結論
ユビテックはオリックスが 58% を持つ小さな IoT の会社だ。運転前のアルコールの検査と安全運転を見守る「D-Drive」、建設の作業者の体調を見守る「Work Mate」を、端末とクラウドで売る。筆者の結論は「割高」で、一番の理由は、今の時価総額が IoT の高い伸びを 10 年続くものとして織り込んでいることにある。
追い風は本物だ。社用車のアルコールの検査と、現場の熱中症の対策が会社の義務になり、IoT の売上は前期 2 割増えた。5 期続いた赤字も 2026/06 期に止まった。
ただ、売上はまだ 13 億円で、全社の費用 2.5 億円を賄うのがやっとだ。同じ需要を大手の通信会社やスマートフォンのアプリも狙う。売上の 3 割を積水ハウス 1 社に頼り、人月で売る開発受託は AI に置き換えられていく。
手元の現金は 14 億円と時価総額の 4 割に当たる。だが親会社が過半を持つ以上、その現金が少数株主に戻る道は細い。筆者は、伸びの確からしさと現金の取り分の両方を、今の値段は甘く見ていると考える。
バリュー投資の観点から
オーナーとして持ち続けたい事業かと問われれば、筆者はまだ答えを出せない。義務化という追い風はあるが、10 年後にこの会社が値段を決められる立場にいるかは見通せない。わからない事業には高い値段を払わない、というのがバリュー投資の基本だ。
いちばん気になるのは、現金の取り分だ。手元の 14 億円は時価総額の 4 割に当たるが、親会社が過半を持つ以上、少数株主がその使い道を決めることはできない。無配が続き、積まれたままの現金は、帳簿の値ほどの価値を持たない。
安全域も乏しい。今の値段は、IoT が義務化の波に乗って 10 年伸び続ける姿を前提にしている。過去 10 年で 6 期が赤字だった会社に、その前提を置くのは楽観にすぎると筆者は見る。
見方が変わるのは、契約数を開示し、義務化の後も伸びが続くことを数字で示した時だ。現金の戻し方も同じで、復配と還元が始まれば、手元の現金の価値はもっと高く数えられる。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つある。柱は売上の 8 割を占める IoT だ。D-Drive は社用車に載せる端末とクラウドで、運転の癖を記録し、運転前のアルコールの検査の結果を残す。酒気を帯びるとエンジンがかからないインターロックも売る。Work Mate は建設の現場の作業者が身に着ける端末で、体の状態を見守り、熱中症の危険を知らせる。カーシェアの車に載せる通信の車載機も作る。
稼ぎ方は、端末を売るか貸し、毎月の利用料を受け取る形だ。契約が積み上がるほど収入が安定し、利益率も上がる。IoT のセグメント利益率は 2026/06 期に 27% まで上がった。
残りは受託だ。製造受託は歯科の咬合力計測の機器の基板などを作り、開発受託は子会社が組込みのソフトや保険のシステムを人月で受ける。どちらも 1〜2 億円と小さい。
客の顔ぶれは偏る。積水ハウスが売上の 29% を占め、Work Mate の大口とみられる。親会社のオリックスとその自動車のリースの会社は、D-Drive の協業の相手だ。社員は 78 人で、研究と営業の層は薄い。
優良さと弱いところ
優良さは、まだ評価できる段階にない。筆者は、伸びる需要の入り口に立つ小さな会社と見る。
強みは、義務化の需要に合わせた製品を先に持っていることだ。アルコールの検査は、記録を自動で残す仕組みが無いと管理する側の手間が大きい。インターロックまで備えた製品は多くない。親会社のオリックスはリース車という大きな販路を持ち、組めば台数は一気に増えうる。
弱みは規模と堀の薄さだ。端末とクラウドの組み合わせは、大手の通信会社や車載機の会社でも作れる。スマートフォンのアプリでの検査も安い。値段を自分で決める力は弱い。過去 10 年で 6 期が赤字で、ROE の中央値はマイナスだ。
資本の使い方は親会社しだいだ。無配が続き、余った現金は手元に積まれたままになっている。
経営の実力が試されるのはこれからだ。義務化の波が来ている数年のうちに契約を積み上げられるかで、10 年後の姿は大きく変わる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
運転前のアルコールの検査は、2022 年から白ナンバーの社用車を 5 台以上持つ会社にも義務になり、2023 年には検知器での確認も求められるようになった。社用車を持つ会社は全国で数十万社あり、記録を残す仕組みの需要は広い。
熱中症の対策も、2025 年から会社の義務になった。建設・物流・製造の現場で、作業者の体調を見守る仕組みが求められている。夏の暑さが増すほど、この需要は根づく。
ただし、どちらも参入が易しい。検知器は多くの会社が作り、クラウドで記録を残すサービスも乱立している。大手の通信会社は自社の回線とセットで売り、車載機の大手は車の部品として組み込む。義務化の初めは売り手が多くても、数年で大手が値段で市場をまとめるのがこの手の市場の常だ。
人月で売る開発受託は、AI エージェントがコードを書く時代に入り、構造的に縮む。10 年の見通しとして、筆者は IoT の数量を 2 倍弱、値段を物価を少し下回る上がり方と見る。開発受託は 3 分の 2 に縮む。悲観の深さとしては、IoT が大手に押されて伸びが止まり、全社の費用を賄えずに赤字へ戻る姿を考えておく。
資本政策と M&A
還元はまだ無い。新 3 か年計画は、2027/06 期に営業のお金の流れを黒字にし、早く配当を戻すことを掲げる。
手元の現金は 13.6 億円で借入は無い。時価総額の 4 割に当たるが、使い道は IoT の開発と端末の在庫が中心で、大きな買収の計画は無い。
親会社のオリックスが 58% を持ち、少数株主の意向で資本の方針が変わることはない。親子上場の解消が求められる中で、オリックスが残りの株を買い取るか、他に売る可能性はある。ただ、それは今の値段で起きるとは限らず、筆者は価値に数えない。少数株主にとっては、復配と還元の方針が示されるかが最初の確かめどころだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
義務化は一度決まれば戻らない。社用車のアルコールの検査も、現場の熱中症の対策も、会社が守らなければならない決まりになった。記録を残す仕組みは毎年使われ、利用料は積み上がる。IoT の売上は前期 2 割増え、セグメント利益率は 27% に跳ね上がった。
インターロックまで備えた製品は少ない。酒気を帯びたらエンジンがかからない仕組みは、事故が起きた時の会社の責任を考えれば、検知器だけより価値がある。オリックス自動車のリース車に載れば、全国の社用車に一気に広がる。
5 期続いた赤字は 2026/06 期に止まった。全社の費用はほぼ固まっており、IoT が伸びた分の多くがそのまま利益になる。手元に 14 億円の現金があり、伸びのための投資にも困らない。
親会社のオリックスにとっても、子会社の価値が上がれば得になる。協業は深まる方向にしか向かない。
規模が小さいことも、裏返せば伸びしろだ。社用車を持つ会社の 1 割が使うだけで、契約は今の何倍にもなる。
慎重な見方
義務化の需要は誰でも取りにいける。検知器は多くの会社が安く作り、記録をクラウドに残すサービスも乱立している。大手の通信会社は回線とセットで、車載機の大手は車の部品として売る。売上 13 億円の会社が、値段と販路で勝ち続けるのは難しい。
過去の実績も心もとない。過去 10 年で 6 期が赤字で、売上は 10 年で半分以下に縮んだ。カーシェアの車載機は一時の柱だったが、今は小さい。製品の寿命が短い市場で、柱を何度も替えてきた会社だ。
客も偏る。積水ハウスが売上の 3 割を占め、1 社の方針で数字が大きく動く。開発受託は人月で売る仕事で、AI がコードを書く時代に縮んでいく。
そして現金は少数株主のものではない。親会社が 58% を持ち、配当は無い。時価総額の 4 割の現金を帳簿の値で数えるのは誤りだ。
義務化の需要は、一巡すれば更新の需要しか残らない。今の伸びを 10 年先まで延ばすのは危うい。
どちらに重みを置いたか
義務化の追い風は確かで、楽観の側の言い分にも裏付けはある。それでも、小さな規模と参入の易しさ、過去の赤字の多さという慎重な側の指摘の方が重い。確率は中立を中心にやや楽観を厚めに置いたが、今の値段に届くのは楽観の筋書きだけだ。現金は親子上場の戻り方で半分しか数えない。悲観は親会社の支えがある分、深さの割に確率を抑えた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 356 円52 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 33 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 179 円26 億円、今との差 −19.7%、 期待の年率 +5.7%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 894 円131 億円 | 82 円12 億円 | +337.7% | +15.9% | 98 円14 億円 |
| やや楽観 | 24% | 563 円82 億円 | 55 円8 億円 | +176.9% | +10.7% | 148 円22 億円 |
| 中立 | 34% | 343 円50 億円 | 34 円5 億円 | +69.0% | +5.4% | 128 円19 億円 |
| やや悲観 | 20% | 53 円8 億円 | 0 円0 億円 | −76.1% | −13.3% | 11 円2 億円 |
| 悲観 | 12% | 32 円5 億円 | 0 円0 億円 | −85.6% | −17.6% | 4 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 356 円52 億円 | 33 円5 億円 | +74.2% | +5.7% | 388 円57 億円 |
今の株価時価総額 223 円33 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 飲酒運転の対策と暑さ対策の義務が追い風になる 利益 7 億円 · PER 18.1 倍 · 株価時価総額 894 円131 億円
運転前のアルコールの検査は、緑ナンバーに続いて白ナンバーの社用車でも義務になった。検査の記録を自動で残し、酒気を帯びるとエンジンがかからないインターロックは、管理の手間を省く道具として社用車を持つ会社に広がる。オリックス自動車のリース車に標準で載る形になれば、台数は一気に増える。
建設の現場では、熱中症の対策が会社の義務になった。Work Mate は作業者の体の状態を見守り、危ない時に知らせる。積水ハウスのような大手の現場から、中堅の建設会社へ広がる。
契約は 10 年で 3 倍強の 13 万件になり、IoT の利益率は 3 割を保つ。開発受託は AI で縮むが、全社の中では小さい。
- IoT(安全運転・作業者の見守り・カーシェア車載機):数量 13.0(契約の端末・ID の数(万件、推定))× 価格 3.20(1 件あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 42 億円・営業利益 12 億円。13 万件 × 1 件 3.2 万円(今の 1.25 倍)、利益率 30%
- 製造受託:数量 2.2(受託生産の基板の数(万枚・年、推定))× 価格 0.67(1 枚あたりの売上(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2.2 万枚 × 1 枚 0.67 万円、利益率 30%
- 開発受託:数量 1.1(受託の工数(百人月・年、推定))× 価格 1.61(100 人月あたりの売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。1.12 百人月(今の 0.8 倍)× 1.61 億円、利益率 5%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 34.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 21.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 18.08 倍、時価総額 126 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:アルコールの検査と熱中症の対策が会社の義務になり、端末とクラウドの需要がはっきり伸びている。IoT は前期 2 割増えた。それでも小さな会社が 3 倍以上に育つ道は細いので 1 割。
やや楽観 24% D-Drive が基幹の事業に育つ 利益 4 億円 · PER 17.4 倍 · 株価時価総額 563 円82 億円
アルコールのインターロックの拡販が進み、D-Drive は会社の柱になる。社用車の管理を任されるリース会社と組めば、1 社ずつ売り込まなくても台数が増える。親会社のオリックスとの協業はその近道だ。
Work Mate も建設や物流の現場で着実に増える。契約は 10 年で 2.5 倍の 10 万件になり、値段は物価を少し下回る程度で上がる。IoT の利益率は 3 割弱を保つ。
本社の費用も物価で増えるが、売上の伸びの方が速い。営業 CF の黒字化と復配も計画どおり進み、還元は少しずつ始まる。それでも現金の多くは手元に残り、少数株主への戻りは細い。
- IoT(安全運転・作業者の見守り・カーシェア車載機):数量 10.0(契約の端末・ID の数(万件、推定))× 価格 3.07(1 件あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 31 億円・営業利益 9 億円。10 万件 × 1 件 3.07 万円(今の 1.20 倍)、利益率 29%
- 製造受託:数量 2.2(受託生産の基板の数(万枚・年、推定))× 価格 0.67(1 枚あたりの売上(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2.2 万枚 × 1 枚 0.67 万円、利益率 30%
- 開発受託:数量 0.9(受託の工数(百人月・年、推定))× 価格 1.61(100 人月あたりの売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。0.91 百人月(今の 0.65 倍)× 1.61 億円、利益率 0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 28.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 18.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 17.43 倍、時価総額 79 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新 3 か年計画(2028/06 期に営業利益 2.2 億円)をやや上回り、その先も IoT が年 1 割近く伸びる姿。義務化という追い風が開示で確かめられるので厚めに置く。
中立 34% IoT は伸びるが、規模はまだ小さい 利益 3 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 343 円50 億円
IoT の契約は 10 年で 1.9 倍の 7.5 万件になる。アルコールの検査と熱中症の対策の義務化で需要は確かにあるが、同じ機能を持つ他社の端末や、スマートフォンのアプリでの検査とも競う。値段は物価を下回り、10 年で 2 割ほど上がる。
IoT の利益率は今の 28% 前後を保つ。ただ全社の費用 2.5 億円が重く、物価とともに増える。売上 30 億円弱の会社で、営業利益は 3 億円台にとどまる。
開発受託は人月で売る仕事で、AI エージェントに置き換えられて 3 分の 2 に縮む。製造受託は小さいまま続く。親会社のオリックスが過半を持ち、余った現金が株主に戻る道は細い。
- IoT(安全運転・作業者の見守り・カーシェア車載機):数量 7.5(契約の端末・ID の数(万件、推定))× 価格 3.07(1 件あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 6 億円。7.5 万件 × 1 件 3.07 万円(今の 1.20 倍)、利益率 28%
- 製造受託:数量 1.8(受託生産の基板の数(万枚・年、推定))× 価格 0.67(1 枚あたりの売上(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。1.76 万枚 × 1 枚 0.67 万円、利益率 30%
- 開発受託:数量 0.9(受託の工数(百人月・年、推定))× 価格 1.61(100 人月あたりの売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。0.91 百人月(今の 0.65 倍)× 1.61 億円、利益率 0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 16.39 倍、時価総額 48 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:IoT は伸びるが、計画を少し割り引き、義務化の波が一巡した後は伸びが鈍る姿。5 期続いた赤字から黒字に戻ったばかりで、いちばん起こりやすい。
やや悲観 20% 義務化の需要を他社に取られる 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 53 円8 億円
アルコールの検査は、大手の通信会社や車載機の会社、スマートフォンのアプリが安く提供し、ユビテックの端末は割高に見える。契約は 5 万件で頭打ちになり、値段も物価ほど上がらない。
Work Mate も、腕時計型の汎用の機器とアプリの組み合わせに押される。IoT の利益率は 18% に下がり、全社の費用を賄えない。開発受託は AI で半分に縮み、製造受託も客の都合で減る。
営業赤字が続き、手元の現金を少しずつ食う。親会社のオリックスは支えるが、少数株主に価値が戻る道は見えない。手元の現金が価値の大半を占めるが、その使い道も親会社が決める。
- IoT(安全運転・作業者の見守り・カーシェア車載機):数量 5.0(契約の端末・ID の数(万件、推定))× 価格 2.69(1 件あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。5 万件 × 1 件 2.69 万円(今の 1.05 倍)、利益率 18%
- 製造受託:数量 1.1(受託生産の基板の数(万枚・年、推定))× 価格 0.65(1 枚あたりの売上(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。1.1 万枚 × 1 枚 0.65 万円、利益率 10%
- 開発受託:数量 0.7(受託の工数(百人月・年、推定))× 価格 1.50(100 人月あたりの売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。0.7 百人月(今の 0.5 倍)× 1.5 億円、利益率 −10%
倍率:赤字なので PBR で測る。今の自己資本 15.64 億円の大半は現金で、稼ぐ力の床は使えないので、純現金から運転資金を引いた残りに親子上場の戻り方 0.5 を掛けた床(約 7 億円)に合わせて 0.5 倍。
確率:2021/06 期から 5 期続けて赤字だった。小さな会社が大手の通信や車載の会社と同じ需要を取り合うので、伸びが止まる姿は十分ありうる。
悲観 12% 赤字に戻り、現金を食いつぶす 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 32 円5 億円
IoT の契約は 3 万件に減る。カーシェアの車載機は大手に置き換えられ、D-Drive と Work Mate も値段の争いに負ける。利益率はゼロになり、全社の費用がそのまま赤字になる。
赤字は毎年 3 億円前後続き、手元の現金はほとんど消える。開発受託と製造受託も縮み、事業は細っていく。研究と営業の人も減り、新しい柱を探す力も残らない。
最後は親会社のオリックスが安い値段で残りの株を買い取るか、事業を整理する。少数株主に残るのは、わずかに残った現金の分だけだ。義務化の需要という追い風があっても、小さな会社が規模で負ける時の姿である。
- IoT(安全運転・作業者の見守り・カーシェア車載機):数量 3.0(契約の端末・ID の数(万件、推定))× 価格 2.56(1 件あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。3 万件 × 1 件 2.56 万円(今と同じ)、利益率 0%
- 製造受託:数量 0.7(受託生産の基板の数(万枚・年、推定))× 価格 0.50(1 枚あたりの売上(万円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。0.7 万枚 × 1 枚 0.5 万円、利益率 0%
- 開発受託:数量 0.4(受託の工数(百人月・年、推定))× 価格 1.40(100 人月あたりの売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。0.4 百人月 × 1.4 億円、利益率 −20%
倍率:赤字なので PBR で測る。床は今の自己資本 15.64 億円に掛け、赤字で現金を食った後に残る現金に戻り方 0.5 を掛けた約 4.7 億円を上限とした。
確率:過去 10 年で 6 期が赤字の会社で、IoT が伸びなければ全社の費用を賄えない。親会社の支えで残るとみて、確率は 1 割強にとどめる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
IoT(安全運転・作業者の見守り・カーシェア車載機)
D-Drive(安全運転とアルコールのインターロック)、Work Mate(作業者の体調の見守り)などのクラウドと、通信付きの車載機・端末。
| 数量契約の端末・ID の数(万件、推定) | 価格1 件あたりの年の売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 4.0 | 2.56 | 10 | 3 |
| 10 年後 中立 | 7.5 | 3.07 | 23 | 6 |
取り方:契約数の開示は無いので、IoT の売上 10.24 億円を 1 件あたり年 2.56 万円(端末の売り切りと月の利用料の平均)と見て約 4 万件と推定(推定)。営業利益はセグメント利益 2.77 億円。10 年の値段は物価(1.34 倍)を下回る 1.20 倍を中立に置く。端末は年々安くなり、大手の通信会社やアプリと値段で競うためだ。
製造受託
歯科の咬合力計測の機器の基板、通信アミューズメント機器などの開発と生産の受託。
| 数量受託生産の基板の数(万枚・年、推定) | 価格1 枚あたりの売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2.2 | 0.50 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.8 | 0.67 | 1 | 0 |
取り方:売上 1.10 億円を 1 枚 0.5 万円前後と見て年 2.2 万枚と推定(推定)。営業利益はセグメント利益 0.37 億円。
開発受託
子会社のユビテックソリューションズが、組込みソフトと保険向けのシステムを人月で受ける。
| 数量受託の工数(百人月・年、推定) | 価格100 人月あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1.4 | 1.20 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.9 | 1.61 | 1 | 0 |
取り方:売上 1.68 億円を 1 人月 120 万円前後と見て年 140 人月と推定(推定)。人月で売る仕事で、AI エージェント代替の型(中立 0.65 倍)を当てる。
リスクと懸念
参入の易しさ
アルコールの検査や作業者の見守りは、大手の通信会社・車載機の会社・アプリの会社が次々に参入している。義務化の初めの需要を取っても、数年で値段の争いになり、規模の小さな会社から外されやすい。
顧客の偏り
積水ハウスが売上の 29% を占める。Work Mate の大口とみられ、相手が仕組みを替えれば IoT の売上の大きな部分が一度に消える。オリックス自動車との協業も、相手の方針しだいだ。
AI エージェント代替
子会社の開発受託は人月で売る仕事で、AI エージェントがコードを書く時代に構造的に縮む。全社の 1 割強と小さいが、利益は既に赤字で、立て直しの道は狭い。
親子上場と現金の取り分
オリックスが 58% を持ち、無配が続く。手元の現金 14 億円は時価総額の 4 割に当たるが、使い道を少数株主は決められない。親会社による買い取りがあっても、値段が今の時価総額を上回るとは限らない。
赤字に戻る危うさ
全社の費用 2.5 億円に対し、IoT の利益は 2.8 億円で、余裕は小さい。IoT の伸びが止まれば、すぐに赤字に戻る。過去 10 年で 6 期が赤字だった。
今後の分かれ目
- 2028/06 期に計画どおり売上 16.6 億円・営業利益 2.2 億円に届いたら
- やや楽観の筋書きに近づく。IoT の伸びが義務化の一巡の後も続くかを見る。
- オリックス自動車のリース車に D-Drive が標準で載ったら
- 数量の伸びの確からしさが上がり、楽観の確率を上げてよい。
- 積水ハウス向けの売上が大きく減ったら
- やや悲観の筋書きの確率を上げる。Work Mate の他の客への広がりを確かめる。
- オリックスが残りの株の買い取りや売却を打ち出したら
- 値段はその条件で決まる。本質の価値は変わらないが、少数株主の取り分の問題はそこで決着する。
- 復配し、配当や自社株買いで現金を戻し始めたら
- 現金の戻り方を 0.75 以上に上げてよい。
見ておくもの
- IoT の売上とセグメント利益率
- D-Drive・Work Mate の契約数の開示
- 積水ハウス向けの売上の比率
- 復配の時期と親会社の資本の方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価から置かず、余った現金 10 億円を除いた事業の ROE(中立 15%)と k 8.5%・g 4% から正当化 PER(中立 14.0 倍)を出し、利益の質に応じて 9〜9.5 割で置いた。余った現金は親子上場で戻り方 0.5 を掛けて足した。悲観側は赤字なので PBR で、純現金に戻り方を掛けた床で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.8→18.08 倍・やや楽観 PER 13.5→17.43 倍・中立 PER 12.6→16.39 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.25%。同じ領域の済んだ会社は無い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 9.00%。