結論
名古屋電機工業は、高速道路や国道に立つ道路情報板(渋滞や事故を知らせる電光掲示板)の専門メーカーだ。企画、製造、設置、保守までを一貫で手がける。筆者の結論は「やや割高」で、理由は純現金の厚さを除くと、稼ぐ力が資本コストに届かないことにある。
2021年3月期から2025年3月期の営業利益率は13〜21%と高く、国や高速道路会社の更新と大型案件が追い風だった。2026年3月期は営業利益が17.5億円と36%減り、2027年3月期の会社予想は6.6億円と、さらに6割減る。工期の延期と原価の見積もりの上昇、人材投資が重なった。
受注残は2026年3月末で約166億円と、売上1年分に近い。需要が消えたのではなく、案件の採算が崩れている。
純現金は75億円と時価総額の5割を超える。ただ、この会社は公共事業の請負で、前受金や工事の引当てを含む。全額が株主のものではない。
筆者は、10年後の中立の営業利益率を8%台に置く。ROEは5%前後で、資本コスト7.25%に届かない。気にするのは、原価の見積もりの外れが一時的か、構造的かだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、名古屋電機工業は「財布は厚いが、稼ぐ力は細い会社」だ。時価総額は自己資本の5割ほどで、純現金も厚い。ただ、稼ぐ力が資本コストに届かない会社では、帳簿の安さは割安の根拠にならない。
株主が受け取れる利益は、純利益から運転資本に回る分を引いた額に近い。工場の設備投資は軽く、成長に必要な現金は少ない。この点は良い。
経営の資本配分は、手堅いが、慎重すぎる面がある。75億円の純現金を、M&Aや新システムに使う方針は示すが、優先順位の決定は2025年度内を目処としており、具体策はこれからだ。現金が積み上がるだけなら、ROEは下がる。
安全域は、純現金と工場の資産にあるが、利益の面では薄い。筆者は、原価の見積もりが安定し、営業利益率が2期続けて10%に戻ると確かめられるまで、割安とは見ない。
何で稼ぐ会社か
事業は道路情報板を中心とする情報提供システムの製造と販売の1本で、売上の約8割が新設・更新の製品、約2割が設置・保守のサービスだ。顧客は国土交通省、高速道路会社、地方自治体などの道路管理者で、公共事業が中心になる。
主力は高速道路や国道の上に立つLED式の道路情報板で、車載や仮設の標識装置も含めて、国内で網羅的に手がける専門メーカーだ。企画、設計、製造、設置、メンテナンスまでを自社でこなす。
利益の出方に特徴がある。製品は案件ごとに入札で決まり、工期が長いため、売上は進捗に応じて少しずつ立つ。受注残が売上の約1年分あり、先の売上は見やすい。一方で、原価の見積もりが後から外れると、その案件の利益が大きく崩れる。2026年3月期の中間期は、売上がほぼ横ばいなのに、営業利益が前年の3.4億円から0.01億円に落ちた。
従業員は連結で約425人。本社と工場は愛知県あま市にあり、全国に10の拠点を持つ。インドにも連絡事務所を置き、関連会社を通じた海外展開を探っている。2026年3月期の売上は173億円、営業利益は17.5億円、純利益は15億円だった。
優良さと弱いところ
優良さを一言で言えば「官公需の専門メーカーで、財務は強いが、案件ごとの採算が不安定な会社」だ。堀、つまり他社がまねできない強みは、道路情報板の実績と保守網にある。
強みは三つある。一つ目は、道路情報板を網羅的に手がける国内唯一の専門メーカーで、国や高速道路会社との長い取引と実績があることだ。二つ目は、設置後の保守・更新で、継続する収益が積み上がることだ。三つ目は、自己資本比率が8割を超え、純現金が75億円あることだ。
弱みも三つある。一つ目は、売上が公共事業に依存し、予算と入札に左右されることだ。二つ目は、案件ごとの原価の見積もりが外れやすく、利益が大きく振れることだ。2026年3月期は、この問題が表に出た。三つ目は、資本効率が低いことだ。ROEは10年の中央値で9.5%だが、現在は6%台、2027年3月期の予想は2%台に落ちる。
過去には、2007年3月期、2009年3月期、2012年3月期、2013年3月期に赤字になった。近年の高い利益率は、この会社の本来の姿というより、更新需要と大型案件が重なった結果と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の道路情報板の市場は、国と高速道路会社、地方自治体の発注で成り立つ。数量は、新しい道路の建設より、設置後15年前後で来る更新と、防災・減災の需要で決まる。国土強靱化の計画で、道路インフラの投資は中長期に堅調と見られる。
一方、道路を新しく造る量は減り、人口減で自治体の予算は細る。価格は入札で決まり、官公需は価格が硬いため、資材と人件費の上昇を転嫁するのに時間がかかる。会社の2026年3月期も、原価の上昇が利益を削った。
新しい需要は、自動運転に対応した道路側の情報提供、災害時の情報板、省力化・安全化の設備にある。会社はこれを「新システム」と呼び、販売比率を10%以上に上げる目標を掲げる。海外は、インドを中心に探っている段階だ。
10年先は、数量が実質で横ばいから微減、価格は物価の分より弱く上がると筆者は見る。追い風は更新と防災、向かい風は人口減と入札の競争、そして原価の上昇になる。大手の電機メーカーや信号機器の会社が、隣接の分野で競合になる可能性もある。ただし道路情報板は、国や高速道路会社の仕様に合わせた専用品で、新規の参入は容易でない。
資本政策と M&A
還元の方針は、配当性向30%以上だ。2027年3月期の配当は、普通配当に会社創立80周年の記念配当を加えて増配の予定で、利益が落ちても配当を引き上げる姿勢を見せている。自己株式は発行済みの3%ほどを持つが、大きな買い戻しは見当たらない。
財務は厚い。純現金は75億円で、時価総額の5割を超え、自己資本比率は82%ある。ただし、公共事業の請負では、受注に伴う前受金や、工事の引当てが現金に含まれる。筆者は、運転資本と将来の投資に要る分を差し引き、余った現金を45億円と置いた。
会社は中計(N-PLAN2026)で、ROE 10%以上とPBR 1倍以上を掲げ、M&Aを含む積極的な投資を方針に挙げる。親会社はなく、大株主の持ち合いも少ない。株主への戻りは、配当性向を超える増配や自己株式の取得が出るかにかかる。現金の戻り方は、まだ実績が乏しいため、0.75を掛けた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は一時的な原価の見積もりの外れに苦しんでいるだけだ。道路情報板の更新と防災の需要は堅く、受注残は約166億円と売上1年分に近い。2026年3月期の売上は173億円で、前期並みを保った。需要が消えたのではない。
2021年3月期から2025年3月期は、営業利益率が13〜21%と高かった。会社は中計で、営業利益率10%以上、新システムの販売比率10%以上を掲げ、実績もある。2027年3月期の第1四半期は、売上が前年から3割以上増え、営業損失も縮んだ。
財務は強い。自己資本比率は82%、純現金は75億円で、時価総額の5割を超える。PBRは0.6倍と、会社の掲げるPBR 1倍以上にはほど遠く、増配や自己株式の取得、M&Aで、資本の使い方が変わる余地は大きい。
10年で見れば、国土強靱化と更新の周期が重なり、新システムが加われば、営業利益率は10%に戻りうる。2027年3月期の会社予想は、慎重に置かれている可能性が高い。
慎重な見方
利益の崩れは、一時的とは言い切れない。2026年3月期の中間期は、売上が横ばいなのに営業利益が3.4億円から0.01億円に落ちた。通期でも営業利益は36%減り、2027年3月期の会社予想は、さらに6割減る。原価の見積もりが外れた案件の影響が、2年続く形だ。
官公需は価格が硬く、入札の競争もある。資材と人件費の上昇を転嫁しにくい。人材投資も費用を押し上げ、利益率の回復には時間がかかる。2021年3月期の営業利益率20.7%は大型案件の効果で、本来の姿ではない。
純現金は厚いが、公共事業の請負で前受金や引当てを含み、全額が株主のものではない。使い道も示されず、ROEが下がる要因になる。2027年3月期のROEは2%台の予想で、資本コストの8.0%を大きく下回る。
中計の売上220億円は、2026年3月期の173億円から遠く、未達が確実だ。新システムやインドの海外展開は、まだ売上の裏づけが無い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。道路情報板の実績と財務の厚さは確かな強みだが、直近の利益の崩れは案件の採算に関わり、構造的な面も否定できない。確率は、中立に4割弱、やや悲観に2割台半ばを置き、悲観を1割強に置いたのは、過去に赤字の期が4回あるからだ。強気の見方が挙げる高い利益率は、大型案件が重なった年のもので、中立の営業利益率は8%台に置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,703 円201 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 480 円57 億円)。 今の値に割り戻すと 1,184 円140 億円、今との差 +0.1%、 期待の年率 +6.3%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,920 円344 億円 | 721 円85 億円 | +207.8% | +11.9% | 255 円30 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,435 円287 億円 | 611 円72 億円 | +157.5% | +9.9% | 548 円65 億円 |
| 中立 | 38% | 2,026 円239 億円 | 509 円60 億円 | +114.3% | +7.9% | 963 円114 億円 |
| やや悲観 | 25% | 820 円97 億円 | 424 円50 億円 | +5.2% | +0.5% | 311 円37 億円 |
| 悲観 | 12% | 713 円84 億円 | 170 円20 億円 | −25.4% | −2.9% | 106 円12 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,703 円201 億円 | 480 円57 億円 | +84.6% | +6.3% | 2,183 円257 億円 |
今の株価時価総額 1,183 円139 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 強靱化投資と新システムが重なり、利益率が2桁で定着する 利益 23 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 2,920 円344 億円
道路管理者の投資は、老朽化した情報板の更新と防災・減災の需要で、実質で今より1割ほど増える。新システムの販売が全体の1割を超え、価格は物価の分を超えて名目で1.38倍になる。工期の管理が改善し、原価の見積もりが大きく外れる案件が減る。
営業利益率は11%で、保守・サービスは14%を保つ。営業利益は30億円ほど、純利益は23億円になる。配当性向は4割を超え、自己株式の取得も加わる。自己資本は350億円台に積み上がり、ROEは7%近くになる。「情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業へ」という会社の構想が、利益率の裏づけを得た姿だ。
- 道路情報板・情報提供システム(新設・更新):数量 112(案件規模の指数(今を100とした実質。国内の道路情報板・標識装置の発注量 × 当社シェア))× 価格 1.86(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 209 億円・営業利益 23 億円。数量 112・価格 1.863(今の 1.38 倍)・営業利益率 11.0%
- 設置・保守・メンテナンスのサービス:数量 110(保守対象の規模の指数(今を100とした実質))× 価格 0.52(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 8 億円。数量 110・価格 0.524(今の 1.38 倍)・営業利益率 14.0%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.3%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)34 億円。全体の PER 13.88 倍、時価総額 344 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国土強靱化の投資が増え、高速道路会社の更新と新システム(防災・自動運転対応)が重なり、会社の経営目標(営業利益率10%以上)が続く筋書き。工期の遅れと原価の上振れが解消する必要があり、1割未満に置く。
やや楽観 18% 更新需要が堅く、原価の上昇を価格に転嫁して利益率を保つ 利益 19 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 2,435 円287 億円
数量は実質で今より5%ほど増える。更新の周期が来た情報板と、地方自治体向けの防災の案件が下支えする。価格は名目で物価の分だけ上がり、1.34倍になる。工期の遅れは残るが、原価の見積もりを早めに織り込むため、期の中で大きく崩れない。保守・サービスは、設置済みの情報板が増えるぶん、安定して伸びる。
営業利益率は10%で、会社が掲げる目標に届く。営業利益は26億円、純利益は19億円ほど。配当性向は4割で、自己資本は330億円台になる。ROEは6%近くで、資本コストにはまだ届かない。大型の案件の利益に頼らず、定常の利益で稼ぐ形になる。
- 道路情報板・情報提供システム(新設・更新):数量 105(案件規模の指数(今を100とした実質。国内の道路情報板・標識装置の発注量 × 当社シェア))× 価格 1.81(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 190 億円・営業利益 19 億円。数量 105・価格 1.809(今の 1.34 倍)・営業利益率 10.0%
- 設置・保守・メンテナンスのサービス:数量 108(保守対象の規模の指数(今を100とした実質))× 価格 0.51(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 55 億円・営業利益 7 億円。数量 108・価格 0.509(今の 1.34 倍)・営業利益率 13.0%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)34 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 287 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:道路情報板の更新と防災の需要が堅く、会社が原価の上昇を入札価格に転嫁できる筋書き。2023年3月期から2025年3月期の営業利益率13〜16%よりは低いが、会社の目標10%に近い。
中立 38% 数量は横ばいで、原価増の影響が残り、利益率が8%台に落ち着く 利益 16 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 2,026 円239 億円
数量は実質で今より2%ほど減る。道路への新規投資は小さく、更新が中心で、人口減で地方自治体の予算も細る。価格は入札の競争と、官公需の価格の硬さで、物価の分より弱い名目1.30倍にとどまる。
営業利益率は製品で8.5%、保守・サービスで12%。今の10%から下がるのは、人材投資の費用と、原価見積もりの上昇が続くためだ。2027年3月期の会社予想(営業利益6.6億円)からは回復するが、2023〜2025年の水準(営業利益23〜28億円)には戻らない。全社の費用は、物価の分だけ増やす。営業利益は19億円、純利益は15億円ほど。
配当性向は4割強で、自己資本は310億円台になる。ROEは5%前後で、資本コストに届かない。純現金は積み上がるが、会社が使い道を示していないため、半分程度が株主に戻ると見る。
- 道路情報板・情報提供システム(新設・更新):数量 98.0(案件規模の指数(今を100とした実質。国内の道路情報板・標識装置の発注量 × 当社シェア))× 価格 1.76(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 172 億円・営業利益 15 億円。数量 98・価格 1.755(今の 1.30 倍)・営業利益率 8.5%
- 設置・保守・メンテナンスのサービス:数量 105(保守対象の規模の指数(今を100とした実質))× 価格 0.51(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 53 億円・営業利益 6 億円。数量 105・価格 0.509(今の 1.34 倍)・営業利益率 12.0%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)34 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 239 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注は高水準でも、工期の延期と原価の上昇が続き、利益率が2021〜2025年の山(13〜21%)から会社の2027年3月期予想(4%)の間で落ち着く筋書き。山の利益率は、大型案件の効果が重なった年のもので、中立には置かない。
やや悲観 25% 原価増が続き、利益率が6%に低迷する 利益 9 億円 · PER 8.4 倍 · 株価時価総額 820 円97 億円
数量は実質で今より8%減る。国と高速道路会社の発注が一巡し、地方自治体の予算も細る。価格は入札の競争で名目1.25倍と、物価の分に届かない。原価の見積もりが大きく外れる案件が続き、営業利益率は製品で6%に下がる。
営業利益は11億円ほど、純利益は8.5億円。保守・サービスは安定して稼ぐが、全体を支え切れない。会社は人材投資を続けるため、費用の増加が利益を圧迫する。2027年3月期の会社予想に近い状態が、一部の年で続く。配当性向は5割に近づき、自己資本は290億円台になる。ROEは3%を割る。純現金は厚いままだが、使い道が示されず、株主への戻りは配当にとどまる。
- 道路情報板・情報提供システム(新設・更新):数量 92.0(案件規模の指数(今を100とした実質。国内の道路情報板・標識装置の発注量 × 当社シェア))× 価格 1.69(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 155 億円・営業利益 9 億円。数量 92・価格 1.688(今の 1.25 倍)・営業利益率 6.0%
- 設置・保守・メンテナンスのサービス:数量 100(保守対象の規模の指数(今を100とした実質))× 価格 0.49(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 49 億円・営業利益 5 億円。数量 100・価格 0.486(今の 1.28 倍)・営業利益率 10.0%
倍率:ROE 約 3%。ROE が k 7.25% 以下なので上限は 1÷k = 12.5 倍。需要と利益率が弱い局面で、上限の 67% の 8.4 倍に置いた。
確率:2027年3月期の会社予想(営業利益率4%)に近い水準が定着し、工期の遅れと人件費の上昇が価格に転嫁できない筋書き。2015年から2017年に営業利益率が1〜4%だった実績があり、中立に近い厚みで置く。
悲観 12% 公共投資が縮み、赤字案件が続く 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 713 円84 億円
数量は実質で2割以上減り、価格も物価の分に届かず、名目1.10倍にとどまる。大型案件の原価が見積もりを超えて膨らみ、赤字案件が出る。製品の営業利益率は1%になり、保守・サービスも人件費の上昇で利益が薄い。競合は価格を下げて受注を取りにくる。会社は、固定費の重い工場と技術者を抱えたまま、稼働率が落ちる。
営業利益はほぼゼロで、純利益は1億円ほど。配当は下限だけになる。純現金は厚いが、少数株主に戻る額は配当に限られる。受注残の消化に伴う前受金や、工事の引当てを考えると、現金の全額は株主のものではない。会社が新システムやインドに投じる費用は回収できず、固定費だけが残る。
- 道路情報板・情報提供システム(新設・更新):数量 78.0(案件規模の指数(今を100とした実質。国内の道路情報板・標識装置の発注量 × 当社シェア))× 価格 1.49(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 116 億円・営業利益 1 億円。数量 78・価格 1.485(今の 1.10 倍)・営業利益率 1.0%
- 設置・保守・メンテナンスのサービス:数量 92.0(保守対象の規模の指数(今を100とした実質))× 価格 0.43(指数1当たり売上(億円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 2 億円。数量 92・価格 0.426(今の 1.12 倍)・営業利益率 5.0%
倍率:稼ぐ力は赤字に近く、床は売れる資産の税後で測る。今の自己資本 240 億円に PBR 0.35 倍を掛けた約 85 億円。floor_assets_why の内訳と同じ額。
確率:道路への投資が縮み、競合の価格攻勢や赤字案件で利益がほぼ出なくなる構造的な負けの筋書き。2007年、2009年、2012年、2013年に赤字になった会社で、1割強を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
道路情報板・情報提供システム(新設・更新)
道路情報板、車載・仮設の標識装置などの製造・設置。売上の約8割。
| 数量案件規模の指数(今を100とした実質。国内の道路情報板・標識装置の発注量 × 当社シェア) | 価格指数1当たり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.35 | 135 | 14 |
| 10 年後 中立 | 98.0 | 1.76 | 172 | 15 |
取り方:会社は製品とサービスの区分を開示しておらず、売上の約8割・営業利益の約8割を製品とみた推定(連結売上 173.1 億円、営業利益 17.5 億円。保守・サービスの比率は外部資料の記述と有報の売上区分から推定)。数量は今を100とした指数で、価格は指数1当たりの売上。10年の価格は、官公需の価格の硬さと入札の競争で、物価の1.34倍より弱く置く。
設置・保守・メンテナンスのサービス
設置後の保守、点検、更新工事。売上の約2割。
| 数量保守対象の規模の指数(今を100とした実質) | 価格指数1当たり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.38 | 38 | 4 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.51 | 53 | 6 |
取り方:売上の約2割・営業利益の約2割を推定で置いた。開示が無いため、保守対象の規模を今を100とした指数にした。設置済みの情報板が増えるほど、保守の対象は増える。連結営業利益 17.5 億円との差 約 -0.7 億円は、全社費用などとみた。
リスクと懸念
案件の原価の見積もりの外れ
長い工期の案件で、原価の見積もりが後から外れると、その案件の利益が大きく崩れる。2026年3月期は、工期の延期と原価の上昇が重なり、営業利益が36%減った。2027年3月期の会社予想は、さらに6割減る。
官公需の予算と入札の競争
売上の大半は国、高速道路会社、地方自治体の発注だ。予算が細れば数量が減り、入札で価格が決まるため、資材・人件費の上昇を価格に転嫁しにくい。
余った現金の使い道が示されない
純現金は75億円と時価総額の5割を超える。会社はM&Aを含む投資を方針とするが、具体策は示されていない。使い道が無ければ、ROEが下がり、現金は株主に戻りにくい。
新システムとインド展開の立ち上がり
新システムの販売比率10%以上や、インドの海外展開は、まだ売上の裏づけが乏しい。費用が先に出て、利益を押し下げる恐れがある。
人手不足と人件費の上昇
設置・保守は現場の人手に頼る。人材投資は今期の費用を押し上げており、人件費の上昇を価格に転嫁できないと、利益率が下がる。
中計の未達
中計の売上220億円は、2026年3月期の173億円から遠く、未達が確実だ。ROE 10%やPBR 1倍の目標も、現状では遠い。
今後の分かれ目
- 営業利益率が2期続けて10%を超えたら
- 原価の外れが解消したと見て、やや楽観の確率を少し増やす。
- 2027年3月期の営業利益が会社予想(6.6億円)を下回ったら
- 原価の問題が構造的と見て、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 受注残が前期末の166億円を下回り、売上の1年分を割ったら
- 数量が縮み始めたと見て、数量を下へ直す。
- 自己株式の取得や大幅な増配で、純現金が60億円を下回ったら
- 現金の戻りが実行されたと見て、戻り方を上へ直す。
- 新システムの販売比率が10%を超えたら
- 新しい柱が育ったと見て、価格と利益率を上へ直す。
- M&Aで50億円超の買収をしたら
- 資本の使い方が変わったと見て、買収の中身で確率を直す。
見ておくもの
- 営業利益率と原価見積もりの修正
- 受注残と受注高
- 新システムの販売比率
- 純現金と還元(配当・自己株式)
- 道路予算(国土強靱化)
- インドなど海外の売上
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROE が資本コスト k 7.25%(基本 7.5% + quality 0.5%)に届かない前提で、正当化 PER の上限(1÷k = 12.5 倍)の 7 割弱〜9 割に置いた。悲観は谷の利益でなく、純現金(前受金・引当てを除き0.75を掛けた額)と工場の簿価の税後(約85億円)で測り、谷の PBR は使っていない。今の株価や PER を見てから決めたわけではない。中立の営業利益率は 8%台で、過去12年の最高(20.7%)より大きく下に置いた。2021〜2025年の13〜21%は、大型案件が重なった年で、中立には置かない。全社の費用は、10年で物価の分だけ増やした。純利益÷営業利益は 0.79 で過去の中央値 0.78 に近い。余った現金は 45 億円に分け、戻り方は 0.75。減価償却は物価で一律には増やしていない。10年後の数字は今と同じ形でそろえた。セグメント別の数量と価格は推定で、誤差が大きい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.2→13.88 倍・やや楽観 PER 10.2→13.79 倍・中立 PER 9.4→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.5% = 8.0%。原価見積もりの外れや新システムの立ち上がりは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.25%。