結論
TBグループは、LED 表示機とデジタルサイネージを売る LED&ECO 事業と、POS・電子レジを作る SA 機器事業の 2 本柱の会社だ。売上は 25 億円で、営業損失が 19 期続いている。筆者の結論は「割高」。10 年後の利益が今の時価総額を支える筋書きは、楽観でも描きにくい。
LED の側は伸びている。空港向けの大型ビジョンが取れ、前期の売上は 1 割強伸びた。一方、電子レジは大手が撤退した市場で細り、1.5 億円近い損失を出している。
財務は薄い。自己資本は 5 億円ほどで、利益剰余金は 12 億円のマイナスだ。連結子会社には債務超過の会社もある。今期の第 1 四半期は売上が 3 割近く減り、損失は 1 億円を超えた。
会社は 6 月に第三者割当で 1 億円強を調達した。当面の資金は足りるが、事業が稼ぐ力を取り戻さないかぎり、株主の取り分は増えない。筆者は、黒字化そのものが最初の関門だと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「利益が出ない会社に、先の利益を前提に値段を付けられるか」を問う。答えは、付けられない、である。
19 期の営業赤字は、事業に構造的な問題があることを示す。黒字化の計画は毎年出るが、実績が伴わない。帳簿の自己資本は 5 億円あるが、稼ぐ力が資本コストを下回る会社の帳簿は、割安の根拠にならない。
評価できるのは、LED の大型案件で受注を取れ始めたことだ。ここが数年続けて利益を出せば、見方は変わる。だが筆者は、その証拠が出る前に高い値段を付けることはしない。
資本の使い方でいえば、新株の発行で資金を継ぎ足し、既存の株主が薄まる形が続く。長く持ちたい事業ではない。
安全域の目で見ると、棚卸資産と売掛金が時価総額を上回る点だけは、資産の裏づけとして記しておく。ただ、その回収は事業が続く前提で、売れ残れば値は落ちる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は 2 つある。1 つは LED&ECO 事業で、売上は 15.5 億円。街頭や店舗の LED 表示機、屋内外のデジタルサイネージ、LED 照明を企画・販売する。法人向けの大型ビジョンは、空港の案件も含めて伸びた。
もう 1 つは SA 機器事業で、売上は 9 億円。POS やレジスターの開発・製造・販売のほか、有料放送サービス、医療・健康向けの機器、宿泊施設の運営まで手を広げる。前期はこの側で 1.5 億円近い損失を出した。
最大の顧客はクラウドポイントで、売上の 15% を占める。連結子会社は 9 社と、25 億円の売上に対して多い。複数の子会社が債務超過で、グループの整理が続いている。
販売台数や案件数は開示されない。ここでは LED の納入を年 500 件ほど、1 件あたり 300 万円強と推定した。地方の小型案件が細り、大型の案件が増えるという入れ替わりの途中にある。
グループにはビル賃貸の小さな事業もあるが、売上への寄与は小さい。会社は営業利益率と 1 人あたり生産性を経営指標にしているが、数値の目標は置いていない。
優良さと弱いところ
優良さは「低い」と見る。堀と呼べる強みはまだ見えず、利益の裏づけも無い。
LED 表示機は、中国・台湾の部材が前提の市場だ。価格を決めるのは顧客の入札と競合で、作り手の値決め力は弱い。大型ビジョンは受注が取れた年と取れない年で売上が大きく振れる。
SA 機器の電子レジは、大手が撤退した後の小さな市場を相手にしている。会社は有料放送やヘルスケア機器でストック収益を作る構想を掲げたが、事業化は遅れていると自ら認めている。
経営指標は営業利益率と 1 人あたり生産性だが、数値目標は無く、中期計画の達成実績も無い。19 期の連続赤字は、戦略が実を結ばなかった記録だ。
数少ない評価点は、LED の大型案件で受注の実績が出てきたことと、借入が小さい範囲にとどまることだ。会社は今期、売上 29 億円と黒字を見込むが、第 1 四半期の進みは遅い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
LED 表示機とサイネージの市場は、屋外の広告・案内表示が屋内の映像表示に広がることで、数量は長期にゆるやかに伸びている。ただ中小型の地方案件は、自治体や店舗の予算に左右され、値下がりも続く。
競合は、大型ビジョンでは海外の部材メーカーと、国内の大手電機・看板会社だ。価格は部材の値下がりで下押しされ、差が出るのは据付と保守の力である。
電子レジの市場は、スマホ決済とタブレット型 POS が主流になり、専用機は縮んでいる。大手は撤退し、残る事業者は特定の業種向けの専用機を細かく売る。
新しい動きは、ガチャガチャ向けの電子決済レジのような小さな用途の開拓だ。市場として大きくなる保証は無い。
LED の世界では、部材の中国勢の値下がりが完成品の価格を押す一方、設置と保守は人手でインフレの影響を受ける。作り手が価格を転嫁できるかは、案件ごとの競争の強さで決まる。
筆者は、この領域は大きな資本と部材調達力を持つ側が有利で、小さな専業は案件ごとの受注に頼る構造から抜けにくいと見る。屋外の大型案件では、施工と保守の実績が入札の条件になる。
資本政策と M&A
資本政策は守りというより、延命である。配当は長く無く、自社株買いも無い。
6 月に第三者割当で約 1.1 億円を調達した。株は 85 万株、あわせて新株予約権も出した。割当先はグローイングアップ。株数が増える分は、行使が進めば現在の株主の取り分を薄める。
借入は 4 億円ほどで、現預金 2.6 億円が一部を賄う。金利が上がる局面では、短期借入の借り換えコストが利益を削る。
連結子会社に債務超過の会社があり、事業の一部は譲渡して整理を進めている。前期は投資有価証券の評価損 1.1 億円と減損も出した。
10 年以内に TOB や再編がある確率は小さくないが、価値の評価には使わない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
LED の大型ビジョンは、空港のような大きな案件で受注の実績が付き始めた。前期の LED&ECO は売上が 1 割強伸び、利益も出ている。ここに屋内サイネージを足せば、今の 15 億円の売上は 10 年で倍近くなる余地がある。
電子レジは損失の側だが、ここは事業の整理で穴を塞げる。子会社の一部は既に譲渡した。損失を半分にするだけで、全社の営業利益は黒字に転じる。
会社は今期、売上 29 億円と営業黒字を掲げる。達成できれば、赤字の連続は止まる。
財務の傷も深くはない。借入は 4 億円で、現預金と新たな 1.1 億円の調達で当面は回る。黒字が定着すれば、小さな会社の利益は倍々で伸びる。
さらに、LED の価格は部材の値下がりで下がるが、人件費と据付は物価で上がる。大型案件の据付と保守で差をつければ、利益率は 1 桁後半まで届く。
会社の抱える LED の施工実績は、空港という入札の厳しい場で信用を作った。ここで取れた案件は、次の大型案件の呼び水になる。
慎重な見方
営業損失は 19 期続いた。黒字化の計画は何度も出たが、一度も実現していない。今期の第 1 四半期も売上が 3 割近く減り、損失は 1 億円を超えた。通期の予想は既に遠い。
LED は部材が海外の汎用品で、価格は入札で決まる。大型ビジョンの受注は水ものだ。1 社の顧客が売上の 15% を占め、案件を失えば数字が落ちる。
電子レジは需要が縮む。専用機はスマホ決済に押され、大手が撤退した市場に未来は無い。有料放送とヘルスケアの事業化は遅れ、宿泊施設の運営も本業との相乗効果が見えない。
財務は薄い。利益剰余金は 12 億円のマイナスで、債務超過の子会社を抱える。新株を出すたびに株主は薄まる。
金利が上がれば、短期借入の負担が増え、赤字が資金を食う。このままでは、また次の増資が要る。
中小型の LED 表示機は、地方の店舗と自治体の予算が細り、前期の下落の主因だと会社自身が認めている。大型の案件が取れても、中小型の穴は埋まっていない。
どちらに重みを置いたか
黒字化の実績が 1 度も無い点を重く見て、確率は悲観側に寄せた。LED の大型案件の伸びは評価するが、全社の利益を変えるには規模が足りない。楽観は、LED が倍に伸びて電子レジの損失が消える筋書きで 5% にとどめた。やや悲観と悲観で 45% を置いた。
確率を悲観に寄せた理由は 3 つある。黒字化の実績が無いこと、顧客と案件が集中していること、財務が薄く、赤字が続けば増資で株主が薄まることだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 38 円6 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 13 円2 億円、今との差 −89.0%、 期待の年率 −10.7%(資本コスト 11.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 169 円25 億円 | 7 円1 億円 | +45.0% | +3.8% | 9 円1 億円 |
| やや楽観 | 15% | 86 円13 億円 | 3 円1 億円 | −25.9% | −3.0% | 13 円2 億円 |
| 中立 | 35% | 40 円6 億円 | 0 円0 億円 | −67.1% | −10.5% | 14 円2 億円 |
| やや悲観 | 28% | 8 円1 億円 | 0 円0 億円 | −93.4% | −23.8% | 2 円0 億円 |
| 悲観 | 17% | 3 円0 億円 | 0 円0 億円 | −97.4% | −30.5% | 1 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 38 円6 億円 | 1 円0 億円 | −67.8% | −10.7% | 39 円6 億円 |
今の株価時価総額 121 円18 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 11.5% を下回るほど割高。
楽観 5% LED が倍に伸び、電子レジの損失が消える 利益 2 億円 · PER 10.7 倍 · 株価時価総額 169 円25 億円
空港や商業施設の大型ビジョンの受注が定着し、屋内サイネージも広がる。LED の件数は 1.35 倍、価格は物価並みの 1.34 倍で、売上は 28 億円に届く。
据付と保守で利益率は 9% まで上がる。SA 機器は不採算の子会社を整理し、赤字が消える。
黒字は 10 年にわたって定着し、自己資本は 15 億円ほどに積み上がる。小さな配当も出せる。
連結子会社の債務超過は解消し、グループの整理は完了している。それでも、売上 38 億円の小さな会社である点は変わらない。
大型案件を取れる施工の実績と、屋内サイネージの顧客基盤が、利益率を押し上げる主な理由になる。
- LED&ECO 事業(LED 表示機・サイネージ・照明):数量 675(納入件数(件。推定))× 価格 0.04(1 件あたり売上(億円、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 3 億円。LED 件数 1.35 倍・価格 1.34 倍、利益率 9%
- SA 機器事業(POS・電子レジ・有料放送・ヘルスケア):数量 0.9(事業規模(今を 1))× 価格 12(今の売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。SA 規模 0.90 倍・価格 1.34 倍、利益率 3%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 29.0% が k 11.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 20.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.7 倍。全体の PER 10.7 倍、時価総額 24 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:LED の大型案件が続き、電子レジの損失が消える筋書き。19 期赤字の実績から 5% にとどめた。
やや楽観 15% LED が伸び、電子レジは収支とんとん 利益 1 億円 · PER 9.9 倍 · 株価時価総額 86 円13 億円
LED の件数は 1.15 倍で、価格は物価並み。大型案件が年に数件取れ、売上は 24 億円になる。利益率は 7%。
電子レジは規模が 15% 減り、赤字は止まるが黒字にはならない。
純利益は 1.3 億円ほどで、10 年の合計は 7 億円ほど。自己資本は 12 億円まで戻る。
配当は出さないか、出しても小さい。顧客の集中は残り、最大顧客の動向が数字を左右する。会社の規模はまだ小さく、受注が 1 件落ちると利益が消える。
部材の値下がりが続くため、LED の単価が物価並みに上がるには、据付と保守の売上比率が上がることが条件になる。
- LED&ECO 事業(LED 表示機・サイネージ・照明):数量 575(納入件数(件。推定))× 価格 0.04(1 件あたり売上(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。LED 件数 1.15 倍・価格 1.34 倍、利益率 7%
- SA 機器事業(POS・電子レジ・有料放送・ヘルスケア):数量 0.9(事業規模(今を 1))× 価格 12(今の売上(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。SA 規模 0.85 倍・価格 1.34 倍、利益率 0%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.4% が k 11.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 9.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.9 倍。全体の PER 9.88 倍、時価総額 13 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:LED が伸び、電子レジの損失が止まる筋書き。黒字の実績が無いので 15%。
中立 35% LED は横ばい、電子レジは縮み、薄い黒字 利益 1 億円 · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 40 円6 億円
LED の件数は横ばい。大型の案件が増える分を、地方の小型案件の減りが打ち消す。価格は物価並みの 1.34 倍。利益率は 5%。
電子レジは規模が 4 分の 1 減り、価格は物価に届かず 1.30 倍。整理が進んでも、赤字は小さく残る。
純利益は 0.6 億円ほどで、10 年の合計は 3 億円ほど。自己資本は 8 億円になる。配当は出ない。
人件費と部材費は物価で上がり、利益を押す。借入の借り換えで利息が増え、会社は薄い黒字の維持で精いっぱいになる。
新規に伸ばしたい屋内サイネージとヘルスケアは、小さく上乗せされるにとどまり、全体を動かす規模にはならない。
- LED&ECO 事業(LED 表示機・サイネージ・照明):数量 500(納入件数(件。推定))× 価格 0.04(1 件あたり売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。LED 件数 1.00 倍・価格 1.34 倍、利益率 5%
- SA 機器事業(POS・電子レジ・有料放送・ヘルスケア):数量 0.8(事業規模(今を 1))× 価格 12(今の売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。SA 規模 0.75 倍・価格 1.30 倍、利益率 -3%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.7% が k 11.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 9.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.8 倍。全体の PER 9.81 倍、時価総額 6 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:黒字化には届くが利益は薄い標準の姿。確率の中心。
やや悲観 28% 受注を落とし、赤字に戻る 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 8 円1 億円
LED の件数は 2 割減り、価格は物価に届かず 1.30 倍。入札の競争で利益率は 2% に落ちる。
電子レジは規模が 4 割減り、赤字が残る。全社の営業利益はほぼゼロから赤字になる。受注の細りで、SA 機器の整理も追いつかない。
資金が足りなくなり、新株の発行で 3 億円ほどを調達し、株主は薄まる。自己資本は今より小さく、0.5 億円ほどにやせる。
株主の取り分は、稼ぐ力でなく、棚卸資産と売掛金など持っている資産の価値で測る。LED の大型案件は取れる年と取れない年が分かれ、年によって黒字と赤字を行き来する。
電子レジの顧客の離脱が重なり、ストック収益の構想も実らない。債務超過の子会社の整理損も重い。
- LED&ECO 事業(LED 表示機・サイネージ・照明):数量 400(納入件数(件。推定))× 価格 0.04(1 件あたり売上(億円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。LED 件数 0.80 倍・価格 1.30 倍、利益率 2%
- SA 機器事業(POS・電子レジ・有料放送・ヘルスケア):数量 0.6(事業規模(今を 1))× 価格 11(今の売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。SA 規模 0.60 倍・価格 1.20 倍、利益率 -6%
倍率:純利益はゼロ前後で稼ぐ力に値が付かない。今の自己資本 4.7 億円に PBR 0.25 倍を掛け、売れる資産の税後を床とした。
確率:LED の受注が細り、再び赤字に戻る筋書き。実績に最も近い姿として 28%。
悲観 17% 受注が途絶え、増資を重ねて消える 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 3 円0 億円
大型案件の受注が取れなくなり、LED の件数は 4 割減る。価格は 1.10 倍にとどまる。電子レジは 7 割縮む。
赤字が続き、10 年の純損失は合計 6 億円ほど。増資で 5 億円ほどをつなぐが、希薄化が重なり、自己資本はほぼゼロになる。
債務超過の子会社の整理で追加の損失が出る。事業を縮小するか売却する局面に入る。
TOB や再編の可能性はあるが、事業価値を戻す材料にはならない。顧客の信用を失えば、案件の受注は元に戻らない。
売上は 10 億円ほどまで縮み、固定費の負担が重くのしかかる。人員の整理と拠点の閉鎖が続き、製品の保守を支える人材も流出する。残るのは受注残の消化と、少数の保守契約だけになる。
- LED&ECO 事業(LED 表示機・サイネージ・照明):数量 300(納入件数(件。推定))× 価格 0.03(1 件あたり売上(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。LED 件数 0.60 倍・価格 1.10 倍、利益率 -1%
- SA 機器事業(POS・電子レジ・有料放送・ヘルスケア):数量 0.3(事業規模(今を 1))× 価格 9.86(今の売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。SA 規模 0.30 倍・価格 1.10 倍、利益率 -12%
倍率:構造的に負けた姿。純損失で稼ぐ力に値が付かず、売れる資産が床になる。今の自己資本 4.7 億円に PBR 0.1 倍。
確率:構造的に負ける筋書き。黒字の実績が無く、増資で延命する会社なので 17%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
LED&ECO 事業(LED 表示機・サイネージ・照明)
街頭・店舗・空港などの LED 表示機とデジタルサイネージ、LED 照明を企画・販売する。
| 数量納入件数(件。推定) | 価格1 件あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 500 | 0.03 | 16 | 1 |
| 10 年後 中立 | 500 | 0.04 | 21 | 1 |
取り方:売上 15.54 億円・利益 0.62 億円(有報)。件数は開示が無く、1 件 300 万円強として年 500 件と推定した(推定)。
SA 機器事業(POS・電子レジ・有料放送・ヘルスケア)
POS・レジスターの開発・製造・販売、有料放送サービス、医療・健康機器、宿泊施設の運営。
| 数量事業規模(今を 1) | 価格今の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 8.96 | 9 | −1 |
| 10 年後 中立 | 0.8 | 12 | 9 | 0 |
取り方:売上 8.96 億円・損失 1.45 億円(有報)。台数が開示されず、規模を今を 1 とする指数で置いた(推定)。
リスクと懸念
赤字が続く
営業損失は 19 期続いた。第 1 四半期も売上が 3 割近く減り、損失は 1 億円を超えた。黒字の定着が最初の関門で、増資が重なれば株主は薄まる。
大型案件への依存
空港などの大型ビジョンは受注が水もので、年によって売上が大きく振れる。最大顧客が売上の 15% を占め、1 社を失うと数字が落ちる。
電子レジの縮小
専用レジはスマホ決済とタブレット POS に押され、市場が縮む。SA 機器は前期に 1.5 億円近い損失を出し、ストック収益の構想は遅れている。
債務超過の子会社
連結子会社 9 社のうち複数が債務超過。整理に伴う追加の損失や、親会社の支援の負担が出る恐れがある。
増資による希薄化
6 月に第三者割当と新株予約権で資金を調達した。行使が進めば株数が増え、既存の株主の取り分が薄まる。
金利の上昇
借入は 4 億円ほどで短期が半分を占める。借り換えで利息が増え、薄い利益を削る。
今後の分かれ目
- 今期の通期で営業利益が黒字になったら
- LED の大型案件が利益に出たとみて、楽観・やや楽観の確率を引き上げる。
- 第 2 四半期以降も売上が前年を割ったら
- 受注の落ち込みが続くとみて、やや悲観・悲観を引き上げる。
- 新株予約権の行使が進んだら
- 資金は継がれるが株数が増え、1 株あたりの価値は薄まる。
- SA 機器の損失が半分以下になったら
- 整理が実を結んだとみて、中立の利益率を上げる。
- 債務超過の子会社の整理損が出たら
- 自己資本が削られるため、悲観の確率を見直す。
見ておくもの
- LED&ECO の受注残
- SA 機器の営業損益
- 現預金と借入の差
- 新株予約権の行使状況
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。ROE が k 11.5% を下回る筋書きは、PER の上限が 1÷k = 8.5 倍で、実績が赤字の会社なので中立は 7 割の 6.0 倍にとどめた。悲観側は純現金ではなく売れる資産の税後を床にした。今の株価・過去の倍率は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→10.7 倍・やや楽観 PER 8.5→9.88 倍・中立 PER 8.5→9.81 倍)。
資本コスト 11.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 2.0%。k = 基本 7.5% + quality 2.25% + 上乗せ 2% = 11.75%。