結論
エヌエフホールディングスは、微小な電気信号を測る計測器と、試験用の電源をつくる専門メーカーだ。売上は91億円、営業利益は9億円、営業利益率は10%前後を保つ。筆者は、今の値段をほぼ妥当と見る。
強みは、微小信号の測定と低雑音の電源にある。大学や研究所、半導体や自動車の試験現場で使われ、量子コンピュータ向けの電源にも採用が出た。
財務は固い。自己資本比率は79%で、借入はなく、純現金が39億円ある。時価総額は105億円で、その4割近くが現金だ。
弱みは規模と循環だ。売上は過去10年で91億円と横ばいにとどまり、半導体や電池の設備投資の波を受ける。家庭用蓄電の事業は整理に入った。
見るべきは、AIサーバーや電力網の試験向け電源が伸びるか、台湾や中国の安い電源に値段で負けないかだ。
株主には個人と投資育成会社が並び、親会社はない。現金が厚く、買い手にとっては魅力のある小粒な会社だ。
配当は増やす姿勢で、財務の安全度は高い。
バリュー投資の観点から
狭い技術で稼ぐ小さな会社だ。事業の質は悪くないが、大きく伸びる事業でもない。筆者は、現金の厚さを安全域として認めつつ、それを値段の根拠にはしない。
純現金39億円は、会社が長年かけて積み上げた。ただ、自社株買いはなく、株主に戻る道筋が弱い。現金の価値は帳簿の7割ほどに見るのが妥当だ。
事業のほうは、10年の平均で自己資本利益率が5%程度にとどまる。資本コストを下回る年が多く、現金を抱えるほど資本効率は落ちる。
営業利益率が10%台に戻ったのは良い兆しだが、過去に2回は5%を割った。この会社は、景気の山で買うと損をしやすい種類である。
待つなら、設備投資の谷で利益が落ち、値段が現金を割る場面だろう。
現金に頼る安心感と、事業の伸びの乏しさを分けて見るべきだ。
小粒な会社は、評価が現金と事業のどちらに寄るかで値段が大きく動く。
何で稼ぐ会社か
事業は大きく4つに分かれる。信号発生器や周波数特性分析器などの計測制御デバイス、試験用の電源を扱う電源パワー制御、再生可能エネルギーや蓄電に関わる環境エネルギー、そして校正・修理だ。
2026年3月期の中間期の売上を見ると、電源パワー制御が4割強、計測制御デバイスが4分の1、環境エネルギーが4分の1、校正・修理が1割弱を占める。
主力の計測器は、ごく小さな信号を拾うロックインアンプや、回路の周波数特性を測る分析器だ。電子機器の試験、研究、半導体、宇宙航空の現場で使われる。
電源は、AIサーバーの試験用や大容量の電源、水素をつくる装置用の電源へ広がっている。量子コンピュータ向けの低雑音電源も採用された。
従業員は単体で約280人、平均年収は685万円だ。開発から製造、校正までを自社で抱え、一度買った顧客が修理と校正で長く付き合う形になる。
家庭用の蓄電システムは、2026年3月期に事業の整理を決めた。電池の売り込みから、産業用の電源に力を寄せる姿勢が見える。
製品は、顧客の研究開発と製造の現場に長く使われる。そのため、買い替えと校正・修理が繰り返し発生する。
優良さと弱いところ
強みは、微小信号の測定と低雑音の電源という、狭いが深い技術だ。価格だけで売る汎用品ではなく、性能で選ばれる場面が多い。営業利益率は2015年3月期に13%に達した。
ただ、堀は深くない。電源は台湾や中国の企業が安い品を出し、環境エネルギーでは受注が前年から6割落ちた半期もあった。計測器の分野でも、大手の海外企業が上位にいる。
収益の質も一定ではない。営業利益率は2023年3月期に4.8%まで落ち、2026年3月期にようやく10%台へ戻った。山が高く谷が深い会社だ。
校正・修理は、売った機器に付く安定した収益だ。受注も増えており、景気の波をならす役目を果たす。
経営面では、個人株主が筆頭で11%、東京中小企業投資育成が4%を持つ。親会社はなく、特定の企業に縛られた経営ではない。
好不況の波に合わせて受注が動くため、安定成長型の会社ではない点には注意が必要だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
電子計測器と試験用の電源は、半導体、電池、自動車、通信、航空宇宙の設備投資に連動する。景気がよい時は研究開発と生産ラインの試験需要が増え、悪い時は計画が先送りされる。
追い風は3つある。1つめはAIサーバーとデータセンターの電源試験で、大容量の電源が必要になる。2つめは電力網と再生可能エネルギーの試験だ。3つめは量子コンピュータや宇宙の研究である。
逆風もある。部材と原材料の価格が上がり続け、同社も製品の値段を改めて対応している。電源の分野では、台湾や中国の企業が規模と価格で攻める。
競合は菊水電子工業や高砂製作所、海外のKeysight、Chromaなど。同社は小さく、規模で勝つ位置にはない。狭い領域で性能を磨く道を取るしかない。
世界の市場は伸びるが、日本の市場は人口と製造業の縮みで伸びにくい。海外への販路をどれだけ広げられるかが、10年の成長を分ける。
為替が円安に動くと輸出に追い風だが、部材の輸入費は上がる。
日本のほか、米国と中国、欧州が主な市場になる。研究用途では、国の予算の動きも需要を左右する。
資本政策と M&A
現金は厚い。純現金は39億円で、時価総額の4割近くある。借入はなく、自己資本比率は79%だ。
配当は2026年3月期に増え、配当性向は39%だった。2027年3月期の予想も同水準を保つ。自社株買いの実績はなく、現金は10年で積み上がった。
投資は小さい。設備と開発に年数億円を使う程度で、買収の実績もほとんどない。余った現金の使い道は示されていない。
株主優待は確認できなかった。大株主は個人が11%、東京中小企業投資育成が4%、財団が1%台で、支配する株主はいない。
10年以内にTOBや買収が起きる確率は、外部の推計で2割ほどとされる。現金が厚く、時価総額が小さいため、買い手の目には入りやすい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AIサーバーの電源試験、電力網の試験、水素の電源、量子コンピュータと、成長する分野に技術が刺さり始めた。受注は計測制御デバイスで半期に3割増え、校正・修理も伸びている。
家庭用蓄電という重い事業を整理し、産業用の電源に絞った。赤字の元を切り、利益率は10%台へ戻った。今期の経常利益は10億円の計画で、第1四半期は17.6%の進捗だ。
純現金が39億円あり、時価総額の4割近くを占める。事業の評価が低くても、現金が下値を支える。配当も増やしており、保有する間の見返りもある。
規模が小さいぶん、買い手に見つかりやすい。TOBが来れば、現金と事業の合計に近い値で売れる可能性がある。
計測と電源のどちらも、使う側の技術が高度になるほど、測る精度への要求が上がる。同社の強みが生きる方向に、時代が動いている。
世界の試験需要は広がっており、日本の小さな専門メーカーにも販路を広げる余地がある。
量子コンピュータ向けの電源は、まだ小さいが、採用が出たこと自体が技術力の証拠になる。
慎重な見方
売上は10年前の水準にとどまる。2015年3月期の83億円から2026年3月期の91億円まで、物価を引くと縮んでいる。成長の10年ではなかった。
電源は台湾や中国の企業が安く攻める。環境エネルギーの受注は半期で6割減った。利益率が10%台に戻ったのは、事業の整理と値上げの効果で、続く保証はない。
現金は厚いが、自社株買いはなく、株主に戻る道筋が弱い。使い道のない現金を抱えれば、自己資本利益率は資本コストを下回り続ける。
半導体と電池の設備投資は波が大きく、受注が落ちる年は必ず来る。小さな会社には、その谷を耐える固定費の重さがある。
株主から見れば、現金が事業の外に置かれたままなら、帳簿の価値どおりには評価されにくい。
経営の方針が示す成長の速さも、過去10年の実績に比べると強気に見える。
新しい分野の話は多いが、売上に表れるまでには時間がかかり、途中で他社に取られる恐れもある。
小さな会社は人材の確保も難しく、技術者が流出すれば強みそのものが細る。
どちらに重みを置いたか
現金の分は確かに下値を支えるが、事業の評価は伸びの鈍さを映す。強気の話は分野の追い風が前提で、実績はまだ半期の受注に限られる。
確率は中立に最も厚く置き、やや悲観を2割台に寄せた。悲観は、電源の価格競争で構造的に負ける姿として1割強にした。
現金の扱いと電源の価格競争が、評価を分ける。
筆者は、現金の分を割り引いて見るのが堅実だと考える。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,727 円121 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 467 円33 億円)。 今の値に割り戻すと 1,163 円82 億円、今との差 −21.1%、 期待の年率 +4.1%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,439 円241 億円 | 795 円56 億円 | +187.3% | +11.1% | 339 円24 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,339 円164 億円 | 571 円40 億円 | +97.5% | +7.0% | 640 円45 億円 |
| 中立 | 35% | 1,845 円130 億円 | 472 円33 億円 | +57.2% | +4.6% | 811 円57 億円 |
| やや悲観 | 24% | 917 円64 億円 | 369 円26 億円 | −12.8% | −1.4% | 309 円22 億円 |
| 悲観 | 11% | 648 円46 億円 | 222 円16 億円 | −40.9% | −5.1% | 96 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,727 円121 億円 | 467 円33 億円 | +48.9% | +4.1% | 2,194 円154 億円 |
今の株価時価総額 1,474 円103 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% AI電源と電力網の試験が伸び、利益率が12%台へ 利益 15 億円 · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 3,439 円241 億円
AIサーバーの電源試験と電力網の試験が伸び、大容量電源の出荷が増える。計測制御デバイスも、半導体と宇宙航空の研究で台数が伸びる。
家庭用蓄電の整理は終わり、環境エネルギーは系統試験の装置が中心になる。電源の値付けは性能で保たれ、利益率は12.5%まで上がる。
海外の販路も広がり、売上は190億円ほどになる。配当は性向5割に向けて増え、現金は還元と投資に回る。
数量は台数と件数、価格は物価の影響を入れた1台あたりの売上で置いた。台数は推定である。
大型案件が重なると、受注が一気に増える。設備を増やす必要が出るが、現金で賄える。
- 校正・修理:数量 12.0(校正・修理の件数(千件))× 価格 0.98(1件あたり売上(億円/千件・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円
- 計測制御デバイス:数量 5.5(出荷台数(千台))× 価格 8.04(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 6 億円
- 電源パワー制御:数量 3.8(出荷台数(千台))× 価格 20(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 76 億円・営業利益 10 億円
- 環境エネルギー:数量 0.8(出荷台数(千台))× 価格 54(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 5 億円
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)18 億円。全体の PER 14.93 倍、時価総額 241 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIサーバー、電力網、水素、量子のどれもが当たる姿。過去の最高の13%に届かない12.5%に置き、全部が揃う場合として1割未満にした。
やや楽観 22% 分野の追い風を一部取り込み、利益率は11% 利益 11 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 2,339 円164 億円
AIサーバーの電源試験と電力網の試験が伸びるが、台湾や中国の企業と分け合う。計測制御デバイスは研究向けで底堅い。
環境エネルギーは家庭用蓄電の抜けを系統試験で埋め、横ばいになる。利益率は11%で、直近より少し高い。売上は165億円ほど。
配当は性向4〜5割を保ち、現金はゆっくり積み上がる。
数量は台数と件数、価格は物価の影響を入れた1台あたりの売上で置いた。台数は推定である。
価格改定が通り、粗利が少し改善する。受注の波はあるが、谷は浅い。
10年を通して、会社の規模は大きく変わらず、現金の厚さだけが際立つ姿になる。
- 校正・修理:数量 11.5(校正・修理の件数(千件))× 価格 0.98(1件あたり売上(億円/千件・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円
- 計測制御デバイス:数量 4.7(出荷台数(千台))× 価格 8.04(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 4 億円
- 電源パワー制御:数量 3.3(出荷台数(千台))× 価格 20(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 66 億円・営業利益 7 億円
- 環境エネルギー:数量 0.6(出荷台数(千台))× 価格 54(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 4 億円
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)18 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 164 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:追い風のうち半分ほどが自社に届く姿。直近の10%台を少し上回る程度で、実績に近い上振れとして2割強に置いた。
中立 35% 売上は物価並みに伸び、利益率は9.5%で定着 利益 9 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,845 円130 億円
数量は10年で1割ほど増える。AI電源や電力網の試験が伸びる一方、家庭用蓄電が抜けて環境エネルギーは小さくなる。値段は物価で上がる。
営業利益率は9.5%で、直近の10%台よりやや低い。本社費や人件費も物価で上がり、値上げで取り返すのが精いっぱいだ。売上は135億円ほど。
配当は性向4割台を保つ。余った現金は使い道がないまま積み上がる。
数量は台数と件数、価格は物価の影響を入れた1台あたりの売上で置いた。台数は推定である。
校正・修理が下支えとなり、売上の波はなだらかになる。大きな買収や新事業は想定しない。
- 校正・修理:数量 11.0(校正・修理の件数(千件))× 価格 0.98(1件あたり売上(億円/千件・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円
- 計測制御デバイス:数量 4.3(出荷台数(千台))× 価格 8.04(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円
- 電源パワー制御:数量 2.9(出荷台数(千台))× 価格 20(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 6 億円
- 環境エネルギー:数量 0.5(出荷台数(千台))× 価格 54(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 3 億円
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)18 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 130 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:数量は小さく伸び、値段は物価並みに上がる。営業利益率は過去12年の中央値に近い9.5%を置いた。直近の10%台は山の側と見て、最大の確率にした。
やや悲観 24% 台湾・中国勢の値下げで、利益率が6.5%へ 利益 4 億円 · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 917 円64 億円
電源で台湾や中国の企業が安い品を出し、値段が物価に追いつかない。半導体や電池の設備投資が冷え、計測制御デバイスの台数も減る。
環境エネルギーは小さくなり、利益率は6.5%に下がる。売上は100億円ほどで横ばいだ。固定費が重く、利益が大きく減る。
配当は維持するが、性向は上がる。現金は谷で一部を使う。
数量は台数と件数、価格は物価の影響を入れた1台あたりの売上で置いた。台数は推定である。
人件費と部材費の上昇が続き、価格改定が追いつかない年が出る。
10年を通して、会社の規模は大きく変わらず、現金の厚さだけが際立つ姿になる。
- 校正・修理:数量 10.5(校正・修理の件数(千件))× 価格 0.88(1件あたり売上(億円/千件・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円
- 計測制御デバイス:数量 3.8(出荷台数(千台))× 価格 7.20(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 2 億円
- 電源パワー制御:数量 2.4(出荷台数(千台))× 価格 18(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円
- 環境エネルギー:数量 0.4(出荷台数(千台))× 価格 48(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業のROEは資本コストを大きく下回る。式のPERの上限は1÷kで、稼ぐ力が落ちる構造なので上限の8.2割に置いた。余った現金は谷で食うとみて0.75倍にし、戻り方0.75を掛けて足した。
確率:電源の価格競争が強まり、設備投資の谷も重なる姿。営業利益率は直近2023〜2025年の4.5〜6%台に近づく。過去12年に何度も起きた水準なので2割台にした。
悲観 11% 電源で構造的に負け、利益率は3.5%まで落ちる 利益 2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 648 円46 億円
台湾や中国の企業が電源の値段を大きく下げ、同社の品は性能で選ばれる場面が減る。AIサーバー向けも取れず、環境エネルギーは縮む。
売上は80億円ほどまで減り、固定費が重くのしかかる。利益率は3.5%まで落ちる。現金の一部は赤字の穴埋めと事業の立て直しに使う。
配当は性向を保てず減る。それでも借入がないので、会社は存続する。
数量は台数と件数、価格は物価の影響を入れた1台あたりの売上で置いた。台数は推定である。
人員の整理や拠点の縮小も避けられず、再建には数年かかる。
10年を通して、会社の規模は大きく変わらず、現金の厚さだけが際立つ姿になる。
- 校正・修理:数量 9.5(校正・修理の件数(千件))× 価格 0.77(1件あたり売上(億円/千件・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円
- 計測制御デバイス:数量 3.0(出荷台数(千台))× 価格 6.30(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円
- 電源パワー制御:数量 1.8(出荷台数(千台))× 価格 16(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円
- 環境エネルギー:数量 0.3(出荷台数(千台))× 価格 42(1台あたり売上(億円/千台・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業は利益率3.5%まで落ち、稼ぐ力では床を測れない。純現金と売れる資産の税後を床とみて、今の自己資本に0.35倍を掛けた。
確率:電源の価格破壊とAI電源の取りこぼしが重なり、事業の規模を縮める姿。営業利益率が2003年3月期の1.4%に近づく手前の3.5%に置いた。構造的な負けとして1割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
校正・修理
売った計測器・電源の校正と修理。
| 数量校正・修理の件数(千件) | 価格1件あたり売上(億円/千件・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.0 | 0.73 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 11.0 | 0.98 | 11 | 1 |
取り方:2026/03期の売上は開示の区分ごとの数字がなく、2026/03期中間期の構成(校正・修理8%)で全体91.4億円を割り振った推定値。件数は1件あたり約7万円と置いた推定。
計測制御デバイス
信号発生器、周波数特性分析器、微小信号測定器、インピーダンス測定器、機能モジュール。
| 数量出荷台数(千台) | 価格1台あたり売上(億円/千台・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.8 | 6.00 | 23 | 2 |
| 10 年後 中立 | 4.3 | 8.04 | 35 | 3 |
取り方:2026/03期中間期の構成(25%)で全体を割り振った推定値。台数は1台あたり約60万円と置いた推定。
電源パワー制御
試験用の交流・直流電源、大容量電源、水素・AIサーバー試験向けなど。
| 数量出荷台数(千台) | 価格1台あたり売上(億円/千台・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2.6 | 15 | 39 | 4 |
| 10 年後 中立 | 2.9 | 20 | 58 | 6 |
取り方:2026/03期中間期の構成(42%)で全体を割り振った推定値。台数は1台あたり約150万円と置いた推定。
環境エネルギー
再生可能エネルギー・蓄電向けの機器と、系統試験装置など。家庭用蓄電は整理対象。
| 数量出荷台数(千台) | 価格1台あたり売上(億円/千台・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.6 | 40 | 22 | 2 |
| 10 年後 中立 | 0.5 | 54 | 27 | 3 |
取り方:2026/03期中間期の構成(24%)で全体を割り振った推定値。台数は1台あたり約400万円と置いた推定。
リスクと懸念
設備投資の循環
半導体、電池、自動車の設備投資に連動して受注が振れる。環境エネルギーの受注は半期で6割落ちた例があり、売上が数年で大きく動く。
電源の価格競争
台湾や中国の企業が安い電源を出している。性能で選ばれる場面は残るが、汎用に近い品は値段で負ける恐れがある。
規模の小ささ
売上は91億円、従業員は約280人。開発費と人件費の固定費が重く、売上が落ちると利益が一気に減る。
家庭用蓄電の整理の後始末
家庭用蓄電は事業整理に入り、在庫と固定資産の損失を計上した。電池の市場は競争が激しく、再参入は難しい。
現金の使われ方
純現金は時価総額の4割近い。自社株買いの実績はなく、現金は積み上がるだけで資本効率を下げる恐れがある。
部材高と円安
部材と原材料の価格が上がり続けている。製品の値上げで対応しているが、競争が強い分野では転嫁が難しい。
今後の分かれ目
- 計測制御デバイスと電源の受注が2期続けて前年を上回ったら
- やや楽観の確率を上げる。
- 営業利益率が12%を超えて定着したら
- 楽観に近づく。値上げと製品構成の改善が続いているかを確かめる。
- 環境エネルギーの受注が前年から半減した状態が続いたら
- やや悲観の確率を上げる。
- 自社株買いや増配など現金の還元方針が示されたら
- 余った現金の戻り方を0.75から1.0へ上げて見直す。
- 電源の値下げ競争で粗利率が2期続けて下がったら
- 悲観の筋書きに近づく。
見ておくもの
- 四半期の受注(計測制御デバイス・電源パワー制御)
- 営業利益率(会社の今期経常利益予想は10億円)
- 環境エネルギーの受注と家庭用蓄電の整理の後始末
- 現金の還元方針と純現金の水準
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。ROEが資本コストを下回る筋書きは、PERの上限が1÷kなので、その8割台に置いた。今のPERや純資産倍率は使っていない。数量は台数と件数、価格は1台または1件あたりの売上で、物価の1.34倍は価格にだけ入れた。台数と1台あたり売上は開示がなく、売上の区分も中間期の構成で割り振った推定である。純現金は事業に要る運転資金を除いて分け、戻り方0.75を掛けた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.07→14.93 倍・やや楽観 PER 11→13.33 倍・中立 PER 10.62→13.33 倍・やや悲観 PER 10.25→10.96 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。