結論
ダイコク電機は、パチンコ店向けの情報システム機器で首位に立つ会社だ。台ごとの出玉を集めるホールコンピュータ、貸玉の精算をするカードユニット、台の横の液晶端末を、店に売って稼ぐ。売上の約 85% がこの事業で、残りは遊技機向けのソフトとゲームだ。
筆者の見立ては、本業の地力は本物でも、直近の利益は山の上にある、というものだ。2024 年からの新紙幣対応とスマート遊技機への入れ替えで、営業利益は 120 億円台まで跳ねた。その特需が引き、会社は 2027 年 3 月期の営業利益を 45 億円と、ほぼ半分に見込む。
10 年の中立では、ホールの遊技機の設置台数が今より 3 割ほど減る。単価は物価並みに上がるが、売上は 400 億円台で頭打ちになる。利益率は特需前よりは高く、特需期よりはずっと低い 1 桁後半に落ち着くと筆者は見る。
財布は厚い。純現金は時価総額の 5 割を超える。ただ、使い道は大型 M&A でなく、小粒の買収と配当だ。戻り方が鈍いので、満額は評価に入れない。
以上を積むと、本質価値は今の時価総額を 2 割ほど下回る。割高の主因は、ためた現金に比べて事業の稼ぐ力が小さい点にある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、事業の質と値段を分けて見る必要がある。事業は、ホールの運営に欠かせない道具を売る首位企業で、悪くない。現金も厚い。
問題は、稼ぐ力の平時の水準が、いまの利益よりずっと低いことだ。直近の営業利益 97 億円は、新紙幣とスマート遊技機が重なった特需の山にある。会社自身が来期を 45 億円と見ており、10 年の中立の 40 億円前後の方が、筆者には自然な水準に見える。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、機器の入れ替えが続く限り出る。ただ入れ替えの対象である台数が年 3% ほど減る。同じ利益を保つには、単価を物価以上に上げ続けなければならない。
資本の使い方は、堅いが遅い。借金をせず、大きな買収もしていない。その分、現金がたまり続け、株主に戻る速度は遅い。現金の半分しか評価しないのはそのためだ。
安全域については、悲観でも純現金が残るので、大きく損をする形ではない。ただし、今の時価総額は、中立の利益と現金の半分を足した額をすでに映している。割安と呼ぶには、もう一段の値引きが要る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、パチンコ店が毎日使う「見える化」の道具だ。ホールコンピュータは、全台の出玉・稼働・客の動きを集めて店長に見せる。ホールにとっては、これが無いと台の調整も会員施策もできない。
主な製品は三つある。一つ目はホールコンピュータとその周辺で、台ごとの情報を集める。二つ目はカードユニットで、客がカードで玉やメダルを借りる精算の機械だ。三つ目は台の横に付く液晶端末「BiGMO XCEL」やセルフ端末だ。これらを店に売り、保守料やクラウド料金も受け取る。
もう一つの柱がアミューズメント事業だ。子会社のアロフトや DAXEL が遊技機向けのソフトと制御部品を作り、元気が「首都高バトル」などのゲームを出す。売上は 2026 年 3 月期で 86 億円ほどと見る。
稼ぎ方は景気より「入れ替えの波」に左右される。新紙幣、スマートパチンコ・スマートスロットの導入と、ホールが機器を一斉に替える年に売上が跳ねる。その後は反動が来る。今がまさにその局面だ。
このほか、2025 年 10 月から箱根ガラスの森美術館の運営を子会社が引き継いだ。パチンコ以外の事業を育てる試みだが、規模はまだ小さい。
優良さと弱いところ
堀は本物だが、広くはない。ホールコンピュータは業界首位で、2023 年の調査では市場シェアが 37%。会員制の情報サービス「DK-SIS」には 3,000 を超える店が入る。出玉データが日々たまる分だけ、店は他社に乗り換えにくい。
ただし客は大手ホールチェーンに集まっている。値段の交渉力は店の側に傾きがちで、堀は「デファクト、つまり事実上の標準」の強みにとどまる。値決めの力が強いとは筆者は見ない。
資本効率は景気で大きく振れる。営業利益率は 2018 年ごろの 3% 台から、2024 年には 22% まで上がった。10 年の ROE の中央値は 4% 台にすぎない。山の利益で会社を測ると、実力を見誤る。
財務は強い。自己資本比率は 8 割を超え、純現金が 180 億円台ある。借り換えのリスクはない。
弱い点は二つある。顧客のホール数が構造的に減っていること、遊技機の規制と新台の動きに業績が従うことだ。どちらも自社では変えられない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の元は、パチンコ・パチスロ店の台数だ。警察庁の統計では、2025 年末の設置台数はパチンコが約 187 万台、パチスロが約 136 万台で、合計 323 万台。2021 年末の約 381 万台から 4 年で 15% 減った。ホール数も 2022 年末で 7,665 店と、1 年で 9% 減っている。
スマート遊技機は、若い層と復帰客を呼び戻した。ただ、業界の底流である人口減と高齢化は変わらない。矢野経済研究所は、2028 年にホールが 5,900 店まで減ると見る。台数は年 2〜4% の縮小が続く、というのが業種ノートの前提で、筆者も同じ目で見る。
縮む市場でも、強い会社の取り分は増える。店が減るほど、残る大手ホールの設備投資は大きく、ダイコクのように全国で保守できる会社に有利に働く。一方、台数が減れば、機器の入れ替え対象そのものが小さくなる。
競合はホールコンピュータで数社、カードユニットではグローリーやマースといった会社が並ぶ。マースはプリペイドカード方式に強い。技術の変わり目は、台の通信規格とクラウド化だ。ここで主導権を握った会社が、10 年後の店の標準を決める。
特需の山はすでに去った。改刷対応のカードユニットは一巡し、スマート遊技機の導入も 2027 年以降は落ち着く。ここから先は、平時の入れ替えと保守・クラウド収入の積み上げが勝負になる。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、鈍い。2026 年 3 月期の配当性向は 25% ほどにとどまり、純現金は 10 年で 120 億円台から 180 億円台に増えた。2027 年 3 月期は利益が半減しても配当を維持する計画で、性向は 5 割近くに上がる。自社株買いは小規模だ。
M&A は小粒だ。アロフトがゲームソフトの LILIUM を傘下に入れ、SHUNRI も子会社にした。2024 年には箱根ガラスの森美術館の不動産を取得した。パチンコ以外を育てる狙いだが、大型の失敗はまだ出ていない。
株主は創業家の栢森一族と、関連の財団が上位に並ぶ。上位株主が長く動かないため、現金の戻りは経営の意思に左右される。筆者は余った現金の 5 割しか評価に入れない。
株主優待は 2027 年 3 月期に拡充される。費用の額が確かめられず、小さいとみて還元には足していない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ダイコクは、縮む市場で取り分を増やせる立場にある。ホールの数が減り、残るのは大手チェーンだ。全国で保守できる首位の会社に発注は集まる。ホールコンピュータで 37% のシェアは、データがたまるほど乗り換えにくくなる強みだ。
特需の反動は想定内だ。2026 年 3 月期の営業利益は 97 億円で、会社の通期予想を 2 度上回った。2027 年 3 月期の 45 億円は保守的な数字で、カードユニット VEGASIA、台毎端末 BiGMO XCEL、セルフ端末の需要は続く。
クラウドの月額課金が積み上がる。「サイトセブン」や AI を使った販促支援の「FAN+」は、機械を売る事業と違って景気に左右されにくい。2030 年のビジョンに掲げた新規事業の比率 25% が実現すれば、利益の質は一段上がる。
アミューズメントも芽が出ている。DAXEL のスマートスロットや、元気の首都高バトルは、9 カ月で利益が 11 億円と前年の 30 倍以上になった。現金 180 億円を使った小粒の買収を重ねれば、遊技機以外の収益源が育つ。
慎重な見方
利益の山は過ぎたと見るべきだ。会社の営業利益予想は 97 億円から 45 億円へ半減する。10 年を見渡せば、2020 年代前半までの 10 年間、営業利益率は 2〜5% に沈んでいた。今の 18% が普通に戻ると考えるのは楽観に過ぎる。
需要の元である台数が年 4% で減っている。2021 年からの 4 年で約 15% が消えた。入れ替えの対象が減る業界で、機器会社が利益を伸ばし続けるのは難しい。ホールは大手に集約され、値引きの交渉力も強まる。
現金は多いが、株主には戻らない。配当性向は 25% で、現金は積み上がるばかりだ。箱根ガラスの森のような、事業と関係の薄い取得に使われる心配もある。創業家の関係者が上位に並び、現金を急いで戻す理由が無い。
規制の影響も大きい。出玉規制や型式試験の方向が変われば、新台の導入が細り、入れ替え需要が一気にしぼむ。そうなれば営業利益率は 1 桁前半に戻り、現金だけが価値の中心になる。
どちらに重みを置いたか
事業の質では強気の見方に分がある。首位の地位と厚い現金は、確かな強みだ。だが値段の議論では、慎重な見方が勝つ。利益の山が引いたあとの水準と、台数の縮小が重く、中立の利益は今の半分以下だ。確率は中立を厚めに置き、特需の再来を期待する楽観側は 1 割以下にとどめた。慎重な見方の悲観は、現金が下を支えるので、深くは置かなかった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,850 円564 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,297 円190 億円)。 今の値に割り戻すと 2,718 円398 億円、今との差 +14.5%、 期待の年率 +8.0%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 10,725 円1,570 億円 | 2,254 円330 億円 | +446.5% | +18.5% | 1,038 円152 億円 |
| やや楽観 | 20% | 6,651 円974 億円 | 1,776 円260 億円 | +254.8% | +13.5% | 1,685 円247 億円 |
| 中立 | 33% | 3,490 円511 億円 | 1,366 円200 億円 | +104.5% | +7.4% | 1,603 円235 億円 |
| やや悲観 | 26% | 1,450 円212 億円 | 888 円130 億円 | −1.6% | −0.2% | 608 円89 億円 |
| 悲観 | 13% | 1,025 円150 億円 | 615 円90 億円 | −31.0% | −3.6% | 213 円31 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,850 円564 億円 | 1,297 円190 億円 | +116.7% | +8.0% | 5,147 円753 億円 |
今の株価時価総額 2,375 円348 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 首都高から台管理まで広げ、特需後も 15% 近い利益率を保つ10年 利益 79 億円 · PER 17.8 倍 · 株価時価総額 10,725 円1,570 億円
ホールの設置台数は今の 323 万台から 285 万台まで、年 1% 余りの縮みにとどまる。残る大手ホールがスマート遊技機へ全面的に入れ替え、台管理と販促のクラウドを一括で使う。
1 台あたりの売上は、保守とクラウドの料金が積み上がり、物価の 1.34 倍に新製品の上乗せが加わる。
アミューズメントは、DAXEL のスマートスロットと元気のゲームが定着し、売上が 140 億円規模に育つ。
会社が 2030 年に掲げる売上 600 億円、新規事業 25% に近い姿だ。現金は小粒の買収と配当に回り、ROE は 10% に届く。
- 情報システム事業:数量 285(国内パチンコ・パチスロの設置台数(万台、実質))× 価格 1.96(1 台あたり年売上(万円、名目))→ 売上 559 億円・営業利益 112 億円。285 万台・1 台 1.96 万円、営業利益率 20%
- アミューズメント事業:数量 110(国内の遊技機の新台販売台数(万台/年、推定))× 価格 1.25(1 台あたり当社売上(万円、名目))→ 売上 138 億円・営業利益 22 億円。新台 110 万台・1 台 1.25 万円、営業利益率 16%
倍率:事業の純利益 77 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)105 億円。全体の PER 17.78 倍、時価総額 1,475 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ホールの大手集約で首位の取り分が増え、クラウドと新規事業の比率が 25% に届く複合の筋書き。揃えば強いが、台数の縮小に逆らう形なので 1 割以下に置いた。
やや楽観 20% 入れ替えが堅く、クラウドが利益を下支えする10年 利益 51 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 6,651 円974 億円
設置台数は 260 万台まで縮むが、首位の地位は変わらない。大手ホールの更新が堅く、カードユニットと台毎端末の売上が崩れない。
クラウドの月額収入が積み上がり、1 台あたりの売上は物価並みを少し上回る。
アミューズメントは、ゲームとソフトの当たりが半々で、売上は 110 億円規模。営業利益率は特需前を上回る 17% を保つ。会社の中計(2028 年 3 月期に売上 490 億円)の延長に近い。ホールの大手集約は、かえって首位の保守網の価値を高める。クラウドが利益の下支えになるぶん、台数の縮みを一部相殺できる。
- 情報システム事業:数量 260(国内パチンコ・パチスロの設置台数(万台、実質))× 価格 1.82(1 台あたり年売上(万円、名目))→ 売上 473 億円・営業利益 80 億円。260 万台・1 台 1.82 万円、営業利益率 17%
- アミューズメント事業:数量 104(国内の遊技機の新台販売台数(万台/年、推定))× 価格 1.07(1 台あたり当社売上(万円、名目))→ 売上 111 億円・営業利益 14 億円。新台 104 万台・1 台 1.07 万円、営業利益率 12.5%
倍率:事業の純利益 49 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.2% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)105 億円。全体の PER 15.96 倍、時価総額 888 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:スマート遊技機の入れ替えが予定どおり進み、ホールの集約でシェアも保つ。ただ、台数の縮小は止まらない。
中立 33% ホールが年3%縮み、利益は特需前より少し高い水準で落ち着く10年 利益 29 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 3,490 円511 億円
ホールの設置台数は 236 万台まで、年 3% ずつ減る。スマート遊技機への入れ替えが終わり、特需は戻らない。
1 台あたりの売上は、特需を抜いた平時の約 1.27 万円に、物価の 1.34 倍を掛けた 1.70 万円。台数の縮みを値上げと保守料で埋めきれず、売上は 400 億円台で頭打ちになる。
1 台あたりは今の 1.413 万円の 1.20 倍にとどまるが、今の値が特需で膨らんでいるためで、実質の値上がりは物価並みだ。
営業利益率は、情報システムで 14% まで下がる。特需前の 5% 台よりは高いのは、クラウドの積み上がりと首位の地位があるからだ。
アミューズメントは当たり外れを均した 10% 前後で、本社費も物価で増えるため、全社の営業利益は 40 億円を割る。現金はゆっくり配当に回る。
- 情報システム事業:数量 236(国内パチンコ・パチスロの設置台数(万台、実質))× 価格 1.70(1 台あたり年売上(万円、名目))→ 売上 401 億円・営業利益 56 億円。236 万台・1 台 1.70 万円(平時 1.27 の 1.34 倍)、営業利益率 14%
- アミューズメント事業:数量 98.0(国内の遊技機の新台販売台数(万台/年、推定))× 価格 0.96(1 台あたり当社売上(万円、名目))→ 売上 94 億円・営業利益 9 億円。新台 98 万台・1 台 0.96 万円(物価並み)、営業利益率 10%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)105 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 454 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業種ノートの中心値(台数は年 -2〜-4%)に、会社の 2027 年 3 月期予想(営業利益 45 億円)の延長線を重ねた中心の筋書き。
やや悲観 26% 台数の縮みが速まり、利益率が特需前の水準に戻る10年 利益 11 億円 · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 1,450 円212 億円
設置台数は 200 万台まで、年 4.7% のペースで縮む。大手に集まったホールが、機器の買い替え間隔を延ばし、値引きを迫る。
1 台あたりの売上は物価の伸びに届かず、1.55 万円。情報システムの営業利益率は 10% まで下がる。
アミューズメントは新台の減少に引きずられ、売上が 77 億円、利益率は 4% 前後にしぼむ。
営業利益は 10 億円台にとどまり、株主還元も縮める。それでも現金があるので、財務の不安はない。特需前の 10 年間に近い、薄い利益の時代へ戻る形だ。ただし首位の地位は崩れず、保守とクラウドの収入は残る。
- 情報システム事業:数量 200(国内パチンコ・パチスロの設置台数(万台、実質))× 価格 1.55(1 台あたり年売上(万円、名目))→ 売上 310 億円・営業利益 31 億円。200 万台・1 台 1.55 万円、営業利益率 10%
- アミューズメント事業:数量 90.0(国内の遊技機の新台販売台数(万台/年、推定))× 価格 0.85(1 台あたり当社売上(万円、名目))→ 売上 77 億円・営業利益 3 億円。新台 90 万台・1 台 0.85 万円、営業利益率 4%
倍率:ROE 2.0% が k 7.75% 以下なので、稼ぐ力(純利益÷k)を上限に、上限の約 9 割の 11.68 倍に置いた。
確率:ホールの減少が業種ノートの想定より速く、大手の値引き交渉も強まって、利益率が 10 年前の水準に戻る筋書き。
悲観 13% ホールの減少が加速し、機器の需要が半分になる10年 利益 −12 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,025 円150 億円
ホールの減少が加速し、設置台数は 150 万台まで縮む。機器の入れ替えは先送りが常態になり、ホールは値引きを迫る。
1 台あたりの売上は 1.20 万円まで落ち、情報システムは営業利益率 3% に沈む。アミューズメントも赤字に落ちる。
本社費の削減で営業赤字を 16 億円にとどめるが、箱根ガラスの森などの非主力事業は整理される。
配当は減額し、現金を使って事業の縮小に備える。株主の価値は、残る現金と売れる資産が支える。首位の看板は残るが、稼ぐ会社としての評価は外れ、現金を持つ小さな機器会社として値が付く10年になる。
- 情報システム事業:数量 150(国内パチンコ・パチスロの設置台数(万台、実質))× 価格 1.20(1 台あたり年売上(万円、名目))→ 売上 180 億円・営業利益 5 億円。150 万台・1 台 1.20 万円、営業利益率 3%
- アミューズメント事業:数量 60.0(国内の遊技機の新台販売台数(万台/年、推定))× 価格 0.70(1 台あたり当社売上(万円、名目))→ 売上 42 億円・営業利益 −1 億円。新台 60 万台・1 台 0.70 万円、営業利益率 -3%
倍率:稼ぐ力はほぼ無いので、純現金と売れる資産の税後を床に置いた。
確率:規制強化と若年層離れで設置台数が半分近くまで減る構造的な負け筋。業種ノートが示す業界固有の最大リスクで、現金が下を支えるため深くは置かなかった。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
情報システム事業
ホールコンピュータ、カードユニット、台毎液晶端末、クラウドサービスをパチンコ店に売る主力事業。
| 数量国内パチンコ・パチスロの設置台数(万台、実質) | 価格1 台あたり年売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 323 | 1.41 | 457 | 105 |
| 10 年後 中立 | 236 | 1.70 | 401 | 56 |
取り方:設置台数は警察庁の 2025 年末の統計(パチンコ 187.2 万+パチスロ 136.2 万)。売上は 9 カ月累計 390.8 億円(前年同期比 -12.7%)から通期 457 億円とみた推定。営業利益は 9 カ月のセグメント利益 106.3 億円と全社 97 億円から 105 億円とみた推定。1 台あたり 1.413 万円は新紙幣の特需を含む。会社予想と中計から、特需を抜いた平時は約 1.27 万円。
アミューズメント事業
遊技機向けソフト・制御部品(アロフト・DAXEL・LILIUM)とゲーム(元気)の事業。
| 数量国内の遊技機の新台販売台数(万台/年、推定) | 価格1 台あたり当社売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 0.72 | 86 | 12 |
| 10 年後 中立 | 98.0 | 0.96 | 94 | 9 |
取り方:新台販売台数は開示が無く、6460 の販売台数と占有率から年 120 万台と推定した。売上 86 億円は全社 543 億円から情報システム 457 億円を引いた残りで、9 カ月累計 51.5 億円に最終四半期を足した推定。営業利益は 9 カ月のセグメント利益 11.1 億円から 12 億円とみた。ゲームの売上も含むので、1 台あたりは比例の目安にすぎない。
リスクと懸念
ホール数と設置台数の縮小
設置台数は 4 年で 15% 減った。ホールコンピュータもカードユニットも売る相手が減るので、シェアを保っても売上の絶対額が細る。矢野経済研究所の予測でも、2028 年にホールは 5,900 店まで減る。
特需の反動と来期の減益
新紙幣対応とスマート遊技機の導入が重なった特需が去った。会社は 2027 年 3 月期の営業利益を 45 億円と、前期の半分に見込む。入れ替え需要の波は予測しにくく、中計の 2028 年 3 月期の目標(営業利益 63 億円)を下回る可能性もある。
規制と型式試験
出玉規制や型式試験の方向で、新台の導入が増減する。新台が細れば、ホールの機器更新もずれ込む。ダイコクは台の通信と管理を握るので、規制の変更は仕様の更新に追われる形でも響く。
顧客の集約と値引き
ホールは大手チェーンに集約されている。発注額が大きくなる反面、価格の交渉は店側に傾く。同業のマースや、カードユニットのグローリーとの価格競争が強まれば、利益率が特需前に戻りやすい。
現金の使い道
純現金は 180 億円台で、時価総額の 5 割を超える。M&A は小粒だが、箱根ガラスの森美術館の取得のように、本業と離れた投資が続けば、現金の価値が目減りする。創業家と財団が上位株主にいて、還元を急ぐ圧力は弱い。
アミューズメントの当たり外れ
ゲームとソフトは、1 本のヒットで利益が大きく動く。9 カ月で利益が 11 億円まで伸びたのは、首都高バトルとスマートスロットの当たりによる。均した水準は、これより低いとみる。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の営業利益が会社予想の 45 億円を大きく上回って着地したら
- 特需の反動を過大に見ていたことになる。中立の利益率を上げ、やや楽観の確率を上げる。
- クラウドの月額収入が売上の 2 割を超えて積み上がったら
- 景気に左右されにくい収益の比率が上がったと判断し、中立と楽観の営業利益率を引き上げる。
- 警察庁の統計で設置台数の減少が年 5% を超えたら
- やや悲観・悲観側に確率を寄せる。台数の縮みが想定より速いことになる。
- 自社株買いの規模が 50 億円を超える発表があったら
- 余った現金の戻り方を 0.5 から引き上げる。評価が上がる要因になる。
- 大型 M&A を発表し、買収額が純現金の半分を超えたら
- 資本配分の規律を疑い、悲観側に確率を寄せる。買収先の利益で回収できるかを確かめる。
- 出玉規制や型式試験の変更で新台の導入が大きく減ったら
- 入れ替え需要の落ち込みを織り込み、中立の台数と利益率を下げる。
見ておくもの
- 四半期ごとの情報システム・アミューズメント両事業の売上と利益
- 警察庁の遊技機設置台数とホール数
- クラウド・保守収入の比率
- 自社株買いと配当の方針の変更
- M&A と非主力事業(箱根ガラスの森など)の損益
倍率と資本コストの決め方
倍率は利益ベースの正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)(k 7.75%=基本 7.5% に quality +1.25%、g 4%、残る割合は普通の 1/2)から置いた。ROE が k を上回る楽観は下限 1÷k の 11.4 倍の近く、ROE が k に届かない中立以下は 1÷k を上限に稼ぐ力の 9 割前後で置いた。今の株価や過去・同業の PER・PBR には寄せていない。数量は警察庁の設置台数に結ぶ実質、価格は 1 台あたり売上の名目で、平時の約 1.27 万円に物価 1.34 倍を掛けた。2027 年 3 月期の会社予想は、営業利益 45 億円とみる最新の短信(要約)を使い、brief.py の 60 億円とは違う。新リース会計基準は、リースが小さいので影響を見ない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→17.78 倍・やや楽観 PER 10.4→15.96 倍・中立 PER 10→12.9 倍・やや悲観 PER 10.3→11.68 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +1.25% = 8.75%。特需の反動や現金の戻りの遅さは k に足さず、筋書きと戻り方で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 7.75%。