結論
シリウスビジョンは、ラベルや包装の印刷物の傷・汚れ・誤植を画像で見つける検査機を作る会社だ。2025年12月期の売上は21億円、営業損失は1.4億円で、国内の画像検査で5.4億円の減損も出した。2026年は再建計画に沿って人員を118人から90人に減らし、研究開発を止め、子会社のウェブインパクトを売却した。中間期は営業利益が1.1億円に戻り、売却益で純利益は3.9億円。現預金は14億円、借入は3億円で、純現金は約11億円と今の時価総額に近い。
問題は、現金に比べて稼ぐ力が薄いことだ。10年で売上が年6.5%縮み、赤字の期が12年で8回あった。再建で費用は絞ったが、研究開発を止めたままでは製品が古くなる。
筆者が中立に置く姿は、出荷が横ばいで営業利益率が4.5%にとどまる形だ。余った現金は価値として足すが、会社が株主に戻す実績が乏しいので、戻る割合を割り引いて数えた。確率は、赤字の期が多かった実績から悲観側に寄せている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、この会社は「現金は買えるが、事業は買いたくない」類の株だ。純現金が時価総額に近く、事業をただ同然で手に入れられる見かけがある。しかし、その事業は10年で売上が縮み、赤字の期が12年で8回あった。再建が成功する保証はない。
現金の価値は確かだが、使い道が問題だ。研究開発を止めたままの利益は一時的で、再開すれば利益が消える。経営が現金を株主に戻す実績も乏しい。現金が事業の赤字に溶けていく例は多い。
反対に、再建で費用が絞られ、国内の主力が堅調なら、小さな利益が積み上がり、現金と合わせて今の時価総額を超える。この会社の10年は、現金を失わずに利益を出し続けられるかで決まる。
安全域は現金にある。ただし現金が10年後も同じ額で残る保証は無く、事業が赤字に戻れば目減りする。事業の質は、バリュー投資が好む堀の強さには届かない。
何で稼ぐ会社か
シリウスビジョンは、印刷物の検査機を作って売る会社だ。主力はラベル印刷向けの検査機「AsmilVision」で、グラビアや軟包装向けの検版機、ボトルやカード向けの検査機もある。大判の版を調べる「S-Scan LNC」は収益源になっている。2025年10月に小型の卓上検査機「S-Comet」を出し、電子基板や半導体の検査にも用途を広げた。2025年11月には、学習なしで傷を見つける AI 検査「Regulus」を出した。
売上は印刷会社と包装メーカーへの機械の販売が中心で、1社が1割を超える客はいない。受注は2025年12月期に19.9億円、期末の受注残は6.7億円だった。保守と消耗の売上が一定ある。中国と ASEAN への展開は縮小の方向だ。
人員は118人から90人になった。再建計画では、役員報酬の削減、事務所の縮小、研究開発の凍結、海外の縮小で販管費を年1.5億円以上減らす。2026年3月にはウェブインパクトの株を売り、利益剰余金の欠損も整理した。大株主は上位でも合計で約37%、創業家の支配はない。
優良さと弱いところ
堀はあるが小さい。印刷の検査は、客の工場に入り込んだ機械と、版や商品ごとの設定のノウハウが切り替えを重くする。国内のラベル印刷に深く入った実績が強みで、2021年から2025年の売上は年7%で伸びた。
一方で、弱みも多い。規模が小さく、欧米の大手(AVT、BST eltromat など)の価格と技術に挟まれる。研究開発は2025年12月期で0.8億円と売上の4%に落ち、再建計画で凍結している。この凍結は短期の利益を作るが、長くは続けられない。海外は縮小し、大きく伸びる市場に出ていない。
財務は強い。自己資本比率は75%で、純現金が厚い。ただし利益の質は悪く、12年で赤字の期が8回、営業利益率は2022年12月期に-30%まで落ちた。経営の目標は復配と流通株式時価総額30億円だが、中期経営計画の数値目標はまだ公表されていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
印刷物の検査機は、印刷機の更新と一緒に動く機械の仕事だ。需要は、ラベル・包装・食品や医薬品の表示の増加と、不良を出せない客の品質要求に支えられる。ラベル印刷の世界市場は2025年に約530億ドルで、年4%前後で伸びるとの推定がある(ただし検査機の市場そのものの数字ではない)。国内は人口が減るので、印刷の量は緩やかに縮む。
検査機の客は印刷会社で、設備投資の波に左右される。印刷機の更新が止まると受注が一気に細り、2022年12月期は売上が17億円まで落ちた。反対に、更新が続く年には売上が大きく伸びる。
競争は、欧米の大手の高価格帯と、アジアの安価な機械に挟まれる構図だ。AI で検査の学習を省く流れは、新しい参入者を呼び込む。電子基板や半導体の外観検査は市場が大きいが、競合も多く、小さな会社が簡単に入れる所ではない。
ラベルや包装の検査は、食品や医薬品の表示の誤りが回収につながるため、客は検査機への投資を節約しにくい。この点は需要の底を支える。
10年の中立は、国内の更新需要が台数を保ち、価格は物価の分だけ上がる形だ。利益率は、競争で薄いままとみる。
資本政策と M&A
資本政策は、守りから始める段階にある。無配が2期続き、会社は復配と流通株式時価総額30億円の達成を目標に置く。自己株式は発行済の約19%を持つが、この中には従業員向けの持株信託の分が含まれる。
貸借対照表は強い。2026年6月末に、現預金14.3億円、投資有価証券3.5億円、借入2.9億円、前受金1.7億円で、純現金は約11億円。ウェブインパクトの売却益と、再建の費用削減で、現金は戻りつつある。ただし事業の稼ぐ力は薄く、現金が増える速さは限られる。
株主に戻す実績は、過去の自社株買いにある。それ以外では、配当は止まり、経営は再建を優先する。研究開発を凍結したまま還元だけを進めるのは難しいので、現金の戻り方は半分より少し上に置いた。株式の希薄化は無く、新リース会計の影響も小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最悪期は過ぎた。2025年12月期に5.4億円の減損と営業損失で膿を出し、2026年は人員を90人に絞り、販管費を年1.5億円以上減らした。中間期の営業利益は1.1億円、売上は前年の約95%でも利益は黒字に戻った。受注は国内の画像検査で前年を上回り、ラベル印刷の設備投資は2025年後半から回復している。
現預金14億円と投資有価証券4億円に対し、借入は3億円しかない。純現金は約11億円で、時価総額に近い。事業を無料で手に入れるのと同じで、再建が少しでも進めば価値が出る。小型機は電子基板にも売れ、学習不要の AI 検査は新しい需要を作る。
通期の営業利益は1.5億円、純利益は5.2億円の予想で、会社の目標は復配と流通株式時価総額30億円だ。再建が実を結べば、30億円は現実的な数字になる。受注の質も悪くない。期末の受注残は6.7億円で、売上の3分の1に当たり、数か月先の売上はすでに見えている。保守と消耗の売上が土台にあり、景気が悪い年でも一定の収入が入る。
慎重な見方
売上は10年で年6.5%縮み、12年で8回赤字を出した。2019年3月期に営業利益率は4.6%だったが、それ以後は-30%から+2.5%の間で揺れ、10年の自己資本利益率の中央値はマイナスだ。2026年の営業利益は、研究開発を凍結して作った利益で、長続きしない。
2026年の純利益5.2億円は、子会社の売却益が3億円あるためで、本業の稼ぎではない。国内の画像検査で5.4億円の減損を出したのは、事業の価値が下がった証拠だ。海外は縮小し、欧米の大手と安価な機械に挟まれて、成長の場が見えない。
現金は厚いが、それは売却益と過去の蓄積で、事業が生んだものではない。再建計画は費用の削減が中心で、売上を伸ばす手が乏しい。人員を2割強減らした会社が、新製品の開発と販売を同時に進めるのは難しい。株主に戻す方針も、復配の目標以外は具体的な数字がない。中期経営計画の数値目標も公表されていない。現金が事業の赤字に使われれば、安全域は消える。
どちらに重みを置いたか
割高。 現金を足すと今の時価総額に近いが、現金は年2%でしか回らず、10年待つ間に価値が目減りする。事業の稼ぐ力は薄く、現金の戻り方も割り引いた。時価総額を大きく超えるのは、利益率が8%に乗って出荷が1.5倍に伸びる強気の筋書きだけだ。確認するのは、研究開発を戻しても営業利益が黒字を保つか、現金が株主に戻るかの二つだ。この二つの動きが、確率の寄せ方を決める。現金の価値は確かだが、事業の価値は薄く、買う側にとっては現金を買う性格が強い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 423 円20 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 46 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 213 円10 億円、今との差 −30.4%、 期待の年率 +4.4%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,190 円56 億円 | 150 円7 億円 | +337.9% | +15.9% | 67 円3 億円 |
| やや楽観 | 15% | 725 円34 億円 | 86 円4 億円 | +164.9% | +10.2% | 122 円6 億円 |
| 中立 | 35% | 457 円21 億円 | 64 円3 億円 | +70.3% | +5.5% | 182 円9 億円 |
| やや悲観 | 28% | 262 円12 億円 | 11 円1 億円 | −11.0% | −1.2% | 76 円4 億円 |
| 悲観 | 17% | 129 円6 億円 | 0 円0 億円 | −58.0% | −8.3% | 22 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 423 円20 億円 | 46 円2 億円 | +53.3% | +4.4% | 469 円22 億円 |
今の株価時価総額 306 円14 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 5% ラベル・電子向けが育ち、利益率が8%に乗る 利益 3 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 1,190 円56 億円
ラベルと包装の印刷設備の更新が続き、主力の検査機の出荷が増える。小型卓上機は電子基板や半導体の検査にも売れ、学習不要の AI 検査は印刷以外の用途も開く。出荷は今の1.5倍の285台相当に伸び、1台あたりの売上も機能の上乗せで実質1割高くなる。売上は45億円と、2019年3月期の49億円に近づく。再建計画で販管費を絞り、研究開発も必要な分だけ戻すため、営業利益率は8%に乗り、営業利益は3.6億円になる。手元の現金は使い道が無く、配当と自社株買いで株主に戻す。会社が目標に掲げた復配と流通株式時価総額30億円は、この筋書きで実現する。海外の縮小は終わっており、国内の収益で成長を支える形である。
- 画像検査機(印刷・包装向けほか):数量 285(出荷台数相当(推定))× 価格 0.16(1台あたり売上(億円、保守含む名目))→ 売上 46 億円・営業利益 4 億円。出荷台数相当285台、1台あたり売上0.160億円(実質+10%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.2% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)16 億円。全体の PER 15.42 倍、時価総額 56 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の主力が回復し、電子基板向けの小型機と学習不要の AI 検査が育つ筋書き。10年売上が縮んできた会社なので、確率は1割に満たない。
やや楽観 15% 国内の主力が堅調で、利益率が6.5%まで戻る 利益 2 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 725 円34 億円
ラベル印刷機の更新に合わせて検査機の出荷が増え、台数は220台相当まで伸びる。価格は機能の上乗せで実質3%高い。売上は33億円、営業利益率は6.5%で営業利益は2.1億円。研究開発を年1億円前後に戻しても、人員を90人に絞った固定費の軽さが効く。小型機と AI 検査は新しい売上を足すが、柱にはならない。配当は少しずつ戻り、手元の現金は残る。2019年3月期に営業利益率が4.6%だった時より高いのは、そのとき重かった海外と子会社の費用が無くなったためである。ただし競合が価格で攻めれば、この水準は維持できない。国内の印刷市場の縮小は、更新需要が支える分だけ緩やかにとどまる。
- 画像検査機(印刷・包装向けほか):数量 220(出荷台数相当(推定))× 価格 0.15(1台あたり売上(億円、保守含む名目))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。出荷台数相当220台、1台あたり売上0.150億円(実質+3%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.4% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)14 億円。全体の PER 13.07 倍、時価総額 34 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再建計画の効果が出て、国内の回復が10年続く筋書き。2026年12月期の予想の数字と整合する上側として1割台半ばを置いた。
中立 35% 台数は横ばいで、利益率は4.5%にとどまる 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 457 円21 億円
出荷は今の継続事業の水準(175台相当)で横ばいになる。印刷市場は縮むが、ラベルと包装は堅く、検査機の更新需要が台数を保つ。価格は物価の分だけ上がり、売上は25億円。営業利益率は4.5%で、営業利益は1.1億円。凍結している研究開発を年1億円ほどに戻すと、再建計画の費用削減の効果は半分ほど消える。海外は小さいままで、利益は国内の主力機と保守で決まる。配当は復配しても小さい。手元の現金は貯まっていくが、会社に使い道が乏しく、株主に戻す割合も低い。2022年12月期の売上17億円、営業赤字5億円のような谷は繰り返さない前提だが、機器の景気の山と谷は残る。
- 画像検査機(印刷・包装向けほか):数量 175(出荷台数相当(推定))× 価格 0.15(1台あたり売上(億円、保守含む名目))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。出荷台数相当175台、1台あたり売上0.146億円(実質+0%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)12 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 21 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の需要は保たれるが、競合の価格攻勢と研究開発の再開で利益率は薄い。最も起きやすい形として3割半ばを置いた。
やや悲観 28% 主力の価格が下がり、利益率は1%にとどまる 利益 0 億円 · PER 6.0 倍 · 株価時価総額 262 円12 億円
検査機の需要は残るが、海外の大手と国内の同業が値を下げ、1台あたりの売上は実質で8%落ちる。出荷も140台相当に減り、売上は19億円。営業利益率は1%で、営業利益は0.2億円しか残らない。研究開発を戻さないと技術が古くなり、戻すと利益が消える。2025年12月期のように、国内の画像検査で減損を出す年もまた来る。手元の現金は積み上がらず、配当も出せない。会社は赤字を避けるが、株主に残るのは事業の稼ぎでなく、現金と資産の残りである。再建計画は第一段階で終わり、成長の筋書きは描けない。新製品は少額の売上にとどまり、国内の主力機の価格下落を補えない。研究開発を絞り続けた結果、製品の競争力が落ちるという悪循環も起きうる。
- 画像検査機(印刷・包装向けほか):数量 140(出荷台数相当(推定))× 価格 0.13(1台あたり売上(億円、保守含む名目))→ 売上 19 億円・営業利益 0 億円。出荷台数相当140台、1台あたり売上0.134億円(実質-8%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:稼ぐ力は小さく ROE は k を大きく下回る。1÷k の約10.5倍から半分近くに割り引いて6倍に置いた。余った現金は別に足し、売れる資産の床で下を押さえた。
確率:競合の価格攻勢と中国・ASEAN での苦戦が続く筋書き。過去12年のうち赤字の期が8回あることから、3割近くを置いた。
悲観 17% 需要が縮み、赤字が続いて現金を使う 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 129 円6 億円
ラベルと包装の印刷機の更新が細り、検査機の出荷は100台相当まで減る。価格は実質で15%下がり、売上は12億円に縮む。固定費は人員を絞っても残り、営業損失は毎年1億円台になる。研究開発を削れば競争力を失い、続ければ現金が減る。前半の黒字は後半の赤字で打ち消され、手元の現金は増えない。国内の画像検査の資産には減損が出て、自己資本は17億円まで下がる。復配は実現せず、優待もない。会社は海外を畳み、国内の保守と一部の主力機に絞って残る。株主に残る分は、現金と売れる資産の残りで決まる。買い手が現れれば、そこで終わる可能性もある。
- 画像検査機(印刷・包装向けほか):数量 100(出荷台数相当(推定))× 価格 0.12(1台あたり売上(億円、保守含む名目))→ 売上 12 億円・営業利益 −1 億円。出荷台数相当100台、1台あたり売上0.124億円(実質-15%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:赤字で稼ぐ力はなく、価値は現金と売れる資産の残りで測る。10年後の自己資本17億円に0.35倍を掛けた。
確率:印刷のデジタル化と中国勢の安値で需要が構造的に縮む筋書き。過去に営業利益率-30%の年があり、1割台半ばを置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
画像検査機(印刷・包装向けほか)
ラベル・グラビア・包装・カード向けの検査機と、保守・消耗。大判の版の検査と小型卓上機、AI 検査もここに含む。
| 数量出荷台数相当(推定) | 価格1台あたり売上(億円、保守含む名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 190 | 0.11 | 21 | −1 |
| 10 年後 中立 | 175 | 0.15 | 26 | 1 |
取り方:開示は単一セグメントで台数は無い。連結売上20.65億円を、検査機1台に保守・消耗を含めた約0.11億円で割った190台相当と置いた(推定)。売上は2026年3月に売却したウェブインパクトの分を含む。営業損失1.41億円は減損(特別損失)の前の数字。
リスクと懸念
設備投資の波
印刷機の更新が止まると検査機の受注が一気に細る。2022年12月期は売上が17億円、営業損失が5億円まで落ちた。
研究開発の凍結
再建の利益は研究開発の凍結で作った面がある。製品が古くなれば競争力が落ち、戻せば利益が消える。
競合の規模
欧米の大手は価格と技術の両面で強く、アジアの安価な機械も増える。シェアの小さな会社は価格を決められない。
現金の使い道
純現金は厚いが、事業の赤字と M&A の失敗で目減りする危険がある。株主への還元の実績も乏しい。
海外の縮小
中国と ASEAN は縮小し、成長の場が国内に絞られた。国内の印刷の量は人口とともに緩やかに縮む。
一回きりの利益
2026年の純利益の予想には、子会社の売却益が約3億円ある。本業の稼ぎと混同すると、実力を高く見誤る。
今後の分かれ目
- 研究開発を年1億円以上に戻しても、営業利益が黒字を保つ
- 再建の利益が一時的でないと分かる。中立より上の筋書きの確率を上げる。
- 修正中期経営計画が数値目標を示す
- 経営の自己評価が見える。出荷と利益率の目標を、中立の置き方と突き合わせる。
- 配当の再開や自社株買いが決まる
- 現金の戻り方が実績に変わり、余った現金の評価を引き上げる。
- 受注残が2期続けて減る
- 需要の細りの先行指標になる。悲観側の確率を上げる。
- 国内の画像検査でまた減損が出る
- 事業の価値の下落が続く証拠で、現金の安全域を割り引いて見る。
見ておくもの
- 受注高と受注残
- 営業利益率と研究開発費
- 現預金と投資有価証券の合計
- 配当・自社株買いの発表
- 新製品(S-Comet、Regulus)の売上
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ず、台数と1台あたり売上、利益率から10年後の利益を積み、k 8.75% と長期成長の式の正当化 PER の約8割、ROE が k 未満なら 1÷k の約8割に置いた。余った現金は事業の利益と別に足し、戻り方を0.75で割り引いた。台数は市場規模の開示が無く推定で、過去の PER や PBR は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→15.42 倍・やや楽観 PER 9→13.07 倍・中立 PER 8.5→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.0% を足して k 8.75%。継続企業の前提の注記は無く、純現金が厚いので、事業が傾いている上乗せ(extra)は置かない。傷みは筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 8.75%。