結論
OSGコーポレーションは、大阪の浄水器と電解水素水生成器の会社だ。本当の稼ぎ頭は機械そのものではなく、一度売った機械に毎年入る交換カートリッジである。筆者の結論は「やや割高」だ。カートリッジの継続収入は良い事業だが、会社はその利益を高級食パンや中華総菜という性質の違う事業に回し、全社の利益を薄めている。
2026年1月期の営業利益は2億円で、売上の3%に届かない。メンテナンス事業だけで4億円を稼ぎ、機器の販売と食品の赤字がそれを食った形だ。会社は2028年1月期に営業利益6億円を見込むが、今期の上期は経常利益が予想の半分にとどまった。
配当の総額は年2億円強で、利益の2倍近くを払っている。株主を大事にする姿勢は確かだが、利益が戻らなければ長くは続かない。10年で見れば、カートリッジの土台は残り、利益率は5〜6%に戻るのが中立の姿だ。それでも今の時価総額をはっきり上回る価値は出てこない。良い事業を持つ会社だからこそ、その使い道に厳しい目を向けたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の中に一つ良い事業がある。家庭に置かれた機械の交換カートリッジだ。客は毎年同じ品を買い、値上げにもあまり逆らわない。売上21億円で4億円を稼ぐこの事業だけなら、喜んで持ちたい。
問題は、その現金の使い道だ。会社は流行の衛生機器、高級食パン、中華総菜と、競争の激しい事業に資金を回してきた。オーナーとして見れば、良い事業の利益が悪い事業で薄められている。配当を利益以上に払うのは善意だが、借入が増えるなら持続しない。
筆者が見方を変えるのは、食品を縮めるか切り離し、全社の営業利益率が5%を超えて定着した時だ。そうなれば、カートリッジの価値がそのまま株主に届く。それまでは、払う値段に安全域は乏しい。カートリッジの価値を認めても、それを薄める事業の損を差し引くと、今の値段はおおむね上限に近い。
何で稼ぐ会社か
事業は4つある。2026年1月期の売上82億円のうち、食品が25億円、水関連機器が22億円、メンテナンスが21億円、水宅配が14億円だ。
水関連機器は、電解水素水生成器、浄水器、次亜塩素酸水などの衛生管理機器、ウォータークーラーを、全国の販売店を通じて家庭や施設に売る。大阪・関西万博では会場の給水機を担い、給水は1,200万回を超えた。機器の販売は景気や流行に左右され、2026年1月期は赤字だった。
メンテナンスは、売った機器の交換カートリッジや添加液だ。機器が家庭に残っている限り、毎年決まった時期に注文が入る。売上の2割強で利益率は19%あり、全社の利益のほとんどをここで稼ぐ。剃刀の刃のような商売と言ってよい。
水宅配は子会社のウォーターネットが営む。ボトル入りの水を家庭や事業所に届ける定期の契約で、利益率は5%に満たない。
食品は2018年に始めた高級食パンの「銀座に志かわ」と、新しく工場を建てた中華総菜だ。食パンのブームは過ぎ、子会社の銀座仁志川は経常赤字だった。総菜の工場は減価償却が先に出ている。
優良さと弱いところ
優良さは二つに分かれる。カートリッジの継続収入は質が高い。機器を置いた家庭は、同じ会社の交換品を買い続けるしかない。切り替えの手間、つまり他社に移る面倒が堀になっている。利益率19%はその証拠だ。
それ以外は質が低い。機器の販売は、日本トリムやパナソニックなど同じ電解水素水を売る相手と競う。衛生管理機器はコロナ禍で特需があり、2021〜2022年に営業利益率12%まで上がったが、特需が去ると2%まで落ちた。食パンも同じように流行で伸びて縮んだ。
資本の使い方には疑問が残る。良い事業で生んだ現金を、ブームに乗った食品に何度も回してきた。その結果、全社のROEは過去10年の中央値で6%弱と、資本コストに届いていない。配当を利益以上に払う姿勢は株主思いだが、借入は約19億円まで増えた。経営が良い事業と悪い事業を見分けて資金を配るまでは、全社の質は上がらない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
家庭用の浄水器と整水器は国内で成熟した市場だ。台数は世帯数とともにゆっくり細る。それでも水への関心は消えない。2024年以降、各地の水道水や地下水で有機フッ素化合物、つまりPFASが見つかり、浄水器の需要を押し上げた。自治体や学校に給水機を置く動きも出ている。ペットボトルを減らしたい企業や施設の需要も追い風だ。
競合は多い。電解水素水では日本トリムが最大手で、パナソニックも売る。浄水器ではクリンスイの三菱ケミカル系や、東レのトレビーノが店頭を押さえる。OSGは販売店を通じた訪問や紹介で売り、カートリッジの交換で客をつなぎ留める形だ。
水宅配は、プレミアムウォーターやアクアクララなど大手が契約を奪い合い、サーバーの無料貸し出しで客を取るので利益は薄い。高級食パンは2020年前後のブームの後、各地で閉店が相次いだ。10年の中立では、機器の台数は横ばい、カートリッジは置かれた台数に沿って少し増え、値段は物価並みと置く。
人口が減っても、水を安心して飲みたい家庭の数はそれほど減らない。むしろ高齢の世帯で、重い水を買わずに済む浄水器の価値は上がる。
資本政策と M&A
配当は1株あたりの額を据え置き、総額は年2億円強だ。2026年1月期の配当性向は195%だった。利益が減っても配当を据え置き、純資産に対する配当の割合は8%を超える。株主優待は今は無い。2021年の創立50周年に一度だけ高級食パンの引換券を配った。
一方で借入は短期を中心に約19億円あり、配当の一部は借りたお金で払っている形だ。食品では食パン、総菜と新しい事業に資金を出してきた。
時価総額は50億円弱と小さく、創業家の影響が強い会社とみられる。カートリッジの継続収入を欲しがる同業や投資会社の買収の的になる可能性はあるが、目立った動きはない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
カートリッジの継続収入は、時価総額の割に過小評価されている。家庭や施設に置かれた機械は数十万台あり、毎年交換の注文が入る。利益率19%のこの事業だけで、年4億円の営業利益がある。値上げも通りやすい。
水への関心は高まっている。PFASの問題で浄水器を付ける家庭が増え、自治体や学校の給水機の案件も広がる。万博で給水を担った実績は、公共の案件で効く。機械が売れれば、その分だけ将来のカートリッジの土台が厚くなる。
食品は底を打った。食パンの店は絞り込みが済み、総菜の工場は償却が先に出ているだけで、稼働が上がれば黒字に向かう。会社は2028年1月期に営業利益6億円を見込む。そこまで戻れば、今の時価総額は利益の10倍余りにすぎない。PFASの関心が続けば、計画の上振れもありうる。今の配当の総額も、利益が戻れば無理のない水準になる。株主を大事にしてきた会社が、利益の回復とともに配当を伸ばす姿は十分に描ける。食品を切り離すだけでも、全社の営業利益は3億円近く増える計算だ。
慎重な見方
良いのはカートリッジだけで、会社はその利益を守るより、流行を追うことに使ってきた。衛生管理機器はコロナの特需で膨らみ、すぐにしぼんだ。高級食パンも同じだ。今度は中華総菜の工場に資金を入れた。経営の資本の配分の癖は変わっていない。
機械の販売は赤字だ。電解水素水では日本トリムが強く、浄水器は店頭の大手に押される。新しく置かれる台数が細れば、10年後のカートリッジの土台も細る。水宅配は大手との競争で利益が薄い。
利益の回復は何度も先送りされてきた。今期の上期の経常利益は予想の半分だった。配当は利益の2倍で、借入が増えている。利益が戻らなければ、減配は時間の問題だ。ROEは長く資本コストを下回っており、帳簿より高い値段を払う理由は乏しい。
食品の店は借りて営んでおり、売上が落ちても家賃は残る。自己資本比率38%という数字は、見かけほど強くない。カートリッジの稼ぎだけで、機器と食品の赤字と配当と利払いを全部まかなうのは無理がある。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。カートリッジの価値は本物で、悲観でもこの土台は残る。ただ、全社の利益を決めるのは機器と食品の赤字で、その改善は計画どおりに進んでいない。確率は中立を中心に、楽観側に2割余り、悲観側に3割を置いた。カートリッジの底堅さがあるので、悲観を厚くし過ぎることはしない。会社の計画が二度三度と先送りされてきた点は重く見て、楽観を1割未満にとどめた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 903 円47 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 395 円21 億円)。 今の値に割り戻すと 638 円33 億円、今との差 −30.1%、 期待の年率 +3.6%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,875 円98 億円 | 574 円30 億円 | +168.3% | +10.4% | 196 円10 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,380 円72 億円 | 498 円26 億円 | +105.6% | +7.5% | 375 円20 億円 |
| 中立 | 40% | 986 円52 億円 | 421 円22 億円 | +54.1% | +4.4% | 563 円29 億円 |
| やや悲観 | 21% | 306 円16 億円 | 306 円16 億円 | −32.9% | −3.9% | 129 円7 億円 |
| 悲観 | 11% | 166 円9 億円 | 153 円8 億円 | −65.0% | −10.0% | 35 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 903 円47 億円 | 395 円21 億円 | +42.1% | +3.6% | 1,298 円68 億円 |
今の株価時価総額 913 円48 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% カートリッジの土台が厚くなる 利益 7 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 1,875 円98 億円
PFASの規制が強まり、浄水器を付ける家庭が増える。自治体や学校、駅に給水機を置く動きが全国に広がり、万博の実績を持つOSGが案件を取る。機器の台数は今の1.5倍になり、その分だけカートリッジの土台が厚くなる。
食品は食パンの店を絞り、総菜の工場の稼働が上がって黒字になる。経営は良い事業に資金を集め、新しい流行は追わなくなる。営業利益は13億円近くに達し、配当は利益の範囲で増える。カートリッジの値上げも物価並み以上に通る。
ROEは17%台に上がり、資本コストを大きく超える。同業や投資会社からの買収の提案も出やすくなり、継続収入の価値が値段に表れる。
- 水関連機器:数量 2.2(機器の販売台数(万台・年、推定))× 価格 20(1台あたりの売上(万円))→ 売上 44 億円・営業利益 3 億円。2.2万台×20万円、利益率6%
- メンテナンス:数量 36.0(交換を続ける設置台数(万台、推定))× 価格 0.95(1台あたりの年間の交換売上(万円))→ 売上 34 億円・営業利益 7 億円。36万台×年0.95万円、利益率20%
- HOD(水宅配):数量 4.0(定期配送の契約数(万件、推定))× 価格 6.40(1契約あたりの年間売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。4万件×6.4万円、利益率8%
- FOOD:数量 110(食パンの店舗と総菜の工場を合わせた拠点数(店、推定))× 価格 0.35(1拠点あたりの売上(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 2 億円。110拠点×3,500万円、利益率4%
倍率:ROE17.6%、k9%。普通の堀でRONIC12.8%、g4%の正当化PERは約17.2倍。カートリッジの質は高いが機器と食品が混ざるので約81%の14倍。
確率:PFASの規制強化と公共の給水機の広がりが重なり、食品も黒字になる姿。条件が多いので確率は低い。
やや楽観 20% 食品が黒字に戻る 利益 5 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,380 円72 億円
PFASの関心で浄水器の台数が少し増え、カートリッジの土台は今より1割ほど厚くなる。食品は食パンの店の整理が終わり、総菜の工場が埋まってわずかな黒字になる。
会社の計画した営業利益6億円には数年遅れて届き、その後は物価に沿って伸びる。10年後の営業利益は10億円近い。配当は今の額から少しずつ上がり、利益の6〜7割に収まる。借入は増えなくなり、ROEは15%前後になる。良い事業の利益が株主に届き始める姿だ。
それでも機器の販売は競争が厳しく、利益率は5%に届かない。カートリッジの稼ぎが全社を引っ張る形は変わらない。
- 水関連機器:数量 1.9(機器の販売台数(万台・年、推定))× 価格 20(1台あたりの売上(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。1.9万台×19.7万円(物価1.34倍)、利益率4.5%
- メンテナンス:数量 33.0(交換を続ける設置台数(万台、推定))× 価格 0.94(1台あたりの年間の交換売上(万円))→ 売上 31 億円・営業利益 6 億円。33万台×年0.94万円、利益率19%
- HOD(水宅配):数量 3.6(定期配送の契約数(万件、推定))× 価格 6.30(1契約あたりの年間売上(万円))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。3.6万件×6.3万円、利益率7%
- FOOD:数量 105(食パンの店舗と総菜の工場を合わせた拠点数(店、推定))× 価格 0.34(1拠点あたりの売上(億円))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。105拠点×3,400万円、利益率2.5%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.1% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.36 倍、時価総額 72 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の2028年1月期の計画が少し遅れて実現する姿。カートリッジの土台が堅いので中立の次に厚くした。
中立 40% カートリッジが支え、食品は小さく残る 利益 4 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 986 円52 億円
浄水器と整水器の台数は横ばいで、カートリッジの土台はわずかに厚くなる。値段は物価並みに上がり、メンテナンスの利益率は18%前後を保つ。
食品は食パンの店をさらに絞り、総菜は工場の稼働が上がって赤字が消える程度だ。水宅配は大手との競争で利益率6%前後にとどまる。全社の営業利益は7億円台で、売上の6%台に戻る。過去の山の12%には届かない。
配当は今の額を保つが、増配の余地は小さい。借入の利払いは金利の上昇で少し重くなる。ROEは12%台に戻り、資本コストを上回るが、良い事業の稼ぎが食品で薄まる形は残る。新しい流行に資金を回す癖も消えない。
- 水関連機器:数量 1.6(機器の販売台数(万台・年、推定))× 価格 20(1台あたりの売上(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。1.6万台×19.7万円(物価1.34倍)、利益率3%
- メンテナンス:数量 31.0(交換を続ける設置台数(万台、推定))× 価格 0.94(1台あたりの年間の交換売上(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 5 億円。31万台×年0.94万円、利益率18%
- HOD(水宅配):数量 3.3(定期配送の契約数(万件、推定))× 価格 6.30(1契約あたりの年間売上(万円))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。3.3万件×6.3万円、利益率6%
- FOOD:数量 100(食パンの店舗と総菜の工場を合わせた拠点数(店、推定))× 価格 0.34(1拠点あたりの売上(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 0 億円。100拠点×3,360万円、利益率1%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.5% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.56 倍、時価総額 52 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:カートリッジの継続収入と食品の小さな赤字が釣り合う姿。会社の計画より遅い回復を中心に置いた。
やや悲観 21% 機器が細り、減配 利益 2 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 306 円16 億円
機器の販売は日本トリムや店頭の大手に押され、台数は今の9割弱に減る。新しく置かれる台数が細るので、カートリッジの土台もゆっくり減る。値上げは物価にやや届かない。
食品は総菜の工場が埋まらず、赤字が続く。会社は配当を半分近くに下げ、借入の返済を優先する。全社の営業利益は3億円前後で、利益率は3%に届かない。ROEは資本コストを下回り、帳簿の価値は稼ぐ力に見合わなくなる。それでもカートリッジの稼ぎは残り、会社が傾くほどではない。
株主から見れば、配当の魅力が薄れ、資本コストに届かない会社が残る。良い事業を抱えたまま、その価値が株主に届かない状態が続く。
- 水関連機器:数量 1.3(機器の販売台数(万台・年、推定))× 価格 19(1台あたりの売上(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。1.3万台×18.8万円、赤字
- メンテナンス:数量 28.0(交換を続ける設置台数(万台、推定))× 価格 0.92(1台あたりの年間の交換売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 4 億円。28万台×年0.92万円、利益率16%
- HOD(水宅配):数量 3.0(定期配送の契約数(万件、推定))× 価格 6.00(1契約あたりの年間売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。3万件×6.0万円、利益率3%
- FOOD:数量 80.0(食パンの店舗と総菜の工場を合わせた拠点数(店、推定))× 価格 0.32(1拠点あたりの売上(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 −1 億円。80拠点×3,200万円、赤字
倍率:ROE6.5%がk9%を下回るので上限は1÷kの12.5倍。稼ぐ力(純利益÷k)に近い10倍。今の自己資本に対するPBRは0.65倍で中立より低い。
確率:機器の赤字と食品の赤字が続き、配当を下げる姿。過去10年で何度も利益が沈んだので2割強を置いた。
悲観 11% 機器と食品の赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 166 円9 億円
機器の台数は今の3分の2に減り、カートリッジの土台も2割細る。食品は総菜の工場を減損し、食パンの店を大きく閉じる。撤退の費用で数年赤字が続き、配当は大きく下がる。
水宅配も大手との値下げ競争で赤字になる。全社は営業赤字すれすれで、利払いと減損で純利益は赤字だ。借入の返済のために配当を絞り、資産の売却も迫られる。カートリッジの利益はあるが、ほかの赤字を埋めるのが精一杯になる。少数株主には事業の整理を決める力はない。
株価は帳簿の3分の1ほどに沈む。カートリッジの稼ぎを欲しがる買い手が現れない限り、値段を戻す力は弱い。
- 水関連機器:数量 1.0(機器の販売台数(万台・年、推定))× 価格 18(1台あたりの売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。1.0万台×18万円、赤字
- メンテナンス:数量 24.0(交換を続ける設置台数(万台、推定))× 価格 0.90(1台あたりの年間の交換売上(万円))→ 売上 22 億円・営業利益 3 億円。24万台×年0.9万円、利益率12%
- HOD(水宅配):数量 2.5(定期配送の契約数(万件、推定))× 価格 5.80(1契約あたりの年間売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。2.5万件×5.8万円、赤字
- FOOD:数量 40.0(食パンの店舗と総菜の工場を合わせた拠点数(店、推定))× 価格 0.30(1拠点あたりの売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 −1 億円。40拠点×3,000万円、赤字
倍率:赤字なのでPBRで置く。帳簿は床にならないので、今の自己資本24.8億円に0.35倍を掛けた。カートリッジの稼ぎだけが値段の支え。
確率:食品の撤退の損と機器の赤字が重なる姿。カートリッジの土台が残るので1割強にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
水関連機器
電解水素水生成器・浄水器・衛生管理機器・ウォータークーラーの販売。
| 数量機器の販売台数(万台・年、推定) | 価格1台あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 1.5 | 15 | 22 | −1 |
| 10 年後 中立 | 1.6 | 20 | 32 | 1 |
取り方:台数の開示は無い。売上22.1億円を、整水器・浄水器・業務用を混ぜた1台14.7万円前後で割った推定。
メンテナンス
販売した機器の交換カートリッジ・添加液。
| 数量交換を続ける設置台数(万台、推定) | 価格1台あたりの年間の交換売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 30.0 | 0.71 | 21 | 4 |
| 10 年後 中立 | 31.0 | 0.94 | 29 | 5 |
取り方:設置台数の開示は無い。売上21.2億円を、1台あたり年0.7万円前後の交換と置いて約30万台と推定。
HOD(水宅配)
子会社ウォーターネットのボトル入り水の定期配送。
| 数量定期配送の契約数(万件、推定) | 価格1契約あたりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 3.0 | 4.70 | 14 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3.3 | 6.30 | 21 | 1 |
取り方:契約数の開示は無い。売上14.1億円を、1契約年4.7万円前後と置いた推定。
FOOD
高級食パン「銀座に志かわ」の直営・フランチャイズと中華総菜の製造。
| 数量食パンの店舗と総菜の工場を合わせた拠点数(店、推定) | 価格1拠点あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 100 | 0.25 | 25 | −1 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.34 | 34 | 0 |
取り方:拠点数は推定。売上25.1億円を、フランチャイズの卸しと総菜の出荷を店の数に換算して約100拠点・1拠点2,500万円と置いた。
リスクと懸念
食品の赤字の長期化
高級食パンのブームは去り、中華総菜は工場の償却が先に出ている。食品は売上の3割を占めるので、赤字が続けば全社の利益はカートリッジの稼ぎを食い続ける。店は借りて営むので、売上が落ちても家賃は残る。
配当の持続性
配当性向は195%で、借入が増える中で配当を保っている。利益が戻らなければ減配の可能性が高く、配当を目当ての株主が離れる。
機器の販売台数の先細り
整水器と浄水器は成熟した市場で、日本トリムや店頭の大手と競う。新しく置かれる台数が減れば、10年後のカートリッジの土台も細る。
流行を追う資本の配分
衛生機器、食パン、総菜と、ブームに乗った事業に資金を回してきた。次の新しい事業でも同じことが起きれば、良い事業の現金がまた薄められる。
水宅配の価格競争
プレミアムウォーターなど大手がサーバーの無料貸し出しで客を奪い合う。契約を守るための値引きや販促で、利益率は5%を超えにくい。
今後の分かれ目
- 食品を縮めるか売却し、全社の営業利益率が5%を超えて2年続く
- カートリッジの価値が株主に届き、やや楽観の筋書きに近づく。
- PFASの規制が強まり、自治体や学校の給水機の採用が全国に広がる
- 機器の台数とカートリッジの土台がともに増え、楽観側に寄る。
- 2028年1月期の営業利益6億円の計画が大きく未達になる
- 減配の可能性が高まり、やや悲観の筋書きに寄る。
- 配当を利益の水準まで下げる
- 株価は一時下がっても、借入の増加が止まり、10年の価値は大きく変わらない。
- 同業や投資会社がカートリッジの事業に目を付けて買収を提案する
- 継続収入の価値が値段に出る。中立より上の筋書きに近づく。
見ておくもの
- メンテナンス事業の売上と利益率
- FOOD事業の赤字の幅と店舗数
- 配当性向と借入の残高
- 自治体・学校向けの給水機の受注
- 2028年1月期の営業利益6億円の計画の進み
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や過去のPERから置いていない。中立の10年ROEは12%台で資本コスト9%を上回るので、普通の堀(残る割合1/2)の正当化PER(1−g÷RONIC)÷(k−g)約15倍の8割に置いた。カートリッジの質は高いが全社の利益の質は低いので、上限の9割には上げない。悲観側は稼ぐ力と今の自己資本に掛けたPBRで置いた。食品の店のリースは家賃として利益に入っており、2028年1月期からの新しいリース会計で純負債の形が変わるが、10年後の数字は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:やや楽観 PER 13→13.36 倍・中立 PER 12.2→12.56 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に質の上乗せ0.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 9.00%。