結論
鈴茂器工は、握り寿司のシャリ玉を作る「寿司ロボット」で国内シェア約8割、世界でも約7割を握る機械メーカーだ。顧客は回転寿司やスーパー、ホテル。人手不足で寿司職人を雇えない店ほど、この機械を手放せない。
筆者の結論は「やや割安」だ。2026年3月期の営業利益は10億円と前期のほぼ半分に落ちたが、原因は資本提携の解消費用や新工場の立ち上げ費用で、機械の需要が崩れたわけではない。利益率が過去の平均の10%台前半に戻る前提で10年を見れば、価値は今の時価総額を1割半ほど上回る。
気になる点は2つある。ひとつは国内の大手チェーンの入れ替え需要が一巡したこと。もうひとつは、海外で中国・韓国製の安い機械が出てくる可能性だ。それでも、シャリの品質を守れる機械という強みは簡単には崩れない。
時価総額が約143億円と小さく、売上の規模も159億円にとどまるため、大手が見向きしない隙間を押さえた会社だ。稼ぎの質は高いのに、数字が谷にあるときほど、割安に見えるものである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、この会社の本質価値は「寿司という日本の食文化を機械に落とし込んだ独占に近い事業」にある。10年後も寿司は食べられ、人手不足は続く。機械で職人の技を再現する仕事は、簡単に代替されない。
問題は今の利益が谷にあることだ。営業利益10億円は、過去12年の平均(約13億円)をも下回る。筆者は、回復を前提にしても、10年の中立で営業利益を28億円ほどに置く。これは名目の物価上昇を含む数字で、実質では大きくない。
オーナー利益(成長の投資を引いた株主のもの)は、設備投資が軽い会社なので純利益に近い。資本の使い方は、自社株買いで株主構成を整理した判断が評価できる。安全域は、悲観の筋書きでも自己資本の6割が残る点にある。
事業の本質が変わらない点を、バリュー投資家は重く見る。シャリを均一に握る機械は、10年後も同じ働きを求められる。変わるのは値段と台数だけだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は寿司ロボット(シャリ玉成形機)と、巻き寿司・のり巻き用の機械、シャリ切り・盛り付けの周辺機器だ。機械を売るだけでなく、保守と部品、消耗品が毎年の収益になる。売上は国内が約100億円、海外が約58億円(2026年3月期)。海外は北米と東アジアの日系回転寿司チェーン向けが伸びており、前期は17%増えた。
国内の主な顧客は回転寿司の大手チェーンだ。大手が店の自動化を進めてきたが、その入れ替え需要が一巡し、国内は前期5%減った。一方、ホテルチェーンやスーパーの寿司売り場、弁当・中食の工場など、寿司以外の業態への導入が広がっている。
製造は自社の工場で、2026年3月期に埼玉県鶴ヶ島市で新工場(約27億円)を立ち上げた。生産能力を現工場の2倍以上にし、ライン生産へ切り替える。立ち上げ期は製造の人件費がかさみ、利益を押し下げた。2025年8月には、資本業務提携を結んでいた投資ファンドとの提携を解消し、その保有株を会社が約35億円の借入で買い戻した。
収益の柱は台数に加えて、導入後の保守と消耗品だ。店が増えれば、機械の数に比例して部品と点検の売上が積み上がる。営業利益の約4割をこうした後ろの収益が占めると筆者は見ている(開示は粗い)。
優良さと弱いところ
堀は、寿司に求められる味と食感を機械で再現できる点にある。シャリの空気の含ませ方や米粒を潰さない成形は、長年の改良の蓄積で、競合がまねしにくい。国内の導入台数は約5,500台で、会社は国内8割・世界7割のシェアを掲げる。店が一度導入すると、保守と部品、消耗品で長く付き合うため、切り替えの費用が高い。
弱みは、顧客が外食に偏り、設備投資の波を受けることだ。2019年3月期は営業利益率が8.5%、2023年3月期は8.9%まで落ちた。さらに規模が小さく(売上159億円)、1社の大手の方針で売上が動く。内製化のリスクも残る。
財務は強い。自己資本比率は68%で、自社株買いの借入を除けば実質ほぼ無借金だ。筆者は、経営の資本配分も評価できると見る。2022年にも別の提携先の保有株を自己株買いで買い戻した。株主還元は配当と自社株買いの総還元性向30%以上を掲げ、増配を続けている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の回転寿司は市場規模が約1兆円で、店の数はほぼ頭打ちだ。ただし人手不足と最低賃金の上昇で、1店あたりの機械化はさらに進む。寿司ロボットの導入は、シャリ場の人員を半分以下にできるため、人件費が上がるほど導入の理由が強くなる。
海外では、寿司が日常食になった米国で、スーパーの持ち帰り寿司が急増している。北米は2020年3月期比で3.7倍、アジアは1.6倍、欧州は2.1倍に売上が伸びた。会社は海外比率を高める計画で、現地の販売会社を増やしている。
競合は国内ではほとんど無く、海外の中国・韓国・台湾の小型機メーカーが低価格で追う構図だ。鈴茂は品質と保守網で上位を保つが、価格競争が強まれば利益率は削られる。
需要の循環は、外食産業の投資意欲と、飲食店の出店数に連動する。国内は人口減で店が減るため、数量は10年で5%減る程度だが、機械の置き換えと新業態で補える。海外が成長の主戦場になる。
日本の飲食は人手不足が構造的で、最低賃金は物価を上回って上がり続ける見通しだ。シャリ場の作業を機械が担う理由は、年を追って強くなる。反対に、寿司店の数そのものは緩やかに減るので、新規の店でなく既存店の入れ替え・追加が国内の台数を決める。
資本政策と M&A
還元は、連結の総還元性向30%以上(配当と自社株買いの合計)を基本とし、増配を続ける。2026年3月期は前期から増配し、2027年3月期も同じ水準を予想する。今期の純利益に対する配当の比率は6割を超えており、方針を上回って返している。
資本政策で注目すべきは、2022年と2025年の2回、資本業務提携先が持つ株を会社が買い戻したことだ。2025年は上限約35億円で、借入で資金を作った。これで自己資本は30億円減り、現金は約26億円減ったが、市場に株が出る不安は消えた。
政策保有株や賃貸不動産の含み益は見当たらず、株主優待もない。海外M&Aの実績は小さく、買収で価値を壊す心配は少ない。TOBの可能性は否定できない(試算で10年以内に17%)が、時価総額が143億円と小さく、買い手には手が出しやすい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
回復の道筋は2つある。ひとつは利益率だ。2026年3月期の営業利益率6.4%は、新工場の立ち上げ費と提携解消費という一時の費用で押し下げられた数字で、2025年3月期は12.1%あった。新工場が回りはじめ、ライン生産へ切り替われば、製造原価は下がる。
もうひとつは海外だ。北米では寿司の持ち帰りがスーパーの定番になり、機械の需要は寿司職人のいない店に広がっている。売上が2020年3月期比で3.7倍になった実績は、この流れが本物であることを示す。会社の2028年3月期の計画(売上190億円)は、国内が横ばいでも海外の伸びだけで届く。
国内も、寿司以外の業態(ホテル・弁当工場・スーパーの惣菜)へ広がり、大手チェーンの谷を埋める。人件費が上がり続ける日本で、機械の導入余地は小さくない。
鈴茂は、国内のシェアが高く、顧客の購買の入り口をすでに押さえている。そこへ新工場で生産能力が2倍になるため、受注があふれても出荷を絞らずに済む。
慎重な見方
2027年3月期の営業利益予想は10億円で横ばいだ。つまり新工場の立ち上げ費が剥がれても、利益は戻らない。会社自身が回復を計画に入れていない点は重い。国内は大手チェーンの入れ替えが一巡し、売上は前期5%減った。海外は北米や東アジアで伸びたが、売上の大半が国内と日系チェーンに偏り、現地の大手はまだ攻略できていない。
競合の問題もある。中国・韓国・台湾の機械は価格が鈴茂の半分以下で、中小店からシェアを削っている。回転寿司の大手は内製化の道を探っており、1社の方針転換で台数が数百台動く。規模は売上159億円と小さく、ひとつの失敗が全体の利益を揺らす。
さらに自社株買いで現金が30億円減り、借入が増えた。新工場の固定費もあり、売上が崩れたときの余力は以前より小さい。
配当は純利益の6割を超えており、利益が戻らなければ増配は続けられない。株主還元の約束(総還元性向30%以上)に追われる局面も考えられる。
どちらに重みを置いたか
事業の独占に近い位置は強気の見方が優勢だが、利益の戻りの遅さは慎重な見方の指摘が正しい。そこで確率は中立の38%を最大にし、やや悲観を22%、悲観を10%、楽観とやや楽観を合わせて30%とした。悲観は大手の内製化という構造的な負けで、10年後の価値が今の6割を割る筋書きとして1割に置いた。
言い換えれば、割安度は利益率の戻りだけで決まる。その戻りが半分でも、悲観が来なければ今の値段は下回らない、というのが筆者の読みだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,725 円304 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 536 円60 億円)。 今の値に割り戻すと 1,731 円193 億円、今との差 +34.9%、 期待の年率 +9.8%(資本コスト 7.2%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,756 円642 億円 | 860 円96 億円 | +415.7% | +17.8% | 529 円59 億円 |
| やや楽観 | 22% | 4,008 円447 億円 | 699 円78 億円 | +266.9% | +13.9% | 1,036 円116 億円 |
| 中立 | 38% | 2,893 円323 億円 | 609 円68 億円 | +173.0% | +10.6% | 1,331 円149 億円 |
| やや悲観 | 22% | 966 円108 億円 | 350 円39 億円 | +2.5% | +0.3% | 289 円32 億円 |
| 悲観 | 10% | 705 円79 億円 | 54 円6 億円 | −40.8% | −5.1% | 76 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,725 円304 億円 | 536 円60 億円 | +154.2% | +9.8% | 3,261 円364 億円 |
今の株価時価総額 1,283 円143 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:寿司ロボットが世界の標準になり海外が2.6倍 利益 34 億円 · PER 18.7 倍 · 株価時価総額 5,756 円642 億円
世界の寿司店が人手不足を機械で補う流れが定着する。北米では寿司の持ち帰りが大手スーパーの定番になり、鈴茂の機械がシャリ玉の標準になる。海外の台数は10年で2.6倍、国内は大手チェーンの入れ替えが二巡目に入って台数を保つ。新工場でライン生産に切り替えた効果が出て、粗利が戻り、営業利益率は過去の最高に近い14%に届く。値上げも通り、国内の価格は物価を上回って上がる。
鈴茂の機械は店の人手を減らす道具なので、人件費が上がるほど導入の理由は強まる。シャリの品質を守れる点で、他社の機械に替えにくい。この筋書きでは、稼ぎがふえても配当と自社株買いで40%を返し、現金は積み上がる。
- 国内(寿司ロボット・周辺機器・保守):数量 5,500(年間の販売台数換算(台。周辺機器と保守を寿司ロボット1台あたりに均した推定))× 価格 0.03(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 142 億円・営業利益 23 億円。国内 5,500 台 × 1 台 258 万円(物価 1.34 倍に値上げ分)、営業利益率 16%
- 海外(北米・アジア・欧州):数量 5,200(年間の販売台数換算(台。推定))× 価格 0.04(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 212 億円・営業利益 34 億円。海外 5,200 台 × 1 台 408 万円、営業利益率 16%
倍率:事業の純利益 34 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.6% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.67(moat=strong)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.7 倍。全体の PER 18.67 倍、時価総額 642 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:海外の外食チェーンが人手不足で自動化に走り、北米の実績(3.7倍)が続く筋書き。強気の見方は有力だが、過去の海外伸びは小さな母数からで、確率は1割に届かない。
やや楽観 22% やや楽観:海外が2.2倍に伸び、国内は横ばい 利益 26 億円 · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 4,008 円447 億円
2026年3月期の減益は、資本提携の解消費用や新工場の立ち上げ、人への投資が重なったためで、機械の売れ行き自体が崩れたわけではない。新工場が軌道に乗れば、製造の人件費は下がり、営業利益率は10年で13〜14%へ戻る。
海外の台数は2.2倍。北米と東アジアの日系回転寿司チェーン向けに加え、欧州の持ち帰り寿司、中東・東南アジアのホテルへ広がる。国内は寿司以外の業態(ホテル・弁当・中食)が台数を支え、大手チェーンの入れ替えが一巡したあとの谷を、周辺機器と保守で埋める。値上げは物価並みに通る。
配当と自社株買いで42%を返し、自己資本は220億円を超えて、資本効率は10%台に乗る。
- 国内(寿司ロボット・周辺機器・保守):数量 5,390(年間の販売台数換算(台。周辺機器と保守を寿司ロボット1台あたりに均した推定))× 価格 0.03(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 135 億円・営業利益 19 億円。国内 5,390 台 × 1 台 251 万円、営業利益率 14%
- 海外(北米・アジア・欧州):数量 4,400(年間の販売台数換算(台。推定))× 価格 0.04(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 176 億円・営業利益 25 億円。海外 4,400 台 × 1 台 399 万円、営業利益率 14%
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.67(moat=strong)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍。全体の PER 17.47 倍、時価総額 447 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新工場が回り、海外が中計どおりに伸びる筋書き。2026年3月期の減益は一時の費用が大きく、稼ぐ力の回復を見込む声は強い。
中立 38% 中立:利益率は10%台に戻り、海外が倍近くに 利益 20 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 2,893 円323 億円
営業利益率は過去12年の山(15%)には届かず、10%前後で落ち着く。2023〜2025年3月期の平均が約11%で、新工場の償却と人件費の上昇を織り込めば、10%台前半が妥当だ。
国内は大手回転寿司の入れ替えが一巡し、台数は5%ほど減る。寿司以外の業態と保守・部品で下支えされる。海外は北米と東アジアを軸に台数が1.9倍。価格は物価並みの1.34倍を保つ。新工場の償却(27億円を約30年)は年1億円足らずと軽いが、現在の設備は取得時の値段のまま減価償却されるため、物価で利益が膨らむ分が見かけの利益を押し上げる。
配当は総還元性向30%以上の方針を超えて45%を返し、自己資本は200億円を超える。
- 国内(寿司ロボット・周辺機器・保守):数量 5,225(年間の販売台数換算(台。周辺機器と保守を寿司ロボット1台あたりに均した推定))× 価格 0.02(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 127 億円・営業利益 17 億円。国内 5,225 台 × 1 台 244 万円(物価 1.34 倍)、営業利益率 13%
- 海外(北米・アジア・欧州):数量 3,800(年間の販売台数換算(台。推定))× 価格 0.04(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 148 億円・営業利益 19 億円。海外 3,800 台 × 1 台 391 万円、営業利益率 12.5%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.4% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.67(moat=strong)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍。全体の PER 16.22 倍、時価総額 323 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去12年の営業利益率の平均(約11%)に戻り、海外が着実に伸びる普通の筋書き。堀は深いが、国内は成熟しているので強気にも弱気にも寄せない。
やや悲観 22% やや悲観:国内の台数が減り、利益率は10%に届かない 利益 10 億円 · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 966 円108 億円
国内の寿司チェーンの出店が止まり、台数は15%減る。回転寿司の大手が自社設計の機械を内製する動きや、低価格の海外製機が中小店で使われはじめ、値上げが通りにくくなる。国内の価格は物価の伸びに届かない。
海外は1.5倍に伸びるが、為替が一定でも現地の競合(中国・韓国の機械)が値下げを仕掛け、利益率は9%止まり。新工場の償却と固定費は残るので、売上が伸びても利益は増えにくい。10年後の営業利益は14億円前後で、今の水準に毛が生えた程度に終わる。
配当は総還元性向30%以上の方針を守るため、利益が減っても還元を維持しようとして、自己資本の積み上がりは遅くなる。この筋書きでは、会社が自社株買いに回す余裕は小さい。
- 国内(寿司ロボット・周辺機器・保守):数量 4,675(年間の販売台数換算(台。周辺機器と保守を寿司ロボット1台あたりに均した推定))× 価格 0.02(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 109 億円・営業利益 11 億円。国内 4,675 台 × 1 台 233 万円、営業利益率 10%
- 海外(北米・アジア・欧州):数量 3,000(年間の販売台数換算(台。推定))× 価格 0.04(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 109 億円・営業利益 10 億円。海外 3,000 台 × 1 台 364 万円、営業利益率 9%
倍率:ROE 約6%で k 7.25%を下回る。上限は 1÷k=13.3 倍、RONIC が k に近く正当化 PER はそれ以下。中立(13 倍)より下げて 11 倍に置いた。
確率:国内の飲食店数の減少と、競合の低価格機の追い上げで、利益率が戻りきらない筋書き。2026年3月期の悪化が尾を引く。
悲観 10% 悲観:大手が内製と低価格機に流れ、国内の稼ぎが消える 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 705 円79 億円
国内の主要顧客が機械を内製・共同開発へ切り替え、台数は35%減る。残る中小店は低価格機を選び、値上げは通らず価格は10年変わらない。海外も現地メーカーに押され、台数は1.1倍にとどまる。
新工場(27億円)の固定費が売上に見合わず、営業利益は本社費を吸収できずほぼゼロになる。減損で自己資本は減る。価値は稼ぐ力でなく、工場・在庫・売掛金など売れる資産に頼る。
配当は大きく減らされ、総還元は利益の数割にとどまる。それでも、新工場と在庫、売掛金という実物の資産が残るため、価値はゼロに近づかない。
海外の販売網は縮小して主要国に絞り、国内は保守・部品の収益で食いつなぐ。経営は新規投資を止め、現金を守る方向へ切り替える。
- 国内(寿司ロボット・周辺機器・保守):数量 3,575(年間の販売台数換算(台。周辺機器と保守を寿司ロボット1台あたりに均した推定))× 価格 0.02(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 65 億円・営業利益 3 億円。国内 3,575 台 × 1 台 182 万円(値上げなし)、営業利益率 5%
- 海外(北米・アジア・欧州):数量 2,200(年間の販売台数換算(台。推定))× 価格 0.03(1台換算あたりの売上(億円、名目))→ 売上 67 億円・営業利益 2 億円。海外 2,200 台 × 1 台 306 万円、営業利益率 3%
倍率:稼ぐ力が小さい(純利益2億円弱)ので、床は今の自己資本129億円に掛ける。事業を続けたまま工場・在庫・売掛が簿価の約 6 割で評価されるとして 0.61 倍。中立の PBR(約1.2倍)より低い。
確率:シェア8割の国内で、上位の回転寿司チェーンが内製化し、低価格機に切り替える構造的な負け。確率は1割。堀が深い会社なので低めに置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内(寿司ロボット・周辺機器・保守)
回転寿司・スーパー・ホテル・中食工場向けの寿司ロボットと周辺機器、保守・部品。
| 数量年間の販売台数換算(台。周辺機器と保守を寿司ロボット1台あたりに均した推定) | 価格1台換算あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,500 | 0.02 | 100 | 9 |
| 10 年後 中立 | 5,225 | 0.02 | 127 | 17 |
取り方:国内売上約100億円を、中計の実績(国内の寿司ロボット販売約5,500台)で割った推定。周辺機器と保守・部品を含んだ1台換算の売上で182万円。営業利益9億円は全社の営業利益10億円に、本社費の調整-5億円を入れて逆算した。
海外(北米・アジア・欧州)
北米のスーパー・外食、東アジアの日系回転寿司、欧州向けの寿司ロボットと保守。
| 数量年間の販売台数換算(台。推定) | 価格1台換算あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,000 | 0.03 | 58 | 6 |
| 10 年後 中立 | 3,800 | 0.04 | 148 | 19 |
取り方:海外売上58.3億円を、1台換算で約290万円(国内より高い)と置き2,000台とした推定。開示された台数でなく、売上からの逆算。営業利益は全社10億円から国内と調整を引いた残り。
リスクと懸念
大手チェーンの内製化
国内の大手回転寿司は、機械を自社で設計・調達する力がある。1社が方針を変えれば、数百台の需要が動く。顧客の集中は、売上159億円の会社には重い。
低価格機の追い上げ
中国・韓国・台湾のメーカーが、価格が半分以下の機械で中小店を取りにくる。品質の差が縮めば、鈴茂の値上げは通りにくくなる。
新工場の固定費
27億円の新工場はライン生産で能力を2倍にした。売上が計画に届かないと、人件費と償却が重くのしかかり、利益率が戻らない。
外食の投資循環
外食産業の設備投資は景気に左右される。2019年3月期と2023年3月期に、営業利益率は9%前後まで落ちた。景気の谷では導入が先送りされる。
資本構成の変化
自社株買いで現金が約26億円減り、借入が増えた。金利が3.5%へ上がれば、利払いが増える。余力が以前より小さい点は押さえておく。
海外の為替と現地競合
海外売上が全体の約4割に達した。為替は150円で固定して見ているが、現地の販売網や関税、現地メーカーの台頭は読みにくい。
今後の分かれ目
- 2027年3月期に営業利益が10億円を上回り、海外が2割以上伸びたら
- 回復の筋書きに確率を寄せてよい。やや楽観以上の確率を上げる。
- 大手チェーンが機械の内製化や他社への切り替えを発表したら
- 悲観・やや悲観の確率を上げる。国内の台数が数百台動くので、利益率の戻りが遅れる。
- 新工場がライン生産で稼働率を上げ、製造原価率が下がったら
- 営業利益率が12%台へ戻る道筋が見える。中立の利益率を上げてよい。
- 中国・韓国製の低価格機が国内の中小店で目立ってシェアを取ったら
- 価格が物価に追いつかなくなる。やや悲観の確率を上げる。
- 北米のスーパーや大手外食チェーンが標準機として採用したら
- 海外の台数が計画を超える。楽観の確率を上げてよい。
見ておくもの
- 四半期ごとの営業利益率(10%への戻り)
- 海外売上の伸び(前期は17.5%増)
- 国内の寿司ロボット販売台数
- 新工場の稼働率と製造原価率
倍率と資本コストの決め方
倍率は正当化 PER の約 8 割(中立 13 倍)に置き、今の株価(PER 約 24 倍・PBR 約 1.1 倍)や同業の倍率は使っていない。今の利益が谷にあるため、今の PER から逆算せず、過去12年の利益率の平均(約 11%)と数量・価格の積み上げで利益を置いた。新リース会計や会計基準の変更は影響が小さく、数字は今の形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 16→18.67 倍・やや楽観 PER 14.5→17.47 倍・中立 PER 13→16.22 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。