結論
京写は、家電や車に使う片面のプリント配線板を大量に作る会社だ。片面板では世界最大の生産能力を持つと自ら言う。筆者の結論は割高である。量の強さが、値段の強さにつながっていないからだ。
売上は約250億円あるが、営業利益率は過去12年で5%を超えたことがない。2026/03期は中国の需要の落ち込みで営業利益が3割5分減り、純利益はほぼ消えた。ROE、つまり自己資本でどれだけ稼いだかは、10年の中央値で4%ほどにとどまる。
会社は2036年に売上400億円、営業利益率10%を掲げる。金属基板や厚い銅の基板に投資し、赤字の両面板は立て直すという。筆者はこの目標の半分も届けば上出来と見る。
今の値段は帳簿の6割ほどだが、稼ぎが資本コストの半分なら帳簿は床にならない。安く見えても、安全域は無い。
値段が上がる道があるとすれば、中国に頼らない稼ぎの柱が育つことだ。それが数字で見えるまで、筆者は帳簿の安さを割り引いて見る。今期の回復の見込みは、その入り口にすぎない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、京写は「量はあるが値段を決められない会社」だ。片面板の量で世界最大でも、客は値段で選ぶ。規模が堀、つまり他社がまねできない強みにならない典型である。
帳簿の6割という値段は安く見える。だが資本の稼ぎが資本コストの半分しかない会社では、ためた利益は額面ほどの価値を持たない。帳簿は床ではなく、稼ぐ力が値段を決める。その稼ぐ力は年に数億円で、しかも中国の工場1つに頼る。
10年先も事業は残るだろう。家電と車の基板の需要は消えない。金属基板や厚い銅の基板が育てば、利益率は少し上がる。それでも、オーナーとして長く持ちたい事業かと問えば、答えは否だ。
筆者が値段に安全域を見るには、計画の目標の半分でも数字で示されること、つまり営業利益率が数年続けて5%を超えることが要る。それまでは、安く見えるだけの会社と扱う。量の大きさに目を奪われず、稼ぎの質で値段を測る。
何で稼ぐ会社か
売上のほとんどがプリント配線板だ。主力は片面板で、紙や樹脂の板の片側だけに銅の回路を作る、いちばん簡単な基板である。エアコンや冷蔵庫、照明、テレビの電源、車の部品などに使われる。ほかに両面板、熱を逃がす金属基板、大きな電流を流す厚い銅の基板、部品を載せる実装の受託がある。
生産は国内と海外に分かれる。中国の広州の工場がグループ最大で、日系の家電メーカーに片面板を出す。ほかにインドネシア、ベトナム、メキシコに工場がある。ベトナムは車向けの両面板を月4万㎡作る。国内は京都、九州、新潟などにある。
稼ぎの中身は偏っている。2026/03期の地域別の利益は、中国が9億円弱の黒字で、日本とインドネシアは赤字だった。会社全体の利益の大半を中国の工場が出している。
客は家電と車の部品のメーカーが中心だ。1社への売上を1割ほどに抑える方針で、特定の客に頼らない。創業家の資産管理会社とみられる児嶋コーポレーションが14%を持つ筆頭株主である。同業のメイコーも株主に名を連ねる。
今の柱は量だ。安い片面板を大量に作り、工場の稼働を上げて利益を出す。稼働が落ちれば固定費がすぐに利益を食う。
優良さと弱いところ
優良さは低いとみる。片面板は作り方が成熟し、中国や台湾、東南アジアの工場でも作れる。量で世界最大でも、客は値段で選ぶ。京写の値決めの力は弱い。
数字がそれを示す。過去12年の営業利益率は最高でも5.2%で、赤字の期もある。ROEは10年の中央値で4%ほどで、資本コストの半分に届かない。中国の工場が稼ぎ、国内とインドネシアの赤字がそれを食う形が続く。
良い点もある。広い拠点で、日系の客の海外工場の近くで作れる。1社に頼らない客の構成は、急な注文の消失を防ぐ。金属基板や厚い銅の基板は、電力を扱う機器の増加とともに伸びる余地がある。
資本の使い方は平凡だ。配当は少なく、今年は自社株を1億円ほど買った。借金は純額で26億円ある。計画の目標と実績の差も大きく、計画の言葉を割り引いて読む必要がある。
総じて、規模はあるが値段を決められない、部品の下請けの形である。値段で選ばれる会社の利益は、景気の波をそのまま受ける。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
プリント配線板の世界の生産は、中国と台湾が過半を占める。スマホやサーバーの高い技術の基板は、台湾や日本の大手が争う。京写のいる片面板は、その反対の端にある。技術の差が小さく、値段の勝負になりやすい。
片面板の需要は、家電の数とともに動く。世界の家電の生産は量で大きく伸びず、中国の景気と日系の家電メーカーの盛衰に振られる。2026/03期は中国の需要の落ち込みで、広州の工場の売上が1割強減った。
伸びる場所もある。電気で動く車や充電器、太陽光の機器、データセンターの電源は、熱と大きな電流に耐える基板を要る。金属基板や厚い銅の基板の出番だ。京写はここに投資を寄せる。ただ同じ狙いの会社は国内のシライ電子工業や海外の大手にも多い。
材料の銅や樹脂、電気代は物価以上に上がりやすい。小さな基板メーカーは値上げが遅れ、その間の利益を削られる。米中の対立と関税も、中国に生産の重心を置く京写には読みにくい要素だ。
筆者は、片面板の量は10年でほぼ横ばい、単価は物価に届かないとみる。勝負は、伸びる電力の基板にどれだけ寄せられるかだ。
資本政策と M&A
配当は年1回で、2026/03期は年5、今期は9の予定だ。中計では配当性向3割を掲げる。2026年3月から9月にかけて自社株を30万株、約1億円で買った。規模は小さいが、還元に手を付けた点は評価できる。
借金は有利子負債82億円、現金55億円で、純額26億円の借金がある。営業利益は支払利息の3倍に満たない年があり、金利が上がれば利益が削られる。上場株を69銘柄、9億円ほど持ち、少しずつ売っている。
筆頭株主は創業家とみられる会社で、14%を持つ。同業のメイコーも2%弱を持つ。業界の再編で同業に買われる道はあるが、今は具体的な話は無い。株主優待は無い。
筆者が見たいのは、赤字の拠点を畳む決断だ。量を守るより、稼ぐ拠点に資本を寄せる方が株主の取り分は増える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
帳簿の6割という値段は、谷の年の利益で測ったものだ。2026/03期は中国の需要が落ちたが、そこが谷だ。今期の1四半期は売上が6%増え、純利益も5割近く増えた。会社は今期の純利益を4億円強と見込み、配当も5から9へ増やす。
片面板で世界最大の生産能力は、簡単にはまねできない。広州、インドネシア、ベトナム、メキシコに工場を持ち、日系の客の海外工場の近くで作れる。客を1社1割に抑えた構成は、急な落ち込みに強い。
伸びる芽もある。金属基板と厚い銅の基板は、電気の車や充電器、データセンターの電源に要る。会社は2036年に売上400億円、営業利益率10%を掲げ、成長の投資をここに寄せる。半分届くだけでも、利益は今の数倍になる。
資本政策も変わり始めた。中計で配当性向3割を掲げ、今年は自社株を1億円買った。同業のメイコーが株主にいることは、再編の芽にもなる。帳簿の6割で買えるなら、再編の時の値段の目安との差がそのまま上乗せになる。
慎重な見方
量が値段につながらないことは、12年の数字が示している。営業利益率は最高でも5.2%で、ROEの中央値は4%ほどだ。片面板は技術の差が小さく、中国や東南アジアの工場とも値段で比べられる。
稼ぎも偏っている。利益の大半は中国の広州の工場1つが出し、日本とインドネシアは赤字だ。中国の景気が落ちれば、会社全体の利益が消える。2026/03期の純利益がほぼゼロになったのがその証拠だ。米中の対立と関税も、中国に重心を置く会社には重い。
計画も信用しにくい。長期の目標の営業利益率10%は、過去の最高の2倍だ。前の計画も届かなかった。
借金も軽くない。純額で26億円の借金があり、利息の3倍を稼げない年もある。金利が上がれば、薄い利益はさらに削られる。前の中計の数字も届かず、計画の言葉の信用は薄い。帳簿の値段で買っても、稼ぎが資本コストを下回り続ければ、値段は帳簿に近づかない。安く見える値段は、稼ぎの弱さの映し鏡にすぎない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。片面板の量と拠点の広さは本物だが、12年の利益率がそれを稼ぎに変えられないことを示す。長期の計画の数字は過去の実績から遠く、中立には置かない。中立に4割弱、やや悲観と悲観に合わせて3割5分を置き、楽観は1割未満にした。営業利益率が5%を超える年が続けば、楽観側に寄せる。逆に中国の工場の利益がさらに細れば、慎重側に寄せる。結論が割高に出るのは、稼ぎの弱さが帳簿の安さを上回るからだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 572 円82 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 92 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 314 円45 億円、今との差 −25.1%、 期待の年率 +4.7%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,736 円248 億円 | 238 円34 億円 | +371.0% | +16.8% | 138 円20 億円 |
| やや楽観 | 20% | 891 円127 億円 | 142 円20 億円 | +146.5% | +9.4% | 207 円30 億円 |
| 中立 | 38% | 570 円82 億円 | 94 円14 億円 | +58.6% | +4.7% | 252 円36 億円 |
| やや悲観 | 22% | 202 円29 億円 | 37 円5 億円 | −42.8% | −5.4% | 53 円8 億円 |
| 悲観 | 13% | 84 円12 億円 | 21 円3 億円 | −75.0% | −12.9% | 14 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 572 円82 億円 | 92 円13 億円 | +58.4% | +4.7% | 663 円95 億円 |
今の株価時価総額 419 円60 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 電力の基板が育ち、長期の目標に近づく 利益 19 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,736 円248 億円
電気の車や充電器、データセンターの電源が増え、熱と電流に強い基板の注文が伸びる筋書きだ。京写は金属基板と厚い銅の基板の比率を上げ、量は10年で2割5分増える。単価の高い基板が増えるので、平均の単価は物価に近い分だけ上がる。日本とインドネシアの赤字は、品目の入れ替えで消える。営業利益率は8%に乗り、売上は長期の目標の400億円に届く。ROEは資本コストを少し上回る。配当は利益の3割5分を出し、借金は返し終わる。中国の工場への偏りも薄れ、利益の振れは小さくなる。同業との再編で規模を足す道も開ける。量の大きさが、ようやく値段の強さに変わる姿だ。
- プリント配線板・実装:数量 515(年間の出荷面積(万㎡・推定))× 価格 0.78(1 ㎡あたり平均単価(万円・名目))→ 売上 401 億円・営業利益 32 億円。推定 515 万㎡(1.25 倍)× 0.78 万円(1.30 倍)、利益率 8%
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 248 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:金属基板・厚銅基板が電力の機器で伸び、赤字の拠点も立て直す筋書き。過去12年の営業利益率の最高が5.2%で、8%は実績の外なので1割未満にした。
やや楽観 20% 中計に近い数字まで戻る 利益 11 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 891 円127 億円
中国の家電の需要が数年で戻り、広州の工場の稼働が上がる筋書きだ。今期の1四半期の増収は、その始まりと読める。ベトナムの車向けの両面板と金属基板が伸び、量は10年で1割増える。単価は物価の8割ほど上がり、材料の上昇はおおむね値上げで取り返す。両面板の立て直しで国内の赤字は小さくなり、営業利益率は6%弱になる。中計の7%には届かないが、過去の最高に近い。配当は3割5分の性向で増える。それでもROEは資本コストに届かず、値段は帳簿を下回る。片面板の値段の競争は残り、それ以上の上振れは難しい。償却は設備の更新で少しずつ増える。
- プリント配線板・実装:数量 453(年間の出荷面積(万㎡・推定))× 価格 0.75(1 ㎡あたり平均単価(万円・名目))→ 売上 340 億円・営業利益 20 億円。推定 453 万㎡(1.10 倍)× 0.75 万円(1.25 倍)、利益率 5.8%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 127 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中国の需要が戻り、金属基板が少しずつ伸びる筋書き。中計の営業利益率7%には届かないが、過去の最高に近い6%弱までは戻りうるとして2割。
中立 38% 量は横ばい、利益率は4%台半ば 利益 7 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 570 円82 億円
片面板の需要は家電の数とともに動き、10年で量はほぼ横ばいだ。金属基板は伸びるが、家電の生産地の移動と値段の競争で汎用品は減る。単価は物価の6割ほどしか上がらず、10年で1.2倍にとどまる。中国の工場が稼ぎ、国内とインドネシアは収支とんとん近くまで良くなる。営業利益率は4%台半ばで、過去12年の平均より少し高い。借金は少しずつ返すが、金利の上昇で利息は重くなる。ROEは5%台で、資本コストの6割ほどだ。償却は年11億円から大きく増えず、設備は更新の分だけ買う。新しい設備は物価の分だけ高くなり、償却は少しずつ増える。配当は利益の3割5分で、自社株買いは時々にとどまる。
- プリント配線板・実装:数量 412(年間の出荷面積(万㎡・推定))× 価格 0.72(1 ㎡あたり平均単価(万円・名目))→ 売上 296 億円・営業利益 13 億円。推定 412 万㎡(横ばい)× 0.72 万円(物価に届かない 1.20 倍)、利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 82 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家電の基板の量は横ばいで、片面板は値段の競争が続く。シライ電子工業・日本シイエムケイと同じ物差しの中立で、もっとも起こりやすいとみた。
やや悲観 22% 中国の稼ぎが細り、利益は2%台 利益 3 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 202 円29 億円
日系の家電メーカーが中国の生産を減らし、広州の工場の注文が細る筋書きだ。ベトナムやインドネシアが受け皿になるが、移る間に量は1割減る。単価は物価に大きく遅れ、材料と人件費の上昇を取り返せない。営業利益率は2%台半ばに沈み、借金の利息がその利益をさらに削る。配当は減らし、利益の多くは設備の維持に消える。帳簿は残るが、それを生かす稼ぎが無く、値段は稼ぐ力に見合う所まで下がる。借金の返済が遅れれば、銀行の条件も厳しくなる。金利の上昇も、薄い利益をさらに削る。メキシコとインドネシアの工場は、整理の候補に挙がる。
- プリント配線板・実装:数量 370(年間の出荷面積(万㎡・推定))× 価格 0.66(1 ㎡あたり平均単価(万円・名目))→ 売上 244 億円・営業利益 6 億円。推定 370 万㎡(0.9 倍)× 0.66 万円(1.10 倍)、利益率 2.5%
倍率:ROE は約 2.5%で k を大きく下回る。値段は稼ぐ力(純利益÷k)まで。借金の利息と固定の設備費が残り利益が細いので 1÷k の 7 割の 7.5 倍。PBR は 0.18 倍と低いが、床の資産(売掛金・在庫・現金から負債を引いて約 12 億)より稼ぐ力の値が上なので、稼ぐ力で置いた。
確率:日系の家電メーカーが中国から生産を移し、広州の工場の量が減る筋書き。2026/03期に純利益がほぼ消えたように、利益の振れが大きいので厚めに置いた。
悲観 13% 片面板が中国勢に流れ、赤字が続く 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 84 円12 億円
中国の地場の基板メーカーが、片面板を京写より安く作る。日系の家電メーカーもその安い基板を使い始め、広州の工場の量が大きく減る。量は10年で3割減り、単価は上がらない。営業損益は赤字に沈み、国内とインドネシアの工場の一部を閉めて減損する。配当は止まり、借金の返済が優先される。創業家が筆頭株主で、少数株主が清算を決めることはできない。値段は、売掛金と在庫と現金で借金を返した残りに近づき、帳簿の1割強で止まる。工場の土地は小さく、売れる資産は思ったより少ない。上場株の売却で借金を返す場面もある。量で世界最大という看板は、値段の前では役に立たない。
- プリント配線板・実装:数量 288(年間の出荷面積(万㎡・推定))× 価格 0.60(1 ㎡あたり平均単価(万円・名目))→ 売上 173 億円・営業利益 −3 億円。推定 288 万㎡(0.7 倍)× 0.60 万円(据え置き)、利益率 −1.5%
倍率:赤字なので PBR で置く。価値は床の資産(約 12 億、floor_assets_why)。今の自己資本 99 億に対し 0.12 倍。
確率:汎用の片面板が中国の地場の工場に流れ、広州の工場が赤字になる構造的な負け。2021/03期と2023/03期に赤字があり、中国1つに頼る形なので1割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
プリント配線板・実装
片面板・両面板・金属基板・厚銅基板と部品の実装。家電・車・事務機・産業機器向け。中国・インドネシア・ベトナム・メキシコと国内で作る。
| 数量年間の出荷面積(万㎡・推定) | 価格1 ㎡あたり平均単価(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 412 | 0.60 | 247 | 8 |
| 10 年後 中立 | 412 | 0.72 | 296 | 13 |
取り方:面積の開示は無い。安い片面板が主で、両面板・金属基板を混ぜた 1 ㎡の平均単価を 0.6 万円と見て、売上 247 億円から出荷面積を約 410 万㎡と推定(実装の受託も含めた売上)。数量は実質の面積、物価と値下げの圧力は単価に入れた。利益は全社の営業利益。
リスクと懸念
中国の工場への依存
利益の大半を中国の広州の工場が出し、日本とインドネシアは赤字だ。中国の景気や日系の家電メーカーの生産が落ちれば、会社全体の利益が消える。2026/03期の純利益がほぼゼロになったのはこの形による。
汎用の片面板の値段の競争
片面板は技術の差が小さく、中国や東南アジアの工場とも値段で比べられる。材料や電気代の上昇を値上げで取り返しにくく、利益率は5%を超えにくい。
米中の対立と関税
中国で作った基板を載せた製品が米国の関税に掛かれば、客は生産地を移す。ベトナムやインドネシアに受け皿はあるが、移る間に稼働が落ちる。
金利の上昇と借金
純額で26億円の借金があり、営業利益が利息の3倍に届かない年もある。借り換えの金利が上がれば、薄い利益がさらに削られる。
計画と実績の差
長期の目標の営業利益率10%は、過去の最高の2倍だ。成長の投資が実らなければ、償却と借金だけが残る。
今後の分かれ目
- 営業利益率が2年続けて5%を超えたら
- 量が稼ぎに変わり始めた印。やや楽観の確率を上げる。
- 金属基板・厚銅基板の売上の比率を開示し、年々上がったら
- 値段の競争から離れた稼ぎが育つ。中立の利益率を上に見直す。
- 日本かインドネシアの工場の閉鎖や減損を発表したら
- 赤字の拠点の整理は利益率を上げるが、量は減る。中立の量を下げ、利益率を上げる。
- 中国の工場の売上がさらに2割減ったら
- 利益の柱が細る。やや悲観の確率を上げる。
- 同業から資本提携や買収の提案が出たら
- 帳簿に近い値段が目安になる。楽観側に寄せる。逆に中国の工場の利益がさらに細れば、慎重側に寄せる。結論が割高に出るのは、稼ぎの弱さが帳簿の安さを上回るからだ。
見ておくもの
- 地域別の営業利益(中国・日本・インドネシア)
- 営業利益率と中計の進み
- 金属基板・厚銅基板の売上
- 純有利子負債と支払利息
- 配当と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価から置いていない。10年後の事業のROEは中立で約5.6%とk 8.5%を下回るので、正当化PERの上限は1÷k=10.8倍で、値決めの弱さと中国への依存で7.5割の8.1倍とした(シライ電子工業の中立8.3倍より、借金と利益の偏りの分だけ低い)。楽観だけROEがkを上回り、式の上限11.7倍の9.5割。今のPBR約0.6倍は割安の根拠にしていない。悲観は売掛金・在庫・現金から負債を引いた床で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.1→13.33 倍・やや楽観 PER 9.2→11.76 倍・中立 PER 8.1→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。