結論
明治機械は、小麦を粉にする製粉の工場と、家畜の配合飼料の工場を建てる会社だ。ロール機などの機械を作り、工場の設計から据え付け、保守までを請け負う。売上は約 55 億円で、国内の製粉と飼料のプラントでは大手の一角を占める。
筆者の結論は、今の値段は割高だ、というものだ。時価総額は自己資本の 1.7 倍だが、本業は過去 20 年で 11 回の赤字を出してきた。稼ぐ力が資本コストに届かない会社に、帳簿を上回る値段を払う理由は乏しい。
足元も厳しい。2026 年 3 月期は営業赤字で、2027 年 3 月期の第 1 四半期は 3.7 億円の最終赤字だった。会社は通期の黒字を見込むが、案件の計上の波で利益は大きく振れる。
大株主の Abalance が 34% を持ち、資本と業務で提携している。再編の思惑は値段を押し上げうるが、価値の裏付けにはならない。
10 年先の中立でも、営業利益は 2 億円台とみる。筆者がいちばん気にしているのは、案件の採算の弱さが 20 年変わっていないことだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「長い実績はあるが、稼ぐ力が資本に見合わない」部類に入る。
事業は分かりやすい。パンや麺の粉、家畜の飼料は毎日要り、その工場はいずれ更新される。同社はその工場を建てる技術と実績を持つ。
問題は、その技術から上がる利益が安定しないことだ。大型の案件は入札で値が決まり、一つの案件の失敗で年の利益が吹き飛ぶ。過去 20 年で赤字の期は半分を超える。資本コストを上回る ROE を続けて出した時期は無い。
安全域、つまり値段と価値の間のゆとりは見当たらない。今の値段は自己資本の 1.7 倍で、稼ぐ力から見た価値を大きく上回る。大株主の動きへの思惑が値段を支えているように見える。
筆者は、案件の採算が安定した証拠が出るまでは、オーナーとして持ちたいとは思わない。
思惑で付いた値段は、思惑が消えれば消える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、製粉と飼料の工場づくりだ。小麦を砕いて粉にふるい分ける工場や、トウモロコシなどの穀物を混ぜて飼料にする工場を、設計から建設、試運転まで一括で請け負う。大型の案件は数年がかりで、工事の進み具合に応じて売上を計上する。
機械の単品も売る。小麦を砕くロール機、粉をふるい分けるシフター、原料の袋を自動で開ける開袋機などだ。古い工場の機械の保守や更新も、安定した稼ぎになる。冷凍の食品を解凍する機械や、粉体を砕いて混ぜる機械も持つ。
売上の 9 割が、この産業機械の事業だ。2026 年 3 月期は 50.5 億円で、1.8 億円の赤字だった。前期は 63.8 億円で 2.5 億円の黒字だった。案件の大きさと計上の時期で、利益が大きく振れる。
残りの 1 割は、2024 年に買った電子署名のデジサインと、2025 年に作ったエネルギーの子会社などだ。2026 年には赤字が続いた中国の製粉ロールの子会社を手放した。
売上は案件の計上の時期で年に 40 億〜130 億円まで振れてきた。利益も同じように振れ、1 年だけの数字では実力が測れない。
優良さと弱いところ
同社の強みは、製粉と飼料の工場での長い実績だ。製粉の大手は品質と衛生の基準が厳しく、工場の更新を実績のある会社に任せやすい。納めた機械の保守と部品の交換は、毎年の稼ぎになる。
ただ、堀、つまり他社がまねできない強みは薄い。大型の案件は入札で値が決まり、スイスのビューラーなど世界の大手とも競う。工期の遅れや原価の上振れがあれば、すぐに赤字になる。過去 20 年で赤字の期は 11 回あった。
資本の効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 4% 台で、営業利益率の山は 5.7% だ。営業利益で利払いを賄えない年もあった。
経営は事業の整理を進めている。ただ、電子署名やエネルギーへの進出は、本業との結びつきが見えにくい。筆者は、本業の案件の採算を安定させられるかが評価の分かれ目だと見る。
小さな会社なので、技術者の確保も課題になる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
製粉と飼料の工場の需要は、国内の小麦粉と配合飼料の生産量に結びつく。小麦粉の生産は年 480 万トン前後、配合飼料は年 2,300 万トン前後で、どちらも人口と畜産の規模に合わせてゆっくり減る。
工場の新設はほとんど無い。需要の中心は、建ててから 40〜50 年たった工場の更新と、人手不足に対応する自動化だ。製粉の大手は工場の集約を進めており、更新の案件は大型になりやすい。
機械の業種のノートは、資本財の循環を景気に連動して見る。同社の受注は、景気よりも顧客の工場の更新の時期に左右され、年ごとに大きく振れる。
競争の相手は、スイスのビューラーなど世界の製粉機械の大手と、国内の専業だ。粉体の機械ではホソカワミクロンも近い市場にいる。海外の大手は東南アジアの飼料工場で強く、同社の海外の存在感は小さい。
10 年の中立では、同社の案件の数は 5% ほど減り、値段は物価並みに上がるとみる。
もう一つの変化は、食の安全と衛生の基準の強まりだ。異物の混入を防ぐ設計や、記録を残す仕組みが求められ、更新の案件の単価は上がりやすい。ただ、その分だけ工事の難しさも増し、採算を崩す種にもなる。
資本政策と M&A
同社の還元は小さい。配当の総額は年 0.65 億円ほどだ。2026 年 3 月期は利益をはるかに超える配当になった。自社株買いの実績は乏しい。
大株主は Abalance で、34% を持つ。2022 年に公開買付けで株を買い、資本と業務で提携した。Abalance は太陽光のパネルと発電の会社で、同社のエネルギーの子会社もこの提携の流れにある。2026 年 5 月には、純投資のアンプロモーションが 17.65% まで買い増した。
帳簿の純有利子負債は約 8 億円で、自己資本比率は 50% 前後だ。
Abalance が残りの株を買い取る、あるいは他社に売る形の再編は起こりうる。2022 年の公開買付けの値段は、今の株価の半分以下だった。ただ再編の思惑は価値の裏付けにはならない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、国内の製粉と飼料の工場を建ててきた数少ない専業だ。小麦粉や飼料の工場は 40〜50 年で更新が来る。国内の工場の多くが更新の時期に入り、人手不足で自動化の投資も増える。案件は向こうからやって来る。
事業の整理も進む。赤字の中国の子会社を手放し、国内に力を集めた。会社は 2027 年 3 月期に黒字への転換を見込み、2028 年 3 月期にはさらに増益の計画だ。
大株主の Abalance の存在も大きい。34% を持つ提携先で、残りの株を買い取る再編も考えられる。純投資の株主も 17% 余りまで買い増した。株主の顔ぶれが動く会社は、思わぬ形で価値が表に出ることがある。
保守と部品の交換は、毎年の安定した稼ぎだ。案件の採算さえ整えば、利益率 5% は過去に届いた水準である。
筆者の目から見ても、工場を一から建てられる国内の専業は少ない。更新の波が来れば、受注は自然に積み上がる、という主張だ。
慎重な見方
過去 20 年で 11 回の赤字は、偶然ではない。大型の案件は入札で値が決まり、工期の遅れと原価の上振れで赤字が出る。2021 年 3 月期は売上 130 億円の大きな年に、営業赤字を出した。規模が増えても利益は増えない事業だ。
足元も悪い。2026 年 3 月期は本業が赤字で、2027 年 3 月期の第 1 四半期は 3.7 億円の最終赤字だった。自己資本は 3 か月で 1 割以上減った。会社の黒字の計画は、何度も外れてきた。
国内の小麦粉と飼料の生産は人口とともに減る。工場の新設は無く、更新の案件は大型化して取り合いが激しくなる。海外ではビューラーなど世界の大手に勝てない。
大株主への思惑は、価値の裏付けにならない。2022 年の公開買付けの値段は、今の株価の半分以下だった。
更新の案件が増えても、採算が取れなければ意味が無い。売上の大きさではなく、案件ごとの利益の残り方を見るべきだ、という主張になる。
どちらに重みを置いたか
工場の更新の需要と長い実績は本物で、強気の見方にも理がある。だが赤字を繰り返す採算の弱さは 20 年の数字が示す事実で、慎重な見方の証拠がはるかに厚い。確率は悲観側を重くし、楽観は再編の思惑を含めても小さく置いた。案件の採算が 3 期続けて安定すれば、見方を改める。
大株主の動きは確率を大きく変える材料ではないとみた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 132 円14 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 48 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 88 円10 億円、今との差 −81.7%、 期待の年率 −9.4%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 384 円41 億円 | 84 円9 億円 | −3.3% | −0.3% | 28 円3 億円 |
| やや楽観 | 16% | 248 円27 億円 | 70 円8 億円 | −34.2% | −4.1% | 51 円5 億円 |
| 中立 | 34% | 151 円16 億円 | 60 円7 億円 | −56.2% | −7.9% | 72 円8 億円 |
| やや悲観 | 28% | 43 円5 億円 | 33 円4 億円 | −84.4% | −17.0% | 21 円2 億円 |
| 悲観 | 16% | 34 円4 億円 | 14 円2 億円 | −90.0% | −20.6% | 8 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 132 円14 億円 | 48 円5 億円 | −62.8% | −9.4% | 180 円19 億円 |
今の株価時価総額 483 円52 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 製粉と飼料の工場の更新が重なり、利益率が過去の山に戻る 利益 4 億円 · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 384 円41 億円
国内の製粉と配合飼料の工場が、建ててから 40〜50 年の更新の時期を迎え、大型の案件が続く筋書きだ。人手不足で自動化の投資も増え、ロール機や開袋機などの省力の機械がよく売れる。
大株主の Abalance との提携が実り、東南アジアの飼料工場の案件も取れる。案件の数は 10 年で 1 割半増え、単価も物価より速く上がる。
営業利益率は 5.5% と、2017 年 3 月期の山(5.7%)に近い水準まで戻る。電子署名とエネルギーの小さな事業も黒字を広げる。Abalance が残りの株を買い取る形の再編も、この筋書きでは起こりうる。
それでも会社の規模は小さく、純利益は 3〜4 億円台にとどまる。
- 産業機械(製粉・飼料のプラントと機械):数量 138(案件数(件・推定))× 価格 0.59(1 件あたりの平均売上(億円・推定))→ 売上 81 億円・営業利益 4 億円。案件数(件)× 1 件あたりの売上(億円)。推定
- その他(電子署名・エネルギーなど):数量 828(取引先数(社・推定))× 価格 1.34(1 社あたりの年間売上(百万円・推定))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。取引先数(社)× 1 社あたりの売上(百万円)。推定
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.5 倍。全体の PER 11.46 倍、時価総額 41 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率 5% 台は過去 12 年で 2 回しか届いていない。工場の更新は確実に来るが、取り合いも激しいので 6% にとどめた。
やや楽観 16% 更新の案件を着実に取り、利益率は 4% 台 利益 2 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 248 円27 億円
工場の更新と保守の需要が続き、案件の数は 10 年で 5% ほど増える筋書きだ。製粉の大手は品質と衛生の基準が厳しく、実績のある同社に更新を任せる。
赤字が続いた中国のロールの子会社を 2026 年に手放し、国内に力を集める。営業利益率は 4.2% と、2022 年 3 月期と同じ水準に戻る。
配当は年 0.75 億円ほどで、残りは借金の返済と運転資金に回る。自己資本は 30 億円台の半ばに増え、財務は少し厚くなる。
10 年後の純利益は 2 億円台になり、ROE は 6% 台まで上がる。それでも資本コストには届かない。
- 産業機械(製粉・飼料のプラントと機械):数量 126(案件数(件・推定))× 価格 0.58(1 件あたりの平均売上(億円・推定))→ 売上 73 億円・営業利益 3 億円。案件数(件)× 1 件あたりの売上(億円)。推定
- その他(電子署名・エネルギーなど):数量 690(取引先数(社・推定))× 価格 1.34(1 社あたりの年間売上(百万円・推定))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。取引先数(社)× 1 社あたりの売上(百万円)。推定
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 27 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2024〜2025 年 3 月期に利益率 4〜5% を出した実績がある。案件の波で崩れやすいので、中立の半分ほどの 16% にした。
中立 34% 案件の数は細り、値段は物価並み、利益率は 3% 前後 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 151 円16 億円
国内の小麦粉と配合飼料の生産量は人口とともにゆっくり減り、工場の新設はほとんど無い。更新と保守の案件が中心で、数は 10 年で 5% ほど減る筋書きだ。値段は物価並みに上がり、売上は名目で 70 億円台になる。
営業利益率は 3% と、過去 12 年の中央の水準だ。大型の案件は入札で値が決まり、工期の遅れや原価の上振れで赤字になる年も出る。2027 年 3 月期の第 1 四半期のような赤字の四半期は、これからも繰り返す。
配当は年 0.65 億円の水準を保ち、自己資本は 30 億円台の前半で動かない。ROE は 4% 前後にとどまる。
- 産業機械(製粉・飼料のプラントと機械):数量 114(案件数(件・推定))× 価格 0.56(1 件あたりの平均売上(億円・推定))→ 売上 64 億円・営業利益 2 億円。案件数(件)× 1 件あたりの売上(億円)。推定
- その他(電子署名・エネルギーなど):数量 598(取引先数(社・推定))× 価格 1.34(1 社あたりの年間売上(百万円・推定))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。取引先数(社)× 1 社あたりの売上(百万円)。推定
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.4% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 16 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年、売上は 42〜130 億円、営業利益率はマイナス 4%〜プラス 6% で振れた。中央の形をいちばん起こりやすいとみて最大の 34% を置いた。
やや悲観 28% 入札で負けが続き、利益がほぼ消える 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 43 円5 億円
大型の更新の案件で、同業との値段の取り合いが続く筋書きだ。製粉の大手が設備の発注をまとめ、入札で値を絞る。同社は案件の数を 2 割近く減らし、値段も物価に届かない。
営業利益率は 1% 台に沈み、2019〜2020 年 3 月期の水準に戻る。利払いが重く、純利益はほとんど残らない。配当は減り、自己資本は今の水準を保つのがやっとだ。
電子署名やエネルギーの事業も、規模が小さく利益の柱にならない。
赤字と黒字を行き来する形が 10 年続き、ROE は 1% に届かない。借金を返す余力も乏しく、財務の厚みは少しずつ削られる。
- 産業機械(製粉・飼料のプラントと機械):数量 98.4(案件数(件・推定))× 価格 0.54(1 件あたりの平均売上(億円・推定))→ 売上 53 億円・営業利益 1 億円。案件数(件)× 1 件あたりの売上(億円)。推定
- その他(電子署名・エネルギーなど):数量 460(取引先数(社・推定))× 価格 1.30(1 社あたりの年間売上(百万円・推定))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。取引先数(社)× 1 社あたりの売上(百万円)。推定
倍率:純利益はほぼゼロで、PER では価値が出ない。稼ぐ力(純利益÷k)は 2 億円ほどで、床の資産(約 4.6 億円)に合わせ、今の自己資本 30.7 億円に対して 0.15 倍に置いた(中立の PBR より低い)。EV(時価総額+純有利子負債 8 億円)÷ 営業利益でも 20 倍を超え、利益の倍率では高く出るが、利益がほぼゼロのためで、資産の床で見た。
確率:過去 20 年で赤字の期が 11 回あり、2026 年 3 月期も本業は赤字だった。慎重な見方の証拠が厚いので、中立に近い 28% にした。
悲観 16% 大型案件の損失が重なり、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 34 円4 億円
大型のプラントの案件で原価の上振れと工期の遅れが重なり、営業赤字が何年も続く筋書きだ。2021 年 3 月期に売上 130 億円で営業赤字を出した形が繰り返される。
案件の数は 3 割減り、値段も物価に届かない。純負債は膨らみ、利払いが利益をさらに削る。配当は止まり、自己資本は損失で減る。
大株主の Abalance も太陽光の事業で手一杯で、支える余力は乏しい。価値を支えるのは、工場の土地と建物、保守の取引先との関係だけになる。
10 年後も純損失で、自己資本は 2 割ほど削られる。事業の縮小か再編を迫られる形だ。
- 産業機械(製粉・飼料のプラントと機械):数量 84.0(案件数(件・推定))× 価格 0.50(1 件あたりの平均売上(億円・推定))→ 売上 42 億円・営業利益 −1 億円。案件数(件)× 1 件あたりの売上(億円)。推定
- その他(電子署名・エネルギーなど):数量 322(取引先数(社・推定))× 価格 1.25(1 社あたりの年間売上(百万円・推定))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。取引先数(社)× 1 社あたりの売上(百万円)。推定
倍率:本業は赤字で、PER は当てられない。純負債があり純現金の床は無い。赤字で自己資本が削られるので、床の資産は約 3.7 億円とし、今の自己資本 30.7 億円に対して 0.12 倍に置いた(中立・やや悲観の PBR より低い)。
確率:2008〜2015 年に赤字が 8 期続いた歴史がある。財務は今の方が厚いが、他の機械の会社より重い 16% にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
産業機械(製粉・飼料のプラントと機械)
製粉・配合飼料の工場の設計・建設、ロール機・シフター・開袋機などの機械、保守、冷凍解凍機、粉体機器。
| 数量案件数(件・推定) | 価格1 件あたりの平均売上(億円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 0.42 | 50 | −2 |
| 10 年後 中立 | 114 | 0.56 | 64 | 2 |
取り方:案件の数は開示が無い。大型のプラント(数億〜十数億円)と機械の単品・保守(数百万〜数千万円)の構成から、年 120 件ほどと推定し、売上 50.47 億円から 1 件あたり約 0.42 億円とした。セグメントの損益 −1.79 億円は開示。
その他(電子署名・エネルギーなど)
2024 年に買ったデジサインの電子署名、2025 年に作ったエネルギーの子会社など。
| 数量取引先数(社・推定) | 価格1 社あたりの年間売上(百万円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 460 | 1.00 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 598 | 1.34 | 8 | 0 |
取り方:全社の売上 55.08 億円から産業機械を引いた約 4.6 億円。取引先を約 460 社、1 社あたり年 100 万円と推定。営業利益は全社 −1.59 億円との差の約 0.2 億円(本社費などの調整を含む)。
リスクと懸念
大型案件の採算の悪化
製粉と飼料のプラントは大型で、入札で値が決まる。工期の遅れや資材の値上がりで原価が膨らめば、一つの案件で年の利益が吹き飛ぶ。過去 20 年で赤字の期は 11 回あった。
国内の製粉・飼料の生産の縮小
小麦粉と配合飼料の生産は人口と畜産の規模とともに減る。工場の新設は無く、更新の案件も集約で数が減る。案件の取り合いが激しくなる。
大株主の方針の変化
Abalance が 34%、アンプロモーションが 17.65% を持つ。大株主の方針や財務の事情で、提携の中身や再編の形が変わりうる。少数株主に有利な形になるとは限らない。
本業から離れた事業への進出
電子署名やエネルギーの事業は、本業の製粉・飼料の機械との結びつきが見えにくい。規模が小さいうちに投資がかさめば、本業の稼ぎを食う。
利払いと財務の余力
純有利子負債は約 8 億円で、営業利益で利払いを賄えない年がある。金利が上がれば利払いは増え、赤字の年には自己資本が目に見えて減る。
今後の分かれ目
- 営業利益率 3% 以上が 3 期続いたら
- 案件の採算が安定したとみて、中立とやや楽観の確率を上げる。
- 2027 年 3 月期が再び営業赤字で終わったら
- やや悲観と悲観の確率をさらに上げる。
- Abalance や他社が残りの株の買い取りを提案したら
- 再編の値段が価値の上限の目安になる。少数株主の取り分を見直す。
- 大型の更新の案件の受注が開示されたら
- 数量の前提を上げ、やや楽観の確率を上げる。
- 本業から離れた事業で大きな投資や損失が出たら
- 資本の使い方が悪いとみて、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 四半期の営業損益
- 受注高と受注残
- 大株主の持株の変化
- 電子署名・エネルギー事業の損益
- 純有利子負債
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の ROE(4% 前後)が k 8.75% を下回るので、上限 1÷k の 10.3 倍から利益の質の低さで 75〜90% を置いた。今の PBR(1.7 倍)や再編の思惑は倍率に入れていない。純負債があり、余った現金は無い。やや悲観と悲観は利益が出ないので今の自己資本に低い PBR を掛けた。設備は小さく、償却費は物価で膨らませていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.2→11.46 倍・やや楽観 PER 8.7→11.43 倍・中立 PER 7.7→11.43 倍・やや悲観 PBR 0.16→0.15 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 2.25% = 9.75%。財務の存続に疑いは無い(自己資本比率 50% 前後・継続企業の前提の注記なし)ので上乗せはしない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.75% → 8.75%。