結論
豊和工業は、自衛隊の小銃を作る愛知県の機械メーカーだ。主力の20式小銃は、国内で開発から製造まで担える唯一の会社とされる。ほかに、赤字の工作機械、路面清掃車、防音サッシを手がける。売上は約240億円、営業利益は12億円である。
筆者の結論は「割高」である。防衛は確かに追い風だが、利益の大半を一つの事業と一つの客に頼る会社に、今の値段は将来の成長を先に払いすぎている。10年先の中心の見立てでも、価値は今の時価総額の半分に届かない。
強みは明快だ。小銃は国が必要とする装備で、参入する会社がいない。20式の納入は急増し、受注残も積み上がった。路面清掃車は国内のトップシェアでもある。
弱みも明快だ。工作機械は市場が縮み、今期も10億円の営業赤字を出した。防衛の稼ぎは、赤字の穴埋めに消える構図である。会社は営業利益を22億円まで引き上げる計画だが、前の計画は目標に届かなかった。
財務は並みだ。自己資本比率は59%で、純借金は5億円。株主への還元は配当性向30%が目安で、控えめである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「事業の質は二つに割れ、全体では並み」と見る。
火器は良い事業だ。競争相手がおらず、国が確かな客で、受注残も積み上がっている。だが、利益率は原価をもとにした契約で頭打ちになり、客が国ひとつという弱さがある。賃貸も安定した稼ぎだ。
しかし、これらの稼ぎを工作機械の赤字が食う。今期の営業利益12億円は、火器や賃貸などの稼ぎ約22億円から、工作機械の赤字10億円を引いた結果である。赤字が止まれば利益は大きく増えるが、止まる保証はまだない。
資本の使い方は、守りに寄っている。配当性向は30%と低く、稼いだ利益の7割は社内に残る。その7割が、自己資本利益率4%前後でしか回らないなら、株主にとっては重荷だ。
10年後に今より強いか。工作機械の整理が終われば強くなる。ただ、小銃の更新が一巡すれば、稼ぎの山は過ぎる。今の値段は防衛への期待を先に払っており、安全域はない。
何で稼ぐ会社か
事業は四つの柱と、周辺の小事業からなる。
火器は、売上90億円、営業利益12.6億円で、全社の利益を支える。20式5.56mm小銃のほか、120mm迫撃砲、81mm迫撃砲、発煙弾発射機などを防衛省に納める。米国などへのスポーツライフルの輸出もある。受注残は38億円。防衛装備庁への売上は64億円で、全社の27%にあたる。
工作機械関連は、売上54億円、営業損失10.2億円。マシニングセンタと専用機が38億円、チャックやシリンダーなどの空・油圧機器が12億円、電子機械が4億円だ。客は自動車関連が中心で、受注残は18億円と、前年から半減した。
特装車両は、売上29億円。路面清掃車と産業用の清掃機が中心で、国内トップシェアをうたう。利益は0.4億円とほとんど出ていない。
建材は、売上32億円、営業利益2.8億円。アルミと鋼のサッシ・ドア、防音サッシ、防水パネルを作る。防衛施設向けの防音サッシもある。
このほか、グループが持つ土地・建物の賃貸が、売上5億円で営業利益4.1億円。鋼材の販売が売上21億円で営業利益1億円。太陽光発電などの小事業もある。
製造の中心は、愛知県の本社工場だ。2026年4月には、造園などを手がけた子会社を吸収した。
優良さと弱いところ
ひと言でいえば、「守られた事業」と「守られない事業」が同居する会社だ。
火器は守られている。小銃の製造には、技術と許認可、国との長い取引が要る。新しい参入者は現れにくく、国内では実質的に独占だ。価格も、原価に利益を乗せて決める契約が多く、安定する。ただし、そのぶん利益率には天井があり、客も国ひとつに限られる。
一方、工作機械は守られていない。マシニングセンタや専用機は、自動車の投資の波を直接受ける。中国の競合の追い上げもあり、天津の子会社は清算に向かっている。工作機械が赤字のままでは、会社全体の資本効率は上がらない。
資本効率は低い。自己資本利益率は10年の中央値で3.7%、直近も3.5%だ。営業利益率は過去12年の最高でも5.9%にとどまる。
経営は、事業を絞る方針に踏み出した。中期計画に、工作機械の人員と設備の見直し、機種の統合、中国子会社の縮小が入っている。ただ、前の計画は目標に届かなかった。実行力は、これから示す段階だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
稼ぎの源は防衛予算だ。2026年度の防衛予算は約9兆円で、過去最大になった。重工大手3社の防衛関連の受注残は6兆円を超える。小銃は、旧型を20式に置き換える更新が続いており、納入数は4倍に増えたと報じられた。向こう10年はフル生産が続くとの見方もある。
ただし、防衛予算は政策で決まる。政権や国際情勢が変われば、予算の伸びは止まる。小銃は一度更新すれば、次の更新まで間が空く。波は避けられない。
工作機械は、受注が回復している。日本の工作機械受注は2026年上期に前年比36%増と、AI関連の投資で急に増えた。ただ、外需の中心は半導体と電子部品向けで、豊和の客である自動車関連は弱い。市場が戻っても、同社の取り分は増えにくい。
路面清掃車は、自治体の更新需要が中心だ。EV化や排ガス規制で車両の仕様が変わると、開発の費用がかかる。建材は、国内の新築住宅が人口減で縮む一方、防音やリフォームが下支えする。
米国の関税は、自動車メーカーの設備投資を鈍らせ、スポーツライフルの輸出にも響く。
10年を通した前提は、1ドル150円で動かさない。
資本政策と M&A
還元は控えめだ。配当は3期連続で同額の見込みで、配当性向30%を目安とする。自社株買いは中期計画に書かれておらず、2026年3月期の支出もゼロだった。3年間の営業キャッシュフロー約50億円は、成長投資に15〜30億円、株主還元に8〜15億円、財務の強化に10〜20億円を充てる配分だ。
直近の営業キャッシュフローは48億円と大きかった。売掛金の回収が進んだためで、続く保証はない。
M&Aは、中期計画で外から事業を取り込む成長に資金を確保すると触れる程度で、具体案は出ていない。工作機械は、天津の子会社を整理し、インドで拠点づくりを進める。
大株主は信託銀行、生命保険会社、持株会で、支配する株主はいない。上場は東証スタンダードと名古屋プレミアだ。kabufu の推計では、10年以内の買収の確率は2割ほどある。ただし、国の防衛装備を担う会社であり、外から買収される姿は想像しにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
防衛は、一時の追い風ではない。日本の防衛費は過去最大を更新し続け、重工大手の受注残は6兆円を超えた。小銃は、旧型を20式に置き換える更新が始まったばかりで、納入数は4倍に増えた。向こう10年はフル生産が続くとの見方がある。国内で小銃を作れるのは同社だけで、受注は他社に流れない。
工作機械は底を打った。会社は中国子会社の整理、人員と設備の見直し、機種の統合に着手し、売上を減らしながら黒字にする計画を立てた。日本の工作機械受注は急回復しており、自動車の投資が戻れば赤字は一気に縮む。赤字が消えるだけで、営業利益は10億円増える。
路面清掃車は国内トップで、自治体の更新が続く。建材は防音サッシが伸び、利益率が改善した。
中期計画の営業利益22億円は、今の12億円の倍近いが、工作機械の黒字化と火器の増収で届く。防衛関連への資本市場の関心も強く、自己資本利益率が改善すれば、評価はさらに上がる。
財務にも無理はない。自己資本比率は59%で、営業キャッシュフローも48億円と厚い。配当性向30%は、利益が増えれば配当も自動的に増える仕組みで、株主への還元もこれから厚くなる余地がある。
慎重な見方
稼ぎの核は火器だが、客は国ひとつで、利益率は原価をもとにした契約で決まる。防衛予算は政策で動く。小銃の更新が一巡すれば、納入は減る。今期の利益率は、特定取組契約という特別な計上で一時的に押し上げられた面もある。
工作機械は、構造的に厳しい。受注は自動車に偏り、中国の競合は価格で攻める。赤字は2期続き、前の期は在庫の評価損も出た。中国子会社の整理にも費用がかかる。前の計画は目標に届かず、今の計画の2年目の中間期には、営業利益の予想を6.7億円まで下げた。実行力は証明されていない。
路面清掃車はEV化と規制の変化で、投資が要る。建材は新築の縮みが重い。
株主への還元は配当性向30%と低く、稼いだ利益の多くが社内に残る。自己資本利益率は10年の中央値で3.7%と、資本コストの半分以下で、残した利益は価値を生んでいない。
それでも今の値段は、今期予想の純利益の24倍にあたる。防衛への期待が価格に入っており、期待が外れたときの下げが大きい。
どちらに重みを置いたか
慎重な言い分が強い。強気の言い分は、防衛の追い風と工作機械の黒字化に説得力がある。ただ、前者は客が一つで利益率に天井があり、後者は実行がこれからだ。どちらも、今の値段が前提にする成長を支えるには足りない。
そこで確率は、中立に4割を置き、やや悲観までを厚めにした。やや楽観より上は合わせて24%、やや悲観より下は36%とした。ただし、火器の独占的な地位と賃貸の収益は、悲観を深くしすぎない床になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,511 円186 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 360 円44 億円)。 今の値に割り戻すと 926 円114 億円、今との差 −51.8%、 期待の年率 −0.3%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,141 円387 億円 | 690 円85 億円 | +99.5% | +7.2% | 230 円28 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,312 円285 億円 | 503 円62 億円 | +46.6% | +3.9% | 507 円62 億円 |
| 中立 | 40% | 1,662 円205 億円 | 365 円45 億円 | +5.6% | +0.5% | 811 円100 億円 |
| やや悲観 | 24% | 726 円89 億円 | 260 円32 億円 | −48.7% | −6.5% | 237 円29 億円 |
| 悲観 | 12% | 563 円69 億円 | 162 円20 億円 | −62.2% | −9.3% | 87 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,511 円186 億円 | 360 円44 億円 | −2.5% | −0.3% | 1,871 円231 億円 |
今の株価時価総額 1,920 円237 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 防衛の更新需要が続き、工作機械も黒字に戻る 利益 30 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 3,141 円387 億円
防衛予算の高止まりが続き、小銃の更新に加えて、迫撃砲や次世代の装備品の受注が増える。火器の納入量は今の1.5倍を超え、値段は物価を少し上回る。利益率は12%に届く。
工作機械は、中国子会社の整理と機種の絞り込みが実を結び、半導体向けの新分野も立ち上がって黒字に戻る。特装車両は路面清掃車の更新が続き、建材は防音サッシが伸びる。
全社の営業利益は42億円ほどと、今の3倍強になる。会社が掲げる22億円を大きく超えるが、火器の構成比が4割を超え、赤字事業が消える前提だ。
還元は配当性向を3割から引き上げる方向に動くが、投資の余力を残すため、総還元性向は4割にとどまる。
- 火器:数量 0.9(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 210(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 195 億円・営業利益 23 億円。納入量1.55倍、値段1.40倍。営業利益率12%
- 工作機械関連:数量 0.4(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 204(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 81 億円・営業利益 4 億円。納入量1.10倍。黒字化し営業利益率5%
- 特装車両:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 204(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 44 億円・営業利益 3 億円。納入量1.10倍。営業利益率6%
- 建材:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 204(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 44 億円・営業利益 3 億円。納入量は横ばい。営業利益率7.5%
- 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 7.11(年間の賃料収入(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 6 億円。賃料1.40倍
- 鋼材販売・販売子会社・その他:数量 0.2(取扱額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 204(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 41 億円・営業利益 3 億円。横ばい。営業利益率7.5%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.73 倍、時価総額 387 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防衛の追い風が続き、さらに工作機械が黒字へ戻り、中期計画の目標を大きく超える必要がある。前の計画が未達だったことを考え、6%にとどめた。
やや楽観 18% 火器が伸び続け、工作機械が小さな黒字になる 利益 24 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,312 円285 億円
小銃の更新が続き、火器の納入量は今の1.35倍に増える。利益率は10.5%を保つ。工作機械は構造改革で赤字が止まり、売上は減らしても3%の黒字になる。
特装車両は更新需要で小さく伸び、建材は国内の新築の縮みを防音とリフォームで補う。賃貸は物価に近いペースで増える。
全社の営業利益は33億円ほど。会社が掲げる22億円を、物価の分を含めて超える形だ。
配当性向3割を守り、株主への戻しは純利益の4割弱。自己資本はゆっくり積み上がる。
工作機械の黒字化は、売上の縮小を受け入れて固定費を落とした結果であり、自動車の投資が戻っても大きくは伸びない。
- 火器:数量 0.8(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 206(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 166 億円・営業利益 17 億円。納入量1.35倍、値段1.37倍。営業利益率10.5%
- 工作機械関連:数量 0.4(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 201(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 73 億円・営業利益 2 億円。納入量は横ばい。営業利益率3%
- 特装車両:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 203(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 42 億円・営業利益 2 億円。納入量1.05倍。営業利益率5%
- 建材:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 203(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。納入量0.98倍。営業利益率6.5%
- 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 6.60(年間の賃料収入(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 5 億円。賃料1.30倍
- 鋼材販売・販売子会社・その他:数量 0.2(取扱額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 203(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 41 億円・営業利益 3 億円。横ばい。営業利益率7%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 285 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:小銃の更新が続き、工作機械の赤字が止まる筋書きは、会社の計画に近い。ただし、実行力はまだ示されていないので、18%を置いた。
中立 40% 火器は伸びるが、工作機械は収支ゼロどまり 利益 17 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,662 円205 億円
小銃の更新はしばらく続き、火器の納入量は今の1.2倍に増える。ただし、客は国ひとつで、価格は原価をもとに決まるので、利益率は9%に収まる。
工作機械は、中国子会社の整理と人員・設備の見直しで赤字が止まるが、利益は出ない。売上は物価を考えても横ばいで、収支ゼロにとどまる。特装車両と建材は、物価並みに増え、薄い利益を出す。
全社の営業利益は23億円ほど。営業利益率は7%で、過去12年の最高5.9%を上回る。火器の構成比が4割に上がるからで、会社の目標8.8%には届かない。
純利益は17億円ほど。配当性向3割が続き、残りの7割が社内に積み上がる。
- 火器:数量 0.7(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 201(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 144 億円・営業利益 13 億円。納入量1.20倍、値段1.34倍。客が国で利益率は9%(FY26の14%は一時要因を含むとみる)
- 工作機械関連:数量 0.3(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 195(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 65 億円・営業利益 0 億円。納入量0.92倍、値段1.30倍。構造改革で収支ゼロ
- 特装車両:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 201(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。納入量は横ばい。営業利益率3%
- 建材:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 201(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。納入量0.95倍。営業利益率5%
- 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 6.35(年間の賃料収入(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 5 億円。賃料1.25倍(長期契約で物価より遅い)
- 鋼材販売・販売子会社・その他:数量 0.2(取扱額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 201(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。納入量0.95倍。営業利益率5.5%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 205 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強気の言い分(防衛と黒字化)と慎重な言い分(客が国ひとつと実行力)の落としどころ。工作機械が収支ゼロにとどまると見て、4割を置いた。
やや悲観 24% 小銃の更新が一巡し、工作機械の赤字が残る 利益 11 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 726 円89 億円
小銃の更新が一巡し、火器の納入量は今と同じ水準にとどまる。防衛予算の伸びは止まり、値段は物価に追いつかない。利益率は7%に下がる。
工作機械は、自動車の投資が戻らず、競合に価格で押される。構造改革で縮小しても、赤字が残る。中国子会社の整理の費用もかさむ。
特装車両はEV化への対応費用で利益が薄くなり、建材は新築の縮みで売上が細る。
全社の営業利益は15億円ほどと、今の1.3倍にとどまる。名目で見て増えたようでも、物価を考えると実質は減っている。配当は性向どおりで、還元は小さい。
賃貸と火器が下支えになるので、会社の存続は揺らがないが、株主にとっての成長は乏しい。
- 火器:数量 0.6(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 195(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 117 億円・営業利益 8 億円。納入量は横ばい、値段1.30倍。営業利益率7%
- 工作機械関連:数量 0.3(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 188(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 54 億円・営業利益 −2 億円。納入量0.80倍。営業利益率−3%
- 特装車両:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 195(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。納入量0.92倍。営業利益率2%
- 建材:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 195(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。納入量0.90倍。営業利益率4%
- 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 6.10(年間の賃料収入(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 5 億円。賃料1.20倍
- 鋼材販売・販売子会社・その他:数量 0.2(取扱額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 195(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。納入量0.90倍。営業利益率4.5%
倍率:事業のROE約3.8%がk8.25%を大きく下回り、ためた利益は額面を大きく割る。利益が谷に向かう筋書きでもあり、上限の1÷k=12.1倍の約6割の7.0倍に置いた。
確率:小銃の更新が一巡する時期は読みにくく、工作機械の赤字は2期続いた。中間期には営業利益の予想を大きく下げた実績もある。慎重な見方が強いので、24%と厚めに置いた。
悲観 12% 防衛の追い風が止まり、工作機械の赤字が全社を引きずる 利益 2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 563 円69 億円
防衛政策が転換し、予算の伸びが止まる。小銃の更新が終わった後は、補用品と修理の収入だけになる。火器の納入量は今の7割に減り、価格も競争的になって利益率は3%まで下がる。
工作機械は、自動車の投資が減り、中国の競合に取られて売上が4割減る。赤字は10%を超え、減損も出る。特装車両は赤字になり、建材もほぼゼロの利益にとどまる。
賃貸だけが残り、年に4億円ほどを稼ぐ。全社の営業利益は2億円ほどで、事業の再編と売却を迫られる。
配当は下限まで切り、自己資本は減損で大きく減る。価値は稼ぐ力ではなく、賃貸の収益と売れる資産で測られる。
- 火器:数量 0.4(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 188(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 78 億円・営業利益 2 億円。納入量0.70倍、値段1.25倍。営業利益率3%
- 工作機械関連:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 180(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 39 億円・営業利益 −4 億円。納入量0.60倍。営業利益率−10%
- 特装車両:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 180(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 28 億円・営業利益 −1 億円。納入量0.80倍。営業赤字
- 建材:数量 0.2(納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 180(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。納入量0.80倍。利益ほぼゼロ
- 不動産賃貸:数量 1.0(1式(賃貸面積と稼働率は横ばい))× 価格 5.08(年間の賃料収入(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 4 億円。賃料は据え置き
- 鋼材販売・販売子会社・その他:数量 0.2(取扱額(実質・億ドル相当。今の値段で測る))× 価格 180(実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率)→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。納入量0.80倍。営業利益率2%
倍率:稼ぐ力は純利益2億円ほどで、事業の価値は小さい。床は稼ぐ力ではなく売れる資産。賃貸の稼ぎ(税引き後約2.7億円)を資本コスト8.25%で割った約33億円に、工作機械や特装車両を畳む時に回収できる土地・在庫・売掛金の一部約42億円を足し、純借金5億円を引いた約70億円。今の自己資本210億円の0.33倍として置いた。
確率:防衛政策の転換と、工作機械の失敗が重なる構造的な負けの筋書き。国内で唯一の小銃メーカーという地位があり、すぐには起きにくいので、12%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
火器
20式5.56mm小銃、120mm・81mm迫撃砲、発煙弾発射機、補用品。防衛省向けが中心で、海外向けのスポーツライフルもある。
| 数量納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る) | 価格実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.6 | 150 | 90 | 13 |
| 10 年後 中立 | 0.7 | 201 | 144 | 13 |
取り方:会社開示の売上89.65億円・営業利益12.55億円(受注残37.6億円)。納入点数や単価の開示はないので、売上を150円で割った実質の納入額で置いた。2026年3月期の利益率14%には、防衛生産基盤強化法の特定取組契約の計上など一時的な押し上げが含まれるとみる。
工作機械関連
マシニングセンタと専用機、チャック・シリンダーなどの空・油圧機器、電子機械。客は自動車関連が中心。
| 数量納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る) | 価格実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.4 | 150 | 54 | −10 |
| 10 年後 中立 | 0.3 | 195 | 65 | 0 |
取り方:会社開示の売上54.21億円・営業損失10.17億円(受注残18.4億円。前年は売上69.6億円・損失4.6億円)。台数の開示がないので、売上を150円で割った実質額で置いた。
特装車両
路面清掃車、産業用清掃機、自動床洗浄機。路面清掃車は国内トップシェアとされる。
| 数量納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る) | 価格実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 150 | 29 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 201 | 39 | 1 |
取り方:会社開示の売上29.22億円・営業利益0.37億円。台数の開示がないので、実質額で置いた。
建材
アルミと鋼のサッシ・ドア、防音サッシ、防水パネル。国内の建設・住宅向けと、防衛施設向けの防音サッシ。
| 数量納入額(実質・億ドル相当。今の値段で測る) | 価格実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 150 | 32 | 3 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 201 | 41 | 2 |
取り方:会社開示の売上32.32億円・営業利益2.76億円。数量の開示がないので、実質額で置いた。
不動産賃貸
グループが持つ土地・建物の賃貸。
| 数量1式(賃貸面積と稼働率は横ばい) | 価格年間の賃料収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 5.08 | 5 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 6.35 | 6 | 5 |
取り方:会社開示の売上5.08億円・営業利益4.11億円。賃貸面積は変わらない前提。
鋼材販売・販売子会社・その他
鋼材の商社機能(東油物産)、梱包・運送の販売子会社、太陽光発電など。
| 数量取扱額(実質・億ドル相当。今の値段で測る) | 価格実質1ドルあたりの売上(円)=150円×物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 150 | 30 | 2 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 201 | 38 | 2 |
取り方:鋼材販売21.44億円・販売子会社7.42億円・その他1.26億円(外部売上)の合計30.12億円。営業利益は1.02億円・0.48億円・0.67億円の合計2.17億円。
リスクと懸念
防衛予算と政策への依存
火器と防衛施設向け防音サッシは、防衛省の予算に左右される。売上の27%が防衛装備庁向けで、利益の大半を占める。政権や国際情勢が変わり、予算の伸びが止まれば、全社の利益が崩れる。
工作機械の赤字と構造改革の遅れ
工作機械関連は2期続けて赤字で、今期は10億円を超えた。中国子会社の整理や人員・設備の見直しには費用がかかる。計画が遅れれば、火器の稼ぎを食い続け、減損も出る。
自動車投資と米国の関税
専用機は、自動車の新型車投資の時期で売上が大きく振れる。米国の関税で自動車メーカーが投資を絞れば、受注が減る。スポーツライフルの米国向け輸出にも向かい風になる。
小銃の更新の一巡
20式への更新が進んだ後は、次の更新まで納入が減る。補用品や修理は続くが、新品の納入ほどは稼げない。今の利益率には、特別な契約の計上による押し上げも含まれる。
特装車両のEV化と規制
路面清掃車は、安全基準の強化や脱炭素の進みで、車両の作り直しが要る。開発の費用がかさみ、利益が薄くなる。国内トップシェアでも、利益率は低い。
本社工場への集中と財務の約束
製造の多くが愛知県の本社工場にあり、大地震や水害で生産が止まる恐れがある。借入の約束には純資産や経常損益の条件があり、赤字が続けば借換え条件が悪化する。
今後の分かれ目
- 工作機械関連が、2期続けて営業黒字になったら
- 構造改革が実を結んだとみて、中立の利益率を引き上げ、やや楽観より上の確率を上げる。
- 防衛省向けの小銃の納入が、更新の一巡で減り始めたら
- 火器の数量の前提を引き下げ、悲観側の確率を上げる。
- 防衛予算の伸びが止まる、または次世代装備の入札で他社が選ばれたら
- 独占的な地位が揺らぐとみて、中立の火器の利益率を下げる。
- 自社株買いが始まり、配当性向が3割を超えたら
- 資本政策が株主向きに変わったとみて、倍率と還元の前提を見直す。
- 営業利益が、中期計画の22億円に届かず3期連続で未達になったら
- 実行力への信頼が一段下がり、慎重な見方を強める。
- インドや半導体関連で工作機械の新しい受注が入ったら
- 自動車依存の脱却に道筋が見えたとして、工作機械の数量の前提を引き上げる。
見ておくもの
- 工作機械関連の営業損益と受注残
- 火器の受注残と防衛装備庁向け売上の動き
- 営業利益と中期計画の目標(22億円)との差
- 特装車両・建材の営業利益率
- 防衛予算と配当性向、自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
売上は、納入額を実質(今の値段)で置き、物価倍率(10年1.34倍)を値段の欄に入れて積み上げた。今の株価とPERは見ずに筋書きを置いた。倍率は資本コスト8.25%(基本7.5%に循環+0.5%・寿命+0.25%)と長期成長4%、事業のROEから出る正当化PERの9.4〜9.5割に置いた。中立の営業利益率7%は過去12年の最高5.9%を上回るが、赤字の工作機械の収支ゼロ化(中国子会社の整理と人員・設備の見直しの実行)と、利益率が10%近い火器の構成比の上昇による。会社の目標8.8%には届かない置き方とした。賃貸の稼ぎは利益に残るため、余った資産として足していない。リース会計の影響は小さく、調整していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.9→12.73 倍・やや楽観 PER 10.7→12.12 倍・中立 PER 9.4→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。