規模は開示がなく、1,000億円と仮置きした推定。
リスクと懸念
半導体投資の山谷
売上の半分が半導体向けで、投資が止まると工事の受注が急に細る。過去の谷では営業利益が3分の1に落ちた。今は山に近い局面にあるとみて、中立でも利益率を山の水準に置いていない。
クリーンルーム工事の価格競争
大手の設備会社との入札で、価格が上がりにくい。工事の採算が悪化すれば、標準品の稼ぎを食う。
新工場への投資の回収
赤字の期がなく財務は堅いが、赤城スマートファクトリーに約16億円を投じる。需要が谷になれば稼働率が上がらず、減価償却が利益を圧迫する。
資本効率の低さ
ROEの中央値は6%台で、資本コストを下回る年が多い。利益率が上がらなければ、自己資本が積み上がるだけになる。
資材・人件費の上昇
鋼材・部材、施工の人件費が上がる。価格転嫁が遅れると、固定価格の工事で採算が悪化する。
海外メーカーとの競争
安全キャビネットなどの標準品では、海外メーカーが価格で攻める。標準品の比率を高める計画が、価格競争で崩れる恐れがある。
今後の分かれ目
- 標準・準標準品の売上比率が6割を超えたら
- 利益率の振れが小さくなったことになり、中立の営業利益率を上げ、確率を楽観側へ寄せる。
- 半導体向けの受注が2期続けて前年を大きく割ったら
- 投資の谷に入った合図。やや悲観の確率を上げる。
- 赤城の新工場が計画どおり完成し稼働率が上がったら
- 標準品の供給力が増え、中立の数量を上方修正してよい。
- 配当性向が5割を下回り内部留保が積み上がったら
- 余った現金の評価を見直し、戻り方を検討する。
- 営業利益率が10%を超えて3年続いたら
- 山の利益ではなく構造的な改善と判断でき、利益の質を見直す。
- TOBの提案が出たら
- 財務の硬さと標準品の安定が評価される上振れ要因。条件の水準を確認する。
見ておくもの
- 電子工業向けとバイオロジカル向けの受注と売上
- 標準・準標準品の売上比率
- 営業利益率(山の14%を超えるか)
- 赤城スマートファクトリーの稼働状況
- 国内の半導体設備投資の動向
倍率と資本コストの決め方
売上は市場規模×シェア(物価の倍率込み)で積み、中立の営業利益率は半導体の山(14%)に置かず8%台とした。倍率はROEがkをわずかに下回るため上限1÷kの約9割。今の株価は参照していない。半導体の景気は中立に置かず、山と谷を筋書きの幅で表した。リース会計の変更は賃借が小さく、今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→15.54 倍・やや楽観 PER 11→13.99 倍・中立 PER 10.5→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に品質+0.75%を足して8.25%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.50%。