結論
星和電機は、京都府城陽市の電設資材・照明メーカーだ。高速道路の電光掲示板、石油プラントで使う防爆の照明、電磁波を抑える部品の3本柱で、売上は約254億円。筆者の結論は「今の値段はほぼ適正だが、下値は固い」。純資産の半分という安さには、理由がある。
稼ぐ力は悪くない。営業利益率は6.5%で、直近10年では上位に入る。防爆照明は同社の利益の中心で、セグメントの利益率は2割に達する。官公庁と、因幡電機産業のような設備資材の卸が主な顧客だ。
弱いのは資本の使い方だ。自己資本比率は63%で、現金と持ち合い株が積み上がる。配当は純利益の2割ほどで、自己資本利益率は6〜7%と資本コストに届かない。利益の割に時価総額が小さいのは、この「貯めて使わない」姿勢を市場が嫌っているからと筆者は見る。
今期の上半期は営業利益が26%減ったが、通期予想(営業利益19億円)は据え置かれた。10年かけて、人件費の上昇を値上げで吸収し、防爆照明とLEDへの切り替え需要が利益を支えると見る。利益が残るほど資本は膨らむが、株主に戻る額には割引が要る。それを織り込むと、見かけの安さはほぼ消え、適正な値段に収まる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、星和電機は「悪くない事業を、安く買える会社」だ。ただし、買ってからの時間が味方になるとは限らない。
良い点は三つある。防爆照明と道路情報板という、狭いが入りにくい市場を持つこと。借入がほとんどなく、潰れる心配が小さいこと。そして時価総額が純資産の半分ほどで、貯めた資産に対して安いことだ。営業利益で見ても、時価総額は6倍ほどだ。
悪い点は二つある。一つは、利益を貯める割合が高く、資本が増えるほど自己資本利益率が下がること。10年たつと、純資産は今の1.6倍に膨らむと見込むが、稼ぐ力は1.4倍ほどにとどまる。もう一つは、コンポーネントが汎用部材で、因幡電機産業のような卸に依存することだ。
安全域は広い。悲観の筋書きでも、現金と持ち合い株、売掛金や在庫の回収を合わせた資産が今の時価総額の7割を超える。一方で、株主に戻る額は、貯めた利益の半分程度と割り引いた。
筆者は、経営が資本効率に目を向けるかが分かれ目と見る。変わらなければ、安さは続く。変わればその差が一気に縮む。オーナーとして持ち続けたいかと問われれば、「還元が改まるなら」という条件がつく。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は3つの事業だ。売上でいちばん大きいのは照明機器で、約99億円。石油精製所や化学プラントで使う防爆形のLED照明、道路やトンネルの照明、除菌に使う紫外線のUV-C機器、照明用のLEDモジュールを作る。利益率が高く、セグメントの営業利益は約20億円で、全社の稼ぎの半分を超える。今期は民間の設備向け産業用照明が増えた。
次が情報機器の約95億円。高速道路や一般道の電光掲示板、河川やトンネルの防災表示、津波の情報表示、LED信号機、リチウムイオン電池式の無停電電源装置を扱う。東日本高速道路が売上の11%を占める最大級の顧客で、官公庁向けの案件が多い。前期は高速道路向けが増え、一般道向けが減った。
3つ目がコンポーネントの約54億円。電磁波対策のガスケットやフェライトコア、配線を守るダクト「カッチングダクト」、エアコン用の配管保護材などを作る。ここは利益率が6%と低い。最大の販売先は設備資材商社の因幡電機産業で、売上の約18%を占める。天候でエアコンの施工量が変わり、売上がぶれる。
本社工場は城陽市にあり、従業員は連結で637人。東南アジアと中国に生産・販売の子会社を持つが、海外は小さい。官需が売上の4〜5割を占めるため、売上は年度の後半に偏りやすい。設備投資は年4億円ほどで、金型が中心。重い設備を持つ会社ではない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、防爆照明と道路情報板にある。防爆形は爆発しない構造の認証が要り、石油や化学のプラントは実績のあるメーカーから買い続ける。道路情報板も、道路会社の仕様に合わせた長年の納入実績が参入の壁になる。
ただし、堀は部分的だ。コンポーネントは汎用の配管・配線部材が中心で、設備資材商社の因幡電機産業への依存が大きい。ここには強い堀がない。官需の案件は入札で、価格競争の影響を受ける。堀を「強い」とまでは言えず、普通と見る。
利益率は安定している。営業利益率は直近4年で4%台から7%台の範囲に収まり、赤字は2017年3月期が最後だ。借入は少なく、営業利益は支払利息の23倍ある。景気の谷に強い体質だ。
資本効率は低い。自己資本利益率の過去10年の中央値は6.0%、直近は6.5%。自己資本比率は63%まで上がり、持ち合い株も34億円ある。配当性向は2割ほどにとどまり、利益を貯める傾向が強い。貯めた現金は利息で2%しか回らず、資本コストを下回る。
経営は堅実で、品質不正などの問題は聞かない。従業員の平均勤続は17年と長く、組合もある。筆者がいちばん気にするのは、経営が資本コストを意識して還元を増やすかどうかだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
商売の追い風は3つある。1つ目は、2027年末の蛍光灯の製造禁止で、LED照明への切り替えが進むこと。同社は中期の成長の柱にLEDの拡販を掲げている。2つ目は、道路やトンネル、河川の老朽化対策で、更新の需要が続くこと。3つ目は、石油・化学プラントの設備更新で、防爆LEDへの置き換えが進むことだ。
一方で、逆風もある。コンポーネントは住宅や空調の施工量に左右され、新築住宅の数は人口減少で長期的に細る。官公庁向けは予算の増減に左右され、入札では競争が強まる。電光掲示板は一度入れれば10年以上使うため、更新の山と谷もある。
値段の面では、LEDは機器の価格が下がる傾向にあるが、防爆形は認証のコストが重く、価格が下がりにくい。人件費や部品費が上がるなか、値上げが通るかどうかが利益率を左右する。物価が10年で1.34倍になれば、売上も名目で同じだけ増える。ただし本社費や人件費も同じ割合で増える。
今期は中東情勢による原材料の値上がりと調達難を会社が注視している。上半期の営業利益は情報機器の減収で26%減ったが、受取配当金や照明の増収で、会社は想定を上回ったと説明する。通期予想は据え置きで、利益は下半期に偏る。
競合は、道路情報板では総合電機やインフラ専業のメーカー、照明では大手の照明メーカーや防爆専業の企業が並ぶ。同社は規模では小さいが、防爆と道路情報という狭い領域に集中して、利益率を保っている。海外は東南アジアと中国に拠点があるが、大きな収益源ではない。
資本政策と M&A
資本政策は保守的だ。配当は年1回で、2025年12月期は創業80周年の記念配当を含めても総額2.6億円。純利益の約2割にすぎない。自社株買いは小さく、自己株式は30万株から35万株へ増えた程度だ。
貯めた資金の一部は、持ち合い株に回る。上場株は153銘柄、34.6億円で、因幡電機産業、松風、SCREENホールディングス、滋賀銀行などだ。ほかに京都フィナンシャルグループの株が退職給付の信託に入っている。持ち合い株は配当を生み、純利益に入る。
借入は返済が進み、純有利子負債はほぼゼロになった。前期は営業の資金が21億円入り、借入の返済と配当などで24億円を払い出した。財務制限条項つきの借入契約が残る。
株主構成は、取引先持株会が約15%、京都の公益財団が8%、京都銀行が5%など。親会社はなく、安定株主が多い。そのため、物言う株主の圧力は弱い。
M&Aの実績は目立たず、子会社は5社だけ。筆者は、この会社が買収で価値を壊す心配は小さいが、資本を戻す意思が弱い点を重く見る。変化の兆しは、2026年12月期までの中期経営戦略が終わり、次の計画で資本効率の目標が出るかどうかにある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
星和電機は、規模は小さくても、防爆照明と道路情報板で10年先まで利益が出る事業を持つ。防爆形は認証と実績が参入の壁で、石油・化学プラントの更新期に入った今、防爆LEDへの置き換えが続く。蛍光灯の製造禁止も追い風で、照明機器の営業利益率は20%近くを保てる。
道路や河川、トンネルの老朽化対策は、国の予算に守られた長期の仕事だ。東日本高速道路向けの比率が6.6%から11.2%へ上がったのは、インフラ更新の波に乗り始めた印だ。電光掲示板は納入後の保守や更新も続き、一度入れた顧客を離さない。
財務は鉄壁だ。自己資本比率は63%、純有利子負債はほぼゼロ、営業利益は支払利息の23倍。現金と持ち合い株が積み上がり、時価総額は純資産の半分にすぎない。上場会社への資本効率の要求が強まるなか、増配や自社株買いが出れば、10年かけて評価が一気に直る余地がある。
10年後、物価が上がっても、価格を上げられる製品が中心で、営業利益率は9%近くまで上がる。純利益は28億円ほどに伸び、資本が積み上がっても事業の稼ぎが追いつく。持ち合い株の配当も、純利益を押し上げる。
慎重な見方
星和電機の弱みは、利益を貯めるだけで使わない資本政策と、成長の乏しさにある。過去10年の売上は200億円台前半から250億円台で、伸びたのは物価の分だけ。自己資本利益率は6%台で、資本コストに届かない。時価総額が純資産の半分なのは、割安ではなく、貯めた資産を株主に戻さないことへの正当な値引きと見るべきだ。
事業の中身も、見た目ほど強くない。コンポーネントは汎用部材で、因幡電機産業への依存が大きく、利益率は6%しかない。道路情報板は入札で、総合電機や専業が競り合い、官需の予算で売上が上下する。今期の上半期は営業利益が26%減った。
防爆照明も、LEDは価格が下がりやすく、海外メーカーの参入や顧客の内製化で、10年後の利益率を保てる保証はない。営業利益率が7%台に達しても、人件費と部品の値上がりを転嫁できない年が続けば、すぐに削られる。
さらに、取引先持株会や京都の財団、銀行が上位を占め、経営への圧力が弱い。資本効率を改善する動機がないまま、現金と持ち合い株が積み上がるだけなら、10年後も同じ値段で放置されるだろう。
どちらに重みを置いたか
筆者は、強気と慎重のどちらにも寄せすぎないと判断した。強気の根拠は、防爆照明と道路情報板という稼ぎ頭が10年先も残ることと、借入がなく安全域が広いことだ。ただし、資本を戻さない姿勢を重く見て、貯まる現金の価値を半分に割り引いた。慎重な見方にも合わせて35%の確率を置き、強気の根拠である経営の変化は中立に入れず、楽観に回した。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,611 円208 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 261 円34 億円)。 今の値に割り戻すと 905 円117 億円、今との差 +18.1%、 期待の年率 +9.3%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,887 円372 億円 | 388 円50 億円 | +327.6% | +15.6% | 229 円30 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,334 円301 億円 | 326 円42 億円 | +247.3% | +13.3% | 532 円69 億円 |
| 中立 | 38% | 1,840 円237 億円 | 295 円38 億円 | +178.7% | +10.8% | 811 円105 億円 |
| やや悲観 | 25% | 756 円97 億円 | 194 円25 億円 | +24.0% | +2.2% | 237 円31 億円 |
| 悲観 | 10% | 543 円70 億円 | 78 円10 億円 | −18.9% | −2.1% | 62 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,611 円208 億円 | 261 円34 億円 | +144.4% | +9.3% | 1,872 円241 億円 |
今の株価時価総額 766 円99 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% インフラ更新と防爆LEDが伸び、資本の使い方も改まる 利益 28 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,887 円372 億円
防爆LEDへの置き換えが石油・化学プラントで進み、照明機器の数量は10年で1.4倍になる。蛍光灯の製造禁止もあり、民間の設備投資が続く。情報機器は国と高速道路会社の老朽化対策を受け、1.15倍に増える。
価格は物価並みの1.34倍が通る。防爆形は認証が参入の壁で、値上げがしやすい。営業利益率は照明で20%、情報機器で14.5%を保つ。コンポーネントは7%に改善する。
本社費は物価で1.34倍に膨らむが、売上の伸びが吸収し、全体の営業利益率は9%、営業利益は37億円になる。
経営は資本コストを意識し、配当性向を引き上げ、貯めた現金も使う。ただ筆者は、この変化を確率の高い筋書きとは見ない。
- 情報機器:数量 115(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.28(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 147 億円・営業利益 21 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 14.5%
- 照明機器:数量 140(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.33(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 186 億円・営業利益 37 億円。数量 1.40 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 20.0%
- コンポーネント:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.73(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 73 億円・営業利益 5 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 7.0%
- その他:数量 120(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.07(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。数量 1.20 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.52 倍、時価総額 354 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防爆LEDの置き換えと道路の更新が重なり、経営が還元を増やす筋書き。営業利益率が9%に届くには複数の条件が要るため7%。
やや楽観 20% 照明が伸び、情報機器は更新需要で底堅い 利益 23 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,334 円301 億円
照明機器は防爆LEDの置き換えとLEDへの切り替えで、数量が1.25倍になる。情報機器は更新需要で1.05倍。コンポーネントは住宅の施工量が減る影響で0.95倍にとどまる。
営業利益率は照明で20%、情報機器で14%、コンポーネントで6.5%。本社費は物価で増える。営業利益は30億円、営業利益率は8%に上がる。
配当性向は3割へ上がるが、現金はそれでも積み上がる。持ち合い株の配当も純利益に入る。
本社費は物価で増えるため、率の改善は照明の高い利益率に頼る。営業利益は30億円、純利益は23億円。因幡電機産業との取引は続くが、比率は10%台前半まで下がる。
- 情報機器:数量 105(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.28(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 134 億円・営業利益 19 億円。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 14.0%
- 照明機器:数量 125(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.33(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 166 億円・営業利益 33 億円。数量 1.25 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 20.0%
- コンポーネント:数量 95.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.73(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 5 億円。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6.5%
- その他:数量 110(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.07(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.7% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 278 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画(営業利益率7.3%)を上回る水準が続く筋書き。蛍光灯の禁止と更新需要は確かな追い風だが、官需の予算は読めないので20%。
中立 38% 更新需要で横ばい、利益率は今の水準を保つ 利益 18 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,840 円237 億円
情報機器は官公庁の更新が続き、数量は1.0倍。照明機器は防爆LEDの置き換えで1.1倍。コンポーネントは住宅・空調の施工量の減少を受けて0.9倍。価格は物価並みの1.34倍。
営業利益率は情報機器13.5%、照明19.5%、コンポーネント6%。本社費は物価の1.34倍で26.8億円に膨らみ、全体の営業利益率は6.7%(過去12年の最高7.0%を超えない)。営業利益は23億円、純利益は17.6億円。
配当性向は2割台後半へ緩やかに上がるが、自社株買いは小さい。自己資本は10年で1.6倍の307億円になり、自己資本利益率は6%を割る。
- 情報機器:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.28(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 128 億円・営業利益 17 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 13.5%
- 照明機器:数量 110(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.33(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 146 億円・営業利益 29 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 19.5%
- コンポーネント:数量 90.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.73(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 65 億円・営業利益 4 億円。数量 0.90 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6.0%
- その他:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.07(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 213 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上は物価の分だけ伸び、防爆照明と道路情報板の稼ぎが10年続く筋書き。事業の変化が小さく、いちばん起こりやすいので最大の38%。
やや悲観 25% 官需が細り、値上げも通りにくい 利益 8 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 756 円97 億円
情報機器は予算の制約と入札競争で0.9倍、価格は1.30倍にとどまる。照明は防爆でも海外メーカーの参入で1.0倍。コンポーネントは新築の減少で0.8倍に減る。
営業利益率は情報機器12%、照明16%、コンポーネント4%に下がる。本社費は物価の分だけ増え、営業利益は10億円、営業利益率は3.5%。純利益は8億円まで落ちる。
配当は2割台を保つが、金額は減る。現金は貯まり続けるが、事業の稼ぎは細る。
中東情勢で原材料が上がった年は、値上げが遅れて粗利が削られる。上半期の減益のような年が増え、営業利益は予想を下回りやすくなる。借入は少ないので、財務の傷は浅い。
- 情報機器:数量 90.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.24(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 112 億円・営業利益 13 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 12.0%
- 照明機器:数量 100(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.29(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 129 億円・営業利益 21 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 16.0%
- コンポーネント:数量 80.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.70(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 56 億円・営業利益 2 億円。数量 0.80 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 4.0%
- その他:数量 90.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.07(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 3.0%
倍率:ROEは約3%でkを下回るが、自己資本の大半は現金と持ち合い株で、事業の稼ぎには別に貯まる現金の分が加わる。上限の1÷k=12.5倍に対し、8割の10倍。
確率:国の予算が伸びず、入札の競争が強まり、LEDの値下がりで利益率が縮む筋書き。上半期の減益のように、足もとでも見える動きなので25%。
悲観 10% 構造的に負け、官需・卸の双方を失う 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 543 円70 億円
道路情報板は入札で失注が続き、数量は0.7倍。照明は海外勢との競争で0.8倍。コンポーネントは因幡電機産業向けが半減近くまで縮み、0.6倍。価格は物価を移せず1.20倍にとどまる。
営業利益率は情報機器6%、照明9%、コンポーネント1%まで下がる。会社は本社費を削り、営業利益はほぼゼロになる。工場の減損も出る。
それでも借入がなく、現金と持ち合い株、売掛金・在庫の回収が株主の取り分を下支えする。清算はされず、事業は小さくなって続く。
本社費は削るが、物価の上昇で人件費は増え続け、利益は出ない。配当は利益でなく貯めた現金から細く出す。持ち合い株は売却して固定費の穴埋めに回る。
- 情報機器:数量 70.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.14(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 80 億円・営業利益 5 億円。数量 0.70 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 6.0%
- 照明機器:数量 80.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 1.19(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 95 億円・営業利益 9 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 9.0%
- コンポーネント:数量 60.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.65(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 0 億円。数量 0.60 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 1.0%
- その他:数量 80.0(売上の実質指数(2025/12 期=100))× 価格 0.06(指数 1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 2.0%
倍率:事業の稼ぎはほぼゼロで、売れる資産が値段を決める。今の自己資本191億円に0.37を掛けた。
確率:中国勢のLED価格攻勢、道路情報板の入札での失注、因幡電機産業との取引縮小が重なる筋書き。10年では無視できないので10%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
情報機器
高速道路・一般道の LED 電光掲示板、河川・トンネルの防災表示、津波情報表示、LED 信号機、リチウムイオン電池式の無停電電源装置。官公庁と道路会社が顧客。
| 数量売上の実質指数(2025/12 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.95 | 95 | 13 |
| 10 年後 中立 | 100 | 1.28 | 128 | 17 |
取り方:2025/12 期の情報機器セグメント売上 95.3 億円・利益 13.1 億円(前期比 売上 −0.6%・利益 −3.9%)。台数や件数は開示が無く、売上を実質の指数 100 と 1 点あたり売上に分けた推定。
照明機器
石油精製所・化学プラント向けの防爆形 LED 照明、道路・トンネル照明、UV-C 機器、照明用 LED モジュール。
| 数量売上の実質指数(2025/12 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.99 | 99 | 20 |
| 10 年後 中立 | 110 | 1.33 | 146 | 29 |
取り方:2025/12 期の照明機器セグメント売上 99.1 億円・利益 19.9 億円(売上 +3.9%・利益 +8.9%)。民間設備向けの産業用照明が増えた。数量は開示が無く、売上からの推定。
コンポーネント
電磁波対策のガスケット・フェライトコア、配線保護ダクト「カッチングダクト」、配管保護材。因幡電機産業経由の設備資材が中心。
| 数量売上の実質指数(2025/12 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.54 | 54 | 3 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.73 | 65 | 4 |
取り方:2025/12 期のコンポーネントセグメント売上 54.2 億円・利益 3.3 億円(売上 −3.1%・利益 −4.6%)。配線・配管保護材が減った。数量は売上からの推定。
その他
商品の仕入販売、情報サービス(星和テクノロジー)。
| 数量売上の実質指数(2025/12 期=100) | 価格指数 1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.05 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.07 | 7 | 0 |
取り方:2025/12 期のその他売上 5.3 億円・利益 0.3 億円。推定。
リスクと懸念
官需の予算と入札
情報機器の顧客は国と道路会社が中心で、売上の約半分が官需だ。予算が減れば受注が止まり、入札では価格競争が強まる。今期の上半期は情報機器の減収で営業利益が26%減っており、年度の後半に偏る売上の読みも難しい。
因幡電機産業への依存
コンポーネントの最大の販売先は因幡電機産業で、連結売上の約18%。前期は20%だった。取引条件が変わるか、同社が自社で作る比率を高めれば、コンポーネントの売上が大きく減る。エアコンの施工量にも左右される。
LEDの値下がりと海外勢
LED照明は機器の価格が下がりやすい。防爆形は認証で守られるが、海外メーカーの参入や顧客の仕様の標準化が進めば、照明機器の利益率20%は保てなくなる。利益の半分以上を稼ぐ事業なので、影響は大きい。
原材料高と調達難
中東情勢による原材料の値上がりと調達難を、会社自身が注視している。部品を値上げ分だけ売値に移せなければ、利益率が下がる。価格転嫁のしやすさは、官需では特に弱い。
資本が貯まり、戻らない
配当性向が2割ほどで、現金と持ち合い株が積み上がる。自己資本利益率は6%台で資本コストを下回る。株主が安定株主ばかりで、還元を迫る圧力が弱い。貯まった資本の価値を市場が割り引き続ける恐れがある。
持ち合い株の値動き
上場株は153銘柄、約35億円で、時価総額の3分の1ほどに当たる。株価が下がれば自己資本が減り、売却を迫られれば利益が一時的にぶれる。配当は純利益に入るが、売る方針は開示されていない。
財務制限条項
借入契約に財務制限条項が付く。今は借入が少なく問題は小さいが、業績が大きく悪化した年は条項に触れ、資金繰りの足かせになりうる。
今後の分かれ目
- 配当性向の引き上げや自社株買いを会社が発表する
- 貯まる現金の戻り方が1.0に近づき、価値が大きく上がる。
- 因幡電機産業向けの売上比率が15%を割る
- コンポーネントが縮み、中立の数量を下げる必要がある。
- 防爆LEDの受注が石油・化学で増え、照明の利益率が20%超を保つ
- 強気の筋書きの確率が上がる。
- 道路情報板で入札の失注が続き、情報機器の売上が2年続けて減る
- 悲観の筋書きの確率を上げ、官需の見方を下げる。
- 持ち合い株の売却と使い道が開示される
- 売却代金が事業か還元に回れば、資本効率が上がる。
- 営業利益率が7%台後半に乗る
- 今期予想の7.3%が定着したことになり、中立の利益率を見直せる。
見ておくもの
- 情報機器の受注と官需比率
- 照明機器の営業利益率
- 因幡電機産業向けの売上比率
- 配当性向と自社株買い
- 持ち合い株の残高
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。kは8.25%。中立の事業のROEは貯まる自己資本で薄まって5〜6%となり、PERの上限は1÷k=12.5倍で、その8割の10倍に置いた。今の株価や同業のPERは使っていない。中立の営業利益率は6.7%で、過去12年の最高(7.0%)を超えない。本社費も物価で1.34倍にした。持ち合い株は配当が純利益に入っているので、価値には足していない。貯まる現金は戻り方0.5を掛けて数える。新リース会計は、賃借が小さく影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→12.52 倍・やや楽観 PER 11→12.12 倍・中立 PER 10→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。