結論
太平製作所は、丸太を薄くむいて乾かし、貼り合わせて合板にするまでの機械を作る、愛知県小牧市の老舗だ。集成材の生産ラインに使う木工機械と、2×4 住宅のパネルも手がける。筆者の結論は、今の値段はおおむね適正である。
国内の合板工場の設備を長く支えてきた実績と、借入を差し引いても 20 億円を超える手元の資金は評価できる。一方で、国内の住宅の着工は細り、合板の生産量もゆっくり減っている。受注は数件の大型案件で決まり、利益は年ごとに大きく振れる。
伸びしろは北米と、杉やカラマツなど国産材を使う新しい木の製品だ。2026 年には北米の大型案件を取り、林業の子会社も作った。筆者は、事業の質は悪くないが、受注の波と国内の縮みを考えると、手元の現金の厚さを足しても大きな安全域はないと見る。2026 年に光通信が株を買い始めたことは、還元が増える兆しとして注目に値する。北米の受注が二度、三度と続けば、評価は一段上がる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、太平製作所は「狭い市場の目利き」だ。合板の工場一式を任せられる会社は国内に数えるほどしかなく、客との関係は何十年も続く。こうした事業は、景気の波はあっても簡単には消えない。
ただ、株主のものになる利益は年によって大きく違う。大型の案件が重なった年は自己資本利益率が 15% を超えるが、谷の年はほぼゼロだ。ならせば 1 割前後で、資本コストをわずかに上回る程度にとどまる。新しい工場の建物への投資も、北米で受注が続かなければ重荷になる。
安全域は、手元の資金の厚さにある。借入を差し引いても資金は時価総額の半分を超える。ただ前受金や運転の資金を除くと、本当に余っている分はその 3 分の 1 ほどだ。オーナーとして長く持つなら、北米の受注が一度きりで終わらないかを確かめてからでも遅くない。
何で稼ぐ会社か
事業は三つある。柱の合板機械事業は、丸太をかつらむきにするロータリーレース、薄板を乾かすドライヤー、貼り合わせるホットプレス、刃物の研磨機などを作る。2026 年 3 月期の外部売上は 32 億円、利益は 3.7 億円だった。客は林ベニヤ産業や新秋木工業といった国内の合板会社で、工場の新設や更新、大型の保守を一手に引き受ける。
木工機械事業は、木材を細かく砕くチッパーや、短い板を継いで長くするフィンガージョインター、木の節や割れを見分けるスキャナーを作る。集成材の工場の投資が盛んで、売上は 22 億円、利益は 2.9 億円と前の期より伸びた。新しいスキャナーは業界の展示会で技術の賞を取った。
住宅建材事業は、2×4 工法の壁や床のパネルを作り、住宅の骨組みを建てる。売上は 9.5 億円で、利益はわずかだ。最近は木の骨組みの農業用ハウスも売り始めた。
売上の 15% は輸出で、北米には販売の拠点を置く。2026 年 7 月には林業の子会社を作り、木を植えて育てる側にも入った。原料の木から機械、建材まで、木の流れ全体に関わろうとしている。
優良さと弱いところ
優良さの核は、合板の工場一式を任せられる技術と実績だ。合板の機械は、木の種類や水分に合わせて細かく調整する必要があり、長年のノウハウがものを言う。国内でこれを一通りそろえる会社は、太平製作所と名南製作所くらいしかない。海外ではフィンランドのラウテが大手だ。
客は少数の合板会社に集中している。上位の数社で売上の 3〜4 割を占め、1 社の投資の判断で年の業績が変わる。客にとって機械の入れ替えは何十年に一度の大事業で、なじみの会社に頼みやすい。これは強みであると同時に、新しい客を増やしにくい壁でもある。
資本効率は波がある。自己資本利益率は良い年に 15%、悪い年はほぼゼロで、過去 10 年の中央値は 10% だ。借入は短期の 7 億円だけで、手元の資金はそれを大きく上回る。最近は新しい工場の建物に 10 億円近くを投じた。筆者は、この投資が北米の受注で報われるかを見たい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
合板の需要は、国内の住宅の着工に強く結びつく。新築の住宅は人口の減少で細り、合板の生産量もゆっくり減っている。一方で、合板の原料は南洋材から国産の杉やカラマツへ大きく移った。国産材を効率よく使うための機械の入れ替えが、ここ 10 年の需要を支えてきた。
新しい木の製品も育っている。集成材や、厚い板を直角に重ねた CLT、薄い板を同じ向きに重ねた LVL は、中層のビルや非住宅の建物に木を使う流れで伸びる。国も公共の建物に木を使うよう後押ししている。木工機械の受注が強いのは、この集成材の工場の投資が続いているからだ。
北米は住宅の着工が多く、合板や LVL の工場も大きい。太平製作所は展示会に出て販路を広げ、2026 年には既存の客から大型の注文を取った。ただ、北米には地元の機械会社やラウテが根を張り、価格の競争も厳しい。筆者は、国内の数量は横ばいからやや減り、北米と新しい木の製品の分が伸びて、全体の数量はほぼ横ばいになると見る。値段は人件費や鋼材の上昇を映して物価並みに上がり、売上は名目で 3 割ほど増える。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、2027 年 3 月期は前の期から 2 割半増やす予想だ。配当性向は 3 割弱で、自己株の取得は小さい。2026 年には光通信が大量保有を届け出て、買い増しを続けている。株主から還元を求める声が強まる可能性がある。
手元の資金は、現金 19 億円と短期の有価証券 10 億円で、借入 7 億円を引いても 22 億円ある。ただし前受金が 7 億円近くあり、受注の波に備えた運転の資金も要るので、事業に使われていない余りは 7 億円ほどとみる。
買収については、時価総額が小さく、手元の資金と土地を持つため、同業や投資家に狙われる余地はある。経営は林業への参入など、事業の幅を広げる方向に資本を使っている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
合板と集成材の工場の機械を一式で納められる会社は、国内に太平製作所と名南製作所くらいしかない。国産材への切り替え、CLT や LVL など新しい木の製品、木を使う中層のビルの広がりは、機械の入れ替えと新設の需要を 10 年支える。木工機械の受注が強いのはその証拠だ。
北米は大きな伸びしろだ。2026 年に既存の客から大型の注文を取り、販売の拠点もある。北米の合板や LVL の工場は日本より大きく、1 件の受注で国内の数件分になる。新しい工場の建物はその受け皿で、稼働が上がれば利益率は過去の山の 15% 前後に戻る。
資本の面でも追い風がある。光通信が株を買い増し、還元を求める声は強まる。手元の資金は時価総額の半分を超え、配当も増え続けている。国内で工場一式を任せられる相手は限られ、客は乗り換えにくい。林業への参入も、原料の側から客との関係を強める布石になる。木の流れの上から下までを知る会社は、客にとって頼れる相談相手になる。
慎重な見方
国内の新築の住宅は人口の減少で細り、合板の生産量もゆっくり減る。客の合板会社は数が少なく、上位数社で売上の 3〜4 割を占める。1 社が投資を止めるだけで、年の受注は大きく落ちる。2026 年 3 月期の木工機械の受注が前の期の半分に減ったように、波は激しい。
北米は甘くない。地元の機械会社やラウテが根を張り、日本からの輸出は為替と物流の費用を背負う。大型の注文が一度取れても、続く保証はない。新しい工場の建物に 10 億円近くを投じたが、稼働が上がらなければ償却の重荷になる。
住宅建材の事業は利益がほぼ出ておらず、林業への参入も稼ぎになるまで時間がかかる。手元の資金は厚く見えるが、前受金や受注の波に備えた運転の資金を除けば、余りは 7 億円ほどにすぎない。光通信の買い増しも、還元の約束があるわけではなく、売りに回れば株価の重しになる。合板の需要が縮む中で、機械の会社だけが伸び続けるのは難しい。
どちらに重みを置いたか
両者の言い分はほぼ拮抗する。国産材や新しい木の製品が機械の需要を支え、北米が伸びしろになるという強気の見方は筋が通る。ただ、国内の住宅の縮みと客の集中による受注の波は構造的で、北米の成功もまだ一度きりだ。中立に最も重みを置き、楽観側と悲観側をほぼ同じ厚さにした。手元の資金の厚さは悲観の床を支えるが、確率そのものは動かさなかった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 5,045 円66 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,194 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 3,087 円40 億円、今との差 +8.3%、 期待の年率 +8.2%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 9,251 円121 億円 | 1,907 円25 億円 | +291.5% | +14.6% | 1,116 円15 億円 |
| やや楽観 | 22% | 7,024 円92 億円 | 1,525 円20 億円 | +200.0% | +11.6% | 1,881 円25 億円 |
| 中立 | 38% | 5,350 円70 億円 | 1,297 円17 億円 | +133.2% | +8.8% | 2,526 円33 億円 |
| やや悲観 | 20% | 2,102 円28 億円 | 686 円9 億円 | −2.1% | −0.2% | 558 円7 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,215 円16 億円 | 381 円5 億円 | −44.0% | −5.6% | 160 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,045 円66 億円 | 1,194 円16 億円 | +118.9% | +8.2% | 6,240 円82 億円 |
今の株価時価総額 2,850 円37 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 北米が柱になり、新しい木の製品も伸びる 利益 10 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 9,251 円121 億円
北米で大型の注文が続き、合板や LVL の工場の機械で地元の会社やラウテと肩を並べる。国内では中層のビルに木を使う流れで CLT や LVL の工場が相次ぎ、木工機械の受注も伸びる。新しい工場の建物は稼働が上がり、利益率は過去の山に近い 16% を保つ。北米の客の工場の保守も請け負い、景気の谷でも仕事が残る。
住宅建材は農業用ハウスで小さな柱を得る。配当は増え続け、自己株の取得も始まる。それでも事業の自己資本利益率は 1 割に届くかどうかで、北米の稼ぎが続くかどうかが価値を左右する。光通信など株主の声もあり、手元の資金の一部は株主に戻る。
- 合板機械:数量 100(合板機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.56(1 台あたりの売上(億円・名目、保守を含む))→ 売上 56 億円・営業利益 9 億円。100 台 × 1 台 0.56 億円(今の 1.40 倍)、営業利益率 16%
- 木工機械:数量 125(木工機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.28(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 5 億円。125 台 × 1 台 0.28 億円(今の 1.40 倍)、営業利益率 15%
- 住宅建材:数量 110(パネルを納める住宅の棟数(棟・年、推定))× 価格 0.11(1 棟あたりの売上(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。110 棟 × 1 棟 0.11 億円(今の 1.40 倍)、営業利益率 4%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 12.33 倍、時価総額 121 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:北米で受注が続き、国内でも新しい木の製品の工場が相次ぐという条件がそろう必要がある。2026 年の大型の注文は兆しだが一度きりなので、1 割にとどめた。
やや楽観 22% 国産材と集成材の投資が続く 利益 7 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 7,024 円92 億円
国内の合板会社は国産材を効率よく使うための入れ替えを続け、集成材の工場の投資も途切れない。北米では数年に一度の大型の注文が取れる。納める台数は合板機械も木工機械も今より 1 割ほど増え、1 台あたりの値段は物価をやや上回って上がる。スキャナーのような賢い機械の比率が上がるためだ。
利益率は 13% 前後と、過去の平均を少し上回る水準になる。営業利益は今の 1.7 倍になる。本社の費用は物価並みに増える。配当は配当性向 3 割強で増え、手元の資金はなお厚い。新しい工場の建物も稼働が上がり、償却の重さは利益の伸びに吸収される。
- 合板機械:数量 90.0(合板機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.55(1 台あたりの売上(億円・名目、保守を含む))→ 売上 50 億円・営業利益 7 億円。90 台 × 1 台 0.55 億円(今の 1.37 倍)、営業利益率 14%
- 木工機械:数量 115(木工機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.27(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 4 億円。115 台 × 1 台 0.27 億円(今の 1.37 倍)、営業利益率 13.5%
- 住宅建材:数量 105(パネルを納める住宅の棟数(棟・年、推定))× 価格 0.11(1 棟あたりの売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。105 棟 × 1 棟 0.11 億円(今の 1.37 倍)、営業利益率 3%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 92 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国産材や集成材の工場の投資が続き、北米でも時々大型の注文が取れる筋書き。ここ 10 年の延長にあり、楽観の倍の重みにした。
中立 38% 国内は横ばい、受注の波は続く 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 5,350 円70 億円
国内の合板会社は入れ替えを続けるが、住宅の着工の減りで新設は少ない。北米からは時々注文が入り、合板機械の台数は今とほぼ同じになる。木工機械は集成材の投資が一巡して少し減り、住宅建材は 2 割縮む。国産材の切り替えの投資は一巡し、機械の需要の多くは古い設備の更新になる。
1 台あたりの値段は物価並みに上がるが、受注の波で利益率は 12% 前後にとどまる。本社の費用も物価で増え、営業利益は今の 1.2 倍になる。配当は配当性向 3 割強を保ち、手元の資金はゆっくり増える。林業の子会社は小さな稼ぎにとどまり、会社の姿は今と大きく変わらない。
- 合板機械:数量 80.0(合板機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.54(1 台あたりの売上(億円・名目、保守を含む))→ 売上 43 億円・営業利益 5 億円。80 台 × 1 台 0.54 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 12%
- 木工機械:数量 105(木工機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.27(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 28 億円・営業利益 3 億円。104.5 台 × 1 台 0.27 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 12%
- 住宅建材:数量 96.0(パネルを納める住宅の棟数(棟・年、推定))× 価格 0.11(1 棟あたりの売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。96 棟 × 1 棟 0.11 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 2%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.5% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 68 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の合板の需要は横ばいからやや減り、北米と新しい木の製品で数量を保つ、今の延長の筋書き。強気と慎重の言い分の落としどころとして最も重く置いた。
やや悲観 20% 国内の合板工場の集約で受注が細る 利益 2 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 2,102 円28 億円
国内の住宅の着工の減りで、合板会社は工場を集約し、機械の入れ替えを先送りする。北米の注文は 2026 年の 1 件で途切れ、合板機械の台数は今の 8 割に落ちる。集成材の投資も一巡し、木工機械も減る。客の合板会社は数社に集約され、残った会社は値段に厳しくなる。
値段の競争も起き、利益率は 6% 前後に下がる。新しい工場の建物の償却が重く、営業利益は今の 4 割ほどになる。人件費の上昇も重い。配当は据え置き、手元の資金は減らないが、事業の稼ぐ力は資本コストを大きく下回る。住宅建材は赤字に転じ、縮小の判断を迫られる。
- 合板機械:数量 65.0(合板機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.50(1 台あたりの売上(億円・名目、保守を含む))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。65 台 × 1 台 0.50 億円(今の 1.25 倍)、営業利益率 6%
- 木工機械:数量 95.0(木工機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.25(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。95 台 × 1 台 0.25 億円(今の 1.25 倍)、営業利益率 8%
- 住宅建材:数量 80.0(パネルを納める住宅の棟数(棟・年、推定))× 価格 0.10(1 棟あたりの売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。80 棟 × 1 棟 0.10 億円(今の 1.25 倍)、営業利益率 −2%
倍率:事業の ROE は 2% 前後で k 8.25% を大きく下回るので、PER の上限は 1÷k の約 11.4 倍。稼ぐ力が細る筋書きなので上限の 7 割に置いた。余った資金は谷で一部を使うとみて 0.75 倍に戻り方 0.75 を掛けた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 8 倍・時価総額 18 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:国内の合板会社が工場を集約し、北米の受注も途切れる筋書き。客の集中と住宅の縮みから起こりやすいので、楽観側に近い重みにした。
悲観 10% 国内の合板の縮小と北米の撤退 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 1,215 円16 億円
国内の合板の生産は輸入品と住宅の縮みで大きく減り、客の合板会社のいくつかが工場を閉じる。機械の需要は保守と小さな更新だけになり、合板機械の台数は今の半分近くに落ちる。北米は価格の競争に負けて撤退する。国内の保守の仕事も、客の工場の閉鎖で年々細る。
新しい工場の建物は稼働が低く、減損の判断を迫られる。営業損益は赤字になり、配当は大きく減る。人も減らす。株主の価値を支えるのは手元の資金だけだが、前受金と運転の資金を除くと、その厚さは見かけほどではない。林業や建材の新しい事業も、本業の穴を埋めるには小さすぎる。
- 合板機械:数量 45.0(合板機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.44(1 台あたりの売上(億円・名目、保守を含む))→ 売上 20 億円・営業利益 −1 億円。45 台 × 1 台 0.44 億円(今の 1.10 倍)、営業利益率 −3%
- 木工機械:数量 75.0(木工機械の納入台数(台・年、推定))× 価格 0.22(1 台あたりの売上(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。75 台 × 1 台 0.22 億円(今の 1.10 倍)、営業利益率 2%
- 住宅建材:数量 60.0(パネルを納める住宅の棟数(棟・年、推定))× 価格 0.09(1 棟あたりの売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。60 棟 × 1 棟 0.09 億円(今の 1.10 倍)、営業利益率 −5%
倍率:赤字になるので PER は使わず、今の自己資本 72.4 億円に PBR 0.22 倍を掛けた。値は床の資産(前受金を除いた純現金)にそろえた。設備と土地は工場の閉鎖で値がつきにくいとみて数えない。
確率:国内の合板工場の閉鎖が相次ぎ、北米からも撤退する構造的な負け。手元の資金が厚く倒れる心配は小さいので、1 割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
合板機械
ロータリーレース・ドライヤー・ホットプレス・研磨機など、合板の生産ラインの機械と保守。
| 数量合板機械の納入台数(台・年、推定) | 価格1 台あたりの売上(億円・名目、保守を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 80.0 | 0.40 | 32 | 4 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.54 | 43 | 5 |
取り方:台数の開示は無いので、ドライヤーやプレスなど主な機械の 1 台あたりを平均 0.4 億円と置き、外部売上 32.12 億円から年 80 台と推定した(推定)。台数は実質、物価と大型化による値上がりは 1 台あたりの売上に入れる。
木工機械
チッパー・フィンガージョインター・スキャナーなど、集成材や木材加工のラインの機械。
| 数量木工機械の納入台数(台・年、推定) | 価格1 台あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 110 | 0.20 | 22 | 3 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.27 | 28 | 3 |
取り方:台数の開示は無いので、1 台あたりを平均 0.2 億円と置き、売上 22.01 億円から年 110 台と推定した(推定)。
住宅建材
2×4 工法の壁・床のパネルの販売と、住宅の構造躯体の建築。
| 数量パネルを納める住宅の棟数(棟・年、推定) | 価格1 棟あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 0.08 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 96.0 | 0.11 | 10 | 0 |
取り方:棟数の開示は無いので、1 棟あたりを約 0.08 億円と置き、売上 9.46 億円から年 120 棟と推定した(推定)。
リスクと懸念
客の集中と受注の波
上位数社の合板会社で売上の 3〜4 割を占める。客にとって機械の入れ替えは何十年に一度の判断で、1 社が投資を見送るだけで年の受注が大きく落ちる。木工機械の受注は 2026 年 3 月期に前の期の半分になった。
国内の住宅の縮み
新築の住宅の着工は人口の減少で細り、合板と 2×4 のパネルの需要も細る。国産材への切り替えの投資が一巡すれば、国内の機械の需要は更新だけになる。
北米での競争
北米には地元の機械会社やフィンランドのラウテが根を張る。日本からの輸出は物流と為替の費用を背負い、据え付けや保守の体制も要る。2026 年の大型の注文が続かなければ、伸びしろの話は崩れる。
新しい工場の投資
合板機械の工場の建物に 10 億円近くを投じた。稼働が上がらなければ、償却と固定費が利益を押し下げる。建築費の上昇で、次の更新の投資も膨らむ。
新しい事業の手間
林業の子会社や木の農業用ハウスは、稼ぎになるまで時間がかかる。本業の機械と違う技術と販路が要り、経営の目が分散する恐れもある。
今後の分かれ目
- 北米で 2 件目、3 件目の大型の注文が続いたら
- 北米が本当の柱になり、やや楽観の筋書きに近づく。新しい工場の稼働も上がる。
- 光通信など株主の求めで、配当性向や自己株の取得を大きく引き上げたら
- 余った資金が株主に戻る道が開け、戻り方を高く見てよくなる。
- 国内の大手の合板会社が工場の閉鎖や集約を決めたら
- 国内の機械の需要が細り、やや悲観の筋書きに重みが移る。
- CLT や LVL の工場の新設が国内で相次いだら
- 木工機械と合板機械の両方に追い風になり、中立より上の筋書きに近づく。
- 住宅建材の事業の赤字が広がったら
- 撤退や縮小の判断が要り、本社の費用の負担が重くなる。
見ておくもの
- 合板機械と木工機械の受注高と受注残
- 北米向けの売上と輸出比率
- 国内の合板の生産量と住宅の着工
- 配当と自己株の取得
- 大株主の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は、10 年後の事業の自己資本利益率と資本コスト 8.25% から正当化 PER を出し、その 8〜9 割に置いた。ROE が k を下回る筋書きは 1÷k を上限にした。余った資金 7 億円は、短期の有価証券 10 億円を含む純現金 22 億円から前受金と運転の資金を引いた額で、戻り方 0.75 を掛けて足した。facts の純現金は有価証券を落としていたので、短信の貸借対照表で直した。今の株価は見ていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→12.33 倍・やや楽観 PER 10.8→12.12 倍・中立 PER 10→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.25%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。