結論
東洋電機は愛知県春日井市の小さな電機の会社だ。工場やビルの配電盤・制御盤を作り、エレベーターの扉に付ける光のセンサーでは国内の7割ほどを握るとされる。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正である。強い製品はあるが、全社の稼ぐ力は資本コストに届いていないからだ。
利益の柱は国内の制御装置で、2026/03期は売上74億円に対して4.4億円を稼いだ。値上げが通り、受注の戻りで工場の効率も上がった。会社は3年後に営業利益率6.3%を目指す。筆者は、そこまで届かずとも5%前後には戻ると見る。
ただし、ROEは4%前後にとどまる。中国とタイの子会社は赤字すれすれで、樹脂の子会社も薄利だ。センサーの強さが、会社全体の利益の厚みにまで広がっていない。
借金と現金はほぼ同じで、財務は落ち着いている。10年で利益が5億円台に育てば、価値は今の値段を少し上回る程度になる。安全域と呼べるほどの割安さはない。
値段が大きく下がる余地も小さいが、上がる余地も同じくらいだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、東洋電機は「1つの良い製品を持つ、平凡な会社」だ。
エレベーターの扉のセンサーは、オーナーとして持ちたい種類の事業である。安全の部品で、客は簡単に替えない。古いエレベーターの改修でも交換され、需要は長く続く。
ただ、会社の売上の大半は配電盤と制御盤だ。ここは受注の競争で、景気の波もかぶる。良い製品の稼ぎが、平凡な事業の中に薄まっている。ROEは4%前後で、ためた利益が、それ以上の価値を生んでいない。
財務は堅く、潰れる心配は小さい。悲観の筋書きでも、値段が大きく崩れる会社ではない。それでも今の値段には、利益率の改善がおおむね織り込まれている。筆者は、待つ価値はあるが急いで買う値段ではないと見る。
価値が上がる道は、センサーの稼ぎを開示で示し、持ち合いの株を減らして資本を軽くすることだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの9割近くは、国内の制御装置から来る。工場やビル、上下水道の施設に入る配電盤と制御盤、変圧器を受注で作る。客は設備を発注する建設会社やメーカー、自治体の工事の元請けだ。
この中に、会社の看板の製品がある。エレベーターの扉に付けて、人や物が挟まれないように見張る光のセンサーだ。何本もの光の線で扉の間を見張る仕組みで、国内のエレベーターで7割ほどの採用があるとされる。エレベーターの会社に部品として納める。新しいビルだけでなく、古いエレベーターの改修でも交換される。
海外は中国の南京とタイに子会社がある。盤とセンサーを作るが、2026/03期は中国の設備投資の冷え込みで売上が3割近く減り、小さな赤字になった。
樹脂の子会社は、使い終わったプラスチックを再生したペレットを作る。売上8億円で、利益はわずかだ。
春日井の工場で、盤の設計から組み立てまでを自前で行う。2024年には盤と変圧器の子会社2社を本体に吸収し、粉体塗装の会社も買った。小さな会社が工程を自前でまとめ、費用を下げようとしている。センサーの売上は開示で分かれていない。
優良さと弱いところ
優良さは中くらいだ。強い製品が1つあり、財務は堅い。しかし全社の資本効率は低い。
エレベーターのセンサーは、この会社のいちばんの強みだ。安全にかかわる部品なので、エレベーターの会社は実績のない品に切り替えにくい。改修の需要も続く。ここには堀、つまり他社がまねしにくい強みがある。
一方、配電盤と制御盤は受注の競争で、値段は客と入札に決められやすい。2026/03期は値上げが通ったが、建設の山を越えれば再び値段の勝負になる。
過去12年の営業利益率は最高でも4.3%で、ROEの10年の中央値は3.8%だ。資本コストの半分にも届かない。持ち合いの株も12銘柄持つ。経営は利益率6%台を目標に掲げるが、まだ実績はない。
つまり、良い部品の稼ぎを、平凡な盤の事業が薄めている。センサーの利益を開示で分けて示さないため、外からはその厚みを確かめにくいのも弱みだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
配電盤と制御盤の市場は、国内の設備投資と建設に連動する。今は工場の国内回帰、データセンター、老朽化した上下水道やビルの更新で、需要は高めにある。電気工事の人手不足もあり、盤の値上げは通りやすい局面だ。
ただ、これは循環の高めの場所でもある。2008年の不況では、重電の受注は3〜4割減った。建設の山を越えれば、盤は再び入札の値段の勝負に戻る。同じ愛知の愛知電機や、日東工業のような大手とも競う。
エレベーターの市場は性格が違う。国内では毎年数万台が新しく据え付けられ、古い機械の改修も多い。三菱電機、日立、東芝エレベータ、フジテックなどが作り、保守と改修で長く稼ぐ。扉のセンサーは改修のたびに替わるので、需要は建設の波より穏やかだ。
筆者は、10年で国内の盤の数量はほぼ横ばい、センサーは改修で少し伸びると見る。値段は物価並みに上がる。人口が減る国内で、大きく数量を伸ばす筋は描きにくい。
中国の設備投資は弱く、海外の子会社は当面、利益の柱にならない。
分かれ目は、建設の山を越えた後も値上げを保てるかどうかにある。
資本政策と M&A
配当は安定配当を基本とし、2026/03期は年1億円ほどだった。配当性向は4割前後だ。自社株買いは目立った実績がなく、自己株を一部処分した。
株主優待は、100株以上の株主にQUOカードを贈る。株主数は確かめられず、原価で年0.03億円ほどと推定し、10年の還元に0.3億円を足した。
持ち合いの株は上場12銘柄で6.5億円ほどある。配当は利益に入っているので、その価値は別に足していない。
借金は短期と長期で17億円、現金も17億円ほどで、差し引きはほぼゼロだ。2024年に子会社2社を吸収し、粉体塗装の会社を買った。大きな買収はしていない。時価総額34億円の小さな会社で、センサーを欲しがる同業に買われる道は、10年の中で一定の確率である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益は変わり始めた。2026/03期は売上が5%減ったのに、営業利益は2割増えた。値上げが通り、工場の効率も上がった。会社は3年後に営業利益率6.3%を目指し、受注残も前年を上回っている。
エレベーターのセンサーは国内で7割ほどを握るとされる。安全の部品なので、客は替えにくい。国内には古いエレベーターが多く、改修のたびにセンサーも替わる。新しいビルが減っても、この需要は細りにくい。
配電盤にも追い風がある。工場の国内回帰、データセンター、上下水道やビルの更新が重なり、盤の需要は高めに続く。電気工事の人手不足で、値上げも通りやすい。
財務は堅く、借金と現金はほぼ同じだ。小さな会社なので、センサーの事業を欲しがる大手に買われる道もある。利益率が6%台に乗れば、ROEは資本コストに近づき、価値は今の値段を大きく上回る。
値上げと効率化はすでに数字に表れている。小さな会社ほど、利益率の数ポイントの差が価値を大きく動かす。
慎重な見方
強いのはセンサーだけで、会社全体ではない。売上の大半は配電盤と制御盤で、ここは受注の値段の勝負だ。過去12年の営業利益率は最高でも4.3%で、6%台の目標は一度も達したことのない水準である。
今の好調は、建設と設備投資の山に乗っている面が大きい。山を越えれば受注は減り、値上げも止まる。2023/03期には営業赤字を出した。
海外の子会社は、中国の設備投資の冷え込みで売上が3割近く減った。樹脂の子会社も薄利で、どちらも利益を足していない。
エレベーターのセンサーも安泰ではない。中国のメーカーが安い品で入ってくれば、改修の需要で値段を下げられる。持ち合いの株を12銘柄抱え、資本の使い方も鈍い。ROEが資本コストの半分にも届かない会社に、高い倍率は付かない。
好調の年の数字で、10年先を語るのは早い。センサーの利益がどれほどかも開示されず、強みの厚みを外から確かめる手立てがない。財務の堅さは、価値の上振れを約束しない。
どちらに重みを置いたか
どちらの言い分にも理がある。センサーの強さと値上げの定着は本物だが、利益率の目標は実績のない水準で、盤の事業は景気の波をかぶる。確率は中立に厚く置き、やや楽観とやや悲観をほぼ同じにした。財務が堅く悲観の下落が浅いので、悲観は1割にとどめた。値上げの定着が2年続けば、楽観側に寄せる余地がある。逆に受注残が減り始めれば、悲観側に寄せる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,304 円56 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 322 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 823 円35 億円、今との差 +4.7%、 期待の年率 +7.5%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,427 円104 億円 | 490 円21 億円 | +271.2% | +14.0% | 292 円12 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,827 円78 億円 | 403 円17 億円 | +183.7% | +11.0% | 446 円19 億円 |
| 中立 | 38% | 1,515 円65 億円 | 354 円15 億円 | +137.8% | +9.0% | 710 円30 億円 |
| やや悲観 | 22% | 439 円19 億円 | 209 円9 億円 | −17.6% | −1.9% | 143 円6 億円 |
| 悲観 | 10% | 235 円10 億円 | 122 円5 億円 | −54.6% | −7.6% | 36 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,304 円56 億円 | 322 円14 億円 | +106.9% | +7.5% | 1,626 円69 億円 |
今の株価時価総額 786 円34 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% センサーが伸び、利益率 6% 台が定着 利益 8 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 2,427 円104 億円
古いエレベーターの改修が全国で進み、扉のセンサーの出荷が伸びる。安全の基準が厳しくなり、多くの光の線で見張る上位の品に替わる。配電盤は工場の国内回帰とデータセンターの建設で受注が厚く、値上げも定着する。国内の利益率は8%に乗り、海外もタイを中心に黒字になる。営業利益は9億円を超え、ROEは資本コストに並ぶ。配当は利益とともに増える。センサーの事業に目を付けた大手から提携や買収の話が来る余地も、この筋書きでは大きい。財務の堅さも、成長の投資を支える。価値は今の値段の倍を大きく超え、少数株主も十分に報われる。
- 国内制御装置:数量 2,900(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 120 億円・営業利益 10 億円。2,900 面(1.18 倍)× 0.0415 億(1.38 倍)、利益率 8%
- 海外制御装置:数量 300(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。300 面(1.39 倍)× 0.0402 億(1.34 倍)、利益率 4%
- 樹脂:数量 3,600(販売量(トン))× 価格 0.00(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。3,600 トン(1.09 倍)× 物価 1.34 倍、利益率 4%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.65 倍、時価総額 104 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画を上回り、営業利益率 7% 台に乗る筋書き。過去 12 年の最高が 4.3% で、まだ実績が無いので 1 割にした。
やや楽観 20% 計画に近い利益率 5.5% 利益 6 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,827 円78 億円
配電盤の受注は高めに続き、値上げも物価並みに通る。センサーは改修の需要で少しずつ伸びる。春日井の工場で子会社を吸収した効果が出て、国内の利益率は7%になる。海外は小さな黒字を保ち、樹脂も薄利ながら利益を出す。営業利益は7億円弱で、中期計画の目標に近い。ROEは6%台まで上がるが、資本コストにはまだ届かない。配当は性向4割で増え、持ち合いの株は少しずつ減らす。会社は小さいままだが、稼ぐ力は一段上がる。持ち合いの株の売却が進めば、資本も軽くなる。価値は今の値段を2割ほど上回る水準に育つ。配当も合わせれば、待つ株主にはそれなりの見返りがある。
- 国内制御装置:数量 2,750(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 111 億円・営業利益 8 億円。2,750 面(1.12 倍)× 0.0402 億(1.34 倍)、利益率 7%
- 海外制御装置:数量 250(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。250 面 × 0.0402 億、利益率 2.5%
- 樹脂:数量 3,450(販売量(トン))× 価格 0.00(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。3,450 トン × 物価 1.34 倍、利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 78 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の中期計画(2029/03 期 6.3%)に近い所まで届く筋書き。値上げと工場の効率化はすでに数字に出ており、2 割にした。
中立 38% 盤は横ばい、センサーで少し伸びる 利益 5 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,515 円65 億円
国内の盤と制御盤の数量は、10年でほぼ横ばいだ。工場とデータセンターの建設は続くが、人口の減る地方の公共工事は細る。エレベーターのセンサーは改修の需要で少し伸び、国内全体の数量は5%増える。値段は物価並みに上がり、国内の利益率は6.5%になる。海外は中国の弱さが続き、ほぼ収支とんとんだ。全社の営業利益率は4.6%で、過去の最高をわずかに上回る。配当は性向4割で続く。ROEは6%弱で、資本コストに届かないまま、堅いが地味な会社であり続ける。利益は物価とともに名目で増えるが、資本の効率は大きく変わらない。
- 国内制御装置:数量 2,600(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 105 億円・営業利益 7 億円。2,600 面(1.05 倍)× 0.0402 億(1.34 倍)、利益率 6.5%
- 海外制御装置:数量 216(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。216 面(横ばい)× 0.0402 億、利益率 1%
- 樹脂:数量 3,300(販売量(トン))× 価格 0.00(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。3,300 トン(横ばい)× 物価 1.34 倍、利益率 3%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 65 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の盤の数量はほぼ横ばいで、値段は物価並み、利益率は今より少し上がる筋書き。値上げの定着は実績があり、6% 台の目標には届かない所がいちばん起きやすいとみた。
やや悲観 22% 建設の山を越え、盤が値段の勝負に戻る 利益 2 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 439 円19 億円
2030年ごろに工場とデータセンターの建設が一巡し、盤と制御盤の受注は減る。入札の値段の勝負に戻り、値上げは物価に届かない。エレベーターのセンサーは改修で支えられるが、中国製の安い品に一部の客を奪われる。国内の利益率は4%に下がり、海外は小さな赤字が続く。営業利益は2億円台で、過去10年の平均並みに戻る。配当は性向4割を保つが額は減る。ROEは2%台に沈み、価値は稼ぐ力から見た水準まで下がる。財務は堅いままで、会社が傾く心配は小さい。持ち合いの株は残り、資本の重さも変わらない。株主に戻る分は配当の細りとともに減っていく。
- 国内制御装置:数量 2,350(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 88 億円・営業利益 4 億円。2,350 面(0.95 倍)× 0.0375 億(1.25 倍)、利益率 4%
- 海外制御装置:数量 150(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。150 面 × 0.036 億、利益率 −3%
- 樹脂:数量 3,000(販売量(トン))× 価格 0.00(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。3,000 トン × 0.003 億、利益率 1.5%
倍率:稼ぐ力は純利益 1.9 億÷k 8%≒24 億。ROE が k を大きく下回るので 1÷k の 7 割強の 9.0 倍で 17 億。PBR は今の自己資本に対し 0.26 倍で中立より低い。
確率:設備投資の山を越えて盤の受注が減り、値上げも止まる筋書き。2023/03 期に営業赤字を出した実績があり、今の好調が循環の高めにあるので 2 割強にした。
悲観 10% センサーの値崩れと盤の赤字 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 235 円10 億円
中国のセンサーのメーカーが、安い品で国内のエレベーターの改修に入り込む。エレベーターの会社は費用を下げるため、部品の調達先を変える。東洋電機のシェアは半分ほどに落ち、値段も下がる。配電盤は受注が細り、入札で赤字の案件も取らざるを得ない。海外の子会社は清算に向かう。全社は小さな営業赤字になり、配当は大きく減らす。財務が堅いので会社は残るが、稼ぐ力は消える。価値は手元の資産の一部にとどまる。少数株主の取り分は、資産の残りのわずかな部分だ。エレベーターの会社との長い取引も、値段の前では守りにならない。
- 国内制御装置:数量 2,000(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 72 億円・営業利益 1 億円。2,000 面(0.81 倍)× 0.036 億(1.2 倍)、利益率 1.5%
- 海外制御装置:数量 100(出荷(盤の面数に換算、面))× 価格 0.04(1 面あたりの売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。100 面 × 0.036 億、利益率 −5%
- 樹脂:数量 2,800(販売量(トン))× 価格 0.00(1 トンあたりの売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。2,800 トン × 0.0029 億、利益率 0.5%
倍率:赤字なので PBR で置く。値は売れる資産の残り(floor_assets_why)で、今の自己資本 66.5 億に 0.15 倍。
確率:看板のセンサーで値段を崩され、盤も赤字になる構造的な負けの筋書き。財務が堅く会社が傾く心配は小さいので 1 割にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内制御装置
配電盤・制御盤・変圧器と、エレベーター用の光のセンサー。春日井の工場で作る。
| 数量出荷(盤の面数に換算、面) | 価格1 面あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,466 | 0.03 | 74 | 4 |
| 10 年後 中立 | 2,600 | 0.04 | 105 | 7 |
取り方:出荷の数量は開示が無い。盤 1 面 300 万円と見て、センサーも金額で盤に換算し、売上 73.97 億から 2,466 面と推定。利益は有報のセグメント利益 4.40 億。
海外制御装置
中国(南京華洋電気)とタイの子会社。盤とセンサーの製造・販売。
| 数量出荷(盤の面数に換算、面) | 価格1 面あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 216 | 0.03 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 216 | 0.04 | 9 | 0 |
取り方:国内と同じ 1 面 300 万円の換算で、売上 6.49 億から 216 面と推定。利益は有報のセグメント損失 0.03 億。
樹脂
東洋樹脂。使い終わったプラスチックを再生したペレットの製造・販売。
| 数量販売量(トン) | 価格1 トンあたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,300 | 0.00 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3,300 | 0.00 | 11 | 0 |
取り方:販売量の開示は無い。再生ペレット 1 トン 25 万円と見て、売上 8.25 億から 3,300 トンと推定。利益は有報のセグメント利益 0.25 億。
リスクと懸念
建設と設備投資の山
配電盤と制御盤の需要は、工場の建設とデータセンター、公共工事に連動する。今は高めの局面で、山を越えれば受注と値段が同時に下がる。2023/03期には営業赤字を出した。
センサーの値崩れ
エレベーターのセンサーは国内で7割ほどを握るとされるが、中国製の安い品が改修の需要に入れば値段が下がる。この製品の利益が会社の強みの中心で、崩れると影響が大きい。
海外の子会社
中国の子会社は設備投資の冷え込みで売上が3割近く減った。タイも規模が小さい。赤字が広がれば、撤退の費用も出る。
利益率の目標
中期計画は営業利益率6.3%を掲げるが、過去12年の最高は4.3%だ。目標に届かなければ、ROEは資本コストの半分にとどまる。
人手と工場
盤の組み立てと設計は人手に頼る。熟練の技術者が減り賃金が上がれば、費用が値上げを上回るおそれがある。
今後の分かれ目
- 2028/03期に営業利益率5.5%を達成する
- 中期計画が数字で確かめられる。やや楽観の確率を上げる。
- 受注残が2年続けて減る
- 建設の山を越えた兆し。やや悲観の確率を上げる。
- エレベーターのセンサーで新しい競合が大口の客を取る
- 堀が崩れ始めた印。悲観の確率を上げる。
- 持ち合いの株を売り、自社株買いや増配に回す
- 資本の使い方が変わる。戻り方と倍率を見直す。
- 同業や大手から買収・提携の話が出る
- センサーの価値が値段に乗る。前提を見直す。
見ておくもの
- 国内制御装置の受注残と利益率
- エレベーター用センサーの出荷と値段
- 海外子会社の損益
- 中期計画の利益率の進み
- 持ち合いの株の売却と還元
倍率と資本コストの決め方
今の株価は使っていない。10 年後の ROE は中立で約 5.7% と k 8% を下回り、PER の上限は 1÷k=12.5 倍。センサーの安定した稼ぎと景気の波をかぶる盤を合わせ、中立は上限の 8 割の 10.0 倍とした。今の PBR 0.5 倍台は根拠にしていない。悲観は自己資本でなく売れる資産の残りで置いた。2028/03 期の新リース会計は、賃借が小さく影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.4→12.65 倍・やや楽観 PER 10.6→12.5 倍・中立 PER 10→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。