結論
大日光・エンジニアリングは、栃木県日光市に本社を置く電子機器の受託製造の会社だ。電子部品を基板に載せる実装と、一眼レフのカメラのレンズの組み立てを、国内のカメラの最大手のグループなどから請け負う。筆者の結論は割高である。売上は370億円あるが、営業利益は売上の2%に届かない年が続き、借入は117億円ある。
受託の製造は、値段を客が決める商売だ。工場は日本と中国、タイ、ベトナムにあり、人の多い組み立ての仕事を安い国で引き受ける。客の生産の計画が変われば、仕事の量はすぐに増減する。
会社は2026年12月期に営業利益11億円を見込むが、上期の営業利益は1.4億円にとどまった。過去12年で利益率が3%を超えた年は無い。筆者は、10年後も利益率は2%前後とみる。上がる金利が利払いを重くし、子会社の少数株主の取り分も引くと、株主に残る利益はごく小さい。
今の値段は、会社の見込みどおりに利益が伸びる筋書きを先に織り込んでいると考える。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、大日光は「精密な組み立ての技能を、客の決める値段で売る会社」だ。技能は本物で、長い取引の関係もある。だが、技能の値打ちは客の側に吸い取られ、利益率は2%に届かない。
筆者がいちばん気にしているのは、稼ぎと借金の釣り合いだ。営業利益は年に6億円ほどで、借入は117億円ある。金利が上がれば利払いが重くなり、子会社の少数株主の取り分も引くと、株主に残る利益はわずかだ。
資本の稼ぎは資本コストの半分ほどで、ためた利益は帳簿の額ほどの値打ちを持たない。増資による希薄化を繰り返した過去もある。
オーナーとして持ちたいのは、利益率が3%を超えて続き、借入が大きく減る道筋が見えた時だ。今の値段は会社の見込みどおりの回復を先に払っており、安全域は無いと考える。
技能はあっても、その値打ちを価格で取り戻せない限り、株主の取り分は増えない。
何で稼ぐ会社か
大日光・エンジニアリングは1984年に栃木県で生まれた。電子機器の受託製造、つまり他社の製品の部品の組み立てを請け負う会社だ。英語の頭文字でEMSと呼ばれる業態にあたる。
仕事は2つの柱からなる。1つは電子部品を基板に載せてはんだで留める実装だ。もう1つは、一眼レフのカメラのレンズのような精密な機構の組み立てで、国内のカメラの最大手のグループが主な客だ。タイでは自動車の部品の会社にも納め、2019年と2020年には大和化成のタイの会社が売上の1割を超えた。
工場は国内の栃木のほか、中国の無錫、タイ、ベトナムにある。売上の6割近くはアジアで立つ。人手の多い組み立てを人件費の安い国で引き受け、国内では試作と小さな量の生産を担う。
子会社には、基板を作る栃木電子工業、自動車の部品や金型の加工を受けるNCネットワークファクトリー、人材の派遣、事務機器の販売がある。持ち分が6割の子会社もあり、その利益の一部は少数株主に帰属する。
株主は、香港のLEE WO INVESTMENT GROUPが19%を持つ。2022年に会社の増資を引き受け、中国の工場の持ち分の受け渡しにも関わった。社長の山口琢也氏が出資する有限会社欅も2割近くを持つ。
優良さと弱いところ
強みは、精密な組み立ての技能と、長い取引の関係だ。カメラのレンズの組み立ては、細かい部品を狂いなく合わせる仕事で、どの工場でもすぐにできるわけではない。国内のカメラの最大手のグループとの関係は長く、日本と中国とタイとベトナムに工場を持つことで、客の生産の移転にも付いていける。
弱さは、値段を決める力が無いことだ。受託の製造の値段は客が決め、同じ仕事は台湾や中国の大きな受託の会社も引き受ける。過去12年の営業利益率は最も良い年で3.1%、悪い年は赤字だ。
客の偏りもある。一眼レフのカメラの市場は、スマートフォンに押されて長く縮んできた。カメラの客の生産の計画が変われば、仕事は大きく減る。
財務も重い。純負債は自己資本に近く、営業利益で利払いを3倍ほどしか賄えない。過去20年で増資による株の希薄化が3回あり、赤字の年も5回ある。資本の稼ぎ(ROE)の中央値は5%で、資本コストに遠い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
電子機器の受託製造の市場は世界で大きく、台湾の鴻海(フォックスコン)のような巨人から、地域の中小の工場までが並ぶ。値段の競争は激しく、利益率は大手でも数%にとどまる。日本の中堅の受託の会社は、精密な組み立てや小さな量の生産、日本の客との近さで生き残ってきた。
カメラの市場は、スマートフォンに押されて2010年代に大きく縮んだ。いまはミラーレスのカメラと高い交換レンズが残り、数は少ないが単価は高い。レンズの組み立ての仕事の量は、こうした高い製品の生産の量に左右される。
客の生産の場所も動く。中国の人件費の上昇と米中の対立で、日本の客は生産をタイやベトナムに移している。大日光が東南アジアに工場を持つのは、この流れに付いていくためだ。ただ、移転の費用は受託の会社にも重い。
10年の構図は、物価並みに受託の値段は上がるが、人件費も上がり、利益率はほとんど変わらない形だ。自動化と東南アジアへの移転で人の数を抑えられる会社と、抑えられない会社に分かれる。
金利の上昇も、在庫と売掛金に多くの資金が寝る受託の会社には重い。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。2025年12月期の配当の総額は1.1億円で、純利益の約5割にあたる。2026年12月期も同じ水準を予定する。自社株買いはしていない。株主優待は無い。
資本の使い道は、工場の設備と運転の資金だ。受託の製造は在庫と売掛金に多くの資金が寝る。借入は117億円あり、現金は54億円ある。純負債は2022年の100億円から63億円まで減った。
2022年には香港のLEE WO INVESTMENT GROUPに株を割り当てて増資し、中国の工場の持ち分を整理した。過去20年で増資による希薄化は3回ある。社長の出資する欅とLEE WOが合わせて4割近くを持ち、外から資本の使い方を問う力は弱い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は2026年12月期に営業利益11億円、純利益7億円を見込む。達成すれば今の値段は純利益の6倍にすぎない。受注残は83億円あり、仕事の量は確保している。
精密な組み立ての技能は簡単には真似できない。カメラの最大手のグループとの長い関係に加え、タイとベトナムの工場で、日本の客の東南アジアへの生産の移転を取り込める。自動車の部品の加工の子会社も持ち、客の幅も広がっている。
財務は良くなっている。純負債は2022年の100億円から63億円に減り、配当は利益の5割を払う。利益率が過去の山の3%に戻れば、営業利益は10億円を超え、借金の重さも和らぐ。
高いカメラと交換レンズの需要は底堅く、数は減っても単価は上がる。物価の高い時代には、受託の値段も上げやすい。
工場の償却は取得した時の額のままで増えず、物価で売上が膨らむ分は利益に残りやすい。社長の出資会社が2割近くを持ち、経営は長い目で動ける。
医療や産業の機器の組み立ては、カメラと同じ精密さが要る仕事で、技能をそのまま生かせる。新しい客を1社取れば、売上の伸びは大きい。
慎重な見方
受託の製造は値段を客が決める。過去12年の営業利益率は最も良い年でも3.1%で、赤字の年もある。会社の見込みの営業利益11億円も、上期の1.4億円からは遠い。
カメラの市場は長く縮んできた。一眼レフはミラーレスに置き換わり、カメラの最大手のグループも生産を絞る。主な客の計画が変われば、仕事はすぐに減る。
借金は重い。借入は117億円あり、金利が上がれば利払いは年に数億円増える。子会社の少数株主の取り分も引くと、株主に残る利益はわずかだ。
増資による希薄化は過去20年で3回あった。2022年には香港の会社に株を割り当てた。資本の稼ぎは資本コストの半分ほどで、ためた利益は株主の値打ちにならない。人件費の上昇と工場の移転の費用も重い。
工場を東南アジアへ移す費用も、受託の会社が負うことが多い。社長の出資会社と香港の株主が4割近くを持ち、資本の使い方を外から正す力も弱い。
受注残の83億円も売上の3か月分にも満たず、先の仕事を保証するものではない。会社の見込みどおりの回復は、まだ一度も数字で示されていない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。精密な組み立ての技能と東南アジアの工場は本物の強みだが、値段を客が決める構造と借金の重さは10年で変わりにくい。中立を最も厚くし、やや悲観と悲観を合わせて37%に置いた。会社の見込みは中立より楽観の側に置いた。利益率が3%を超えて続けば見直す。客の偏りは資本コストの寿命の上乗せで一度だけ数え、悲観の確率を重ねて上げてはいない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 573 円38 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 190 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 366 円24 億円、今との差 −39.2%、 期待の年率 +2.4%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,423 円94 億円 | 392 円26 億円 | +202.1% | +11.7% | 127 円8 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,006 円67 億円 | 302 円20 億円 | +117.5% | +8.1% | 248 円16 億円 |
| 中立 | 37% | 653 円43 億円 | 226 円15 億円 | +46.3% | +3.9% | 325 円22 億円 |
| やや悲観 | 24% | 134 円9 億円 | 75 円5 億円 | −65.1% | −10.0% | 50 円3 億円 |
| 悲観 | 13% | 62 円4 億円 | 30 円2 億円 | −84.7% | −17.1% | 12 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 573 円38 億円 | 190 円13 億円 | +27.0% | +2.4% | 763 円51 億円 |
今の株価時価総額 601 円40 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 東南アジアへの移転を取り込み、利益率が3%に上がる 利益 9 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,423 円94 億円
日本の客が生産を中国からタイとベトナムに移し、大日光がその仕事を取り込む筋書きだ。精密な組み立ての技能を生かし、カメラのほかに医療や産業の機器の組み立ても請け負う。
人の数はほぼ今のまま、自動化で1人あたりの売上は物価を上回って伸びる。受託の値段も物価並みに上がり、利益率は3.0%に上がる。営業利益は15億円を超える。
借入は利益で返し、利払いは今より軽くなる。純利益は8億円台になり、配当は利益の5割を払い続ける。それでも資本の稼ぎは9%前後で、資本コストにわずかに届かない。
客の幅が広がり、カメラへの偏りは和らぐ。
- 電子部品の実装・機構の組み立ての受託:数量 1,300(連結の従業員数(人・推定))× 価格 40(従業員1人あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 517 億円・営業利益 16 億円。1,300人×1人1.40倍、3.0%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 94 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率を過去の山(3.1%)に近い水準で保つには、客の移転の取り込みと自動化の両方が要る。過去12年で一度も3%を超えていないので7%とした。
やや楽観 19% 会社の見込みに近い利益を保ち、借入を少しずつ減らす 利益 6 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,006 円67 億円
会社の見込みに近い利益の水準を保つ筋書きだ。カメラの客の高いレンズの生産は底堅く、タイとベトナムの工場も仕事を増やす。人の数は今のまま、1人あたりの売上は物価並みに伸びる。
利益率は2.4%に上がり、営業利益は12億円ほどになる。借入は少しずつ返し、利払いの増えは抑えられる。子会社の少数株主の取り分を引いた純利益は6億円ほどだ。
配当は利益の5割を払う。資本の稼ぎは7%前後で、資本コストには届かない。
自動車の部品の加工の子会社も仕事を増やし、カメラの客の減りを埋める。工場の償却は取得した時の額のままで、物価で売上が膨らむ分は利益に残る。
- 電子部品の実装・機構の組み立ての受託:数量 1,300(連結の従業員数(人・推定))× 価格 38(従業員1人あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 495 億円・営業利益 12 億円。1,300人×1人1.34倍、2.4%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 67 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年12月期の会社の見込みの営業利益11億円は、過去の山に近い水準だ。その水準を物価とともに保つ筋として19%とした。
中立 37% 利益率は2%前後のまま、上がる金利が利益を削る 利益 4 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 653 円43 億円
大日光が今の形のまま、受託の製造で細く稼ぎ続ける筋書きだ。カメラの客の生産は少しずつ減り、自動車や産業の機器の仕事がそれを埋める。自動化で人の数は1,250人に減り、1人あたりの売上は物価にわずかに届かない程度に伸びる。
人件費は物価とともに上がり、受託の値段は客が抑える。利益率は1.9%と過去の水準にとどまり、営業利益は9億円ほどだ。借入の多くが新しい金利に借り換わり、利払いが増える。子会社の少数株主の取り分も引くと、純利益は4億円ほどになる。
配当は利益の5割を保つ。資本の稼ぎは5%前後で、資本コストに遠い。
- 電子部品の実装・機構の組み立ての受託:数量 1,250(連結の従業員数(人・推定))× 価格 37(従業員1人あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 461 億円・営業利益 9 億円。1,250人×1人1.30倍、1.9%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.6% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 43 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去12年の利益率は1〜2%台にとどまった。客の値段の圧力と物価の分の値上げが打ち消し合い、金利の上昇が乗る落としどころとして37%とした。
やや悲観 24% カメラの客が生産を絞り、利益が今より細る 利益 1 億円 · PER 7.4 倍 · 株価時価総額 134 円9 億円
カメラの客が生産を絞り、レンズの組み立ての仕事が減る筋書きだ。代わりの客の仕事は値段が安く、工場の人の数を1,150人に減らす。1人あたりの売上も物価に届かない。
利益率は1.3%に下がり、営業利益は5億円ほどにとどまる。借入の利払いは増え、子会社の少数株主の取り分を引いた純利益は1億円台だ。配当は減る。
工場の設備と在庫は残るが、稼ぎの細い会社の帳簿の自己資本は、株主の値打ちにならない。
東南アジアへの工場の移転の費用も重く、借入はほとんど減らない。社長の出資会社と香港の株主は会社を手放さず、再編の動きも出ない。
- 電子部品の実装・機構の組み立ての受託:数量 1,150(連結の従業員数(人・推定))× 価格 34(従業員1人あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 392 億円・営業利益 5 億円。1,150人×1人1.20倍、1.3%
倍率:ROEは2%に届かず資本コストを大きく下回る。稼ぐ力(純利益÷k)で見て、1÷kの10.5倍の7割の7.4倍。PBRは0.1倍強と低いが、借入を先に返すので工場の資産は少数株主の床にならない。
確率:一眼レフの市場は長く縮み、主な客の計画しだいで仕事はすぐに減る。2025年12月期も売上が5%減った。その流れが続く筋として24%とした。
悲観 13% 主な客を失い、赤字と減損に沈む 利益 −7 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 62 円4 億円
カメラの客が生産を他の受託の会社か自社の工場に移し、大日光が主な仕事を失う筋書きだ。代わりの仕事は値段の安いものばかりで、工場の稼働は落ちる。人の数は900人に減る。
営業は赤字に沈み、工場の減損で自己資本は大きく減る。借入の返済が重くなり、増資で株主の持ち分が薄まるおそれもある。配当は止まる。
株主に残るのは、借金を返した後のわずかな資産だけだ。帳簿の自己資本の1割に満たない値段にとどまる。
香港の株主や同業が安い値段で会社を買い取る道もあるが、借金を引いた値段は小さい。
精密な組み立ての技能は残るが、値段を決められない会社では、その技能は株主の値打ちにならない。
- 電子部品の実装・機構の組み立ての受託:数量 900(連結の従業員数(人・推定))× 価格 31(従業員1人あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 282 億円・営業利益 −4 億円。900人×1人1.10倍、−1.5%
倍率:赤字で稼ぐ力は床にならない。今の自己資本69億円に0.06倍を掛けた約4億円とみる。減損と借入の返済で、少数株主に届く資産はわずか。倒産には至らないが、減損で自己資本が大きく減る筋書き。
確率:単一の業界の客への偏りが強く、過去20年に赤字の年が5回ある。主な客の仕事を失い構造的に負ける筋として13%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電子部品の実装・機構の組み立ての受託
日本・中国・タイ・ベトナムの工場で、基板の実装とカメラのレンズなどの機構の組み立てを請け負う。
| 数量連結の従業員数(人・推定) | 価格従業員1人あたりの年間の売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,300 | 28 | 370 | 6 |
| 10 年後 中立 | 1,250 | 37 | 461 | 9 |
取り方:受託の量の開示が無いため、連結の従業員数(企業情報の1,286人、時点不明)を約1,300人と推定し、売上369.5億円を割った1人あたり約28百万円。工場の人の数が受託の量にほぼ比例するとみた推定。営業利益は全社の6.4億円。
リスクと懸念
主な客への偏り
カメラの最大手のグループが主な客だ。一眼レフの市場は長く縮んでおり、客が生産を絞るか他の会社に移せば、仕事はすぐに減る。
値段を客が決める
受託の値段は客が決め、台湾や中国の大きな受託の会社とも比べられる。人件費が上がっても値段に転嫁しにくく、利益率は2%前後にとどまる。
借金と金利
借入は117億円ある。借り換えの金利が上がれば利払いが年に数億円増え、細い営業利益の多くを食う。
会社の見込みとの差
2026年12月期の営業利益の見込みは11億円だが、上期は1.4億円だった。下期に届かなければ、見込みの下方修正が続くおそれがある。
希薄化
過去20年で増資による株の希薄化が3回あり、2022年には香港の会社に株を割り当てた。財務が傷めば、再び増資で持ち分が薄まりうる。
今後の分かれ目
- 2026年12月期の営業利益が会社の見込みの11億円に届いたら
- 利益の水準が上がったとみて、やや楽観の確率を上げる。
- カメラ以外の客の売上が全体の半分を超えたら
- 客の偏りが和らぐとみて、悲観の確率を下げる。
- 純負債が30億円を下回ったら
- 金利の重さが和らぐとみて、中立の純利益を見直す。
- 主な客の仕事が大きく減ったと開示されたら
- やや悲観と悲観に重みを移す。
- 新しい増資を行ったら
- 希薄化の筋として悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 営業利益率
- 受注残
- カメラ以外の客の売上
- 有利子負債と支払利息
- 東南アジアの工場の稼働
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価やPBRを見ずに、ROEとk 9%から決めた。中立のROEは5%前後で資本コストに遠いので、PERは1÷kの10.5倍の7.5割に置いた。会社の2026年12月期の見込みは中立に使わず、やや楽観の側に置いた。利益率は過去12年の山(3.1%)以下に置いた。工場の建物と設備の償却は取得した時の額のまま増えず、更新の投資の分だけ新しい値段で足される形で利益率に含めた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.11 倍・やや楽観 PER 8.4→11.11 倍・中立 PER 7.9→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。