結論
メディアスHDは、病院に医療機器を売る専門商社だ。25都道府県に85拠点を持ち、売上は3,023億円。心臓のカテーテルや整形外科のインプラントなど、手術で使う消耗品が中心である。筆者の結論は、事業は堅いが利益が薄く、価値は今の時価総額の8割台半ばにとどまる、というものだ。
堅さの理由は、需要が景気に左右されないことにある。手術と検査は高齢化で増え、病院との取引は長く続く。売上の約半分を公的病院と大学病院が占める。
薄さの理由は、商社としての性質にある。売上の1%にも満たない営業利益で、人件費と物流費の上昇がそのまま利益を削る。2026年6月期は売上が4.7%増えたのに、営業利益は5%減った。
成長の手段は買収だ。中小の商社を傘下に入れ、拠点と取引先を広げている。ただし、利益率が上がらないまま規模だけ増える形になりやすい。
筆者は、買収で規模は伸びても、利益率の改善は小幅にとどまると見る。
見るべきは、売上の伸びではなく、利益率の動きだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、メディアスは『悪くない会社だが、安全域は薄い』と見る。
事業は10年後も残る。医療機器を病院へ届ける仕事は、高齢化で減りにくい。景気の影響も小さい。
ただし堀、つまり他社がまねできない強みは弱い。商社の機能は、メーカーと病院のどちらかが強くなれば値段で削られる。利益率が12年間、薄いままなのがその証拠だ。
株主が自由に使える利益は、純利益の2割から3割にとどまる。買収と運転資金に、稼ぎの多くが使われるからだ。
資本の使い方は、買収で規模を買う形だ。規模が利益に変わるかは、買った会社の利益率で決まる。
安全域は小さい。資本コストで割り引いた価値は、今の時価総額に届かない。ただし、悲観になっても売掛金と在庫が支えるので、下値は深くない。そこが良い点である。
長く持つ株主から見れば、規模より利益率の動きが判断の軸になる。
何で稼ぐ会社か
メディアスHDは、医療機器の販売と保守を行う持株会社だ。2025年末時点で16社、25都道府県、85拠点を持つ。
売れるものは二つある。一つは消耗品で、循環器のカテーテルや整形外科のインプラントなど、手術のたびに使い捨てる品だ。もう一つは備品で、放射線装置、内視鏡、超音波装置、人工心肺装置などの大型の機械である。介護・福祉の機器の販売とレンタルも手がける。
顧客は病院が中心で、公的医療機関や大学病院が売上の約半分を占める。仕入れの約6割は輸入品で、海外メーカーの製品を国内の病院に届ける役割が大きい。
稼ぎ方は、メーカーからの仕入れ値と病院への売値の差だ。売上総利益は売上の1割ほどある。そこから人件費、物流費、保守の費用を引くと、営業利益は売上の0.6%しか残らない。
物流では、共同配送の実験を業界の他社と始めている。手術に間に合わせる配送が品質の中心なので、物流費は削りにくい。
買収した会社は、地域の病院とのつながりを持つ。メディアスは、その取引先を引き継ぎ、仕入れ先との交渉を本社で一本化する。
優良さと弱いところ
優良さの核は、病院に毎日届ける機能と、買収で広げた全国の拠点にある。ただし、儲けにはまだ結びついていない。
強みは三つ。第一に、手術に欠かせない品を、必要な時に届ける力。第二に、公的病院・大学病院との長い取引。第三に、買収した地域の商社が持つ顧客を、傘下に入れて引き継ぐ手法だ。
弱みも三つ。第一に、営業利益率が過去12年で最高でも1.1%と、薄利から抜けられない。第二に、仕入れ先のメーカーと病院の双方が強く、間に立つ商社は値段を決められない。第三に、自己資本比率が18%と低く、運転資金を借入で支えている。
資本効率は並だ。過去10年のROEの中央値は6.9%で、資本コストをわずかに下回る。会社は中長期でROE8%以上を目指すと説明している。
筆者は、規模は着実に伸びるが、利益の質は変わりにくい会社だと見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
医療機器の流通は、人口の高齢化に支えられた安定市場だ。ただし、商社の取り分は縮みやすい。
手術や検査の件数は、高齢者が増える2040年ごろまで緩やかに増える。景気の影響は小さい。筆者は、実質の取扱量は10年で4%前後増えると見る。
値段は逆に、押し下げる力が強い。治療に使う材料の保険上の価格(償還価格)は、国が定期的に見直し、引き下げが多い。病院の経営も苦しく、納入価格の交渉は厳しい。物価が年3%上がっても、売値は同じように上がらない。
費用は物価並みに上がる。人件費、物流費、システム費が重くなる。2026年6月期は、この費用増が増収分を打ち消した。
業界は再編の途中にある。地域ごとの中小の商社が、後継者難や費用増で統合や身売りに動く。同業にはシップヘルスケアHDなどがある。規模を持つ会社が、仕入れの交渉力と物流の効率で優位に立つ。
中抜きの圧力もある。メーカーが病院へ直接販売する動きは、輸入品では特に起こりうる。
病院側も再編と経営難が進む。病院が統合すれば、購買の窓口が減り、納入価格の交渉力は病院に傾く。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、買収による拡大と、安定した配当だ。
買収は続いている。2024年に山梨のマコト医科精機を完全子会社にし、2025年10月には北海道の2社を統合した。長野の共栄医科器械も傘下に入れる予定で、栗原医療器械店との統合にも基本合意した。買収で拠点と取引先を広げる方針は変わらない。
配当は連結配当性向30%以上を目途とし、2026年6月期は34%だった。配当は年4億円ほどである。
中期経営計画は、2028年6月期に経常利益27.8億円を目標にする。2026年6月期の23億円からの積み上げで、利益の伸びは売上の伸びと同じ程度にとどまる。
筆頭株主は株式会社エム・ケーで、保有は約10%。親会社はなく、特定の株主が経営を支配する形ではない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
高齢化で手術は増え続け、商社の仕事は減らない。買収で拠点を広げ、仕入れの交渉力と物流の効率が上がれば、利益率は上がる。事業の性質に比べて、0.6%は低すぎる。
中期計画は2028年6月期の経常利益を27.8億円と置く。これを達成し、規模が4,700億円に届けば、営業利益は50億円近くになる。
共同配送の実験は、物流費を下げる可能性がある。人的投資とITの費用は先行しており、これから効き始める。
配当性向は30%以上を保っており、利益が増えれば配当も増える。ROE8%を目標にしていることも、株主に向く経営の表れだ。
買収で取引先の多い地方の商社を傘下に入れる手法は、他社にまねしにくい。
病院の統合が進めば、全国で一括して納める大手の商社に有利に働く。
手術に間に合わせる配送と保守の体制は、新規の参入者が一朝一夕に作れない。地方の病院ほど、顔の見える商社に頼る。この機能が、薄利でも商社が生き残る理由だ。
慎重な見方
利益率は12年間、1%前後で動かなかった。最良の2021年6月期も1.1%で、その後は0.6%まで下がった。増収でも減益になるのは、商社としての構造だ。
仕入れ先のメーカーと、納入先の病院が強い。診療報酬と償還価格は国が決め、値上げは通りにくい。人件費と物流費は物価並みに上がり、利益を削る。
買収は利益率を上げず、規模だけを増やす。買った会社を統合する費用もかかる。自己資本比率は18%と低く、買収の資金は借入に頼る。金利が上がれば、利払いが重くなる。
輸入品が売上の6割なので、メーカーの直販への切り替えも脅威だ。
会社は2026年6月期の減益を、人件費と物流費のせいにした。この二つは来期も、その次も続く。
病院の統合が進めば、病院が購買力を強め、納入価格の交渉は厳しくなる。
配送と保守の体制は強みに見えるが、その維持費は利益を食い続ける。病院にとっては、同じ品をより安く届ける商社が現れれば、乗り換えは難しくない。2026年6月期の減益は、その圧力の表れだ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がわずかに強い。利益率が12年間薄いままで、2026年6月期にも増収減益だった事実が重い。強気の見方の核は買収と物流の効率化だが、利益率に出た証拠はまだ無い。一方で、需要の安定と下値の堅さは確かなので、悲観の確率は膨らませない。中立の利益率は0.7%にとどめ、悲観側を37%、楽観側を25%にした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 1,207 円268 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 207 円46 億円)。 今の値に割り戻すと 714 円159 億円、今との差 −5.3%、 期待の年率 +6.5%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,467 円549 億円 | 355 円79 億円 | +274.4% | +14.1% | 169 円38 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,712 円381 億円 | 288 円64 億円 | +165.3% | +10.2% | 380 円85 億円 |
| 中立 | 38% | 1,287 円286 億円 | 238 円53 億円 | +102.2% | +7.3% | 579 円129 億円 |
| やや悲観 | 26% | 742 円165 億円 | 135 円30 億円 | +16.3% | +1.5% | 228 円51 億円 |
| 悲観 | 11% | 468 円104 億円 | 45 円10 億円 | −32.0% | −3.8% | 56 円13 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,207 円268 億円 | 207 円46 億円 | +87.4% | +6.5% | 1,413 円314 億円 |
今の株価時価総額 754 円168 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 買収と物流の効率化が効き、営業利益率が1%に乗る 利益 37 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 2,467 円549 億円
買収が続き、取扱高は実質で3割半増える。拠点の集約と共同配送で物流費が下がり、仕入れ交渉力も上がる。高付加価値品の取扱いが増え、価格の伸びも物価に近づく。
営業利益率は最良期の1.05%まで上がり、営業利益は50億円ほどになる。借入は増えるが、利益の増加が利払いを上回る。
配当は配当性向の目途どおり増え、ROEは10%を超える。会社が掲げるROE8%以上の目標を超える形だ。
買収した会社の利益率が全体を上回り、統合の費用も一巡する。仕入れ先のメーカーから、独占的な取扱いの話も来る。
成功の鍵は、買収した会社の仕入れ先を本社に一本化できるかだ。それができれば、規模の利益が利益率に出る。
- 医療機器の販売・保守(介護福祉機器を含む):数量 4,090(国内医療機器市場の実質規模(億円)×シェア)× 価格 1.15(価格指数(今=1.0・名目))→ 売上 4,704 億円・営業利益 49 億円。買収で取扱高が3割半増え、利益率が最良期並みになる
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.83 倍、時価総額 549 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率が12年間1.1%を超えていない。買収と物流の改善で最良期の水準に戻る筋書きなので、楽観は6%にとどめた。
やや楽観 19% 買収が進み、営業利益率が0.85%まで上がる 利益 28 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,712 円381 億円
買収で取扱高は実質で2割半ほど増える。物流の共同化が少し進み、人件費の上昇を一部吸収する。売値は物価の6割ほどの伸びにとどまる。
営業利益率は0.85%に上がり、営業利益は37億円ほどになる。会社の中期計画の延長にあたる形だ。
借入は買収で増えるが、金利が上がっても利益で賄える。配当は純利益の3割台で続く。
病院の支払い条件は変わらず、運転資金の負担は増えない。買収後の統合が順調に進み、人員の配置も効率化する。
会社は人材・IT・物流に先行して投資しており、この費用が一巡すれば利益率が戻る。その回収が計画どおり進む形だ。
- 医療機器の販売・保守(介護福祉機器を含む):数量 3,850(国内医療機器市場の実質規模(億円)×シェア)× 価格 1.12(価格指数(今=1.0・名目))→ 売上 4,312 億円・営業利益 37 億円。取扱高が2割半増え、利益率が小幅に上がる
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.55 倍、時価総額 381 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:買収は続いており、規模の拡大はほぼ確実だ。利益率が0.85%に上がる筋書きは、会社の計画に近い。そこで19%とした。
中立 38% 買収で規模は伸びるが、利益率は0.7%にとどまる 利益 22 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,287 円286 億円
高齢化で手術は増え、取扱高は実質で2割ほど増える。うち大半は買収による。価格は償還価格の引き下げで物価ほど上がらず、10年で1.1倍にとどまる。
人件費と物流費は物価並みに上がる。営業利益率は0.7%で、最良期の1.1%に届かない。営業利益は28億円ほどだ。
営業外の収益は支払利息を上回り、経常利益は営業利益より5億円ほど多い。純利益は22億円ほどで、ROEは7%。資本コストにわずかに届かない。
買収は続くが、統合の費用と人件費の増加が、規模の利益を打ち消す。株主にとっては、安定して配当が出る静かな姿だ。
- 医療機器の販売・保守(介護福祉機器を含む):数量 3,615(国内医療機器市場の実質規模(億円)×シェア)× 価格 1.10(価格指数(今=1.0・名目))→ 売上 3,977 億円・営業利益 28 億円。取扱高が2割増え、利益率は0.7%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 280 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率が12年間薄いままという事実が最も強い証拠だ。増収と買収は続くが、利益率は大きく変わらないとして、最大の38%とした。
やや悲観 26% 費用増に売値が追いつかず、営業利益率が0.45%に落ちる 利益 12 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 742 円165 億円
買収の勢いが落ち、取扱高の伸びは1割ほどにとどまる。償還価格の引き下げと病院との交渉で、価格は10年で1.05倍にとどまる。
人件費と物流費は物価並みに上がるため、営業利益率は0.45%まで下がる。営業利益は16億円ほどで、利払いを引くと純利益は12億円に届かない。
買収した会社の統合も遅れる。配当は純利益の3割を保つが、買収の資金は借入に頼る。
病院の統合で納入価格の交渉は厳しくなり、値下げの要求が続く。一部の取引先を失い、拠点の整理も始まる。
借入の金利が上がり、利払いが年2億円ほど増える。買収の資金を借入に頼る度合いが高いほど、利益の目減りが大きい。
- 医療機器の販売・保守(介護福祉機器を含む):数量 3,300(国内医療機器市場の実質規模(億円)×シェア)× 価格 1.05(価格指数(今=1.0・名目))→ 売上 3,465 億円・営業利益 16 億円。取扱高の伸びが鈍り、利益率が0.45%に落ちる
倍率:ROE4%台は資本コスト7.75%を大きく下回る。稼ぎの力(純利益÷k)は約157億円で、売掛金と在庫の回収額の方が大きい。PBRは今の自己資本207億円に0.7倍を掛けた。
確率:2026年6月期に増収減益となった型が続く筋書きだ。人件費と物流費が物価並みに上がり、売値が追いつかない。利益率は0.4%台の実績もあり、26%とした。
悲観 11% メーカーの直販と値引きで取り分が消え、利益率が0.1%になる 利益 2 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 468 円104 億円
海外メーカーの一部が直販へ切り替え、輸入品の取り分が縮む。大手商社への集約で、仕入れの交渉力も劣る。償還価格の引き下げが大きくなり、価格は10年で0.98倍と、名目でも下がる。
人件費と物流費は物価並みに上がり、営業利益率は0.1%まで落ちる。営業利益は3億円ほどで、利払いを引くとほぼ消える。買収した会社の減損も出る。
配当は配当性向が下がり、買収の資金調達も難しくなる。事業の一部を同業に売る道を探すことになる。
病院の購買力が強まり、メーカーも直接販売を広げる。商社は在庫と保守の機能だけが残り、利益の源泉を失う。
- 医療機器の販売・保守(介護福祉機器を含む):数量 2,900(国内医療機器市場の実質規模(億円)×シェア)× 価格 0.98(価格指数(今=1.0・名目))→ 売上 2,842 億円・営業利益 3 億円。取扱高が減り、価格も下がり、利益がほぼ消える
倍率:利益はほぼ消えるのでPERは当てない。PBRは今の自己資本207億円に0.5倍を掛けた。売掛金と在庫を急いで回収する形で、買い手は同業が中心になる。今の純有利子負債84億円を足したEVは営業利益の67倍と高く、利益の倍率では測れない。EVでも見て、床の資産で値を付けた。
確率:メーカーの直販化、大手商社への集約、償還価格の大幅な引き下げが重なる、構造的な負けの筋書きだ。需要は残るので深く沈めすぎず、11%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
医療機器の販売・保守(介護福祉機器を含む)
病院に手術用の消耗品と大型の医療機器を売り、保守も行う。介護・福祉機器の販売とレンタルも手がける。
| 数量国内医療機器市場の実質規模(億円)×シェア | 価格価格指数(今=1.0・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 3,023 | 1.00 | 3,023 | 18 |
| 10 年後 中立 | 3,615 | 1.10 | 3,977 | 28 |
取り方:売上3,023億円を、国内の医療機器市場(約4兆円・推定)の実質規模にシェア約7.6%を掛けた取扱高と置いた。市場規模の開示は確認できず、推定である。価格の欄は値段の指数で、今を1.0とする。営業利益は連結の18億円。(取扱高を市場規模×シェアで置く型のため、価格は指数で表す。)
リスクと懸念
利益率が上がらない
営業利益率は12年間1%前後で、2026年6月期は0.6%だった。増収でも人件費と物流費が利益を削る。買収で規模が増えても、利益率が変わらなければ、利益はほぼ売上に比例して伸びるだけだ。
償還価格の引き下げ
治療に使う材料の保険上の価格は、国の見直しで下がることが多い。病院の経営も苦しく、納入価格の交渉は厳しくなる。値段が物価ほど上がらない中、費用だけが物価並みに上がる。
メーカーの直販・大手への集約
売上の約6割は輸入品で、海外メーカーが直接販売に切り替えれば、商社の取り分が消える。大手商社への集約が進めば、仕入れの交渉力で劣る中堅は不利になる。
買収の失敗
買収は拠点を増やす一方、統合の費用がかかる。買った会社の利益率が低ければ、全体の利益率を押し下げる。資金は借入に頼るので、金利が上がれば負担が増える。
運転資金と借入
売掛金と在庫が大きく、自己資本比率は18%と低い。病院の支払いが遅れる、または在庫が膨らむと、借入が増える。金利が3.5%に上がると、利払いは年2億円ほど増える。
今後の分かれ目
- 営業利益率が1%を超えて定着する
- 買収と物流の効率化が利益に出た形で、中立の筋書きを上回る。10年後の価値は大きく上がる。
- 増収が続くのに営業利益が減り続ける
- 人件費と物流費が価格に転嫁できていない。やや悲観の筋書きに近づく。
- 海外メーカーが主要な製品を直販に切り替える
- 売上の6割を占める輸入品の取り分が減り、利益は急に細る。悲観の筋書きに近づく。
- 買収した会社の利益率が、全体より高い
- 買収が利益率を押し上げる形で、規模の拡大が価値に変わる。
- 償還価格の引き下げが大きくなる
- 売値が下がり、費用との差が縮む。営業利益率は0.5%を割る。
見ておくもの
- 営業利益率(人件費・物流費の増減)
- 買収した会社の利益率
- 償還価格の改定
- 売掛金と在庫の回転日数
- 借入残高と金利
- 経常利益27.8億円の達成
倍率と資本コストの決め方
倍率は、10年後の中立のROE(約7%)が資本コスト7.75%にわずかに届かない点から、式の上限(約12倍)の7.5割にあたる9.2倍と置いた。今の株価や過去のPERは見ていない。利益率が薄い商社で、利益の質が低いので上限を大きく引いた。10年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。拠点の賃借分は、新リース会計(2028年6月期から)で貸借対照表に載るが、その形は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.6→14.83 倍・やや楽観 PER 10.8→13.55 倍・中立 PER 9.2→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityを足して決めた。事業が傾いているわけではないので上乗せ(extra)は置かない。