結論
東亜ディーケーケーは、水質・大気・ガスを測る分析計の専業だ。上下水道、電力、半導体工場、透析病院が客で、売上の約5割は納めた機器の保守、電極、標準液といった継続収入が占める。
筆者の結論は、やや割高である。10年後の価値は今の時価総額を4分の1ほど下回る。事業の稼ぐ力が弱く、厚い現金と政策保有株を足しても追いつかない。
足元は悪い。2026年3月期の営業利益は約5億円で、2年前の3分の1以下に落ちた。半導体工場の建設が延び、公共インフラの需要は軟調で、中国向けの水質計も伸びなかった。純利益が黒字を保てたのは、持ち合い株の売却益のおかげだ。
会社の計画は、2028年3月期に営業利益18億円だ。筆者は中立でも、10年後に営業利益率を8%前後までしか見ない。国や自治体の入札で価格が決まり、賃金だけが上がるからだ。
救いは財務だ。純現金は約52億円あり、米ハック・カンパニーが34%を持つ。ただ、現金は株主に戻ってきた実績が薄い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は安全だが、持ち続けて増えるタイプではない。
事業は、水の測定という社会に欠かせない仕事だ。10年後も残る。ただ、強い値決め力はなく、利益率は賃金と入札で押される。オーナーの手元に残る利益は、会計上の利益より少ない。
財務は堅い。現金と持ち合い株で時価総額の半分に迫る。ただ、少数株主はその現金の使い道を決められない。自社株買いは小さく、積み上がった現金は事業の収益を下げている。
悲観でも値段は現金と株が支える。上振れは、半導体向けと保守収入の拡大で利益が倍になる場合に限られる。
今の時価総額は、その半分を織り込んでいる。安全域は足りない。
経営への評価は、現金の使い方を見てからになる。持ち合い株を売って得た資金を、事業に回すのか、株主に戻すのかが、まだ見えない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、電気化学のセンサーを核にした計測機器だ。水に溶けた成分や大気中のガスを測る装置を作る。下水処理場や浄水場、発電所、半導体工場の排水、透析の薬液の管理に使われる。
売上178億円のうち、環境・プロセス分析機器が約57億円、科学分析が約12億円、医療関連が約7億円だ。残りの約96億円は保守・電極・標準液のアフター分野で、納めた装置が動く限り続く。
製造は山形と岩手の関係会社に任せ、遠野市では13.9億円の貸与設備を建てている。顧客に特定の1社はなく、売上の1割を超える相手はいない。
ほかに、新宿の本社隣の賃貸ビルから年2億円強の賃料が入る。賃料は利益の1割ほどに当たり、本業の波を和らげる。
機器の販売は景気と公共予算で揺れるが、アフターは装置の数に比例して安定する。この二層の構造が、同社の稼ぎ方だ。
利益の大半はアフターが生む。新規の機器は、アフターの入り口を取る役目に近い。機器で稼ぐ力が落ちても、納めた装置が動く限り収入は残る。ただ、その装置の数を増やすには、入札に勝ち続けるしかない。
優良さと弱いところ
優良さは、普通からやや弱い。筆者は堀を認めるが、強いとは言わない。
強みは、現場に深く入った顧客基盤だ。装置は一度納めると、検定や校正、消耗品の交換で長く付き合う。アフターが売上の過半を占めるのはその表れだ。財務も厚く、自己資本比率は約79%ある。
弱みは、利益率が下がり続けていることだ。計測機器の利益率は、2年前の約16%から約8%に落ちた。原材料と人件費が上がり、機器の値段は入札で決まる。国内の競合には堀場製作所や横河電機、ガス検知では理研計器がいる。中国では地場のメーカーが台頭している。
研究開発に年7億円を使うが、それが利益に結びつく証拠はまだ薄い。
米国の水質分析大手ハック・カンパニーが34.2%を持ち、取締役を3人出せる。技術面の提携は強みだが、経営の自主性は制約される面もある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
水質・大気の分析計の需要は、水インフラの更新、環境規制、半導体工場の排水管理という3本柱に支えられる。国内の上下水道は老朽化が進み、更新需要は長く続く。一方で自治体の予算は限られ、数量は人口減で伸びにくい。それでも装置の更新の周期は決まっており、需要が急に消えることはない。
中立の10年は、機器の数量が実質で1割ほど、稼働している装置の数が1割強増える。半導体と水素の新しい需要が数量を押し上げる。価格は物価に届かない。入札の競争と中国勢の安値が価格を縛り、機器は10年で1.27倍、アフターは1.3倍と置いた。
循環は穏やかだ。公共予算は動きが遅く、半導体向けだけが景気で揺れる。
競争は、堀場製作所、横河電機、ハック・カンパニー、島津製作所などと重なる。同社は水質に特化し、国内の官公庁の現場に根を張る。
分かれ目は、半導体工場の建設が再開するか、水素のセンサーが育つか、中国で売れるかだ。
規制の面では、排水や大気の基準が厳しくなるほど、測る装置は増える。ただ、新しい基準の多くは国内の自治体や大企業の予算を通る。同社が取れる量は、入札での勝率で決まる。
資本政策と M&A
資本政策は、配当性向30%以上の累進配当が方針だ。直近の配当総額は約4.3億円で、自社株買いも約2.6億円行った。
筆者の見立てでは、還元は利益の4割ほどで、現金は戻るより積み上がってきた。純現金は過去10年で約30億円から約52億円に増えた。
持ち合い株は約31億円で、堀場製作所の株が約21億円を占める。毎年少しずつ売り、当期は約7億円の売却益を出した。配当は利益に入るので、価値には足していない。
ハック・カンパニーが34.2%を持つ。買収の可能性はあるが、価値の計算には入れていない。
新宿の賃貸用の土地は簿価で約10億円だ。時価は開示がなく、含み益は足していない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
足元の利益は一時的に落ちているだけだ。半導体工場の建設延期は、再開すれば受注が戻る。国内の水インフラは老朽化で更新が続き、アフターの収入は増える。水素のセンサーは新しい需要だ。燃料電池や水素の工場が増えれば、漏れを検知する装置は必ず要る。
会社の計画は、2028年3月期に営業利益18億円、その先は25億円以上だ。過去は営業利益率が11%を超えており、そこに戻せば利益は倍になる。人手のかかる保守も、遠隔監視を使えば効率が上がる。
財務は純現金約52億円、持ち合い株約31億円で、時価総額164億円の半分に迫る。借入も小さく、金利が上がっても利払いは増えない。悲観でも下値は堅い。自社株買いが増えれば、1株の価値は上がる。筆頭株主のハックは技術面で支え、買収もありうる。研究開発が実を結び、利益率が戻る可能性は残っている。
製造を関係会社に任せる仕組みは、需要が戻った時に生産を増やしやすい。固定費の重い工場を抱えない分、利益の戻りは速いはずだ。
慎重な見方
計測機器の利益率は2年で半分になった。原因は一時的な延期ではなく、原価の上昇と入札の価格競争、中国の失速だ。会社の計画は過去も未達が続いている。
国内の水インフラは予算が限られ、人口が減る中で数量は伸びない。中国の地場メーカーが安値で攻める。国内でも、海外大手が日本の官公庁に入り込む可能性がある。賃金は毎年上がり、価格は追いつかない。
純利益は売却益で守られたもので、本業は赤字寸前だ。現金は積み上がるだけで、株主には戻らない。ハックが34%を持つので、少数株主が買収の条件を決められない。
研究開発に年7億円を使っても、利益は増えていない。新製品が入札で評価されなければ、価格を上げられず、開発費だけが重くなる。回復は計画の期待で、実績の裏づけは薄い。過去の中期計画も、達成できないまま次の計画に置き換わってきた。
保守収入も、装置の数が増えない限り伸びない。入札で負ければ、数年後のアフターの収入が減る。足元の不振は、数年先の保守の細りにつながる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が少し強い。計画は過去に何度も未達で、利益率の低下は構造に近い。ただ、現金と株の厚みは悲観の下値を作る。
確率は中立に4割、やや楽観と楽観に合わせて3割弱、悲観側に3割強を置いた。10年後の価値は今の時価総額を4分の1ほど下回る。ハックによる買収の可能性は、価値の計算に入れていない。持ち合い株の売却益に頼る利益の出し方は、続かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,148 円224 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 202 円40 億円)。 今の値に割り戻すと 698 円136 億円、今との差 −16.3%、 期待の年率 +4.9%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,844 円556 億円 | 425 円83 億円 | +292.0% | +14.6% | 262 円51 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,711 円334 億円 | 302 円59 億円 | +141.4% | +9.2% | 403 円79 億円 |
| 中立 | 40% | 1,138 円222 億円 | 215 円42 億円 | +62.2% | +5.0% | 541 円106 億円 |
| やや悲観 | 22% | 414 円81 億円 | 97 円19 億円 | −38.7% | −4.8% | 112 円22 億円 |
| 悲観 | 10% | 318 円62 億円 | 5 円1 億円 | −61.3% | −9.1% | 32 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,148 円224 億円 | 202 円40 億円 | +61.9% | +4.9% | 1,350 円264 億円 |
今の株価時価総額 834 円163 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:半導体と保守収入がそろって伸びる 利益 34 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 2,844 円556 億円
半導体向けの排水監視計と水素のセンサーが立ち上がり、機器のシェアが7%に上がる。価格は物価並みで、10年で1.34倍になる。アフターも装置が増えて1.3倍になり、利益率は18%に乗る。営業利益率は12%台と、過去の最高に迫る。研究開発の成果が出て、米ハックとの連携も広がる。会社の計画を大きく超え、利益は10年で今の10倍近くになる。それでも、現金の積み上がりは変わらず、株主への戻り方は小さいままだ。現金は事業に使われ、還元も増える。国内の官公庁の現場で培った信頼が、海外の水質需要にも広がる。経営の資本配分が変わり、株主への戻りも厚くなる。
- 新規の分析機器(環境・プロセス・科学・医療・ガス検知):数量 2,080(国内外の水質・大気・産業ガスの分析機器の市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 9.4%(実質の市場に占める売上の割合=シェア × 販売単価の指数)→ 売上 195 億円・営業利益 27 億円。実質の市場 2080 億円 × シェア 7.0%、販売単価の指数 1.34 倍、営業利益率 14%
- アフター(保守・電極・標準液):数量 52.0(稼働している装置の数(千台。推定)× 1台あたりの年間売上(万円))× 価格 32(1台あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 167 億円・営業利益 30 億円。稼働装置 52.0 千台 × 1 台 32.1 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 18.0%
- 不動産賃貸:数量 1.0(賃貸ビル(棟))× 価格 3.15(1棟あたりの年間賃料(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。賃料は物価並みに緩やかに上がる
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 15.85 倍、時価総額 556 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:楽観は、半導体と水素、保守の拡大が同時に来る場合に限る。
やや楽観 20% やや楽観:計画に近い回復 利益 23 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,711 円334 億円
機器は半導体の工場が動き、国内の更新も続く。シェアは6%に上がる。価格は10年で1.3倍に届く。アフターは稼働装置が2割増え、利益率は16%台に戻る。営業利益率は10%に乗り、計画の2030年度の目標を超える。国内の更新需要で数量が支えられ、中国向けは小さいまま推移する。研究開発費が利益を圧迫するが、新製品の投入で入札の勝率が少し上がる。ただし、賃金が上がるので、過去の最高には届かない。現金は事業に使われ、還元は利益の4割ほどが続く。国内の更新需要と半導体の戻りが、ゆっくりと利益を押し上げる形だ。
- 新規の分析機器(環境・プロセス・科学・医療・ガス検知):数量 1,920(国内外の水質・大気・産業ガスの分析機器の市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 7.8%(実質の市場に占める売上の割合=シェア × 販売単価の指数)→ 売上 150 億円・営業利益 18 億円。実質の市場 1920 億円 × シェア 6.0%、販売単価の指数 1.30 倍、営業利益率 12%
- アフター(保守・電極・標準液):数量 48.0(稼働している装置の数(千台。推定)× 1台あたりの年間売上(万円))× 価格 32(1台あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 152 億円・営業利益 25 億円。稼働装置 48.0 千台 × 1 台 31.6 万円(今の 1.32 倍)、営業利益率 16.5%
- 不動産賃貸:数量 1.0(賃貸ビル(棟))× 価格 3.24(1棟あたりの年間賃料(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。賃料は物価並みに緩やかに上がる
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 13.75 倍、時価総額 334 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:やや楽観は、計画に近い回復が起きる筋書き。
中立 40% 中立:計画に届かない回復。利益率は8%前後 利益 15 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,138 円222 億円
機器は市場が実質で1割伸び、シェアは5%を保つ。価格は競争で物価に届かず、10年で1.27倍だ。アフターは稼働装置が15%増え、1台の売上は1.3倍になる。営業利益率は8%前後に戻り、過去の11%台には戻らない。全社費用は賃金の上昇で10.7億円から14億円に増える。半導体向けは緩やかに戻り、水素のセンサーは小さな事業にとどまる。減価償却は今の設備のぶんは増えない。岩手の新設備の償却が足されるだけで、費用の大半は物価で上がる。会社の計画は2028年3月期に営業利益18億円だが、この筋書きは10年かけてそこに届く。
- 新規の分析機器(環境・プロセス・科学・医療・ガス検知):数量 1,760(国内外の水質・大気・産業ガスの分析機器の市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 6.4%(実質の市場に占める売上の割合=シェア × 販売単価の指数)→ 売上 112 億円・営業利益 11 億円。実質の市場 1760 億円 × シェア 5.0%、販売単価の指数 1.27 倍、営業利益率 10%
- アフター(保守・電極・標準液):数量 46.0(稼働している装置の数(千台。推定)× 1台あたりの年間売上(万円))× 価格 31(1台あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 143 億円・営業利益 22 億円。稼働装置 46.0 千台 × 1 台 31.1 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 15.0%
- 不動産賃貸:数量 1.0(賃貸ビル(棟))× 価格 3.24(1棟あたりの年間賃料(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。賃料は物価並みに緩やかに上がる
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 222 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中立は、計画をやや下回る回復を置く。
やや悲観 22% やや悲観:入札と中国に押される 利益 6 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 414 円81 億円
官公庁の入札で値下がりが続き、機器のシェアは4%台に下がる。価格は10年で1.15倍にとどまる。半導体向けは工場の延期が続き、中国向けは売れない。アフターは装置の数が頭打ちで、利益率は13%台。営業利益率は4%台に下がる。ただし、現金と持ち合い株が下値を支える。研究開発の成果は出にくく、新製品でも価格を上げられない。賃金は上がり続け、全社費用は14億円で変わらず重い。持ち合い株の売却益で純利益を保つが、半導体向けは延期が続き、本業の利益は減っていく。半導体向けの需要が戻らず、アフターの装置の数も伸びない。
- 新規の分析機器(環境・プロセス・科学・医療・ガス検知):数量 1,600(国内外の水質・大気・産業ガスの分析機器の市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 4.8%(実質の市場に占める売上の割合=シェア × 販売単価の指数)→ 売上 77 億円・営業利益 5 億円。実質の市場 1600 億円 × シェア 4.2%、販売単価の指数 1.15 倍、営業利益率 6%
- アフター(保守・電極・標準液):数量 43.2(稼働している装置の数(千台。推定)× 1台あたりの年間売上(万円))× 価格 29(1台あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 124 億円・営業利益 17 億円。稼働装置 43.2 千台 × 1 台 28.8 万円(今の 1.20 倍)、営業利益率 13.5%
- 不動産賃貸:数量 1.0(賃貸ビル(棟))× 価格 2.66(1棟あたりの年間賃料(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。賃料は物価並みに緩やかに上がる
倍率:ROE 2.3% は k 7.5% に届かず、上限 1÷k=13.3 倍の約 8 割の 10.5 倍。利益の質が低い筋書きなので、上限へ寄せない。
確率:やや悲観は、価格競争が続き、数量が伸びない筋書き。
悲観 10% 悲観:機器が競争で崩れ、アフターも縮む 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 318 円62 億円
中国と国内の競合に価格で負け、機器のシェアは3%に下がり、値段は10年で変わらない。国内の入札でも勝てなくなる。装置の数が減り、アフターも縮む。営業利益はほぼゼロだ。研究開発は続けるが成果はなく、ハックによる買収の条件も少数株主には選べない。現金と持ち合い株の売却で配当は維持するが、株式の値段は資産の換金価値が下値になる。事業の収益は薄く、会社は縮んだ形で存続する。現金は積み上がるが、少数株主には戻らない。配当を払っても自己資本の厚さだけが残る。ハックを含む株主の間で、事業の将来を巡る見方が割れる可能性もある。
- 新規の分析機器(環境・プロセス・科学・医療・ガス検知):数量 1,440(国内外の水質・大気・産業ガスの分析機器の市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 3.0%(実質の市場に占める売上の割合=シェア × 販売単価の指数)→ 売上 43 億円・営業利益 0 億円。実質の市場 1440 億円 × シェア 3.0%、販売単価の指数 1.00 倍、営業利益率 0%
- アフター(保守・電極・標準液):数量 38.0(稼働している装置の数(千台。推定)× 1台あたりの年間売上(万円))× 価格 26(1台あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 100 億円・営業利益 10 億円。稼働装置 38.0 千台 × 1 台 26.4 万円(今の 1.10 倍)、営業利益率 10.0%
- 不動産賃貸:数量 1.0(賃貸ビル(棟))× 価格 2.42(1棟あたりの年間賃料(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃料は物価並みに緩やかに上がる
倍率:稼ぐ力はほぼゼロなので、売れる資産の換金価値で置く。今の自己資本 230 億円×0.27=約 62 億円。
確率:悲観は、構造的に競争に負ける筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
新規の分析機器(環境・プロセス・科学・医療・ガス検知)
水質計、大気測定装置、科学分析機器、透析関連機器、ガス検知警報器の新規販売。
| 数量国内外の水質・大気・産業ガスの分析機器の市場(億円・今の値段で測った実質) | 価格実質の市場に占める売上の割合=シェア × 販売単価の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,600 | 5.0% | 80 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,760 | 6.4% | 112 | 11 |
取り方:同社の領域の機器市場は開示が無く、約1,600億円と推定した(根拠は弱い)。売上80.0億円(環境・プロセス57.1、科学11.9、医療7.5、ガス検知3.4)から、実質シェア5.0%を逆算した。セグメント利益は計測機器全体の14.2億円を、アフターの利益率を高めに見て配分した推定値で、機器側は約3%。
アフター(保守・電極・標準液)
納めた装置の保守、校正、電極・標準液などの消耗品。売上の過半を占める継続収入。
| 数量稼働している装置の数(千台。推定)× 1台あたりの年間売上(万円) | 価格1台あたりの年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 40.0 | 24 | 96 | 12 |
| 10 年後 中立 | 46.0 | 31 | 143 | 22 |
取り方:稼働装置の数は開示が無く、約4万台と推定した(根拠は弱い)。アフター売上95.9億円から1台あたり年24万円を逆算。千台×万円×0.1=億円。利益はセグメント利益の配分で、利益率は約12%。
不動産賃貸
本社隣の賃貸ビルの賃料収入。
| 数量賃貸ビル(棟) | 価格1棟あたりの年間賃料(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 2.42 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 3.24 | 3 | 2 |
取り方:賃料は年2.4億円で、10年は物価並みに緩やかに上がる想定。
リスクと懸念
利益率の低下が止まらない
計測機器の利益率は2年で約16%から約8%に落ちた。原材料と人件費が上がるのに、入札で値段が決まる。10年の利益率を8%前後としたが、価格競争がさらに強まれば届かない。
半導体向けの延期
国内の半導体工場の建設延期が減益の一因だった。半導体向けは景気で揺れ、再開しなければ数量が戻らない。
中国での失速
中国向けの環境水質計は販売が計画に届かなかった。地場メーカーの安値と、現地の需要の鈍さが重なる。
現金が株主に戻らない
純現金は約52億円と厚いが、積み上がる一方で、還元は利益の4割ほどだ。ハックが34%を持つので、少数株主が使い道を決められない。
持ち合い株の価格
持ち合い株は約31億円で、堀場製作所の株が約21億円を占める。株価が下がれば純資産が目減りし、売却益も当てにできない。
ハックとの関係
ハックは技術面の提携先であると同時に、34%を持つ筆頭株主で、取締役を3人出せる。経営の自主性が制約される面があり、買収の条件も少数株主には選べない。
今後の分かれ目
- 半導体工場の建設が再開し、国内の受注が前年を上回ったら
- 機器の数量の前提を上げ、やや楽観と楽観の確率を上げる。
- 計測機器の利益率が2期続けて10%を超えたら
- 利益率の前提を上げ、中立の営業利益率を見直す。
- 中国向けの水質計が前期を超えて伸びたら
- 機器のシェアの前提を上げる。
- 現金を使った自社株買いが大きく行われたら
- 余った現金の戻り方を0.5から上げて見直す。
- ハックが買収の意向を示したら
- 価値の計算には入れていないので、上乗せ要因として別に見る。
- 国内の水インフラ更新の予算が減ったら
- アフターの稼働装置の前提を下げる。
見ておくもの
- 半導体工場の建設再開と国内の受注
- 計測機器の利益率(10%に戻るか)
- 中国向けの水質計の販売
- 現金の使い道と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k は 7.5%(quality の合計 0)、g は 4%、ROE が k に届かない中立は上限 1÷k 以下に置いた。今の PER・PBR、同業の倍率には寄せていない。市場規模(機器 1,600 億円・稼働装置 4 万台)は推定で根拠が弱いので、数量はシェアと台数の変化で動かした。全社費用 10.7 億円は物価で上がる(償却は 7.3 億円で今の設備は増えず、新設備の分だけ足す)ので 14 億円とした。持ち合い株の配当は利益に残してあるので、価値に足していない。余った現金は戻り方 0.5 で足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.7→15.85 倍・やや楽観 PER 12→13.75 倍・中立 PER 12→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k=基本 7.5%+quality 0.0%=7.5%。