結論
ウインテストは、半導体の検査装置を作る極小の会社だ。主な客は中国と台湾の半導体メーカーで、表示ドライバーIC、イメージセンサーなどの検査に使われる。筆者の結論は、今の時価総額は10年の見通しに対して大きく割高というものだ。理由は単純で、事業の実績と時価総額が釣り合っていない。
2025年12月期の売上は4億円、営業損失は12億円だ。赤字は20年で18回に上り、決算には継続企業の前提に重要な不確実性があるとの注記が付く。自己資本は3億円しかない。
資金は新株予約権の行使に頼っている。株を発行して現金を集める形で、既存の株主の持ち分は薄まり続ける。今期はAI向けデータセンターの基本合意など、新しい話題も出ているが、売上に表れるのはこれからだ。
中立の姿は、売上10億円、営業利益率3%。ここまで育っても、価値は数億円にしかならない。検査装置の需要が急に大きく伸びれば上振れるが、その確率は低いと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は投資の対象にならない。事業は自立しておらず、堀もなく、資本は新株の発行で集めるものだ。
数字を見れば、時価総額116億円に対し、自己資本は3億円だ。売上4億円の会社に、売上の約27倍の値が付いている。これは事業の価値ではなく、期待の値段だと筆者は見る。
事業の価値は、将来の利益がいくらかで決まる。中立では10年後に売上10億円、営業利益は数千万円で、価値は数億円にしかならない。しかも資金は株の発行で集めるため、既存の株主の取り分は薄まる。
安全域はない。上振れは検査装置の需要が急に当たる場合に限られ、下振れは事業の継続が止まる場合だ。確信度は低く、投資対象としては評価しない。
筆者がいちばん気にしているのは、事業が成功しても既存の株主にはほとんど回らない点だ。株の発行で資金を集める会社は、成功の果実を新しい株主と分けることになる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、半導体の検査装置だ。ウエハーや完成したチップの電気的な性能を確かめる装置で、表示ドライバーIC、イメージセンサー、先端ロジックICを主な対象にする。開発と試作は横浜と大阪、量産と現地の支援は武漢の子会社が担う。
売上の地域は中国が56.5%、日本が39.1%、台湾が3.8%だ。客は中国と台湾の半導体メーカーで、数は少ない。受注残は約5億円で、売上の1年強に当たる。
新規事業として、液体レンズ、アルカリ水の生成器、トラックの荷台昇降装置なども手がける。検査装置とは顧客も技術も違い、本業の赤字を埋める力はまだない。
検査装置は一台ごとの値段が大きく、売上は受注のタイミングで年ごとに大きく動く。装置の売上より開発費と固定費が重く、売上が小さいうちは赤字が続く構造だ。
客先での評価に時間がかかり、採用が決まるまでの開発費は先に出ていく。受注から売上になるまでの期間も長く、資金繰りが細い会社にとっては重い。武漢の子会社は現地の支援と量産を担い、中国の客に近い体制を作っている。
会社の設立は1993年で、長く検査装置を作ってきた歴史がある。
優良さと弱いところ
一言でいえば、技術の看板はあるが、事業として自立していない会社だ。
半導体の検査装置は、アドバンテストなど世界の大手が市場をほぼ握る。同社はその隙間の、小さな領域に絞って装置を出している。強みは小回りと価格だが、これだけで安定した利益を稼ぐのは難しい。
実績は厳しい。営業利益率はこの5年、マイナス140%からマイナス330%の間にある。ROEは過去10年のほとんどで、マイナス30%を下回る。赤字の期は20年で18回ある。自己資本は2019年7月期に1億円まで減り、2025年12月期は3億円しか残らない。
堀、つまり他社がまねしにくい強みは確認できない。経営は新規事業や新株予約権で資金を集めつつ、本業の立て直しを図っているが、成果は売上に表れていない。堀は弱いと置く。
筆者は、小さな会社が世界の大手の隙間で生き残ってきたこと自体は評価する。ただし、生き残ることと株主に利益を残すことは別の話だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
半導体の検査装置は、AI向けの先端ロジックやメモリの検査で、難度と単価が急速に上がっている。ただし、その恩恵は世界の大手に集中している。
同社が扱う表示ドライバーICとイメージセンサーの検査は、先端ロジックほどの勢いはない。ディスプレイは供給過剰で価格競争が続き、中国の半導体メーカーは国産の装置を優先する方向にある。
競合は、アドバンテストなどの世界大手と、中国の新興メーカーだ。大手は先端を、新興は価格を武器にし、中間にある小さな会社は押される。
客の側では、中国が国産化を進め、日本製の装置への依存を下げる方針を取る。10年の中立は、需要は伸びるが、同社の取り分は小さいまま、という姿になる。為替は150円で固定して考える。
検査装置の市場は、半導体の生産が増えるほど広がる。ただし、先端に近いほど客は大手を選び、後発の極小の会社が入り込む余地は小さい。中国の客は、輸出管理の影響もあり、国産の装置を探している。
装置の更新は数年に一度で、客の設備投資が増える局面でないと受注は動かない。景気の波を、小さな会社はそのまま受ける。
資本政策と M&A
資本政策の主題は、事業を続けるための資金調達だ。
同社は第13回新株予約権を使い、abc社に700万株の枠を割り当てた。行使価額が修正される条項付きで、株価が下がると、同じ資金を得るために発行する株が増える。2026年に入ってから、行使は続いており、発行済みの株数は増えている。
自己資本は3億円、純有利子負債は1億円と小さい。資金が尽きれば、事業の継続が危うくなる。決算には継続企業の前提に重要な不確実性があるとの注記が付く。
配当は期待できず、自社株買いも行われない。過去の分析では、10年以内のTOB(株式公開買い付け)の確率は1割ほどとされるが、赤字の極小株が買われる理由は薄い。中期の数値目標は確かめられた資料では確認できなかったため、事業の数量と価格から自前で積み上げた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
半導体の検査装置は、AIの投資で需要が膨らんでいる。同社は小さいが、中国と台湾の客に近く、装置の価格を抑えて浸透できる。受注残は約5億円で、売上の1年強に当たり、2026年の第1四半期は売上が前年から75%伸びた。
新しい動きも出ている。AI向けデータセンターの開発・運営に向けた基本合意を結び、液体レンズなどの新規事業も動き出した。検査装置の次の世代の開発が当たれば、売上は数倍に化ける。
資金面では、第13回新株予約権の行使が進み、クリーンルームの建設と運転資金に回る。小さな会社が一度でも大口の採用を取れば、利益は急に黒字へ動く。この会社の時価総額が高いのは、その可能性を市場が織り込んでいるからだ。
小さな会社の売上は、大口の一件で数倍に動く。そうなれば固定費が薄まり、黒字への転換は早い。
過去にも、小さな検査装置の会社が一つの大口で数倍に化けた例はある。規模が極小だから、変化も大きく出る。
慎重な見方
事業の実績が、時価総額を支えていない。売上は4億円、営業損失は12億円で、赤字は20年で18回に上る。継続企業の前提に重要な不確実性の注記が付き、自己資本は3億円しかない。
2026年の第1四半期は売上原価が売上を上回り、粗利が赤字だった。作れば作るほど損が出る段階で、規模を増やしても黒字化は遠い。
資金は株の発行に頼り、行使価額が修正される条項付きの新株予約権では、株価が下がるほど発行株数が増える。既存の株主の取り分は薄まり続ける。AI向けデータセンターの基本合意も、売上を生むかは分からない。
世界の大手が先端を握り、中国の国産装置が価格で迫る。中間にいる極小の会社は、勝ち残る理由が見当たらない。
新規事業が並ぶのも、本業で稼ぐ道が見えていない表れだと見る向きがある。
時価総額が実績から大きく離れていること自体が、危うさの表れだと見る。期待が剥がれれば、価値は事業の実力に戻る。
黒字化の前に資金が尽きる危険は、実績から見て現実的だ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がきわめて強いと判断した。実績の弱さ、資金の細さ、株の薄まりの3つが重なっている。確率は悲観側に66%、中立に22%、楽観側に12%を置いた。資本コストには事業が傾いている会社の上乗せを加え、既存株主の持ち分は薄まるものとして扱った。結果は今の時価総額を大きく下回る。
楽観側の言い分は、受注残と技術の可能性に根拠がある。慎重な見方は、実績と資金の細さに根拠があり、こちらを圧倒的に重く見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 2 円1 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 1 円0 億円、今との差 −99.6%、 期待の年率 −36.4%(資本コスト 12.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 3% | 28 円16 億円 | 1 円1 億円 | −85.8% | −17.7% | 1 円0 億円 |
| やや楽観 | 9% | 6 円3 億円 | 0 円0 億円 | −97.1% | −29.8% | 1 円0 億円 |
| 中立 | 22% | 2 円1 億円 | 0 円0 億円 | −99.1% | −37.3% | 0 円0 億円 |
| やや悲観 | 26% | 1 円1 億円 | 0 円0 億円 | −99.5% | −41.1% | 0 円0 億円 |
| 悲観 | 40% | 0 円0 億円 | 0 円0 億円 | −99.8% | −47.2% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2 円1 億円 | 0 円0 億円 | −98.9% | −36.4% | 2 円1 億円 |
今の株価時価総額 202 円117 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 12.0% を下回るほど割高。
楽観 3% AI向けの検査装置需要を取り込み、売上が数倍になって黒字が定着 利益 3 億円 · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 28 円16 億円
AI向けの先端ロジックとメモリの検査で、中国と台湾の客に大口の採用が決まる。装置の台数は5倍になり、単価も上がり、売上は26億円に届く。
開発費は売上に吸収され、営業利益率は12%に乗る。クリーンルームの増設も当たり、量産の体制が整う。
新規事業のAIデータセンターは小さな売上にとどまるが、赤字は広がらない。資金は新株予約権の行使でまかなえ、事業を続ける力がつく。
それでも、株は大きく薄まっているため、既存の株主の取り分は限られる。大手が先端を握る構造は変わらず、利益率が10%台で続くとは置かない。
- 半導体検査装置(テスタ):数量 35.0(装置の出荷台数(台、推定))× 価格 0.74(1台あたり売上(億円/台、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 3 億円。検査装置 利益率12.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 31.2% が k 12.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 18.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 9.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.8 倍。全体の PER 9.79 倍、時価総額 24 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:検査装置の大口採用と黒字の定着が同時に必要で、18期の赤字実績から見て確度は非常に低い。5%未満に置く理由は、この実績にある。
やや楽観 9% 受注が広がり、売上が3倍になって小さく黒字化 利益 1 億円 · PER 8.7 倍 · 株価時価総額 6 円3 億円
受注が少しずつ広がり、装置の台数は3倍になる。売上は15億円に届き、営業利益率は5%の薄い黒字になる。
中国の客は国産装置への切り替えを進めるが、同社は価格と小回りで一部を維持する。クリーンルームの稼働で量産が安定する。
新株の発行は続くが、黒字化で資金調達の必要は減る。株の薄まりは、10年で3割ほどにとどまる。
赤字が続いた会社が黒字化するだけでも大きな変化だが、規模はまだ小さく、安定した利益とは言えない。
新規事業は売上が小さく、全社の利益を変えるほどではない。受注残は少しずつ増え、客の評価も進む。
- 半導体検査装置(テスタ):数量 21.0(装置の出荷台数(台、推定))× 価格 0.74(1台あたり売上(億円/台、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。検査装置 利益率5.0%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.0% が k 12.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 13.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 8.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 8.7 倍。全体の PER 8.65 倍、時価総額 5 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注が少しずつ広がり、小さく黒字化する筋書き。ただし赤字が20年で18回あり、1割に届かない水準とした。
中立 22% 中立:売上が倍になり、薄い黒字に届く 利益 0 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 2 円1 億円
装置の台数は10年で2倍に伸びる。値段は検査装置の単価上昇と中国の価格競争が打ち消し合い、物価の1.34倍に届かず1.15倍にとどまる。
売上は10億円に届き、営業利益率は3%の薄い黒字になる。固定費と開発費は物価で増えるため、利益率の改善は限られる。
黒字になるまでの数年は赤字が続き、その穴を新株の発行で埋める。株数は10年で5割ほど増え、既存の株主の取り分は薄まる。
配当は出ず、自社株買いも行われない。ROEは数%にとどまり、資本コストを大きく下回る。
新規事業の液体レンズやアルカリ水は小さな売上にとどまり、本業の立て直しが全社の価値を決める。受注残は少しずつ増える。
- 半導体検査装置(テスタ):数量 14.0(装置の出荷台数(台、推定))× 価格 0.71(1台あたり売上(億円/台、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。検査装置 利益率3.0%
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 12.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 8.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 8.3 倍。全体の PER 8.33 倍、時価総額 2 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上が倍になり、薄い黒字に届く筋書き。実績の弱さから、中立への確率は低く置いた。
やや悲観 26% 売上が伸びず、赤字を新株で埋め続ける 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1 円1 億円
受注が伸びず、台数は横ばいにとどまる。値段は中国の価格競争で上がらず、営業損失は売上の半分に達する。
赤字は毎年2億円ほど続き、新株予約権の行使と新株の発行で穴を埋める。株は大きく薄まり、既存の株主の取り分は小さくなる。
新規事業の液体レンズやアルカリ水は、売上が小さいまま終わる。AI向けデータセンターの基本合意は、売上に結びつかない。
事業は続くが、価値は残った現金と設備にとどまる。10年を通じて、株主に回る利益は出ない。
経営は費用の削減を進めるが、売上が小さいため効果は限られる。研究開発の人員は物価で費用が増え、削る余地は小さい。
- 半導体検査装置(テスタ):数量 7.0(装置の出荷台数(台、推定))× 価格 0.61(1台あたり売上(億円/台、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 −2 億円。検査装置 利益率-50.0%
倍率:赤字が続く筋書きなので稼ぐ力でなく売れる資産で測る。事業の売却価値と設備、残る現金を合わせても約 1 億円以下で、今の自己資本 約 3 億円の 0.3 倍に置いた。
確率:売上が伸びず、赤字を新株の発行で埋め続ける筋書き。継続企業の前提に注記があり、最も起こりやすい姿の一つとして置いた。
悲観 40% 資金が尽き、事業の縮小か整理に向かう 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 0 円0 億円
資金調達が止まり、新株予約権の行使も進まなくなる。受注が減り、装置の台数は半分に縮む。
赤字は拡大し、決算の注記が現実の問題になる。経営は事業の縮小か売却に向かう。
既存の株主の取り分は、最終的に小さな残余に限られる。株は大きく薄まり、清算に近い価値しか残らない。
この筋書きでは、時価総額116億円のほぼ全部が失われる。
その間、中国の客は国産の装置に切り替え、日本の小さな装置会社への発注は細る。最終的に、残った設備と技術は小さな値段で売られる。
配当や自社株買いは行われず、株主に戻る額はほとんど残らない。
- 半導体検査装置(テスタ):数量 3.5(装置の出荷台数(台、推定))× 価格 0.61(1台あたり売上(億円/台、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 −3 億円。検査装置 利益率-150.0%
倍率:赤字が拡大し資金が尽きる筋書きなので売れる資産で測る。残る現金と設備が借金を返した後でほぼ消え、今の自己資本 約 3 億円の 0.1 倍に置いた。
確率:資金が尽き、事業の縮小か整理に向かう筋書き。新株予約権の行使が止まれば、すぐに現実となるため、4割に置いた。尾のリスクが厚い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
半導体検査装置(テスタ)
表示ドライバーIC・イメージセンサー・先端ロジックIC向けの半導体検査装置。貸与・設計・販売・技術サポートを含む。
| 数量装置の出荷台数(台、推定) | 価格1台あたり売上(億円/台、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7.0 | 0.61 | 4 | −12 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 0.71 | 10 | 0 |
取り方:2025年12月期の売上4.29億円を、出荷台数7台(推定。開示なし)で割った1台あたりの売上。営業損失は12.2億円。価格は半導体の検査装置の単価が上がる一方、中国の価格競争で押さえられるとして、中立は1.15倍とした。新規事業(液体レンズなど)は売上が小さいためここに含めた。
リスクと懸念
資金が尽きる
決算に継続企業の前提に重要な不確実性の注記が付く。資金は新株予約権の行使頼みで、株価が下がると行使が止まり、事業の継続が難しくなる。
株の薄まり
行使価額が修正される条項付きの新株予約権で、株価が下がるほど発行する株が増える。既存の株主の取り分は、10年で大きく薄まる前提で見る必要がある。
事業の規模と赤字の構造
売上4億円に対し営業損失12億円。2026年の第1四半期は売上原価が売上を上回り、粗利が赤字だった。規模を増やしても黒字化は遠い。
中国と台湾の客への依存
主な客は中国と台湾の半導体メーカーで、数は少ない。中国が国産装置への切り替えを進めれば、日本製の装置の需要は減る。
世界の大手との競争
検査装置はアドバンテストなどの世界大手が先端を握る。中国の新興メーカーも価格で迫り、中間にある極小の会社が選ばれる理由は限られる。
新規事業の分散
液体レンズ、アルカリ水の生成器、トラックの荷台昇降装置、AIデータセンターと、本業と関係の薄い事業が並ぶ。資金と人材が分散し、本業の立て直しが遅れる。
今後の分かれ目
- 検査装置で大口の採用が決まり、売上が前年の倍を超えたら
- 台数と利益率の前提を上げ、楽観側へ確率を移す。
- 粗利が黒字になり、営業損失が売上の3割を下回ったら
- 中立の利益率を上げ、倍率の質も見直す。
- 新株予約権の行使が止まったら
- 悲観の確率を上げる。
- 継続企業の前提の注記が外れたら
- 上乗せの資本コストを下げ、悲観の確率を下げる。
- AI向けデータセンターで売上が出始めたら
- 新規事業の数量を別に積み上げて評価する。
- TOBの提案が出たら
- 価格を本質価値と比べ、筋書きの外の事象として別に評価する。
見ておくもの
- 粗利と営業損失の推移
- 新株予約権の行使の進み具合と発行済み株数
- 受注残
- 継続企業の前提に関する注記
- 中国の客の国産装置への切り替え
倍率と資本コストの決め方
倍率は式の上限(k が 12% なので 1÷k = 7.4 倍)に対し、利益の質が低いため6.8割〜8.8割に置いた。過去・現在・同業の PER や PBR は使っていない。時価総額の高さは事業の実績ではなく期待の値段として扱った。悲観側は赤字で稼ぐ力がないため、今の自己資本に掛ける小さな床を置いた。株数の増加は holder_share で表した。減価償却は小さく、物価で増やすことはしなかった。結果は今の値段を大きく下回ったが、計算を株価に寄せる調整はしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 6.5→9.79 倍・やや楽観 PER 6→8.65 倍・中立 PER 5→8.33 倍)。
資本コスト 12.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 3.0%。基本 7.5% に quality +3.0% と、事業が傾いている会社の上乗せ +3.0% を足した 13.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 13.50% → 12.50%。