結論
ビューティカダンホールディングスは、葬儀の花祭壇をつくり、花を卸す会社だ。売上は 73 億円と小さく、2026 年 6 月期は営業赤字に沈んだ。筆者は、今の値段を大きく割高と見る。10 年後に積み上がる価値は、今の時価総額の 1 割台にとどまる。
理由は、利益の薄さだ。祭壇が売上の 5 割強を占めるが、花材と人件費の上昇で利益が消えた。卸も円安と物流費で赤字に落ちた。会社の来期予想も営業利益は 1 千万円にすぎない。自己資本比率は 17% で、借入の金利が上がる世界では余裕がない。
救いは、死亡者数が 2040 年ごろまで増えることと、低価格祭壇の集中生産という独自の工夫だ。だが小規模な葬儀が主流になり、花祭壇を使わない葬儀も増えている。需要はあっても、1 件あたりの売上と利益が細りやすい構造だ。
もっとも、会社が小さいので買収される可能性は残る。ただ、それを前提に価値は置けない。まず問われるのは、本業の採算を取り戻せるかどうかだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ビューティカダンは持ち続けたい会社ではない。事業は葬儀という安定した需要に乗っているが、その中での立場が弱い。
花祭壇は、花材と人件費が原価の大半で、値上げは交渉で決まる。決めるのは葬儀社の側だ。堀と呼べるほどの強みは見当たらず、利益率は 10 年以上、3% を超えていない。
株主のものになる利益は、いま事実上ゼロに近い。自己資本は 4 億円、借入は 6 億円で、利益が出ても返済が先になる。払う値段に安全域がない。時価総額は自己資本の約 4 倍で、稼ぐ力から見ても高い。
10 年先に残る利益は 0.4 億円ほどとみる。それに見合う値段は、今の 4 分の 1 にも届かない。
経営が本業の採算を取り戻すか、買収で価値が顕在化するかのどちらかが起きるまで、安全域のない会社だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、葬儀に使う花だ。売上の約 55% が生花祭壇、約 35% が生花卸売で、ほかにブライダル装花と肥料・農業がある。
生花祭壇は、葬儀会社の依頼で式場に花の祭壇を組む仕事だ。1 件ごとに人手がかかり、花材の値段と職人の人件費がそのまま原価になる。会社は低価格祭壇を集中生産して、全国の式場に出荷する形をとる。海外の産地から直接輸入し、冷蔵輸送でつなぐ体制も持つ。
生花卸売は、花市場や産地から仕入れた花を、葬儀社や花店、結婚式場に売る。量は取れるが、為替と物流費の波を受けやすく、利益は薄い。2026 年 6 月期は円安の仕入れ高を売値に乗せきれず、営業赤字に落ちた。
ブライダル装花は、価格の見直しと広告費の削減で黒字に戻った。その他は肥料と農業で、連作障害の影響が続き赤字が広がった。システム開発事業は 2025 年 6 月末に譲渡し、花に事業を絞り込んだ。2025 年 5 月に南産業(熊本)を買い、卸の営業網を広げている。顧客は葬儀会社、花店、結婚式場で、特定の一社への依存度は開示では確かめられない。
優良さと弱いところ
優良さは低い。葬儀の花は景気に左右されにくく、会社は祭壇の全国供給網と海外からの直輸入という実務の強みを持つ。ただ、それが利益に変わっていない。
過去 12 年の営業利益率は、最も良い年でも 3% にとどまる。赤字の期も多い。2020 年 6 月期は営業赤字、2026 年 6 月期も赤字だ。花祭壇は、花材と人件費が原価の大半で、値上げは葬儀社との交渉になる。価格を決める力は弱い。
財務も心もとない。自己資本は 4 億円で、自己資本比率は 17%、純有利子負債は 6 億円ある。営業利益は支払利息を賄えていない。
資本の使い方は、システム開発という本業と離れた事業を抱え、のちに手放した跡が残る。南産業の買収も、卸の採算が悪化した時期と重なった。筆者は、経営が本業の採算を取り戻せるかを、まず見たい。資本コストには、借金と寿命の上乗せを付けた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
葬儀の市場は、死亡者数に支えられている。年間の死亡者数は 150 万人台で、2040 年ごろまで緩やかに増える見通しだ。ただ、増えるのは高齢の方で、葬儀の形は小さくなっている。家族葬や一日葬、直葬の比率が上がり、花祭壇を大きく飾る葬儀は減る。1 件あたりの売上は、物価が上がっても伸びにくい。
競合は、葬儀会社が自前で花を手配する場合と、地域の花店、全国の花祭壇専業に分かれる。大手の葬儀社が内製や集約を進めれば、花の専業は下請けの色が濃くなる。低価格の葬儀紹介サイトの広がりも、花に使える予算を圧縮する。
花の仕入れは、産地の天候と為替に左右される。円安と物流費の高止まりは、2026 年 6 月期の卸の赤字の主因だった。人手不足で職人の人件費も上がる。コストが先に上がり、価格への転嫁が遅れる構図が続くと、利益が出にくい。
一方で、冷蔵輸送と大量仕入れを持つ会社は、規模の小さい花店よりコストで有利に立てる。会社の中計は、M&A による営業網の拡大と DX を掲げている。花の産地は国内と海外に分かれ、輸入比率を上げるほど為替の影響が大きくなる。
資本政策と M&A
配当は、2026 年 6 月期は無配だ。自己資本比率が 17% に下がり、返済と採算の回復が先になる。自社株買いの実績もない。
M&A は、2025 年 5 月に南産業(熊本)を買収し、同年 6 月に子会社の SHF を譲渡した。システム開発も 2025 年 6 月末に手放し、花に絞る方向だ。中計(2025 年 6 月期〜2027 年 6 月期)は ROE15% 以上を長期目標に掲げるが、足元の ROE は大きな赤字で、目標との距離は遠い。
時価総額が 16 億円と小さく、買収される可能性は残る。ただ、公開買付けや非公開化の発表はなく、価値には入れていない。
借入は、金利が上がる世界で重くなる。借り換えのたびに利払いが増える点に注意が必要だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
死亡者数は 2040 年ごろまで増え、葬儀の花の需要は消えない。会社は低価格祭壇の集中生産と海外からの直輸入、冷蔵輸送を持ち、規模の小さい花店より安く作れる。2026 年 6 月期の赤字は、花材と円安、人件費の一時的な上昇が重なった結果だ。ブライダル装花は価格の見直しだけで黒字に戻っており、同じ手を祭壇と卸にも使える。
祭壇の営業利益率は 2025 年 6 月期に 5% を超えていた。その水準に戻れば、売上 70 億円規模でも営業利益は 2 億円になる。システム開発を手放し、事業が花に絞られた分、経営の目が届く。南産業の買収で卸の網が広がり、取扱量の増加が仕入れ交渉力につながる。
時価総額が小さいため、大手の葬儀社や花卉の企業が買収に動く可能性もある。会社の来期予想が黒字転換に戻っている点も、底を打ったことを示す。中計の目標を達成できなくても、利益率が 3% に戻るだけで価値は大きく変わる。
慎重な見方
花祭壇の市場は、数量で伸びにくい。死亡者数が増えても、家族葬や一日葬、直葬が増え、花に使う予算は減っている。1 件あたりの売上は物価に追いつかない。大手の葬儀社が内製に動けば、専業は下請けの立場が強まる。
利益は薄いまま、コストだけが先に上がる。花材は円安と産地の天候に振られ、人件費は人手不足で上がる。会社が 2026 年 6 月期に営業赤字へ落ちたのは、その構造が表に出たからだ。来期の会社予想も営業利益は 1 千万円と、売上の 0.1% にすぎない。
自己資本は 4 億円、自己資本比率は 17%、営業利益は支払利息を賄えていない。借り換えで金利が 3.5% 前後に上がれば、利払いがさらに増える。ROE を 15% にする中計の目標は、足元の数字から遠い。
時価総額は自己資本の約 4 倍で、稼ぐ力に比べて高すぎる。買収の期待は、価格に入っているだけで、価値の裏づけではない。システム開発や農業の撤退・縮小が続いたことも、本業以外で資本を使って失敗した記録として重い。
どちらに重みを置いたか
稼ぐ力と財務の議論では、慎重な見方が強い。祭壇の採算が戻る可能性は残るが、戻っても営業利益は 1〜3 億円で、今の時価総額を正当化しない。確率はやや悲観に 30%、悲観に 15% を置き、中立の 35% を最も厚くした。結果として、価値は今の時価総額の 1 割台に出た。買収の期待は価値に入れていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 110 円5 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 8 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 47 円2 億円、今との差 −87.8%、 期待の年率 −11.2%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 598 円25 億円 | 44 円2 億円 | +65.8% | +5.2% | 32 円1 億円 |
| やや楽観 | 15% | 211 円9 億円 | 20 円1 億円 | −40.5% | −5.1% | 35 円1 億円 |
| 中立 | 35% | 105 円4 億円 | 7 円0 億円 | −71.1% | −11.7% | 39 円2 億円 |
| やや悲観 | 30% | 30 円1 億円 | 0 円0 億円 | −92.1% | −22.4% | 9 円0 億円 |
| 悲観 | 15% | 20 円1 億円 | 0 円0 億円 | −95.0% | −25.8% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 110 円5 億円 | 8 円0 億円 | −69.6% | −11.2% | 118 円5 億円 |
今の株価時価総額 387 円16 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 葬儀の小規模化を低価格の祭壇で受け止め、利益率が 3% 近くまで戻る 利益 2 億円 · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 598 円25 億円
低価格祭壇の集中生産と海外からの直輸入が効き、小規模な葬儀でも利益が残る形ができる。死亡者数は 2040 年ごろまで増えるため、施行件数は今より 1 割ほど増える。花材と人件費の上昇は価格に乗せられ、祭壇の利益率は 6% を超える。卸は葬儀社向けの数量を増やし、円安の仕入れ高を転嫁する。ブライダルは既存会場でシェアを広げる。肥料・農業は赤字を止める。本社費は物価で膨らむが、売上の伸びで薄まる。営業利益は 3 億円近くになり、借入は返済が進む。配当は再開し、純利益の 1 割程度を払う。買収が価値を上げる形で働く場合も、この筋書きに含まれる。減価償却は取得時の値段のままで、設備更新の投資は花の冷蔵・輸送設備で建築費の上昇を受ける。
- 生花祭壇:数量 14,800(施行件数(件))× 価格 41(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 61 億円・営業利益 4 億円
- 生花卸売:数量 1,400(取扱量(万本))× 価格 276(1 本あたりの売上(円))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円
- ブライダル装花:数量 1,800(施行件数(件))× 価格 29(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円
- その他(肥料・農業):数量 10,000(取引件数(件))× 価格 6.80(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 24.6% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 17.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.8 倍。全体の PER 12.81 倍、時価総額 22 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:赤字が続いた会社が、10 年で売上 110 億円・営業利益率 2.6% まで戻る筋は条件が重なる。5%。
やや楽観 15% やや楽観:祭壇の採算が戻り、卸も黒字に 利益 1 億円 · PER 10.4 倍 · 株価時価総額 211 円9 億円
花材と人件費の上昇が価格に乗り、祭壇の営業利益率は 5% に戻る。2025/06 期の水準に近い。卸は円安と物流費の高止まりが一巡し、2% 台の利益に戻る。ブライダル装花は価格見直しの効果が続く。肥料・農業は赤字がほぼ止まる。施行件数は小規模化の影響を受け、今より 5% ほど増えるにとどまる。本社費は物価で増えるが、システム開発の譲渡で重荷が減っている。営業利益は 1 億円台前半。借入の返済は少しずつ進み、金利が上がっても利払いは利益の範囲に収まる。配当は小さく再開する。減価償却は取得時の値段のままで、冷蔵設備の更新は建築費の上昇で重くなる。
- 生花祭壇:数量 14,100(施行件数(件))× 価格 41(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 58 億円・営業利益 3 億円
- 生花卸売:数量 1,320(取扱量(万本))× 価格 272(1 本あたりの売上(円))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円
- ブライダル装花:数量 1,650(施行件数(件))× 価格 29(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円
- その他(肥料・農業):数量 9,500(取引件数(件))× 価格 6.75(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.2% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.4 倍。全体の PER 10.38 倍、時価総額 8 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027/06 期の会社予想は営業利益 0.1 億円。そこから採算が戻る筋は十分ありうる。15%。
中立 35% 中立:祭壇の件数は横ばいで、営業利益率は 1% 前後にとどまる 利益 0 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 105 円4 億円
死亡者数は増えるが、小規模な葬儀が増え、低価格の新規参入も続く。祭壇の施行件数は今と同じ水準で、1 件の売上は物価並みに上がる。花材と人件費は同じ速さで上がるため、祭壇の利益率は 5% に戻るのがやっとだ。卸は薄利のまま、2% 台半ばの利益を保つ。ブライダルは黒字を保つが、肥料・農業は収支が均衡する程度。本社費は 10 年で物価の分だけ膨らみ、利益の大半を食う。営業利益は 0.8 億円足らず、純利益は 0.4 億円ほど。借入は 6 億円前後で、借り換えの金利が 3.5% 前後に上がる。配当は出しても少額で、自己資本は少しずつ積み上がる。
- 生花祭壇:数量 13,400(施行件数(件))× 価格 40(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 54 億円・営業利益 3 億円
- 生花卸売:数量 1,250(取扱量(万本))× 価格 269(1 本あたりの売上(円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円
- ブライダル装花:数量 1,500(施行件数(件))× 価格 28(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円
- その他(肥料・農業):数量 9,040(取引件数(件))× 価格 6.70(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 4 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社予想は営業利益 0.1 億円で、過去 12 年の営業利益率の中央値は 1% 台。その延長を最も厚い 35% とした。
やや悲観 30% やや悲観:件数と単価が縮み、営業利益がゼロ近辺に張りつく 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 30 円1 億円
家族葬や一日葬、直葬が主流になり、花祭壇を使わない葬儀が増える。施行件数は今より 1 割ほど減り、1 件の売上も物価ほど上がらない。低価格の同業との競争で祭壇の利益率は 3% 台にとどまる。卸は大手の仕入れ網に押され、薄利が続く。肥料・農業は赤字が残る。本社費は人員の見直しで売上の伸び以下に抑えるが、営業利益は赤字すれすれ。借入の金利上昇が利払いを増やし、純利益は小さな赤字になる。配当は出せず、自己資本は少し減る。設備の更新を先送りするため、品質と納期で大手に劣り、受注がさらに細る。銀行は返済を急がせないが、新しい借入の条件は厳しくなる。
- 生花祭壇:数量 11,700(施行件数(件))× 価格 39(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 45 億円・営業利益 2 億円
- 生花卸売:数量 1,150(取扱量(万本))× 価格 255(1 本あたりの売上(円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円
- ブライダル装花:数量 1,300(施行件数(件))× 価格 27(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円
- その他(肥料・農業):数量 8,000(取引件数(件))× 価格 6.00(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円
倍率:営業損益が赤字すれすれで PER は使えない。構造的に稼ぐ力が細る筋なので、今の自己資本 4.2 億円に PBR 0.3 倍を掛けた。ROE は資本コストを大きく下回る。
確率:2026/06 期は営業赤字に転落し、過去 12 年で赤字の期が多い。利益が出ない筋は起こりやすい。30%。
悲観 15% 悲観:花祭壇の需要が細り、事業の一部を手放して縮む 利益 −3 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 20 円1 億円
花祭壇を使わない葬儀が広がり、施行件数は 3 割近く減る。大手の葬儀社が内製や仕入れの集約を進め、卸も量が落ちる。祭壇の利益は出ず、卸も赤字、肥料・農業は不採算で縮小する。営業赤字が続き、自己資本は削られる。銀行は担保や返済を求め、会社は子会社や事業を売って返済に回す。配当は出せない。株主に残る価値は、売掛金・在庫・設備を売った手取りから借入を返した残りにとどまる。買い手が現れても、値段は帳簿の資産を大きく下回る。ブライダル装花は式場の縮小で件数が減り、肥料・農業は撤退する。本社費は人員の削減で 2 割ほど減らすが、売上の落ち込みには追いつかない。
- 生花祭壇:数量 9,600(施行件数(件))× 価格 37(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 35 億円・営業利益 0 億円
- 生花卸売:数量 900(取扱量(万本))× 価格 240(1 本あたりの売上(円))→ 売上 22 億円・営業利益 0 億円
- ブライダル装花:数量 1,000(施行件数(件))× 価格 24(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円
- その他(肥料・農業):数量 5,000(取引件数(件))× 価格 6.00(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円
倍率:赤字で PER は使えない。純現金と売れる資産の手取りを今の自己資本 4.2 億円の約 2 割とみて、PBR 0.19 倍とした。
確率:自己資本比率 17% で赤字が続けば、事業の縮小に追い込まれる。15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
生花祭壇
葬儀会社向けに花祭壇を企画・製作・施行する中核事業。
| 数量施行件数(件) | 価格1 件あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 13,400 | 30 | 40 | 1 |
| 10 年後 中立 | 13,400 | 40 | 54 | 3 |
取り方:2026/06 期の売上 40.15 億円・営業利益 0.98 億円(決算短信の報道)。施行件数の開示はなく、売上を 13,400 件 × 1 件 30 万円と置いた推定。単位は 1 万円 × 件 = 0.0001 億円。
生花卸売
花市場・産地から仕入れた花を、葬儀社・花店・ブライダル会場へ卸す事業。
| 数量取扱量(万本) | 価格1 本あたりの売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,250 | 201 | 25 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,250 | 269 | 34 | 1 |
取り方:売上 25.16 億円・営業損益 −21 万円(報道)。取扱本数の開示はなく、1,250 万本 × 1 本の単価 201(単位は円)と置いた推定。単位は 万本 × 円 = 0.0001 億円。
ブライダル装花
結婚式場向けの会場装花。
| 数量施行件数(件) | 価格1 件あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,500 | 21 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,500 | 28 | 4 | 0 |
取り方:売上 3.17 億円・営業利益 0.06 億円(報道)。件数の開示はなく、1,500 件 × 1 件 21.1 万円と置いた推定。
その他(肥料・農業)
肥料の製造販売と農業。システム開発は 2025/06 末に譲渡済み。
| 数量取引件数(件) | 価格1 件あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 9,040 | 5.00 | 5 | −1 |
| 10 年後 中立 | 9,040 | 6.70 | 6 | 0 |
取り方:売上 4.52 億円・営業損失 0.53 億円(報道)。件数の開示はなく、9,040 件 × 1 件 5 万円と置いた推定。農業部門の連作障害で赤字が拡大。
リスクと懸念
花祭壇の需要の縮小
家族葬・一日葬・直葬が増え、花祭壇を大きく飾る葬儀が減る。死亡者数が増えても、1 件の売上と利益が細る。
花材・人件費・為替の先行上昇
花の仕入れは円安と産地の天候で動き、職人の人件費も上がる。葬儀社への価格転嫁が遅れる構図が続けば、赤字が続く。
借入と金利上昇
純有利子負債は 6 億円で、自己資本の 1.4 倍。借り換えで金利が 3.5% 前後に上がると、営業利益の薄い会社には重い。
大手葬儀社の内製化・集約
大手が花の手配を自前や集約仕入れに切り替えれば、専業は下請けの色が濃くなり、値引き圧力が強まる。
肥料・農業の赤字
連作障害の影響が続き、2026 年 6 月期は営業赤字が 0.5 億円に広がった。撤退や追加の減損が出る恐れがある。
M&A の失敗と本業の分散
システム開発や農業のように本業と離れた事業を抱え、のちに手放した経緯がある。次の買収も採算を壊しうる。
今後の分かれ目
- 祭壇の営業利益率が 2 期続けて 5% を超える
- やや楽観の確率を上げ、価値を見直す。
- 卸売の営業利益が黒字に戻り、円安と物流費の転嫁が進む
- 中立の卸の利益率を上げ、赤字の理由を一過性に寄せて見る。
- 自己資本比率が 15% を割る、または借り換えの条件が悪化する
- やや悲観と悲観の確率を上げる。
- 公開買付けや非公開化の発表がある
- 筋書きの前提が変わるので、分析を作り直す。
- 葬儀の施行件数が年 3% を超えて減る
- 祭壇の数量の見立てを下げる。
見ておくもの
- 祭壇の施行件数と 1 件あたりの売上
- 卸売の営業損益
- 自己資本比率と借入の条件
- 本社費の水準
- 配当の再開
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k を下回る事業の上限 1÷k(約 10.8 倍)から、借金の重さと利益の薄さを考えて置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。数量(件数・本数・取引件数)は売上からの推定で開示がない。買収の期待は価値に入れていない。新リース会計基準で賃借が BS に載っても、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.81 倍・やや楽観 PER 9.5→10.38 倍・中立 PER 8.5→10 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。