結論
森尾電機は、鉄道車両の運転台にある主幹制御器や、配電盤、電源の機器を作る会社だ。創業は100年を超え、国内の車両メーカーと、米国の川崎の工場に機器を納める。筆者の結論は、今の値段は割高である。
足元の数字は華やかだ。2026年3月期の営業利益は8.6億円と過去最高で、受注残は161億円と年間売上の2年分に積み上がった。米国のニューヨークの地下鉄車両の案件が効いている。
だが、この山は続かない。会社自身が2027年3月期の営業利益を4億円と、半分に置いている。過去12年の営業利益率の中央は4%前後で、直近2期は受注の山の数字だ。
もう一つの問題は、稼いだお金の使い方だ。配当性向は1割台で、自社株買いもない。利益の大半が帳簿に積まれ、借入と持ち合いの株も抱える。ROE は山の年でも11%で、山が引けば資本コストを大きく下回る。筆者は、利益が過去の平均よりやや上に戻る所を中心に置いた。そこで測ると、今の値段は本質価値を大きく上回る。受注残が厚いうちは数字が良く見えるが、10年の価値を決めるのは山の後の利益だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、地味で堅い会社だが、株主にとっての価値は見かけほど大きくない。
筆者が評価するのは、運転台の機器という、安全に直結する狭い市場で長く採用されてきた実績だ。車両は一度作れば数十年走る。その間の補修の部品も出る。100年続いた会社が、10年後に消えている姿は想像しにくい。
問題は、利益の質と資本の使い方だ。2026年3月期の利益は、米国の大型案件と国内の受注の山が重なった結果で、会社自身が翌期に半分になると見ている。山の年の利益で PER を測れば安く見えるが、ならした利益で測ればそうではない。
さらに、稼いだ利益の8割以上が帳簿に積まれる。資本コストを下回る使い方なら、ためた利益は株主にとって額面未満の価値になる。オーナーとして持ち続けたいかと問われれば、筆者は還元の方針が変わるのを待ちたい。山の年の値段で買う理由は乏しい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの8割は鉄道車両の電気機器だ。2026年3月期の売上86億円のうち、鉄道が70億円を占める。残りは道路工事で使う自走式の標識車などの自動車関連が12億円、船舶の配電盤などが3億円、賃貸マンションの賃料が1.5億円だ。
鉄道の機器は、運転士が加速やブレーキを操る主幹制御器、車両の電気を配る配電盤、照明や電源の装置などだ。車両の形式ごとに仕様が決まり、一度採用されれば、その形式の車両が作られる間は注文が続く。顧客は車両を作る川崎車両や日本車輌製造、総合電機の三菱電機などだ。川崎車両と日本車輌製造は株主でもある。
米国では、子会社の Morio USA がネブラスカ州にあり、川崎のリンカーン工場が作る地下鉄の車両に機器を納める。この工場向けの売上は11.5億円と全体の13%に達した。三菱電機向けも14%ある。上位の2社で売上の4分の1を超える。
生産は茨城県の竜ヶ崎事業所の1拠点に集まる。社員は218人と小さな所帯で、設計から製造までを一つの工場でこなす。賃貸マンションは葛飾区と松戸市に5棟あり、古くからの資産だ。帳簿の土地は1億円に満たず、含み益があると見られるが、賃料を利益に残すので価値には足していない。
優良さと弱いところ
強みは、車両の形式ごとに仕様を作り込み、長く採用され続ける関係だ。運転台の機器は安全に直結し、実績のない会社に簡単には任せられない。いったん採用されれば、その形式の車両が作られる10年近くは注文が続く。車両メーカーが株主に並ぶのも、その関係の深さを示している。
弱みは、値決めの力が限られることだ。相手は大手の車両メーカーと総合電機で、森尾電機は部品を納める側にいる。営業利益率は2015〜2024年3月期に2〜5%台で、直近2期の8〜10%は米国の案件と受注の山が重なった例外に近い。
もう一つの弱みは、資本の使い方だ。配当性向は1割台で、利益の大半が帳簿に積まれる。投資有価証券は約18億円と時価総額の4割に当たるが、多くは取引先の株だ。一方で借入は17億円ある。お金を借りながら取引先の株を持ち、配当は少ない。資本の効率を高める工夫は見えにくい。山の年の ROE 11%も、利益が半分に戻れば5%前後になる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
鉄道車両の需要は、国内と海外で分かれる。国内は人口が減り、新しい路線はほとんど増えない。仕事の源は古い車両の置き換えだ。昭和の終わりから平成の初めに大量に作られた通勤車両が、これから順に更新の時期を迎える。省エネの車両への置き換えも進む。車両の数は増えないが、置き換えの波は10年ほど続く。
海外は、米国の都市鉄道が老朽化した車両を入れ替えている。ニューヨークの地下鉄は大量の新車を発注し、川崎がリンカーン工場で作る。米国では車両の部品を米国内で作る決まりがあり、Morio USA が現地で機器を納める理由になっている。ただ、こうした大型の案件は数年で一巡する。
競争の相手は、三菱電機や東芝、日立といった総合電機の鉄道部門だ。彼らは主電動機や制御装置という大物を作り、森尾電機はその周りの機器を受け持つ。大手が機器をまとめて納める動きを強めれば、森尾電機の取り分は細る。
同じ業界の京三製作所や日本信号は、信号や運行の仕組みを作る。車両そのものに載る機器を扱う森尾電機は、車両メーカーの発注の波を、より直接に受ける。受注は数年ごとに山と谷をつくり、利益もそれに合わせて大きく振れる。
資本政策と M&A
還元は少ない。配当は年1回で、安定配当の維持を基本とする。2026年3月期も増配したが、配当の総額は0.86億円で、純利益の13%にとどまる。自社株買いの実行はない。
株主には、トーヨーコーポレーション、森尾商会、川崎車両、日本車輌製造、きらぼし銀行などが並ぶ。取引先の持ち合いが厚く、経営は安定しているが、株主に返す圧力は弱い。
会社は ROE を重視すると言うが、自己資本は利益の積み上がりで年に1割近く増える。山が引いた後も配当性向が今のままなら、ROE は5%前後に下がる。従業員向けの株式報酬の制度は入れたが、株主への還元の目標は示していない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注残は161億円と、年間売上のほぼ2年分に積み上がった。鉄道だけで122億円ある。2026年3月期の受注は前期から16%増え、仕事は数年先まで埋まっている。会社が2027年3月期を慎重に見ているのは、納める時期のずれにすぎない。
国内では、昭和の終わりから平成の初めに作られた通勤車両の更新が本格化する。運転台の機器は車両の形式ごとに採用され、一度決まれば10年近く注文が続く。川崎車両や日本車輌製造が株主に並ぶほど、関係は深い。
米国では、ニューヨークの地下鉄が大量の新車を必要としている。米国内で部品を作る決まりがあり、ネブラスカの子会社が現地で機器を納める。日本の同業でこの立場を持つ会社は少ない。
値上げも通り始めた。2025年3月期と2026年3月期の営業利益率は8〜10%と、過去の山を更新した。利益率が過去の平均に戻ると決めつける理由はない。車両は一度作れば数十年走り、補修の部品の注文も長く続く。積み上がった受注と、深い取引の関係を考えれば、今の値段は山の年の利益の7倍にすぎない。
慎重な見方
山の年の利益で会社を測ってはいけない。会社自身が2027年3月期の営業利益を4億円と、2026年3月期の半分に置いている。2015〜2024年3月期の営業利益率は2〜5%台で、直近の8〜10%は米国の案件と受注の山が重なった例外だ。
顧客の偏りも重い。三菱電機と米国の川崎の工場の2社で売上の4分の1を超える。米国の地下鉄の案件は数年で一巡し、後続が同じ規模で続く保証はない。大手の電機が車両の機器をまとめて納める動きを強めれば、取り分は細る。
生産は竜ヶ崎の1拠点だけだ。会社は裏の崖の補強工事を終えたが、災害や事故で工場が止まれば、代わりはない。
資本の使い方も株主に向いていない。配当性向は1割台で、自社株買いはない。借入が17億円ある一方で、取引先の株を約18億円持つ。利益が積まれても、ROE は下がり続ける。株主に返さずに積む限り、帳簿の価値は株主の価値にならない。山の年の利益の PER が安く見えても、ならした利益と資本の効率で見れば、安くはない。
どちらに重みを置いたか
受注残の厚さと、運転台の機器で長く採用される関係は確かだ。一方で、直近の利益が山の数字であることも、会社の予想が示している。確率は中立を中心に、悲観側を34%と、強気側の28%よりやや厚くした。配当が少なく資本が積み上がる形は、どの筋書きでも株主の取り分を薄める。受注残の厚さは数年の利益を支えるが、10年の価値を決めるのは、山の後に残る利益の水準だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,979 円66 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 780 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 2,897 円38 億円、今との差 −14.8%、 期待の年率 +5.4%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 9,053 円120 億円 | 1,043 円14 億円 | +196.9% | +11.5% | 808 円11 億円 |
| やや楽観 | 20% | 7,096 円94 億円 | 892 円12 億円 | +134.9% | +8.9% | 1,598 円21 億円 |
| 中立 | 38% | 5,484 円73 億円 | 763 円10 億円 | +83.7% | +6.3% | 2,374 円31 億円 |
| やや悲観 | 23% | 2,675 円35 億円 | 846 円11 億円 | +3.6% | +0.4% | 810 円11 億円 |
| 悲観 | 11% | 1,239 円16 億円 | 302 円4 億円 | −54.7% | −7.6% | 170 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,979 円66 億円 | 780 円10 億円 | +69.4% | +5.4% | 5,758 円76 億円 |
今の株価時価総額 3,400 円45 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 国内の車両の更新と米国の案件が重なり、利益が今の水準を保つ 利益 9 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 9,053 円120 億円
国内では、昭和の終わりから平成の初めに作られた通勤車両の更新が10年続く。米国では川崎のリンカーン工場が地下鉄の車両を作り続け、森尾電機の機器を使う。鉄道の人員は1.2倍に増え、1人あたり売上は値上げと設計の効率化で名目1.45倍になる。
鉄道の営業利益率は9%と、2026年3月期の水準を保つ。自動車と船舶の機器も少しずつ伸びる。
売上は約125億円、営業利益は約11億円になる。ただ配当は少なく、利益の多くは帳簿に積まれる。自己資本が膨らむので、ROE は今の11%から下がる。それでも、運転台の機器で採用を広げ、補修の部品でも稼ぐ、強い専門会社の姿になる。
- 鉄道車両用の電気機器:数量 180(鉄道の製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.68(1人あたり売上(億円))→ 売上 122 億円・営業利益 11 億円。数量 1.20倍・単価 1.45倍・営業利益率 9.0%
- 自動車・船舶向けの機器:数量 64.9(製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.35(1人あたり売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。数量 1.10倍・単価 1.40倍・営業利益率 5.0%
- 不動産賃貸:数量 5.0(賃貸マンション(棟))× 価格 0.38(1棟あたり年間賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00倍・単価 1.25倍・営業利益率 50.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.7% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 114 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残は161億円と年間売上のほぼ2年分に積み上がり、米国の地下鉄車両の案件も続く。国内の通勤車両の更新と海外の案件が10年途切れず続く必要があり、同じ領域の強気(7〜10%)に合わせた。
やや楽観 20% 車両の更新が続き、利益率は過去最高の手前で落ち着く 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 7,096 円94 億円
国内の車両の更新は続き、米国の案件も後続の発注でつながる。鉄道の人員は1.1倍、1人あたり売上は名目1.40倍になる。
鉄道の営業利益率は7.5%と、直近2期よりやや低いが、過去の中央の倍近い水準を保つ。値上げと設計の使い回しが効く。
売上は約115億円、営業利益は約9億円になる。配当は増えるが、配当性向は2割前後のままで、自己資本は厚くなり続ける。ROE は資本コストの近くにとどまる。米国の子会社は現地で部品を作る決まりの受け皿として、後続の案件もつなぐ。国内の更新の波も、少しずつ追い風になる。値上げも定着する。
- 鉄道車両用の電気機器:数量 165(鉄道の製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.65(1人あたり売上(億円))→ 売上 108 億円・営業利益 8 億円。数量 1.10倍・単価 1.40倍・営業利益率 7.5%
- 自動車・船舶向けの機器:数量 62.0(製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.34(1人あたり売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。数量 1.05倍・単価 1.36倍・営業利益率 4.0%
- 不動産賃貸:数量 5.0(賃貸マンション(棟))× 価格 0.38(1棟あたり年間賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00倍・単価 1.25倍・営業利益率 50.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 86 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2025年3月期と2026年3月期の営業利益率は8〜10%と過去の山を更新した。受注残は29%増え、鉄道だけで122億円ある。今の勢いが半分ほど続く形を、強気側の中心に置いた。
中立 38% 米国の案件が一巡し、利益率は過去の平均よりやや上に戻る 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 5,484 円73 億円
米国の地下鉄車両の案件は数年で一巡し、後続は今より小さくなる。国内の車両の更新は続くが、人口が減る中で新しい車両の数は増えない。鉄道の人員は横ばいで、1人あたり売上は物価並みに名目1.34倍になる。
鉄道の営業利益率は6%と、直近2期より下がるが、過去の中央よりは上に保つ。値上げと設計の使い回しが効く分だ。自動車と船舶の機器は3%、賃貸マンションは賃料が少しずつ上がる。
売上は約115億円、営業利益は約7億円、純利益は約5億円になる。借入の金利が上がる分が少し利益を削る。配当性向は2割ほどで、自己資本は100億円を超え、ROE は5%前後に下がる。
- 鉄道車両用の電気機器:数量 150(鉄道の製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.62(1人あたり売上(億円))→ 売上 94 億円・営業利益 6 億円。数量 1.00倍・単価 1.34倍・営業利益率 6.0%
- 自動車・船舶向けの機器:数量 59.0(製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.34(1人あたり売上(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00倍・単価 1.34倍・営業利益率 3.0%
- 不動産賃貸:数量 5.0(賃貸マンション(棟))× 価格 0.38(1棟あたり年間賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00倍・単価 1.25倍・営業利益率 50.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 61 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社自身が2027年3月期の営業利益を4億円と、2026年3月期の半分に置く。過去12年の営業利益率の中央は4%前後で、直近2期は受注の山だった。山が引いた後に、値上げで少し上に落ち着く所を中心にした。
やや悲観 23% 海外の案件が途切れ、国内も車両の発注が細る 利益 2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 2,675 円35 億円
米国の案件が終わり、後続は取れない。国内の車両の更新も一巡し、鉄道の人員は1割減る。1人あたり売上は値上げが鈍り、名目1.25倍にとどまる。
鉄道の営業利益率は3.5%と、2024年3月期以前の水準に戻る。自動車と船舶の機器も伸びない。
売上は約90億円、営業利益は約4億円で、会社が2027年3月期に見込む水準が続く。借入の金利も上がり、純利益は2億円台になる。配当は保つが、ROE は3%前後に沈む。借入と持ち合いの株を抱えたまま、資本の効率はさらに下がる。値段は、稼ぐ力より売れる資産の側で決まる。会社は残るが、株主の取り分は細い。
- 鉄道車両用の電気機器:数量 135(鉄道の製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.58(1人あたり売上(億円))→ 売上 79 億円・営業利益 3 億円。数量 0.90倍・単価 1.25倍・営業利益率 3.5%
- 自動車・船舶向けの機器:数量 56.1(製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.32(1人あたり売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。数量 0.95倍・単価 1.25倍・営業利益率 2.0%
- 不動産賃貸:数量 5.0(賃貸マンション(棟))× 価格 0.37(1棟あたり年間賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00倍・単価 1.20倍・営業利益率 45.0%
倍率:稼ぐ力(純利益約2.5億円÷k で約30億円、ROE が k を大きく下回るので割り引くと約20億円)より、売れる資産の床の方がやや大きい。床の約22億円を時価総額に置き、今の自己資本61億円に対する PBR は約0.37倍。
確率:2015〜2024年3月期の営業利益率は2〜5%台だった。米国の案件は1社の工場に頼り、国内も車両メーカーの発注の波を受ける。山が引いて元の水準に戻る形を、同じ領域の悲観側と同じ程度に置いた。
悲観 11% 大口の顧客を失い、鉄道の機器が赤字に沈む 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,239 円16 億円
大手の電機メーカーが車両の機器を自社でまとめ、森尾電機への発注を減らす。米国の案件も終わる。鉄道の人員は3割減り、1人あたり売上も名目1.1倍にとどまる。
鉄道の機器は赤字すれすれになり、自動車と船舶の機器も細る。賃貸マンションの賃料だけが残る。
売上は約70億円、営業利益はほぼゼロになる。借入の利払いが重く、純利益はわずかな赤字だ。倒産はしないが、利益のない会社の帳簿は価値の床にならない。値段は、持ち合いの株と運転資金の売れる値段まで下がる。取引先の株は、売り急げば値が崩れる。配当もほとんど出なくなる。
- 鉄道車両用の電気機器:数量 105(鉄道の製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.51(1人あたり売上(億円))→ 売上 54 億円・営業利益 0 億円。数量 0.70倍・単価 1.10倍・営業利益率 0.0%
- 自動車・船舶向けの機器:数量 47.2(製造・設計の人員(人・推定))× 価格 0.28(1人あたり売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80倍・単価 1.10倍・営業利益率 0.0%
- 不動産賃貸:数量 5.0(賃貸マンション(棟))× 価格 0.35(1棟あたり年間賃料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00倍・単価 1.15倍・営業利益率 40.0%
倍率:稼ぐ力はほぼ無い。売れる資産の床(floor_assets_oku)をそのまま時価総額に置き、今の自己資本61億円に対する PBR は約0.27倍。EV÷営業利益は大きく出るが、営業利益がほぼゼロのためで、利益の倍率では測らず床の資産で測った。
確率:売上の14%を三菱電機、13%を米国の川崎の工場が占める。車両の電気機器は大手が自社で作る動きもあり、取引を失えば利益は消える。2007年3月期には赤字があった。同じ領域の悲観と同じ程度に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
鉄道車両用の電気機器
運転台の主幹制御器、配電盤、照明・電源などの機器を、国内の車両メーカーと米国の川崎の工場に納める。
| 数量鉄道の製造・設計の人員(人・推定) | 価格1人あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 150 | 0.47 | 70 | 7 |
| 10 年後 中立 | 150 | 0.62 | 94 | 6 |
取り方:鉄道関連の売上69.93億円を、電気機器の社員209人のうち鉄道に充てる約150人(売上の比で割り振った推定)で割った。営業利益は全社8.56億円から、不動産と他の機器の推定を引いた。
自動車・船舶向けの機器
道路工事で使う自走式の標識車、船舶の配電盤など。
| 数量製造・設計の人員(人・推定) | 価格1人あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 59.0 | 0.25 | 15 | 1 |
| 10 年後 中立 | 59.0 | 0.34 | 20 | 1 |
取り方:自動車関連11.81億円と船舶等3.11億円の計14.92億円を、残りの人員約59人で割った推定。
不動産賃貸
葛飾区と松戸市の賃貸マンション5棟。
| 数量賃貸マンション(棟) | 価格1棟あたり年間賃料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5.0 | 0.31 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 0.38 | 2 | 1 |
取り方:賃料1.53億円を5棟で割った。古い建物で償却は軽く、営業利益は賃料の約半分と推定した。
リスクと懸念
受注の山が引く
2026年3月期の利益は、米国の地下鉄の案件と国内の受注の山が重なった結果だ。会社自身が翌期の営業利益を半分に置く。過去12年の営業利益率の中央は4%前後で、山が引けばそこへ戻りうる。
顧客の偏り
三菱電機が14%、米国の川崎の工場が13%と、2社で売上の4分の1を超える。車両の形式が変わる時に採用を外れれば、売上は一気に細る。
大手による機器のまとめ納め
総合電機の鉄道部門が、制御装置と周りの機器をまとめて納める動きを強めれば、森尾電機の取り分は減る。部品を納める側の値決めの力は限られる。
生産が1拠点
生産は茨城県の竜ヶ崎事業所だけだ。崖の補強は終えたが、地震や火災で工場が止まれば代わりはない。小さな会社で、人の採用と技能の継承も課題になる。
資本の使い方
配当性向は1割台で、自社株買いはない。借入17億円を抱えながら、取引先の株を約18億円持つ。利益が帳簿に積まれ続ければ、ROE は資本コストを下回り、株主の取り分は薄まる。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が会社予想の4億円を大きく上回る
- 受注の山が続いている合図で、やや強気の筋書きに寄る。
- 米国で地下鉄の後続の案件を取る
- 海外の売上が一巡しない合図で、強気側に寄る。
- 配当性向の目標や自社株買いを打ち出す
- 積み上がる利益が株主に戻り始める。価値の割引が小さくなる。
- 持ち合いの株を売り、借入を返す
- 資本の効率が上がり、ROE の低下が止まる。前向きな合図だ。
- 主要な車両の形式で採用を外れる
- 数年先の売上が細る合図で、悲観側に寄る。
見ておくもの
- 受注高と受注残(鉄道・海外)
- 営業利益率(5%を保てるか)
- 三菱電機と米国向けの売上
- 配当性向と自社株買い
- 投資有価証券の売却と借入の残高
- 国内の通勤車両の更新の計画
倍率と資本コストの決め方
人員と1人あたり売上から利益を積み、倍率は式で置いた。中立は ROE が k を下回るので上限1÷kの75%にした。今の PER 7倍前後(山の年の利益)・PBR 0.7倍には寄せていない。投資有価証券と賃貸マンションは配当と賃料を利益に残すので価値に足さず、悲観の床にだけ入れた。借入の金利が上がる分は純利益から引いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.9→12.9 倍・やや楽観 PER 10.3→12.9 倍・中立 PER 9.1→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本7.5% + quality 0.75% = 8.25%。同じ領域の京三製作所(8.0%)より、顧客の偏りと規模の小ささの分を0.25%重くした。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.75%。