結論
JNグループは、暗号資産の取引所Zaif、外食や介護施設に消耗品を届ける卸、システム技術者の派遣、電子書籍とイラスト依頼のサイトを束ねた持株会社だ。筆者の結論ははっきり割高である。
一番の理由は、稼ぐ事業より失う事業が大きいことだ。2026/11期は取引所の赤字と、持分法の会社の損失で、19億円の純損失を見込む。純資産はこの1年で3割減り、20億円ほどになった。
借金も重い。借入は26億円あり、手元の現金を大きく上回る。足りない資本は、親会社のシークエッジへの新株の発行で埋めてきた。株主の取り分は、増資のたびに薄まってきた。
10年後の中立は、取引所の赤字を止め、卸と電子書籍で小さな利益を出す姿だ。それでも借金の利息を払うと、株主にはほとんど残らない。暗号資産の相場が大きく戻る筋書きでも、今の時価総額に届かない。
値段を支えているのは、暗号資産の相場が戻れば、という期待だと筆者は見る。だが期待は利益ではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、手を出す理由の見つからない会社だ。
事業の寄せ集めで、どれが本業かがはっきりしない。利益を出す卸と電子書籍の稼ぎを、取引所の赤字が食い尽くす。10年のうち黒字の年は数えるほどしかない。
借金は26億円あり、純資産は20億円ほどだ。資本が足りなくなるたびに株を新しく出し、既存の株主の取り分を薄めてきた。経営は買収で得たのれんをすぐに減損するなど、資本の使い方にも信頼が置けない。
暗号資産の相場が戻れば、取引所の赤字は縮む。スケブは良い場に育つかもしれない。だが、それで株主のものになる利益が育つ道筋は見えない。予測できない事業に、安全域は取れない。筆者は、今の値段に見合う価値を見いだせない。
もし会社が取引所を手放し、卸とスケブに絞って借金を減らすなら、見方は少し変わる。それでも、少数の株主の取り分が増資で薄まらない保証が要る。
何で稼ぐ会社か
JNグループは、岩手県花巻市に本店を置く持株会社だ。もとは通信機器の会社だったが、買収と売却を重ね、今は性格の違う四つの事業を持つ。
売上の6割はソリューションの事業だ。中心はケーエスピーで、外食チェーンや介護施設に食材や消耗品、包装材をまとめて届ける卸だ。取引先と品目を少しずつ増やす、景気に強い商売だ。もう一つのJNソフトは、システムの技術者を客先に送り、受託の開発もする。データ連携の製品の開発で表彰されるなど腕はあるが、規模は小さい。
2割弱は電子書籍とイラスト依頼のサイトだ。実業之日本デジタルは漫画や文芸の電子版を配る。スケブは、絵や声の作品を作り手に有料で頼めるサイトで、登録者は400万人を超えた。ここは利益が出ている。
残りが暗号資産の取引所Zaifだ。2016年に始めた老舗だが、規模で大手に遠く、相場が冷えると赤字が膨らむ。2026/11期は自社で持つ暗号資産の値下がりも重なり、この事業だけで年7億円近くを失う見込みだ。
ほかに、経済情報のフィスコの株を3割持ち、持分法で損益を取り込む。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、事業ごとにばらばらで、どれも細い。
ケーエスピーの卸は、取引先と品目を積み上げる堅い商売だが、大手の業務用卸と値段で戦う。利益率は数%だ。技術者の派遣は人手不足の業界で、人の確保が利益を決める。今期は採用した技術者の待機が利益を削った。
スケブは、作り手と依頼者をつなぐ場として、日本で最大級の規模がある。人が集まるほど便利になる仕組みで、四つの事業の中では一番強い。ただ、まだ売上は小さい。
取引所は弱い。国内の暗号資産の取引は大手数社に集まり、Zaifは手数料でも品ぞろえでも差をつけられない。過去にハッキングで顧客の資産を失い、事業を譲り受けた経緯もある。
資本効率は悪い。過去10年でROEがプラスだった年は半分に満たず、中央値は−18%だ。経営は買収と売却を繰り返してきたが、株主の価値を増やした跡は見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
四つの事業は、それぞれ別の市場にいる。
暗号資産の取引所は、相場に振り回される商売だ。相場が上がれば取引が増え、手数料が入る。下がれば取引は細り、固定の費用だけが残る。国内では、大手の取引所や証券会社系が口座を集め、中小は統合や撤退が続いている。税制の見直しや、上場投資信託の解禁の議論は追い風だが、その恩恵は大手に集まりやすい。
外食と介護向けの消耗品の卸は、景気にあまり左右されない。高齢化で介護施設の需要は伸び、外食は人手不足で手間を省く仕入れを求める。ただ、値段の競争は厳しく、運送費も上がる。
技術者の派遣は人手不足が続き、単価は上がっている。一方で、生成AIが一部の開発の手間を減らし、人の数で稼ぐ形は長い目では細る。
電子書籍と作品の依頼のサイトは伸びている。漫画の電子化は進み、作り手に直接お金を払う文化も広がる。海外の利用者を取り込めれば、伸びはもう一段大きくなる。
四つの市場のうち、伸びるのは電子書籍と作品の依頼の場だけだ。取引所と派遣は、規模の大きい会社ほど有利になる市場で、小さな会社が利益を出し続けるのは難しい。
資本政策と M&A
還元は無い。配当は出しておらず、自社株買いもしない。
資本は増資で足してきた。過去20年で株を新しく出した年が何度もあり、2026年5月には親会社のシークエッジに新株を割り当て、借入の一部を株に替えた。発行済みの株は1年で3割増えた。今後も赤字が続けば、同じ形で株が増える可能性が高い。
買収と売却も多い。2025年にはJNデジタルグループを買い、のれん12億円をすぐに全額減損した。同じ年に、もとの中核の会社をCAICA DIGITALに譲った。経営の方向は親会社の意向で変わりやすく、少数の株主が口をはさむ余地は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、暗号資産の相場の戻りと、スケブの伸びに賭ける。
暗号資産は数年ごとに大きな上げ相場が来る。国内では税制の見直しや、暗号資産の投資信託の解禁が議論されている。そうなれば取引は一気に増え、Zaifの赤字は黒字に変わる。取引所の費用は固定が多く、売上が増えればその分が利益に落ちる。
スケブの登録者は400万人を超えた。作り手に直接払う文化は海外にも広がり、海外の利用者を取り込めば売上は数倍になる。電子書籍も、ヒット作が出れば利益が跳ねる。
ケーエスピーの卸は堅く伸びる。介護施設の需要は高齢化で増え続ける。
親会社が借入を株に替え、財務を支えている。保有するフィスコの株や取引所の免許には、売れば値がつく。今の時価総額は、事業を一つずつ売った値段より低い、という見方もできる。
取引所の免許そのものにも価値がある。新しく取るには時間と費用がかかるので、参入したい会社が買い手に回る可能性がある。
慎重な見方
慎重な見方は、赤字の構造と、株主の取り分の薄まりを突く。
取引所は大手に押され、相場が良かった年にも大きく稼げていない。相場が冷えれば、毎年数億円を失う。2026/11期は持分法の会社の損失も重なり、純資産の3分の2にあたる損を出す。
借入は26億円で、営業の現金は赤字だ。金利が上がれば利払いも増える。足りない資本は増資で埋め、発行済みの株は1年で3割増えた。この形は今後も続く。
経営は買収と売却を繰り返し、買った会社ののれんをすぐ全額減損した。親会社の意向で方針が変わり、少数の株主の声は届かない。
スケブは伸びているが、会社全体から見れば小さい。卸と電子書籍の利益を足しても、本社の費用と利息を払えば残らない。暗号資産の相場が戻っても、その恩恵が少数の株主に届く前に、新しい株で薄まる。
取引所を売ろうにも、規模の小さい取引所の買い手は限られ、値段は安い。フィスコの株も、持分法の損失を生む側に回っている。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。強気の見方の柱は暗号資産の相場とスケブの伸びだが、どちらも株主の取り分に届くまでに、赤字と利息と増資が間に入る。過去10年の数字は慎重な見方を支えている。確率は中立と慎重の側に厚く置き、相場が戻る筋書きは小さく残した。借金と増資の構造が変わるまで、事業の一部の良さは株主の価値にならないと筆者は見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/11 期)
確率で加重した株価時価総額 7 円3 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 2 円1 億円、今との差 −96.3%、 期待の年率 −19.5%(資本コスト 12.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 45 円21 億円 | 1 円1 億円 | −23.2% | −2.6% | 2 円1 億円 |
| やや楽観 | 15% | 13 円6 億円 | 0 円0 億円 | −79.1% | −14.5% | 2 円1 億円 |
| 中立 | 35% | 5 円2 億円 | 0 円0 億円 | −91.7% | −22.0% | 2 円1 億円 |
| やや悲観 | 25% | 3 円2 億円 | 0 円0 億円 | −94.6% | −25.3% | 1 円0 億円 |
| 悲観 | 20% | 1 円0 億円 | 0 円0 億円 | −98.9% | −36.4% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 7 円3 億円 | 0 円0 億円 | −88.6% | −19.5% | 7 円3 億円 |
今の株価時価総額 60 円28 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 12.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 相場が戻り、取引所とスケブが稼ぐ 利益 3 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 45 円21 億円
暗号資産の税制が見直され、投資信託も解禁される。国内の取引は大きく増え、Zaifも取引のある口座を2.5倍に増やす。取引所は固定の費用が多く、売上が増えた分が利益に落ちる。利益率は2割に乗る。
スケブは海外の利用者を取り込み、件数は今の2倍半になる。作り手への依頼の単価も上がり、利益率は15%に届く。ケーエスピーは介護施設の取引を増やし、堅く伸びる。
営業利益は約4.6億円、利息を払って純利益は約2.5億円だ。借入は少しずつ返す。
それでもROEは1割ほどで、資本コストの12%に届かない。新しい株の発行は止まるが、親会社の支配は変わらない。
- ソリューション(消耗品の卸・技術者の派遣):数量 1,300(取引先の数(社、推定))× 価格 2.80(1社あたりの年の売上(百万円、推定))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。取引先+30%、単価+33%、利益率3%
- メタバース・デジタルコンテンツ(電子書籍・Skeb):数量 400(有料の購入・依頼の件数(万件、推定))× 価格 540(1件あたりの売上(円、推定))→ 売上 22 億円・営業利益 3 億円。件数2.6倍、単価+35%、利益率15%
- 暗号資産・ブロックチェーン(Zaif):数量 25.0(取引のある口座の数(万口座、推定))× 価格 4,500(1口座あたりの年の収益(円、推定))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。口座2.5倍、利益率20%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.2% が k 12.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 8.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 8.3 倍。全体の PER 8.33 倍、時価総額 21 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:暗号資産の上げ相場と制度の追い風、スケブの海外の伸びがそろう必要がある。過去10年で営業利益率が5%を超えた年は1期だけで、5%に抑えた。
やや楽観 15% 取引所が小さく黒字、スケブが育つ 利益 1 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 13 円6 億円
暗号資産の相場は波を打ちながら少し戻る。Zaifは費用を絞り、口座の数を5割増やして小さく黒字になる。
スケブは国内で伸び、件数は今の2倍になる。電子書籍も新しい作品で売上を保つ。ケーエスピーは取引先を2割増やす。
営業利益は約1.7億円、利息を払って純利益は約0.7億円だ。赤字の数年で純資産は減るが、増資は1回で止まる。
ROEは5%に届かない。会社は生き残るが、株主に配るほどの利益は出ない。
親会社が借入の一部を株に替える形で財務を支え、取引所の免許も保つ。外から見れば立ち直った姿だが、それは増資で薄まった株主の分を引いた後の話だ。
- ソリューション(消耗品の卸・技術者の派遣):数量 1,200(取引先の数(社、推定))× 価格 2.70(1社あたりの年の売上(百万円、推定))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。取引先+20%、単価+29%、利益率2.5%
- メタバース・デジタルコンテンツ(電子書籍・Skeb):数量 300(有料の購入・依頼の件数(万件、推定))× 価格 520(1件あたりの売上(円、推定))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。件数2倍、単価+30%、利益率15%
- 暗号資産・ブロックチェーン(Zaif):数量 15.0(取引のある口座の数(万口座、推定))× 価格 4,000(1口座あたりの年の収益(円、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。口座+50%、小さく黒字
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.4% が k 12.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 8.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 8.3 倍。全体の PER 8.33 倍、時価総額 6 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:取引所の費用の圧縮は進んでおり、4Qの営業は収支均衡の見込み。スケブの伸びが続けば届く範囲だが、借金と本社の費用が重く15%に置いた。
中立 35% 取引所の赤字は止まるが、利息で消える 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 5 円2 億円
取引所は規模を縮め、赤字を小さくする。相場の良い年と悪い年をならせば、ほぼ収支ゼロだ。
卸と電子書籍は小さく伸び、合わせて年2億円ほどの営業利益を出す。ただ、本社の費用が物価で上がり、営業利益は会社全体でほぼゼロにとどまる。借入26億円の利息を払うと、純損益は毎年わずかな赤字になる。
純資産は10年で半分ほどに減る。親会社の支えで資本は保つが、途中で増資が入る。
事業は続くが、株主の価値は増えない。どの事業を売り、どれを残すかは親会社の判断しだいだ。
暗号資産の相場は上げと下げを繰り返し、取引所の手数料の単価は大手との競争で物価ほど上がらない。
- ソリューション(消耗品の卸・技術者の派遣):数量 1,150(取引先の数(社、推定))× 価格 2.65(1社あたりの年の売上(百万円、推定))→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。取引先+15%、単価+26%、利益率2.5%
- メタバース・デジタルコンテンツ(電子書籍・Skeb):数量 250(有料の購入・依頼の件数(万件、推定))× 価格 510(1件あたりの売上(円、推定))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。件数+60%、単価+28%、利益率12%
- 暗号資産・ブロックチェーン(Zaif):数量 8.0(取引のある口座の数(万口座、推定))× 価格 3,600(1口座あたりの年の収益(円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。口座−20%、手数料は競争で物価ほど上がらず+12%、小さな赤字
倍率:純損益は赤字で稼ぐ力では測れない。ROEは資本コストに遠く、純資産は帳簿どおりの価値を持たない。その時点の自己資本10.4億円の0.22倍。EVで見ると、借金が重く営業利益がほぼゼロなので、営業利益の倍率では測れない。借金の分だけ株主の価値は薄い。
確率:経営は取引所の費用を削っているが、相場の弱い年には赤字が出る。卸と電子書籍の利益は小さく、利息と本社の費用で消える。過去10年の姿に近く、35%に置いた。
やや悲観 25% 取引所の赤字が続き、増資で薄まる 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 3 円2 億円
暗号資産の相場は冷えたままで、Zaifの取引は細る。費用を削っても赤字は残り、数年後に事業を売るか畳む。
派遣の事業は人の確保に苦しみ、卸は大手との値段の競争で利益が薄い。本社の費用と利息を払い、純損益は毎年1億円を超える赤字だ。
純資産は5億円ほどまで減り、親会社への増資が繰り返される。既存の株主の取り分は大きく薄まる。
株主に残る値打ちは、ケーエスピーと電子書籍の事業を売った時の値段くらいだ。
取引所を畳む時には、システムの除却や人の整理の損も出る。親会社の判断で上場を続けるかどうかが問われる場面も来る。
- ソリューション(消耗品の卸・技術者の派遣):数量 1,000(取引先の数(社、推定))× 価格 2.50(1社あたりの年の売上(百万円、推定))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。取引先横ばい、単価+19%、利益率1%
- メタバース・デジタルコンテンツ(電子書籍・Skeb):数量 180(有料の購入・依頼の件数(万件、推定))× 価格 480(1件あたりの売上(円、推定))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。件数+16%、利益率6%
- 暗号資産・ブロックチェーン(Zaif):数量 5.0(取引のある口座の数(万口座、推定))× 価格 3,200(1口座あたりの年の収益(円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 −1 億円。口座半減、赤字
倍率:赤字が続き稼ぐ力は無い。直近の決算期末(2025/11)の自己資本29.1億円の約0.05倍で、事業を売って借金を返した後に残る額(床の資産)に合わせた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.0515 倍・時価総額 2 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:2026/11期は取引所だけで年7億円近くを失い、過去10年のうち7期が赤字だった。相場が冷えたままなら赤字は続く。25%に置いた。
悲観 20% 資本が尽き、株主の取り分はほぼ消える 利益 −3 億円 · PBR 0.0 倍 · 株価時価総額 1 円0 億円
構造的に負ける筋書きだ。暗号資産の相場が長く冷え、Zaifは赤字のまま顧客を失う。持分法の会社の損失も続き、純資産は数年で尽きかける。
資本を保つため、親会社に安い値段で大量の新株を出す。既存の株主の取り分は大きく薄まる。借入の返済のため、利益の出る卸や電子書籍の事業も手放す。
残るのは、細った事業と、親会社の判断に左右される小さな会社だ。上場を続けるかどうかも親会社しだいになる。
取引所でもう一度事故が起きれば、顧客と免許の両方を失い、その時期はさらに早まる。作り手の場としてのスケブの価値も、売り急げば安く手放すことになる。
- ソリューション(消耗品の卸・技術者の派遣):数量 800(取引先の数(社、推定))× 価格 2.40(1社あたりの年の売上(百万円、推定))→ 売上 19 億円・営業利益 0 億円。取引先−20%、収支ゼロ
- メタバース・デジタルコンテンツ(電子書籍・Skeb):数量 120(有料の購入・依頼の件数(万件、推定))× 価格 450(1件あたりの売上(円、推定))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。件数−23%、収支ゼロ
- 暗号資産・ブロックチェーン(Zaif):数量 3.0(取引のある口座の数(万口座、推定))× 価格 3,000(1口座あたりの年の収益(円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 −1 億円。口座7割減、赤字
倍率:資本はほぼ尽き、稼ぐ力も売れる資産も借金で消える。直近の決算期末の自己資本29.1億円の約0.01倍で、床の資産の額に合わせた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.0103 倍・時価総額 0 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:純資産は1年で3割減り、借入は純資産を上回る。取引所の赤字と持分法の損失が続けば資本が尽きる。過去にも純資産が1億円まで減った年があり、2割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ソリューション(消耗品の卸・技術者の派遣)
ケーエスピーが外食・介護施設に食材と消耗品をまとめて届け、JNソフトが技術者の派遣と受託開発をする。
| 数量取引先の数(社、推定) | 価格1社あたりの年の売上(百万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 1,000 | 2.10 | 21 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,150 | 2.65 | 31 | 1 |
取り方:取引先の数の開示は無い。3Q累計の売上15.9億円を年に直して21億円とし、取引先を約1,000社、1社あたり年210万円と推定した。営業損益は3Q累計−0.1億円で、ほぼ収支ゼロ。
メタバース・デジタルコンテンツ(電子書籍・Skeb)
実業之日本デジタルの電子書籍の配信と、スケブの作品の依頼の仲介。
| 数量有料の購入・依頼の件数(万件、推定) | 価格1件あたりの売上(円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 155 | 400 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 250 | 510 | 13 | 2 |
取り方:件数の開示は無い。3Q累計の売上4.6億円を年に直して6.2億円とし、電子書籍の単話販売とスケブの手数料をならした1件あたりの売上(数百円)から、約155万件と推定した。営業利益は3Q累計0.4億円を年に直した。
暗号資産・ブロックチェーン(Zaif)
暗号資産の取引所Zaifの売買手数料・販売所の差額・貸し出しなどの収益。
| 数量取引のある口座の数(万口座、推定) | 価格1口座あたりの年の収益(円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 10.0 | 3,200 | 3 | −7 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 3,600 | 3 | 0 |
取り方:口座数の開示は無い。3Q累計の売上2.4億円(自己保有暗号資産の評価損−1.3億円を含む)を年に直して3.2億円とし、取引のある口座を約10万、1口座あたりの年の収益を数千円と推定した。営業損益は3Q累計−6.6億円で、4Qは費用の圧縮で小さくなる見込み。
リスクと懸念
暗号資産の相場
取引所の収益は相場と取引量で決まる。相場が冷えれば手数料は細り、固定の費用で赤字が膨らむ。自社で持つ暗号資産の値下がりも損になる。
増資による薄まり
資本の不足を親会社への新株の発行で埋めてきた。2026年には発行済みの株が1年で3割増えた。赤字が続けば、同じことが繰り返される。
借金と利払い
借入は26億円で、純資産を上回る。営業の現金は赤字で、金利が上がれば利払いも重くなる。返済のために利益の出る事業を売る形になりかねない。
持分法の会社の損失
フィスコなどの持分法の会社の損失を取り込み、2026/11期は10億円の損になった。投資先の業績しだいで、本業と関係なく純資産が減る。
経営の方針の揺れ
買収と売却を繰り返し、買った会社ののれんをすぐ全額減損した例もある。親会社の意向で方針が変わり、少数の株主の声は届きにくい。
取引所の安全
取引所は過去にハッキングで顧客の資産を失った経緯がある。同じことが起きれば、顧客と免許の両方を失いかねない。
今後の分かれ目
- 暗号資産の上げ相場で取引所が2期続けて黒字になった
- 赤字の柱が消えた合図だ。やや強気の筋書きの確率を上げる。
- Zaifを他社に売った
- 赤字が止まり、売った代金で借金を返せる。売値しだいで中立の筋書きを上に見直す。
- 再び親会社に新株を割り当てた
- 既存の株主の取り分が薄まる。慎重な筋書きの確率を上げる。
- スケブの売上が年3割以上伸び続けた
- 場の強さが利益に表れた。デジタルの事業の利益率を上げて見直す。
- 親会社が完全子会社にする提案をした
- 買い取りの値段が株主の取り分を決める。事業の稼ぎとは別に評価する。
見ておくもの
- 暗号資産の相場と国内の取引量
- Zaifの営業損益
- 借入の残高と増資の有無
- スケブの登録者と取扱高
- 持分法の損益
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。資本コストは上乗せを含め12%で、ROEは全ての筋書きで12%を下回るため、PERの上限は1÷kの約8.3倍。中立は純損益が赤字なのでその時点の自己資本に低いPBRを掛けた。悲観側は今の自己資本19.9億円に掛け、床の資産の額に合わせた。今の株価やPBR、同業の値付けは倍率の根拠に使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 7.5→8.33 倍・やや楽観 PER 6.5→8.33 倍)。
資本コスト 12.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 2.0%。基本7.5%にquality +2.5%、上乗せ2%を足した12%。