結論
ダイキアクシスは、愛媛県松山市の環境・住宅設備の会社だ。浄化槽をつくって工事・保守まで手がけ、住宅設備は卸売りと工事で稼ぐ。さらに太陽光・風力の発電も持つ。筆者の結論は「今の値段は10年の価値に対して割高」。事業は堅いが、株主に残る利益がとても小さい。
売上は483億円と伸びたが、営業利益は13億円、純利益は5億円にとどまる。営業利益のうち、利息と税で大半が消える。海外子会社の赤字に税金の戻りが認められず、税負担率が61%もある。
財務は重い。有利子負債は176億円、自己資本比率は25%。借入契約には「純資産を前期末の75%以上に保つ」「経常損益を2期連続で赤字にしない」という条件が付く。金利が上がると、利払いがさらに利益を削る。実際、営業利益は支払利息の8倍しかない。
会社は中期計画で2027年に純利益11億円を掲げるが、今期の予想は5億円。筆者は、計画の達成を前提にした値付けは危ういと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、ダイキアクシスは「事業の質は普通、資本構造は弱い会社」だ。
良い点は、浄化槽の保守のように、設置後に定期収入が入る事業を持つことだ。景気が悪くても点検は止まらない。
悪い点は三つある。第一に、利益が薄い。営業利益13億円のうち、株主に残るのは5億円。第二に、借入が重い。有利子負債は176億円で、自己資本の1.8倍。金利が上がれば利払いが増え、財務制限条項の余裕が減る。第三に、資金の使い道が不透明で、太陽光やデータセンターなど新規投資が収益に結びつく保証がない。
安全域は狭い。悲観の筋書きでは、売れる資産が負債を下回り、株主の取り分は大きく減る。今の時価総額は、中期計画が達成される前提で見たときにようやく妥当に近い水準だ。
筆者は、利益の質が低い会社を、高い倍率で持ちたいとは思わない。買うなら、純利益が営業利益の半分以上に回復し、借入が減ってからだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は3つある。いちばん大きいのは環境機器事業で、売上247億円、営業利益19億円。浄化槽や産業排水の処理装置を開発・製造・施工・保守まで一貫して行う。建物の清掃や設備点検も手がける。地下水を飲める水にする事業は、10年契約で売り上げる。
次が住宅機器事業で、売上206億円。ゼネコン、ハウスメーカー、ホームセンターに、キッチン、ユニットバス、トイレなどを卸す。TOTOからの仕入れが仕入全体の23%を占める。外壁や空調、冷凍冷蔵設備の工事も行う。
再生可能エネルギー事業は売上24億円。太陽光の売電が193件、企業向けの電力供給契約(PPA)が36件、風力が35か所。廃食油からつくるバイオディーゼル燃料と、グリーンデータセンターも手がける。
最大の販売先はDCMグループで、売上の約13%。DCMは親会社だったが、2005年に資本関係を解消した。
従業員は連結で1,088人で、営業所は愛媛から中国・四国、全国に広がる。環境機器が758人と最も多い。住宅機器の売上は中国・四国に集中する。設備投資は年20億円で、太陽光が大半を占める。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、環境機器の保守と工事にある。浄化槽は設置したあと、点検と清掃が法律で義務づけられ、同じ顧客から定期的に収入が入る。製造から施工、保守まで一貫して行える会社は少ない。
ただし、堀は部分的だ。売上の4割を占める住宅機器は、メーカー品の卸で、TOTOの製品への依存が大きい。ホームセンター向けはDCMが主で、価格競争にさらされる。再生可能エネルギーは設備投資の負担が重い。
利益率は低い。営業利益率は過去10年で1.6%から3.4%の間。今期は2.6%。純利益はさらに小さく、自己資本利益率は4.8%、過去10年の中央値は6.6%にとどまる。
財務は弱い。純有利子負債は101億円で自己資本とほぼ同額。営業利益は支払利息の8倍。借入契約に財務制限条項が付き、業績が悪化したときの余裕は小さい。
経営は事業を広げることに積極的で、水熱処理やデータセンターなど新しい事業に投資している。ただ、それが株主に残る利益に結びついているかは、まだ見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
商売は国内の人口減少に逆らう形だ。浄化槽は下水道が届かない地域の設備で、新築の数は人口とともに減っていく。一方、古くなった単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への切り替え、点検・清掃の義務、地下水を使う飲料化の需要は続く。数量は新設が細り、保守が支える。
住宅機器は、新築住宅の数が減る流れの中で、リフォームの需要が下支えする。ただ、ホームセンターは価格に厳しく、卸の利ざやは薄い。TOTOなどメーカーの値上げをどこまで売値に移せるかが利益率を左右する。
再生可能エネルギーは、売電の単価が固定される太陽光・風力と、企業向けの電力供給契約が中心。電気料金の上昇が追い風になる一方、固定価格の期間が終わると収益は読みにくくなる。データセンターの電力需要が伸びる、という期待はあるが、同社の事業はまだ小さい。
競合は、浄化槽ではクボタ、積水化学などの大手がある。住宅設備の卸は地域ごとに多数の業者がある。同社は愛媛を中心に、中国・四国で強い。
物価が上がれば売上は名目で増えるが、人件費と借入の金利も同じく上がる。
資本政策と M&A
配当は年2回で、今期の予想は前期と同じ水準。純利益の約7割にあたり、利益の割に高い。配当性向が高いのは、純利益が小さいからだ。会社の中期計画は、ROEを3.7%から9.6%へ上げることを掲げている。
資金の使い道は設備投資が中心。前期の設備投資は20億円で、太陽光の発電所に13億円、データセンターに2億円を使った。投資は借入と社債で賄い、有利子負債は176億円に増えた。営業のキャッシュフローは19億円で、投資の29億円には届かなかった。
財務制限条項は、純資産を直前期末の75%以上に保つこと、経常損益を2期連続で赤字にしないことの2つ。今は余裕があるが、金利が上がる中で重い。
筆頭株主は、YOUプラニングで議決権の31%。そのほか伊予銀行と愛媛銀行が各4.5%。銀行が株主かつ貸し手という構造で、経営は安定しているが、少数株主への還元を迫る力は弱い。
M&Aは水熱処理、サッシの工事会社などを傘下に入れてきた。のれんの減損が過去にも出ている。筆者は、資本の使い方に規律が足りないと見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ダイキアクシスは、環境という長期のテーマを持つ会社だ。浄化槽は下水道が届かない地域の必需品で、点検と清掃が義務づけられている。地下水の飲料化は10年契約の固定収入で、データセンター向けの電力供給も育ちつつある。
営業利益は前期の10億円から13億円へ増え、今期は14億円を見込む。ROICは3.7%まで回復した。海外の子会社の赤字が減り、税負担率が40%台に下がれば、純利益は営業利益の6割まで戻る。中期計画の純利益11億円が現実味を帯びる。
再生可能エネルギーは、風力35か所、太陽光193件、電力供給契約36件と稼働の基盤が広がった。電気料金が上がる中、PPAの収益は伸びる。グリーンデータセンターは2026年に稼働し、電力需要の伸びを取り込む。
10年後に再生可能エネルギーの売上が2倍以上になり、営業利益率が3.4%まで上がれば、純利益は12億円を超える。配当性向が下がり、借入の返済が進めば、評価の余地は大きい。
慎重な見方
ダイキアクシスは、売上は大きいが、株主に残る利益が小さい。営業利益13億円に対し、純利益は5億円。海外子会社の損失に税金の戻りがなく、税負担率が61%もある。今期の純利益予想も5億円で、中期計画の11億円はほど遠い。計画の背景にある営業利益の伸びも、過去の最高の利益率を超える前提になっている。
財務が重い。自己資本比率は25%と、製造業としては薄い。有利子負債176億円は自己資本の1.8倍で、営業のキャッシュフロー19億円に対して投資が29億円。足りない分を借入で賄い、金利は3.5%へ上がっていく。借入契約には財務制限条項があり、純資産を守れない年には、借入条件が悪くなる。
事業にも弱さがある。住宅機器はTOTOへの依存が大きく、ホームセンター向けは価格に厳しい。新築住宅は人口とともに細る。再生可能エネルギーは設備投資が重く、データセンターは事業としてはまだ小さい。
自己資本利益率は4.8%で、資本コストの9%近くに遠く及ばない。この会社が10年かけて利益を2倍にしても、今の値段はそれを先に織り込んでいる。
どちらに重みを置いたか
筆者は、慎重な見方がかなり強いと判断した。理由は、純利益が営業利益の4割に満たず、借入が重く、金利が上がる環境では株主の取り分が先に削られることだ。強気の根拠である再生可能エネルギーの拡大は、楽観の筋書きに入れた。やや悲観と悲観を合わせて37%と、他社より厚く置いた。税負担の重さは、海外子会社の整理が進まない限り続くと見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 564 円75 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 29 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 263 円35 億円、今との差 −63.7%、 期待の年率 −2.0%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,075 円143 億円 | 53 円7 億円 | +55.9% | +4.5% | 79 円10 億円 |
| やや楽観 | 18% | 860 円114 億円 | 41 円6 億円 | +24.6% | +2.2% | 162 円22 億円 |
| 中立 | 38% | 662 円88 億円 | 30 円4 億円 | −4.3% | −0.4% | 263 円35 億円 |
| やや悲観 | 27% | 263 円35 億円 | 23 円3 億円 | −60.5% | −8.9% | 77 円10 億円 |
| 悲観 | 10% | 113 円15 億円 | 0 円0 億円 | −84.4% | −17.0% | 11 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 564 円75 億円 | 29 円4 億円 | −18.0% | −2.0% | 593 円79 億円 |
今の株価時価総額 723 円96 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 環境機器が伸び、再エネが育ち、税負担も正常化 利益 13 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,075 円143 億円
環境機器は点検・清掃の定期収入と地下水の飲料化が伸び、数量が今の1.15倍に増える。営業利益率は7.8%まで上がる。住宅機器はリフォームが新築の減少を埋め、横ばいで3.4%。
再生可能エネルギーは風力と電力供給契約が育ち、数量2.2倍、営業利益率6.5%になる。価格は物価並みの1.34倍が通る。本社費も1.34倍に増えるが、売上の伸びが吸収し、営業利益は24億円台になる。
海外子会社の赤字が止まり、税負担率が40%台に下がれば、純利益は営業利益の5割まで戻る。会社の中期計画の純利益11億円を上回る。借入の返済も進み、配当も増える。
ただ筆者は、この変化を起こりやすい筋書きとは見ない。
- 環境機器:数量 115(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 3.31(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 380 億円・営業利益 30 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 7.8%
- 住宅機器:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 2.76(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 276 億円・営業利益 9 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 3.4%
- 再生可能エネルギー:数量 220(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.33(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 5 億円。数量 2.20 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6.5%
- その他:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.08(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 143 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:環境機器の保守が伸び、再生可能エネルギーが倍以上になり、税負担も下がる筋書き。条件が重なるため7%。
やや楽観 18% 環境機器は堅調、再エネは伸びるが借入は残る 利益 10 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 860 円114 億円
環境機器は数量が今の1.05倍、営業利益率は7.6%。住宅機器は新築の減少をリフォームで埋め、数量0.97倍で3.4%。再生可能エネルギーは1.8倍で6.2%。
営業利益は20億円、営業利益率は3.0%と今期の2.6%から改善する。ただし本社費も物価で1.34倍に増える。
純利益は10億円と営業利益の5割。税負担はやや下がるが、借入の金利が上がるため、利益の戻りは中途半端にとどまる。配当は純利益の4割程度へ下がる。
新しいデータセンターは稼働するが、電力需要の取り込みは緩やかで、収益に貢献するのは後半になる。
- 環境機器:数量 105(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 3.31(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 347 億円・営業利益 26 億円。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 7.6%
- 住宅機器:数量 97.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 2.76(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 268 億円・営業利益 9 億円。数量 0.97 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 3.4%
- 再生可能エネルギー:数量 180(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.33(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 59 億円・営業利益 4 億円。数量 1.80 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6.2%
- その他:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.08(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 0.0%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 114 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:環境機器の保守と再生可能エネルギーが計画に近づく筋書き。中期計画の営業利益は超えるが純利益は届かないため18%。
中立 38% 環境機器は保守が支え、住宅機器は細り、利益は緩やかに増える 利益 8 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 662 円88 億円
環境機器は新設が細る一方、保守が支え、数量は0.95倍、営業利益率は7.5%。住宅機器は新築住宅の減少で0.95倍、営業利益率は3.3%。再生可能エネルギーは新しい発電所が稼働し、数量1.6倍で6%。価格は物価並みの1.34倍。
本社費は物価で1.34倍の約19億円に増える。営業利益は16億円、営業利益率は2.5%と、過去の最高(3.4%)を下回る。
純利益は7.7億円と営業利益の5割弱。海外子会社の損失が残り、借入の金利が3.5%へ上がるため、過去の中央値(6割)には戻らない。自己資本は126億円へ膨らむが、自己資本利益率は6%程度でkを下回る。
配当は純利益の5割を保つ。借入は設備投資で増減を繰り返し、大きくは減らない。
- 環境機器:数量 95.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 3.31(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 314 億円・営業利益 24 億円。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 7.5%
- 住宅機器:数量 95.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 2.76(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 263 億円・営業利益 9 億円。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 3.3%
- 再生可能エネルギー:数量 160(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.33(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 52 億円・営業利益 3 億円。数量 1.60 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6.0%
- その他:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.08(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 0.0%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.1% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 88 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新築が細る中で保守と再エネが支える筋書き。最も起こりやすいので最大の38%。
やや悲観 27% 住宅機器の利ざやが薄く、金利が利益を削る 利益 3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 263 円35 億円
環境機器は新設の減少が大きく、数量0.85倍、営業利益率は6%に下がる。住宅機器はホームセンターの価格交渉とTOTOの値上げで数量0.85倍、利益率2.5%。再生可能エネルギーは1.3倍で4%。価格は10年で1.30倍。
営業利益は7億円まで落ち、営業利益率は1%台。借入の金利が3.5%へ上がり、利払いと税が営業利益の大半を食う。純利益は3億円にとどまる。
財務制限条項は守れるが余裕は小さい。配当は減り、設備投資は借入の返済に回る。
再生可能エネルギーの設備投資の回収が遅れ、データセンターは赤字が続く。
- 環境機器:数量 85.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 3.21(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 273 億円・営業利益 18 億円。数量 0.85 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 6.5%
- 住宅機器:数量 85.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 2.68(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 228 億円・営業利益 6 億円。数量 0.85 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 2.8%
- 再生可能エネルギー:数量 130(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.32(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。数量 1.30 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 4.5%
- その他:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.08(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 0.0%
倍率:利益が小さく、PERでは測れない。純資産100億円に0.35を掛けた。EVで見ると、純有利子負債101億円を足して営業利益7億円の約19倍で、借金の重い会社としては高く、これ以上の倍率は置けない。
確率:卸の利ざやが薄くなり、金利上昇が利益を削る筋書き。足元の純利益が小さい現実に近いので27%。
悲観 10% 借入条件が悪化し、事業を絞って縮む 利益 −8 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 113 円15 億円
環境機器は数量0.65倍、営業利益率4%まで下がる。住宅機器はホームセンターの再編で0.65倍、利益率1.5%。再生可能エネルギーは設備を売却して1.0倍で2%。価格は物価を移せず10年で1.20倍。
本社費を削っても営業利益は赤字になる。純損失が出て、財務制限条項に触れる。金融機関は借入の条件を厳しくし、設備や子会社の売却で返済する。
配当は止まる。それでも浄化槽の保守は止まらず、事業は小さくなって続く。清算はされないが、売れる資産が負債を下回り、株主の取り分は大きく減る。
銀行が株主でもあるため、倒産は避けられるが、株主への配慮は薄い。
- 環境機器:数量 65.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 2.96(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 193 億円・営業利益 8 億円。数量 0.65 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 4.0%
- 住宅機器:数量 65.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 2.48(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 161 億円・営業利益 2 億円。数量 0.65 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 1.5%
- 再生可能エネルギー:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.29(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 2.0%
- その他:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.07(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 0.0%
倍率:事業の稼ぎはほぼゼロで、売れる資産が値段を決める。今の自己資本96.4億円に0.16を掛けた。
確率:新築の急減、金利上昇、財務制限条項の抵触が重なる筋書き。10%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
環境機器
浄化槽・産業排水処理装置の開発・製造・施工・保守、建物の清掃・設備点検、地下水の飲料化(10 年契約)。
| 数量売上の実質指数(2025/12 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 2.47 | 247 | 19 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 3.31 | 314 | 24 |
取り方:2025/12 期の環境機器セグメント売上 246.8 億円・利益 18.98 億円。台数の開示が無く、売上からの推定(実質の指数 100)。
住宅機器
TOTO などの住宅設備(キッチン・ユニットバス・トイレ)の卸売と、外壁・空調・冷凍冷蔵設備の工事。
| 数量売上の実質指数(2025/12 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 2.06 | 206 | 7 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 2.76 | 263 | 9 |
取り方:2025/12 期の住宅機器セグメント売上 206.3 億円・利益 7.15 億円。推定。
再生可能エネルギー
太陽光(FIT 193 件)・PPA(36 件)・風力(35 か所)・バイオディーゼル燃料・グリーンデータセンター。
| 数量売上の実質指数(2025/12 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.24 | 24 | 1 |
| 10 年後 中立 | 160 | 0.33 | 52 | 3 |
取り方:2025/12 期の再生可能エネルギーセグメント売上 24.3 億円・利益 1.17 億円。推定。
その他
その他の事業。
| 数量売上の実質指数(2025/12 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.06 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.08 | 8 | 0 |
取り方:2025/12 期のその他セグメント売上 5.78 億円・損失 0.22 億円。推定。
リスクと懸念
借入の重さと財務制限条項
有利子負債は176億円で自己資本の1.8倍、自己資本比率は25%。借入契約には「純資産を前期末の75%以上に保つ」「経常損益を2期連続で赤字にしない」という条件が付く。業績が悪化して抵触すれば、借入条件が悪化する。
金利の上昇
借入の平均金利が上がれば、営業利益の多くが利払いに消える。営業利益は支払利息の8倍に過ぎず、金利が3.5%へ上がると純利益はさらに小さくなる。
税負担の重さと海外子会社
税負担率は今期61%と高い。海外子会社の損失に税金の戻りが認められないためだ。この状態が続けば、営業利益が増えても株主に残る利益は増えにくい。
住宅機器の依存と薄い利ざや
住宅機器は売上の4割を占め、TOTOからの仕入が仕入全体の23%。ホームセンター向けは価格に厳しく、最大の販売先DCMグループは売上の約13%。仕入先や販売先の方針変更で、利ざやが削られる。
再生可能エネルギーの設備投資
太陽光・風力・データセンターへの設備投資は借入と社債で賄われ、投資のほうが営業のキャッシュフローより大きい。固定価格の期間が終わると収益が読みにくく、データセンターはまだ小さい。
M&Aとのれんの減損
水熱処理やサッシ工事会社などを傘下に入れてきたが、のれんの減損が出た過去がある。買収の成果が株主の利益に結びついているかは見えにくい。
新築の減少と人口減少
浄化槽の新設、住宅設備ともに、国内の新築数が人口とともに細る。保守とリフォームの伸びが、その減少を埋められるかが鍵だ。
今後の分かれ目
- 税負担率が40%台まで下がる
- 純利益が営業利益の5割以上に戻ったとみて、強気の筋書きの確率を上げる。
- 有利子負債が150億円を下回る
- 財務の重さが和らいだとみて、kの借金分を下げる。
- 財務制限条項に触れる、または借入条件が悪化する
- 悲観の確率を上げ、価値を下げる。
- 環境機器の営業利益率が8%を超える
- 保守の収益力が高まったとみて、中立の営業利益率を上げる。
- 再生可能エネルギーの営業利益が3億円を超える
- 設備投資が収益に結びついたとみて、中立の再エネの利益率を上げる。
- ROEが過去10年の中央値(6.6%)を下回り続ける
- 資本効率が改善せず、高い倍率を付けにくい。
見ておくもの
- 環境機器の営業利益率
- 純利益と税負担率
- 有利子負債と自己資本比率
- 財務制限条項の充足状況
- 中期計画(2027/12期)の進捗
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。kは8.75%で、中立の事業のROEは6%程度とkを下回るため、PERの上限は1÷k=11.4倍。その約8割強の9.5倍に置いた。今の株価や同業のPERは使っていない。中立の営業利益率は2.5%で、過去の最高(3.4%)を下回る。本社費も物価で1.34倍にした。純利益÷営業利益は、税負担の重さと金利の上昇を見て0.48。過去の中央値0.60より低い。減価償却は取得時の値段のままで、物価で増やさず、新設の太陽光は新しい値段で償却が足されるものとした。純有利子負債が時価総額の約1割を超えるため、EV÷営業利益も確かめ、20倍を超えないようにした。借入は新しい金利3.5%で借り換えるものとして純利益に入れた。新リース会計は、賃借料が年1.7億円と小さく、影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→11.43 倍・やや楽観 PER 10→11.43 倍・中立 PER 9.5→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。