結論
AKIBAホールディングスは、メモリの仲介と基地局工事、研究向けのコンピュータを束ねた小さな持株会社だ。筆者の結論は割高寄り。今の利益はメモリ高の山にあり、しかも配当を出さずに利益をためている。
2026 年 3 月期は売上が 5 割近く伸び、利益は前の期の 9 倍になった。主因は DRAM の値上がりだ。DDR4 の生産終了と生成 AI 向けの需要で、メモリの値段が跳ねた。仕入れて組んで売る商いなので、値段が上がれば売上も利益も膨らむ。
ただ、この山は続かない。メモリの値段は過去も必ず下りた。前の期には、同じ事業の利益がほぼゼロだった。筆者が見る平常の稼ぎは、今の 9 割前後だ。
もう一つの弱みは資本の使い方にある。会社は借入の返済を優先し、無配を続ける。少数株主に戻らない利益は、ためても価値が増えにくい。HPC と基地局工事という堅い芯はあるが、今の値段は山の利益をそのまま映している。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社を長く持ちたいかと問えば、答えは「いいえ」に近い。
第一に、利益の源が市況にある。メモリの値段は会社が決められず、山の利益は続かない。第二に、堀が無い。顧客が別の仕入れ先に移れば、商いの場は消える。第三に、資本の使い方が見えにくい。無配で利益をためても、その利益が資本コストを超えて稼ぐ先が見えない。
良い点もある。HPC と基地局工事は、小さいながら人と技術で稼ぐ芯だ。メモリの山のうちに借入を返せば、財務は軽くなる。
筆者が見るのは、山の利益で何をするかだ。借入を返したあとに配当を始めるなら、評価は上がる。また買収で事業を足すなら、評価は下がる。
安全域、つまり払う値段と価値の差で見ると、今の値段は山の利益の 8 倍弱だ。平常の利益に戻し、無配で利益が戻らない分を差し引くと、この値段に厚い余裕は無い。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つに分かれる。売上の半分がメモリ・PC 関連、3 割が通信建設テック、1.5 割が HPC、残りが旅館と不動産だ。
主力のメモリ事業は、子会社のアドテックが担う。DRAM や SSD を仕入れ、基板に載せてモジュールに組み、パソコンの組立会社に売る。最大の顧客はマウスコンピューターで売上の 2 割、ユニットコムが 1 割強を占める。いずれも BTO、つまり注文を受けてから組み立てるパソコンの会社だ。利益率は 2% 前後と薄く、メモリの値段が上がる局面でだけ厚くなる。
通信建設テックは、携帯の基地局工事が柱で、ソフトバンクが売上の 14% を占める。再生エネルギーの工事やコンタクトセンター、BPO も手がける。現場の工事は人手が要る仕事で、景気よりも通信会社の投資計画に左右される。
HPC は、大学や研究所向けの計算用コンピュータを組む事業だ。GPU サーバを小口の注文に合わせて設計できる点が強みで、利益率は 1 割と社内で最も厚い。その他は旅館の運営と賃貸で、旅館の取得で前の期に大きくなった。
優良さと弱いところ
優良さを一言で言えば、芯はあるが堀は無い。
メモリ事業は、市況の値段で仕入れて売る仲介の商いだ。顧客は組立会社の 2 社に集中し、値段の交渉力は限られる。過去 12 年で赤字が 4 期あり、利益は市況と共に浮き沈みしてきた。
芯と呼べるのは HPC と基地局工事だ。HPC は大手が手を出しにくい小口の注文に強く、利益率が 1 割ある。基地局工事は人手不足の中で、職人を抱えていること自体が強みになる。ただ、どちらも規模は小さく、ソフトバンク向けのように 1 社への依存も重い。
財務は薄い。自己資本比率は 25% で、純負債がある。会社は無配を続け、借入の返済に利益を回す。自己資本利益率は 20% と高く見えるが、山の利益で膨らんだ数字だ。資本コストは基本より 1.25 ポイント高い 8.75% とみる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業界を動かすのは、メモリの値段、通信会社の投資、研究向けの計算需要の 3 つだ。
メモリの値段は大きく振れる。サムスン電子、SK ハイニックス、マイクロンの 3 社が世界の DRAM をほぼ握り、供給を絞れば値が跳ね、増産すれば崩れる。今は生成 AI 向けの HBM に生産が回り、汎用の DDR4 が生産終了で不足している。この締まりは数年で解ける、というのが過去の繰り返しだ。
パソコンの台数は世界で横ばいに近い。メモリの量は 1 台あたりで増えるが、ビットあたりの値段は下がり続ける。モジュールの 1 個の値段は、平常ならおおむね物価並みに動くとみる。
基地局工事は、5G の投資の山を越えて落ち着いた。次の 6G は 2030 年ごろからで、その間は保守と更新が中心だ。工事の職人は高齢化で減り、単価は上がりやすい。ただ、発注量そのものは通信会社の投資計画しだいで、AKIBA が増やせるものではない。
研究向けの計算需要は AI で伸びる。大学や研究所は GPU を積んだサーバを、予算に合わせて小口で買う。ここでの競合は、デルや HPE といった大手のサーバ会社と、時間貸しで計算を売るクラウドだ。筆者は、小口の設計を手厚くこなせる中小の組立会社に、細いが確かな居場所が残るとみる。
資本政策と M&A
資本政策は、借入の返済が先、還元は後という形だ。2026 年 3 月期も無配で、会社は有利子負債への依存を減らすためと説明する。自社株買いの実績も乏しい。
筆頭株主は個人で 26% を持つ。経営への影響力が大きく、少数株主への還元を急ぐ形にはなりにくい。
成長は買収で作ってきた。メモリのアドテック、HPC、旅館と、事業を足してきた結果、持株会社の中身はばらばらだ。旅館のように本業と関係の薄い買収もある。メモリの山で現金が入る今、次の買収に向かうのか、返済と還元に向かうのかが分かれ目になる。
10 年の還元は、中立で純利益の 15% とみる。借入を減らしたあと、期の半ばに配当を再開する前提だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
メモリの締まりは一時の話ではない。メーカーは生産を HBM に回し、汎用品の増産を渋っている。DDR4 の生産終了で、産業機器や古いパソコンの交換部品は品薄が続く。アドテックはこの品薄の中で、在庫を持つ仲介として値打ちが増す。
HPC は AI の追い風を正面から受ける。大学や研究所は GPU サーバを小口で買い、大手は小口の設計に手間をかけない。AKIBA の利益率 1 割は、この隙間で取れている証拠だ。台数が 2 倍になっても不思議はない。
基地局工事は人手不足で単価が上がる。職人を抱える会社は少なく、通信会社は発注先を守りたい。
利益の山で借入を返せば、財務は一気に軽くなる。2027 年 3 月期の最初の 3 か月だけで、営業利益は前の期の 3 分の 1 に達した。この勢いが 1 年続けば、借入の多くを返せる。
身軽になったあとに配当を始めれば、少数株主にも利益が戻る。今の値段は山の利益の 8 倍弱で、平常に戻っても高すぎはしない。
慎重な見方
今の利益はメモリの値段の山そのものだ。売上が 5 割近く伸びたのに、営業利益率は 4.8% と前の期とほぼ同じ所にある。値段が上がって売上が膨らんだだけで、商いの質が変わったわけではない。
前の期、同じメモリ事業の利益はほぼゼロだった。値段が戻れば利益も戻る。山の利益に倍率を掛けるのは、過去何度も投資家が犯した誤りだ。
商いは仲介で、堀が無い。マウスコンピューターとユニットコムで売上の 3 分の 1 を占め、2 社が別の仕入れ先に移れば終わる。海外のモジュール会社は規模で上回る。
通信建設テックはソフトバンクへの依存が重く、BPO の人月の仕事は AI エージェントに置き換わる。HPC もクラウドの計算サービスと大手のサーバ会社に挟まれる。
何より、会社は無配を続けている。筆頭株主が 26% を持ち、少数株主に利益が戻る道筋は見えない。ためた利益は、また買収に使われるかもしれない。旅館のように本業と縁の薄い買収をしてきた会社だ。山の現金が同じ道をたどれば、10 年後の自己資本は膨らんでも、稼ぎは膨らまない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。メモリの山が続かないことは、過去の記録が示している。前の期の利益がほぼゼロだったことが、何よりの証拠だ。
HPC の伸びは本物だが、全社の利益に占める割合はまだ 3 割にすぎない。確率は中立を軸に、悲観側に 3 割強を置いた。無配という資本の使い方は、少数株主から見た価値の上でも重い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,601 円147 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 148 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 842 円77 億円、今との差 +25.7%、 期待の年率 +10.1%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 3,480 円320 億円 | 351 円32 億円 | +471.8% | +19.0% | 383 円35 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,375 円218 億円 | 226 円21 億円 | +288.2% | +14.5% | 520 円48 億円 |
| 中立 | 37% | 1,685 円155 億円 | 142 円13 億円 | +172.6% | +10.5% | 676 円62 億円 |
| やや悲観 | 21% | 652 円60 億円 | 72 円7 億円 | +8.0% | +0.8% | 152 円14 億円 |
| 悲観 | 12% | 144 円13 億円 | 0 円0 億円 | −78.5% | −14.3% | 17 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,601 円147 億円 | 148 円14 億円 | +160.9% | +10.1% | 1,748 円161 億円 |
今の株価時価総額 670 円62 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% HPC が柱に育ち、メモリも高値が続く 利益 16 億円 · PER 17.8 倍 · 株価時価総額 3,480 円320 億円
AI の計算需要が大学・研究所から一般の企業にまで広がる。AKIBA の HPC は GPU サーバを小回りよく組む力で受注を重ね、納入台数は 10 年で 2.2 倍になる。単価も大型化で物価を少し上回る。
メモリは DDR4 から DDR5 への切り替えが長引き、需給の締まりが繰り返す。モジュールの出荷はゲーミング PC と産業機器向けで 3 割増え、単価は今の高値のまま定着する。
通信建設テックは 6G の準備と再生エネルギーの工事で件数が 1 割増え、人手不足で単価も上がる。
全社の営業利益は 28 億円ほどになり、利益率は 6% 台と過去の最高に近づく。配当も再開し、純利益の 4 分の 1 を戻す。
- メモリ・PC関連デバイス・IoT:数量 1,300(メモリモジュール・部品の出荷(千個/年・推定))× 価格 13,640(1 個あたり平均単価(円・名目))→ 売上 177 億円・営業利益 4 億円。出荷 3 割増・単価は今の高値で定着
- 通信建設テック:数量 2,860(工事・業務の件数(件/年・推定))× 価格 419(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 120 億円・営業利益 7 億円。基地局と再エネ工事が伸びる
- HPC:数量 902(HPC システムの納入(台/年・推定))× 価格 1,397(1 台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 126 億円・営業利益 14 億円。AI の計算需要で台数 2.2 倍
- その他(旅館・不動産):数量 46.2(宿泊・利用(千人泊/年・推定))× 価格 43,845(1 人泊あたり売上(円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。旅館の稼働と単価が上がる
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.8 倍。全体の PER 17.78 倍、時価総額 288 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:HPC の数量が 2 倍を超え、メモリの値段も高いまま、基地局工事も伸びる、の 3 つが重なる必要がある。今の利益はメモリの山なので 1 割にとどめる。
やや楽観 20% HPC が伸び、メモリは平常より少し高い 利益 11 億円 · PER 16.6 倍 · 株価時価総額 2,375 円218 億円
HPC の納入台数は 10 年で 1.7 倍になる。研究向けの GPU サーバは大手が手を出しにくい小口の注文が多く、AKIBA の得意な領分だ。
メモリは値段が山から下りるが、平常より少し高い所で止まる。出荷はゲーミング PC と産業向けで 15% 増える。利益率は 2% 強と、商いの薄さは変わらない。
通信建設テックは基地局工事の件数が横ばいで、BPO の人月の仕事は AI に置き換わって細る。単価は人手不足で物価並みに上がる。
全社の営業利益は 21 億円ほど、利益率は 5% 台に戻る。借入を減らしたあと配当を再開する。
- メモリ・PC関連デバイス・IoT:数量 1,150(メモリモジュール・部品の出荷(千個/年・推定))× 価格 12,958(1 個あたり平均単価(円・名目))→ 売上 149 億円・営業利益 3 億円。出荷 15% 増・単価は平常より少し高い
- 通信建設テック:数量 2,600(工事・業務の件数(件/年・推定))× 価格 410(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 107 億円・営業利益 6 億円。件数横ばい・単価は物価並み
- HPC:数量 697(HPC システムの納入(台/年・推定))× 価格 1,367(1 台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 95 億円・営業利益 9 億円。台数 1.7 倍
- その他(旅館・不動産):数量 44.1(宿泊・利用(千人泊/年・推定))× 価格 42,333(1 人泊あたり売上(円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。旅館が少し伸びる
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.6 倍。全体の PER 16.61 倍、時価総額 186 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:HPC の伸びは研究向けの計算需要という裏付けがあり、起こりやすい。メモリの値段が平常に戻り切らない分も含め 2 割。
中立 37% メモリ高は平常に戻り、HPC と工事で稼ぐ 利益 8 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 1,685 円155 億円
メモリの値段は 2027 年ごろに山を越え、平常の値段に物価を乗せた所へ戻る。モジュールの単価は今より 1 割ほど下がる。出荷は PC 市場の横ばいに沿って 5% 増にとどまり、利益率は 1.8% と薄いままだ。
HPC は研究向けの計算需要で台数が 1.4 倍になり、利益率は 8% と今より少し下がる。大型の案件では大手のサーバ会社と競るからだ。
通信建設テックは基地局工事が横ばいで、BPO が細り、件数は 1 割減る。単価は物価並みに上がる。
全社の営業利益は 15 億円ほど、利益率は 4.7% と今並みだ。無配が長く続いた会社なので、配当の再開は期の半ばで、10 年の還元は純利益の 15% にとどまる。
- メモリ・PC関連デバイス・IoT:数量 1,050(メモリモジュール・部品の出荷(千個/年・推定))× 価格 12,140(1 個あたり平均単価(円・名目))→ 売上 128 億円・営業利益 2 億円。メモリ高が平常に戻る
- 通信建設テック:数量 2,340(工事・業務の件数(件/年・推定))× 価格 401(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 94 億円・営業利益 5 億円。BPO が AI で細り件数 1 割減
- HPC:数量 574(HPC システムの納入(台/年・推定))× 価格 1,337(1 台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 77 億円・営業利益 6 億円。台数 1.4 倍
- その他(旅館・不動産):数量 42.0(宿泊・利用(千人泊/年・推定))× 価格 40,519(1 人泊あたり売上(円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。横ばい・物価並み
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.36 倍、時価総額 121 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:メモリの値段は過去も山のあとに必ず下りた。HPC の伸びと BPO の縮みは開示と業界の流れに沿う。最もありそうな筋書きとして 37%。
やや悲観 21% メモリの谷と顧客の離れで利益が細る 利益 4 億円 · PER 9.1 倍 · 株価時価総額 652 円60 億円
メモリは値崩れの谷が来る。モジュールの単価は今より 15% 下がり、BTO パソコンの組立会社が直接の仕入れを増やして出荷も 1 割減る。利益率は 1% と、ほぼ稼げない。
HPC は大手のサーバ会社が研究向けにも安い標準品を出し、台数は 1 割増にとどまる。利益率は 5% に下がる。
通信建設テックは基地局の投資が一巡し、件数が 2 割減る。単価の上げも物価に届かない。
全社の営業利益は 8 億円台に落ち、利益率は 3% 台だ。配当の再開は遅れ、借入の返済が先になる。
会社は倒れないが、ためた利益は運転資金と借入の返済に消え、少数株主に戻る分は小さい。
- メモリ・PC関連デバイス・IoT:数量 900(メモリモジュール・部品の出荷(千個/年・推定))× 価格 11,594(1 個あたり平均単価(円・名目))→ 売上 104 億円・営業利益 1 億円。値崩れと直仕入れで細る
- 通信建設テック:数量 2,080(工事・業務の件数(件/年・推定))× 価格 383(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 80 億円・営業利益 3 億円。基地局投資が一巡
- HPC:数量 451(HPC システムの納入(台/年・推定))× 価格 1,277(1 台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 3 億円。大手の標準品と競る
- その他(旅館・不動産):数量 39.9(宿泊・利用(千人泊/年・推定))× 価格 39,309(1 人泊あたり売上(円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。旅館の稼働が落ちる
倍率:ROE 3.6% が k 8% 以下なので、上限は 1÷k=11.4 倍。稼ぐ力が資本コストに届かない筋書きなので、上限に引き上げず 8.0 割の 9.14 倍に置いた。
確率:メモリの値崩れは過去に何度も起き、2025/03 期は利益がほぼ消えた。主要顧客 3 社に売上の半分を頼る点も重く、21%。
悲観 12% 商いの場を失い、利益がほぼ消える 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 144 円13 億円
主要顧客のマウスコンピューターやユニットコムが、メモリを海外のモジュール会社から直接仕入れるようになる。AKIBA の出荷は 3 割強減り、単価も下がって利益は出ない。
HPC は大手のサーバ会社とクラウドの計算サービスに客を取られ、台数は 2 割減る。通信建設テックも基地局工事の発注が大手に集まり、件数が 3 割減る。
全社の営業利益は 1 億円台に落ちる。会社は倒れないが、稼ぐ力はほぼ消える。価値は、旅館と賃貸の不動産、それに運転資本から借入を引いた残りで測るしかない。配当は出ず、少数株主は会社の資産の使い道に口を出せない。
- メモリ・PC関連デバイス・IoT:数量 650(メモリモジュール・部品の出荷(千個/年・推定))× 価格 10,912(1 個あたり平均単価(円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 0 億円。顧客の直仕入れで出荷 35% 減・利益なし
- 通信建設テック:数量 1,820(工事・業務の件数(件/年・推定))× 価格 360(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 65 億円・営業利益 1 億円。発注が大手に集まる
- HPC:数量 328(HPC システムの納入(台/年・推定))× 価格 1,197(1 台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。クラウドと大手に客を取られる
- その他(旅館・不動産):数量 37.8(宿泊・利用(千人泊/年・推定))× 価格 36,286(1 人泊あたり売上(円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。旅館は細く残る
倍率:稼ぐ力(純利益÷k)は 7 億円ほどで床にならないため、純現金と売れる資産の税後で測る。今の自己資本 44 億円に約 0.3 倍を掛けた額が床の推定と一致する。
確率:メモリの仲介は顧客が直接仕入れれば要らなくなる商いで、過去 12 年に赤字が 4 期ある。構造的に負ける筋書きとして 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
メモリ・PC関連デバイス・IoT
DRAM・SSD を仕入れてメモリモジュールに組み、BTO パソコンの組立会社や量販に売る。PC 部品の調達代行と IoT 機器の設計も持つ。
| 数量メモリモジュール・部品の出荷(千個/年・推定) | 価格1 個あたり平均単価(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 13,640 | 136 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,050 | 12,140 | 128 | 2 |
取り方:有報のセグメント売上 136.4 億円・利益 3.2 億円。個数は開示がなく、1 個 1.4 万円前後のモジュールとして推定で割った。今の単価は DDR4 の生産終了と生成 AI 需要による DRAM 高で、平常の 1.5 倍ほどに膨らんでいるとみる(前期の売上は 74.7 億円)。
通信建設テック
携帯基地局の工事、再生可能エネルギーの工事、コンタクトセンター・BPO、通信のコンサル。
| 数量工事・業務の件数(件/年・推定) | 価格1 件あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,600 | 300 | 78 | 4 |
| 10 年後 中立 | 2,340 | 401 | 94 | 5 |
取り方:有報のセグメント売上 77.9 億円・利益 3.95 億円。件数は開示がなく、1 件 300 万円前後の基地局工事として推定で割った。売上の 2 割ほどはコンタクトセンター・BPO の人月の仕事とみて、AI エージェント代替でその分の数量を中立で 3 割縮める(全体で 0.9 倍)。主の基地局工事は現場の体の仕事で、ソフトバンク(売上の 14%)向けが柱。
HPC
大学・研究所・企業向けの科学技術計算用コンピュータ(GPU サーバ・クラスタ)の設計・製造・販売。
| 数量HPC システムの納入(台/年・推定) | 価格1 台あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 410 | 998 | 41 | 4 |
| 10 年後 中立 | 574 | 1,337 | 77 | 6 |
取り方:有報のセグメント売上 40.9 億円・利益 4.14 億円。台数は開示がなく、1 台 1 千万円前後の GPU サーバ・小型クラスタとして推定で割った。研究向けの計算需要は AI で実質でも伸びるとみる。
その他(旅館・不動産)
旅館の運営と不動産の賃貸。
| 数量宿泊・利用(千人泊/年・推定) | 価格1 人泊あたり売上(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 42.0 | 30,238 | 13 | 1 |
| 10 年後 中立 | 42.0 | 40,519 | 17 | 2 |
取り方:有報のその他の売上 12.7 億円・利益 1.41 億円(前期の 4.5 倍、旅館の取得による)。不動産の賃料を含めて 1 人泊 3 万円として推定で割った。
リスクと懸念
メモリの値崩れ
今の利益は DRAM の値上がりの山にある。メーカーが汎用品を増産すれば値段は崩れ、前の期のように事業の利益がほぼ消える。在庫を抱えた局面で値が崩れれば、評価損で赤字にもなる。
顧客の集中
マウスコンピューター、ソフトバンク、ユニットコムの 3 社で売上の半分を占める。1 社が仕入れ先を変えるか発注を絞るだけで、数量が大きく落ちる。
AI エージェント代替
通信建設テックのコンタクトセンターと BPO は、人の時間で売る仕事だ。AI エージェントが問い合わせ対応と事務を担えば、この部分の数量は細る。売上の 2 割弱とみて、中立で織り込んだ。
無配と資本の使い方
会社は借入の返済を優先して無配を続ける。筆頭株主が 26% を持ち、少数株主への還元を急ぐ形にはなりにくい。ためた利益が買収に使われ、資本コストを下回る稼ぎに終わるおそれがある。
財務の薄さ
自己資本比率は 25% で、短期の借入が 50 億円ある。メモリの在庫を借入で持つ形なので、値崩れと金利の上昇が重なると、利払いと評価損の両方で利益が削られる。
今後の分かれ目
- DRAM の契約価格が前年を 2 割以上下回る
- メモリの山が終わった合図。やや悲観の確率を上げ、メモリ事業の利益を平常の薄さで見る。
- 借入の返済が進み、配当を再開する
- 少数株主に利益が戻る道ができる。中立の還元を厚くし、評価を少し上げる。
- HPC の売上が 60 億円を超えて利益率 1 割を保つ
- 芯の事業が育っている証拠。やや楽観の確率を上げる。
- 主要顧客の組立会社が仕入れ先を変える
- メモリの数量が落ちる。悲観側に確率を移す。
- 利益の山で大きな買収を決める
- 資本の使い方が見えにくくなる。買収先の稼ぎが資本コストを超えるかで、評価を見直す。
見ておくもの
- DRAM(DDR4・DDR5)の契約価格
- メモリ事業の四半期の利益率
- HPC の売上と受注
- 借入金の残高と配当の再開
- ソフトバンク向けの工事の売上
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や同業の値付けから置かず、10 年後の自己資本利益率と資本コスト 8% から決めた。無配で利益をためるため、10 年後の ROE は資本コストを下回り、中立の上限は 1÷k だ。メモリの今の単価は山とみて、平常に戻す前提で数量と単価を分けた。償却は小さい(工場を持たない)ため、物価で増やさない扱いの影響は軽い。新リース会計の影響も、事務所と旅館の賃借が小さく軽い。今の株価は計算に使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.46→17.78 倍・やや楽観 PER 10.08→16.61 倍・中立 PER 9.71→15.36 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.25% を足して 8.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.00%。