結論
ヘリオス テクノ ホールディングは、液晶パネルの工場に配向膜印刷機と露光用の光源ユニットを売る会社である。筆者の結論は、10 年の価値は今の時価総額をやや下回り、やや割高というものだ。一番の理由は、利益が少数の顧客の設備投資に左右される点にある。
足元の稼ぐ力は強い。2026 年 3 月期の営業利益は 18 億円で、前の期の 2 倍になった。中国向けの大型受注が効いた。ただし、この水準は山であり、平均ではない。
財務は堅い。現預金は 123 億円、自己資本比率は 8 割を超える。時価総額 176 億円の 7 割にあたる。配当性向 100% の方針で、現金は株主に戻ってきた。
問題は、この先の使い道である。会社は 2026 年 3 月末に還元方針を改め、ものづくり企業の買収を連続して進めると言う。
現金の厚みは安全域になるが、液晶の装置という本業の寿命は短い。
筆者がいちばん気にしているのは、現金の行き先である。買収が当たれば価値が増え、外れれば現金が目減りする。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは「現金が安全域になる、小さな装置メーカー」である。
現金は時価総額の 7 割ある。ただし、事業が要らない現金だけを数えるべきで、前受金や買収の対価、配当の支払いを引くと、余る分は 5 割弱に減る。
事業そのものは、顧客が少数で、設備投資の山谷が大きい。ROE が 10% 前後に戻っても、資本コストを大きくは超えない。
筆者は、10 年かけた価値は今の値段を少し下回ると見る。ただ、現金が下値を支えるので、割高の程度は小さい。
経営の資本の使い方は、これから見極める段階にある。高い配当を続けた実績は評価するが、買収で現金を使い始めた以上、買収の価格が最大の見どころになる。
なお、配当の下限は決めていたが、新しい方針では下限の約束が見当たらない。株主に戻る額は、経営の判断しだいになる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、液晶パネルの工場に納める装置と光源である。主力は製造装置事業で、売上の 8 割を占める。
中心は配向膜印刷機だ。液晶の配向を決める膜を、パネルに均一に塗る装置で、世界の納入実績は 800 台を超える。納めたあとのメンテナンスと印刷用の版も収入になる。露光装置用の光源ユニットも、この事業に入る。
ランプ事業は売上の 2 割弱である。カラーフィルターの露光に使う産業用ランプが好調で、一般照明用のランプの落ち込みを補った。
売上は 2026 年 3 月期で 142 億円。中国向けが約 7 割を占める。
2026 年 4 月に、新潟のハーネス加工会社ホンダを買収した。売上は年 18 億円ほどで、営業利益率は 17% 前後である。第 3 の柱をつくる最初の一歩になる。
顧客は液晶パネルメーカーと大手電機メーカーで、数は多くない。装置は大型で、納期は顧客の工事の都合で前後する。納品前に代金の一部を受け取る契約が多く、その分が前受金として貸借対照表に載る。
従業員は連結で 270 人ほど。持株会社の本体は 20 人あまりで、事業は子会社が担う。
優良さと弱いところ
堀は弱いとみる。装置は顧客の工程に組み込まれ、メンテナンスで関係が続く点は強みだ。小ロットの注文に応じられる機動力もある。
弱みは三つある。顧客が少数の液晶パネルメーカーに偏ること、利益が液晶の設備投資の山谷に左右されること、中国の装置メーカーが追い上げることだ。営業利益率は過去 12 年で 3% 台から 13% 台まで振れた。
財務は堅く、借金はほとんどない。これが最大の安全域である。
経営は、配当性向 100% で現金を株主に戻してきた点は評価できる。一方で、買収は始まったばかりで、資本の使い方の腕はこれから試される。
数字で見ると、ROE は 2024 年 3 月期に 14% まで上がったが、2023 年 3 月期は 2% だった。山の年の利益を、長く続く稼ぐ力と見ることはできない。
中計の資本コストの自己推定は 7〜8% で、ROE の目標は 8〜10% と、ほぼ並ぶ水準にとどまる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
液晶パネルの設備投資は、中国を中心に大型ラインが立ち上がるたびに山をつくる。足元は堅調で、配向膜印刷機の受注も好調だ。
長い目では、新しい工場の数は増えにくい。液晶は成熟し、有機 EL との競争もある。更新とメンテナンスが収入の中心になる。
競争の変化は、中国の装置メーカーの台頭である。現地の顧客が現地メーカーを選ぶ流れが強まれば、日本の装置は不利になる。
一般照明の LED は、補助金が一巡して競争が厳しい。ランプ事業の成長は産業用が担う。
景気の位置は、足元が山にあたる。会社は 2027 年 3 月期の営業利益を 17 億円と、減る前提で出している。液晶の次の大型投資がいつ来るかは読めず、10 年の平均で見るのが妥当だ。
半導体向けの研磨機や石英製品も手がけるが、売上はまだ小さい。第 3 の柱になるかは、数年は見えない。
需要の中身は、新しい工場の立ち上げと、既存の工場の更新・保守の二つに分かれる。前者は山谷が大きく、後者は薄く長く続く。この会社の強みは後者にあるが、利益の大きさを決めるのは前者である。
資本政策と M&A
還元は手厚い。2025 年 3 月期から 3 年間は連結配当性向 100% を目標とし、配当の下限も決めていた。2026 年 3 月期の配当性向は 100% を超えた。
2026 年 3 月末に方針を改めた。自己資本を成長投資の原資に使いつつ、業績に応じて還元するという内容だ。
中期目標は、2029 年 3 月期に営業利益 25 億円、ROE 8〜10% である。買収は、買収後の 1 株利益が増えるものに絞ると言う。
現金は厚いが、買収の対価と配当で減る。借入も使う考えだ。
ホンダの買収は第 1 号案件で、買収の価格は確認できなかった。営業利益率の高い小さな会社であり、筋書きでは年 18 億円の売上が物価並みに伸びるとみた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
配向膜印刷機は世界で 800 台を超えて納めた実績がある。納品後のメンテナンスと版が、安定した収入になる。
2026 年 3 月期の営業利益は計画を 7 割も上回った。経費の効率化も効いている。中国の液晶投資が続く間は、この水準を保てる。
財務は堅く、現金が時価総額の 7 割ある。ホンダのような利益率の高い製造業を買い足せば、液晶に偏った収益構造が変わる。中期目標の営業利益 25 億円は、買収を重ねれば届く。
自社株は 465 万株を持ち、株数を絞った実績もある。株価は 1 倍台の PBR で、資本効率を上げる動きは続くはずだ。
液晶は成熟した産業だが、大型テレビやパソコン、車載向けの需要は底堅い。ランプの交換と印刷版は消耗品で、設置台数が多いほど収入が厚くなる。
コストの管理も上手い。販売管理費は売上が 4 割増えた年に、率で見て改善した。利益が伸びる局面で費用を抑える経営は、買収後の統合にも効く。
慎重な見方
2026 年 3 月期の利益は、中国向けの大型受注が重なった山である。会社自身も、2027 年 3 月期は営業利益が減ると見る。
顧客は少数の液晶パネルメーカーで、設備投資の延期や中止で受注はすぐ落ちる。中国の装置メーカーが国産化を進めれば、日本の装置は置き換えられる。
現金は厚いが、買収に使われる懸念がある。ものづくり企業の買収は、高く買えば価値を壊す。配当性向 100% の方針も終わった。
ROE は過去 10 年の中央値が 7% で、資本コストに届いていない。
さらに、受取補償金のような一過性の利益も 2026 年 3 月期に入っている。見かけの稼ぐ力は実力より大きい。
半導体向けの新規事業は売上が小さく、第 3 の柱になる確証がない。買収したホンダも売上は 18 億円ほどで、液晶の落ち込みを埋めるには小さい。
中国向けが売上の 7 割に近く、地政学の悪化や関税で取引が止まれば、代わりの顧客が少ない。日本の小さな装置メーカーが、価格決定力を持ち続けるのは難しい。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。足元の利益は山で、10 年の平均は低い。現金は安全域として評価するが、事業の寿命と少数顧客への依存が重い。
確率は中立を中心に置き、悲観を 12%、やや悲観を 26% と、やや厚めにした。悲観の価値は現金に近い水準まで下げた。
現金が時価総額の 7 割あることを考えれば、割高の程度は大きくならない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,302 円237 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 581 円106 億円)。 今の値に割り戻すと 980 円178 億円、今との差 −0.6%、 期待の年率 +6.7%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,642 円481 億円 | 946 円172 億円 | +263.9% | +13.8% | 287 円52 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,968 円358 億円 | 775 円141 億円 | +178.2% | +10.8% | 549 円100 億円 |
| 中立 | 34% | 1,474 円268 億円 | 643 円117 億円 | +114.8% | +7.9% | 720 円131 億円 |
| やや悲観 | 26% | 597 円109 億円 | 429 円78 億円 | +4.0% | +0.4% | 267 円48 億円 |
| 悲観 | 12% | 341 円62 億円 | 165 円30 億円 | −48.7% | −6.5% | 61 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,302 円237 億円 | 581 円106 億円 | +91.0% | +6.7% | 1,883 円342 億円 |
今の株価時価総額 986 円179 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 液晶の設備投資が再び膨らみ、買収も当たる 利益 27 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 2,642 円481 億円
中国と台湾で第 10.5 世代級の液晶ラインが続けて立ち上がり、配向膜印刷機の更新とメンテナンスが積み上がる。露光装置用の光源ユニットも、ランプの交換需要が厚いストックになる。装置事業の利益率は 19% まで上がる。買収したホンダのような製造業を数社加え、利益の柱が三つに増える。本社費は物価で膨らむが、売上の伸びに吸収される。純利益は今の 2 倍を超え、資本コストを十分に上回る ROE が続く。ホンダに続く買収も成功し、営業利益 25 億円の中期目標を大きく超える。ROE は 15% を超え、現金も株主に戻り続ける。
- 製造装置事業:数量 140(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 188 億円・営業利益 36 億円。液晶投資の山、メンテ収入が厚い
- ランプ事業:数量 28.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 38 億円・営業利益 5 億円。MLS ランプの需要が続く
- 電気器具ハーネス加工(ホンダ):数量 20.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。ホンダ 横ばい以上
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)50 億円。全体の PER 16.37 倍、時価総額 480 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:液晶の大型投資が再び来る、光源ユニットと印刷機の両方で取り分を保つ、買収が当たる、の三つが重なる必要があり、1 割に届かない。
やや楽観 20% 液晶投資は高水準で、買収も順調 利益 21 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 1,968 円358 億円
液晶の設備投資が今の水準近くで続き、配向膜印刷機の更新とメンテナンスがストック収益として積み上がる。光源ユニットのランプ交換も安定する。ホンダは堅調で、ものづくりの買収が 1 件加わる程度にとどまる。営業利益率は 11% 台で、会社の中期目標を上回る。還元は 7 割強で、現金の余りは使い切らない。装置事業の営業利益率は 18% と今に近く、買収も 1 件うまくいく。純利益は 21 億円ほどになり、液晶の投資が高水準を保つ限り、安定して稼ぐ。全体として、会社が掲げる 2029 年 3 月期の姿を、その後も保つ道である。装置の更新需要は途切れず、ランプ事業も黒字を保つ。
- 製造装置事業:数量 122(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 164 億円・営業利益 29 億円。液晶投資が高水準で続く
- ランプ事業:数量 26.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 35 億円・営業利益 4 億円。光源ランプが堅調
- 電気器具ハーネス加工(ホンダ):数量 19.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 26 億円・営業利益 4 億円。ホンダ堅調
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.9% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)50 億円。全体の PER 15.02 倍、時価総額 358 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:液晶の投資が高めに続き、会社の中期目標(営業利益 25 億円)を 10 年かけて超える道。2 割を置く。
中立 34% 投資は平均並みで、利益は物価並みに伸びる 利益 17 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,474 円268 億円
液晶の設備投資は山と谷を繰り返し、10 年ならすと、足元の山(中国向けの大型受注)より低い。装置の数量は今の 9 割ほどで、ストック収益が谷を支える。価格は物価並みに上がる。一般照明のランプは縮み、産業用ランプが残る。ホンダは横ばいで、買収分の償却と本社費の物価上昇で営業利益率は 11% ほどに落ち着く。還元は純利益の 7 割ほど。現金が残るため ROE は 8% 台にとどまる。配向膜印刷機の納入先は中国が中心で、新しい大型ラインの立ち上がりが少ない年は受注が細る。それでも、メンテナンスと版で収益は一定の厚みを保つ。買収は小さな成功にとどまり、本社費の増加が利益を削る。
- 製造装置事業:数量 105(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 141 億円・営業利益 24 億円。投資は平均並み、山より低い
- ランプ事業:数量 24.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 32 億円・営業利益 3 億円。一般照明が縮み産業用が残る
- 電気器具ハーネス加工(ホンダ):数量 18.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。ホンダ横ばい
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)50 億円。全体の PER 13.63 倍、時価総額 268 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:液晶の設備投資は山と谷を繰り返し、10 年の平均は今の山より低い。最も起こりやすい道として 34% を置く。
やや悲観 26% 中国の装置メーカーに押され、利益が細る 利益 9 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 597 円109 億円
中国の液晶装置メーカーが配向膜印刷機を国産化し、価格を下げて入ってくる。取り分は落ち、装置の数量は今の 7 割台に細る。光源ユニットも顧客の内製や LED 光源への置き換えが進む。ホンダは堅調だが小さい。営業利益は 12 億円ほどで、ROE は資本コストを下回る。買収に使った現金は十分な利益を生まず、余った現金は目減りする。価格を下げても数量が戻らず、装置事業の営業利益率は 14% に下がる。ランプ事業の利益も細り、ホンダが全体を支える形になる。現金は買収と配当で減るが、借金は増えない。事業の寿命は短く見られ、市場は成長の止まった小さな装置メーカーとして値を付ける。
- 製造装置事業:数量 85.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 114 億円・営業利益 16 億円。国産化で取り分が減る
- ランプ事業:数量 20.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。光源ランプの数量減
- 電気器具ハーネス加工(ホンダ):数量 17.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 23 億円・営業利益 3 億円。ホンダ堅調
倍率:事業の純利益 約 9 億円・事業 ROE 約 5.8% は k 8.25% 以下なので、上限は 1÷k=11.4 倍。競争で利益の質が落ちると見て約 7 割の 8.0 倍に置いた。余った現金は 0.75 倍。
確率:中国の装置メーカーの台頭と、顧客の投資の谷が重なる。単一産業・少数顧客の弱さを考え、慎重な見方がやや強いとして 26% を置く。
悲観 12% 装置が国産に置き換わり、買収も外れる 利益 2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 341 円62 億円
中国の装置メーカーが配向膜印刷機を置き換え、液晶投資の中心も中国国内の国産装置に移る。LED 光源の普及で露光装置用ランプも縮む。ホンダ以外の買収で減損が出て、本社費が重く残る。営業利益はほぼゼロで、会社は現金を守りながら小さな事業を続ける。ただし少数株主は、現金の使い道を決められない。売上の大半は中国向けだったため、取引先の喪失が全体の数量を一気に削る。本社費と買収の償却は残るため、営業利益は赤字すれすれになる。配当は大きく減り、株主に戻る額は小さい。買収に使わなかった現金は、清算されない限り少数株主が使い道を決められないため、価値を全額には見込めない。
- 製造装置事業:数量 55.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 74 億円・営業利益 6 億円。国産装置に置き換わる
- ランプ事業:数量 12.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。光源の置き換えで赤字すれすれ
- 電気器具ハーネス加工(ホンダ):数量 16.0(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。ホンダは小さく残る
倍率:稼ぐ力は小さく、価値は現金に近い。預り・前受を除いた現金と回収できる運転資金を今の自己資本 172.7 億円に対して 0.359 倍に置いた。
確率:液晶装置の構造的な負けと買収の失敗が重なる筋書き。単一産業・少数顧客の会社で、1 割強を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
製造装置事業
液晶用の配向膜印刷機、露光装置用光源ユニット、半導体向けの研磨機・石英製品。
| 数量取扱高(億円・今の値段の実質) | 価格値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 115 | 100.0% | 115 | 21 |
| 10 年後 中立 | 105 | 134.0% | 141 | 24 |
取り方:推定。開示は金額だけで、数量は無いため、実質の取扱高 115 億円で置いた。中国向けの大型受注を含む山の値。
ランプ事業
露光装置用の産業用ランプ、一般照明用のランプ・LED。
| 数量取扱高(億円・今の値段の実質) | 価格値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 26.7 | 100.0% | 27 | 3 |
| 10 年後 中立 | 24.0 | 134.0% | 32 | 3 |
取り方:推定。取扱高 27 億円(実質)。産業用ランプが好調で、一般照明は縮んでいる。
電気器具ハーネス加工(ホンダ)
2026 年 4 月に買収した、電気器具のハーネス加工と組立。
| 数量取扱高(億円・今の値段の実質) | 価格値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 100.0% | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 134.0% | 24 | 3 |
取り方:買収は 2026 年 4 月のため、2026 年 3 月期には含まれない。年 18 億円・営業利益 3 億円ほどの会社(同社の公表値)。
リスクと懸念
液晶の設備投資の山谷
売上は少数の液晶パネルメーカーの投資で決まる。2026 年 3 月期の中国向けの大型受注は山で、投資が止まれば受注は半分以下に落ちる。会社の最大のリスクとして挙げている。
中国の装置メーカーの国産化
配向膜印刷機は、現地の顧客が現地メーカーを選ぶ流れが強まれば置き換えられる。価格競争も始まる。中国向けが売上の約 7 割で、影響は大きい。
光源の置き換え
露光用の光源ユニットは、LED 光源など技術の移り変わりに弱い。ランプ事業の好調は、顧客の設備更新に依存している。
買収で価値を壊す
ものづくり企業の連続買収を進める。買収価格が高いと、現金は価値を失う。経営の資本配分の腕は、まだ実績が浅い。
還元方針の転換
配当性向 100% の方針は 2026 年 3 月末に終わった。成長投資を優先すれば、株主に戻る額は減る。
今後の分かれ目
- 中国向けの配向膜印刷機の受注が 2 期続けて前年を下回ったら
- 設備投資の山が過ぎた証拠で、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- ホンダに続く買収が、営業利益率の高い会社で成立したら
- 第 3 の柱が立つ可能性が出る。中立から楽観に確率を寄せる材料になる。
- 高い価格で大型の買収を発表したら
- 現金の価値が目減りする。余った現金の戻り方を 0.5 に下げて見直す。
- ランプ事業の営業利益が赤字に戻ったら
- 光源の置き換えが進んだ兆候で、事業の寿命を短く見る。
- 配当性向を再び 100% 近くに戻したら
- 現金が株主に戻る道が確かになり、現金の価値を重く見てよい。
見ておくもの
- 中国向けの配向膜印刷機の受注
- ランプ事業の営業利益
- 買収の価格と買収後の利益
- 配当性向と現預金の残高
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業 ROE・資本コスト 8.25%・長期の成長 4% から式で置き、上限の 7〜8.5 割にした。今の PER・PBR や同業の倍率には寄せていない。同じ領域の遠藤照明は施設照明で事業が違うため、数量や確率は別に置いた。余った現金は 50 億円で、配当・買収・前受金を引いた。買収の対価は推定。リースは小さく、新リース会計基準の後も今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→16.37 倍・やや楽観 PER 12→15.02 倍・中立 PER 11.5→13.63 倍・悲観 PBR 0.38→0.359 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した。個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。