結論
三社電機製作所は、電源機器とパワー半導体の会社だ。筆者の結論は、本質価値が今の時価総額をやや下回る、つまりやや割高というものだ。現金の厚さは評価するが、利益の力が資本の大きさに見合っていない。
稼ぎの柱は電源機器だ。2026年3月期の売上は203億円、利益は20億円。船の充放電装置、金属加工用の電源、無停電電源装置が伸びた。データセンター向けの需要も追い風になっている。
足を引っ張るのはパワー半導体だ。売上は64億円で、営業損失は6億円。在庫調整と中国の鈍化が響いた。会社の中期計画は売上330億円を掲げるが、今期の会社予想は280億円で、届いていない。
純現金は46億円で、時価総額の約3割に相当する。自己資本比率は76%と高い。ただ、資本が大きい割に稼ぎが小さく、ROEは1%台にとどまる。10年を見通しても、資本コストを超える水準は難しい。株主に届く利益が小さいことが、値段の安さを割り引く理由になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い電源の事業と、足を引っ張る半導体を持つ会社」と映る。電源機器は、顧客に頼られる製品で、利益率も約10%を保つ。半導体は、規模で劣り、赤字が続いている。
資本の使い方に、筆者はまだ納得できない。資本が300億円近いのに、純利益は数億円しかなく、ROEは1%台だ。中期計画は売上の目標を外し、ROE10%の目標も遠い。
安全域は、現金にある。純現金は時価総額の約3割で、悲観の筋書きでも一定の価値が残る。しかし、現金は事業の足を引っ張る赤字の半導体に使われ続ける可能性があり、株主に戻るとは限らない。
持ち続けたい会社かと問われれば、半導体の整理が進み、電源機器だけで稼ぐ姿が見えてからだ。それまでは、値段が安いだけでは動かない。現金の厚さだけで判断するのは危うい。
何で稼ぐ会社か
事業は2本ある。売上の76%は電源機器で、金属の表面処理用の電源、船舶内の充放電装置、無停電電源装置、試験・評価用の電源、蓄電池向けのパワーコンディショナーなどを作る。顧客ごとの仕様に合わせるカスタム品が中心だ。
残りの24%は半導体事業で、整流器やサイリスタなどのパワー半導体を作る。建設機械や産業用の機器に使われてきた。主力のパワーモジュールは在庫調整と中国の鈍化で苦戦している。
会社は炭化ケイ素(SiC)のパワー半導体を次の柱にしたい。中期計画では2027年3月期に、SiC製品の売上90億円、全体の約10%を計画した。しかし半導体事業全体の売上は64億円で、計画とは開きがある。
電源機器は、急速充電器、半導体製造装置向けの小型電源、情報インフラ向け電源などへ広げる方針だ。パナソニックとの資本関係は薄まり、三菱重工業が約10%を持つ。
売上の地域別や顧客別の内訳は開示が少なく、案件ごとに受注の波がある。大型の特需案件が入る年は、利益が大きく跳ねる。2024年3月期の営業利益34億円は、その典型だった。
優良さと弱いところ
強みは、顧客の仕様に合わせた電源機器を作る力だ。表面処理用の電源や船舶用の充放電装置では、実績が評価され、一度採用されると他社に替えにくい。電源機器の利益率は約10%を保っている。
弱みは、パワー半導体で規模を持てていないことだ。世界のパワー半導体は、インフィニオンやロームのような巨大企業と、価格を下げる中国勢が押さえる。三社電機の半導体事業は、赤字が長く続いている。
収益力は低い。過去10年のROEの中央値は4%で、2024年3月期の12%は特需の山だった。同期のような大型案件は、その後なくなった。
資本の使い方は、方針は出ているが成果が見えない。ROE10%以上を掲げる中期計画の売上目標は、達成が難しい。持分法投資の損失や減損も出ており、投資の判断力も問われる。自己株は発行済株式の約10%に及ぶ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
電源機器の需要は、2つの流れで支えられる。1つは、AIの拡大に伴うデータセンターの増設だ。電力を安定して供給する無停電電源装置や、高精度の電源が求められる。もう1つは、船舶や工場の電動化、蓄電池の普及だ。
一方、競争は厳しい。電源機器はカスタム品が多く、大手の電機メーカーや専業の電源メーカーが入り乱れる。値段より納期と品質で選ばれる分野もあるが、標準品に近づくほど価格競争になる。
パワー半導体は、電気自動車や再生可能エネルギー向けの成長市場だが、中国勢の供給拡大で値段が下がる。炭化ケイ素は高性能だが、設備投資が重く、小さな会社が勝つのは難しい。
半導体の在庫調整は終わりに近づいている。だが価格の下押しは続き、数量が戻っても利益は戻りにくい。電源機器の成長で、半導体の赤字を埋められるかが10年の軸になる。
船舶の電動化では、船内の充放電装置の需要が伸びる。蓄電池の普及に伴い、パワーコンディショナーの需要も増える。ただし新エネ分野は補助金や政策に左右されやすい。為替が円安に振れると、輸入部品のコストも上がる。
資本政策と M&A
還元は、配当を維持する方針だ。2026年3月期は純利益が小さく、配当は利益を上回った。自己株は発行済株式の約10%に及び、過去に自己株買いも実施してきた。
大株主は三菱重工業(約10%)、合同会社みやしろ、日東工業などだ。パナソニックホールディングスは2022年に約17%を持っていたが、現在は上位に入っていない。持分法の関連会社の損失も出ている。
純現金は46億円で、月商約22億円の運転資金を考えると、全部が余りではない。筆者は、事業に要らない現金を25億円とみる。
償却費は取得価格のまま増えず、設備の更新は物価で膨らむ。更新の投資の方が先に増えるため、利益ほど現金は残らない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
電源機器は、データセンターと電動化の流れに乗っている。2026年3月期は売上が3.6%、利益が12.2%伸び、船舶内の充放電装置や無停電電源装置が好調だった。一度採用されれば替えにくいカスタム品が多く、利益率は10%前後で安定する。
半導体は、在庫調整が終われば数量が戻る。炭化ケイ素の売上を90億円まで伸ばす計画もあり、うまくいけば赤字が黒字に変わる。損失は6億円まで縮小しており、改善の方向は見えている。
資本の面でも伸びしろが大きい。自己資本比率76%で、純現金は46億円ある。自己株買いや配当を増やせば、ROEは大きく上がる。営業利益率が2024年3月期の11%を再び達成すれば、価値は今の2倍になる。
経営が、半導体の整理や外部との提携で変わるきっかけも出ている。
データセンター向けの電源は、AI投資が続く限り需要が積み上がる。船舶の電動化や蓄電池の普及も、長く続く流れである。利益が5割増えれば、株の価値は今の2倍近くになりうる。
慎重な見方
電源機器の利益は、2024年3月期に特需で跳ねたが、その後は落ち着いた。中期計画の売上目標330億円は、会社予想の280億円と大きく乖離している。計画が外れたのは、構造的な問題がある証拠だ。
半導体は赤字が長く続き、解消の見通しが立たない。パワー半導体は中国勢の増産で値段が下がり、日本の中堅メーカーが勝てる分野は狭い。炭化ケイ素に必要な設備投資も重い。
利益は株主に届きにくい。純利益は営業利益の3割にも届かず、持分法の損失や減損まで出た。配当が利益を上回る状態は続かない。純現金は、半導体の赤字補填や更新投資に消える。
悲観の筋書きは、半導体の赤字が拡大し、電源機器も価格競争に巻き込まれて、営業利益が数億円に落ちることだ。
さらに、パナソニック系の資本関係が薄まった今、技術や販売の後ろ盾が弱くなる点も気がかりである。大株主の動きも、需給の重しになりうる。
配当を維持するために現金を取り崩す年が続けば、財務の強さは時間とともに削られていく。
どちらに重みを置いたか
電源機器の安定と純現金の厚さは確かだが、半導体の赤字と中期計画の未達が、確率の重みを悲観の側に寄せた。確率は中立に36%、やや悲観に27%、悲観に13%を置いた。楽観は、半導体が黒字化し電源も伸びる筋書きだが、実績からは薄く、6%と18%にとどめた。結果として、10年の価値は今の時価総額をやや下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,575 円210 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 480 円64 億円)。 今の値に割り戻すと 997 円133 億円、今との差 −6.3%、 期待の年率 +6.8%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,996 円532 億円 | 751 円100 億円 | +346.2% | +16.1% | 285 円38 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,528 円337 億円 | 639 円85 億円 | +197.6% | +11.5% | 570 円76 億円 |
| 中立 | 36% | 1,883 円251 億円 | 526 円70 億円 | +126.4% | +8.5% | 867 円115 億円 |
| やや悲観 | 27% | 532 円71 億円 | 413 円55 億円 | −11.2% | −1.2% | 255 円34 億円 |
| 悲観 | 13% | 449 円60 億円 | 150 円20 億円 | −43.7% | −5.6% | 78 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,575 円210 億円 | 480 円64 億円 | +93.2% | +6.8% | 2,055 円274 億円 |
今の株価時価総額 1,064 円142 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:電源が伸び、半導体が黒字化して利益率が11%に近づく 利益 41 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,996 円532 億円
データセンターと電動化の需要を取り込み、電源機器の台数が1.35倍になる。炭化ケイ素の拡販が進み、半導体は黒字になる。値段は物価に加え、高付加価値品の割合で上がる。
営業利益率は11%に近づき、2024年3月期の山の水準を再び超える。営業利益は約55億円で、今の4倍だ。
配当は増え、自己株買いも再開される。ただし純利益は営業利益の4分の3にとどまる。
この筋書きには、電源機器の特需に近い案件が複数重なる必要がある。実績を踏まえると、起こりにくい。
仮に実現しても、ROEは10%程度で、資本コストをわずかに超える程度にとどまる。それほど資本が大きい会社である。
- 電源機器:数量 5,481(出荷の台数(台))× 価格 670(1台あたりの平均単価(万円))→ 売上 367 億円・営業利益 44 億円。台数1.35倍、高付加価値
- パワー半導体:数量 1,152(出荷の個数(万個))× 価格 0.12(1個あたりの平均単価(万円))→ 売上 138 億円・営業利益 11 億円。個数1.8倍、SiC増
倍率:事業の純利益 41 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.9% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)25 億円。全体の PER 12.47 倍、時価総額 532 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電源機器の成長に、半導体の黒字化が重なる必要がある。中期計画の売上目標を外した実績があり、6%にとどめた。
やや楽観 18% やや楽観:電源が着実に伸び、半導体の赤字が止まる 利益 28 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 2,528 円337 億円
電源機器の台数は2割増え、データセンター向けと船舶向けが柱になる。半導体は在庫調整が終わり、赤字が止まる。
営業利益率は8%台まで上がる。営業利益は約37億円で、2024年3月期の山には届かないが、今の2.7倍にあたる。
配当性向は50%程度を保つ。自己資本は積み上がるが、ROEは8%にとどまる。
半導体の整理が進み、電源機器が主役になる姿である。会社の中期計画が描いた道筋に近いが、時期は遅れる。
営業利益率は8%台に乗るが、純利益は営業利益の4分の3にとどまり、株主に届く利益は思ったほど大きくない。
- 電源機器:数量 4,872(出荷の台数(台))× 価格 670(1台あたりの平均単価(万円))→ 売上 326 億円・営業利益 34 億円。台数1.2倍
- パワー半導体:数量 896(出荷の個数(万個))× 価格 0.12(1個あたりの平均単価(万円))→ 売上 103 億円・営業利益 3 億円。個数1.4倍、赤字が止まる
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)25 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 336 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電源機器の成長が続き、半導体の赤字が縮小すれば、実現しうる姿。電源の実績があり、18%を置いた。
中立 36% 中立:電源は緩やかに伸び、半導体は赤字すれすれ 利益 20 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,883 円251 億円
電源機器の台数は10年で1割増え、売上は物価の分も含めて約300億円になる。半導体は価格の下押しが続き、赤字すれすれにとどまる。
営業利益率は7%台で、過去12年の平均を少し上回る。償却費は取得価格のままで増えない追い風があるが、更新投資で相殺される。
純利益は約20億円。ROEは6%台で、資本コストに届かない。配当は維持され、10年の還元は約70億円になる。
電源機器の伸びは、半導体の価格下落と持分法の損失で打ち消され、株主にとって大きな変化は起きない。
自己資本は積み上がるが、稼ぐ力に比べて資産が重い状態が続く。現金は余っていても、使い道が限られる。
- 電源機器:数量 4,466(出荷の台数(台))× 価格 670(1台あたりの平均単価(万円))→ 売上 299 億円・営業利益 28 億円。台数1.1倍
- パワー半導体:数量 704(出荷の個数(万個))× 価格 0.12(1個あたりの平均単価(万円))→ 売上 81 億円・営業利益 −1 億円。個数1.1倍。値段は中国勢で1.15倍
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)25 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 251 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電源機器は伸びるが、半導体の赤字は残る。中期計画を外した実績を踏まえ、最も確率の高い姿に36%を置いた。
やや悲観 27% やや悲観:電源が価格競争に巻き込まれ、半導体の赤字が残る 利益 8 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 532 円71 億円
電源機器は大手や新興勢との競争で値段が上がらず、台数も5%減る。半導体の赤字は残り、数量は2割減る。
営業利益率は4%台に戻る。営業利益は約12億円まで落ち、純利益は8億円足らずだ。
配当は維持できるが、増配は難しい。純現金は赤字補填と更新投資で目減りする。
純利益は数億円で、配当を維持する余裕は小さい。過去10年の水準に近い姿であり、特別な悲観ではない。電源機器の優位が薄れる点が、前の期の実績との違いである。
データセンター向けの大型案件を取り損ね、標準品に近い電源で値下げ競争に巻き込まれる。
- 電源機器:数量 3,857(出荷の台数(台))× 価格 640(1台あたりの平均単価(万円))→ 売上 247 億円・営業利益 16 億円。台数0.95倍、値段1.28倍
- パワー半導体:数量 512(出荷の個数(万個))× 価格 0.10(1個あたりの平均単価(万円))→ 売上 51 億円・営業利益 −4 億円。個数0.8倍、赤字
倍率:ROEは3%弱でkを大きく下回る。正当化PERは約6倍だが、現金の下支えを考え、約1割上の7.0倍に置いた。
確率:半導体の赤字が続き、電源機器も標準品に近づいて値段が下がる姿。中期計画の未達という実績があり、27%を置いた。
悲観 13% 悲観:電源も競争に敗れ、半導体の赤字が拡大する 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 449 円60 億円
大口顧客が電源機器を内製に切り替え、台数が2割減る。半導体は中国勢との競争に敗れ、赤字が拡大して縮小に追い込まれる。
営業利益は数億円に落ち、稼ぐ力では価値を測れなくなる。価値は現金と売れる資産に頼る。会社の資本は大きく残るが、稼ぐ力が伴わない。
配当は大きく減り、10年の還元は20億円にとどまる。
自己資本比率が高いので、すぐ破綻する姿ではない。しかし事業としては縮小し、現金の使い道に乏しくなる。
電源機器は残るが、規模が縮み、固定費の重さで利益が出にくい。半導体の撤退損も出る。
この場合、営業利益は10億円を割り込み、配当は利益から出せない水準になる。
- 電源機器:数量 3,248(出荷の台数(台))× 価格 600(1台あたりの平均単価(万円))→ 売上 195 億円・営業利益 6 億円。台数0.8倍、値段1.2倍
- パワー半導体:数量 320(出荷の個数(万個))× 価格 0.10(1個あたりの平均単価(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 −5 億円。個数半減、赤字
倍率:稼ぐ力では測れない。純現金の大半と、売れる土地・上場株の税後を合わせた約60億円を、今の自己資本249億円に対して0.24倍とした。
確率:半導体の赤字が拡大し、大口の顧客が電源を内製や他社に移す姿。構造的な負けとして13%を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電源機器
表面処理用電源、船舶内の充放電装置、無停電電源装置、試験用電源など。仕様に合わせるカスタム品が中心。
| 数量出荷の台数(台) | 価格1台あたりの平均単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,060 | 500 | 203 | 20 |
| 10 年後 中立 | 4,466 | 670 | 299 | 28 |
取り方:売上202.8億円、セグメント利益20.3億円は開示。台数は開示が無く、平均単価を約500万円と推定して約4,060台と置いた。
パワー半導体
整流器・サイリスタなどのディスクリート、パワーモジュール、SiC。在庫調整と中国の鈍化で赤字。
| 数量出荷の個数(万個) | 価格1個あたりの平均単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 640 | 0.10 | 64 | −6 |
| 10 年後 中立 | 704 | 0.12 | 81 | −1 |
取り方:売上63.7億円、営業損失6.4億円は開示。個数は開示が無く、平均単価を約0.1万円と推定して約640万個と置いた。
リスクと懸念
半導体の赤字が続く
半導体事業は営業損失が6億円で、長く赤字が続く。在庫調整が終わっても、中国勢の増産で値段が下がり、数量が戻っても利益は戻りにくい。炭化ケイ素の投資が重く、さらに損失が拡大する可能性がある。
中期計画の未達
中期計画は売上330億円を掲げたが、今期の会社予想は280億円だ。計画の未達が続けば、ROE10%の目標も遠のき、経営への信頼が下がる。
電源機器の価格競争
カスタム品が多いが、データセンター向けなど需要の大きい分野には大手や新興の電源メーカーが入る。標準品に近づくほど、価格競争になる。
特需のあとの反動
2024年3月期は大型案件で営業利益率が11%に跳ねたが、その後は落ち着いた。特需に似た案件が続く保証は無い。
持分法の損失と減損
2026年3月期は、持分法の関連会社の損失と固定資産の減損が出た。純利益が営業利益の3割に届かない原因になっている。今後も出れば、利益はさらに圧迫される。
資本の使い方
純現金は厚いが、赤字の半導体の補填に使われ続ける可能性がある。配当は利益を上回る年があり、持続には限界がある。
今後の分かれ目
- 半導体事業が黒字に転換し、2期続いたら
- 中立からやや楽観に確率を移す。電源だけで稼ぐ姿に近づく。
- 電源機器の売上が300億円を超え、利益率が10%を保ったら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。データセンター需要が数量の伸びに変わった証拠になる。
- 半導体事業の縮小や売却が発表されたら
- 赤字の止血として評価するが、売却額と減損の大きさで見直す。
- 2027年3月期の営業利益が会社予想の13億円を下回ったら
- 中立から悲観側へ確率を移す。
- 自己株買いや増配が発表されたら
- 現金が戻る前提を強められる。余った現金の戻り方の評価が上がる。
- 持分法の関連会社の損失がさらに出たら
- 資本の使い方への評価を下げ、純利益の水準を引き下げる。
見ておくもの
- 電源機器の売上・利益率(データセンター、船舶、充電器)
- 半導体事業の営業損益と、SiC製品の売上
- 中期計画の目標との差
- 持分法損益・減損の動き
- 自己株買い・配当の方針
- 三菱重工業など大株主の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は利益ベースで置き、今の株価・過去や同業のPERは使っていない。ROEがkの9.0%に届かないため、正当化PER(RONIC方式、g4%)の約8割に置いた。中立の営業利益率7%台は、電源機器の10%弱と半導体の赤字縮小から積み上げ、過去12年の最高11%(特需)には届かない。減価償却は取得価格のままで増えないとみて、新設備の分だけ増える。新リース会計基準の影響は小さく、10年後の数字は今と同じ形でそろえた。結果は2割あまりの割高だが、株価に寄せて調整してはいない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.47 倍・やや楽観 PER 8.4→11.43 倍・中立 PER 7.6→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に品質+1.5%を足して9.0%。半導体の赤字は筋書きの利益率で表し、k には重ねていない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.75%。