結論
日本プリメックスは、駐輪場の精算機、ガソリンスタンド、病院の受付、飲食店の券売機などに組み込まれる小さなプリンタを売る専門の会社だ。大手メーカーのプリンタを仕入れて客の機械に合わせて手を加え、子会社で自社の製品も作る。年の売上は 70 億円、営業利益は 5 億円前後で、借金はない。
筆者の結論は「ほぼ適正」だ。手元の現金と預金は 53 億円あり、時価総額とほぼ同じ額になる。事業も、店や施設の人手不足を補うセルフ化の流れに乗り、2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業利益がほぼ倍になった。それでも、創業家が株の過半を持ち、現金は配当と自社株買いで少しずつしか戻らない。紙の領収書が減る流れも、長い目では逆風になる。
強みは、数百社の機械メーカーの細かい注文に応え、長く部品を供給し続けてきたことだ。小さな市場で一番手を守ってきた堅実さはある。
筆者は、現金の厚さと事業の堅さで下値は堅いが、株主の取り分を大きく増やす力は弱いと見る。値段は、その両方をほぼ映している。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、日本プリメックスは「小さく堅い商売に、使い道のない現金が付いた会社」だ。機械メーカーの細かい注文に長く応える商売は、派手さはないが崩れにくい。12 年間、一度も赤字になっていない。
ただし、事業が稼ぐのは年 4〜5 億円で、成長も緩やかだ。そこに時価総額と同じ額の現金が付いている。その現金は、創業家が過半を持つ以上、少数株主が使い道を決められない。配当と自社株買いで少しずつ戻ってくるのを待つしかない。
筆者はオーナー利益、つまり株主が受け取れる利益を、現金の利息を除いて年 4 億円台と見る。資本コスト 7.25% で割り引いた事業の価値に、現金の 4 分の 3 を足すと、今の時価総額とほぼ並ぶ。下値は現金が支え、上値はセルフ化の伸びしだいだ。安全域はあるが、厚くはない。あとは経営の資本の使い方しだいだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、機械に組み込む小さなプリンタだ。2026 年 3 月期の売上 70 億円のうち、ケースに入ったミニプリンタが 35 億円と半分を占める。プリンタの心臓部だけを売るメカは 1.6 億円、プリンタにつなぐ関連商品が 12 億円、感熱紙などの消耗品が 6 億円ある。残りの 15 億円は、自動釣銭機、注文用のタブレット、読み取りの機械など、セルフ精算の周辺の機器だ。
客は精算機や券売機を作る数百社の機械メーカーで、その先に駐輪場、ガソリンスタンド、病院、飲食店、ホテル、小売の店がある。客の機械に合うよう、紙の幅、切り方、通信の方式などを細かく変えて納める。一度採用されると、その機械が作られ続ける限り同じプリンタが売れ、消耗品と修理の部品も続く。
売るものの多くは大手メーカーのプリンタを仕入れたものだが、子会社の日本プリンタエンジニアリングが自社の製品を開発・設計する。グループの資産を管理する会社も持つ。社員は 100 名ほどの小さな会社だ。
海外の販路も育てており、期末にかけて欧州向けが増えた。ドル建ての預金も 1,000 万ドル以上持つ。
優良さと弱いところ
小さな市場の中では、地位は堅い。機械メーカーにとって、プリンタは部品代の一部にすぎないが、止まれば機械全体が使えない。細かい仕様に合わせて長く供給してくれる相手を、値段だけで替えることは少ない。過去 12 年の営業利益率は 6〜9% で、赤字の年は一度もない。
弱さは、自分で値段を決める力が限られることだ。仕入れの多くは大手メーカーのプリンタで、メーカーが直接売り始めれば立場は弱まる。ROE は 5〜6% にとどまり、資本コストに届かない。事業そのものより、積み上がった現金と上場株が ROE を薄めている。
財務は極めて堅い。借金はなく、自己資本比率は 77% だ。創業家が過半を持つ安定した経営だが、その分、資本の使い方を変える圧力は外から届きにくい。小さな会社の堅実さは、変化の少ない市場でこそ生きる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
セルフ化の流れは追い風だ。店や施設は人手が足りず、注文、会計、受付を客自身に任せる機械を増やしている。飲食店の券売機とセルフオーダー、ホテルの自動チェックイン、病院の受付、駐輪場や駐車場の精算機は、どれも小さなプリンタを使う。キャッシュレスの決済が広がっても、利用明細や受付票、注文の控えを紙で出す場面は多く残る。
逆風は紙の需要の減少だ。電子のレシートやスマートフォンでの受付が広がれば、プリンタの出番は減る。とくに小売のレジでは、紙のレシートを出さない動きが進む。10 年でみれば、紙を使う場面の入れ替わりが続くと筆者は見る。
プリンタを作るメーカーは、セイコーインスツル、シチズン、スター精密、エプソンなどの大手だ。日本プリメックスはこれらの大手と競うというより、大手の製品を機械メーカーの細かい注文に合わせてつなぐ役を担う。大手が自ら細かい注文に応えるのは手間がかかるので、この役は残りやすい。
海外では、欧州やアジアでセルフ精算の機械が増えている。円安は輸出の追い風だが、仕入れのドル建ての値段も上げる。
資本政策と M&A
還元はしているが、現金の厚さに比べると控えめだ。2026 年 3 月期は配当で 1.3 億円、自社株買いで 0.8 億円を戻し、総還元は純利益の 5 割弱だった。
それでも現金と預金は 53 億円まで積み上がり、時価総額とほぼ同じ額になった。上場株も 16 億円持つ。
創業家の中川家が株の約 51% を持つ。経営は安定しているが、物言う株主が還元を迫る形にはなりにくい。大きな買収の実績もない。株主優待はない。
筆者は、還元の厚さが今の水準のままなら、現金の 4 分の 3 ほどが時間をかけて株主に戻ると見る。創業家の世代交代や事業の承継が、資本の使い方を変えるきっかけになりうる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
人手不足は 10 年続く追い風だ。飲食店のセルフオーダー、ホテルの自動チェックイン、病院の受付、駐輪場と駐車場の精算と、無人で動く機械はこれからも増える。そのほとんどが小さなプリンタを使う。2027 年 3 月期の第 1 四半期は売上が 16% 伸び、営業利益はほぼ倍になった。流れは数字に出ている。
海外も伸びしろがある。欧州向けが期末にかけて増え、販路づくりが実を結び始めた。セルフ精算の機械は欧州やアジアでも増えており、日本で磨いた細かい対応は海外でも通じる。
消耗品と修理の部品は、機械が動く限り売れ続ける。採用された機械が増えるほど、毎年の安定した収入が厚くなる。
資産の裏づけも大きい。現金と預金 53 億円、上場株 16 億円は、時価総額を上回る。総還元を少し厚くするだけで、株主の取り分は目に見えて増える。台数が 4 割増え、利益率が 9% 台に戻れば、純利益は倍になる。利益の柱が太れば、創業家も還元を厚くしやすくなる。
慎重な見方
紙を使う場面は確実に減っていく。小売のレジでは電子のレシートが広がり、病院の受付もスマートフォンへ移る。セルフ化で機械の数が増えても、1 台あたり紙を出す回数は減る。10 年先にプリンタを使わない精算機が当たり前になる可能性はある。
仕入れの立場も弱い。売るものの多くは大手メーカーのプリンタで、メーカーが機械メーカーへ直接売り始めれば、日本プリメックスの役は細る。円安で仕入れの値段が上がっても、客の機械メーカーにすぐ転嫁できるとは限らない。2026 年 3 月期は売上が横ばいで、営業利益は 1 割減った。
現金が厚くても、株主のものになるとは限らない。創業家が過半を持ち、現金は 10 年かけて積み上がってきた。総還元は純利益の 5 割弱で、毎年の利益の残りは預金に回る。2% の金利で回るだけの現金は、資本コストに届かない。
小さな会社で、技術者と営業の数も限られる。主力の担当者が抜けたり、大口の機械メーカーが採用を替えたりすれば、売上はすぐに揺らぐ。
どちらに重みを置いたか
セルフ化の追い風は本物で、第 1 四半期の増益もそれを裏づける。一方で、紙の需要の減少と仕入れの立場の弱さは、慎重な見方の言うとおり長い目で効く。筆者は確率をほぼ真ん中に置き、直近の勢いを見て楽観側をわずかに厚くした。中立は台数が 15% 増え、利益率が 7.5% に戻る姿だ。現金の厚さは下値を支える。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,981 円102 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 443 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 1,296 円67 億円、今との差 +32.4%、 期待の年率 +9.5%(資本コスト 7.2%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,658 円189 億円 | 677 円35 億円 | +342.7% | +16.0% | 347 円18 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,821 円146 億円 | 580 円30 億円 | +247.3% | +13.3% | 748 円39 億円 |
| 中立 | 38% | 2,115 円109 億円 | 483 円25 億円 | +165.4% | +10.3% | 987 円51 億円 |
| やや悲観 | 21% | 1,004 円52 億円 | 290 円15 億円 | +32.1% | +2.8% | 272 円14 億円 |
| 悲観 | 11% | 483 円25 億円 | 155 円8 億円 | −34.8% | −4.2% | 70 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,981 円102 億円 | 443 円23 億円 | +147.6% | +9.5% | 2,424 円125 億円 |
今の株価時価総額 979 円51 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 8% セルフ化と海外で台数 4 割増、利益率 9% 台へ 利益 10 億円 · PER 17.6 倍 · 株価時価総額 3,658 円189 億円
人手不足で、飲食店、ホテル、病院、駐車場の無人の機械が急速に増える。欧州とアジアでも販路が育ち、プリンタと周辺の機器の台数は 10 年で 4 割強増える。
消耗品と修理の部品が積み上がり、利益率は過去の良い年の 9% 台に戻る。営業利益は 12 億円台、現金の利息を足して純利益は 9 億円を超える。
還元も厚くなり、配当と自社株買いで 10 年に 35 億円を戻す。それでも現金は 40 億円台を保ち、資産の厚さは変わらない。
小さな会社のまま、セルフ化の機械の裏方として欠かせない存在になる。創業家も世代交代を機に還元を厚くする。
- ミニプリンタと周辺機器:数量 29.1(プリンタと周辺機器の販売(万台・推定))× 価格 4.55(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品と保守を含む平均))→ 売上 133 億円・営業利益 13 億円。台数 1.45 倍・単価 1.30 倍・営業利益率 9.5%。電子機器の単価は量産と競争で物価ほど上がらない
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.2% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)33 億円。全体の PER 17.58 倍、時価総額 189 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人手不足のセルフ化が想定より速く進み、欧州の販路も育つ姿。第 1 四半期の伸びを見て 8% と少し厚くした。
やや楽観 22% 台数 3 割増、利益率 8.5% に戻る 利益 8 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 2,821 円146 億円
セルフ化の機械が増え、プリンタと周辺の機器の台数は 10 年で 3 割増える。電子のレシートの広がりで小売のレジは減るが、飲食店と病院とホテルが補う。
単価は物価ほど上がらないが、消耗品と周辺の機器が増えて利益率は 8.5% に戻る。営業利益は 10 億円近く、純利益は 7 億円台になる。
配当と自社株買いで 10 年に 30 億円を戻す。創業家の経営は変わらず、現金は高い水準のままだ。
機械メーカーとの長い関係が続き、新しい機種でも採用を守る。海外の売上も少しずつ育ち、国内の伸びの鈍さを補う。
- ミニプリンタと周辺機器:数量 26.1(プリンタと周辺機器の販売(万台・推定))× 価格 4.38(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品と保守を含む平均))→ 売上 114 億円・営業利益 10 億円。台数 1.30 倍・単価 1.25 倍・営業利益率 8.5%。電子機器の単価は量産と競争で物価ほど上がらない
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)33 億円。全体の PER 16.17 倍、時価総額 146 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:セルフ化の追い風が続き、紙の減少を上回る姿。直近の受注の勢いから 2 割強に置いた。
中立 38% 中立:台数 15% 増、利益率 7.5% 利益 6 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 2,115 円109 億円
セルフ化で精算機や券売機は増えるが、電子のレシートの広がりで紙を使う場面は減る。差し引きで、プリンタと周辺の機器の台数は 10 年で 15% 増える。単価は物価ほど上がらず 2 割増にとどまる。
利益率は過去の平均に近い 7.5% だ。営業利益は 7 億円台、現金の利息を足して純利益は 6 億円近くになる。
配当と自社株買いで 10 年に 25 億円を戻す。総還元は純利益の 5 割弱のままで、現金は高い水準を保つ。事業は堅いが、株主の取り分は緩やかにしか増えない。
創業家の経営も、資本の使い方も大きくは変わらない。
- ミニプリンタと周辺機器:数量 23.1(プリンタと周辺機器の販売(万台・推定))× 価格 4.20(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品と保守を含む平均))→ 売上 97 億円・営業利益 7 億円。台数 1.15 倍・単価 1.20 倍・営業利益率 7.5%。電子機器の単価は量産と競争で物価ほど上がらない
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)33 億円。全体の PER 14.46 倍、時価総額 109 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:セルフ化の追い風と紙の需要の減少が打ち消しあう、いちばん起こりやすい形として最も厚く置いた。
やや悲観 21% 紙の需要が減り、利益は半分に 利益 3 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,004 円52 億円
電子のレシートとスマートフォンの受付が広がり、紙を使う機械の数は 10 年で 1 割減る。仕入れ先の大手メーカーの値上げを客に移しきれず、単価は物価に遠く届かない。
利益率は 4% に落ち、営業利益は 3 億円弱だ。純利益は現金の利息に支えられて 3 億円弱を保つ。
還元は細り、10 年で 15 億円にとどまる。現金の一部は事業の立て直しや小さな買収に使われ、株主に戻る分は減る。
小売のレジ向けは目に見えて減り、病院と飲食店の伸びでは埋めきれない。創業家は事業の承継を急がず、資本の使い方も変わらない。
- ミニプリンタと周辺機器:数量 18.1(プリンタと周辺機器の販売(万台・推定))× 価格 3.85(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品と保守を含む平均))→ 売上 70 億円・営業利益 3 億円。台数 0.90 倍・単価 1.10 倍・営業利益率 4.0%。電子機器の単価は量産と競争で物価ほど上がらない
倍率:事業の ROE は 3% 台で k を大きく下回るので PER は 1÷k=12.5 倍まで。稼ぐ力を見て 9.0 倍に置く。余った現金は谷で一部を使うので 0.75 倍とし、戻り方 0.75 を掛けて足した。PBR は 0.44 倍で中立の 0.80 倍を下回る。
確率:電子化が想定より速く進み、仕入れの値上げも重なる姿。過去に赤字の年は無いが、利益が 4 割減った年はあるので 2 割強に置いた。
悲観 11% 悲観:紙が消え、商売が細る 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 483 円25 億円
精算機や受付機の多くが紙を出さなくなり、プリンタの台数は 10 年で 3 分の 1 減る。仕入れ先の大手メーカーが機械メーカーへ直接売り始め、日本プリメックスの役が細る。
単価は上がらず、営業赤字に沈む。現金の利息で純利益の赤字は小さいが、事業は縮小に向かう。
還元は細り、10 年で 8 億円しか戻らない。現金と上場株は残るが、創業家が使い道を決める以上、少数株主に届くのは一部だけだ。
機械メーカーの側も、紙を出さない新しい機種へ移っていく。小さな会社には次の柱を育てる力が足りない。消耗品の売上だけが細く残る。
- ミニプリンタと周辺機器:数量 13.1(プリンタと周辺機器の販売(万台・推定))× 価格 3.50(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品と保守を含む平均))→ 売上 46 億円・営業利益 −1 億円。台数 0.65 倍・単価 1.00 倍・営業赤字
倍率:赤字で稼ぐ力は測れないので、売れる資産の床で置いた。今の自己資本 83.6 億円に PBR 0.299 倍を掛けた 25 億円。
確率:精算機や受付機から紙が消え、仕入れ先の直販も重なる負け筋。12 年赤字が無い堅さを見て 1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ミニプリンタと周辺機器
精算機・券売機・受付機に組み込むミニプリンタ、メカ、関連商品、消耗品と、自動釣銭機などのセルフ精算の周辺の機器。
| 数量プリンタと周辺機器の販売(万台・推定) | 価格1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品と保守を含む平均) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20.1 | 3.50 | 70 | 5 |
| 10 年後 中立 | 23.1 | 4.20 | 97 | 7 |
取り方:台数の開示は無い。プリンタ、関連商品、周辺の機器の平均の売上を 1 台あたり 3.5 万円(消耗品と修理の部品を含めた換算)と置き、売上 70.4 億円から 20.1 万台と推定した。電子機器の単価は物価ほど上がらないので、中立の 10 年の価格は 1.20 倍とする。営業利益 4.85 億円は開示(単一セグメント)。
リスクと懸念
紙を使う場面の減少
電子のレシートやスマートフォンでの受付が広がれば、精算機や受付機が紙を出す回数は減る。セルフ化で機械が増えても、プリンタが要らない機械が増えれば台数は伸びない。
仕入れ先の大手メーカーの動き
売るものの多くは大手メーカーのプリンタだ。メーカーが機械メーカーへ直接売り始めたり、値上げをしたりすれば、日本プリメックスの役と利益率が細る。
為替と仕入れの値段
仕入れの一部はドル建てで、円安は値段を押し上げる。客への転嫁が遅れれば利益率が削られる。ドル預金の評価で利益が年ごとにぶれる。
現金が株主に戻らない
現金と預金 53 億円は時価総額とほぼ同じだが、創業家が過半を持ち、総還元は純利益の 5 割弱にとどまる。現金は 2% の金利で回るだけで、資本コストに届かない。
小さな組織への依存
社員は 100 名ほどで、技術者と営業の数は限られる。大口の機械メーカーが採用を替えたり、主力の担当者が抜けたりすれば、売上はすぐに揺らぐ。
今後の分かれ目
- 総還元を純利益の 8 割以上に引き上げると示したら
- 余った現金の戻り方を厚く見られ、本質価値は上に動く。
- 海外の売上が全体の 2 割を超えたら
- 国内の紙の減少を補う柱ができた証拠で、やや楽観の筋書きに近づく。
- 営業利益率が 2 年続けて 8% を超えたら
- セルフ化の追い風が利益に届いている証拠だ。
- 大手のプリンタメーカーが機械メーカーへの直販を広げたら
- 仕入れて売る役が細り、中立より下の筋書きに近づく。
- 創業家の持株が売り出されたり、事業の承継の話が出たら
- 現金の使い道が変わるきっかけになりうる。少数株主に現金の価値が届く道が開く。
見ておくもの
- 四半期ごとの売上と営業利益率
- 商品群別の売上(ケース入りミニプリンタと周辺の機器)
- 海外向けの売上
- 配当と自社株買いの額
- 現金と預金の残高
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の ROE(現金の利息を除いた純利益 ÷ 現金を除いた自己資本)と k 7.25% から正当化 PER で置き、余った現金は戻り方 0.75 で別に足した。中立 10.5 倍は今の PER(約 11 倍)や PBR 0.6 倍を見て決めていない。悲観は今の自己資本と現金・上場株の税後から床を出し、過去の PBR の底は使っていない。facts の純現金 18 億円は現金同等物だけなので、3 か月超の定期預金を足した 53.5 億円で見た。為替差益は一過性として起点から外した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→17.58 倍・やや楽観 PER 11.5→16.17 倍・中立 PER 10.5→14.46 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。