結論
タツモは、半導体の後工程で使う塗布・現像・貼合(はりあわせ)の装置を主力に、ウェーハ搬送ロボットとプリント基板のめっき装置も持つ岡山の装置メーカーだ。筆者の結論は割高である。稼ぎの大きな部分がTSMC一社の設備投資と、いつ売上になるか読みにくい検収に乗っているからだ。
会社は先端パッケージという追い風をつかんだ。2025年12月期の半導体装置は172億円と4割伸び、TSMC向けは連結売上の3割を超えた。ところが2026年12月期の上期は、出荷済みの装置の検収が遅れ、営業利益が前年の20分の1に落ちた。検収が長引く装置の評価減や、原価の積み増しも出た。
筆者はこの遅れを一時的な事故とは見ない。受注から検収まで1年を超える案件があり、利益が特定の顧客の検収日程に左右される構造は、10年たっても変わらないからだ。
10年後の中立の姿は、売上700億円台、営業利益は90億円弱である。需要は広がるが、顧客の交渉力が強く、利益率は2024〜25年並みに戻る程度にとどまる。顧客が広がる強気の筋書きなら今の3倍を超えるが、その確率は1割にとどまる。今年の利益が戻るかより、顧客が1社から広がるかが、本質価値を決める。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で最初に問うのは、10年後もこの利益が自分のものとして残るか、である。タツモは、好調な年の利益をそのまま将来へ伸ばしてはいけない会社だ。装置の検収で売上が動き、顧客が1社に寄っているので、平均的な稼ぐ力はピーク年より2〜3割低く見る必要がある。
オーナーとして持ち続けたいかと聞かれれば、答えは条件つきだ。事業は面白い。AIの先端パッケージは10年続く流れで、顧客の信頼も得ている。だが、堀が広いとは言えない。価格を自分で決められる商品がなく、顧客の交渉力が強い。資本効率も、ROE13%前後は悪くないが、利益率が高いからでなく在庫を厚く持って稼いでいる面がある。
資本の使い方は、いまのところ無難だ。大型買収で価値を壊した過去はなく、還元は控えめで、純現金が残っている。ただし2026年は設備投資が70億円と、今期予想の純利益の3倍近くに膨らむ。投資が実るか、検収の遅れで在庫になるかは、1〜2年でわかる。
安全域の目で見ると、悲観の筋書きでも資産が残る点は救いだ。純現金と土地・建物があり、事業が傷んでも会社が大きく傷むことは考えにくい。一方で、楽観の筋書きを買っても、今の値段から得られる余裕は薄い。払う値段に見合う余裕が足りないというのが、筆者の判断である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は半導体装置だ。ウェーハを薄く削る前に支えのガラス板へ貼り付け、あとで剥がす「貼合・剥離」の装置、薬液を塗って焼く塗布・現像の装置、ウェーハ・サポート・システムと呼ぶ一式の装置が中心になる。AI向けの大きなチップは、小さなチップを積み重ねて作る。そのたびに薄いウェーハを壊さず扱う工程が増え、タツモの装置の出番が増える。
2番手は搬送装置で、クリーンルームの中でウェーハを運ぶロボットや、受け渡しの箱(EFEM)、向きをそろえる装置を作る。ローツェと同じ土俵だが、規模は小さい。洗浄装置はウェーハメーカー向けで、設備投資が鈍って細っている。液晶用のコーターも、パネル各社の投資がほぼ止まり、半導体装置に合算されて小さくなった。
半導体以外に、事業が2つある。1つは子会社のファシリティが手がけるプリント基板のめっき装置で、中国・東莞とベトナムに拠点を持つ。AIサーバー用の基板が増えれば伸びる事業だが、検収のずれで売上が大きく振れる。もう1つは精密金型と樹脂成形で、売上は小さく、利益も薄い。
売り方に特徴がある。装置は1台ごとに顧客の工程に合わせて作り込み、納めたあと顧客が試して合格を出す(検収)まで売上にならない。受注から検収まで1年を超える案件もある。だから受注が過去最高でも、その年の売上と利益は読みにくい。
設備投資は今期から重くなる。2026年は土地・建物に32億円、デモ機の製作に24億円を含む計70億円を計画する。顧客に見せるデモ機を先に持つ作戦だが、装置が売れなければ在庫と減価償却の重しになる。本社と主力工場は岡山県の井原市に集まっている。
優良さと弱いところ
タツモの強みは、顧客の最先端の工程に入り込む技術力だ。先端パッケージ向けの装置は、割れやすい薄いウェーハを扱う難しい工程に使われる。TSMC向けの比率が10%から31%へ1年で上がったのは、先端パッケージ向けの装置が評価された証拠である。
ただし、堀(他社がまねできない強み)としては普通である。ディスコのように世界シェアの7割を握る商品はない。仮接合の分野にはEVグループやズース、前工程の大手にも東京エレクトロンなどがいて、顧客が装置を替える費用も、ディスコの消耗品のような縛りも小さい。装置ごとに顧客と作り込むので、顧客の言い分が通りやすい。
稼ぐ力は上向いたが、安定していない。営業利益率は2023年の13%台から2024年に16%台まで上がり、2025年は13%台に戻った。過去10年のROEは中央値で14%だが、2014年には赤字もあった。事業の中身が、案件ごとの採算に左右される。
財務は堅い。純現金が60億円あり、自己資本比率は50%台だ。ただし棚卸資産が172億円と、総資産の3分の1強を占める。仕掛品だけで132億円ある。2026年上期は検収が長引く装置の評価減も出ており、在庫の中身には注意が要る。
経営は技術に投資する会社だ。研究開発費は7億円と売上の2%にとどまるが、設備投資とデモ機を厚くしている。株主還元は配当性向20%を目標とし、控えめだ。上場株の政策保有はない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
半導体の後工程は、今もっとも勢いのある領域だ。AI向けのGPUは、演算チップと高速メモリ(HBM)を1つの基板の上に積み、まとめて動かす。この積み方(先端パッケージ)に使う装置の市場は、半導体装置全体より速く伸びる。業界の見立てでは、後工程と先端パッケージは10年で年8〜10%、全体の装置は年5〜7%の伸びだ。
タツモが入る市場は、貼合・剥離、塗布・現像、ウェーハ・サポートのあたりで、世界で20億ドル前後と筆者は見ている。この市場は、前工程の大手と、欧州の専業が分け合っている。EVグループは仮接合で長い実績があり、ズースやTELなども競う。日本では、東京応化などの材料メーカーが装置と組んで提案する。タツモの世界シェアは6%ほどと推定する。
搬送は、ローツェなどが強く、世界で25億ドルほどの市場にタツモは2%ほどで入る。顧客の工場が増えれば台数も増えるが、搬送の値段は競争で上がりにくい。
めっき装置は、プリント基板の世界市場が15億ドル規模で、中国・台湾のメーカーが多い。AIサーバー用の基板は層が増え、めっき装置の需要が伸びる。ただ中国勢の値下げが続く。
循環は大きい。半導体装置は好不況の振れが大きく、過去にもタツモは2008〜09年と2011〜14年に赤字を経験している。いまはAI投資が谷を浅くしているが、メモリの供給不足が続く間の話だ。この需要がいつまで続くかが、業界全体の分かれ目になる。
もう1つの変化は中国だ。米国の輸出規制が強まるほど、中国は後工程の装置を国産で賄おうとする。後工程は前工程より技術の壁が低く、10年の間に中国のメーカーが貼合・剥離にも出てくる可能性は小さくない。
資本政策と M&A
還元は控えめだ。配当性向20%を目標とし、2025年12月期の配当は総額で5億円ほどである。自社株買いは限られ、純利益の大半は成長投資と在庫に回っている。
資金の使い方は、2026年12月期に動く。土地・建物の取得に32億円、デモ機に24億円で、計70億円の設備投資を計画する。売上に結びつくのが遅れれば、純現金60億円は一気に細る。
買収は少ない。ファシリティや金型の子会社が事業の幅を広げている程度で、大型の買収で価値を壊した経歴はない。2026年8月には子会社の増資を決め、特定子会社になった。狙いは確認できていない。
買われる側としてはどうか。時価総額は600億円弱で、顧客のTSMCや前工程の大手が技術を取り込む動機はある。ただ筆頭株主や持株の構成は確認できておらず、TOBの確率は推定できない。kabufuの推定でも、10年以内の買収の確率は15%ほどにとどまる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AIの計算基盤は、まだ作り始めたばかりだ。GPUとHBMを1枚の基板に積む先端パッケージは、チップが大きくなるほど工程が増え、薄いウェーハを壊さず扱う装置の需要が積み上がる。タツモはその中心の顧客であるTSMCから、2025年に109億円の売上を得た。比率は1年で10%から31%へ上がり、技術が認められている。
2026年12月期の上期は検収の遅れで悪かったが、受注は半導体装置・搬送・表面処理の各事業で過去最高と伝わる。売上になるのが遅れただけで、受注残は消えていない。通期予想の売上355億円と営業利益36億円を、会社は据え置いた。
今期の設備投資70億円は、デモ機を先に用意して顧客に試してもらうための布石だ。TSMC以外のメモリ各社や、OSAT(後工程の受託会社)にも貼合・剥離を広げられれば、顧客の集中は和らぐ。市場が20億ドルから45億ドルへ広がる中でシェア9%まで伸ばせれば、売上は1,000億円を超え、営業利益率も20%に乗る。
搬送装置も、顧客の工場が増えれば台数が増える。めっき装置はAIサーバー基板の層数の増加で伸びる。純現金があり、資本コストを超える稼ぎを続ける会社だ。10年で利益が4倍になる姿は十分ありうる。
慎重な見方
検収の遅れは、この会社の弱さが出たものだ。2026年上期は、売上が24%減っただけで営業利益は95%減った。固定費が重く、検収が1つずれると利益が消える体質だと示した。評価減や原価の積み増しも出ており、受注時の見積もりが甘かった可能性がある。
顧客は偏っている。TSMC向けが連結の3割を超え、その1社が装置を内製化したり、EVグループや東京エレクトロンの装置へ切り替えたりすれば、売上の柱が一気に崩れる。顧客が価格を決める立場で、タツモの利益率は上がりにくい。
受注が過去最高でも、売上と利益になる保証はない。受注から検収まで1年を超える案件があり、2026年の予想(営業利益36億円)の達成も確かではない。棚卸資産は172億円と大きく、中身が傷んでいる疑いがある。
先端パッケージの技術は動きが速い。貼合・剥離を使わない積み方(ウェーハ同士を直接つなぐ方式など)が広がれば、いまの主力装置の需要は細る。中国が後工程の国産化を進めれば、搬送とめっきも値下げ競争に巻き込まれる。資本コストを8.25%とみれば、ROE10%台の会社に高い倍率は付けられない。
どちらに重みを置いたか
筆者は慎重な見方のほうが強いとみて、確率を悲観側に寄せた。強気の根拠である技術の評価と受注は本物だが、それは売上になって初めて価値になる。2026年上期の検収遅れは、この会社の利益が顧客の日程に握られている事実を示した。
このため、中立を3割強に置き、やや悲観と悲観を合わせて4割弱にした。楽観は、顧客が広がりシェアも上がる姿で1割にとどめる。確率で加重した本質価値は、今の時価総額を3割ほど下回る。利益が回復しても、資本コストの高さと顧客の偏りを払える水準にはならない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 6,758 円990 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 899 円132 億円)。 今の値に割り戻すと 3,664 円537 億円、今との差 +9.2%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 16,665 円2,442 億円 | 1,809 円265 億円 | +450.6% | +18.6% | 1,847 円271 億円 |
| やや楽観 | 20% | 10,605 円1,554 億円 | 1,235 円181 億円 | +252.9% | +13.4% | 2,368 円347 億円 |
| 中立 | 32% | 7,197 円1,054 億円 | 949 円139 億円 | +142.8% | +9.3% | 2,607 円382 億円 |
| やや悲観 | 24% | 2,325 円341 億円 | 519 円76 億円 | −15.2% | −1.6% | 683 円100 億円 |
| 悲観 | 14% | 785 円115 億円 | 307 円45 億円 | −67.4% | −10.6% | 153 円22 億円 |
| 加重平均 | 100% | 6,758 円990 億円 | 899 円132 億円 | +128.2% | +8.6% | 7,657 円1,122 億円 |
今の株価時価総額 3,355 円492 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:顧客が広がりシェアも上がる 利益 151 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 16,665 円2,442 億円
先端パッケージの市場は10年で45億ドルまで広がり、タツモは貼合・剥離の装置でTSMC以外のメモリ各社や後工程の受託会社にも納める。シェアは9%に上がり、半導体装置の売上は800億円を超える。デモ機を先に持つ作戦が当たり、顧客が装置を試す期間が短くなって、検収の遅れも減る。
搬送装置は顧客の新工場に合わせて台数が増え、めっき装置はAIサーバー用の基板の層数増で伸びる。全社の売上は1,100億円台、営業利益率は16%台に乗る。
それでも堀が広いわけではない。顧客に装置の値段を決められる構図は残り、営業利益率は20%を超えるほどには上がらない。10年で利益は今の4倍強になるが、倍率は資本コスト8.25%に見合う水準に収まる。
- 半導体装置(貼合・剥離、塗布・現像、ウェーハ・サポート、コーター):数量 45.0(先端パッケージ向け前処理・貼合剥離・塗布現像装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 18(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 814 億円・営業利益 171 億円。市場 45 億ドル × シェア 9.0%、営業利益率 21.0%
- 搬送装置(ウェーハ搬送ロボット・EFEM・プリアライナー):数量 33.0(半導体向けウェーハ搬送ロボット・EFEM の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 5.23(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 173 億円・営業利益 17 億円。市場 33 億ドル × シェア 2.6%、営業利益率 10.0%
- 洗浄装置・薬液供給:数量 33.0(洗浄・薬液供給装置の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 100.5%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 33 億円・営業利益 3 億円。市場 33 億ドル × シェア 0.50%、営業利益率 8.0%
- 表面処理用機器(プリント基板のめっき装置):数量 22.0(プリント基板用めっき装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 6.03(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 133 億円・営業利益 15 億円。市場 22 億ドル × シェア 3.0%、営業利益率 11.0%
- 金型・樹脂成形:数量 40.0(精密金型・成形品の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 40.2%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。市場 40 億ドル × シェア 0.20%、営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 151 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.2% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍。全体の PER 16.14 倍、時価総額 2,437 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強気の根拠(TSMC の評価・受注・市場拡大)は本物だが、シェア 9% は貼合・剥離で EVG などの牙城を崩す姿で、顧客の広がりも要る。2026 年上期の検収遅れも見て 1 割にとどめた。
やや楽観 20% やや楽観:先端パッケージに乗って広がる 利益 98 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 10,605 円1,554 億円
先端パッケージの市場は10年で40億ドルまで広がり、タツモはシェアを7%近くまで上げる。TSMCへの依存は続くが、韓国と台湾のメモリ各社にも納入が増える。検収の遅れは減るが、なくなりはしない。
半導体装置の売上は550億円ほどになり、全社の売上は860億円台に届く。営業利益率は14%を超え、2024年の高い年(16%台)に近づく年もある。搬送は2%台のシェアを保ち、めっきも伸びる。
利益は10年で3倍足らずに伸びる。強気の筋書きほどシェアが取れず、顧客の値下げ要求も続くが、先端パッケージの成長の分は取り込む。
- 半導体装置(貼合・剥離、塗布・現像、ウェーハ・サポート、コーター):数量 40.0(先端パッケージ向け前処理・貼合剥離・塗布現像装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 14(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 547 億円・営業利益 107 億円。市場 40 億ドル × シェア 6.8%、営業利益率 19.5%
- 搬送装置(ウェーハ搬送ロボット・EFEM・プリアライナー):数量 31.5(半導体向けウェーハ搬送ロボット・EFEM の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 4.82(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 152 億円・営業利益 14 億円。市場 31.5 億ドル × シェア 2.4%、営業利益率 9.0%
- 洗浄装置・薬液供給:数量 30.0(洗浄・薬液供給装置の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 100.5%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。市場 30 億ドル × シェア 0.50%、営業利益率 7.0%
- 表面処理用機器(プリント基板のめっき装置):数量 20.0(プリント基板用めっき装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 6.03(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 121 億円・営業利益 12 億円。市場 20 億ドル × シェア 3.0%、営業利益率 10.0%
- 金型・樹脂成形:数量 40.0(精密金型・成形品の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 40.2%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。市場 40 億ドル × シェア 0.20%、営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 98 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.9% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.41 倍、時価総額 1,510 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI の先端パッケージが 10 年続く流れは業界の共通認識で、TSMC 向けの実績もある。ただ顧客の偏りと検収の遅れが残るため、中立より少し低い確率にした。
中立 32% 中立:市場は広がるが、利益率は2024〜25年並みにとどまる 利益 69 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 7,197 円1,054 億円
先端パッケージの市場は10年で35億ドル(物価分を除く)まで広がる。タツモのシェアは6%のまま、半導体装置の売上は420億円ほどになる。TSMCとの関係は続くが、1社頼みは解けず、装置の値段は顧客が決める。
搬送は2%台の前半、めっきは3%のシェアを保ち、全社の売上は720億円になる。営業利益率は12%台で、2025年の13%台よりやや低い。利益の多い半導体装置の比率は上がるが、その装置の営業利益率が17%と、ピーク年の20%には届かないためだ。
検収の遅れは、規模が大きくなるほど1回の影響が重い。年によって営業利益は大きく振れるが、10年を通して見れば、資本コストを少し上回る稼ぎを続ける普通の装置会社になる。
- 半導体装置(貼合・剥離、塗布・現像、ウェーハ・サポート、コーター):数量 35.0(先端パッケージ向け前処理・貼合剥離・塗布現像装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 12(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 422 億円・営業利益 72 億円。市場 35 億ドル × シェア 6.0%、営業利益率 17.0%
- 搬送装置(ウェーハ搬送ロボット・EFEM・プリアライナー):数量 30.4(半導体向けウェーハ搬送ロボット・EFEM の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 4.42(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 134 億円・営業利益 11 億円。市場 30.4 億ドル × シェア 2.2%、営業利益率 8.0%
- 洗浄装置・薬液供給:数量 30.0(洗浄・薬液供給装置の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 100.5%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。市場 30 億ドル × シェア 0.50%、営業利益率 7.0%
- 表面処理用機器(プリント基板のめっき装置):数量 19.5(プリント基板用めっき装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 6.03(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 118 億円・営業利益 11 億円。市場 19.5 億ドル × シェア 3.0%、営業利益率 9.0%
- 金型・樹脂成形:数量 40.0(精密金型・成形品の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 40.2%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。市場 40 億ドル × シェア 0.20%、営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 69 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.47 倍、時価総額 998 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2 人の主張の落としどころ。強気の筋書きの市場拡大は取り込むが、顧客の交渉力と検収の読みにくさで利益率は伸ばさない。
やや悲観 24% やや悲観:顧客の投資が一巡し、シェアも削られる 利益 31 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 2,325 円341 億円
TSMCの先端パッケージ向け投資が一巡し、大型の受注が出にくくなる。EVグループや前工程の大手が仮接合にも力を入れ、シェアは5%に下がる。先端パッケージの市場は広がるが、28億ドルにとどまる。
半導体装置の売上は280億円ほどで、顧客の値下げ要求が強まって営業利益率は11%に落ちる。搬送と洗浄も競争で値段が上がらない。めっき装置は中国勢の値下げに押される。
全社の売上は520億円、営業利益は40億円弱になり、ROEは6%で資本コストに届かない。デモ機や新しい土地・建物の費用が重く、2026年に増やした固定費が利益を食う。会社は存続の不安こそないが、稼ぎの質は普通の装置会社の下に落ちる。
- 半導体装置(貼合・剥離、塗布・現像、ウェーハ・サポート、コーター):数量 28.0(先端パッケージ向け前処理・貼合剥離・塗布現像装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 10(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 281 億円・営業利益 31 億円。市場 28 億ドル × シェア 5.0%、営業利益率 11.0%
- 搬送装置(ウェーハ搬送ロボット・EFEM・プリアライナー):数量 27.0(半導体向けウェーハ搬送ロボット・EFEM の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 3.82(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 103 億円・営業利益 6 億円。市場 27 億ドル × シェア 1.9%、営業利益率 6.0%
- 洗浄装置・薬液供給:数量 28.0(洗浄・薬液供給装置の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 90.4%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。市場 28 億ドル × シェア 0.45%、営業利益率 4.0%
- 表面処理用機器(プリント基板のめっき装置):数量 17.0(プリント基板用めっき装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 5.63(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 96 億円・営業利益 8 億円。市場 17 億ドル × シェア 2.8%、営業利益率 8.0%
- 金型・樹脂成形:数量 36.0(精密金型・成形品の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 40.2%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。市場 36 億ドル × シェア 0.20%、営業利益率 1.0%
倍率:ROE 5.9% が k 8.25% 以下で、ためた利益は額面を下回る価値。PER は 1÷k = 11.1 倍が上限で、稼ぐ力(純利益 ÷ k)を値の上限とし、構造的に稼ぎが細る筋書きなので上限の 8 割(9.0 倍)に置いた。
確率:検収の遅れ・評価減に見える受注の質の悪さと顧客の偏りを考え、中立に近い厚みを置いた。投資の一巡と競合の食い込みが重なる筋書き。
悲観 14% 悲観:主力顧客を失い、構造的に優良さを失う 利益 4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 785 円115 億円
主力顧客が貼合・剥離の装置を欧米の大手に切り替えるか、積み方の技術が変わって、タツモの主力の装置が選ばれなくなる。先端パッケージの市場は22億ドルにしか育たず、シェアは3.5%まで下がる。
半導体装置の売上は150億円台に落ち、営業利益率は3%でほぼ稼げない。大型の装置を先に作る投資と、土地・建物の費用が、赤字の期を生む。在庫の評価減も出て、自己資本は積み上がらない。
搬送は中国勢の値下げに、洗浄は需要の鈍化に押され、めっきも値崩れする。全社の売上は350億円ほどに戻り、営業利益はほぼゼロになる。ROEは1%に満たず、会社は普通の中小装置メーカーとして、資産の価値で評価される。
- 半導体装置(貼合・剥離、塗布・現像、ウェーハ・サポート、コーター):数量 22.0(先端パッケージ向け前処理・貼合剥離・塗布現像装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 7.04(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍))→ 売上 155 億円・営業利益 5 億円。市場 22 億ドル × シェア 3.5%、営業利益率 3.0%
- 搬送装置(ウェーハ搬送ロボット・EFEM・プリアライナー):数量 24.0(半導体向けウェーハ搬送ロボット・EFEM の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 3.42(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 82 億円・営業利益 3 億円。市場 24 億ドル × シェア 1.7%、営業利益率 3.0%
- 洗浄装置・薬液供給:数量 25.0(洗浄・薬液供給装置の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 80.4%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。市場 25 億ドル × シェア 0.40%、営業利益率 0.0%
- 表面処理用機器(プリント基板のめっき装置):数量 15.0(プリント基板用めっき装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 5.03(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 75 億円・営業利益 3 億円。市場 15 億ドル × シェア 2.5%、営業利益率 4.0%
- 金型・樹脂成形:数量 32.0(精密金型・成形品の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア)× 価格 40.2%(実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率)→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。市場 32 億ドル × シェア 0.20%、営業利益率 0.0%
倍率:ROE が k を大きく下回り、稼ぐ力(純利益 ÷ k)は小さい。値は床の純現金+売れる資産の税後 115 億円で測り、今の自己資本 265 億円に 0.434 倍を掛けた形で書いた(床は売れる資産から出した)。
確率:顧客が 1 社に偏り(3 割超)、検収の遅れと評価減がすでに出ている。内製化・技術の置き換え・中国の国産化のどれか 1 つが主力顧客に及ぶだけで成り立つ筋書きなので、1 割台半ばを置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
半導体装置(貼合・剥離、塗布・現像、ウェーハ・サポート、コーター)
先端パッケージ向けを中心に、薄いウェーハの貼合・剥離と塗布・現像などの工程装置を作る。2026 年 12 月期から液晶用コーターもここに含む。
| 数量先端パッケージ向け前処理・貼合剥離・塗布現像装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率(10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.0 | 9.03 | 181 | 36 |
| 10 年後 中立 | 35.0 | 12 | 422 | 72 |
取り方:2025 年の半導体装置 172.1 億円とコーター 8.5 億円の合計 180.6 億円。市場規模は EVG・ズース・東京エレクトロンなど競合の領域を並べた筆者の推定で 20 億ドル、シェアは売上 ÷ 市場で約 6%(開示はない)。営業利益は事業別の開示がないので、上期 2025 の全社営業利益率とプロセス機器の利益から約 20% と推定。数量は実質の市場、物価の分は価格に入れた。 10 年の数量(中立は 20→35 億ドル)は、物価を除いた実質で、先端パッケージの市場が名目で年 8.9%(業界の見立て 8〜10%)に当たる伸びを物価 1.34 倍で割って置いた。名目の伸びを数量に置いて価格にも物価を重ねてはいない。
搬送装置(ウェーハ搬送ロボット・EFEM・プリアライナー)
クリーンルーム内でウェーハを運ぶロボットと受け渡し装置。
| 数量半導体向けウェーハ搬送ロボット・EFEM の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 25.0 | 3.06 | 77 | 5 |
| 10 年後 中立 | 30.4 | 4.42 | 134 | 11 |
取り方:2025 年の搬送機器売上 76.6 億円。市場規模はローツェなど競合の規模から筆者が 25 億ドルと推定し、シェアは約 2%。営業利益率は競合の水準と薄い採算から約 7% と推定。
洗浄装置・薬液供給
ウェーハメーカー向けの洗浄装置、リン酸プロセスや CMP スラリー供給の装置。
| 数量洗浄・薬液供給装置の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 25.0 | 70.0% | 18 | 1 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 100.5% | 30 | 2 |
取り方:2025 年の洗浄装置売上 17.6 億円(前年比 69% 減。ウェーハメーカーの投資鈍化)。対象市場を 25 億ドルと推定し、シェアは約 0.5%。営業利益は売上の落ち込みで薄いとみて 5% と推定。
表面処理用機器(プリント基板のめっき装置)
子会社ファシリティが作るプリント基板用のめっき装置。中国・東莞とベトナムに拠点。
| 数量プリント基板用めっき装置の世界市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 15.0 | 4.50 | 68 | 9 |
| 10 年後 中立 | 19.5 | 6.03 | 118 | 11 |
取り方:全社売上 354.3 億円からプロセス機器 274.8 億円と金型 約 12 億円を引いた約 67.5 億円。市場は 15 億ドルと推定しシェアは約 3%。2025 年上期のこの事業の営業利益率は約 13% で、通期は下期の検収を考え約 12.5% と推定。
金型・樹脂成形
精密金型、キャリアテープやコネクタの樹脂成形品。
| 数量精密金型・成形品の対象市場(億ドル、今の値段で測った実質)× シェア | 価格実質の市場 1 ドルあたりの当社売上(円)= シェア × 150 円 × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 30.0% | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 40.2% | 16 | 1 |
取り方:2026 年上期の売上 5.6 億円の 2 倍、約 12 億円と推定。対象市場を 40 億ドルと推定し、シェアは約 0.2%。営業損益はほぼ均衡。
リスクと懸念
顧客の集中
TSMC向けの売上は2025年に109億円で、連結の31%を占める(前の年は11%)。この顧客が投資を絞る、内製化する、他社の装置に替えるのどれかをするだけで、売上と利益の中心が欠ける。顧客が値段も決める立場なので、利益率の上昇も抑えられる。
検収の遅れと在庫の質
2026年上期は、出荷済みの装置の検収が遅れて営業利益が前年の20分の1に落ち、検収が長引く装置の評価減も出た。受注から検収まで1年を超える案件があり、年の利益は日程に左右される。棚卸資産は172億円と大きく、中身が傷めば減損の恐れがある。
積み方の技術の変化
先端パッケージの積み方は変わり続ける。ガラス板に貼って剥がす工程を使わない方式や、ウェーハ同士を直接つなぐ方式が広がれば、貼合・剥離の需要は細る。逆に技術の転換期は新しい装置を売る機会でもあるが、競合の欧州勢が先行する余地もある。
半導体の循環
タツモは2008〜09年と2011〜14年に赤字を経験した。AI投資が谷を浅くしている間はよいが、メモリの供給不足が終われば設備投資は引く。固定費が重くなった2026年以降は、売上が落ちたときの利益の減り方が大きい。
設備投資の回収
2026年は土地・建物32億円、デモ機24億円を含む70億円の設備投資を計画する。デモ機で顧客に試してもらう作戦だが、受注に結びつかなければ減価償却と在庫が残る。純現金60億円は、この投資と在庫の増加で細りうる。
中国の国産化とめっき事業
中国は後工程の装置も国産で賄おうとしている。搬送とめっきは技術の壁が低く、中国の現地メーカーの値下げに巻き込まれやすい。めっき事業は2026年上期に営業損失となり、検収のずれで売上が大きく振れる。
今後の分かれ目
- 通期の営業利益が会社予想の36億円を下回って終わったら
- 検収の遅れが構造だったと判断し、やや悲観・悲観の確率を上げる。評価減が続く場合は在庫の質も疑う。
- TSMC以外のメモリ各社やOSATから、貼合・剥離の量産受注が出たら
- 顧客の偏りが和らぐので、楽観・やや楽観の確率を上げ、寿命の評価(k)の見直しも考える。
- 主力顧客が装置の調達先を替えた、または内製化を決めたら
- 悲観の筋書きに重みを移す。半導体装置の売上の中心が欠けるため、最も大きい下振れ要因になる。
- 先端パッケージで貼合・剥離を使わない積み方が主流になったら
- 主力装置の数量の見通しを下げ、市場の伸びを小さく置き直す。新しい工程の装置を持つかが分かれ目になる。
- 2026年の設備投資で作るデモ機が、顧客の量産装置の受注に結びついたら
- 設備投資の回収が確認でき、半導体装置の利益率の見通しを上げる。
- 純現金が減り続けて借入が必要になったら
- 借り換えの金利は3.5%前後で、利払いが利益を削る。財務の余裕を見直す。
見ておくもの
- 通期の営業利益と、検収が済まずに残る装置の額
- 受注残の推移と、TSMC向けが連結売上に占める比率
- 棚卸資産(特に仕掛品)の増減と評価減の有無
- TSMC以外の顧客からの貼合・剥離の量産受注
- 設備投資70億円の進み具合と純現金の残高
倍率と資本コストの決め方
先に事業別に市場(実質のドル)× シェアで売上を積み、価格は物価の 1.34 倍で名目にした。倍率は式(正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g))から出し、ROE が k を超える中立は、上限の 9 割(10.7 倍)に置いた。今の株価・PER・PBR や同業の倍率から置いていない。k は基本 7.5% に quality +1.5% で 9.0%。悲観は床(純現金+売れる資産の税後)で測った。会社の予想(2026 年 355 億円)は出発点に使い、コンセンサス由来とみられる 2027 年 600 億円は根拠が確認できず使っていない。同領域の他社の物差し(ローツェ 9.5%・野村マイクロ 9.0%・TOWA 8.2%)を見て quality を決めた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→16.14 倍・やや楽観 PER 11.6→15.41 倍・中立 PER 10.71→14.47 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +1.5% = 9.0%。ディスコ(+0.2%)より循環・顧客集中・寿命が重く、ローツェ(+2.0%)より純現金と事業の幅がある。個別のリスク(検収の遅れ・顧客集中の筋書き)は k に足さず確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.25%。