結論
インスペックは、半導体のパッケージ基板やフレキシブル基板の外観を調べる検査装置をつくる、秋田県の小さな会社だ。売上は 25 億円、営業利益は 1 億円で、利益率は 4% 台にとどまる。筆者の結論は割高である。技術は本物だが、受注の波と借入の重さが価値を削る。
AI の半導体では、チップを載せる基板が大きく複雑になり、検査の難度が上がる。この流れは同社の追い風だ。2025 年 4 月期の受注は過去最高の 30 億円を超えた。ところが次の期は 23 億円と 2 割減っている。
装置の受注は、顧客の設備投資の波にそのまま乗る。過去 12 年に売上は 13 億円から 28 億円の間を行き来し、最終赤字の年も 5 期あった。この波を平均より高いところで固定することはしない。
自己資本は 8 億円しかなく、純負債は 18 億円ある。利払いの負担は重い。10 年を均した営業利益率は 7% 台と見て、会社の中計が掲げる 15% には届かないと考える。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、手を出しにくい会社だ。技術は本物で、AI という追い風もある。だが、よい商売の条件がそろっていない。
第一に、利益が安定しない。受注は設備投資の波に乗り、売上は 13 億円と 28 億円のあいだを往復する。10 年後の利益を見通せない事業に、高い倍率は払えない。
第二に、資本の裏づけが薄い。自己資本 8 億円に対し、純負債は 18 億円ある。借入の返済を続けるあいだは、株主に回る利益が出にくい。ROE は資本コストに届かない。
第三に、時価総額が先を織り込んでいる。いまの値段は、純利益の 37 倍にあたる。中立の筋書きで利益が倍以上に伸びても、10 年後の価値を割り戻すと、今の時価総額の 2 割に届かない。
経営者が借入を減らしながら受注を積み上げ、ROE を資本コストの上に持っていけば、見方は変わる。いまはその途中で、安全域はない。
何で稼ぐ会社か
事業は検査装置の開発・製造・販売で、単一のセグメントだ。柱は二つある。
一つは半導体パッケージ基板の検査装置。チップを載せる基板は、配線が極めて細かい。その外観を高速で調べ、欠陥を見つける。欠陥を直すレーザーリペア装置も扱う。2025 年 4 月期は受注の約 7 割がこの分野だった。
もう一つはロールtoロール型で、巻き取り式のフレキシブル基板を連続して検査する。売上は前の期に約半分を占め、スマートフォン向けが中心だ。
本社と工場は秋田県仙北市にある。創業は 1984 年で、従業員は少なく、技術者が中心の小さな組織だ。研究開発費は売上の 16% と重く、2025 年 4 月期は 3.6 億円を使った。露光装置関連の事業からは撤退し、その損失で 2025 年 4 月期は赤字になった。
顧客名とシェアは開示されていない。売上は納品の時期で四半期ごとに大きく動く。2027 年 4 月期の第 1 四半期は売上が 5 億円と前年の 5 倍に増えたが、営業損益はなお赤字だった。納品が特定の時期に偏るため、四半期の数字だけでは実力を測れない。
優良さと弱いところ
堀は、技術の細かさにある。ハイエンドのパッケージ基板の検査は、難度が高く、長年の改良と顧客の工程に合わせた調整が要る。ただ、会社が小さく、顧客が大きいため、価格を決める力は弱い。
利益の安定性は低い。営業利益率は過去 12 年に 11% の山と、マイナス 22% の谷を経験した。最終赤字は 12 年のうち 5 期ある。受注が売上になるまでの時間差と、研究開発費の重さが、利益を大きく振る。
資本効率は弱い。ROE は過去 10 年の中央値で 5% 程度、資本コストに届かない。自己資本は 8 億円と薄く、純負債は自己資本の 2 倍を超える。自己資本比率は 22%、営業利益は利払いの 3 倍に届かない。
経営は 2026 年 4 月期から 3 年の中計で、営業利益率 15% 以上、ROE 15% 以上を掲げる。ただ、直近の営業利益率は 4% 台で、開きは大きい。配当は出していない。
強みは、AI 向けの基板検査という、成長する領域に技術を持つことだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
インスペックの戦う場は、半導体パッケージ基板とフレキシブル基板の検査装置の市場だ。需要の根っこは、基板メーカーの設備投資と、その先の半導体の生産にある。
追い風は AI だ。データセンター向けの半導体は、複数のチップを一つの基板に載せるチップレットや、立体的に積む実装が増える。基板は大きく、層が増え、不良の見逃しが高くつく。検査装置に求められる精度と台数が増える。会社は、前工程の大手が 2027 年前後に基板を量産レベルで内製すると見て、市場拡大の変化点としている。
逆風は、受注の山谷と競合だ。基板メーカーの設備投資は数年の周期で大きく振れ、2025 年 4 月期の過去最高の受注の次の期に、受注は 2 割減った。イスラエルのカムテックや KLA 傘下のオルボテックなど、海外の大手がこの分野にいる。規模で劣る同社は、日本の基板メーカーとの近さと細かな仕様対応で勝負する。
10 年では、パッケージ基板の検査の実質市場は伸びる。ただ、その伸びを小さな会社が受け取れるかは、採用の広がりと資金の続き方しだいだと筆者は考える。
資本政策と M&A
資本政策は、借入の返済が最優先だ。2026 年 4 月期の純負債は 18 億円で、自己資本の 2 倍を超える。営業利益は利払いの 3 倍に届かない。2027 年 4 月期の第 1 四半期は、総資産が 9 億円縮み、自己資本比率は 29% に上がった。
配当は出していない。自社株買いもない。中計は、研究開発費に 3 年で 10 億円、設備と人への投資に 7 億円を使う。利益が小さいなかで、投資が先行する。
発行済み株式数は 400 万株ほどと少なく、増資や新株予約権の行使で薄まりうる。潜在株式があることを会社は開示している。過去 20 年に希薄化の期もあった。
M&A の実績はなく、TOB などの話も確認できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AI の波は、まだ始まったばかりだ。データセンター向けの半導体は、チップを何個も載せる基板に移り、基板の検査は難しく、台数が増える。同社はその最も難しい領域の装置を持つ。前工程の大手が基板を内製すれば、新しい大口の顧客が一度に加わる。
2025 年 4 月期の受注は 30 億円を超え、過去最高だった。売上は 2019 年 4 月期に 11% の営業利益率を出した実績がある。受注が戻れば、固定費の重さが逆に効き、利益は売上より速く伸びる。2027 年 4 月期の第 1 四半期は、売上が 5 倍に増え、赤字幅が 1.4 億円から 0.2 億円に縮んだ。
財務は改善している。総資産が 9 億円縮み、自己資本比率は 29% に上がった。中計の 15% の利益率に近づけば、ROE は 15% に届く。研究開発に使った 3.6 億円が、これから実を結ぶ。顧客と共同で仕様を磨いてきた実績も、新規の採用で効いてくる。
慎重な見方
受注は波で、いまは谷だ。2026 年 4 月期の受注は前の期より 23% 減り、受注残も 10% 減った。2025 年 4 月期の過去最高の受注は山で、そこを基準にするのは危うい。売上は 12 年のあいだ 13 億円と 28 億円のあいだを往復し、最終赤字は 5 期あった。
借入が重い。純負債は自己資本の 2 倍を超え、営業利益は利払いの 3 倍に届かない。金利が上がれば、利払いがさらに重くなる。研究開発費は売上の 16% を食い、利益が出にくい構造だ。
競合は強い。イスラエルのカムテックや KLA 傘下のオルボテックなど、海外の大手がいる。前工程の大手が基板を内製するなら、その大手が自社で検査装置も調達し、小さな会社に注文が来ない恐れもある。
中計の 15% の利益率は、直近の 4% 台から遠い。計画を達成できなかった実績を、投資家は忘れない。しかも自己資本が薄く、赤字の年が続けば、増資で株が薄まる恐れがある。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。技術は本物で、AI の追い風も認めるが、受注の山谷と借入の重さは 12 年の実績で確かめられている。直近の受注は前の期を下回る。確率は中立を 31% と薄めに置き、悲観側を厚くした。純負債が重く倒れる可能性も残るため、悲観そのものも厚く配った。中立は、AI の追い風と受注の山谷の落としどころに置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 493 円20 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 21 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 203 円8 億円、今との差 −70.3%、 期待の年率 −2.8%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,644 円66 億円 | 75 円3 億円 | +151.7% | +9.7% | 120 円5 億円 |
| やや楽観 | 17% | 949 円38 億円 | 45 円2 億円 | +45.5% | +3.8% | 169 円7 億円 |
| 中立 | 31% | 521 円21 億円 | 25 円1 億円 | −20.0% | −2.2% | 169 円7 億円 |
| やや悲観 | 27% | 174 円7 億円 | 0 円0 億円 | −74.5% | −12.8% | 47 円2 億円 |
| 悲観 | 18% | 42 円2 億円 | 0 円0 億円 | −93.8% | −24.3% | 8 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 493 円20 億円 | 21 円1 億円 | −24.8% | −2.8% | 513 円21 億円 |
今の株価時価総額 683 円27 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 7% AI 向けのパッケージ基板が主役になり、検査の標準装置に入る 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,644 円66 億円
AI 向けのパッケージ基板が主役になり、検査の標準装置に入る。チップレットや 2.5D・3D の実装で基板は大きく複雑になり、検査の工程数が増える。前工程の大手が基板を内製に動くと、新しい顧客が加わる。
売上は 57 億円、営業利益率は 12% 台に乗り、会社の中計が掲げる 15% に近づく。借入は返済が進んで自己資本比率が 5 割を超え、配当を再開する。ただ、装置の受注には波が残り、ROE は 15% 前後にとどまる。海外の大手との競争でも、パッケージ基板向けのシェアを守り切る。研究開発の成果が製品に結びつき、受注の単価も上がる。
- パッケージ基板検査装置(フラットベッド型・レーザーリペア):数量 920(ハイエンドのパッケージ基板検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.34(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 40 億円・営業利益 6 億円。数量 2.30 倍・価格 1.34 倍・利益率 14.0%
- ロールtoロール型FPC検査装置:数量 330(精密FPC検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.34(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.5% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.14 倍、時価総額 61 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI 向けパッケージ基板の検査で採用が広がり、利益率が 1 割を超える必要がある。売上は過去 12 年に 13 億円から 28 億円の間を行き来しており、同業の 8〜10% より薄い 7% に置いた。
やや楽観 17% パッケージ基板が育ち、利益率が 1 割に近づく 利益 3 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 949 円38 億円
パッケージ基板が育ち、利益率が 1 割に近づく。AI 向けの需要が続き、フラットベッド型の受注が安定して増える。ロールtoロール型は数量が横ばいで、スマートフォン向けに偏る。
売上は 45 億円、営業利益率は 9% 台になる。借入は少しずつ減るが、返済はまだ重い。配当は再開するが小さく、ROE は 12% に乗る。中計の最終年に当たる 2028 年 4 月期には届かず、数年遅れの達成になる。研究開発費は売上の 1 割を超えて続き、利益率を押さえる。新しい顧客は増えるが、大口の採用は数件にとどまる。受注は年によって大きく動くが、均すと着実に増えていく。
- パッケージ基板検査装置(フラットベッド型・レーザーリペア):数量 700(ハイエンドのパッケージ基板検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.32(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 30 億円・営業利益 3 億円。数量 1.75 倍・価格 1.32 倍・利益率 11.0%
- ロールtoロール型FPC検査装置:数量 300(精密FPC検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.32(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍・価格 1.32 倍・利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.4% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.42 倍、時価総額 34 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の利益率 15% には届かず、9% 台に乗る筋書き。直近の受注は前の期を 2 割下回っており、計画どおりには進んでいない。同業の 17〜18% と同じ 17% に置いた。
中立 31% パッケージ基板で稼ぐが、受注の山谷は消えない 利益 2 億円 · PER 10.4 倍 · 株価時価総額 521 円21 億円
パッケージ基板で稼ぐが、受注の山谷は消えない。パッケージ基板向けは AI 需要で実質 3 割増えるが、ロールtoロール型は 1 割減る。売上は山の年も谷の年もあり、10 年を均すと 37 億円ほどになる。
営業利益率は 7% 台で、これは 2019 年 4 月期の 11% の山を下回る水準だ。研究開発に売上の 1 割以上を使い続けるため、利益率は伸びきらない。借入の返済は進むが、自己資本の増え方は遅く、ROE は 8% 台にとどまる。資本コストには届かない。受注の谷の年には、利益が出ない年もある。
- パッケージ基板検査装置(フラットベッド型・レーザーリペア):数量 540(ハイエンドのパッケージ基板検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.30(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。数量 1.35 倍・価格 1.30 倍・利益率 9.0%
- ロールtoロール型FPC検査装置:数量 270(精密FPC検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.30(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍・利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.4 倍。全体の PER 10.43 倍、時価総額 18 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注の山谷を均した利益率が 7% 台に収まる筋書き。直近の受注減と過去の赤字の多さを見て、同業の 33〜35% より薄い 31% に置き、悲観側を厚くした。
やや悲観 27% 採用が伸びず、研究開発の負担だけが残る 利益 1 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 174 円7 億円
採用が伸びず、研究開発の負担だけが残る。海外の大手検査装置メーカーとの競争で、パッケージ基板向けの受注が伸びきらない。ロールtoロール型はスマートフォン向けの需要が減る。顧客の設備投資が先送りされ、受注の谷が長引く。
売上は 25 億円と今とほぼ同じで、物価を考えれば実質で縮む。営業利益率は 3.8% まで下がり、研究開発費が利益を食う。受注の谷で赤字の年も出る。借入の返済が先で、配当は出せない。海外の大手が基板メーカーとの関係を深め、同社の入る余地が狭まる。研究開発費だけが先に出て、回収の見通しが立たない。
- パッケージ基板検査装置(フラットベッド型・レーザーリペア):数量 400(ハイエンドのパッケージ基板検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.20(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍・価格 1.20 倍・利益率 5.5%
- ロールtoロール型FPC検査装置:数量 210(精密FPC検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.20(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。数量 0.70 倍・価格 1.20 倍・利益率 1.0%
倍率:事業の純利益 0.55 億円・ROE 約 6% は k よりかなり低く、PER の上限は 1÷k=9.5 倍。取り分が削られ借入も重い筋書きのため、上限の約 7 割の 7.0 倍に置いた。EV(時価総額+純負債 18 億円)÷営業利益は約 22 倍と高く、借入の重さは悲観の確率で見た。
確率:採用が計画に届かず、利益率が 4% 前後にとどまる筋書き。2021 年 4 月期と 2024 年 4 月期に赤字を出した実績と、借入の重さを考え、同業の 22〜28% の上のほうの 27% に置いた。
悲観 18% 主要顧客の内製化と海外勢に押され、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 42 円2 億円
主要顧客の内製化と海外勢に押され、赤字が続く。パッケージ基板の検査は、大手の基板メーカーが自社開発の装置を使い、外部の装置メーカーに注文が来なくなる。ロールtoロール型もスマートフォンの需要減で縮む。
売上は 12 億円台に細り、営業利益は赤字になる。研究開発を絞っても固定費が重く、借入の返済を続けるために資産を売る。自己資本は薄くなり、増資や提携が避けられない。価値は小さな残りの事業そのものになる。上場を続ける意味が問われ、他社への身売りの話が出ても不思議はない。従業員の流出で、技術の蓄積も細っていく。
- パッケージ基板検査装置(フラットベッド型・レーザーリペア):数量 220(ハイエンドのパッケージ基板検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.10(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 0.55 倍・価格 1.10 倍・利益率 -5.0%
- ロールtoロール型FPC検査装置:数量 120(精密FPC検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分)× 価格 1.00(価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 0.40 倍・価格 1.00 倍・利益率 -10.0%
倍率:赤字で稼ぐ力はなく、純現金も無いため床の資産は立てない。自己資本が赤字で薄くなる筋書きとして、今の自己資本 8.25 億円の約 2 割にあたる 0.34 倍を、減損後の自己資本 5.0 億円に掛けて置いた。
確率:装置の受注が戻らず、借入の重さが重なる構造的な負けの筋書き。2021 年 4 月期に 12 億円の赤字を出した実績があり、自己資本比率が 2 割台の会社なので、同業の 12〜15% より厚い 18% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
パッケージ基板検査装置(フラットベッド型・レーザーリペア)
半導体パッケージ基板の外観を調べる超ハイエンドの検査装置と、欠陥を修正するレーザーリペア装置。
| 数量ハイエンドのパッケージ基板検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分 | 価格価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 400 | 1.00 | 13 | 1 |
| 10 年後 中立 | 540 | 1.30 | 23 | 2 |
取り方:開示は事業全体の売上24.8億円のみ。前の期の説明では売上の約半分がロールtoロール型で、次いでフラットベッド型だった。そこから、パッケージ基板向けを売上の約52%(13.0億円)と置いた(推定)。数量は、ハイエンドのパッケージ基板検査の市場を約400億円(実質)と推定し、取り分を約3.3%とした(推定)。利益は6.2%と推定。
ロールtoロール型FPC検査装置
巻き取り式のフレキシブル基板を連続して検査する装置。スマートフォンや車載向けの基板で使われる。
| 数量精密FPC検査装置の世界の実質市場(億円)× 取り分 | 価格価格指数(今=1.00。物価の分と装置の高性能化を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 300 | 1.00 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 270 | 1.30 | 14 | 1 |
取り方:売上の約48%(11.8億円)と置いた(推定)。数量は、精密なFPC検査装置の世界市場を約300億円(実質)と推定し、取り分を約3.9%とした(推定)。利益は事業全体の4.4%より低い2.4%と推定(パッケージ基板向けのほうが高収益)。
リスクと懸念
受注の山谷
受注は基板メーカーの設備投資に連動する。2025 年 4 月期に過去最高だった受注は、次の期に 23% 減った。受注が売上になるまでに時間差があり、利益は売上より大きく振れる。
借入の重さ
純負債は 18 億円で、自己資本の 2 倍を超える。営業利益は利払いの 3 倍に届かない。金利が上がれば、利払いが利益を食う。返済のために投資や配当が抑えられる。
主要顧客の内製化
前工程の大手が基板を内製に動くと、新たな需要になる一方、その大手が検査装置を自社で調達すれば、外部の小さな装置会社には注文が来ない恐れがある。
海外大手との競争
イスラエルのカムテックや KLA 傘下のオルボテックなど、海外の大手がこの分野にいる。資金力と販売網で劣る小さな会社は、採用を広げるのに時間がかかる。
研究開発費の負担
研究開発費は売上の 16% にのぼり、3 年で 10 億円を投じる計画だ。利益が小さいなかで先行する投資は重く、成果が遅れれば財務を痛める。
株式の希薄化
発行済み株式数は 400 万株ほどと少なく、潜在株式がある。増資や新株予約権の行使があれば、既存の株主の持ち分が薄まる。過去 20 年にも希薄化の期があった。
今後の分かれ目
- 受注が前の期を上回り、受注残が 20 億円を超えたら
- やや楽観の筋書きに重みを移す。ただし倍率の上限(1÷k)は変わらず、利益の伸びがそのまま価値になるわけではない。
- パッケージ基板検査で大口の新規顧客(前工程の大手)が決まったら
- パッケージ基板の数量を上方に見直し、楽観側の確率を上げる。
- 借入の返済が進み、自己資本比率が 4 割を超えたら
- 借金の quality の上乗せを下げられる。悲観側の確率も下げる。
- 増資や新株予約権の大量行使が発表されたら
- 既存の株主の取り分が薄まる。holder_share を見直し、価値を引き下げる。
- 2027 年 4 月期の営業利益が会社予想の 1.5 億円を割り、赤字が続いたら
- 悲観側の確率を上げる。借入の返済と研究開発の両立が難しくなる筋書きに近づく。
見ておくもの
- 四半期の受注高と受注残
- 営業利益率が 7% を超えて定着するか
- 純負債と利払い、自己資本比率
- パッケージ基板検査の新規顧客
- 株式数の増減(増資・新株予約権)
倍率と資本コストの決め方
ハイエンド基板検査装置の市場(実質)に取り分を掛け、価格指数に物価 3% を入れて売上を積んだ。数量は、2025 年 4 月期の過去最高の受注を基準にせず、12 年の売上の往復(13〜28 億円)を均した水準から置いた。倍率は資本コスト 10% と事業の ROE から、PER の上限 1÷k を出し、中立は約 8 割、やや悲観は約 7 割に置いた。今の株価や同業の倍率には寄せていない。悲観は赤字で稼ぐ力がなく、減損後の自己資本に掛けて置いた。市場規模と事業別の売上・利益は開示が無く推定。新リース会計基準の影響は小さく、10 年後は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→12.14 倍・やや楽観 PER 8.8→11.42 倍・中立 PER 7.6→10.43 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.50% → 10.00%。