結論
イビデンは NVIDIA の GPU を載せる最上位の IC パッケージ基板でシェア 7〜8 割を持ち、AI アクセラレータ全体でも個数で 4 割台を握る基板の主役である。電子事業が売上の 6 割弱・利益の 8 割を生み、2027 年 3 月期は営業利益 1,270 億円(前期の 2 倍)を見込む。2026〜2028 年度の約 5,000 億円の増設は、NVIDIA(約 2,800 億円)とインテル(約 2,200 億円)からの前受金で賄う形で、自己資本を削らずに能力を面積で 2024 年比 2.5 倍にする。
ここでは AI 向けを「世界の AI アクセラレータの出荷 × イビデンのシェア × 1 個の基板の値段」で積んだ。今は約 1,000 万個 × 44% × 約 3.2 万円 = 約 1,400 億円。中立の 10 年後は、世界 5,000 万個(5 倍)× シェア 25%(ユニミクロン・サムスン電機・AT&S の増設と ASIC の台頭で下がる)× 1 個約 9.4 万円(大型化で実質 2.2 倍、物価で 1.34 倍)= 約 1.17 兆円、営業利益率 25%。全社の純利益は約 2,250 億円、正当化 PER の 8.5 割の約 11.6 倍(k 8.25%。基本 7.5%に循環・値決め力・寿命の +1.5%)で時価総額は約 2.6 兆円になる。
今の時価総額 約 5.5 兆円を 10 年後に正当化するには、純利益で 8,000〜9,000 億円、つまり世界の AI 個数が 8 倍になり、シェア 4 割台を保ち、1 個の値段が 3 倍超になる、を同時に満たす必要がある。これは楽観の筋書き(世界 6,500 万個 × 35%)よりさらに上で、確率で重みを付けると本質価値は今の値段の 3 割弱にとどまる。事業は優れているが、値段が数量 × 価格で説明できる範囲を大きく超えているので「割高」とみる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、イビデンは「わかる事業」と「わからない値段」の組み合わせに見える。最上位の基板で歩留まりを出す技術、顧客が前払いしてまで能力を押さえる関係は、本物の強みである。前受金で設備を賄うのは、株主の資本を使わずに能力を増やす上手な資本配分でもある。
一方で、オーナー利益を 10 年先まで見通すのは難しい。基板は AI アクセラレータの部品で、1 個の値段は品薄か供給過剰かで大きく振れ、過去 20 年に 3 回、営業利益率が 2〜3% まで落ちた。競合は増設を急ぎ、ASIC への移行でイビデンの得意な GPU の比率は下がる。10 年後の中立で純利益約 2,250 億円、それに 11 倍台の倍率を当てると時価総額は約 2.6 兆円で、今の約 5.5 兆円の半分にも届かない。
安全域は無い。今の値段は、世界の AI 個数が 8 倍、シェア 4 割台維持、1 個の値段 3 倍超を同時に求めており、それは楽観の筋書きの先にある。良い会社でも払う値段が高すぎれば良い投資にはならない、という典型に近い。
何で稼ぐ会社か
電子事業は、半導体チップとプリント基板の間をつなぐ FC-BGA(ABF 基板)を作る。チップの細かい端子を、何層もの細い配線で広げてマザーボードにつなぐ部品で、AI 向けは 1 枚が手のひら大に近く、層数は 14〜20 層に達する。NVIDIA の Hopper・Blackwell・Rubin、AMD の Instinct、インテルの Xeon・Gaudi などに供給し、ハイエンド品の売上の大半は NVIDIA 向けとみられる。2023 年にスマートフォン用のプリント配線板から撤退し、サーバーと AI に絞った。2026 年 3 月期は電子事業の売上 2,433 億円・営業利益 452 億円、2027 年 3 月期の第 1 四半期は売上 775 億円・営業利益率 27.6% まで上がった。
この分析では電子事業を二つに分ける。AI・サーバー向け先端基板(GPU・TPU などのアクセラレータ用、約 1,400 億円と推定)と、PC・汎用サーバー向け基板(インテル・AMD の CPU 用、約 1,030 億円)である。前者は 1 個の値段が高く(約 210 ドル)、後者は個数が多く値段が低い(約 13 ドル)。
セラミック事業は SiC 製のディーゼル微粒子フィルター(DPF)が中心で、触媒の保持シール材と半導体製造用のグラファイトも作る。欧州の乗用ディーゼルが EV に置き換わる流れで量は細り、2026 年 3 月期の営業利益は前期比 37% 減った。その他事業は工場建設・設備工事、建材・樹脂、食品、物流で、電子事業の増設が続くと建設と保守の仕事が増える。
2026 年 3 月期の純利益 637 億円には豊田自動織機の TOB に応じた投資有価証券の売却益約 494 億円が入っており、本業の純利益は 300 億円台だった点に注意が要る。
優良さと弱いところ
優良さの中心は、最上位の基板を高い歩留まりで量産できる技術である。層を重ねるほど反りと位置ずれが増え、20 層を超える品で歩留まりを保てる会社は少ない。H100 の頃はほぼ 100% をイビデンが供給し、今も最上位で 7〜8 割とされる。顧客が基板メーカーを切り替えるには 18〜24 か月の認定が要り、NVIDIA とインテルが 5,000 億円を前払いしてまで能力を押さえた事実は、代わりが少ないことの裏付けになる。
ただし独占とまでは言えない。2025 年にはユニミクロンが NVIDIA の AI 基板の数量の約 3 割を取り、サムスン電機は AI 基板に約 49 億ドルを投じ、LG イノテックも参入した。ASIC(Google の TPU、AWS の Trainium)ではユニミクロン・南亜・欣興系が強く、イビデンの比率は低い。AI アクセラレータ全体で見たシェアは個数で 4 割台であり、材料の ABF 膜こそ味の素がほぼ独占している。このため堀の強さは「普通」(資本コストを超える稼ぎの半分が先まで残る)と置き、強い堀にはしなかった。
資本効率は景気で大きく揺れる。2017 年 3 月期は大きな赤字、2025 年 3 月期の ROE は 6.9%、2026 年 3 月期は特別利益込みで 11.6%。前受金で設備を賄う形は自己資本を使わずに能力を増やせるので、増設が当たれば ROE は 15〜20% に上がるが、外れた時は減価償却が重く残る。財務は自己資本比率 57%・実質無借金で厚い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
AI アクセラレータの出荷は 2025 年に約 1,000 万個、2026 年に約 1,630 万個(前年比 +62%)の見通しで、GPU の比率は 68% から 58% へ下がり、2027 年には ASIC(約 1,250 万個)が GPU(約 1,090 万個)を数で上回るという予測もある。1 個の基板も大きくなる。H100 は面積 3,190 平方ミリ・12 層、GB200 は 5,913 平方ミリ・14 層、Rubin は 8,051 平方ミリ・18 層、Rubin Ultra は 16,102 平方ミリ・20 層で、面積 × 層数は 2 世代で 4 倍近い。ABF 基板の面積の需要は 2025 年から 2028 年に 2.6 倍、AI・高速スイッチ向けの比率は 2024 年の 26% から 2028 年に 73% へ上がり、稼働率は 2027 年に 100% を超えるとされる。
競合は、台湾のユニミクロン(世界最大の ABF 基板メーカー、NVIDIA の数量の約 3 割を獲得)、日本の新光電気(JIC 傘下で非上場化、CPU 向けが強い)、韓国のサムスン電機(AI 基板に約 49 億ドル投資、AMD・Google 向け)、オーストリアの AT&S(マレーシアに新工場、AMD・インテル向け)、台湾の南亜電路板・景碩、韓国の LG イノテック。増える能力の半分超はユニミクロンとイビデンが担い、品薄の今は値段が上がっている(業界の値段の指数は 2025 年 2.0 → 2027 年 3.6 の見通し)。
10 年で見ると、品薄はいずれ解け、供給が追いつけば値段は落ち着く。2009 年・2013 年・2017 年に営業利益率が 2〜3% まで落ちたのは、PC 向けの能力過剰と値下げが原因だった。さらに、ガラス基板(サムスン電機・インテルが量産を準備)や、TSMC の CoWoS で基板の役割の一部をシリコンの中継板が担う流れは、有機基板の層数競争での優位を薄めうる。業種のノートの通り、悲観はリーマン級の AI 投資の巻き戻しを置く。
資本政策と M&A
配当は配当性向 20% 前後を目安に累進配当で、2027 年 3 月期も増配の計画。自社株買いは小さく、稼いだお金は増設に回す方針である。2026 年 9 月末に 1 株を 2 株に分けた。
資本政策でいちばん大きいのは、5,000 億円の増設を顧客の前受金で賄う仕組みである。大野(約 2,800 億円、NVIDIA)と河間(約 2,200 億円、インテル)の設備は、顧客の前払いで買い、その後の納入で前受金を消していく。経済産業省の助成も最大 405 億円ある。自己資本も借金も使わずに能力を増やせる反面、前受金の分は将来の納入でお金が入らないので、2028 年度以降の次の増設はイビデン自身の現金か借金で賄う必要が出る。ここでは 10 年後に純有利子負債が 2,000〜3,000 億円になり、3.5% 前後の新しい金利で利払いが年 90 億円前後かかると置いた。
政策保有株は 2027 年度までに半分以上減らす目標で、豊田自動織機株の売却で大きな特別利益を出した。大きな買収はしておらず、買われる側としても時価総額が大きく現実味は薄い。
点検済み(2026-10-19):起点の特別利益(豊田自動織機株の売却益を除いた)、前受金で賄う設備、悲観の確率を確かめた。割高に見せる見落としは見つからなかった。
点検済み:中立の営業利益率21.4%は過去の山(17.7%)を超えるが、会社の来期予想23.1%・再来期予想20.8%の範囲内で、AIサーバー向け基板の高採算が裏づけ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最上位の AI 基板を量産できる会社は実質 2 社しかなく、イビデンはその先頭にいる。H100 でほぼ全量、Blackwell・Rubin でも最上位の大半を担い、NVIDIA とインテルが合わせて 5,000 億円を前払いした。これは顧客が「イビデンが無ければチップが出せない」と考えている証拠で、値段の交渉力は強い。
数量の伸びも大きい。AI アクセラレータは 2025 年の約 1,000 万個から 2026 年に約 1,630 万個、2027 年に 2,300 万個を超える見通しで、10 年先まで計算の需要は実質で伸び続ける。しかも 1 個の基板は世代ごとに大きく、層も増える(GB200 の 14 層から Rubin Ultra の 20 層へ、面積は 2.7 倍)。個数 × 1 個の値段の掛け算で、AI 向けの売上は 10 年で 10 倍以上になりうる。
能力は 2028 年度に 2024 年比 2.5 倍、その費用は顧客持ちなので ROE は 20% 前後に上がる。業界の稼働率は 2027 年に 100% を超え、品薄の値上げが続く。ASIC でも、Google や AWS の次の世代は基板が GPU 並みに大きくなり、歩留まりで勝るイビデンに声がかかる。楽観の 10 年後は世界 6,500 万個 × シェア 35% × 1 個 10 万円で AI 向け売上 2.3 兆円、営業利益率 32%、純利益 5,400 億円、時価総額 8 兆円。今の値段を上回る道は残っている。
慎重な見方
最上位でのシェアの高さは、能力が足りない今の品薄が作った面が大きい。ユニミクロンは 2025 年に NVIDIA の AI 基板の数量の約 3 割を取り、サムスン電機は約 49 億ドルを投じ、AT&S・LG イノテック・中国勢も能力を足す。業界の能力が需要に追いつく 2028 年以降、値段の指数は品薄の山から下がり、イビデンのシェアも個数で 4 割台から 2 割台へ下がるのが自然である。
AI アクセラレータの主役も GPU から ASIC へ移る。2027 年には ASIC の個数が GPU を上回る見通しで、TPU・Trainium の基板はユニミクロンや南亜が強い。さらに Rubin Ultra のように 1 つのパッケージに複数のチップを載せると、計算の量が増えても基板の個数は増えにくい。ガラス基板やシリコンの中継板が層数の競争を変える可能性もある。
前受金は安いお金に見えるが、裏返せば顧客に値段と能力の配分を握られている。次の増設の費用はイビデンが負い、減価償却は需要が落ちても残る。PC 向けの能力過剰で 2009 年・2013 年・2017 年に営業利益率が 2〜3% まで落ちた歴史を、AI 向けで繰り返す恐れがある。中立でも 10 年後の純利益は約 2,250 億円で、正当化される倍率は 10 倍前後、時価総額は 2.3 兆円前後。今の 5.5 兆円は、楽観の筋書きがすべて当たった先の値段である。
どちらに重みを置いたか
技術の優位と顧客の前払いという強気の論点は本物で、今期の利益の急増は確からしい。ただ 10 年で見ると、業界の能力の増強、ASIC への移行、品薄の値段の正常化という慎重な論点のほうが数量と価格で説明しやすい。確率は中立を最も厚く(10 年 33%)、やや悲観と悲観を合わせて 10 年 32% と、楽観側(35%)とほぼ同じにした。それでも本質価値が今の値段を大きく下回るのは、筋書きの中身より、今の値段が楽観の先を織り込んでいるためである。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 7,171 円4.03 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 828 円4,652 億円)。 今の値に割り戻すと 3,802 円2.14 兆円、今との差 −55.8%、 期待の年率 −0.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 17,691 円9.94 兆円 | 1,623 円9,119 億円 | +124.6% | +8.4% | 2,318 円1.30 兆円 |
| やや楽観 | 23% | 11,498 円6.46 兆円 | 1,157 円6,501 億円 | +47.2% | +3.9% | 2,911 円1.64 兆円 |
| 中立 | 33% | 6,449 円3.62 兆円 | 772 円4,337 億円 | −16.0% | −1.7% | 2,383 円1.34 兆円 |
| やや悲観 | 20% | 1,285 円7,222 億円 | 401 円2,256 億円 | −80.4% | −15.0% | 337 円1,896 億円 |
| 悲観 | 12% | 149 円840 億円 | 267 円1,500 億円 | −95.2% | −26.1% | 50 円281 億円 |
| 加重平均 | 100% | 7,171 円4.03 兆円 | 828 円4,652 億円 | −7.0% | −0.7% | 7,998 円4.50 兆円 |
今の株価時価総額 8,598 円4.83 兆円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 12% 楽観:AI の計算が 6 倍超、最上位の主役を守る 利益 5,442 億円 · PER 18.3 倍 · 株価時価総額 17,691 円9.94 兆円
AI の計算の需要は 10 年を通じて伸び、アクセラレータの出荷は 2035 年に約 6,500 万個(今の 6.5 倍)になる。ASIC が数で GPU を上回っても、基板は GPU 並みに大きく多層になり、20 層を超える品で歩留まりを出せる会社は限られたまま残る。イビデンは 2028 年度以降も顧客の前払いを受けて増設を重ね、個数のシェアを 35% に保つ。1 個の値段は約 10 万円(今の 3.1 倍。面積 × 層数の増加で実質 2.3 倍、物価で 1.34 倍)で、AI 向けの売上は約 2.3 兆円、営業利益率は 32%。全社の営業利益は約 7,800 億円、純利益は約 5,400 億円で、会社の 2030 年度の目標を大きく超える。自己資本は約 2.7 兆円、ROE は 20%。ガラス基板への移行もイビデンが先頭で取り込み、新しい世代でも認定を最初に取る。それでも時価総額は約 8 兆円で、今の値段からの伸びは年率で数%にとどまる。
- AI・サーバー向け先端基板:数量 2,275(イビデンの AI アクセラレータ向け基板の出荷(万個・実質)=世界の AI アクセラレータ出荷 × イビデンのシェア(個数))× 価格 10(基板 1 個あたりの売上(万円・名目)。大型化・多層化で実質も上がり、物価 3% も入る)→ 売上 22,750 億円・営業利益 7,280 億円。2275 万個 × 1 個 10.00 万円、営業利益率 32%
- PC・汎用サーバー向け基板:数量 72.0(イビデンの PC・汎用サーバー向け基板の出荷(百万個・実質、推定))× 価格 2,900(基板 1 個あたりの売上(円・名目))→ 売上 2,088 億円・営業利益 313 億円。72 百万個 × 百万個あたり 29.0 億円、営業利益率 15%
- セラミック(DPF など):数量 480(DPF 換算の出荷(万個・実質、推定))× 価格 2.00(DPF 1 個換算の売上(万円・名目。保持シール材・グラファイトを含む))→ 売上 960 億円・営業利益 115 億円。480 万個相当 × 1 個 2.00 万円、営業利益率 12%
- その他(建設・樹脂・食品・物流):数量 3,200(その他事業の従業員(人・推定))× 価格 4,200(1 人あたりの売上(万円・名目))→ 売上 1,344 億円・営業利益 121 億円。3200 人 × 1 人 4200 万円、営業利益率 9%
倍率:事業の純利益 5,442 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.3 倍。全体の PER 18.27 倍、時価総額 99,425 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:世界の個数 6.5 倍とシェア 35% の維持が同時に要る、上振れが重なる筋。技術の優位は本物なので 12% は置くが、それ以上は厚くしない。
やや楽観 23% やや楽観:GPU の最上位を守り、ASIC でも一部を取る 利益 3,697 億円 · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 11,498 円6.46 兆円
アクセラレータの出荷は 2035 年に約 5,800 万個。ユニミクロン・サムスン電機が ASIC 向けで伸びる一方、イビデンは NVIDIA の最上位と、インテル・AMD の大型品で主役を保ち、個数のシェアは 30%。1 個の値段は約 9.7 万円で、AI 向けの売上は約 1.7 兆円、営業利益率 29%。全社の営業利益は約 5,300 億円、純利益は約 3,700 億円。次の増設の一部は自己資金と借金で賄い、10 年後の利払いは年 60 億円ほど。セラミックは乗用ディーゼルの縮小で量が 25% 減るが、半導体用グラファイトが下支えする。自己資本は約 2.1 兆円、ROE は 18% で、資本コストを大きく上回る稼ぎが続く。
- AI・サーバー向け先端基板:数量 1,740(イビデンの AI アクセラレータ向け基板の出荷(万個・実質)=世界の AI アクセラレータ出荷 × イビデンのシェア(個数))× 価格 9.70(基板 1 個あたりの売上(万円・名目)。大型化・多層化で実質も上がり、物価 3% も入る)→ 売上 16,878 億円・営業利益 4,895 億円。1740 万個 × 1 個 9.70 万円、営業利益率 29%
- PC・汎用サーバー向け基板:数量 68.0(イビデンの PC・汎用サーバー向け基板の出荷(百万個・実質、推定))× 価格 2,800(基板 1 個あたりの売上(円・名目))→ 売上 1,904 億円・営業利益 267 億円。68 百万個 × 百万個あたり 28.0 億円、営業利益率 14%
- セラミック(DPF など):数量 450(DPF 換算の出荷(万個・実質、推定))× 価格 1.90(DPF 1 個換算の売上(万円・名目。保持シール材・グラファイトを含む))→ 売上 855 億円・営業利益 86 億円。450 万個相当 × 1 個 1.90 万円、営業利益率 10%
- その他(建設・樹脂・食品・物流):数量 3,100(その他事業の従業員(人・推定))× 価格 4,150(1 人あたりの売上(万円・名目))→ 売上 1,286 億円・営業利益 109 億円。3100 人 × 1 人 4150 万円、営業利益率 8%
倍率:事業の純利益 3,697 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.9% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍。全体の PER 17.48 倍、時価総額 64,624 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:能力の増強と前受金の仕組みが続き、シェアの低下が緩やかな筋。技術の差を重く見る見方として 23% を置いた。
中立 33% 中立:世界 5 倍・シェア 25%・1 個 3 倍 利益 2,254 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 6,449 円3.62 兆円
AI アクセラレータの出荷は 2035 年に約 5,000 万個(今の 5 倍)。2028 年以降は業界の能力が需要に追いつき、品薄の値上げは終わる。ユニミクロン・サムスン電機・AT&S・中国勢が ASIC と中位の GPU を取り、イビデンの個数のシェアは 44% から 25% へ下がる。それでも最上位の多層品は残り、1 個の値段は約 9.4 万円(実質 2.2 倍、物価 1.34 倍)。AI 向けの売上は約 1.17 兆円、営業利益率は 25%。PC・汎用サーバーは約 1,760 億円、セラミックは約 780 億円、その他は約 1,230 億円で、全社の営業利益は約 3,300 億円。2029 年以降の増設の半分を自己資金と借金で賄い、純有利子負債は 2,000〜3,000 億円、3.5% 前後の金利で利払いは年約 90 億円。純利益は約 2,250 億円、自己資本は約 1.56 兆円で ROE 14%。良い会社のまま成熟するが、今の値段の半分に届かない。
- AI・サーバー向け先端基板:数量 1,250(イビデンの AI アクセラレータ向け基板の出荷(万個・実質)=世界の AI アクセラレータ出荷 × イビデンのシェア(個数))× 価格 9.37(基板 1 個あたりの売上(万円・名目)。大型化・多層化で実質も上がり、物価 3% も入る)→ 売上 11,712 億円・営業利益 2,928 億円。1250 万個 × 1 個 9.37 万円、営業利益率 25%
- PC・汎用サーバー向け基板:数量 64.0(イビデンの PC・汎用サーバー向け基板の出荷(百万個・実質、推定))× 価格 2,750(基板 1 個あたりの売上(円・名目))→ 売上 1,760 億円・営業利益 229 億円。64 百万個 × 百万個あたり 27.5 億円、営業利益率 13%
- セラミック(DPF など):数量 420(DPF 換算の出荷(万個・実質、推定))× 価格 1.85(DPF 1 個換算の売上(万円・名目。保持シール材・グラファイトを含む))→ 売上 777 億円・営業利益 70 億円。420 万個相当 × 1 個 1.85 万円、営業利益率 9%
- その他(建設・樹脂・食品・物流):数量 3,000(その他事業の従業員(人・推定))× 価格 4,100(1 人あたりの売上(万円・名目))→ 売上 1,230 億円・営業利益 98 億円。3000 人 × 1 人 4100 万円、営業利益率 8%
倍率:事業の純利益 2,254 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.4% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍。全体の PER 16.08 倍、時価総額 36,244 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI の数量の伸びと、競合の増設・ASIC への移行によるシェアの低下を、両方そのまま置いた落としどころ。最も厚い 33%。
やや悲観 20% やや悲観:供給過剰とシェアの流出 利益 867 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 1,285 円7,222 億円
AI の投資は 2030 年前後に一度大きく調整し、アクセラレータの出荷は 2035 年に約 4,000 万個にとどまる。各社が品薄の時期に積み上げた能力が余り、値段の競争が続く。ユニミクロンとサムスン電機が NVIDIA の次の世代でも認定を取り、イビデンの個数のシェアは 19% まで下がる。1 個の値段は約 8.3 万円、AI 向けの売上は約 6,300 億円、営業利益率は 18%。全社の営業利益は約 1,350 億円、利払いは年 110 億円ほどに増える。ROE は 8% と資本コストを下回り、伸びても価値は増えない会社として見られる。前受金を出した NVIDIA とインテルは、残りの納入で有利な値段を求め、新しい前払いには応じない。
- AI・サーバー向け先端基板:数量 760(イビデンの AI アクセラレータ向け基板の出荷(万個・実質)=世界の AI アクセラレータ出荷 × イビデンのシェア(個数))× 価格 8.30(基板 1 個あたりの売上(万円・名目)。大型化・多層化で実質も上がり、物価 3% も入る)→ 売上 6,308 億円・営業利益 1,135 億円。760 万個 × 1 個 8.30 万円、営業利益率 18%
- PC・汎用サーバー向け基板:数量 55.0(イビデンの PC・汎用サーバー向け基板の出荷(百万個・実質、推定))× 価格 2,600(基板 1 個あたりの売上(円・名目))→ 売上 1,430 億円・営業利益 129 億円。55 百万個 × 百万個あたり 26.0 億円、営業利益率 9%
- セラミック(DPF など):数量 370(DPF 換算の出荷(万個・実質、推定))× 価格 1.80(DPF 1 個換算の売上(万円・名目。保持シール材・グラファイトを含む))→ 売上 666 億円・営業利益 33 億円。370 万個相当 × 1 個 1.80 万円、営業利益率 5%
- その他(建設・樹脂・食品・物流):数量 2,800(その他事業の従業員(人・推定))× 価格 3,950(1 人あたりの売上(万円・名目))→ 売上 1,106 億円・営業利益 66 億円。2800 人 × 1 人 3950 万円、営業利益率 6%
倍率:ROE 8.1% が k 8.25% 以下なので、伸びても価値は増えず(ためた利益は額面未満)、正当化 PER は 1÷k=11.1 倍。顧客の内製化と競合の増設で値段が下がる筋書きなので、上限の 7.5 割の 8.3 倍に置いた。
確率:PC 向けで 3 回起きた能力過剰と値下げを AI 向けで繰り返す筋。競合の投資額が大きいので 20% を置いた。
悲観 12% 悲観:基板の技術が変わり、主役を降りる 利益 3 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 149 円840 億円
AI の計算は伸びるが、1 つのパッケージに多くのチップを載せる流れで基板の個数は伸びにくく、2035 年に約 3,200 万個。同時にガラス基板とシリコンの中継板が層数の競争を変え、サムスン電機・インテル・中国勢が新しい方式で先行する。イビデンは有機基板の最上位に残るが、個数のシェアは 10% まで落ちる。AI 向けの売上は約 2,200 億円、営業利益率 5%。過剰になった工場の減損で自己資本は約 1,500 億円目減りし、利払いは年 130 億円。全社の営業利益は約 140 億円で、配当は手元の現金と政策保有株の売却で細々と続ける。時価総額は、前受金と運転資金を引いた純現金に近い水準(自己資本の 0.24 倍)まで下がる。NVIDIA とインテルの前受金の分の納入を終えると、大野・河間の能力の一部は使い道を失う。配当と自社株買いは利益ではなく、手元の現金で払う。
- AI・サーバー向け先端基板:数量 320(イビデンの AI アクセラレータ向け基板の出荷(万個・実質)=世界の AI アクセラレータ出荷 × イビデンのシェア(個数))× 価格 7.00(基板 1 個あたりの売上(万円・名目)。大型化・多層化で実質も上がり、物価 3% も入る)→ 売上 2,240 億円・営業利益 112 億円。320 万個 × 1 個 7.00 万円、営業利益率 5%
- PC・汎用サーバー向け基板:数量 42.0(イビデンの PC・汎用サーバー向け基板の出荷(百万個・実質、推定))× 価格 2,300(基板 1 個あたりの売上(円・名目))→ 売上 966 億円・営業利益 19 億円。42 百万個 × 百万個あたり 23.0 億円、営業利益率 2%
- セラミック(DPF など):数量 280(DPF 換算の出荷(万個・実質、推定))× 価格 1.70(DPF 1 個換算の売上(万円・名目。保持シール材・グラファイトを含む))→ 売上 476 億円・営業利益 −10 億円。280 万個相当 × 1 個 1.70 万円、営業利益率 -2%
- その他(建設・樹脂・食品・物流):数量 2,500(その他事業の従業員(人・推定))× 価格 3,700(1 人あたりの売上(万円・名目))→ 売上 925 億円・営業利益 28 億円。2500 人 × 1 人 3700 万円、営業利益率 3%
倍率:構造的に負けた後の利益は純利益3億円とほぼゼロで、稼ぐ力では測れない。売れる資産の床(純現金から前受金・運転資金を引いた800億円)に近い水準として、減損後の自己資本3500億円の0.24倍(約840億円)に置いた。
確率:ガラス基板やシリコンの中継板への移行、中国勢の台頭、AI の需要の伸びの鈍化が重なる構造的な負け筋。前受金を出した顧客が離れる可能性を含め 12% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
AI・サーバー向け先端基板
NVIDIA の GPU、AMD の Instinct、Google の TPU などの AI アクセラレータを載せる大型・多層の ABF(FC-BGA)基板。電子事業の売上の 6 割弱。
| 数量イビデンの AI アクセラレータ向け基板の出荷(万個・実質)=世界の AI アクセラレータ出荷 × イビデンのシェア(個数) | 価格基板 1 個あたりの売上(万円・名目)。大型化・多層化で実質も上がり、物価 3% も入る | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 440 | 3.18 | 1,400 | 330 |
| 10 年後 中立 | 1,250 | 9.37 | 11,712 | 2,928 |
取り方:世界の AI アクセラレータの出荷を 2025 年に約 1,000 万個(JPMorgan の 2026 年 1,630 万個・前年比 +62% から逆算)とし、そのうち GPU(NVIDIA・AMD)約 680 万個の約 6 割、ASIC(TPU・Trainium など)約 320 万個の約 1 割をイビデンが取るとして、出荷を約 440 万個(個数のシェア 44%)と置いた。電子事業 2,433 億円のうち AI 向けを約 1,400 億円と推定し、1 個あたり約 3.2 万円(約 210 ドル。高級 ABF 基板の 1 枚 150〜200 ドル超という業界の値と合う)。営業利益は電子事業 452 億円のうち大野の立ち上げ費用を負う AI 向けに約 330 億円を配分した。 数量は実物の出荷個数(AI アクセラレータの出荷台数の増加)で、名目の市場の伸びではない。10年の単価2.95倍は、物価1.34倍に、チップの大型化・多層化による実質2.2倍の上乗せを掛けたもの(理由は price_unit のとおり)。
PC・汎用サーバー向け基板
インテル・AMD の PC 用・汎用サーバー用 CPU とチップセットを載せる FC-BGA 基板。インテルが最大の顧客。
| 数量イビデンの PC・汎用サーバー向け基板の出荷(百万個・実質、推定) | 価格基板 1 個あたりの売上(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 52.0 | 1,987 | 1,033 | 122 |
| 10 年後 中立 | 64.0 | 2,750 | 1,760 | 229 |
取り方:電子事業 2,433 億円から AI 向け約 1,400 億円を引いた約 1,030 億円を、PC と汎用サーバーの CPU 基板とみた。PC は世界で年 2.6 億台前後・サーバー CPU は数千万個で、インテル向けを中心にイビデンが約 5,200 万個を出すと推定し、1 個約 13 ドル(CPU 基板の相場 10〜20 ドルの中ほど。価格の欄は円建て)。サーバー CPU はコア数が増えて基板が大きくなるので、1 個の値段は物価よりやや上がる。
セラミック(DPF など)
ディーゼル車の黒煙を取る SiC 製 DPF、触媒担体の保持シール材、半導体製造用の特殊炭素(グラファイト)。
| 数量DPF 換算の出荷(万個・実質、推定) | 価格DPF 1 個換算の売上(万円・名目。保持シール材・グラファイトを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 1.38 | 826 | 95 |
| 10 年後 中立 | 420 | 1.85 | 777 | 70 |
取り方:セラミック事業の売上を全社 4,162 億円 − 電子 2,433 億円 − その他 903 億円 = 約 826 億円とし、欧州の乗用車・世界の商用車向け DPF を年約 600 万個相当(保持シール材・グラファイトを含めた換算)、1 個約 1.4 万円と置いた。乗用ディーゼルは EV への移行で減り、商用車と半導体用グラファイトが下支えする。
その他(建設・樹脂・食品・物流)
グループの工場建設・設備工事と保守、建材・樹脂成形、食品、グループ内の物流。電子事業の増設が続くと建設・保守の仕事が増える。
| 数量その他事業の従業員(人・推定) | 価格1 人あたりの売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,000 | 3,010 | 903 | 80 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 4,100 | 1,230 | 98 |
取り方:その他事業の売上 903 億円を、建設・樹脂・食品・物流の子会社で働く約 3,000 人(推定)× 1 人あたり約 3,000 万円とした。人数は大きく増えず、1 人あたりの売上は物価並みに上がる。電子事業の工場建設が続く間は人数がやや増える。
リスクと懸念
NVIDIA への集中
ハイエンド品の売上の大半は NVIDIA 向けとみられ、大野の増設も NVIDIA の前払い約 2,800 億円で賄う。NVIDIA が調達先を増やす(2025 年にユニミクロンが数量の約 3 割を取った)か、GPU の比率が ASIC に押されて下がると、AI 向けの個数のシェアと値段が同時に下がる。
業界の能力過剰と値下げ
ユニミクロン・サムスン電機(約 49 億ドル)・AT&S・LG イノテック・中国勢が一斉に増設しており、業界の稼働率が 100% を超える 2027 年の品薄の後に余りが来うる。PC 向けで 2009 年・2013 年・2017 年に営業利益率が 2〜3% まで落ちたのと同じ形を AI 向けで繰り返す恐れがある。
技術の置き換え(ガラス基板・シリコン中継板)
ガラス基板はサムスン電機・インテルが量産を準備し、TSMC の CoWoS ではシリコンの中継板が配線の一部を担う。有機基板の多層化で積み上げた歩留まりの優位が、新しい方式では一から競争になる。イビデンもガラス基板を開発しているが、先行できる保証はない。
前受金の裏側
5,000 億円を顧客の前払いで賄う仕組みは自己資本を守るが、前受金の分は将来の納入でお金が入らない。顧客は値段と能力の配分に強い発言力を持ち、次の増設はイビデン自身の現金と借金で賄う必要が出る。需要が落ちても減価償却は残る。
材料の供給
ABF の膜は味の素ファインテクノが CPU・GPU 用の約 95% を握り、ガラスクロス(T グラス)も日東紡に偏る。材料の割り当てで生産量が決まる局面では、能力があっても出荷を増やせない。値上げの分を基板の値段に転嫁できるかも問われる。
セラミックの縮小
DPF は欧州の乗用ディーゼルが EV に置き換わる流れで量が細る。2026 年 3 月期は営業利益が 37% 減った。商用車と半導体用グラファイトが下支えするが、10 年で量は 3 割前後減るとみる。全社の利益に占める比率は小さく、価値への影響は限られる。
今後の分かれ目
- NVIDIA の次の世代(Rubin Ultra・Feynman)の最上位基板で、ユニミクロンやサムスン電機が量産の認定を取る
- 個数のシェアは中立の 25% より速く下がり、値段の交渉でも押される。やや悲観の筋に近づく。
- Google・AWS などの ASIC の主力品で、イビデンが基板の主な供給元になる
- GPU から ASIC への移行がそのまま追い風に変わり、個数のシェア 30〜35% を保つやや楽観・楽観の筋に近づく。
- 2028 年度以降の次の増設でも、顧客から前受金を受け取る契約がまとまる
- 借金を増やさずに能力を足せるので ROE が高いまま保たれ、利払いの重さ(中立で年約 90 億円)も軽くなる。
- 業界の稼働率が 2028 年以降に 8 割を割り、基板の値段が下がり始める
- 品薄の山が過ぎた合図で、新工場の減価償却が重く効く。営業利益率は 20% を割り、やや悲観の筋が濃くなる。
- ガラス基板が AI アクセラレータの主力品で採用され、イビデン以外が先行する
- 有機基板での優位が効かなくなり、10 年の悲観(シェア 10%)の筋が現実味を帯びる。
- AI のデータセンター投資が急に巻き戻る
- アクセラレータの出荷が半分近くまで減る谷の年は、営業利益がほぼゼロになる。実質無借金と前受金で財務は保つが、時価総額は自己資本の 0.6〜0.7 倍まで下がりうる。
見ておくもの
- 世界の AI アクセラレータの出荷(GPU と ASIC の内訳)と、1 パッケージに載るチップの数
- NVIDIA の次の世代の基板で、ユニミクロン・サムスン電機が取る比率
- 業界の ABF 基板の稼働率と値段(品薄の山がいつ過ぎるか)
- 大野・河間の新工場の稼働と、電子事業の営業利益率(減価償却を負っても 25% を保てるか)
- 2028 年度以降の増設の資金(前受金が続くか、借金が増えるか)
- ガラス基板の量産の時期と採用する顧客
倍率と資本コストの決め方
倍率は今のPER(86倍)を見ずに、各時点のROE・k8.25%(基本7.5%に、循環+0.75%・値決め力+0.25%・寿命+0.5%)・g4.5%(structural)から正当化PERを出し、上限の8.5〜9割を置いた(中立8.5割、東京エレクトロン・アドバンテストの中立と同じ物差し)。AI向けはAIアクセラレータの個数×シェア(今44%、中立の10年後25%)×1個の値段で積み、10年中立の電子事業の売上は約1.2兆円。それでも割高が残るのは、今の値段を正当化するのに世界8倍・シェア4割台・1個3倍超が要るという数量×価格の差で説明でき、倍率を低く置いたためではない。悲観は稼ぐ力と純現金から前受金・運転資金を引いた床から出した。今の株価に合わせた調整はしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.86→18.27 倍・やや楽観 PER 12.57→17.48 倍・中立 PER 11.63→16.08 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。
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