結論
テンポスホールディングスは、中古と新品の業務用厨房機器を売る「テンポスバスターズ」と、買収で集めた外食チェーンの会社だ。売上の約 5 割が厨房機器、約 4 割が外食になる。厨房機器の店は 82 店ある。
筆者の結論は、10 年の本質価値が約 214 億円で、今の時価総額 438 億円の 5 割弱にとどまる「割高」だ。今の PER は約 23 倍で、2027 年 4 月期の会社予想でも約 16 倍になる。利益が大きく伸び続ける前提が、すでに値段に入っている。
2027 年 4 月期の会社予想は、営業利益が 42.6 億円と 5 割近い増益だ。ところが第 1 四半期の営業利益は 4 割減った。出店と採用、教育の費用が先に出ているためで、増益の多くは後半に偏る。
中立の 10 年後は、営業利益 56 億円、純利益 39 億円、PER 12.5 倍で、時価総額は約 490 億円になる。今の 1.1 倍だ。資本コストは 7%。
強気の筋書きでも、時価総額は約 840 億円と今の 2 倍に届かない。店と外食の数を増やしても、利益率が 1 桁台にとどまるためだ。
事業そのものは堅い。開業する飲食店の初期費用を中古で下げる仕組みは、独自の強みだ。問題は、その堅さを超える成長が今の値段に先に織り込まれていることである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、テンポスホールディングスは「仕組みは堅いが、値段が先を行きすぎている」会社だ。中古厨房機器の仕入れと販売を、開業の入口に使う発想は評価する。景気が悪くても、一定の需要が残る面がある。
一方で、利益率は薄い。全社の営業利益率は 5% 台で、外食は 3% 台、情報・サービスは赤字だ。安全域は薄い。
資本の使い方は、買収が中心になる。2,000 億円という目標は大きく、買収を重ねるほど、のれんと外食の固定費が増える。買収が育つかどうかは、会社の説明からは読みにくい。創業者が経営の中心に立ち続けている点も、承継の見通しが書かれていないので気にかかる。
10 年後も事業は残るだろう。ただし、残る利益は売上ほどには増えない。今の PER 約 23 倍は、強気の筋書きを織り込んだ値段だ。中立で測ると、払う値段に安全域はない。確信は中くらいで、判断の重みは軽くしている。
経営の資本配分は、成長への意欲は高いが、還元は少ない。配当性向 5〜6% では、少数株主に利益が回ってこない。優待が配当の 2 倍を超える点は、手厚さの代わりに、保有を続けにくくする面もある。
会社の出店の数字は具体的だが、買収の成果は数字で示されていない。買収の結果が、利益に表れてくるまでは、評価を上げにくい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は 3 つに分かれる。2026 年 4 月期の売上は 534 億円、営業利益は 29 億円だ。
1 つ目は物販で、売上の約 5 割を占める。中心は中古と新品の業務用厨房機器を売る「テンポスバスターズ」で、2026 年 4 月期末に 82 店ある。物販の利益は 23 億円で、全社の利益の大半はここで出る。中古品は物販の売上の約 13% だ。
2 つ目は外食で、売上の約 4 割になる。ステーキの「あさくま」、ヤマトサカナ、2025 年 7 月に連結へ入れたサンライズサービスなどを持つ。利益は 8 億円で、売上に対する利益率は 4% を割る。
3 つ目は情報・サービスだ。飲食店の開業や経営を支える会員サイト(会員 9,103 社)、3D 図面、決済などで、売上は 43 億円だが 1 億円の赤字になった。
強みは、開業する飲食店を入口にして、機器、店舗の設計、運営の支援を重ねて売る点にある。新店を開く客は来店の約 4% だが、売上の約 38% を占め、1 件の金額も大きい。中古を使うと機器の初期費用が新品に比べて 3 割ほど下がり、開業の動機になる。
創業者の森下篤史氏が社長を務める。大株主は有限会社あさしお 17%、創業者個人 13〜15%、ガリレイ 8% だ。純現金は 71 億円ある。
会社は、グループ売上 2,000 億円を目標に掲げる。ただし、既存事業と買収の進み具合は、会社の想定を下回っている。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、中古厨房機器の仕入れと販売の仕組みだ。飲食店の閉店で出る機器を集め、整備して売る。買い手の開業費用が下がるので、新店を開く客が呼べる。同業の約 120 社と資本提携を結び、仕入れの輪も広げている。
ただし、堀は厨房機器の中にとどまる。外食は買収で集めた事業で、競争が激しく、5 年後に生き残る飲食店は 45% ほどとされる。ブランドの値決めの力は強くない。
利益率は薄い。全社の営業利益率は 5.4% で、物販が 8.1%、外食は 3.6% だ。情報・サービスは赤字になった。
資本効率は低い。純利益は 19 億円で、自己資本は 177 億円あるので、ROE は 11% 前後になる。ところが純現金が 71 億円あり、事業に使う資本は見かけより小さい。買収ののれん償却も、これから増える。
配当性向は 5〜6% と低く、利益の大半は事業と買収に回る。創業者と関係の深い株主で議決権の大半が固まっており、少数株主は資本の使い方を決められない。優良さは「仕組みは堅いが、利益は薄く、買収の成果が読みにくい」と筆者は見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の厨房機器の需要は、飲食店の開業と更新で決まる。外食の市場は、コロナ前の水準に戻った。店を開く人が一定数いる限り、機器は売れる。景気が悪い時は新品より安い中古が選ばれやすく、需要は意外に崩れない。
追い風は、人手不足による厨房の省力化と、物価高で新品の機器が高くなったことだ。中古の価値が上がる。一方、2026 年 4 月期のバスターズの既存店売上は 99.0% で、店の数ほど売上が伸びていない。
外食は、人件費の上昇を最も受けやすい業種だ。国内の外食の市場は、日本フードサービス協会によると 2023 年に約 24 兆円まで戻った。ただし伸びの大半は物価で、客数は人口とともに細る。飲食店の開業は参入しやすく、5 年後に生き残る店は 45% ほどだ。
情報・サービスは、IT 導入補助金の審査が厳しくなり、2026 年 4 月期は赤字になった。補助金に頼る事業は、制度の変更で揺れる。
10 年の構造的な負け筋は 2 つある。ひとつは、店を増やしても、1 店あたりの売上が伸びないこと。もうひとつは、外食の買収が思ったほど育たず、のれんの減損が出ることだ。
外食の谷は深い。リーマン級の不況では、外食の既存店売上が 2〜3 割減るのが経験則で、新規開業も減るので、厨房機器の売上も同時に落ちる。2 つの本業が同じ方向に動く点に注意が要る。
資本政策と M&A
資本政策は、利益の大半を事業と買収に回す形だ。配当は長く据え置かれ、配当性向は 5〜6% にとどまる。自社株買いの大きな実績は見つからなかった。
買収が成長の中心だ。2011 年にあさくま、2023 年にヤマト、2025 年にサンライズサービスを入れた。年商 30 億円以上の会社や上場会社を対象に、買収を続ける方針である。買収後に育てて売る、再生ファンドのような動きも語っている。
純現金 71 億円は、買収の資金と新店の出店、中古機器の在庫、店舗の賃借、リース・融資の事業に回る。店舗の賃借は固定の約束で、金額は文字のページでは確認できなかった。
株主優待は、年 2 回の食事券だ。旧制度は 100 株以上で一律に出していた。2026 年 10 月から新制度へ変わり、2027 年 4 月末以降は保有 1 年以上と 3 年以上で額が分かれる。株主数と費用は非開示で、当社推定では年 2.7 億円ほどだ。配当の年約 1.1 億円の 2 倍を超えるため、還元の額に 10 年分を入れた。自己資本の計算には入れていない。
創業者個人は 13〜15%、あさしおは 17%、ガリレイは 8% を持つ。kabufu の推定では、10 年以内の買収の確率は 19%。創業者の持ち分が厚いので、買収は動きにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
厨房機器の仕組みは、他に例が少ない。開業する飲食店は毎年出てくる。中古を入口に、新品、設計、運営の支援まで重ねて売れば、1 件あたりの金額は今の 25 万円から大きく上がる。会社が掲げる 200 万円まで届かなくても、2 倍は見える。
出店の勢いは続く。82 店のバスターズは、毎年 10% ずつ増やす計画で、10 年で 120 店に届く。新店の客を取り込み続ける限り、店あたりの売上も伸びる。
外食は買収で規模を作れる。年商 30 億円以上の会社を買い続け、買収後に利益を引き上げる再生の型を持っている。外食は 260 拠点まで増え、利益率も 6% に乗る。
情報・サービスは、赤字の先行投資が実る。3D 図面は 300 万円超の案件が前年比 110% で、会員 12,500 社まで広がる。補助金に頼らない収益が育つ。
全体では、営業利益 87 億円、純利益 62 億円まで伸びる。創業者の描く姿にかなり近い、うまくいった 10 年である。ただし会社の掲げる売上 2,000 億円には届かず、1,200 億円ほどになる。
慎重な見方
利益の質が低い。2026 年 4 月期の純利益は前年比 8% 減った。2027 年 4 月期の会社予想は営業利益が 5 割近く伸びるが、第 1 四半期は 4 割減った。増益は後半に偏り、達成できるかは読みにくい。
バスターズは、店を増やしても売上が伸びていない。既存店売上は 99.0% で、店舗網の拡大が収益に結びついていない。新店客の売上は大きいが、2 回目以降の購入が小さい。
外食は買収で規模を作ってきたが、利益率は 3% 台と薄い。人件費と原材料の上昇を、値上げで吸収しきれない。のれんの償却は 2027 年 4 月期に 0.3 億円から 0.6 億円へ倍増する。買収を重ねるほど、減損の危険が積み上がる。
情報・サービスは、IT 導入補助金の審査が厳しくなって赤字になった。補助金頼みの事業は、制度の変更で一気に崩れる。
2,000 億円の目標は、会社自身が進捗の遅れを認めている。計画の信頼性が低い。
さらに、創業者の承継が見えない。大株主が 3 つに分かれ、買収も動きにくい。優待が配当の 2 倍を超える点も、費用の重さと見る。今の PER 約 23 倍は、これらの不安を何も織り込んでいない。
どちらに重みを置いたか
仕組みの強さと買収の積み上げでは、強気の見方に分がある。ただし、利益率が 5% 台と薄く、既存店売上が 99.0% で、会社の目標の進捗が遅れている事実は、慎重な見方を裏づける。そこで中立の営業利益を 56 億円に置き、倍率も上限の 8 割にとどめた。確率は、慎重な筋書き(やや悲観と悲観)に厚めに置いた。結果は、強気の筋書きでも今の時価総額の約 1.9 倍にとどまり、本質価値は今の約 5 割になる。割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 5,062 円612 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 287 円35 億円)。 今の値に割り戻すと 2,778 円336 億円、今との差 −23.2%、 期待の年率 +4.0%(資本コスト 7.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 10,535 円1,273 億円 | 314 円38 億円 | +200.1% | +11.6% | 651 円79 億円 |
| やや楽観 | 19% | 8,177 円988 億円 | 314 円38 億円 | +134.9% | +8.9% | 1,613 円195 億円 |
| 中立 | 37% | 6,159 円744 億円 | 314 円38 億円 | +79.1% | +6.0% | 2,395 円289 億円 |
| やや悲観 | 28% | 1,975 円239 億円 | 257 円31 億円 | −38.3% | −4.7% | 625 円76 億円 |
| 悲観 | 10% | 440 円53 億円 | 202 円24 億円 | −82.3% | −15.9% | 64 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,062 円612 億円 | 287 円35 億円 | +47.9% | +4.0% | 5,348 円646 億円 |
今の株価時価総額 3,615 円437 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 出店と重ね売りが効き、外食の買収も育つ 10 年 利益 62 億円 · PER 19.3 倍 · 株価時価総額 10,535 円1,273 億円
バスターズは 82 店から 120 店に増える。新店客に機器と設計、運営の支援を重ねて売り、1 店あたりの売上は 4.9 億円と 1.4 倍になる。営業利益率は 9% に乗る。
外食は 260 拠点まで増える。買収後に利益を引き上げる型が定着し、利益率は 6% になる。
情報・サービスは、3D 図面と決済が育って 12,500 社に広がり、黒字になる。全体の営業利益は 87 億円。純利益は 62 億円で、自己資本は 565 億円に増える。
配当は年 11 億円、優待は 10 年で約 27 億円と置く。優待は続くが、配当性向 5〜6% の低さは変わらない。会社の描く姿にかなり近い、うまくいった 10 年である。
- 物販(厨房機器):数量 120(テンポスバスターズの店舗数(店))× 価格 48,902(1 店あたり年間売上(万円、直販・ネットを含む))→ 売上 587 億円・営業利益 53 億円。120 店 × 4.89 億円。新店客の取り込みと機器・設計の重ね売りで単価 1.4 倍、利益率 9%
- 外食:数量 260(外食の店舗・拠点数(当社推定))× 価格 20,107(1 拠点あたり年間売上(万円))→ 売上 523 億円・営業利益 31 億円。260 拠点 × 2.01 億円。買収後の改善で利益率 6%
- 情報・サービス:数量 12,500(会員法人数(社))× 価格 67(1 社あたり年間売上(万円))→ 売上 84 億円・営業利益 5 億円。12,500 社 × 66.8 万円。3D 図面と決済が育ち利益率 6%
倍率:事業の純利益 62 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.7% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.3 倍。全体の PER 19.34 倍、時価総額 1,197 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店、重ね売り、外食の買収の成果、情報・サービスの黒字化が同時に必要で、重なる確率は低い。仕組みの強さがあるので 5% 以上は置く。
やや楽観 19% 店数が伸び、外食の利益率が 5% 台に乗る 10 年 利益 50 億円 · PER 18.5 倍 · 株価時価総額 8,177 円988 億円
バスターズは 116 店に増え、単価は 1.33 倍になる。新店の客が重ね売りに乗り、営業利益率は 8.5% を保つ。
外食は 230 拠点に増える。買収した会社の改善が進むが、人件費の上昇で利益率は 5% 台にとどまる。
情報・サービスは 11,700 社で、黒字に戻る。全体の営業利益は 71 億円、純利益は 50 億円になる。配当は年 11 億円、優待は 10 年で約 27 億円と置く。自己資本は 514 億円、ROE は 9.7% に下がる。
ブランドと仕組みの強さが利益に表れる堅実な 10 年だが、買収の成果は期待ほど積み上がらない。
- 物販(厨房機器):数量 116(テンポスバスターズの店舗数(店))× 価格 46,457(1 店あたり年間売上(万円、直販・ネットを含む))→ 売上 539 億円・営業利益 46 億円。116 店 × 4.65 億円。単価は 1.33 倍、利益率 8.5%
- 外食:数量 230(外食の店舗・拠点数(当社推定))× 価格 19,524(1 拠点あたり年間売上(万円))→ 売上 449 億円・営業利益 24 億円。230 拠点 × 1.95 億円。利益率 5.3%
- 情報・サービス:数量 11,700(会員法人数(社))× 価格 64(1 社あたり年間売上(万円))→ 売上 75 億円・営業利益 3 億円。11,700 社 × 63.9 万円。利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 50 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.5 倍。全体の PER 18.46 倍、時価総額 919 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店が計画どおりに進み、外食の利益率が少し上がる現実的な上振れ。
中立 37% 店と拠点は増えるが、利益率が薄いまま足踏みする 10 年 利益 39 億円 · PER 17.4 倍 · 株価時価総額 6,159 円744 億円
バスターズは 82 店から 112 店に増える。1 店あたりの売上は 10 年で 1.25 倍にとどまり、物価の 1.34 倍には届かない。営業利益率は 8% で、いまの 8.1% とほぼ同じだ。
外食は 150 拠点から 200 拠点に増える。買収で拠点が増えるが、人件費の上昇で利益率は 4.5% にとどまる。情報・サービスは 11,000 社で、赤字から利益率 3% に戻る。
全体の営業利益は 56 億円、純利益は 39 億円になる。2027 年 4 月期の会社予想 42.6 億円からは 3 割ほど上だ。
配当は年 11 億円、優待は 10 年で約 27 億円と置く。優待は利益から引き済みで、還元の額に足した。自己資本は 466 億円まで膨らみ、ROE は 8.4% と資本コストを少し上回る程度に下がる。仕組みは残るが、利益は売上ほど伸びない標準的な 10 年である。
- 物販(厨房機器):数量 112(テンポスバスターズの店舗数(店))× 価格 43,663(1 店あたり年間売上(万円、直販・ネットを含む))→ 売上 489 億円・営業利益 39 億円。112 店 × 4.37 億円。店は 82 店から 112 店へ、単価は物価をやや下回る 1.25 倍、利益率 8%
- 外食:数量 200(外食の店舗・拠点数(当社推定))× 価格 18,941(1 拠点あたり年間売上(万円))→ 売上 379 億円・営業利益 17 億円。200 拠点 × 1.89 億円。買収で拠点が増え、利益率は 4.5%
- 情報・サービス:数量 11,000(会員法人数(社))× 価格 62(1 社あたり年間売上(万円))→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。11,000 社 × 62.0 万円。赤字から利益率 3% に戻る
倍率:事業の純利益 39 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.0% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.4 倍。全体の PER 17.44 倍、時価総額 680 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店と拠点は増えるが、値上げが物価に届かず、利益率が足踏みする標準的な姿。最も重みを置く。
やや悲観 28% 出店が鈍り、外食の人件費高で利益が削られる 10 年 利益 21 億円 · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 1,975 円239 億円
出店が鈍り、バスターズは 95 店にとどまる。既存店売上が伸びず、単価は 1.15 倍で頭打ちになる。営業利益率は 6.5% に下がる。
外食は 170 拠点に増えるが、人件費と食材の上昇を価格に移せず、利益率は 2.5% になる。のれんの償却が重なる。情報・サービスは補助金が縮み、赤字が 2% 続く。
全体の営業利益は 29 億円、純利益は 21 億円になる。自己資本は 377 億円まで膨らみ、ROE は 5.6% と資本コストを下回る。
優待は景気が悪くなると見直されやすいので、継続は 0.75 倍で見積もる。10 年の配当は 11 億円、優待は 20 億円ほどだ。堀の薄さが表に出た 10 年である。
- 物販(厨房機器):数量 95.0(テンポスバスターズの店舗数(店))× 価格 40,170(1 店あたり年間売上(万円、直販・ネットを含む))→ 売上 382 億円・営業利益 25 億円。95 店 × 4.02 億円。出店が鈍り単価も 1.15 倍、利益率 6.5%
- 外食:数量 170(外食の店舗・拠点数(当社推定))× 価格 17,193(1 拠点あたり年間売上(万円))→ 売上 292 億円・営業利益 7 億円。170 拠点 × 1.72 億円。人件費高で利益率 2.5%
- 情報・サービス:数量 9,500(会員法人数(社))× 価格 52(1 社あたり年間売上(万円))→ 売上 50 億円・営業利益 −1 億円。9,500 社 × 52.5 万円。補助金の縮小で赤字 2%
倍率:ROE 5.6% は k 7% 以下なので、正当化 PER は 1÷k = 12.5 倍が上限。外食の人件費高と出店の鈍りが続く筋書きなので、やや悲観は上限の約 7 割(8.75 倍)に置いた。
確率:足元の傾向(既存店売上 99.0%、第 1 四半期の営業利益 4 割減、外食の人件費高)が続く姿。厚く置く。
悲観 10% 景気後退と買収の失敗で、利益がほぼ消える 10 年 利益 6 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 440 円53 億円
景気後退で、外食の既存店売上が 2〜3 割落ち、新規の開業も減る。バスターズは 80 店で止まり、単価も今のままだ。営業利益率は 4% に下がる。
外食は 130 拠点に縮み、買収した会社の撤退や減損が出る。利益はゼロに近づく。情報・サービスは赤字が 5% に広がる。
全体の営業利益は 7 億円。本社費は物価で増え続け、利益を食う。純利益は 5 億円、ROE は 2% まで落ちる。
優待は継続が 0.5 倍で、10 年で 13 億円ほどと見る。純現金は買収の失敗と店舗の整理で目減りする。大株主が 3 つに分かれ、現金の戻りも期待できない。規模を追ってきた路線が裏目に出る 10 年である。
- 物販(厨房機器):数量 80.0(テンポスバスターズの店舗数(店))× 価格 34,930(1 店あたり年間売上(万円、直販・ネットを含む))→ 売上 279 億円・営業利益 11 億円。80 店 × 3.49 億円。単価は今のまま、利益率 4%
- 外食:数量 130(外食の店舗・拠点数(当社推定))× 価格 14,570(1 拠点あたり年間売上(万円))→ 売上 189 億円・営業利益 0 億円。130 拠点 × 1.46 億円。撤退と減損で利益ゼロ
- 情報・サービス:数量 8,000(会員法人数(社))× 価格 48(1 社あたり年間売上(万円))→ 売上 38 億円・営業利益 −2 億円。8,000 社 × 47.7 万円。赤字 5%
倍率:ROE 2.0% は k 7% 以下で、稼ぐ力は純利益 5.5 億円と小さい。床は今の自己資本 177 億円に PBR 0.30 倍を掛けた約 53 億円で、純現金 71 億円に戻り方 0.75 を掛けた約 53 億円とほぼ同じ。買収の失敗と店舗の整理で現金が目減りし、少数株主は現金の使い道を決められないため、満額は見ない。やや悲観の PBR 0.49 倍より低い。
確率:景気後退で外食と開業が同時に落ち、買収の失敗が重なる構造的な負け。確度は低いが、2,000 億円目標の遅れと固定費の重さを考えると無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
物販(厨房機器)
中古と新品の業務用厨房機器を売る「テンポスバスターズ」の店舗と、直販・ネット。
| 数量テンポスバスターズの店舗数(店) | 価格1 店あたり年間売上(万円、直販・ネットを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 82.0 | 34,930 | 286 | 23 |
| 10 年後 中立 | 112 | 43,663 | 489 | 39 |
取り方:店舗数は 2026 年 4 月期末の 82 店。売上 286.4 億円は物販区分の全体(内部取引を含む)で、直販とネット、他の子会社の売上も含むため、店数で割った 3.5 億円は店の実力より大きめに出る。営業利益 23.34 億円は会社開示の区分利益。
外食
ステーキの「あさくま」、ヤマトサカナ、サンライズサービス(宅配、2025 年 7 月から連結)などの飲食・宅配事業。
| 数量外食の店舗・拠点数(当社推定) | 価格1 拠点あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 150 | 14,570 | 219 | 8 |
| 10 年後 中立 | 200 | 18,941 | 379 | 17 |
取り方:店舗・拠点数は会社が開示しておらず、当社が 150 と推定した(宅配拠点 48 を含む)。売上 218.6 億円と営業利益 7.89 億円は会社開示の区分値(内部取引を含む)。サンライズの連結が 2025 年 7 月からなので、通期に直すと拠点あたりの売上は変わる。
情報・サービス
飲食店の開業・経営支援の会員サイト、3D 図面、決済、人材育成など。
| 数量会員法人数(社) | 価格1 社あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 9,103 | 48 | 43 | −1 |
| 10 年後 中立 | 11,000 | 62 | 68 | 2 |
取り方:会員法人 9,103 社(テンポスドットコム)を数量に置き、区分売上 43.4 億円を割った。営業利益はマイナス 1.01 億円で、ディースパークの先行投資と IT 導入補助金の通過率の低下が理由。全社の調整額(本社費)は約マイナス 1.3 億円。
リスクと懸念
外食の人件費と原材料の上昇
外食は売上の約 4 割を占めるが、営業利益率は 3% 台と薄い。人件費や食材が値上げを上回って上がれば、利益はすぐに削られる。
買収ののれんと減損
2011 年から買収で外食を広げてきた。のれんの償却は 2027 年 4 月期に倍増する見込みで、買収した会社が育たなければ減損が出る。
会社予想の後半偏重
2027 年 4 月期の営業利益は 5 割近い増益の予想だが、第 1 四半期は 4 割減った。出店と採用の費用が先に出ており、達成できなければ株価は大きく動く。
景気後退で 2 つの本業が同時に落ちる
リーマン級の不況では、外食の既存店売上が 2〜3 割減る。新規の開業も減るので、厨房機器の売上も落ち、2 つの本業が同じ方向に動く。
補助金への依存
情報・サービスは IT 導入補助金の審査が厳しくなり、赤字になった。制度の変更で、収益の前提が崩れる。
創業者への依存と承継
社長は創業者で、買収の判断も本人に集まる。承継の見通しは会社から示されておらず、経営の方向が変わる可能性がある。
店舗の賃借と固定費
バスターズも外食も、店を借りて運営する。家賃は売上が落ちても減らない固定の約束で、金額は文字のページでは確認できなかった。
今後の分かれ目
- バスターズの既存店売上が 1 年を通して 100% を超え、新店客の 2 回目の購入が増えれば
- 店数の伸びが利益に結びつき、中立から強気の筋書きに近づく。
- 外食の営業利益率が 5% を超えれば
- 全社の利益率が上がり、純利益の水準が高くなる。評価を改める。
- のれんの減損を計上する、または買収した会社の撤退が出れば
- 買収の成果が出ていない証拠で、やや悲観〜悲観の筋書きに近づく。
- 配当性向を引き上げる、または自社株買いを始めれば
- 少数株主への還元が増え、自己資本の膨らみが抑えられる。評価を改める。
- 創業者が承継の方針を示す、または持ち分を動かせば
- 経営の継続性が見え、リスクが下がる。TOB が出れば、買付価格しだいで上振れる。
- 景気後退が来て、外食の既存店売上が 2 割以上落ちれば
- 外食と厨房機器の売上が同時に落ち、悲観の筋書きに近づく。
見ておくもの
- テンポスバスターズの既存店売上と店数(月次)
- 外食の営業利益率と、買収した会社ののれん
- 情報・サービスの利益と、補助金の動き
- 2027 年 4 月期の営業利益の達成度(四半期ごと)
- 配当性向と自社株買い、優待の費用
- 創業者と大株主の持ち分、承継の方針
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER を見て筋書きを作っていない。先に物販・外食・情報・サービスを「数量 × 単価」で 10 年分積み、そこから ROE と資本コスト 7% で倍率を決めた。中立の営業利益は 56 億円で、2027 年 4 月期の会社予想 42.6 億円より 3 割ほど高い。
中立の倍率は、ROE が k をわずかに上回るだけなので下限の 1÷k = 12.5 倍に置いた(正当化 PER の 8 割だと 1÷k を下回る)。結果が割高に出たのは、今の PER が約 23 倍と高いからではなく、売上を 7 割増やしても、純利益が 10 年で 2 倍弱にとどまるためだ。
外食の店舗・拠点数は会社が開示していないので、当社が 150 と置いた。物販の単価は直販とネットも含めて割っている。優待の費用も推定で、2 倍程度ずれうる。配当と優待の合計は、全体の価値の約 1 割で、結論は動かない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.5→19.34 倍・やや楽観 PER 13→18.46 倍・中立 PER 12.5→17.44 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。