結論
TRUCK-ONEは、中古トラックの仕入れ、販売、レンタル、整備と運送を組み合わせた会社である。筆者の結論は、現在の時価総額は本質価値とおおむね釣り合っており、長く持つ株主にとって十分な安全域があるとは言い切れない、というものだ。働く車の再利用は10年後も必要だが、この事業には価格を自由に決められる強い堀がない。
事業の良さは、中古車を単に右から左へ流すだけではないところにある。全国の拠点で車両を買い取り、自社で整備し、必要な仕様に直して販売する。さらにレンタル車両を中古市場へ戻せるため、仕入れと販売の両側に接点を持つ。2025年には商用車関連事業が売上を伸ばし、会社全体の営業利益率は7%に達した。2026年上期も中大型車への販売構成の変化が利益を押し上げている。
ただし、2025年の収益力をそのまま10年間延ばすことには慎重であるべきだ。2014年から2020年までの営業利益率は、おおむね1%前後にとどまっていた。近年の改善には、新車価格の上昇、中古車価格の上昇、販売する車両の大型化が含まれる。いずれも経営努力だけで恒久的に守れるものではない。2026年上期には、売上が増える一方で販売台数が前年同期を下回った。
最大の懸念は貸借対照表である。2025年末の自己資本約15.5億円に対し、純有利子負債は約27.2億円あり、売れ残れば値下がりする車両在庫が多い。2026年上期には利益が出ていても営業キャッシュフローが赤字となり、短期借入金を増やしている。利益が実際に株主の自由な現金になるまでには距離がある。
10年後の中立では、販売台数はわずかに減り、平均単価は物価上昇に沿って上がると考える。レンタルと整備は緩やかに伸びるが、利払いと車両更新費用が利益を抑える。五つの筋書きの加重現在価値は約18.6億円で、基準時点の時価総額約19.0億円との差は約マイナス2%となる。分類は「適正」である。事業が良い方向へ進む余地はあるものの、それを買う株主には、車両在庫と借入金の動きまで見続ける覚悟が要る。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に確かめるのは、10年後も顧客が同じ理由でお金を払うかどうかだろう。TRUCK-ONEが扱うのは、インターネット上の情報だけでは運べない現物の車両である。運送会社には、必要な時に用途に合った車を確保する需要がある。中古車の状態を見極め、修理し、動く状態で引き渡す能力は残る。ここに事業の寿命の長さがある。
次に見るのは、稼いだお金をどれだけ少ない資本で再投資できるかだ。同社は商品車両を先に仕入れ、販売まで保有する必要がある。レンタル車も先に購入しなければ貸せない。運送子会社には車両と運転手が要る。見かけの純利益が増えても、次の仕入れや車両の更新にほとんど使われてしまえば、株主が自由に使えるお金は増えない。2025年は営業活動による現金収入が設備取得支出を下回った。2026年上期にはさらに借入金への依存が高まった。
価格決定力も厳しく評価する。独自の技術で代替不能な製品を持つ会社なら、物価が上がっても利益を守りやすい。しかし中古トラックには年式、走行距離、型式という比較可能な属性がある。顧客は別の販売店で似た車両を探せる。整備と保証によって多少高く売れても、長期にわたり超過利益を守る堀とは別物だ。2025年の高収益は評価するが、それが将来の平常利益だという確証はまだない。
最後は経営者が留保利益をどう扱うかである。借入金を減らす、回転の速い商品を選ぶ、採算の良いレンタル車だけを増やす、といった判断が積み重なれば価値は高まる。反対に、売上を伸ばすためだけに在庫と借金を積めば、株主は景気の谷で損失を引き受けることになる。約19億円という現在の時価総額は、収益力が続けば決して法外ではない。それでも、負債と利益の循環を踏まえれば、本質価値を大幅に下回る価格とは判断しない。事業への関心と、株式に支払える値段は分けて考える必要がある。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は中古の商用車である。顧客は運送会社、建設会社、食品配送会社など、実際にトラックを使う事業者だ。日野、いすゞ、三菱ふそう、UDトラックスなどの車両を買い取り、点検や整備を加えて再販売する。ダンプ、冷凍車、車載車、タンク車など用途の異なる車両を扱うため、同じトラックでも年式、走行距離、荷台の仕様で値段が大きく変わる。
会社が開示する報告セグメントは二つである。2025年の商用車関連事業は売上約71.25億円、営業利益約4.67億円だった。運送関連事業は売上約8.49億円、営業利益約0.84億円である。商用車関連には販売だけでなくレンタル、リース、整備が含まれるが、会社はその内訳の台数と売上を公表していない。そこで数量と価格を考えるため、分析上は販売、レンタル、整備の三つに分けた。各内訳の数量と単価は開示実績ではなく、公開料金や車両在庫、帳簿上のレンタル資産を手掛かりにした推定である。
販売事業の経済性は、年間何台売れるかと、1台をいくらで売れるかに尽きる。仕入れた車両を売るまで在庫資金が必要なので、売上が増えても回転が遅ければ現金は残らない。2025年末の商品車両の帳簿価額は約33.6億円に上り、会社全体の自己資本よりはるかに大きい。価格上昇局面では追い風になるが、相場の反転は在庫評価と粗利益の双方を傷つける。
レンタルでは冷凍冷蔵車に強みを持ち、ウイング車、塵芥車なども扱う。公開料金では2トン冷凍車の月額が26.4万円、4トン冷凍車が46.2万円である。レンタル車は使用期間を終えた後に中古車として販売できる。この仕組みは仕入れの一部を自社で生み出す利点がある半面、車両を買うための資金と継続的な更新投資を要する。整備は販売後の関係を維持する入口になるが、車検や修理の価格競争を免れるわけではない。
運送関連事業は、子会社のT.L.Gと丸進運油が担う一般貨物、食品、燃料などの輸送である。車両の売買と顧客基盤を共有できるが、収益構造は異なる。売上を左右するのは稼働車両数、走行・配送回数、運賃だ。燃料費、運転手の賃金、車両維持費が固定的に発生するため、積載率が落ちると利益が急に薄くなる。海外向けには2020年に取得したSUN AUTOが中古車や部品を販売し、国内市場だけに頼らない販路を提供している。
優良さと弱いところ
同社の強みは車両の調達、整備、販売、レンタルを一つの商流にまとめていることだ。大型車や特殊車両は状態を見極める知識が要り、購入後の改造や整備まで任せられる販売店には一定の価値がある。2025年10月に大阪支店を開設し、全国の拠点で車両を動かせる体制を広げた。公開されている販売車両も約290台あり、規模の小さな事業者より品ぞろえで優位に立つ場面はある。
しかし、これは他社が越えられない堀ではない。ステアリンクは自社公表で常時300台以上の在庫と年間1500台の販売実績を持つ。大手トラックメーカーの中古車部門、地域の専門店、オークション、インターネット上の中古車仲介も競争相手になる。顧客は同じ型式と状態の車両なら値段を比べられる。独自の在庫網が一定の集客力を生んでも、顧客を長期間囲い込むことは難しい。
利益率の変化にも注意したい。2021年から2025年にかけて営業利益は大きく増えたが、過去の長い期間には利益率1%前後の年が多かった。2025年の税引後営業利益を自己資本と純負債の合計で割ると、投下資本利益率はおおむね9%である。これは想定する資本コストとほぼ同じだ。近年の増分利益は大きいものの、その全てを恒久的な再投資利回りと評価することはできない。
財務には明確な弱点がある。2025年末の自己資本比率は約24%で、在庫と借入金の双方が大きい。利息の支払余力は直近利益に照らせばあるが、銀行の融資姿勢や車両の換金性に事業継続の余地が左右される。2026年上期には棚卸資産の増加と仕入債務の減少が営業キャッシュフローを圧迫した。堀は局所的には存在するが、会社全体としては弱いと判断する。AIエージェント代替の指定類型に当たる人月販売、席課金ソフト、広告運用などは主力事業に存在しない。一方、AIによる査定や在庫検索の高度化は価格差を縮める方向に働く。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中古トラック市場は、人口が減っても簡単には消えない。食品、燃料、建設資材、宅配貨物を運ぶには物理的な車両が要る。新車が高くなれば中古車の利用価値は増す。企業が車両を長く使うほど、点検、整備、部品交換の需要も続く。しかし、国内輸送量が人口や労働力の制約を受ける以上、市場全体の販売台数が今後10年間で大きく増えると期待するのは難しい。
日本自動車販売協会連合会の統計では、2024年の普通・小型貨物車の中古登録台数は計約37.5万台だった。2025年の普通貨物車だけの中古登録台数は約17.1万台で、前年をやや上回った。登録台数は中古車の小売販売件数と同じではなく、所有権移転なども含む。この違いには注意が要る。仮に同社の年間販売を900台と推定して2024年の登録規模と比較すると約0.24%に相当する。ただし輸出や車種構成が違うため、正確な市場シェアではない。
競争相手のステアリンクが公表する年間販売1500台も、同じ登録台数を分母にすれば約0.40%相当になる。こうした比較は、全国に多くの売り手が分散していることを示す参考値にすぎない。メーカー系列ではいすゞ系の中古車流通網などがあり、オークションには別の大きな流通量が存在する。これら全てを含めた会社別の厳密な販売シェアは確認できない。2035年の中立では国内中古貨物車市場の実質数量を現在の約95%とみなし、同社の取扱台数は販売構成の変化を含めて850台前後と考える。
中古車の販売価格は、単純な消費者物価だけでは決まらない。新車価格、排出ガス規制、半導体や部品の供給、燃料価格、輸出先の需要、車両の残存寿命に左右される。2025年の価格上昇は利益を支えたが、仕入れ価格も上がるため、再び車両が十分に供給されれば売買差益は細る。中古車の調達不足も逆方向の問題で、売りたくても売る車両がない状態になりうる。
運送市場はさらに分散している。国内のトラック運送事業は約20兆円規模とされ、同社子会社の売上はそのごく一部だ。運賃の値上げは人手不足への対抗策になるが、荷主との交渉力には限界がある。2030年代には運転手不足、車両の電動化、排出ガス規制への適合が進む。中古ディーゼル車の寿命が短くなれば輸出や再販価値に影響する。ただし電動トラックへの更新が進むほど、整備技術と中古車査定の難しさは増す。市場そのものの消滅ではなく、誰が中古車の価値を正しく見積もれるかが競争の中心になる。
資本政策と M&A
経営陣の資本配分は、株主還元よりも車両在庫、レンタル資産、拠点、事業の買収に重点を置いてきた。2010年にT.L.G、2011年に丸進運油、2020年にSUN AUTOを子会社化し、商用車の販売から運送や輸出へ事業を広げた。2025年には大阪支店を開設した。これらは既存の車両知識と顧客接点を利用できる投資であり、全く異なる業種への大型買収より合理性がある。
株主還元は小さく、実績にも大きな制約がある。年間配当は2020年の水準から引き上げられ、2025年は11円となったが、同年の利益に対する配当性向は約7%にとどまる。2026年の会社予想も年間配当11円である。株主優待制度は2025年12月に廃止されたため、今後の還元に優待費用を上乗せしない。最近5年間に株数を大きく減らす自社株買いも確認できない。
2025年末の上位10株主の保有比率は約78.6%である。小川姓の株主4名の保有割合が高いが、続柄を確認せず親族関係を断定することは避ける。所有が集中する会社では、少数株主への現金の返し方を慎重に見る必要がある。一方、近年は増配しているため、留保資金の株主への帰属率を一律に半分とするのも不適切だ。現金の戻り方は75%と考える。
会社は売上高、営業利益、経常利益を中長期的に成長させる方針を示すが、確認できた開示には、複数年の売上高、利益、ROEの定量目標も、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額の数値目標もない。中期経営計画としての数字の約束なし、という評価になる。2026年8月公表の通期予想は売上75億円、営業利益5.1億円、純利益3.3億円だが、これは単年度予想である。今後の設備投資や買収の成否は、利益の伸び以上に借入金と営業キャッシュフローで検証したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内の中古トラック流通は細分化されており、全国の在庫を一括して調達し、整備して売れる会社には集約の余地がある。TRUCK-ONEは既に商用車の販売、整備、レンタル、輸出、運送を一つのグループで提供している。単独の中古車店より車両の出口が多いことは、仕入れ時の査定力と在庫回転の改善に結びつきうる。レンタルで使い終えた車を販売し、その車を買った顧客からまた別の中古車を仕入れる循環が強まれば、外部のオークションだけに頼る必要も小さくなる。
2025年の販売価格上昇は一時的な追い風だけではない。新車の価格は排出ガス規制や安全装置の高度化で構造的に高くなっている。車両を長く使いたい事業者にとって、状態の良い中古車と信頼できる整備は価値を増している。2026年上期に大型・中型車の構成が改善した事実は、単純な値上げではなく、より高単価の車種を扱う商売への移行とも解釈できる。大阪支店の開設とSUN AUTOの輸出販路も、国内需要が横ばいでも販売数量を増やせる根拠になる。
運送関連の事業も、車両に関する実務知識を蓄積する場所として意味がある。顧客が困る故障、更新時期、冷凍車の仕様を自社の運送現場で学べることは、仕入れや販売の判断を助ける。販売後の整備契約やレンタルへの誘導が増えれば、売り切り型の利益から継続的な利益へ比重を移せる。こうした動きが進めば、売上に対する必要運転資金を抑えながら取扱台数を増やせる可能性がある。
足元の収益改善も軽視できない。2025年に過去最高の営業利益を達成した後、2026年上期も増益が続いた。自己資本は積み上がり、直近の利息負担は営業利益に比べて小さい。経営が銀行借入を適切に使い、需要に合わせて商品車両とレンタル車両を増やし続けられれば、10年後には現在よりかなり大きな利益を稼ぐ会社になりうる。市場が小さな会社に分散しているからこそ、販売品質の高い事業者がシェアを取る余地は残っている。
慎重な見方
中古トラック事業の好業績は、価格の上がった在庫を売ることで膨らみやすい。2025年の増益には中古車価格の上昇が寄与し、2026年上期は販売台数が前年を下回っている。それでも売上と利益が増えたのは、中型・大型車の構成が改善したからだ。ここから読み取れるのは、取扱数量そのものが構造的に伸びている証拠ではなく、販売価格と車種構成への依存の高さである。新車の供給が回復して中古相場が下がれば、売上だけでなく保有在庫の採算も悪化する。
財務は最大の弱点だ。2025年末の商品車両の帳簿価額は約33.6億円で、自己資本の2倍を超える。仮にその在庫の価値が15%下がれば、単純計算で約5億円の損失要因になる。借入金は在庫の取得に不可欠だが、景気が悪くなった時には銀行への返済義務が消えるわけではない。2026年上期の営業キャッシュフローは約3.35億円のマイナスであり、利益の大きさを現金創出力と取り違えてはならない。
競争上の堀も限定的だ。ステアリンクのような専門店は同規模以上の在庫を並べられる。トラックメーカー系列やオークションに加え、デジタル査定とオンライン在庫検索が普及すれば、販売店ごとの情報差は小さくなる。顧客は他店で購入でき、取引関係を長期契約で固定する力は弱い。営業利益率が高まったからといって、その高さを値上げ力の証拠とすることはできない。
資本配分にも疑問が残る。配当は増えているが、利益の大部分を留保しており、大きな自社株買いの実績も見当たらない。中期の資本効率目標や株主還元率の数字の約束もない。資金が店舗や車両に投じられても、増分の利益が資本コストを超える保証はない。株主構成が集中している会社では、少数株主が余剰資本の使い方を変えさせることも難しい。10年後に会社が存続していても、株主にとって良い投資になるとは限らない。
どちらに重みを置いたか
事業の存続については前向きな見方が強い。中古車の再利用、冷凍車のレンタル、整備の需要は長く残り、同社には実務的な経験がある。ただし収益の持続性と財務については慎重な見方を重くする。利益率の急改善はまだ短く、販売価格の上昇を恒久的な堀と認める根拠も不足している。
確率は楽観10%、やや楽観20%、中立33%、やや悲観25%、悲観12%とし、下振れ側を合計37%にした。借入金と在庫への依存を評価に反映した結果である。もっとも、悲観の床も極端な破綻価値にはせず、売却可能資産を差し引いて評価した。現在の時価総額との比較では本質価値はほぼ同水準となり、適正評価という結論である。増益が続くことより、増益に伴って現金と自己資本の安全性が改善することを確認したい。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,621 円39 億円(+ 還元の換算額還元の合計 138 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 774 円19 億円、今との差 +8.3%、 期待の年率 +9.9%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 4,195 円101 億円 | 292 円7 億円 | +527.6% | +21.4% | 449 円11 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,751 円66 億円 | 208 円5 億円 | +314.0% | +16.1% | 592 円14 億円 |
| 中立 | 33% | 1,551 円37 億円 | 133 円3 億円 | +135.6% | +9.4% | 556 円13 億円 |
| やや悲観 | 25% | 477 円11 億円 | 83 円2 億円 | −21.6% | −2.6% | 140 円3 億円 |
| 悲観 | 12% | 167 円4 億円 | 17 円0 億円 | −74.3% | −13.1% | 22 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,621 円39 億円 | 138 円3 億円 | +146.0% | +9.9% | 1,759 円42 億円 |
今の株価時価総額 715 円17 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 全国展開と輸出でシェアを広げる 利益 9 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,195 円101 億円
大阪支店が順調に育ち、関東から九州までの拠点間で中古車を融通する効率が高まる。SUN AUTOの海外販売も新しい顧客を獲得し、国内市場の縮小を上回る数量の伸びにつながる。2025年の推定販売900台から、2035年には1230台まで増える。販売価格は物価上昇に加えて中大型車の構成比上昇が続き、平均単価が高まる。
レンタルでは冷凍車の稼働が増え、契約を終えた車両を中古販売へ回す循環が定着する。整備拠点も販売顧客から継続的な入庫を獲得し、単独の中古車販売より安定した粗利益を稼ぐようになる。運送子会社は燃料費と人件費を運賃に転嫁し、稼働率を高く維持する。借入依存は残るものの、車両の在庫回転が改善するため資本効率も高まる。
これは販売数量、平均単価、付随サービスの三つがそろって改善する10年間である。ただし競合がいなくなるわけではなく、整備と調達の実務に根差した中程度の優位を築くにとどまる。利益を全て再投資せず、返済と配当に回す規律も保たれる。
- 中古商用車販売・輸出:数量 1,230(年間販売台数(台、国内・海外の合計))× 価格 0.11(販売車両1台当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 135 億円・営業利益 8 億円。市場の実質数量は横ばいから微減でも輸出と国内シェア上昇で販売1230台、単価1100万円、営業利益率6%。
- 商用車レンタル・リース:数量 155(年間稼働車両換算(台年、通年稼働に直した数量))× 価格 0.06(稼働1台年当たり平均レンタル・リース売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。稼働155台年、年間単価580万円。レンタルから再販までの回転を改善し、更新車両の償却増を吸収。
- 車検・整備・改造:数量 1,800(年間有償整備案件数(件、推定))× 価格 0.00(整備1案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。有償整備1800件、平均39万円。営業所の稼働率が上がり、固定費を吸収。
- 一般貨物・食品・燃料輸送:数量 66.0(年間稼働車両換算(台年、推定))× 価格 0.25(稼働車両1台年当たり輸送収入(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。実質稼働66台年、運賃単価は10年で約1.47倍。運賃交渉と積載効率が改善。
倍率:2035年ROEは8.5÷58.5=14.53%、資本コストkは9%。弱い堀のため超過収益の残る割合は1/3、RONIC=9%+(14.53%−9%)÷3=10.84%。長期名目成長率g2.5%から、正当化PER=(1−2.5%÷10.84%)÷(9%−2.5%)=約11.84倍。企業全体の純利益8.5億円に適用する。販売数量と単価の改善は既に2035年の利益に反映し、倍率には重ねない。
確率:販売・整備・レンタルの相互送客が強まり、国内市場が横ばいでもシェアを大きく取る筋書き。2025年の利益改善と大阪進出は根拠になるが、強い堀が確認できないため実現確率は限定的とする。
やや楽観 20% 車両構成の改善と周辺サービスの成長 利益 6 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,751 円66 億円
国内の中古貨物車市場は大きく伸びないが、同社は大型・中型車と特殊車両の調達を強化する。販売台数は1050台まで増える。大阪拠点が関西の顧客を獲得し、SUN AUTOが国内で売りにくい車両の輸出先を広げることで、仕入れた車を滞留させずに販売する機会が増える。
レンタルでは食品配送向けの冷凍車を中心に稼働台数が増え、整備では既存顧客の車検と修理の受注が積み上がる。車両単価は名目で上昇するが、競合も同じ市場に参加しており、販売利益率の改善は限定的である。運送子会社は運賃の引き上げによって燃料費と人件費の増加をおおむね吸収する。
利益は2025年の好調を上回るが、借入金を使った仕入れと車両更新は続く。設備取得の価格が上昇するため、会計上の利益ほど自由に使える現金は増えない。それでも事業規模の拡大に伴い自己資本を蓄積し、10年後には財務の耐久力をある程度高めている。
- 中古商用車販売・輸出:数量 1,050(年間販売台数(台、国内・海外の合計))× 価格 0.10(販売車両1台当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 108 億円・営業利益 6 億円。1050台、平均1030万円。車種構成の高度化と輸出先の拡大で数量も単価も上昇。
- 商用車レンタル・リース:数量 125(年間稼働車両換算(台年、通年稼働に直した数量))× 価格 0.05(稼働1台年当たり平均レンタル・リース売上(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。125台年、平均540万円。新車両の償却費とレンタル料の増加を両方反映。
- 車検・整備・改造:数量 1,300(年間有償整備案件数(件、推定))× 価格 0.00(整備1案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。1300件、平均38.7万円。自社販売後の顧客が継続して入庫。
- 一般貨物・食品・燃料輸送:数量 55.0(年間稼働車両換算(台年、推定))× 価格 0.24(稼働車両1台年当たり輸送収入(億円、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。55台年、年間単価2420万円。運賃の引き上げで実質利益率を維持。
倍率:2035年ROE=5.8÷53.5=10.84%、k9%、弱い堀の残る割合1/3からRONIC=9.61%。g2.5%とすると正当化PER=(1−2.5%÷9.61%)÷(9%−2.5%)=約11.38倍となる。企業の実績倍率ではなく、追加投資が資本コストをやや上回る状態の利益価値による上限そのものを採用した。
確率:現在の大型・中型車販売の強さ、レンタル需要、大阪拠点の開設が部分的に成果を出す場合。数量を一気に増やすほどの独占力はないが、既存の延長線で十分ありうる。
中立 33% 取扱数量は微減、価格上昇と整備で補う 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,551 円37 億円
国内では人口減少と運転手不足で車両保有の効率化が進み、中古トラック市場の実質数量はやや縮む。TRUCK-ONEの販売台数も2025年の推定900台から850台へ減る。ただし、用途に合った中古車への需要は残り、新車価格の上昇や物価上昇に沿って平均販売価格が上がるため、販売金額は増加する。
中古車相場が2025年のように一方向に上がり続けるとは考えない。競合の査定精度も上がり、売買差益は縮む。販売利益率は4%程度となり、2025年の高水準は再現しない。レンタルの稼働は緩やかに増えるが、車両更新費と償却負担も重くなる。整備案件は既存顧客との関係で小幅に増える。運送事業では運賃の引き上げが人件費の増加をほぼ相殺する。
会社は安定的な黒字を続けるものの、仕入れとレンタル車両の更新に資金を使い、銀行借入を大幅に圧縮するほどの自由現金は生まれにくい。過去の低金利で借りた資金が3.5%程度の金利へ置き換わることも純利益を抑える。それでも既存の事業基盤は保たれ、2035年には現在より厚い自己資本を持つ会社として存続している。
- 中古商用車販売・輸出:数量 850(年間販売台数(台、国内・海外の合計))× 価格 0.10(販売車両1台当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 83 億円・営業利益 3 億円。850台、平均980万円。台数は推定現状比94%、単価は1.36倍。値上がりはおおむね物価と車格構成による。
- 商用車レンタル・リース:数量 105(年間稼働車両換算(台年、通年稼働に直した数量))× 価格 0.05(稼働1台年当たり平均レンタル・リース売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。105台年、平均536万円。更新車両の取得原価上昇と稼働率の変動を含み、利益率は現在の推定値より低下。
- 車検・整備・改造:数量 1,000(年間有償整備案件数(件、推定))× 価格 0.00(整備1案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。1000件、平均30.8万円。顧客の維持により案件は微増、工賃と部品代は物価並みに上昇。
- 一般貨物・食品・燃料輸送:数量 48.0(年間稼働車両換算(台年、推定))× 価格 0.22(稼働車両1台年当たり輸送収入(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。48台年、年間売上2225万円。実質稼働は微減、運賃は1.31倍、賃金・燃料費・車両費により利益率は低下。
倍率:2035年のROEは3.35÷43.5=約7.70%で、資本コスト9%を下回る。資本コスト以下のROEで利益成長を高い値に換算せず、永続的な稼ぐ力の上限である1÷k=11.11倍を採用する。将来の成長投資が資本コストを上回らない場合、蓄積した自己資本の全額を市場価値とみなさない。
確率:2025年の営業利益率7%超は長い過去実績と比べて高く、2026年上期は販売台数が前年割れしている。一方で中古商用車の需要自体は長く残るため、台数微減と利益率の平常化を中心とする。
やや悲観 25% 価格競争が強まり利益率が縮む 利益 1 億円 · PER 8.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 477 円11 億円
新車の供給制約が解け、中古トラックの売買価格が落ち着く。市場全体の台数も減るため、仕入れを確保する競争と販売先を奪い合う競争が同時に強まる。TRUCK-ONEは大型車を高い価格で売る機会を減らし、販売台数は720台まで縮む。顧客はオークションや競合の在庫情報を比較し、同じ条件の車両に高い値段を払わなくなる。
レンタルは利用者が残るものの、稼働台数が減り、車両取得費の上昇を十分に転嫁できない。整備も客数が減り、売上を維持するために価格を抑える。運送子会社では燃料費と賃金が上がる一方、荷主との運賃交渉が追い付かず、利益率は低い水準へ戻る。利益は出るが、営業利益に比べて借入金の利息が重くなる。
経営は大きな買収を控え、在庫の圧縮と既存事業の維持を優先する。配当を抑えながら内部留保を増やすものの、再投資した資本から得られる利益は資本コストに届かない。会社は存続するが、2035年には以前より競争力の弱い中古車販売業者として評価される。
- 中古商用車販売・輸出:数量 720(年間販売台数(台、国内・海外の合計))× 価格 0.09(販売車両1台当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。720台、平均940万円。販売単価は名目上昇するが、仕入れ値との利幅が縮む。
- 商用車レンタル・リース:数量 85.0(年間稼働車両換算(台年、通年稼働に直した数量))× 価格 0.05(稼働1台年当たり平均レンタル・リース売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。85台年、平均490万円。稼働率の低下が固定的な車両費を圧迫。
- 車検・整備・改造:数量 800(年間有償整備案件数(件、推定))× 価格 0.00(整備1案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。800件、平均29.3万円。顧客減少と整備人員の固定費負担で利益率低下。
- 一般貨物・食品・燃料輸送:数量 44.0(年間稼働車両換算(台年、推定))× 価格 0.21(稼働車両1台年当たり輸送収入(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。44台年、年間2100万円。荷主への価格転嫁が不十分で低収益化。
倍率:2035年ROE約3.66%でk9%を大きく下回る。企業の持続可能な利益価値の上限1÷k=11.11倍より低い8.8倍を採用する。稼ぐ力1.3億円×8.8倍=11.44億円は純利益÷k=14.44億円より低く、資産売却による床約4億円より高い。弱い事業の収益力と売却可能資産の両方で支えられる範囲に限る。
確率:過去に長期間続いた低い営業利益率への回帰は具体的な実績に裏づけられる。販売価格の反転、借入金の金利上昇、運転手不足の組合せは十分ありうるため、やや悲観に厚い確率を与える。
悲観 12% 在庫評価損と借入負担で競争力を失う 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 167 円4 億円
中古商用車の価格が下がる中で、同社は高い価格で仕入れた車両を抱える。販売台数は450台に落ち込み、売れ残りを減らすための値引きが恒常化する。海外販売も輸入規制、為替を動かさない前提での現地需要悪化、排出ガス基準の厳格化によって伸びない。競合がデジタル査定と広い調達網を使って在庫回転を高める一方、TRUCK-ONEは調達力と販売先の両方を失う。
レンタルでは稼働率が低下し、車両の売却価格も下がる。整備顧客は他店へ流れ、運送子会社では荷量減少と賃金上昇によって赤字が出る。売上の縮小に対して人員や施設の費用はすぐに減らせず、営業損失が続く。銀行借入の条件も厳しくなり、仕入れ能力そのものが低下する。
10年間の途中には在庫の評価損と固定資産の減損が重なり、利益剰余金と自己資本を大きく減らす。会社は主要資産を処分して規模を縮小し、配当も初期の少額を除いて停止する。2035年には連続的な赤字を抱えるが、残る車両、土地、債権の処分可能価値が全く消えるわけではない。事業の利益に価値を与えず、債務を控除した売却可能資産を中心に評価する。
- 中古商用車販売・輸出:数量 450(年間販売台数(台、国内・海外の合計))× 価格 0.08(販売車両1台当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 −1 億円。450台、平均800万円。仕入れ相場の下落、評価損、値引きにより販売事業は赤字。
- 商用車レンタル・リース:数量 55.0(年間稼働車両換算(台年、通年稼働に直した数量))× 価格 0.04(稼働1台年当たり平均レンタル・リース売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。55台年、年間430万円。遊休車両と固定償却費が利益を圧迫。
- 車検・整備・改造:数量 400(年間有償整備案件数(件、推定))× 価格 0.00(整備1案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。400件、平均22.1万円。顧客流出で低採算の仕事しか残らない。
- 一般貨物・食品・燃料輸送:数量 32.0(年間稼働車両換算(台年、推定))× 価格 0.18(稼働車両1台年当たり輸送収入(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。32台年、年間1800万円。荷量不足と人件費負担により赤字。
倍率:営業赤字、最終赤字のためPERを使わない。2035年には在庫評価損などによって自己資本が8億円まで減少する筋書きであり、その0.5倍に相当する4億円を価値とする。これは過去の市場PBRの底値ではない。2025年の資産を保守的に売却し全負債と処分費を控除した約4億円の回収可能額を裏づけとする。
確率:中古車相場の下落と銀行融資の引き締まりが同時に起きる場合。2008年、2012年の赤字実績と現在の大きな在庫・純負債を踏まえ、構造的な負けを無視できない確率で見る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
中古商用車販売・輸出
トラック、ダンプ、冷凍車、特殊車両の買取・整備・再販売とSUN AUTOによる海外販売。会社開示の商用車関連事業から分析上切り分けた内訳。
| 数量年間販売台数(台、国内・海外の合計) | 価格販売車両1台当たり平均売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 900 | 0.07 | 65 | 3 |
| 10 年後 中立 | 850 | 0.10 | 83 | 3 |
取り方:会社が開示する2025年商用車関連事業の売上71.25472億円から、レンタル4.0億円、整備2.25億円という分析上の推定額を控除して65.0億円とした。販売台数は未開示のため、公開在庫約290台(https://www.truck-one.com/trucklist/)と専門店の在庫回転を参考に年間約900台と仮定。単価は65億円÷900台=722万円と逆算した。2025年末の商品在庫33.57億円と売上65億円の関係から、平均在庫回転は年1.94回、在庫約290台に対する販売900台は年3.1回に相当するが、車両構成と在庫計上範囲が異なるので完全には一致しない。輸出売上約4.67億円も含む。会社が900台や販売単価722万円を開示したわけではなく、シナリオの感応度を測る推定である。2025年の営業利益3.10億円は商用車関連の実際の利益4.67億円からレンタルと整備の推定利益を引いた仮置き。2026年上期の販売台数前年割れという事実を数量見通しの制約にした。
商用車レンタル・リース
主に冷凍冷蔵車、ウイング車、塵芥車などを短期・長期で貸し出す事業。使用後の車両を中古車として販売する経路も持つ。
| 数量年間稼働車両換算(台年、通年稼働に直した数量) | 価格稼働1台年当たり平均レンタル・リース売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.04 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.05 | 6 | 1 |
取り方:2025年のレンタル・リース事業単独の売上、契約台数、稼働率は未開示。2025年末のレンタル用資産は取得原価約11.0億円、償却後簿価約4.74億円であり、当年の車両追加は25台と有報にある。車両取得額の水準と公開料金表から通年稼働換算100台、1台当たり年間400万円の売上を仮定した。公開月額料金は2トン冷凍車26.4万円、4トン冷凍車46.2万円で、いずれも税込み(https://www.truck-one.com/refrigerator/)。400万円は稼働率と車格の混合を反映する分析上の平均であり、開示された平均単価ではない。売上4.0億円と営業利益0.95億円も商用車関連事業内の仮配分である。2025年の全社償却費約3.24億円、レンタル車の耐用年数2~5年を考慮し、2035年中立の償却費は会社全体で約4.1億円を想定する。既存車両の償却額を物価で膨らませず、更新車両の取得価格上昇だけを追加償却に反映する。
車検・整備・改造
販売後の車検、修理、板金、塗装、仕様変更など。自社の整備拠点を利用したサービス。
| 数量年間有償整備案件数(件、推定) | 価格整備1案件当たり平均売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 900 | 0.00 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,000 | 0.00 | 3 | 1 |
取り方:整備売上と案件数は単独開示されていない。全国の整備・販売拠点、約900台という推定年間販売台数、既存顧客の車検・修理需要から、有償整備を年間900案件、1案件平均25万円と仮定した。25万円は大型車の重整備と小修理を合わせた平均の仮説であり、会社が示す整備実績や市場統計ではない。2.25億円と利益0.62億円を商用車関連の推定内訳として扱い、販売65億円、レンタル4億円との合計が実績売上71.25億円、推定利益の合計が実績営業利益4.67億円になるよう整合させた。整備価格の伸びは人件費と部品費の上昇を主因とし、案件数の伸びは販売顧客の維持と工場稼働の改善が根拠になる。
一般貨物・食品・燃料輸送
子会社T.L.Gと丸進運油による貨物運送、食品物流、燃料輸送など。中古車販売とは異なる運賃収入の事業。
| 数量年間稼働車両換算(台年、推定) | 価格稼働車両1台年当たり輸送収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 50.0 | 0.17 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 48.0 | 0.22 | 11 | 1 |
取り方:2025年の運送関連事業の売上は実績8.4859億円、営業利益は0.8421億円。輸送トン数、走行距離、実稼働車両数は未開示である。子会社の従業員構成と一般貨物・燃料輸送の事業形態を踏まえ、年間50台年相当の車両稼働を仮定し、1台年当たり売上を1698万円とした。車両台数と単価は会社開示の実数ではない。国内トラック運送市場は約20兆円規模であり、当社の全国売上シェアは概算0.005%未満となる。輸送量は実質の稼働能力、価格は名目運賃として分離し、人件費と燃料費の価格転嫁を営業利益率に反映する。
リスクと懸念
商品車両の在庫評価損と換金性
2025年末の商品車両在庫は約33.6億円で、自己資本約15.5億円の2倍を超える。在庫が高値で仕入れた車両に偏れば、中古車相場の15%の下落だけでも約5億円の評価損要因となる。車種、年式、排出ガス規制への適合状況によって売りやすさも異なる。販売価格だけでなく在庫回転日数、在庫に対する引当て、営業キャッシュフローを併せて見る必要がある。
借入金の借り換えと金利上昇
2025年末の純有利子負債は約27.2億円で、時価総額より大きい。借入金の条件は今後の金利上昇に伴って変わる。新しい借入金利が3.5%程度になれば、2025年の利息実績に比べ税前利益を約1億円押し下げる可能性がある。2026年上期にも短期借入金は増えているため、単なる金利上昇だけでなく融資枠そのものの維持が重要になる。
販売価格と車種構成への依存
2025年の利益改善には新車価格と中古車価格の上昇が寄与した。2026年上期には販売台数が前年を下回る一方、中型・大型車の販売構成改善で増収増益となった。高単価車を扱う能力は評価できるが、販売台数の構造的な成長とは区別したい。中古相場の反転、仕入れ競争、大型車需要の鈍化が重なると、売上と利益率が同時に下がりうる。
レンタル車両の更新投資と償却負担
冷凍車などのレンタル資産には継続的な更新投資が要る。2025年には車両を25台追加しており、帳簿上の耐用年数は主に2~5年である。古い車両の減価償却は取得時の価格で続く一方、これから取得する車両には新しい高い価格が適用される。営業利益が保たれても現金支出が増える可能性があり、更新投資を減価償却費と分けて監視する必要がある。
輸送の人手不足と運賃転嫁の遅れ
運送子会社は燃料費、車両費、運転手の人件費を負担し、荷主から運賃を受け取る。2025年には一部の価格転嫁が収益改善につながったが、将来も同じ交渉力を保てるとは限らない。運転手不足で稼働車両数が減れば、値上げをしても売上が伸びない。荷量の減少時には車両と設備の固定費が残るため、輸送事業の利益率は大きく下がりうる。
AIによる査定の透明化と販売店間の競争
同社の主力は現物のトラックと整備であり、人月や業務画面を売る事業ではないため、AIエージェントによる直接代替の指定類型には当たらない。ただしAI査定、オークションデータ分析、オンライン在庫検索が普及すれば、販売店ごとの情報差は縮む。競合がより少ない在庫と低い固定費で同じ車両を販売できるようになると、同社の売買差益と在庫回転率に圧力がかかる。
集中した株主構成と資本配分
上位10株主で約78.6%を保有し、少数株主が留保利益の使途を変えることは難しい。配当は増えているものの、2025年の配当性向は約7%と低い。今後も利益の大半を仕入れや車両購入に投じるなら、その投資が資本コストを超えることが株主価値の条件になる。会社は中期のROEや還元率の数字を約束しておらず、現金の戻り方を楽観し過ぎないことが必要だ。
今後の分かれ目
- 商用車関連事業の販売台数が増え、同時に棚卸資産回転が改善して営業キャッシュフローの黒字が続いたら
- 売上の増加が価格上昇だけでなく数量と資本効率の改善によると確認できる。中立の販売台数と営業利益率を引き上げ、やや楽観側の確率を増やす。
- 商品車両在庫が増え続け、純有利子負債が40億円を超えても営業キャッシュフローが黒字化しなければ
- 成長が現金を生まない構造と判断する。借入金の制約、在庫評価損の大きさを見直し、やや悲観と悲観の確率を引き上げる。
- 中古商用車の相場が下がっても商用車関連事業の営業利益率が5%以上で複数年維持されたら
- 車両価格の上昇だけでは説明できない仕入れ・整備・販売能力があると評価し、値決め力と長期利益の前提を上方修正する。
- レンタル用資産の稼働率と車両売却益が改善し、更新投資を差し引いた現金収支が継続して黒字になったら
- 自社で車両を貸し、使い終えた車を売る循環の優位が確認できる。レンタルと整備の利益率を引き上げ、追加資本に対する利益を再評価する。
- SUN AUTOの海外販売が大きく伸び、国内販売の減少を台数で補うようになったら
- 国内の人口減少に依存しない成長経路として評価する。ただし輸出先の国別数量、販売価格、回収条件を確認し、国内の利益率がそのまま海外で得られるとは仮定しない。
- 借入金の平均利率が想定より速く上がり、営業利益に対する利息負担が急増したら
- 金利負担による純利益の減少を反映する。とくに在庫回転の悪化が同時に起きた場合は、単なる利益率の調整でなく、悲観側の資産回収価値まで再点検する。
- 会社が定量的なROE目標や総還元性向を公表し、増配や自社株買いを実際に行ったら
- 少数株主への留保資金の戻り方を再評価する。投資額に対する利益を保ちながら還元が増えるなら、長期の配当・自社株買い総額を上方修正する。
見ておくもの
- 商用車関連事業の販売台数と中大型車・小型車・輸出の構成比。未開示の場合は会社の決算説明文と海外売上を継続確認する。
- 商品車両の棚卸資産残高、売上原価との比率、車両の在庫回転日数、評価損の計上状況。
- 営業キャッシュフロー、設備取得支出、借入金の増減、現金残高を通年と半期で追う。
- 商用車関連事業と運送関連事業の営業利益率を別々に確認する。
- レンタル用車両の取得・売却台数、償却費、稼働率、車両更新に伴う資本支出。
- 2026年8月修正後の通期計画の達成状況と、2027年以降の販売数量の回復。
- 株主還元方針の定量化、配当性向、自社株買い、上位株主構成の変化。
- 中古貨物車の登録台数、新車価格、中古車オークション相場、競合の在庫台数と販売台数。
倍率と資本コストの決め方
株価792円と発行済自己株控除後239万8900株から基準時価総額は約19.0億円となるが、その水準から逆算して販売台数やPERを決めていない。2025年の開示された二つの報告セグメントを基に、販売、レンタル、整備、運送の四つの数量と価格へ分けた。内訳数量の未開示部分は公開在庫、レンタル料金、固定資産を参照した明示的な推定であり、開示実績と混同しない。資本コストは9%、2035年以降の名目成長率は2.5%。楽観とやや楽観のPERはROE、RONIC、資本コスト、長期成長率から求め、中立はROEが資本コスト以下なので1÷kを上限とした。悲観は過去の市場PBRではなく債務控除後の換金可能資産で支えた。2027年4月以降開始年度に適用される新リース会計による資産・負債の表示変更は、運送・拠点賃借の固定的な支払いを見落とさないよう、現在と比較可能な費用構造で考えた。中立の利益が2025年の最高益を上回らないのは、車両相場の平常化と借り換え金利の上昇による。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、事業の値決め力と借金の質による1.5%を加えた。個別の経営判断や株主構成の危うさは追加の資本コストにせず、筋書きと確率に織り込んだ。