結論
内外テックは、半導体製造装置メーカーに部品と機器を納める専門商社だ。装置の組立、保守、高真空分野の自社製品、精密加工も手がける。売上の 7〜8 割は東京エレクトロン向けで、顧客の工程に深く入り込んでいる。2026 年 3 月期の売上は 326 億円、営業利益は 14 億円(利益率 4.3%)。純現金を 54 億円持ち、自己資本比率は 51% だ。
会社は 2030 年度に売上 500 億円以上・営業利益率 7%・ROE 12.5% を掲げる。売上は、2027 年 3 月期の予想を 406 億円から 509 億円に引き上げており、目標をすでに超える勢いだ。足りないのは利益率で、会社自身が「既存モデルでは 5% が限界」と認める。筆者は、利益で測った本質価値を今の時価総額の約 6 割と見る。
今期(2027 年 3 月期)の第 1 四半期は、純利益が前年同期の 7.9 倍になった。利益は急回復の局面にある。ただ、回復の先に利益率が 7% へ伸びる根拠は、会社の資料には薄い。
バリュー投資の観点から
この会社は、質の良い地味な会社とは言いにくい。商売の本質は、顧客の求める部品を集めて納めることと、装置の組立を請け負うことだ。顧客が値段を決め、顧客の投資の波に利益が従う。ROE は過去 10 年の中央値で 9.0%、資本コスト 8.25% を下回る年が多い。
資本の使い方にも課題がある。純現金は時価総額の 3 割に当たるが、運転資金と成長投資の原資に回る方針で、株主に戻る道筋はまだ細い。会社は DOE 3% の配当を掲げた点は評価できる。
安全域は、純現金と 7〜8 割の主要顧客との関係だ。筆者は、利益で測った本質価値を今の時価総額の約 6 割と見て、割高とする。仙台の新工場と保守事業が利益率を押し上げるなら、評価は上がる。
配当を DOE で下支えする点は、少数株主にとって悪くない。それでも資本コストを上回れない現状では、会社が内部にためる利益より、株主に戻す利益のほうが価値が高い。
何で稼ぐ会社か
内外テックは、半導体製造装置の前工程で使う部品と機器を、1,500 社ほどの仕入先から集めて装置メーカーに納める会社だ。取引はおよそ 30 年に及ぶ。事業は五つに分かれる。販売(SS)、受託組立(MS)、メンテナンスサポート(FS)、製品・技術開発(TS)、精密加工(PS)だ。売上の大半は販売事業だが、利益率が厚いのは組立・保守・開発の側にある。
売上の 7〜8 割は東京エレクトロン向けだ。単なる部品の仲介ではなく、装置の組立を請け負い、納入後の修理も担う。会長の権田浩一氏は「高真空分野のナンバーワン」を掲げ、国内の精密加工メーカーの買収に意欲を示してきた。仙台周辺に開発センターと工場を増やし、2026 年度には仙台に新工場(仮称・第二工場)と開発センター、実証拠点「PhysicalFab」を新設する。
収益の中身は、販売が薄く、組立・保守・開発が厚い二層になっている。会社は、高粗利事業の比率を上げて利益率を 4.3% から 7% に引き上げる計画だ。AI を使った調達の最適化で、調達コストを 3 割下げるとも掲げる。ただ、この数字は計画の言葉であり、実績ではない。
優良さと弱いところ
強みは二つある。一つは、仕入先 1,500 社の網と 30 年の取引で、顧客の調達・組立・保守に入り込んでいることだ。装置の組立技術と 4,000 件ほどの修理履歴は、新規の商社にはすぐ真似できない。もう一つは、純現金 54 億円で、調整局面を耐える体力があることだ。
弱みははっきりしている。売上の 7〜8 割が 1 社で、値段も数量も顧客の都合で決まる。営業利益率は過去 12 年で 2〜6% に収まり、会社も「既存モデルでは 5% が限界」と認める。計画の信頼性も低い。前の中期経営計画は、2026 年 3 月期の売上目標が 600 億円だったが、448 億円に直した後、実績は 326 億円にとどまった。堀は浅い。堀が深くなるかは、組立と保守の比率が上がるかで決まる。
株主数は 3,557 名で、前期末より 128 名減った。大株主の上位 3 位は権田姓の個人だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
内外テックの業績は、半導体製造装置の投資サイクルに連動する。会社は、半導体市場が 2030 年に 1 兆ドルを超え、年平均 8% で伸びると見る。装置市場は 2027 年に 1,560 億ドルへ、年平均 10% で伸びる想定だ。さらに、フィジカル AI(ロボットなど)の市場を年平均 47% の成長市場として取り込もうとしている。
筆者は、この予測の多くが名目で、しかも谷から山への回復の勢いを含むと見る。長い目では、装置市場は名目で年 7% 前後、物価 3% を除いて実質 4% 台と置く。10 年で 1.5 倍強だ。会社自身が「半導体市場は年 20〜30% の変動が常態」と書いている。実際、売上は 2023 年 3 月期の 453 億円から 2026 年 3 月期の 326 億円まで 3 割落ちた。利益の水準は山の年でなく、均した年で測る。
業界全体では、装置メーカーが取引する商社を絞る動きと、商社同士の統合が進む。小型の独立系は、特定の顧客から外れるリスクを常に抱える。
筆者は、10 年後の取扱額を実質で 1.5 倍強と置き、需要が伸びる局面でも利益率は 5% 前後にとどまると見る。
資本政策と M&A
還元の方針は、配当性向 30% 以上と、株主資本配当率(DOE)3% 以上だ。従来の性向 25% から引き上げた。2026 年 3 月期の配当は総額約 3.7 億円(性向 38%)で、DOE の下限がほぼそのまま効いている。自社株は 5.5 万株(発行済みの 1.5%)を持つが、大きな買い入れの方針は見当たらない。
資金の使い道は、仙台第二工場の新設、大衡工場の増床、仙台開発センターの新設と、2027 年度に予定する M&A だ。純現金 54 億円はその原資になる。ROE は 7.6% で資本コストの 10% を下回る。会社は PBR 0.63 倍を 1 倍以上に、ROE を 12.5% に上げると明言した。上げる手段は、利益率の改善と、借入の活用(財務レバレッジ)、M&A による事業規模の拡大だ。大株主は権田浩一氏の約 10% で、権田姓の個人 3 名を合わせて約 19% になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AI 向けの半導体投資は、10 年続く構造的な需要だ。データセンター向けの高帯域メモリと先端ロジックの工場が世界で建ち、装置の台数は増え続ける。内外テックは、その装置を組み立てる最大顧客の工程に 30 年入り込んでおり、仙台第二工場と大衡工場の増設で、需要を取り込める態勢が整う。
利益率が上がる理由もある。組立と保守は部品販売より粗利が厚く、会社は構成比を上げる。ロボットによる組立の自動化(フィジカル AI)は、人手の不足を補い、収益性を高める。2027 年 3 月期の会社予想は 509 億円で、すでに 2030 年度の売上目標を超え、営業利益は前期の 1.8 倍の 25.6 億円だ。10 年後に売上 900 億円、営業利益率 5.7%、純利益 36 億円は届く範囲にある。純現金 54 億円は M&A の弾にもなる。
会社は 2030 年度に利益率 7% を掲げた。仮に 6% でも、売上 900 億円で営業利益は 54 億円だ。
慎重な見方
売上の 7〜8 割が 1 社という構造は、10 年で最も大きな不確実性だ。顧客が調達先を絞る、組立を自動化して内製する、あるいは調達を統合する。どれが起きても、内外テックは取り次ぎの役割を失う。しかも会社の計画は当たらない。前の計画では、売上 600 億円の目標に対し、実績は 326 億円だった。
利益率は 12 年で最高が 5.7%、会社も 5% が限界と言う。それなのに仙台に新工場を建て、償却と人件費の固定費が先に出ていく。ROE は 10 年の中央値が 9.0% で、資本コスト 8.25% を満たした年は 12 年で 6 回、直近 3 期は一度もない。配当は DOE 3% を守るため、利益が落ちても減らしにくく、純現金は少しずつ減る。さらに M&A が高値づかみに終われば、純現金も失う。会社の目標の ROE 12.5% は、利益率が 7% に届いて初めて成り立つが、その根拠は薄い。
そもそも、会社の 2030 年度の利益率 7% は、2026 年 3 月期の 4.3% から 5 年で 2.7 ポイント上げる話だ。過去 12 年で最高の年でも 5.7% である。売上が 500 億円を超えても、7% には届かない可能性が高い。
どちらに重みを置いたか
回復の方向は強気の見方が正しい。装置市場は実質で伸び、売上は 10 年で 2 倍になる。ただ、戻った先の利益率は 5% 前後で、ROE は 8〜9% にとどまり、資本コスト 8.25% を下回る。この水準では、ためた利益は額面未満の価値しかなく、倍率は 8.5 倍にとどまる。顧客が 1 社に偏る点と、悲観の深さから、確率は慎重な見方に少し寄せた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 7,373 円258 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,698 円59 億円)。 今の値に割り戻すと 4,479 円157 億円、今との差 −3.2%、 期待の年率 +7.0%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 14,364 円503 億円 | 2,317 円81 億円 | +260.7% | +13.7% | 1,668 円58 億円 |
| やや楽観 | 22% | 10,637 円373 億円 | 1,966 円69 億円 | +172.5% | +10.5% | 2,773 円97 億円 |
| 中立 | 34% | 8,257 円289 億円 | 1,752 円61 億円 | +116.4% | +8.0% | 3,403 円119 億円 |
| やや悲観 | 22% | 2,811 円99 億円 | 1,521 円53 億円 | −6.3% | −0.7% | 953 円33 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,427 円50 億円 | 856 円30 億円 | −50.6% | −6.8% | 274 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 7,373 円258 億円 | 1,698 円59 億円 | +96.1% | +7.0% | 9,071 円318 億円 |
今の株価時価総額 4,625 円162 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:AI 投資が続き、新工場が埋まり、利益率が山に並ぶ 利益 36 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 14,364 円503 億円
AI 向けの半導体投資が 10 年続き、装置市場は実質で今の 1.7 倍近くに育つ。内外テックは取扱シェアも上げ、販売の取扱額は 2 倍になる。物価の上昇は部品の値段に乗り、単価は 1.34 倍になる。
受託組立と保守は、仙台第二工場と大衡工場の増設が埋まり、数量が 2.6 倍に伸びる。フィジカル AI(ロボットで装置の組立を自動化する計画)が当たり、人手の組立より利益率が上がる。受託側の利益率は 12%、販売側は 4.3% になる。
売上は約 911 億円、営業利益は約 52 億円(利益率 5.7%)。会社が掲げる「2030 年度に売上 500 億円以上・利益率 7%」の売上は大きく超えるが、利益率は届かない。利益率は過去 12 年の山(5.7%)に並ぶ。
- 販売事業(半導体製造装置向けの部品・機器の調達と納入):数量 3.7(取扱額(億ドル、実質)= 世界の半導体製造装置市場(約 1,200 億ドル)× 取扱シェア(約 0.16%))× 価格 1.34(仕入・販売単価の指数(今 1.0。名目。円換算の 150 円/ドルは売上換算の係数に入れた))→ 売上 750 億円・営業利益 32 億円。取扱額 2.0 倍・単価 1.34 倍、利益率 4.3%
- 受託組立・メンテナンス・製品開発・精密加工(MS・FS・TS・PS 事業):数量 120(対象市場の実質規模(億円)× シェア)× 価格 134(値段の指数(今 100。名目))→ 売上 160 億円・営業利益 19 億円。数量 2.6 倍・単価 1.34 倍、利益率 12%(仙台第二工場・大衡工場が稼働)
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 13.98 倍、時価総額 503 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI 向け投資が続き、新工場の増設が埋まり、自動化が当たる上振れ。会社の 2026 年度の予想(売上 509 億円・営業利益 25.6 億円)が追い風だが、会社の目標を達成できなかった実績(前の中期経営計画の売上目標 600 億円が 448 億円、実績 326 億円)を重く見て 1 割にとどめた。
やや楽観 22% やや楽観:装置市場が回復し、売上が会社の目標を超える 利益 28 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 10,637 円373 億円
装置市場は順調に伸びるが、2 度の調整局面を挟む。販売の取扱額は 1.75 倍、受託側の数量は 2.1 倍になる。部品の値段は物価並みの 1.34 倍に近づく。
新工場は予定どおり稼働するが、フィジカル AI による自動化は一部の工程にとどまる。受託側の利益率は 11%、販売側は 4.0% で、全社で 5.2% になる。
利益が厚いのは受託・保守側で、売上に占める比率が 14% から 16% に上がる混ぜ方の変化が、全社の利益率を押し上げる。販売側は、部品の調達で仕入先の絞り込みが進み、値引き競争が和らぐ。償却費は新工場の分だけ新しい値段で足され、今ある設備の分は据え置かれる。
売上は約 786 億円、営業利益は約 40 億円。会社の目標の売上 500 億円は上回り、利益率 7% は遠い。
- 販売事業(半導体製造装置向けの部品・機器の調達と納入):数量 3.3(取扱額(億ドル、実質)= 世界の半導体製造装置市場(約 1,200 億ドル)× 取扱シェア(約 0.16%))× 価格 1.34(仕入・販売単価の指数(今 1.0。名目。円換算の 150 円/ドルは売上換算の係数に入れた))→ 売上 657 億円・営業利益 26 億円。取扱額 1.75 倍・単価 1.34 倍、利益率 4.0%
- 受託組立・メンテナンス・製品開発・精密加工(MS・FS・TS・PS 事業):数量 96.6(対象市場の実質規模(億円)× シェア)× 価格 134(値段の指数(今 100。名目))→ 売上 129 億円・営業利益 14 億円。数量 2.1 倍・単価 1.34 倍、利益率 11%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.17 倍、時価総額 373 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:装置市場の回復が続き、売上が会社の 2030 年度目標(500 億円)を上回る筋書き。2027 年 3 月期の予想引き上げ(期初 406 億円から 509 億円)が土台にある。
中立 34% 中立:装置市場は実質で伸びるが、利益率は 5% 前後にとどまる 利益 23 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 8,257 円289 億円
装置市場は実質で年 4〜5% 伸び、販売の取扱額は今の 1.55 倍になる。会社が引く市場予測(装置市場の年平均 10% 成長)は名目で、物価の分が混ざる。数量の側では、その半分ほどが実質の伸びと見る。調達する部品の値段は物価並みに上がり、顧客との価格改定の遅れはあっても、単価は 1.34 倍に近づく。
受託・保守の数量は 1.8 倍になる。今の利益率は、売上が 2023 年 3 月期の 453 億円から 3 割減った谷の水準で、固定費が重い。数量が戻れば販売側は 3.7% まで戻る。受託側は、新工場の償却と人件費の上昇で今の約 11% をやや下回り、10.5% になる。償却費は、今ある設備の分が据え置かれ、新工場(仙台第二・大衡・仙台開発センター)の分だけ新しい建築費で足される。10 年で売上が 2 倍になる中、償却費の比率は今とほぼ変わらない。
売上は約 693 億円、営業利益は約 33 億円(利益率 4.8%)。会社の言う「既存モデルでは営業利益率 5% が限界」と整合する。2030 年度の目標(売上 500 億円以上・利益率 7%)は、売上は超え、利益率は届かない。
- 販売事業(半導体製造装置向けの部品・機器の調達と納入):数量 2.9(取扱額(億ドル、実質)= 世界の半導体製造装置市場(約 1,200 億ドル)× 取扱シェア(約 0.16%))× 価格 1.34(仕入・販売単価の指数(今 1.0。名目。円換算の 150 円/ドルは売上換算の係数に入れた))→ 売上 582 億円・営業利益 22 億円。取扱額 1.55 倍(装置市場は実質で年 4〜5%)・単価 1.34 倍、利益率 3.7%
- 受託組立・メンテナンス・製品開発・精密加工(MS・FS・TS・PS 事業):数量 82.8(対象市場の実質規模(億円)× シェア)× 価格 134(値段の指数(今 100。名目))→ 売上 111 億円・営業利益 12 億円。数量 1.8 倍・単価 1.34 倍、利益率 10.5%(新工場の償却と人件費の上昇で今の約 11% をやや下回る)
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.47 倍、時価総額 289 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:装置市場が実質で伸び、利益率は 5% 前後にとどまる最も起きやすい姿。会社自身が「既存モデルでは営業利益率 5% が限界」と認め、過去 12 年の最高は 5.7% だった。
やや悲観 22% やや悲観:調整が長引き、増設の固定費が重荷になる 利益 14 億円 · PER 7.3 倍 · 株価時価総額 2,811 円99 億円
装置投資の調整が長引き、増設した工場の稼働が上がらない。販売の取扱額は 1.2 倍、受託側の数量は 1.3 倍にとどまる。顧客に値上げを受け入れてもらう交渉が遅れ、単価は 1.30 倍にとどまる。
新工場の償却と人件費は先に出ていくため、固定費が利益を圧迫する。販売側の利益率は 3.0%、受託側は 8% に落ち、全社で 3.8% になる。2024 年 3 月期(3.1%)に近い水準が常態化する。
売上は約 514 億円、営業利益は約 19 億円(利益率 3.8%)。M&A で買った会社の統合も遅れる。
- 販売事業(半導体製造装置向けの部品・機器の調達と納入):数量 2.2(取扱額(億ドル、実質)= 世界の半導体製造装置市場(約 1,200 億ドル)× 取扱シェア(約 0.16%))× 価格 1.30(仕入・販売単価の指数(今 1.0。名目。円換算の 150 円/ドルは売上換算の係数に入れた))→ 売上 437 億円・営業利益 13 億円。取扱額 1.2 倍・単価 1.30 倍(転嫁が遅れる)、利益率 3.0%
- 受託組立・メンテナンス・製品開発・精密加工(MS・FS・TS・PS 事業):数量 59.8(対象市場の実質規模(億円)× シェア)× 価格 130(値段の指数(今 100。名目))→ 売上 78 億円・営業利益 6 億円。数量 1.3 倍・単価 1.30 倍、利益率 8%
倍率:事業の ROE は約 6.2% と低い。利益が薄く、固定費の重さで下振れしやすいので、1÷k=10 倍の 73% の 7.3 倍に置いた。
確率:回復が続かず、固定費の重い新工場が重荷になる筋書き。過去 12 年で営業利益率が 3.5% を割った年が 5 回(2024 年 3 月期ほか)ある。
悲観 12% 悲観:主要顧客が調達を絞り、取り次ぎの役割を失う 利益 3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,427 円50 億円
構造的に負ける筋書き。主要顧客が調達を見直し、部品の仕入先の絞り込みと直接取引を進める。内外テックは取り次ぎの役割を失い、販売の取扱額は今の 0.75 倍、単価は 1.15 倍にとどまる。
受託の組立はロボットによる自動化が顧客の側に取り込まれ、外注が減る。新工場は稼働が上がらず、在庫と設備に減損が出る。受託側の利益率は 3%、販売側は 1.5% に落ちる。物価で上がる人件費は転嫁できない。
売上は約 286 億円、営業利益は約 5 億円。配当は DOE 3% の方針を守れず減る。価値は稼ぐ力ではなく、純現金で支えられる。
- 販売事業(半導体製造装置向けの部品・機器の調達と納入):数量 1.4(取扱額(億ドル、実質)= 世界の半導体製造装置市場(約 1,200 億ドル)× 取扱シェア(約 0.16%))× 価格 1.15(仕入・販売単価の指数(今 1.0。名目。円換算の 150 円/ドルは売上換算の係数に入れた))→ 売上 242 億円・営業利益 4 億円。主要顧客の調達見直しで取扱額 0.75 倍・単価 1.15 倍、利益率 1.5%
- 受託組立・メンテナンス・製品開発・精密加工(MS・FS・TS・PS 事業):数量 36.8(対象市場の実質規模(億円)× シェア)× 価格 120(値段の指数(今 100。名目))→ 売上 44 億円・営業利益 1 億円。組立の内製化と自動化で数量 0.8 倍・単価 1.2 倍、利益率 3%
倍率:稼ぐ力はほぼ消え、価値は純現金で測る。純現金 約 54.5 億円から、預り金・前受金の額を開示で確かめていない分と、現金の戻り方の不確かさを見て約 1 割を引いた 50 億円(floor_assets_oku)。今の自己資本 127.6 億円に対する PBR にして 0.39 倍。ためた利益や工場の価値は、顧客を失った内外テックには残らないと見て、売れる額は足していない。
確率:主要顧客(売上の 7〜8 割)が調達と組立を内製・集約する筋書き。業界ノートの標準(悲観は商権の消失)を、顧客が 1 社に偏るこの会社に当てはめ、12% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
販売事業(半導体製造装置向けの部品・機器の調達と納入)
東京エレクトロンなどの半導体製造装置メーカーが使う真空・空圧・電装などの部品や機器を、1,500 社ほどの仕入先から集めて納める。売上の大半を占める本業。
| 数量取扱額(億ドル、実質)= 世界の半導体製造装置市場(約 1,200 億ドル)× 取扱シェア(約 0.16%) | 価格仕入・販売単価の指数(今 1.0。名目。円換算の 150 円/ドルは売上換算の係数に入れた) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.9 | 1.00 | 280 | 9 |
| 10 年後 中立 | 2.9 | 1.34 | 582 | 22 |
取り方:事業区分別の今期の数字は取れていない。2023/03 期は販売事業 413 億円・受託製造 74 億円で、販売が約 85% だった。この比率を 2026/03 期の売上 326 億円に当てて、販売を約 280 億円と推定。世界の半導体製造装置市場(SEMI の予測を踏まえ約 1,200 億ドルと置く)のうち、取扱シェアは約 0.16%(1.87 億ドル、1 ドル 150 円で 280 億円)。営業利益は、会社が「高粗利事業は技術開発・フィールドソリューション」と述べていることから、販売の利益率を約 3.1%、受託・保守側を約 11% と按分した推定。
受託組立・メンテナンス・製品開発・精密加工(MS・FS・TS・PS 事業)
装置の組立と据え付けを請け負い、修理・保守を行い、高真空分野の自社製品を開発し、精密加工も手がける。販売より利益率が厚い。会社はこれを広げて、利益率を上げようとしている。
| 数量対象市場の実質規模(億円)× シェア | 価格値段の指数(今 100。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 46.0 | 100 | 46 | 5 |
| 10 年後 中立 | 82.8 | 134 | 111 | 12 |
取り方:2023/03 期の受託製造は 74 億円だったが、半導体装置の在庫調整で下がったと見て、2026/03 期は約 46 億円と推定(残りは販売事業)。受託・保守・開発は、顧客の装置の稼働台数や修理件数に連動する。対象市場(国内の半導体製造装置の組立・保守の外注)は開示がなく、推定で約 2,000 億円と置き、シェアは約 2.3%。営業利益は約 5.2 億円(利益率約 11%)と按分した推定。
リスクと懸念
主要顧客への集中
売上の 7〜8 割が東京エレクトロン向けだ。調達先の絞り込みや、組立の内製化が進めば、売上と利益が同時に落ちる。部品の値段も数量も顧客が決める。
装置投資の循環
半導体市場は年 20〜30% の変動が常態だと、会社自身が述べる。2023 年 3 月期から 2026 年 3 月期にかけて、売上は 453 億円から 326 億円へ 3 割落ちた。在庫の評価損も出る。
計画が当たらない
前の中期経営計画の売上目標は 600 億円から 448 億円へ修正され、実績は 326 億円だった。新計画は、中間年度の目標を出さない方針に改めたが、2030 年度の利益率 7% の根拠は薄い。
新工場の固定費
仙台第二工場・大衡工場・仙台開発センターは、償却と人件費が先に出る。稼働が上がらなければ、利益率は 3% 台に戻る。建築費の上昇で、更新の投資も膨らむ。
M&A の失敗
高真空分野の精密加工メーカーの買収を、2027 年度に実行する計画だ。高値づかみや統合の遅れで、純現金を失う恐れがある。
技術者の確保
組立と保守は人が稼ぐ。会社は AI 人財 300 名の育成を掲げるが、採用が追いつかなければ数量が伸びない。人件費は物価で上がる。
創業家が大株主
権田姓の個人 3 名を合わせて約 19% を持つ。少数株主に不利な資本政策が採られにくい面もあるが、純現金の使い道を決めるのは経営側だ。
今後の分かれ目
- 東京エレクトロン以外の装置メーカーとの取引が、売上の 3 割を超えたら
- 顧客集中の筋書き(悲観)の確率を下げる。quality の「寿命」を下げる根拠になる。
- 受託組立・保守・開発の売上が、全社の 2 割を超えたら
- 利益率が 5% を超える筋書き(楽観側)の確率を上げる。
- 仙台第二工場の稼働が遅れ、償却が先に出ているのに受注が伸びなければ
- やや悲観の確率を上げる。
- 高真空分野の精密加工メーカーの買収を、売上の 1 割以上の規模で発表したら
- のれんと純現金の減りを織り込み、買収価格が利益の 12 倍を超えるなら悲観側の確率を上げる。
- 配当性向を 30% から引き上げる、または自社株買いを発表したら
- 純現金が株主に戻る道筋が見えたとして、余った現金を分ける評価に切り替える。
- 装置メーカーが商社の絞り込みを発表し、内外テックが外れたら
- 悲観の確率を引き上げる。
見ておくもの
- 四半期の営業利益率(会社予想の通期 5.0%)と、受託・保守の比率
- 主要顧客以外の売上の割合と、新規顧客の獲得
- 仙台第二工場・大衡工場の稼働と、償却費の増え方
- 買収の発表と、純現金の水準(今は 54 億円)
- 配当性向・DOE の実績と、自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価(PER 約 18 倍・PBR 1.4 倍)から置いていない。事業の ROE は中立で 8〜9% と資本コスト 8.25% を下回るので、正当化 PER の上限は 1÷k の 10 倍で、中立は 85% の 8.5 倍に置いた。楽観のみ ROE が k を超え、式から約 10.5 倍。中立の営業利益率 4.8% は過去 12 年の山 5.7% より低い。会社の 2030 年度目標(利益率 7%)は筋書きの根拠に使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.8→13.98 倍・やや楽観 PER 9.2→13.17 倍・中立 PER 8.5→12.47 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5%+quality 2.5%=10.0%。同じ領域では、トーメンデバイス(10.2%、メモリ 1 社集中)に近く、東京エレクトロンデバイス(9.2%)・マクニカ(9.5%)より高い。顧客が 1 社に偏る点と時価総額 177 億円の小ささを値決めに入れた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.00% → 8.75%。