結論
あいホールディングスは、防犯カメラとレコーダーを核に、ビジネスホン、カッティングプロッタ、計測器、耐震設計までを抱える持株会社だ。利益の柱はセキュリティ機器の1本で、売上の2割弱なのにセグメント利益の過半を稼ぐ。残りの事業は売上こそ大きいが、利益率は数%にとどまる。
ここ2年で岩崎通信機とナカヨを傘下に入れ、売上は5割増えた。だが買い足したのは、縮む市場の薄利事業である。前々期は買収価格が純資産を下回った差益が約180億円出たが、一度きりの会計上の利益だ。本業の稼ぐ力は、会社予想の営業利益110億円が目安になる。
財務は強い。純現金は時価総額の3割あり、DOE6%の配当方針で還元も厚くなった。筆者はこの現金を高く評価する。問題は10年後の本業だ。防犯カメラの高い利益率が保てるか、電話と周辺機器の縮小をどこまで抑えられるかで決まる。
中立の筋書きでは、営業利益は年2%台の伸びにとどまる。確率で重みづけした本質価値は、今の時価総額を2割台半ば下回り、「やや割高」と出た。会社の質が悪いのではない。強いのは一部で、全体の稼ぎが値段を支えきれない。
バリュー投資の観点から
この会社を長く持ちたいか。答えは「半分だけ」だ。セキュリティ機器の高収益事業は持ち続けたい。ほかは、買い手が現れるかどうかの商いである。
オーナー利益、つまり再投資を引いて株主が自由に使える利益は、見かけの純利益より小さい。一時の差益や売却益が混ざるからだ。本業の営業利益に利息を足して税を引くと、来期の純利益は会社予想の90億円前後が現実的な水準になる。
資本の使い方は、評価が割れる。買収が純資産より安く済んだのは売り手が弱かったからで、再現できる保証はない。縮む市場の会社を黒字にできたのは成果だが、売上を伸ばす道はまだ見えない。
安全域は、財務の強さが最後の守りになる。純現金は時価総額の3割、自己資本比率は8割で、悲観の筋書きでも現金が価値の床になる。ただ、事業の稼ぎが落ちれば配当の原資は細る。堀が一つの事業にしかない点を、筆者はいちばん重く見ている。
何で稼ぐ会社か
事業は6つの領域に分かれる。最大は情報通信で、売上の3割強を占める。岩崎通信機・ナカヨ・東通工業が、ビジネスホンなどの通信機器を作り、売り、直す。
次がセキュリティ機器で、売上の2割弱だ。ドッドウエル ビー・エム・エスが防犯カメラとレコーダーを売り、あいエンジニアリングが開発を受け持つ。導入先は官公庁、銀行、学校、病院、マンション、商店街まで広い。売った後の保守が続くのも特徴だ。
情報機器は、グラフテックのカッティングプロッタと、家庭向けのシルエットの事業で、北米の需要に左右される。計測機器は、データロガーなどを作るグラフテックと岩通計測。設計事業は、あい設計と田辺設計が構造設計と耐震診断を請け負う。
その他には、カード発行機、リース、ゴルフ場、おしぼり機、空調の省エネ装置、半導体検査装置の保守などが雑多に並ぶ。買った会社を持株会社が束ねた、小さな複合企業だ。
利益は偏っている。直近のセグメント利益の合計は約110億円で、うちセキュリティ機器が約62億円を占める。情報通信は売上271億円に対し、利益は12億円台にすぎない。この偏りが、評価の出発点になる。
優良さと弱いところ
堀は、セキュリティ機器の1本に集約される。この事業の営業利益率は4割近い。機器を売る商売としては異例の高さで、売った後の保守と更新が積み重なっているのが背景だと筆者は見る。グループの採用案内は国内シェア2位をうたい、導入は全国で約15万台に及ぶとする。ただし会社側の説明で、第三者の統計では確かめられなかった。
ほかの事業に、堀は薄い。ビジネスホンは縮む市場で、NEC・サクサ・OKIなどと分け合う。カッティングプロッタは米国のCricutとの競争があり、北米の景気に左右される。計測器は規模が小さい。耐震診断は請負で、大口の案件があるかどうかで利益が跳ねる。
経営の姿勢は悪くない。買収した2社は、売上を追うのをやめて粗利を重視する方針に変え、黒字になったと会社は説明する。会長の佐々木氏が約19%を持つので、株主との利害も近い。自己資本比率は8割で、借金はほぼない。
弱いのは、利益の質のぶれだ。純利益は買収差益や固定資産の売却益で大きく動くため、水準だけでは稼ぐ力が読めない。ROEが10%前後に落ちたのも、薄利の事業が積み上がったからである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
防犯カメラの市場は伸びているが、伸びる中身が問題だ。矢野経済研究所は、国内の監視カメラ市場が2025年度に約2,500億円、2030年度に約4,400億円になると見る。牽引役は画像解析とクラウドで、ハードを売る商売から映像データを使うサービスへ、重心が移っている。
この波は追い風でもあり、脅威でもある。増えるのは安価なクラウド型のカメラとソフトで、レコーダーを核にした従来型の商売は取り残されかねない。競合には、パナソニック系のi-PROや、クラウド型のセーフィーなどがいる。
ビジネスホンとPBXの国内市場は、業界団体の推計で2020年ごろに700億円規模だった。買い替えは故障や寿命が中心で、クラウドPBXへの移行も進むため、緩やかな縮小が続くのが素直な見方だ。岩崎通信機とナカヨを合わせたのは、この縮む市場で開発と販売の重なりを減らすためである。成長の買収ではなく、守りの再編だ。
カッティングプロッタは、趣味と小規模事業の需要で、北米の消費と関税で振れる。計測器とデータロガーは、電子機器や自動車の開発投資に連動し、国内はほぼ横ばいだ。
耐震診断と構造設計は、建築の着工と耐震改修の補助に左右される。今期は大口の受注で利益が3倍になったが、同じ規模が毎年続くとは考えにくい。国内は人口が減るので、グループ全体の数量は伸びにくく、売上が増えるのは値上げが通る範囲にとどまる。
資本政策と M&A
還元は厚くなってきた。2026年2月に、配当を「配当性向50%とDOE6%のいずれか大きい額」で決める方針に改めた。直近の配当性向は5割台後半で、来期は一時の利益が抜けて8割台になる見込みだ。自社株買いは大きくは行っていない。
資本の使い道の中心は買収である。2023年に岩崎通信機へ出資し、2024年10月に株式交換で完全子会社にした。ナカヨは2022年に株を買い集め、2025年のTOBで完全子会社にした。買付総額は最大で約105億円。買収価格が純資産を下回り、約180億円の差益が出たが、これは会計上の利益で、現金は増えていない。
純現金は約550億円ある。買収に使い続けるのか、配当に回すのかが、この会社の価値を分ける。割安に買えているうちは筋がよい。ただ、買う相手が縮む市場の薄利事業なので、安く買えても、その後の稼ぎが続くとは限らない。
買われる側になる可能性も残る。参考の計算では、10年以内にTOBや買収で消える確率は約2割だ。ただし具体的な材料は見当たらない。
10年の還元は、株主資本配当率6%と配当性向50%の大きい方の方針どおり(中立で純利益の約8割)。純利益を超えないので、余った現金は別に足してよい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
防犯カメラ市場は、2030年度に向けて約2,500億円から4,000億円台へ伸びる。画像解析とクラウドで用途が防犯から業務の効率化へ広がり、需要の裾野が太くなる。あいホールディングスは国内シェア2位を掲げ、約15万台の導入先に保守の基盤を持つ。更新と保守が積み上がるので、売上は崩れにくい。営業利益率が4割もあるのは、売れた台数がそのまま保守と更新に変わる構造だからだ。
買収した2社はすでに黒字で、統合の効果はこれからだ。ナカヨと岩崎通信機の開発と販売を一本にすれば、固定費は下がる。両社の技術者は、IoTやAIの新製品に回せる。耐震診断のように、法規と補助で需要が立つ事業も持つ。
財務は無借金で、純現金は時価総額の3割ある。DOE6%の新方針で配当が厚くなり、現金の使い道に規律がついた。金利が上がれば、手元の現金の利息も増える。10年では、割安な買収の再現と現金の活用で、営業利益は2倍近くに届く余地がある。
慎重な見方
防犯カメラの高収益は、レコーダーを核にした従来型の商売に乗っている。市場の伸びを運ぶのは、安価なクラウド型のカメラとソフトだ。i-PROやセーフィーのような相手に、旧来型は顧客を奪われやすい。利益の半分超が一つの事業に集まっていて、ここが崩れれば全体が崩れる。
ほかの事業は縮む市場にある。ビジネスホンはクラウドPBXに置き換わり、プロッタは北米の消費と関税に左右される。売上の3割強を占める情報通信の利益率は、4%台にとどまる。買収は縮む市場の統合であって、成長ではない。買収差益は一度きりで、本業の稼ぎを映していない。
会社予想の純利益は、前期より約25%減る。来期の配当性向は8割台になる見込みで、DOE6%を守ると、利益が落ちたときは現金を取り崩して配る形になる。現金は厚いが、買収に使えば失敗の損も増える。複合企業は事業ごとに顧客も技術も違い、経営の目が行き届きにくい。意思決定が少数に集まる体制も、資本配分の不透明さを残す。
どちらに重みを置いたか
強気の見方が正しいのは、財務の強さと、防犯カメラの利益率までだ。10年先もそれが続くかは、市場の伸びがレコーダー型に回るかどうかにかかる。慎重な見方は、利益が一つの事業に偏り、残りが縮む市場だと指摘する。この指摘のほうが重いと筆者は見た。確率は、中立を中心に置いたうえで、やや悲観と悲観を合わせて4割弱に寄せ、楽観側は3割にとどめた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 3,706 円1,976 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,377 円735 億円)。 今の値に割り戻すと 2,811 円1,499 億円、今との差 −11.0%、 期待の年率 +4.9%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 6,294 円3,357 億円 | 1,875 円1,000 億円 | +158.5% | +10.0% | 817 円436 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,182 円2,764 億円 | 1,687 円900 億円 | +117.4% | +8.1% | 1,374 円733 億円 |
| 中立 | 33% | 4,264 円2,274 億円 | 1,500 円800 億円 | +82.4% | +6.2% | 1,902 円1,015 億円 |
| やや悲観 | 24% | 2,129 円1,135 億円 | 1,031 円550 億円 | 0.0% | 0.0% | 758 円404 億円 |
| 悲観 | 13% | 937 円500 億円 | 844 円450 億円 | −43.6% | −5.6% | 232 円124 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,706 円1,976 億円 | 1,377 円735 億円 | +60.8% | +4.9% | 5,083 円2,711 億円 |
今の株価時価総額 3,160 円1,685 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 10% 防犯機器の高収益が続き、電話も黒字化 利益 163 億円 · PER 18.8 倍 · 株価時価総額 6,294 円3,357 億円
防犯カメラ市場が10年で実質1.7倍に伸び、あいホールディングスは5%台のシェアを保つ。画像解析つきの新型レコーダーと保守契約が更新の波に乗り、セキュリティ機器の売上は約310億円、営業利益率は4割近くに届く。ナカヨと岩崎通信機の統合で開発費が下がり、情報通信の利益率は8%まで上がる。
プロッタは北米が持ち直し、計測器は海外の電子産業向けに伸びる。買収は割安な案件に絞り、現金を使って事業を広げながらも、DOE6%の配当は守る。営業利益は約200億円、純利益は約160億円になる。クラウド型の競合には、保守と現場対応という足の強さで対抗でき、レコーダーを売る商売が崩れずに続く10年だ。
- セキュリティ機器(防犯カメラ・レコーダー):数量 59.8(年間に販売・保守する防犯システムの数(千システム相当。国内の監視カメラ市場(実質)× シェアから推定))× 価格 52(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守を含む。物価 3% に機器の値下がりを引いて、中立は 10 年 1.30 倍))→ 売上 309 億円・営業利益 117 億円。市場 4,400 億円(実質)× シェア 5.4%(システム数は今の 1.49 倍)、営業利益率 38%
- 情報機器(カッティングプロッタ等):数量 40.0(カッティングプロッタ等の出荷台数(万台・年、推定))× 価格 4.24(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品・ソフトを含む))→ 売上 170 億円・営業利益 14 億円。40 万台 × 1 台あたり 4.24 万円、営業利益率 8%
- 計測機器:数量 8.8(計測器・データロガーの出荷台数(千台・年、推定))× 価格 91(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 80 億円・営業利益 13 億円。8,800 台 × 91 万円、営業利益率 16%
- 情報通信(ビジネスホン・通信機器):数量 40.5(ビジネスホン・通信システムの販売・保守の数(千システム相当、推定))× 価格 81(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守・ICT 関連を含む))→ 売上 327 億円・営業利益 26 億円。4.05 万システム × 81 万円、営業利益率 8%
- 設計事業(構造設計・耐震診断):数量 1,800(耐震診断・構造設計の受注件数(件・年、推定))× 価格 498(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 90 億円・営業利益 12 億円。1,800 件 × 498 万円、営業利益率 13%
- カード発行機・その他:数量 10.5(カード発行機・リース・省エネ機器などの取引・契約の件数(万件相当、推定))× 価格 22(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 232 億円・営業利益 19 億円。10.5 万件 × 22.1 万円、営業利益率 8%
倍率:事業の純利益 158 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.7% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)380 億円。全体の PER 18.81 倍、時価総額 3,344 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防犯機器の高い利益率が10年保たれ、電話も黒字化するという2つが同時に要る。一つ一つは起こりうるが、揃う確度は高くないので1割にとどめた。
やや楽観 20% 更新需要が堅く、統合の効果も出る 利益 138 億円 · PER 17.8 倍 · 株価時価総額 5,182 円2,764 億円
防犯カメラ市場は実質1.7倍弱に伸びるが、シェアは5%に小幅に下がる。クラウド型の競合に一部の顧客を渡しても、官公庁や金融機関の更新需要で、セキュリティ機器の利益率は37%を保つ。ナカヨと岩崎通信機の統合効果は出て、情報通信の利益率は7%に上がる。
プロッタと計測器は横ばいから緩やかな回復、設計事業は大口の反動を吸収して、おおむね一定になる。営業利益は約160億円まで増える。配当は DOE6%の方針で厚く、純現金は大きくは減らない。成長を期待させる買収もいくつか入るが、規模は小さく、全体の姿を変えるほどではない。
- セキュリティ機器(防犯カメラ・レコーダー):数量 52.8(年間に販売・保守する防犯システムの数(千システム相当。国内の監視カメラ市場(実質)× シェアから推定))× 価格 52(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守を含む。物価 3% に機器の値下がりを引いて、中立は 10 年 1.30 倍))→ 売上 273 億円・営業利益 101 億円。市場 4,200 億円(実質)× シェア 5.0%(システム数は今の 1.32 倍)、営業利益率 37%
- 情報機器(カッティングプロッタ等):数量 38.0(カッティングプロッタ等の出荷台数(万台・年、推定))× 価格 4.24(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品・ソフトを含む))→ 売上 161 億円・営業利益 11 億円。38 万台 × 4.24 万円、営業利益率 6.5%
- 計測機器:数量 8.4(計測器・データロガーの出荷台数(千台・年、推定))× 価格 91(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 77 億円・営業利益 12 億円。8,400 台 × 91 万円、営業利益率 15%
- 情報通信(ビジネスホン・通信機器):数量 36.0(ビジネスホン・通信システムの販売・保守の数(千システム相当、推定))× 価格 81(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守・ICT 関連を含む))→ 売上 290 億円・営業利益 20 億円。3.6 万システム × 81 万円、営業利益率 7%
- 設計事業(構造設計・耐震診断):数量 1,650(耐震診断・構造設計の受注件数(件・年、推定))× 価格 498(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 10 億円。1,650 件 × 498 万円、営業利益率 12%
- カード発行機・その他:数量 10.0(カード発行機・リース・省エネ機器などの取引・契約の件数(万件相当、推定))× 価格 22(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 221 億円・営業利益 14 億円。10.0 万件 × 22.1 万円、営業利益率 6.5%
倍率:事業の純利益 133 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)380 億円。全体の PER 17.82 倍、時価総額 2,750 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防犯カメラの更新需要が堅く、統合効果も出る形。会社の足元の計画(営業利益110億円、来期も微増)が10年の入口として自然なので、2割を置いた。
中立 33% 中立:防犯は柱のまま縮み、周辺は薄利で横ばい 利益 115 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 4,264 円2,274 億円
防犯カメラ市場は実質で1.6倍に伸びるが、増えるのは安価なクラウド型とソフトで、あいホールディングスのシェアは6%台から4.5%に下がる。値段は機器の値下がりを引いて10年で1.3倍にとどまり、セキュリティ機器の営業利益率は36%に少し下がる。それでも売上は約230億円、営業利益は約84億円で、会社の稼ぎの柱であり続ける。
ビジネスホンはクラウド化で数量が4分の1減り、統合効果で利益率は6%まで上がる。プロッタは数量が1割減る。耐震設計は大口の反動で件数が戻る。営業利益は約133億円、純利益は約115億円になる。DOE6%で配当を続け、現金は大きくは増えも減りもしない。買収は小粒のものが続くが、全体を変えない10年だ。
- セキュリティ機器(防犯カメラ・レコーダー):数量 45.3(年間に販売・保守する防犯システムの数(千システム相当。国内の監視カメラ市場(実質)× シェアから推定))× 価格 52(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守を含む。物価 3% に機器の値下がりを引いて、中立は 10 年 1.30 倍))→ 売上 234 億円・営業利益 84 億円。市場 4,000 億円(実質)× シェア 4.5%(システム数は今の 1.13 倍)、営業利益率 36%
- 情報機器(カッティングプロッタ等):数量 36.0(カッティングプロッタ等の出荷台数(万台・年、推定))× 価格 4.12(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品・ソフトを含む))→ 売上 148 億円・営業利益 7 億円。36 万台 × 4.12 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 5%
- 計測機器:数量 8.0(計測器・データロガーの出荷台数(千台・年、推定))× 価格 91(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 73 億円・営業利益 10 億円。8,000 台 × 91 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 14%
- 情報通信(ビジネスホン・通信機器):数量 33.8(ビジネスホン・通信システムの販売・保守の数(千システム相当、推定))× 価格 78(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守・ICT 関連を含む))→ 売上 264 億円・営業利益 16 億円。3.375 万システム(今の 0.75 倍)× 78 万円、営業利益率 6%
- 設計事業(構造設計・耐震診断):数量 1,500(耐震診断・構造設計の受注件数(件・年、推定))× 価格 498(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 75 億円・営業利益 8 億円。1,500 件(大口案件の反動で今の 0.75 倍)× 498 万円、営業利益率 11%
- カード発行機・その他:数量 9.5(カード発行機・リース・省エネ機器などの取引・契約の件数(万件相当、推定))× 価格 22(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 210 億円・営業利益 11 億円。9.5 万件 × 22.1 万円、営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 109 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)380 億円。全体の PER 16.86 倍、時価総額 2,224 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防犯カメラの市場が伸びても、シェアは下がり、薄利の事業は縮むという、最もありそうな姿。会社の計画と市場の見通しの中心に近いので3割強を置いた。
やや悲観 24% クラウド型にシェアと価格を削られる 利益 63 億円 · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 2,129 円1,135 億円
防犯カメラは、クラウド型のカメラとソフトが市場の伸びを持っていき、シェアは3.7%まで落ちる。値下げ圧力で価格は10年で1.22倍にとどまり、営業利益率は27%に下がる。電話はクラウドPBXへの置き換えが進んで数量が4割減り、利益率は3%に戻る。
プロッタは北米の関税と競争で苦しく、利益はほぼ消える。設計事業は大口の反動で件数が減る。営業利益は約64億円、純利益は約63億円(利息の増加が支える)になる。DOE6%の配当は維持が難しくなり、配当は減る。買収で使った現金の一部は、固定資産の減損と運転資金に消え、余った現金は4分の3に減る。
- セキュリティ機器(防犯カメラ・レコーダー):数量 30.7(年間に販売・保守する防犯システムの数(千システム相当。国内の監視カメラ市場(実質)× シェアから推定))× 価格 48(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守を含む。物価 3% に機器の値下がりを引いて、中立は 10 年 1.30 倍))→ 売上 149 億円・営業利益 40 億円。市場 3,300 億円(実質)× シェア 3.7%(システム数は今の 0.77 倍)、値下がりで価格 1.22 倍、営業利益率 27%
- 情報機器(カッティングプロッタ等):数量 30.0(カッティングプロッタ等の出荷台数(万台・年、推定))× 価格 3.80(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品・ソフトを含む))→ 売上 114 億円・営業利益 2 億円。30 万台 × 3.80 万円、営業利益率 2%
- 計測機器:数量 7.0(計測器・データロガーの出荷台数(千台・年、推定))× 価格 88(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 7 億円。7,000 台 × 88 万円、営業利益率 11%
- 情報通信(ビジネスホン・通信機器):数量 27.0(ビジネスホン・通信システムの販売・保守の数(千システム相当、推定))× 価格 75(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守・ICT 関連を含む))→ 売上 203 億円・営業利益 6 億円。2.7 万システム × 75 万円、営業利益率 3%
- 設計事業(構造設計・耐震診断):数量 1,200(耐震診断・構造設計の受注件数(件・年、推定))× 価格 498(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 60 億円・営業利益 5 億円。1,200 件 × 498 万円、営業利益率 8%
- カード発行機・その他:数量 8.5(カード発行機・リース・省エネ機器などの取引・契約の件数(万件相当、推定))× 価格 21(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 182 億円・営業利益 6 億円。8.5 万件 × 21.4 万円、営業利益率 3.5%
倍率:事業の ROE 5.3% が k 7.25% 以下なので、ためた利益は額面未満で、PER の上限は 1÷k=12.5 倍。数量が縮み続ける筋書きで成長が負になるので、そこから下げて 11.64 倍に置いた。余った現金は今の額の 0.75 倍(285 億円)を帳簿の値のまま足した。
確率:クラウド型への置き換えが想定より速く、シェアと価格が同時に下がる形。利益の一本足という弱点を考えると、起こりやすいので2割強に重みを置いた。
悲観 13% 従来型の防犯機器が構造的に負ける 利益 21 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 937 円500 億円
防犯カメラは、レコーダーを核にした従来型が構造的に負ける。クラウド型と海外勢の安い機器に顧客を奪われ、シェアは2%台になり、価格競争で営業利益率は14%まで落ちる。電話はクラウドPBXへの移行で数量が半減し、情報通信は赤字になる。プロッタは北米で苦戦して赤字、計測器と設計事業も薄利になる。
営業利益は10億円に届かない。買収で積んだ現金の一部は、失敗した買収と赤字の穴埋め、固定資産の減損に消え、余った現金は半分になる。配当は余った現金を取り崩し、遊休資産の売却も交えて払うため、大きく減る。それでも、純現金が価値の床になって、会社は存続する。かつての高収益の防犯機器メーカーではなく、現金を持つだけの小さな複合企業として評価される10年だ。
- セキュリティ機器(防犯カメラ・レコーダー):数量 17.7(年間に販売・保守する防犯システムの数(千システム相当。国内の監視カメラ市場(実質)× シェアから推定))× 価格 44(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守を含む。物価 3% に機器の値下がりを引いて、中立は 10 年 1.30 倍))→ 売上 77 億円・営業利益 11 億円。市場 3,200 億円(実質)× シェア 2.2%(システム数は今の 0.44 倍)、価格 1.10 倍、営業利益率 14%
- 情報機器(カッティングプロッタ等):数量 22.0(カッティングプロッタ等の出荷台数(万台・年、推定))× 価格 3.48(1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品・ソフトを含む))→ 売上 77 億円・営業利益 −2 億円。22 万台 × 3.48 万円、営業利益率 -2%
- 計測機器:数量 5.5(計測器・データロガーの出荷台数(千台・年、推定))× 価格 82(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 3 億円。5,500 台 × 82 万円、営業利益率 6%
- 情報通信(ビジネスホン・通信機器):数量 20.0(ビジネスホン・通信システムの販売・保守の数(千システム相当、推定))× 価格 69(1 システムあたりの売上(万円・名目、保守・ICT 関連を含む))→ 売上 139 億円・営業利益 −3 億円。2.0 万システム × 69 万円、営業利益率 -2%
- 設計事業(構造設計・耐震診断):数量 900(耐震診断・構造設計の受注件数(件・年、推定))× 価格 446(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 1 億円。900 件 × 446 万円、営業利益率 3%
- カード発行機・その他:数量 7.0(カード発行機・リース・省エネ機器などの取引・契約の件数(万件相当、推定))× 価格 20(1 件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 138 億円・営業利益 1 億円。7.0 万件 × 19.8 万円、営業利益率 1%
倍率:事業の ROE が 2% に満たず k 7.25% を大きく下回る。稼ぐ力(純利益÷k)は小さいので、価値は純現金の床(500 億円)から出す。今の自己資本の 0.43 倍にあたる。
確率:従来型の防犯機器が構造的に負け、電話とプロッタも赤字になる複合の形。実現すれば深いが、会社には純現金の床があるので、1割強にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
セキュリティ機器(防犯カメラ・レコーダー)
防犯カメラとレコーダーなどの防犯システムの販売・開発・保守。官公庁、銀行、学校、病院、マンション、商店街が導入先。
| 数量年間に販売・保守する防犯システムの数(千システム相当。国内の監視カメラ市場(実質)× シェアから推定) | 価格1 システムあたりの売上(万円・名目、保守を含む。物価 3% に機器の値下がりを引いて、中立は 10 年 1.30 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 40.0 | 40 | 159 | 62 |
| 10 年後 中立 | 45.3 | 52 | 234 | 84 |
取り方:矢野経済研究所の国内監視カメラ市場(2025 年度見込み 2,529 億円)に対し、売上 159 億円は約 6.3% に当たる(保守・更新を含む会社の売上を市場で割った推定で、機器だけのシェアはこれより低い)。これを年 4 万システム、1 システム約 40 万円(カメラ数台・レコーダー・保守の一式)と分けた。台数×万円×0.1 が億円。システム数は「市場の実質の伸び × シェアの変化」で動かす。10 年の中立は、市場が実質で 1.6 倍(AI とクラウドで伸びる)、シェアは安価なクラウド型に取られて 4.5% に下がり、システム数は今の 1.13 倍。
情報機器(カッティングプロッタ等)
グラフテックのカッティングプロッタと、家庭向けのシルエット、周辺ソフトの開発・製造・販売。
| 数量カッティングプロッタ等の出荷台数(万台・年、推定) | 価格1 台あたりの売上(万円・名目、消耗品・ソフトを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 40.0 | 3.17 | 127 | 6 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 4.12 | 148 | 7 |
取り方:台数は開示がないので推定。売上 126.7 億円を年 40 万台とし、1 台 3.2 万円(消耗品・ソフト・産業用の高額機を含む平均)とした。北米の消費に左右され、2025/06 期から 2 期続けて減収。10 年の中立は台数が 1 割減る(家庭用の需要が成熟)。
計測機器
データロガーなどを作るグラフテックと、電子計測器・制御装置を作る岩通計測。
| 数量計測器・データロガーの出荷台数(千台・年、推定) | 価格1 台あたりの売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 8.0 | 68 | 54 | 8 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 91 | 73 | 10 |
取り方:台数は開示がないので推定。売上 54.4 億円を年 8 千台、1 台 68 万円とした。台数×万円×0.1 が億円。国内の電子・自動車の開発投資に連動し、中立は台数が横ばい、値段は物価並み。
情報通信(ビジネスホン・通信機器)
岩崎通信機・ナカヨ・東通工業による、ビジネスホンなどの通信機器の開発・製造・販売・保守。
| 数量ビジネスホン・通信システムの販売・保守の数(千システム相当、推定) | 価格1 システムあたりの売上(万円・名目、保守・ICT 関連を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 45.0 | 60 | 271 | 13 |
| 10 年後 中立 | 33.8 | 78 | 264 | 16 |
取り方:国内のビジネスホンと PBX の市場は 2020 年ごろに約 700 億円と推計され、売上 271 億円はそれを上回る。ICT 構築や官公庁向けの保守を含むためと見て、年 4.5 万システム、1 システム約 60 万円とした推定。台数×万円×0.1 が億円。クラウドへの置き換えで、中立は 10 年で数量が 4 分の 1 減る。ナカヨの連結は 2025 年 4 月から。
設計事業(構造設計・耐震診断)
あい設計と田辺設計による、構造設計・耐震診断・補強設計・建築設計。
| 数量耐震診断・構造設計の受注件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2,000 | 372 | 74 | 15 |
| 10 年後 中立 | 1,500 | 498 | 75 | 8 |
取り方:件数は開示がないので推定。売上 74.4 億円を年 2,000 件、1 件 372 万円とした。件数×万円×0.0001 が億円。今期は大口の耐震診断で売上が 3 割増え、利益は 3 倍になった(前期の利益率は 1 割に届かなかった)。中立は大口の反動で件数が 25% 戻る。
カード発行機・その他
カード発行機、リース、ゴルフ場、おしぼり機、空調の省エネ装置、IoT・半導体検査装置の保守などの雑多な事業。
| 数量カード発行機・リース・省エネ機器などの取引・契約の件数(万件相当、推定) | 価格1 件あたりの売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 10.0 | 16 | 165 | 7 |
| 10 年後 中立 | 9.5 | 22 | 210 | 11 |
取り方:カード機器等(売上 24.5 億円・前期比 -21%)とその他(140.3 億円)を合算。事業がばらばらで開示の単位がないため、年 10 万件相当、1 件約 16.5 万円という推定。中立は件数が 5% 減る(カード発行機の縮小)。
リスクと懸念
利益が防犯機器の1本に集まっている
セグメント利益の過半をセキュリティ機器が稼いでいる。この事業の利益率が3割台前半に落ちるだけで、全社の営業利益は1割以上減る。ほかの事業はどれも薄利で、穴を埋める力がない。
防犯カメラがクラウド型へ移る
市場が伸びる中身は、画像解析とクラウドのサービスだ。レコーダーを売って保守する従来型の商売は、i-PROやセーフィーのような相手に顧客を取られうる。シェアと価格が同時に下がるのが最悪の形だ。
縮む市場の買収が成長に変わらない
岩崎通信機とナカヨの事業は、ビジネスホンという縮む市場にある。黒字化は粗利重視の成果だが、売上を伸ばす道は見えない。統合の効果が出尽くしたあとは、数量の減りが利益を押し下げる。
利益の質が読みにくい
前々期は買収差益で約180億円、今期は固定資産の売却益で約38億円の特別な利益が出た。会社予想の来期の純利益は約25%減る。純利益の水準だけでは稼ぐ力を測れず、見かけで高く評価しやすい。
現金の使い道が割れる
純現金は約550億円ある。買収に使い続けるか、配当に回すかで価値が変わる。DOE6%の方針は還元を支えるが、来期の配当性向は8割台で、利益が落ちる局面では現金を取り崩して配る形になる。
北米の需要に左右される情報機器
カッティングプロッタは北米の消費と関税の影響が大きく、前期、今期と減収が続く。利益率は4%台で、需要が戻らなければ赤字になる。売上は全体の1割台半ばだが、事業の足を引っ張る。
大口案件で動く設計事業
今期は大口の耐震診断で、設計事業の利益が約3倍の14.8億円になった。同じ規模の案件が毎年続くとは限らない。件数が戻れば、全社の営業利益にも1割弱の下押しがかかる。
今後の分かれ目
- セキュリティ機器の営業利益率が35%を下回って定着したら
- 堀が削れ始めた合図だ。やや悲観と悲観の確率を上げる。値段競争かクラウド型への移行のどちらが原因かを見分ける。
- セキュリティ機器の売上が、市場の伸びを上回って増え始めたら
- クラウド時代にも従来型の強みが通じている証拠で、楽観とやや楽観の確率を上げる。
- 岩崎通信機・ナカヨの営業利益率が6%を超えて定着したら
- 統合の効果が持続的だとわかる。情報通信の利益率の前提を上げ、中立の営業利益を押し上げる。
- 大型の買収に純現金の半分以上を使ったら
- 縮む市場の買収が続く形になる。余った現金の戻り方を0.5に落として見直す。
- 配当をDOE6%で続け、配当性向が8割を超え続けたら
- 稼ぎ以上に配る形になり、現金は減る。減配があれば、やや悲観の筋書きに近づく。
- 北米のプロッタの需要が戻らず、情報機器が赤字になったら
- 周辺事業の整理や売却も視野に入る。売却益は一度きりなので、本業の利益には入れない。
見ておくもの
- セキュリティ機器の売上・利益率と、保守・更新の比率(決算説明資料)
- 岩崎通信機・ナカヨを含む情報通信の営業利益率の推移
- 矢野経済研究所などの監視カメラ市場の見通しと、クラウド型の競合(i-PRO・セーフィー)の動き
- 純現金の増減と、買収・配当への使い方(DOE6%の方針の運用)
倍率と資本コストの決め方
数量は市場規模×シェアや台数・件数の推定で置き、物価3%は価格に入れた(防犯機器は値下がりを引いて10年1.30倍)。倍率は、k 7.25%(基本7.5%に寿命+0.5%)と g 4%から、利益ベースの正当化PERで決めた。中立は事業のROE約10.6%、RONIC約9.3%で正当化PERは14.3倍、その約9割の12.6倍(1÷k=12.5倍を下回らせない)に置いた。余った現金380億円は戻り方1.0で別に足した。市場の倍率は式に使っていない。なお新リース会計の影響(2028/06期ごろ)は、今と同じ家賃を費用に入れた形でそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.6→18.81 倍・やや楽観 PER 13.1→17.82 倍・中立 PER 12.6→16.86 倍・やや悲観 PER 10.5→11.64 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。